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  • 特許-斜面用安全ネット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】斜面用安全ネット
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
E02D17/20 103A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024091683
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-07-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204620
【氏名又は名称】大嘉産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596148054
【氏名又は名称】斎藤 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】大友 正明
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-072776(JP,A)
【文献】特開2020-147990(JP,A)
【文献】特開2020-056289(JP,A)
【文献】特開2003-336241(JP,A)
【文献】特開2022-150118(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017797(JP,U)
【文献】特許第7445817(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3239266(JP,U)
【文献】登録実用新案第3131202(JP,U)
【文献】特許第7305899(JP,B1)
【文献】特開2019-002211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E02B 3/12
E04G 21/32
B63C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ため池または河川の斜面の傾斜方向上側に前記傾斜方向に対して横切る方向に前記斜面に固定される、剛性を有する支持部材と、
前記支持部材に対して前記傾斜方向の上端がスライド可能に取り付けられたネットと、を備えた、
ことを特徴とする斜面用安全ネット。
【請求項2】
前記ネットは、前記上端において環状部材を介して所定間隔毎に前記支持部材に取り付けられている、
請求項1に記載の斜面用安全ネット。
【請求項3】
前記支持部材は、前記傾斜方向に対してほぼ直交する方向に沿って前記斜面に固定される、
請求項1に記載の斜面用安全ネット。
【請求項4】
前記支持部材は、所定間隔毎にアンカーピンで前記斜面に固定される、
請求項1に記載の斜面用安全ネット。
【請求項5】
前記支持部材には、作業者の体を支持するための安全帯が取り付け可能になっている、
請求項1に記載の斜面用安全ネット。
【請求項6】
前記ネットの下端には、おもりが取り付けられている、
請求項1に記載の斜面用安全ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川やため池の法面等の斜面での保全作業のために斜面に設置される斜面用安全ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川やため池の法面に、川や池に落ちた人が法面を上がれるように救助ネットを設置することが行なわれている。救助ネットは、水際からある程度の距離までネットで法面を覆うように設置され、川や池に落ちた人は、水から上がる際にそのネットを掴みながら法面を上がれるようになっている。例えば特許文献1に記載の法面被覆マットでは、扁平な袋状の布製型枠内部にモルタルを充填してモルタルマットとし、このモルタルマットの表面に救助用のロープを張設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-2211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
河川を管理する自治体やため池の所有者である農家等は、法面に生えた雑草を除去する等の定期的な手入れ、すなわち保全作業をする必要がある。例えば特許文献1に記載の法面被覆マットのように法面をマットで覆ったとしても、雑草は、マットの間から生えてくるし、劣化したマットを破って下からも生えてくることもある。そのような場合、法面でマットの上に立ちながら雑草を除去等の作業をするのは、マットが却って邪魔となり安全に作業を行なうことが困難である。
上記のような救助ネットはあくまでもため池や河川に落ちた人が法面をつたって陸上に這い上がるための補助設備であるため、この救助ネットを設置した法面の保全作業の容易性については全く考慮されていない。例えば10cm四方の網の目をもつ救助ネットであれば、その表面で草刈りの作業をするときにネットの網の目に足がつっかえて転倒したり、ネットが自由に動くので滑って池や川に滑落したり、また草刈り機がネットに当たり草刈り機を操作している人が草刈り機に巻き込まれたりする危険性が極めて高まる。草刈りなどの法面保全作業時の作業の安全性や容易性の確保が求められる。
また、救助ネットが法面に設置されていると、ため池や河川で発生した事故時に現場にて活動する救助隊員にとっては救助活動に障害をきたす可能性がある。救助活動においても、救助隊員が斜面で活動しやすい環境が必要となる。
【0005】
また、法面での作業は、河川やため池に落ちないように十分注意して作業する必要があるが、農業分野において、法面での作業の安全性を担保するための作業基準等が十分に策定されているとは言いがたく、農作業での安全確保が求められている。
農林水産省の報告によれば、令和3年における農業(従事者ベース)の就業者10万人当たり死亡事故者数は10.5人で、これは建設業の6.0人、全産業の1.3人を大きく上回っている。さらに、1971年を100として産業別死亡者の推移をみると2013年における労災事故は全産業平均で18.6まで大幅に減少しているのに対し、農作業事故に限れば96.2でほぼ変わらない。農業における死亡事故の安全対策が近年においても全く奏効していないことがわかる。近年発生する農業事故のうち、転倒・転落を原因とするものが40%、草刈機等接触を原因とするものが26%であることを考えると、上記のような問題を解決することで防ぐことができる可能性のある事故は、農業事故全体の66%に渡ると期待できる。
【0006】
本発明の目的は、法面等の斜面での保全作業を安全且つ簡単に行なうことができる斜面用安全ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の斜面用安全ネットは、ため池または河川の斜面の傾斜方向上側に傾斜方向に対して横切る方向に斜面に固定される、剛性を有する支持部材と、支持部材に対して傾斜方向の上端がスライド可能に取り付けられたネットと、を備えた、ことを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、ネットが剛性を有する支持部材に対してスライド可能に取り付けられているので、普段ネットを救助ネットとして使用する際にはネットを広げて設置しておき、斜面の作業を行なう際には、ネットを支持部材に対してスライドさせて片側に寄せれば、斜面を露出させることが可能になる。これにより、斜面での作業が簡単になる。
また、支持部材が剛性を有するので、例えば支持部材に安全帯を取り付けて作業者を支持すれば、斜面での作業者の安全が確保される。
【0009】
本発明において、好ましくは、ネットは、上端において環状部材を介して所定間隔毎に支持部材に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、ネットが、所定間隔毎に環状部材を介して支持部材に取り付けられているので、ネットが所定間隔毎に支持部材に支持されるから、ネットが安定して支持されるとともに、環状部材を支持部材に対してスライドさせることによってネットが簡単にスライドし、ネットを片側に寄せる作業が簡単になる。
【0010】
本発明において、好ましくは、支持部材は、傾斜方向に対してほぼ直交する方向に沿って斜面に固定される。
このように構成された本発明においては、支持部材が、斜面の傾斜方向に対してほぼ直交する方向に沿って固定されるので、ネットを傾斜方向に沿って配置することが可能になる。よって斜面からの落下者がネットを伝って斜面を上がる際にネットを掴みやすい。また、支持部材が斜面の傾斜方向に対してほぼ直交する方向にネットを支持するので、ネットにかかる荷重を支持部材で受けやすく、強度を確保しやすく、またネットの意図しないスライドを予防することが可能になる。
【0011】
本発明において、好ましくは、支持部材は、所定間隔毎にアンカーピンで斜面に固定される。
このように構成された本発明においては、支持部材が所定間隔毎にアンカーピンで斜面に固定されるので、支持部材の支持強度が確保され、ネットが安定して支持される。
【0012】
本発明において、好ましくは、支持部材には、作業者の体を支持するための安全帯が取り付け可能になっている。
このように構成された本発明においては、支持部材に、作業者の体を支持するための安全帯が取り付け可能になっているので、安全帯を支持部材に取りつけた上で体を支え、斜面で作業することが可能になり、作業の安全性が確保される。
【0013】
本発明において、ネットの下端には、おもりが取り付けられている。
このように構成された本発明においては、ネットの下端におもりが取り付けられているので、ネットが風でめくれたりすることがなく確実に斜面に展開される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネット全体示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネットを法面に取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネットに安全帯を取り付けた状態を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネットに安全帯を取り付けた状態を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネットのネットを支持部材に対してスライドさせた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネット1全体を示す正面図である。図1に示すように、斜面用安全ネット1は、斜面であるため池の法面100(図2参照)に固定されるための支持部材2と、支持部材2に上端が取り付けられたネット4と、を備える。なお、図1では、支持部材2は一端側のみが示されており、またネット4は一枚のみが示されるが、支持部材2に複数のネット4を取り付けてもよい。
【0016】
支持部材2は、鉄筋等の剛性を有する材料、特に高い曲げ剛性を有する材料で形成されている。支持部材2の太さや長さは、ネット4や作業者の体重によって支持部材2に係る荷重や法面100の傾斜角度等を勘案し十分な安全率を考慮して決定可能である。例えば、体重80kgの作業者を、親綱等の紐を介して、作業者が静止している状態で支持部材2で支持する場合、支持部材2を1.5mの単純ばりとして計算すると、安全率3.0として法面100の勾配1:2.0において、直径25.4mm、重量3.980Kg/m(許容応力度3450kgf/cm2(短期))の鉄筋を使用すればよい。
【0017】
支持部材2の両端6は、L字型に曲げられており、支持部材2を法面100に固定する場合には、曲げられた両端6は、斜面に打ち込まれる。図2は、本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネット1を法面100に取り付けた状態を示す斜視図である。この図2に示すように、支持部材2は、その長手方向が、法面100の傾斜方向に対して横切る方向、本実施形態で法面100の傾斜方向に対してほぼ直交する方向に沿って配置される。この方向は、しばしば、ため池の水際にほぼ平行となる。なお、法面100に対する支持部材2の固定方向は、法面100の斜面形状やため池の広さ等に応じて任意に設定することができ、法面100の傾斜方向に対して横切る方向に配置されていればよい。
【0018】
支持部材2は、所定間隔P毎に、アンカーピン8で法面100に固定されている。アンカーピン8の直径や法面100への打ち込み長、打設ピッチ(アンカーピン8の所定間隔P)は、例えば体重80kgの作業者が、ネット4に掴まって法面100を這い上がるときに安全率3.0を見積もってアンカーピン8が耐えられるように設定されており、例えばD13のアンカーピン規格のアンカーピン8を約2.0mの所定間隔Pで設け、約0.37mの長さだけ法面100に打ち込めばよい。支持部材2は、アンカーピン8によって法面100に固定された状態では、法面100から所定距離上方に離れて固定されている。なお、支持部材2は、アンカーピン8によって固定されるものでなくてもよく、例えば略L字型の固定杭等の金具で固定されてもよい。
【0019】
支持部材2及びアンカーピン8は、例えば異形鉄筋、丸鋼等の任意の材料で形成することができ、また材質としては、ステンレス、黒皮材、メッキ材、ユニクロ材、樹脂等の任意の材料を採用することができる。支持部材2及びアンカーピン8は同じ材料で形成されていてもよく、あるいは異なる材料で形成されていてもよい。また、アンカーピン8は、グリップアンカーとアイボルトによって構成されていてもよく、その場合、グリップアンカーは、生地、三価クロメート処理、メッキ又はユニクロメッキされた鉄、スチール、ステンレス等の任意の材料を採用することができる。グリップアンカーとしては、メッキ、ユニクロメッキまたは三価クロメート処理された鉄、ステンレス等の任意の材料を採用することができる。
【0020】
ネット4は、図1に示すように、横寸法が約4,000mmで縦寸法が約5,000mmの略矩形に形成されており、外縁に直径約10mmの縁ロープ10が設けられている。縁ロープ10の内側には、網目12を有するネット部13が設けられている。ネット部13の素材としては、例えば熱硬化ポリエステルコンポーズ線等の熱硬化被覆線材、樹脂、金属等の任意の材料を使用することができる。網目12は、人が手を入れて掴むことができる程度の大きさに設定するのがよく、例えば縦横それぞれ約100mmに設定されている。なお、ネット4の縦横寸法や網目12の縦横寸法は、ネット4を設置する法面100の形状や広さに応じて任意に設定することができる。
【0021】
ネット4の上端には、環状部材としてのカラビナ14が所定間隔Tを空けて取り付けられている。本実施形態ではカラビナ14は、ネット4上端の両端のカラビナ14A,14Bと、ほぼ中央のカラビナ14Cの、計3つ設けられている。なお、カラビナ14の設置数は、ネット4の横寸法や耐荷重等諸条件によっては例えばネット4上端の両端のみでもよく、また3つより多くてもよい。またカラビナ14は、一定の所定間隔Tを空けて規則的に配置されていなくてもよく、不規則に並んでいてもよい。
【0022】
カラビナ14の材質や寸法、形状、耐荷重等は、ネット4に作業者が掴まっても外れたり壊れたりすることがないように設定されればよく、例えば80kgの作業者がネット4に掴まる条件で安全率3.0を見積もった際にカラビナ14にかかる荷重を超える耐荷重を有するタイプのものを選定すればよい。
【0023】
ネット4の下端には、おもり16が取り付けられている。本実施形態では、おもり16は、ネット4の下端の左右両端近傍に1つずつ取り付けられている。おもり16は、例えば砕石等をポリエチレンの袋に入れた耐候性の土のう袋であってもよく、あるいは砕石等をポリエステルのネット状の袋に入れたネット土のうでもよい。またおもり16の数や重さ、大きさ、ネット4への取り付け位置等は、ネット4の大きさや斜面用安全ネット1が使用される環境等に応じて適宜変更すればよい。
【0024】
ネット4は、カラビナ14を介して支持部材2に取り付けられている。図2に示すように、ネット4を支持部材2に取り付ける際には、例えば隣接する2つのカラビナ14A,14Bを2つのアンカーピン8(8A,8B)の間の支持部材2に取り付け、残りの1つのカラビナ14Cをアンカーピン8Bとその隣のアンカーピン8Cとの間の支持部材2に取り付ける。カラビナ14の材料としては、例えば鉄(黒皮材)、ステンレス、アルミ、樹脂等の任意の材料を採用することができる。
【0025】
ネット4を支持部材2に取り付けた状態では、ネット4は、図2に示すように、支持部材2の傾斜方向下方から、法面100の傾斜方向下方に向かって垂下するように配置される。また、ネット4は、長手方向が法面100の傾斜方向に沿って配置され、横方向が支持部材2とほぼ平行に配置される。ネット4はカラビナ14を介して支持部材2に取り付けられているので、ネット4は、その上端において支持部材2に対してスライド可能に取り付けられることになる。
ネット4の下方の一部は、図2に示すようにため池の水面下に配置され、おもり16によって水面下の法面100に沿って配置される。
【0026】
支持部材2には、作業者の体を支持するための安全帯18が取り付け可能になっている。図3は、本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネット1に安全帯18を取り付けた状態を示す正面図であり、図4は、本発明の一実施形態にかかる斜面用安全ネット1に安全帯18を取り付けた状態を示す正面図である。これらの図3及び図4に示すように、安全帯18は、メインロープ20と、ロリップ22とを有し、メインロープ20は、上端のフック24を介して支持部材2に取り付け可能になっている。ロリップ22は、爪26と2本のフック28とを有し、爪26をメインロープ20の任意の位置でメインロープ20に係合させることにより、ロリップ22を所望の位置で固定することができる。爪26をメインロープ20の所定位置で固定した状態で、フック28を作業者に取り付けることにより、作業者がメインロープ20を介して支持部材2で支持される。
【0027】
上記のような構造の斜面用安全ネット1は、通常は、ネット4を広げた状態で法面100に設置され、人がため池に落下した場合には、落下者はネット4を掴みながら法面100をよじ登ることにより自らため池から出ることができる。
雑草除去等、法面100の整備を行なう場合には、ネット4を支持部材2に対してスライドさせて法面100を露出させる。具体的には、ネット4のカラビナ14A,14Bを中央のアンカーピン8Bに当たるまでスライドさせ、カラビナ14Cも中央のアンカーピン8Bに当たるまで反対方向にスライドさせる。この作業により、ネット4はアンカーピン8B周辺に集まり、その左右の法面100が露出する。
また、作業者は、支持部材2に安全帯18を取り付け、体を支持部材2に支持させて作業を行なう。
【0028】
以上のような実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
剛性を有する支持部材2とネット4とを有し、ネット4が支持部材2に対してスライド可能に設けられているので、ネット4を広げているときにはため池の法面100に設置された救助ネットとして使用することができる。また、法面100で作業する際には、支持部材2に対してネット4をスライドさせることにより法面100を露出させることができ、雑草除去などの作業を簡単に行なうことができる。更に、支持部材2が剛性を有するので、支持部材2に安全帯18を取り付けることが可能になり、作業者が安全帯18を付けて法面100で作業することができ、作業の安全性を確保することができる。
【0029】
ネット4がカラビナ14を介して支持部材2に取り付けられているので、ネット4を簡単に支持部材2に取り付けることができる。また、ネット4をスライドさせる際にはカラビナ14が支持部材2に対してスライドするので、ネット4を支持部材2に対してスライドしやすい。そして、ネット4と支持部材2の摩擦を防止することができ、ネット4の摩耗を防止することができる。
更に、カラビナ14が所定間隔T毎にネット4及び支持部材2に取り付けられるので、ネット4の全幅にわたってネット4を良好に支持することができ、ネット4を掴んで法面100を上がる人の体重に確実に耐えることができる。
【0030】
支持部材2が法面100の傾斜方向に対して横切る方向に、より好ましくは傾斜方向に対してほぼ直交する方向に配置されるので、ネット4を傾斜方向に沿って配置することができるとともに、ネット4をスライドしやすい。また、ため池への落下者がネット4を掴んで法面100を上がるさいにネット4を掴みやすく、ネット4にかかる力が支持部材2に直交する方向にかかるので、支持部材2で落下者の体重を支持しやすい。
【0031】
支持部材2を所定間隔P毎にアンカーピン8で固定したので、例えばより長い支持部材2を使用した場合でも支持部材2の大きな撓みを防止して、ネット4を確実に保持することができる。
【0032】
剛性を有する支持部材2に安全帯18取り付けることで安全帯18を法面100でしっかり保持することができるので、作業者がより安全に法面100で作業を行なうことができる。
【0033】
ネット4の下端におもり16が取り付けられているので、ネット4がため池の水面下で法面100に沿わずに浮いたり、風や波によってネット4がめくれたりしてしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0034】
1 斜面用安全ネット
2 支持部材
4 ネット
8 アンカーピン
14 カラビナ(環状部材)
16 おもり
18 安全帯
100 法面
P 所定間隔
T 所定間隔
【要約】
【課題】法面等の斜面での作業を安全且つ簡単に行なうことができる斜面用安全ネットを提供する。
【解決手段】法面100に設置される斜面用安全ネット1は、法面100傾斜方向上側に傾斜方向に対してほぼ直行する方向に法面100固定される、剛性を有する支持部材2と、支持部材2に取り付けられたネット4と、を備える。ネット4は、カラビナ14を介して支持部材2に取り付けられ、ネット4の上端が支持部材2に対してスライド可能になっている。法面100で作業する際には、ネット4を支持部材2に対してスライドさせてネット4を片側に寄せて法面100を露出して作業する。また支持部材2に安全帯18を取り付けることも可能である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5