(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】共振キャビティを有する表面弾性波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/64 20060101AFI20241024BHJP
H03H 9/145 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/145 D
(21)【出願番号】P 2023522962
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 FR2022051736
(87)【国際公開番号】W WO2023047042
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ミショウリエ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァイン バランドラス
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ラロシュ
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-273120(JP,A)
【文献】特開2006-303834(JP,A)
【文献】国際公開第2020/021029(WO,A2)
【文献】国際公開第2021/044031(WO,A1)
【文献】米国特許第06516665(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振キャビティを有する表面弾性波フィルタ(1)であって、
-ベース基板(S3)及び圧電上部層(S1)から形成される複合基板(S)と、
-前記圧電上部層に配置された少なくとも1つの入力電気音響トランスデューサ(2a)及び出力電気音響トランスデューサ(2b)と、
-前記入力電気音響トランスデューサ(2a)と前記出力電気音響トランスデューサ(2b)との間に配置された少なくとも1つの内部反射構造であって、内部反射構造が、
-第1の周期を有する複数の反射格子(R1)を備える第1の構造(Pright)と、
-第2の周期を有する複数の反射格子(R2)を備える第2の構造(Pleft)であって、前記第1の周期は前記第2の周期よりも大きい、第2の構造(Pleft)と、を備える、少なくとも1つの内部反射構造と、
-前記入力電気音響トランスデューサ(2a)及び出力電気音響トランスデューサ(2b)と前記内部反射構造との間に画定された前記共振キャビティと、を備え、
前記表面弾性波フィルタは、
-前記第1の構造(Pright)が、第1の距離(Rg)だけ互いに分離された第1の複数の反射格子(R1)を備え、
-前記第2の構造(Pleft)が、第2の距離(Lg)だけ互いに分離された第2の複数の反射格子(R2)を備え、
前記第1の構造(Pright)と前記第2の構造(Pleft)は、所定の距離(Pcg)だけ互いに分離され、
前記第1の距離(Rg)が、前記第2の距離(Lg)よりも小さいことを特徴とする、表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項2】
前記第1の構造(Pright)は、前記入力電気音響トランスデューサ(2a)から第1の分離距離(Srg)だけ離れており、前記第2の構造(Pleft)は、前記出力電気音響トランスデューサ(2b)から第2の分離距離(Slg)だけ離れており、前記第1の分離距離(Srg)は、前記第2の分離距離(Slg)よりも小さい、請求項1に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項3】
前記入力電気音響トランスデューサ(2a)及び前記出力電気音響トランスデューサ(2b)の両側に配置された2つの外部ミラー(3a、3b)を更に備える、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項4】
前記反射格子(R1、R2)及び/又は前記外部ミラー(3a、3b)は、前記複合基板(S)の前記圧電上部層上/内に配置された金属フィンガのアレイによって作製される、請求項3に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項5】
前記反射格子(R1、R2)及び/又は前記外部ミラー(3a、3b)は、前記複合基板にエッチングされた溝のアレイによって作製される、請求項3に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項6】
前記反射格子(R1、R2)及び/又は前記外部ミラー(3a、3b)は、前記複合基板(S)の表面上に配置された誘電体フィンガのアレイによって作製される、請求項3に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項7】
前記複合基板は、前記ベース基板(S3)と前記圧電上部層(S1)との間に配置された少なくとも1つの層(S2)を備える、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項8】
前記ベース基板(S3)は、1000オームcmよりも大きい電気抵抗率を有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項9】
前記圧電上部層(
S1)の厚さが20ミクロン未満である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項10】
前記入力電気音響トランスデューサ(2a)及び前記出力電気音響トランスデューサ(2b)は、それぞれ、2つの互いに噛み合うくし形電極から構成される、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【請求項11】
前記第1の構造(Pright)と前記第2の構造(Pleft)とを隔てる距離(Pcg)は、前記第1の距離(Rg)と前記第2の距離(Lg)との10%以内の算術平均に等しい、請求項1又は2のいずれか一項に記載の表面弾性波フィルタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振キャビティを有する表面音響波フィルタに関する。このようなフィルタは、高周波信号の処理の分野、例えば電気通信用途に適用される。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、例えば欧州特許第0608249号から知られているように、このようなフィルタ1は、典型的には、圧電基板上に配置された少なくとも2つの、それぞれ入力及び出力の電気音響トランスデューサ2a、2bを備える。2つのトランスデューサは、表面弾性波が伝搬する経路を画定する。それらはまた、フィルタ1の電気入力ポートPe及び出力ポートPsを形成する。
【0003】
フィルタ1は、弾性波の伝搬軸Xに沿って、一対の入力トランスデューサ2a及び出力トランスデューサ2bの両側に配置された2つの外部反射格子3a、3b(好ましくは反射のみ)、典型的にはブラッグミラーを備えることができる。
【0004】
フィルタ1は、弾性波の経路X上で2つのトランスデューサ2a、2bの間に配置され、これらの2つのトランスデューサ2a、2bから等距離であり得る少なくとも1つの内部反射格子4を備える。この少なくとも1つの内部反射格子4は、0でない透過係数を有する。
【0005】
複数の共振キャビティC1、C2は、波伝搬経路に沿ってこのように画定され、これらの共振キャビティは、フィルタ1の等しい数の極を形成する。
【0006】
文献独国特許出願公開第2363701号もまた、共振キャビティを有する表面弾性波フィルタのいくつかの構成を開示している。
【0007】
文献国際公開第2020021029号は、共振キャビティを有するそのような表面弾性波フィルタの多数の有利な構成を提案しており、これらの構成は全て、複合基板、すなわち、ベース基板(機械的支持体を構成する)及び圧電上部層から形成される基板上に作製される。弾性波は、縦波及び/又はせん断波の形態で上部層内を伝搬する。上部層の厚さは、フィルタの中心波長の大きさのオーダーであるか、又はこの波長未満であるように選択される。この場合、伝搬は、ベース基板における放射の損失なしに行われる。
【0008】
上述の文献によって提案されたフィルタの非常に一般的な構造は、通過帯域において低い挿入損失(<2dB)を有し、この帯域の外側において著しい阻止率(>15dB)を有する多種多様な帯域通過フィルタを合成することを可能にする。
【0009】
共振キャビティを有する表面弾性波フィルタの合成は、フィルタ阻止又は遷移帯域における二次ローブの出現を引き起こし得ることが周知である(例えば、欧州特許第0608249号を参照)。これらのローブは、フィルタの相対的な通過帯域を広げようとする場合には、更に高い振幅を有する。
【0010】
したがって、阻止帯域又は遷移帯域に存在するローブの振幅を制限することができるフィルタ構造を有することが望ましい。
【0011】
発明の目的
本発明の1つの目的は、この要望に対処することを可能にするフィルタ構造を提案することである。より具体的には、本発明の目的は、従来技術のフィルタ構造と比較して、阻止帯域又は遷移帯域に存在するローブの振幅及び高さを低減するフィルタ構造を提案することである。
【発明の概要】
【0012】
この目的を達成するために、本発明の目的は、共振キャビティを有する表面弾性波フィルタであって、
ベース基板及び圧電上部層から形成される複合基板と、
-上部層に配置された少なくとも1つの入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサと、
-入力電気音響トランスデューサと出力電気音響トランスデューサとの間に配置された少なくとも1つの内部反射構造と、を備える表面弾性波フィルタを提案する。
【0013】
フィルタの内部反射構造は、
-第1の周期を有する少なくとも1つの反射格子を備える第1の構造と、
-第2の周期を有する少なくとも1つの反射格子を備える第2の構造であって、第1の周期は第2の周期よりも大きい、第2の構造と、を備える。
【0014】
本発明によれば、第1の構造は、第1の距離だけ互いに分離された第1の複数の反射格子を備え、第2の構造は、第2の距離だけ互いに分離された第2の複数の反射格子を備え、第1の距離は第2の距離よりも小さい。
【0015】
本発明の他の有利な非限定的特徴によれば、単独で、又は技術的に実現可能な任意の組合せに従って、
-第1の構造は、入力電気音響トランスデューサから第1の分離距離だけ離れており、第2の構造は、出力トランスデューサから第2の分離距離だけ離れており、第1の分離距離は、第2の分離距離よりも小さく、
-フィルタは、入力トランスデューサ及び出力トランスデューサの両側に配置された2つの外部ミラーを更に備え、
-反射格子及び/又は外部ミラーは、複合基板の最上部層の上/中に配置された金属フィンガのアレイによって作製され、
-反射格子及び/又は外部ミラーは、複合基板にエッチングされた溝のアレイによって作製され、
-複合基板は、ベース基板と圧電上部層との間に配置された少なくとも1つの層を備え、
-ベース基板は、1000オームcmよりも大きい電気抵抗率を有し、
-圧電上部層の厚さは、20ミクロン未満であり、
-入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサは、それぞれ、2つの互いに噛み合うくし形電極から構成され、
-第1の構造と第2の構造とを隔てる距離は、第1の距離と第2の距離との10%以内の算術平均に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】従来技術の共振キャビティを有する表面弾性波フィルタを示す図である。
【
図2a】本発明による共振キャビティを有する表面弾性波フィルタの概略上面図及び概略断面図である。
【
図2b】本発明による共振キャビティを有する表面弾性波フィルタの概略上面図及び概略断面図である。
【
図3a】その構造が従来技術に従うフィルタを示す図である。
【
図3b】第1の反例によるフィルタの伝達関数のモジュールを示す図である。
【
図3c】本発明によるフィルタの構造を示す図である。
【
図3d】本発明の第1の例示的実施形態のフィルタの伝達関数のモジュールを示す図である。
【
図4a】第2の反例によるフィルタの伝達関数のモジュールを示す図である。
【
図4b】本発明の第2の例示的な実施形態のフィルタの伝達関数のモジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明を簡単にするために、本発明の異なる開示された実施形態及び従来技術において同一であるか、又は同じ機能を実行する要素には同じ参照符号が使用される。
【0018】
本明細書の残りの部分で説明されるフィルタは、ベース基板と、このベース基板上に位置する上部圧電層とから形成される複合基板上で実行される。これら2つの要素の間に他の層が設けられてもよい。それは、例えば、それらの組み立てを容易にする1つ又は複数のアモルファス層であってもよい。このアモルファス層(又は複数のアモルファス層)は、酸化ケイ素であってもよく、又は酸化ケイ素を含んでもよい。アモルファス層の厚さは、200nmよりも大きくても小さくてもよく、特に、10nm~6ミクロンの間で選択されてもよい。周期的に交番する弾性インピーダンスを有する層のスタックから形成されたブラッグミラーは、上部層とシリコン基板との間で可能である。
【0019】
複合基板の圧電上部層は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、PZT、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、並びにKTN、PMN-PT及び関連材料などの同様の材料、窒化ガリウム(GaN)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、又はニオブ酸リチウムLiNbO3からなることができる。好ましくは、タンタル酸リチウム(LiTaO3)又はニオブ酸リチウム(LiNbO3)の結晶配向は、IEEE 1949 Std-176規格に従って、(YXl)/θとして定義され、θは、0°~60°又は90°~150°の間に含まれる結晶配向角であり、Y及びXは結晶軸であり、lは、回転θが行われるXと同一直線上にあるプレートの長さを表す。
【0020】
複合基板のベース基板は、高電気抵抗率基板、特にシリコン基板であってもよい。高抵抗率とは、1000オームcmを超える電気抵抗率を意味する。ベース基板が、電荷をトラップするための上部層、例えば多結晶シリコンの層を含むようにすることができる。複合基板はまた、ダイヤモンド炭素、サファイア、ガラス又は炭化ケイ素から作られてもよい。
【0021】
複合基板は、複数の方法で、特にSmart Cut(商標)技術によって形成されてもよい。この技術によれば、このドナー基板の主面を通して軽量種(例えば水素及び/又はヘリウム)をイオン注入することによって、圧電ドナー基板内に転写される薄層が画定される。この注入は、基板の主面と共に薄層を画定する脆弱ゾーンを形成する。ドナー基板は、その主面によってベース基板に組み立てられ、ドナー基板は、薄層を転写するために、例えば、熱及び/又は機械的処理を使用して脆弱ゾーンで破断される。
【0022】
この手法の代替として、特に複合基板の圧電上部層が5ミクロンから20ミクロン以上のオーダーで比較的厚い場合、複合基板は、ドナー基板をベース基板に組み立て、例えばCMP、研削、又は研磨によってドナー基板を薄くすることによって形成することができる。
【0023】
全ての場合において、選択された手法にかかわらず、薄層の転写は、ベース基板上の単結晶圧電上部層から形成される複合基板の形成をもたらす。
【0024】
圧電上部層の厚さは、その中を伝搬することが意図される弾性波の長さの大きさのオーダーである。好ましくは、圧電上部層の厚さはこの波長よりも小さく、例えば約20ミクロン以下である。ベース基板の厚さは、それ自体、圧電上部層の厚さよりもはるかに大きく、典型的には、この層よりも少なくとも10倍又は100倍大きく、例えば、250ミクロン~500ミクロンである。
【0025】
図2a及び
図2bは、本開示の主題である共振キャビティ1を有する表面弾性波フィルタを示す。このフィルタ1は、従来の方法で複合基板Sの上部圧電層S1の上又は中に製造され、ここではアセンブリ層S2を介して支持体S3に組み立てられる。そのような表面弾性波フィルタの合成を可能にする一般的な原理を得るために、David P.Morgan Academic Pressの著作「Surface acoustic wave filters with application to electronic communications and signal processing」第2版(2007年8月9日)を参照されたい。
【0026】
フィルタは、中心周波数f0と、この中心周波数の分数、典型的には0.1%~10%として表すことができる通過帯域Δfとを有するバンドパスフィルタである。
【0027】
フィルタ1は、少なくとも1つの入力電気音響トランスデューサ2aと、出力電気音響トランスデューサ2bとを備える。フィルタリングされるべき電磁信号は入力電気音響トランスデューサ2aに印加され、フィルタリングされた電磁信号は出力電気音響トランスデューサ2bから取り出される。したがって、これらの2つのトランスデューサはそれぞれ、フィルタの入力ポート及び出力ポートを形成する。しかしながら、「入力」及び「出力」の指定は完全に任意であり、フィルタは2つのポートのいずれかに電磁信号を印加/プリサンプリングすることによって利用することができることに留意されたい。
【0028】
非常に一般的に、トランスデューサ2a、2bは、従来技術で知られているものに従っており、そのいくつかの特徴を以下に列挙する。
【0029】
ここで、各トランスデューサ2a、2bは、2つの互いに噛み合うくし形電極からなる。それ自体よく知られているように、そのようなトランスデューサ2a、2bは、電位差が印加/除去される2つのバスに交互に接続された金属フィンガのアレイからなる。このデバイスでは、圧電上部層において表面弾性波を直接生成/検出することが可能である。入力トランスデューサ2a及び出力トランスデューサ2bは、一般的に同一に構成されるが、特にフィルタの応答を最適化するために、それらが異なることは不可能ではない。
【0030】
電極の金属は、典型的には、アルミニウム、例えば純粋なアルミニウム、又はCu、Si、若しくはTiでドープされたアルミニウムなどのアルミニウム合金に基づく。それにもかかわらず、別の材料を使用して、例えば、より低い相対的な電極厚さに対してより高い反射係数を確立することが可能である。この点に関して、好ましい電極材料は、チタン(Ti)又はタンタル(Ta)又はクロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)などの接着層を有する銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)又は金(Au)である。
【0031】
電極の周期pは、一般に、p=λ/2となるように選択され、λは、トランスデューサの共振周波数frで圧電上部層内を伝搬する弾性波の波長である。他の構成も可能であり、より一般的には、周期pはp=λ/(nb_elec)と書くことができ、nb_elecは波長当たりのフィンガ(電極)の数である。これらのパラメータは、関係λ=V/frによって関連付けられ、ここで、Vは、トランスデューサの下の弾性波の位相速度を表す。自由表面上又は電気音響トランスデューサの下の弾性波の速度は、特に、波が伝搬する材料の性質に依存し、当業者には一般的に知られているか、又はアクセス可能である。
【0032】
本明細書の主題であるバンドパスフィルタの場合、共振周波数frは、フィルタの通過帯域に設定されるか、好ましくは、この帯域の下限よりも低い周波数に設定される。この共振周波数を設定することによって、波の波長λを決定することができ、したがってトランスデューサの周期pを決定することができる。
【0033】
aで示される電極の金属化幅は、一般に、a/p比が0.5程度であるように選択される。各トランスデューサのフィンガ対の数は、通常、20又は100のオーダーで選択される。一般に、フィンガ対の数を増加させることにより、通過帯域内にない周波数の阻止を増加させることが可能になる。
【0034】
図2に示されるフィルタの一般的な説明に戻ると、入力トランスデューサ2a及び出力トランスデューサ2bの対の両側に配置された2つの外部ミラー3a、3bを設けることが可能である。よく知られているように、これらのミラー3a、3bは、2つの入力電気音響トランスデューサ2aと出力電気音響トランスデューサ2bとの間に可能な限り多くの弾性エネルギーを閉じ込めることを可能にする。したがって、それらは、ミラーのフィンガの金属厚及びこれらのフィンガの数、典型的には、せん断波用の複合基板の場合にミラー当たり数十を選択することによって、1(入射エネルギーの全反射)に可能な限り近い非常に高い反射係数を有するように設計される。しかしながら、これらの2つの外部ミラーは、本発明に決して必須ではなく、本発明による完全に機能的なフィルタはそれらを欠いていてもよいことに留意すべきである。
【0035】
図2に示されるフィルタの説明を終えるために、このフィルタは、入力電気音響トランスデューサ2aと出力電気音響トランスデューサ2bとの間に配置された少なくとも1つの内部反射構造も備える。反射構造は、弾性波の伝搬経路に沿って分布した複数の反射格子R1、R2からなる。本出願の導入部で想起されたように、この構造は、弾性波の伝搬経路に沿って複数の共振キャビティを画定し、これらの共振キャビティは、フィルタ1の等しい数の極を形成する。
【0036】
内部反射構造の各反射格子R1、R2は、優先的に短絡された金属フィンガからなるブラッグ反射器から形成される。各反射格子R1、R2を構成するフィンガのアレイの周期は、一般に、トランスデューサの電極の周期に近く(15%以内)、したがって一般にλ/2に近くなるように選択される。トランスデューサの周期よりも小さい反射格子R1、R2の周期を選択することによって、周波数がフィルタの通過帯域の周波数よりも大きい信号がより良好に拒絶され、すなわち、二次ローブの存在がより高い周波数に押し戻される。逆に、トランスデューサの周期よりも大きい反射格子R1、R2の周期を選択することによって、フィルタの通過帯域の周波数よりも低い周波数の信号がより良好に拒絶され、すなわち、二次ローブの存在がより低い周波数に押し戻される。
【0037】
各反射格子R1、R2の金属フィンガの数は、最大値が1(入射波の全反射)に等しい格子の反射係数を決定する。0.5よりも大きい、又は0.8よりも大きい高反射係数は、通過帯域の外側の周波数阻止を増加させることを可能にする。しかしながら、これは通過帯域を減少させ、この減少が過剰である場合には、内部反射構造(したがってフィルタ内の極)に反射格子を追加することによって補償することができる。典型的には、各反射構造のフィンガの数は、10~40であってもよい。
【0038】
本明細書の主題であるフィルタ1において、内部反射構造は、
-第1の周期を有する少なくとも1つの反射格子R1を備える第1の構造Prightと、
-第2の周期を有する少なくとも1つの反射格子R2を備える第2の構造Pleftであって、第2の周期は第2の周期とは異なる、第2の構造Pleftと、を備える。
【0039】
慣例により、第1の構造Prightの反射格子R1の周期に対応する第1の周期は、第2の構造Pleftの反射格子R2の周期に対応する第2の周期よりも大きいことが必要である。「より大きい」とは、第1の周期が第2の周期よりも少なくとも5nm大きいことを意味する。
【0040】
有利には、フィルタの設計においてより多くの柔軟性を提供するために、第1の構造Prightは複数の反射格子R1を有し、各反射格子は同じ第1の周期を有してもよい。同様に、第2の構造Pleftも複数の反射格子R2を含み、各反射格子は同じ第2の周期を有することができる。全ての場合において、第1の構造Prightの反射格子の周期は、第2の構造Pleftの反射格子の周期よりも大きい。
【0041】
第1の構造Prightが複数の反射格子R1を有する場合、これらの格子は、第1の距離Rgだけ互いに分離される。同様に、第2の構造Pleftが複数の反射格子R2を有する場合、これらの格子は第2の距離Lgだけ互いに分離される。この構成では、第1の距離Rgは、第2の距離Lgよりも小さい。
【0042】
優先的に、第1の距離Rgは、本明細書において「ブラッグ距離」と呼ばれる閾値距離Dgよりも小さくなるように選択される。同時に、第2の距離Lgは、ブラッグ距離Dgよりも大きくなるように選択される。それぞれ第1の構造Pright及び第2の構造Pleftにおいて反射格子R1、R2を分離する第1の距離Rg及び第2の距離Lgは、音響キャビティの寸法を定義する。
【0043】
反射格子の周期がλ/2近くに選択される場合、ブラッグ距離は実質的にλ/4に等しい。より正確には、ブラッグ距離Dgは、関係Dg=(V’*p0)/(2*V)によって定義され、式中、Vは反射格子の下の弾性波の位相速度を表し、V’は自由表面弾性波の位相速度を表し、p0は最大反射がフィルタの中心周波数f0に等しい反射格子の周期を表す。
【0044】
第1の距離Rgは、0.5と1との間の係数Frだけブラッグ距離Dgより小さく選択することができ、すなわち、Rg=Fr*Dgである。同様に、第2の距離Lgは、ブラッグ距離Dgよりも1~2の係数Flだけ大きく選択することができ、すなわち、Lg=Dg*Flである。
【0045】
第1及び第2の構造を分離する距離Pcgは、第1及び第2の距離Rg、Lgの算術平均に等しくなるように選択されてもよい。「等しい」は、10%以内に等しいことを意味する。
【0046】
また好ましくは、第1の構造Prightは、入力電気音響トランスデューサ2aから第1の分離距離Srgだけ離れており、第2の構造Pleftは、出力トランスデューサ2bから第2の分離距離Slgだけ離れており、第1の分離距離Srgは、第2の分離距離Slgよりも小さい。
【0047】
第1及び第2の構造Pleft、Prightにおける反射格子R1、R2の数は、大きな自由度で選択することができる。それは、弾性キャビティの数(第1及び第2の分離距離Srg、Slgによって上で定義されたものに加えて)、したがってフィルタの極の数を定義する。したがって、比較的多数の反射格子R1、R2は、フィルタの挙動を所定のテンプレートに非常に柔軟に適合させることを可能にする。2つの構造Pleft、Prightにおいて同じ数の反射格子R1、R2を有する必要はない。典型的には、決定されたテンプレートによって提供されるフィルタリング制約に従って、構造Pleft、Prightの各々において2~10個の反射格子R1、R2を選択することが可能である。反射構造R1、R2の数を制限する要因は、抵抗損失及び音響伝搬である。
【0048】
上述の特徴を有するフィルタ構造を提案することによって、本出願の発明者らは、1%を超える相対幅の比較的高い通過帯域に対してさえ、阻止帯域又は遷移帯域における二次ローブが特に低減された(例えば、少なくとも5dB、典型的には10dBのオーダーの低減)帯域通過フィルタを提案することが可能であることを観察した。
【0049】
このようなフィルタのこの非常に有利な挙動は、以下の説明において、従来のフィルタ(反例)の伝達関数を、本発明による構造を使用して合成されたフィルタ(例)の伝達関数と比較することによって明らかになる。
【0050】
以下の全ての実施例及び反例において、複合基板Sは、厚さ0.6ミクロンのLiTaO3(YXl)/42°の圧電層S1とシリコン(100)のベース基板S3との間に配置された厚さ500nmの酸化ケイ素の層S2を含む。
【0051】
このような複合基板Sにおいて、本実施例で対象とする波長の弾性波は、主にせん断波として伝搬する。
【0052】
反例1:中心周波数が400MHzで相対通過帯域が0.4%のフィルタ。
フィルタの中心周波数において、先に定義した複合基板では、上部層S1を伝搬する弾性波の波長は10.9ミクロンである。
【0053】
図3aは、その構造が従来技術に従うフィルタ1’を示す。これは、複合基板S上に形成された、入力電気音響トランスデューサ2a及び出力電気音響トランスデューサ2bと、ここではブラッグ距離Dgの等しい距離だけ互いに分離された4つの反射格子Rからなる内部反射構造とを有する。フィルタ1’は、入力トランスデューサ2a及び出力トランスデューサ2bの両側に配置された2つの外部ミラー3a、3bを更に備える。
【0054】
反例1で取られたフィルタ1’のパラメータは、その伝達関数を
図3bに示される所定の帯域通過テンプレートGに整形することを目的としたこのフィルタのモデルの一連のシミュレーションの終わりに得られた。
【0055】
したがって、入力電気音響トランスデューサ2a及び出力電気音響トランスデューサ2bの周期pは5.450ミクロンに選択されている。電極の金属化幅は、a/p比が0.6に設定されるように選択される。入力電気音響トランスデューサ2a及び出力電気音響トランスデューサ2bの金属フィンガ対の数は35に設定されている。
【0056】
各外部ミラーの周期は5.557ミクロンに設定されている。各外部ミラーは40個のフィンガを有し、a/p比は0.5である。入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサの外部ミラーをそれぞれ隔てる距離は、2.110ミクロンに設定される。
【0057】
反射格子Rは、1/4波長のブラッグ距離に近い2.938ミクロンの距離Dgだけ互いに分離される。これらの反射格子の最初及び最後は、それぞれ、入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサから3.36ミクロンの距離だけ離れている。反射格子Rは、各々30個の金属フィンガを有する。
【0058】
これらの反射格子4の周期は全て同一であり、5.557ミクロンに等しい。
【0059】
図3bは、このフィルタ1’の伝達関数のモジュールを示しており、これは、その合成をもたらしたシミュレーションの終わりに得られたものである。この伝達関数は通過帯域においてテンプレートに良好に適合することが観察されるが、阻止帯域において特に高い振幅の複数のローブの存在も観察される。本出願の導入部で引用した先行技術文献によって報告されているように、これらのローブの存在は望ましくない。
【0060】
例1:中心周波数が400MHzで相対通過帯域が0.4%のフィルタ。
図3dは、本発明のフィルタの構造に適合する
図3cに示される構造を有するフィルタ1の伝達関数のモジュールを示す。
【0061】
実施例1のフィルタ1のパラメータは、反例1と同様にシミュレーションにより求めた。反例1のフィルタ1’と同様に、フィルタ1も4つの反射格子R1、R2を有し、2つは第1の構造Prightに配置され、他の2つは第2の構造Pleftに配置される。反射格子R1、R2は各々30個の金属フィンガを有する。このフィルタ1のシミュレーションによって得られた他のパラメータは、
【0062】
第1構造Pright:
-Srg:2.645ミクロン
-Rg:2.938ミクロンのブラッグ距離Dgよりもはるかに小さい1.446ミクロン
-2つの反射格子R1の周期(第1の周期):5.686ミクロン
【0063】
第2の構造Pleft:
-Slg:4.350ミクロン
-Lg:4.790ミクロンであり、これは2.938ミクロンのブラッグ距離Dgよりもはるかに大きい。
-2つの反射格子R2の周期(第2の周期):5.399ミクロン。
【0064】
第1の構造Prightの反射格子R1の第1の周期は、第2の構造Pleftの反射格子R2の第2の周期よりもはるかに大きいことが分かる。
【0065】
第1の構造Prightを第2の構造Pleftから分離する距離Pcgは、3.125ミクロンであり、第1の距離Rgと第2の距離Lgの算術平均(3.118ミクロン)に実質的に等しい。
【0066】
入力電気音響トランスデューサ2a及び出力電気音響トランスデューサ2bのパラメータは、反例1と同じである。各外部ミラーの周期は5.557ミクロンに固定されている。各外部ミラーは40個のフィンガを有し、a/p比は0.5である。入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサの外部ミラーをそれぞれ隔てる距離は、1.800ミクロンに設定される。
【0067】
図3dは、シミュレーションによって得られた、このフィルタ1の伝達関数のモジュールを示す。伝達関数が通過帯域においてテンプレートによく適合することが分かる。更に、ローブは依然として阻止帯域に存在するが、通過帯域から離れた周波数ではより小さい阻止された振幅である。
【0068】
したがって、この実施例1のフィルタ1の性能は、構造が従来技術のフィルタ構造に一致する反例1のフィルタ1’の性能よりもはるかに大きい。
【0069】
反例2:1900MHzの中心周波数及び3.5%の相対通過帯域を有するフィルタ。
ここで、相対通過帯域が実施例1及び反例1のものよりも明らかに広いフィルタを合成することが求められている。
【0070】
フィルタの中心周波数において、先に定義した複合基板Sでは、上部層S1を伝搬する弾性波の波長は2.058ミクロンである。
【0071】
反例2のフィルタの構造は、反例1のものと同一であり、
図3aに示されている。反例2のフィルタ1’のパラメータは、その伝達関数を
図4aに示す所定のテンプレートGに整形することを目的としたフィルタ1’のモデルの一連のシミュレーションの最後に得られた。
【0072】
入力及び出力電気音響トランスデューサの周期pは、1.029ミクロンに選択されている。電極の金属化幅は、a/p比が0.54に設定されるように選択される。各トランスデューサの金属フィンガの対の数は16に設定される。
【0073】
各外部ミラーの周期は1.060ミクロンに設定されている。各外部ミラーは25個のフィンガを有し、a/p比は0.5である。入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサの外部ミラーをそれぞれ隔てる距離は、0.301ミクロンに設定される。
【0074】
4つの反射格子Rは、各々10個の金属フィンガを有する。内部反射格子は、約1/4波長のブラッグ距離に対応する0.535ミクロンの距離Dgだけ分離されている。これらの反射格子の最初及び最後は、それぞれ、入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサから0.594ミクロンの距離Srg、Slgだけ離れている。
【0075】
これらの内側及び外部反射格子4の周期は、全て同一であり、1.060ミクロンに等しい。
【0076】
図4aは、シミュレーションによって得られた、このフィルタの伝達関数のモジュールを示す。それは通過帯域において所定のテンプレートに従うことが観察されるが、反例1におけるように、阻止帯域において特に高い振幅の複数のローブの存在が観察される。
【0077】
例2:1900MHzの中心周波数及び3.5%の相対通過帯域を有するフィルタ。
図4bは、
図3cに示されたフィルタ構造からシミュレーションによって合成された、本発明のフィルタの構造によるフィルタの伝達関数のモジュールを示す。
【0078】
4つの反射格子R1、R2は各々11個の金属フィンガを有している。このフィルタのシミュレーションによって得られた他のパラメータは、
【0079】
第1構造Pright:
-Srg:0.496ミクロン
-Rg:0.593ミクロンのブラッグ距離Dgよりもはるかに小さい0.290ミクロン。
-反射格子R1の周期(第1の周期):1.100ミクロン
【0080】
第2の構造Pleft:
-Slg:0.767ミクロン
-Lg:0.827ミクロンであり、これは0.593ミクロンのブラッグ距離Dgよりもはるかに大きい。
-反射格子R2の周期(第2の周期):1.009ミクロン
【0081】
第1の構造Prightの反射格子R1の第1の周期は、第2の構造Pleftの反射格子の第2の周期よりもはるかに大きいことが分かる。
【0082】
第1の構造Prightを第2の構造Pleftから分離する距離Pcgは、0.56ミクロンであり、第1の距離Rgと第2の距離Lgの算術平均(0.558ミクロン)に実質的に等しい。
【0083】
入力及び出力電気音響トランスデューサの周期pは、1.0214ミクロンに選択されている。電極の金属化幅は、a/p比が0.545に固定されるように選択される。入力トランスデューサは16対のフィンガを有し、出力トランスデューサは16対のフィンガを有する。
【0084】
各外部ミラーの周期は1.06ミクロンに固定されている。各外部ミラーは30個のフィンガを有し、比a/pは0.5である。入力電気音響トランスデューサ及び出力電気音響トランスデューサの外部ミラーをそれぞれ隔てる距離は、0.400ミクロンに設定される。
【0085】
図4bは、シミュレーションによって得られた、このフィルタの伝達関数のモジュールを示す。通過帯域においてテンプレートに適合することが明確に観察される。更に、ローブは依然として阻止帯域に存在するが、これらは通過帯域から離れた周波数で阻止されるはるかに低い振幅のものである。
【0086】
したがって、このフィルタの性能は、構造が従来技術のフィルタ構造に一致する反例2のフィルタの性能よりもはるかに高い。
【0087】
本発明によるフィルタの合成は、それをいくつかのステップに分解することによって簡略化することができる。
【0088】
第1のステップ中に、入力電気音響トランスデューサ2a及び出力電気音響トランスデューサ2bと、第1の構造Pright及び第2の構造Pleftのうちの一方のみとを備える第1の不完全フィルタが合成される。このようなミラーが完全なフィルタ1に設けられる場合、シミュレーションにおいて外部ミラーを統合することは当然可能である。この第1のステップ中に実行されるシミュレーションは、選択された構造のパラメータ、すなわち、少なくともこの構造に含まれる反射格子R1、R2を分離する距離、並びにこれらの格子の数及び構成を確立することを可能にする。
【0089】
第2のステップ中に、第2の不完全フィルタが合成され、今度は、第1のステップ中に選択されなかった第1又は第2の構造Pright、Pleftのいずれか1つのみを組み込む。この第2のステップは、第1のステップ中に行われたように、シミュレーションによって、このフィルタ構造のパラメータを確立することを可能にする。
【0090】
最後のステップでは、第1及び第2のステップで決定されたパラメータをフィルタの完全な構造に統合することによって、フィルタの完全な合成が実行される。既に上述したように、第1の構造Prightと第2の構造Pleftとを隔てる距離Pcgを、第1の距離Rgと第2の距離Lgとの算術平均となるように選択することが可能である。この最後の合成ステップ中に、フィルタの応答がテンプレートに適合することを検証し、任意選択で特定のパラメータを微調整するために、新しいシミュレーションサイクルを実行することができる。
【0091】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。ここでは、金属フィンガのアレイを使用して反射格子R1、R2及び外部ミラー3a、3bを形成することが提供されたが、これらは、代替として、複合基板にエッチングされた溝のアレイによって構成されてもよい。これらの溝は、複合基板の圧電上部層内にエッチングされ、ベース基板に達することができる。反射格子R1、R2はまた、ここまで考慮され、フィルタの特定の製造段階中に堆積される金属フィンガと同一の形状を有する誘電体障害物からなることができる。これらのミラーを製造するために重要な材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)であり、これらの2つの材料の組合せは、特定の化学量論のいわゆる酸窒化物(一般形態SiOXNY)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)を製造することを可能にし、一般に、酸化物は、マイクロエレクトロニクス法に従って、重要な基板の表面層の形態で堆積され得る。