(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】防音放熱カバー、カバー部材、および防音放熱カバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20241024BHJP
G10K 11/168 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G10K11/16 150
G10K11/168
(21)【出願番号】P 2024552475
(86)(22)【出願日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2024016148
【審査請求日】2024-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2023073797
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 延欣
(72)【発明者】
【氏名】早崎 祐介
(72)【発明者】
【氏名】畑中 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】藪 晃生
(72)【発明者】
【氏名】宮永 貴志
【審査官】齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-90561(JP,A)
【文献】特開2023-16623(JP,A)
【文献】特開2023-16802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16
G10K 11/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(2)を被覆する防音放熱カバー(3)であって、
前記対象物と接触する接触部(12)を有する放熱接触面(10)を備え、
密度が、0.1~2.0g/cm
3であり、
熱伝導率が、0.1~2.0W/mKであり、
前記放熱接触面の最大高さ粗さが、50~300μmである、防音放熱カバー。
【請求項2】
前記放熱接触面の、最大高さ粗さ(Rz)が60~250μmである、請求項1に記載の防音放熱カバー。
【請求項3】
前記放熱接触面の、最大高さ粗さが110~200μmである、請求項2に記載の防音放熱カバー。
【請求項4】
前記防音放熱カバーは、発泡樹脂によりシート状に形成されており、
さらに、
気泡を備える発泡層(3b)と、
前記発泡層よりも厚み方向について外方に形成されるとともに、前記気泡が前記発泡層よりも少ないスキン層(3a)と、を備え、
前記放熱接触面は前記スキン層に形成されている、請求項1に記載の防音放熱カバー。
【請求項5】
前記防音放熱カバーはシート状に形成されており、
前記防音放熱カバーは、さらに、
熱伝導材を含み、前記熱伝導材は厚み方向に沿って延在している、請求項1に記載の防音放熱カバー。
【請求項6】
前記熱伝導率が、0.5~0.7W/mKである、請求項1に記載の防音放熱カバー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の防音放熱カバーであって、さらに前記放熱接触面と反対側に放熱面(11)を備える前記防音放熱カバーと、
前記防音放熱カバーよりも硬度の大きい材料により形成され、前記防音放熱カバーの前記放熱面の側から前記防音放熱カバーを被覆する補強部材(4)と、
を備えたカバー部材(1)であって、
前記防音放熱カバーは、さらに、
前記放熱接触面に沿う第一方向の両端部寄りの位置に形成された一対の第一取付部(13)と、
前記一対の第一取付部の間に形成された放熱領域(14)と、を備え、
前記補強部材は、
前記第一方向の両端部寄りの位置に形成され、前記一対の第一取付部にそれぞれ取付けられる一対の第二取付部(21)と、
前記一対の第二取付部同士を橋掛けするとともに複数の貫通孔(31)を有する橋掛部(22)と、を備え、
前記放熱接触面は、前記防音放熱カバーの厚み方向について、少なくとも前記放熱領域と重なる位置に形成されている、カバー部材。
【請求項8】
前記防音放熱カバーの前記放熱面には、間隔を空けて並んで配列された複数の突条(15)が形成されており、
前記防音放熱カバーの前記一対の第一取付部に前記補強部材の前記一対の第二取付部が取付けられた状態において、前記防音放熱カバーの前記複数の突条は、前記補強部材の前記橋掛部に当接する、請求項7に記載のカバー部材。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の防音放熱カバーの製造方法であって、
前記放熱接触面を成形するための粗面(41b)を備える型(40)内に樹脂を注入した後に固化させることにより、前記防音放熱カバーを成形する成形工程(S3)を備え、
前記粗面の最大高さ粗さが、50~300μmである、防音放熱カバーの製造方法。
【請求項10】
前記成形工程において、前記型の前記粗面の形状を、前記防音放熱カバーの前記放熱接触面に転写する、請求項9に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項11】
前記成形工程において、前記型の前記粗面の最大高さ粗さよりも、前記防音放熱カバーの前記放熱接触面の最大高さ粗さを大きく形成する、請求項9に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項12】
さらに、
前記型の内面の少なくとも一部を粗面化する粗面化工程(S1)を備える、請求項9に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項13】
前記粗面化工程は、前記型の前記内面の少なくとも一部をブラスト加工により粗面化する、請求項12に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項14】
前記型が金属製または樹脂製であり、
前記粗面化工程は、前記型の前記内面の少なくとも一部をシボ加工により粗面化する、請求項12に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項15】
前記成形工程において、樹脂を発泡させる発泡工程を実行する、請求項9に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【請求項16】
前記成形工程において成形する前記樹脂が熱伝導材を含む、請求項9に記載の防音放熱カバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防音放熱カバー、カバー部材、および防音放熱カバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジン、モータ等の振動源に、吸音材を含むカバーを取付けることが知られている。特許文献1には、対象物(振動源)を被覆するカバーが記載されている。このカバーにより、対象物から発せられた音が吸収されるようになっている。さらに、対象物とカバーとの間には、減衰層としての空気層が形成されている。この空気層により、さらに音が減衰される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジン、モータ等の対象物(振動源)は熱を発生する場合がある。この場合、対象物とカバーとの間に形成された空気層によって、対象物から発生した熱がこもってしまい、対象物の放熱性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、放熱性が向上した防音放熱カバー、カバー部材、および防音放熱カバーの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様は、
対象物を被覆する防音放熱カバーであって、
前記対象物と接触する接触部を有する放熱接触面を備え、
密度が、0.1~2.0g/cm3であり、
熱伝導率が、0.1~2.0W/mKであり、
前記放熱接触面の最大高さ粗さが、50~300μmである、防音放熱カバーにある。
【0007】
本開示の第二の態様は、
上記した第一の態様に係る防音放熱カバーであって、さらに前記放熱接触面と反対側に放熱面を備える前記防音放熱カバーと、
前記防音放熱カバーよりも硬度の大きい材料により形成され、前記防音放熱カバーの前記放熱面の側から前記防音放熱カバーを被覆する補強部材と、
を備えたカバー部材であって、
前記防音放熱カバーは、さらに、
前記放熱接触面に沿う第一方向の両端部寄りの位置に形成された一対の第一取付部と、
前記一対の第一取付部の間に形成された放熱領域と、を備え、
前記補強部材は、
前記第一方向の両端部寄りの位置に形成され、前記一対の第一取付部にそれぞれ取付けられる一対の第二取付部と、
前記一対の第二取付部同士を橋掛けするとともに複数の貫通孔を有する橋掛部と、を備え、
前記放熱接触面は、前記防音放熱カバーの厚み方向について、少なくとも前記放熱領域と重なる位置に形成されている、カバー部材にある。
【0008】
本開示の第三の態様は、
上記した第一の態様に係る防音放熱カバーの製造方法であって、
前記放熱接触面を成形するための粗面を備える型内に樹脂を注入した後に固化させることにより、前記防音放熱カバーを成形する成形工程を備え、
前記粗面の最大高さ粗さが、50~300μmである、防音放熱カバーの製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
本開示の第一の態様によれば、対象物の表面と、防音放熱カバーの放熱接触面と、が接触部で接触しているので、対象物から発生した熱は、接触部を介して防音放熱カバーに熱伝導する。これにより、対象物の放熱性が向上する。
【0010】
本開示の第一の態様によれば、放熱接触面の最大高さ粗さが50μmより大きいことから、対象物の表面と、防音放熱カバーの放熱接触面との間には、少なくとも50μmの隙間が形成されている。この隙間に形成された空気層によって、放熱接触面の最大高さ粗さが50μmより小さい場合と比較して、対象物の表面と防音放熱カバーの放熱接触面との接触面積を低減することができる。これにより、防音放熱カバーが対象物の表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバーからの二次放射音を抑えることができるので、対象物の防音性を向上させることができる。
【0011】
また、本開示の第一の態様によれば、放熱接触面の最大高さ粗さは300μmよりも小さいので、対象物の表面と、防音放熱カバーの放熱接触面との間に形成された隙間は比較的に狭い。このため、空気層に熱がこもることを抑制できるので、対象物から防音放熱カバーへの熱伝導性の低下を抑制することができる。
【0012】
本開示の第二の態様によれば、防音放熱カバーの位置決めを行うとともに、放熱性を向上させることができる。
【0013】
本開示の第三の態様によれば、放熱性に優れた防音放熱カバーを製造することができる。
【0014】
なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1のカバー部材を対象物に取付けた状態を示す側面図である。
【
図2】実施形態1のカバー部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【
図3】実施形態1の防音放熱カバーを示す側面図と、一部拡大側面模式図である。
【
図4】実施形態1のカバー部材を対象物に取付けた状態を示す一部拡大断面図である。
【
図5】
図4における領域Rを示す一部拡大断面模式図である。
【
図6】実施形態1の防音放熱カバーの製造工程を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1の粗面化工程における型の状態を示す断面図である。
【
図8】実施形態1の注入工程において、型に樹脂が注入された状態を示す断面図である。
【
図9】実施形態1の成形工程において樹脂が成形された状態を示す断面図である。
【
図10】実施形態1の型抜き工程において、防音放熱カバーが型から取出された状態を示す断面図である。
【
図11】実施例1~4、および比較例1~2の防音放熱カバーについて、ブロックに加えられる周波数に対する、騒音レベルの変化を示すグラフである。
【
図12】実施例5~8、および比較例3~4の防音放熱カバーについて、ブロックに加えられる周波数に対する、騒音レベルの変化を示すグラフである。
【
図13】実施例5~7の防音放熱カバーについて、周波数4000~10000Hzの平均の騒音レベルの、最大高さ粗さRzに対する変化を示すグラフである。
【
図14】実施形態1のカバー部材を対象物に取付けた状態を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
1.カバー部材1の基本構成
カバー部材1の基本構成について、
図1および
図2を参照して説明する。カバー部材1は、対象物2を被覆して、対象物2にて発生する音が外部へ伝達することを抑制する機能と、対象物2の熱を外部へ放熱する機能と、を有する。対象物2は、例えば、車両の動力源とする。動力源としては、車両の駆動用モータ、車両の駆動用エンジン等である。
【0017】
ここで、
図1においては、対象物2は、車両の駆動用モータである場合を示す。また、
図1の駆動用モータは、円筒外周面を有する場合を例示している。ただし、駆動用モータの外周面は、円筒面に限られるものではなく、適宜凹凸状に形成されるようにしても良い。
【0018】
本形態では、駆動用モータの回転軸線が車両の左右方向に一致するように、駆動用モータは配置されている。
図1の左側が車両前方であり、右側が車両後方である。ただし、駆動用モータの回転軸線が車両の前後方向に一致するように、駆動用モータが配置される構成としても良い。
【0019】
カバー部材1は、対象物2の表面を被覆しており、例えば、
図1に示すように、対象物2が駆動用モータの場合には駆動用モータの外周面を被覆する。カバー部材1は、対象物2の外周面を全周に亘って被覆しているが、一部に被覆しない部位を有するようにしても良い。本形態では、4つのカバー部材1が対象物2の外周面を被覆している。本形態では、4つのカバー部材1は、対象物2の上面、下面、前面、および後面を被覆している。ただし、カバー部材1の個数は1個~3個、または5個以上でもよい。
【0020】
図2に示すように、カバー部材1は、防音放熱カバー3と、補強部材4と、を備える。防音放熱カバー3は、吸音性能を有する第一吸音材によりシート状に形成され、対象物2の表面を被覆する。これにより、防音放熱カバー3は吸音性能を備える。防音放熱カバー3は、予め対象物2の表面形状に対応した形状に形成するようにしても良い。また、防音放熱カバー3は、変形可能な材料によりシート状に形成し、変形させながら対象物2の表面に取り付けるようにしても良い。防音放熱カバー3は、吸音性能に加えて、放熱性能を有する。防音放熱カバー3は、対象物2の表面と接触するとともに、対象物2からの熱を受取る放熱接触面10と、放熱接触面10と反対側の放熱面11と、を備える。
【0021】
防音放熱カバー3を構成する第一吸音材としては、吸音性能に優れた材料、例えば、発泡樹脂により形成するのが好適である。発泡樹脂の例として、ウレタンフォーム、アクリルフォーム、シリコーンフォーム、スチレンフォーム、発泡オレフィン(発泡PP、発泡PE)、発泡PVC、発泡EVA、発泡PA等が適用される。そして、防音放熱カバー3の発泡樹脂のアスカーC硬度は、1~60度である。なお、防音放熱カバー3は、吸音性能を有する非発泡樹脂により形成するようにしても良いし、金属により形成するようにしても良い。非発泡樹脂の例として、ポリアミド樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、EVA樹脂、炭素繊維プラスチック(FRP、CFRP)等が適用される。また、金属の例として、鉄、アルミニウム、SUS、銅、およびその合金が適用される。ただし、吸音性能として優れている発泡樹脂が好適である。
【0022】
さらに、防音放熱カバー3が放熱性能を有するようにするために、防音放熱カバー3は、熱伝導材を含む発泡樹脂により形成されると良い。熱伝導材は、防音放熱カバー3の放熱接触面10から放熱面11に向かって延在されるようにすると良い。例えば、熱伝導材が熱伝導フィラーである場合には、熱伝導フィラーが、防音放熱カバー3の放熱接触面10から放熱面11に向かって配列される。さらには、熱伝導材の充填量が、防音放熱カバー3の位置によって異なるようにしても良い。例えば、車両前方面より車両後方面の方が冷却されにくいため、車両前方面よりも車両後方面における熱伝導材の充填量を多くすると良い。なお、ここでの充填量とは、防音放熱カバー3の面方向における単位面積当たりの充填量を意味する。また、熱伝導材が金属板である場合には、防音放熱カバー3の放熱接触面10から放熱面11に向かって延在するようにインサート成形されるようにすると良い。
【0023】
防音放熱カバー3の密度は、0.1~2.0g/cm3であることが好ましい。密度は公知の手法により測定可能である。
【0024】
防音放熱カバー3の熱伝導率は、0.1~2.0W/mKが好ましく、0.5~0.7W/mKがより好ましい。熱伝導率は公知の手法により測定可能である。
【0025】
補強部材4は、防音放熱カバー3を放熱面11側から被覆した状態で、防音放熱カバー3を対象物2に対して位置決めする。補強部材4は、防音放熱カバー3とは別体に形成され、防音放熱カバー3の放熱面11側に配置されることにより、補強部材4と対象物2との間に防音放熱カバー3を挟んで配置される。
【0026】
また、補強部材4は、対象物2への固定方法として、例えば、
図1に示すように、ボルト5により対象物2に固定するようにしても良い。ただし、補強部材4と対象物2とを固定する方法はボルト締結に限定されず、例えば、対象物2に設けられた係止爪に補強部材4が係止される構成としても良い。
【0027】
補強部材4は、防音放熱カバー3よりも硬度が大きい材料により形成されている。本形態においては、防音放熱カバー3は例えば発泡樹脂によりシート状に形成されている。補強部材4の発泡樹脂のアスカーC硬度は、60~99度である。このように、防音放熱カバー3が十分に剛性を有しない第一吸音材により形成されている場合、防音放熱カバー3のみでは対象物2への位置決め効果が低い。このような場合であっても、補強部材4によって、防音放熱カバー3を対象物2に対して確実に位置決めすることができる。
【0028】
さらに、補強部材4は、防音放熱カバー3よりも単位体積当たりの質量(以下、「単位質量」と称する)が大きな材料により形成される。上述したように、補強部材4が補強機能を発揮できるようにするために、結果として、補強部材4が、防音放熱カバー3よりも単位質量が大きな材料により形成される。
【0029】
補強部材4は、吸音性能を有する第二吸音材により形成される構成としてもよい。第二吸音材としては、吸音性能に優れた材料、例えば、発泡樹脂により形成されると良い。ただし、補強部材4に適用される発泡樹脂は、防音放熱カバー3に適用される発泡樹脂とは異なる。例えば、補強部材4に適用される発泡樹脂の例として、ウレタンフォーム、アクリルフォーム、シリコーンフォーム、スチレンフォーム、発泡オレフィン(発泡PP、発泡PE)、発泡PVC、発泡EVA、発泡PA等が適用される。なお、防音放熱カバー3および補強部材4に、ウレタンフォームを適用したとしても、両者のウレタンフォームは異なる種類である。補強部材4が第二吸音材で形成されることにより、カバー部材1の防音性を向上させることができる。
【0030】
また、補強部材4は、第二吸音材と異なる材料、例えば、発泡ゴム、非発泡樹脂、または、金属等を適用することもできる。発泡ゴムの例として、発泡EPDM、発泡CR、発泡NBR/PVC、発泡ACM等が適用される。また、非発泡樹脂の例として、ポリアミド樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、EVA樹脂、炭素繊維プラスチック(FRP、CFRP)等が適用される。また、金属の例として、鉄、アルミニウム、SUS、銅、およびその合金等が適用される。これらの場合の補強部材は、発泡樹脂よりも硬度の高いゴム、樹脂または金属により形成される。ただし、軽量化の観点から発泡樹脂が好適である。
【0031】
補強部材4が、撓み変形可能な程度の柔軟性を有する場合には、対象物2の外周面の形状に適合するように補強部材4を変形させつつ、対象物2の外周面に取り付けることができる。また、補強部材4の硬度が大きいために撓み変形しにくい場合には、補強部材4を対象物2の外周面の形状に適合するように予め形成しておけばよい。これにより、補強部材4を対象物2の外周面に容易に取り付けることができる。
【0032】
2.カバー部材1の詳細構成
カバー部材1の詳細構成について、
図1~
図5を参照して説明する。カバー部材1は、
図1に示したように、対象物2の表面形状に応じた形状に形成される。ただし、説明を容易にするために、
図2~
図5には、カバー部材1を平面状に展開した状態の図を示しており、以下には、当該図を用いて説明する。
【0033】
図2(a)および
図2(b)に示すように、カバー部材1は、防音放熱カバー3と、補強部材4と、を備える。以下においては、防音放熱カバー3および補強部材4について、詳細に説明する。防音放熱カバー3は、本例では、1つのシートのみにより構成される。カバー部材1は、平面視、略長方形状に形成されている。ただし、カバー部材1の形状は特に限定されず、任意の形状に形成することができる。
【0034】
図2(a)および
図2(b)に示すように、防音放熱カバー3は、特に限定されないが、本形態では、平面視、略長方形状に形成されている。防音放熱カバー3は全体としてシート状に形成されている。防音放熱カバー3は、対象物2に取り付けられた状態で、対象物2の軸方向(第一方向の一例)の両端部寄りの位置に形成された一対の第一取付部13と、一対の第一取付部13の間に形成された放熱領域14と、を備える。防音放熱カバー3の放熱接触面10は、対象物2の表面のうちの一部を被覆して接触する。
【0035】
防音放熱カバー3に含まれる熱伝導材には、銅、ステンレス、鋼、アルミニウム等の金属箔、アルミ蒸着フィルム等の金属フィルム、導電性フィラー、熱伝導性樹脂フィルム等を用いることができる。また、金属箔や金属フィルムと樹脂フィルムとを積層させても良い。
【0036】
また、防音放熱カバー3が発泡樹脂により形成されている場合、発泡樹脂のセルは、セルが閉じたクローズドセル状態でも良いし、また、セルが開いたオープンセル状態でも良い。また、クローズドセル状態と、オープンセル状態とが混在した形態であっても良い。
【0037】
補強部材4は、平面視、略長方形状に形成されている。補強部材4は、平面視、防音放熱カバー3と略同じ大きさに形成されている。補強部材4は、対象物2に取り付けられた状態で、対象物2の軸方向の両端部寄りの位置に形成される一対の第二取付部21と、一対の第二取付部21同士を橋掛けする橋掛部22と、を備える。
【0038】
一対の第二取付部21は、防音放熱カバー3の一対の第一取付部13にそれぞれ取り付けられる構成とされる。一対の第二取付部21は、一対の第一取付部13に対向するとともに、一対の第一取付部13に接着剤、両面テープ23等の公知の手段により取り付けられる取付面24を有する(
図4参照)。本形態では、両面テープ23により第一取付部13に第二取付部21が取り付けられている。対象物2の軸方向について、一対の第二取付部21の幅寸法は、一対の第一取付部13の幅寸法よりも小さい。
【0039】
橋掛部22は、防音放熱カバー3に対向する側の面に、防音放熱カバー3から離れる方向に凹形状に形成される収容凹部25を備える。防音放熱カバー3の第一取付部13に、補強部材4の第二取付部21が取り付けられた状態で、補強部材4の収容凹部25は、防音放熱カバー3の放熱領域14を収容する構成とされる。第二取付部21と、収容凹部25の底壁26とは、第二取付部21側に拡開する傾斜壁27によって連結されている。収容凹部25の底壁26は、防音放熱カバー3に対向する内面28と、内面28と反対側の外面29と、を有する。
【0040】
図2(a)に示すように、橋掛部22は、橋掛部22を貫通する複数の貫通孔31を備える。本形態では、複数の貫通孔31は、対象物2の軸方向に細長く延びるスリット状に形成されており、対象物2の周方向に沿って間隔を空けて並んで形成されている。
【0041】
図4に示すように、カバー部材1が対象物2に取り付けられた状態では、防音放熱カバー3の放熱接触面10が対象物2の表面を被覆する。補強部材4によって、防音放熱カバー3が、対象物2に押付けられることにより、防音放熱カバー3と対象物2との密着性が向上するので、カバー部材1の放熱性が向上する。
【0042】
図3に示すように、防音放熱カバー3の放熱接触面10は、粗面化されている。なお、説明の便宜のため、
図3については、凹凸形状を強調して記載してある。他の図についても、特に言及しないが、凹凸形状が強調されている場合がある。
【0043】
放熱接触面10は、JIS B0601:2013(ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に準拠した最大高さ粗さRzが、50~300μmであり、好ましくは60~250μmであり、より好ましくは70~250μmであり、さらに好ましくは80~250μmであり、特に好ましくは110~200μmであり、最も好ましくは140~160μmである。
【0044】
最大高さ粗さRzは、基準長さにおける輪郭曲線の山高さZpの最大値と、谷深さZvの最大値との和である(
図3参照)。
【0045】
カバー部材1が対象物2に取付けられた状態で、防音放熱カバー3の放熱接触面10は、防音放熱カバー3の厚み方向について、少なくとも放熱領域14と重なる位置に形成されている。放熱接触面10は、放熱領域14よりも広い領域にまで形成されていても良い。
【0046】
カバー部材1が対象物2に取付けられた状態で、防音放熱カバー3の放熱接触面10は、対象物2と、接触部12において接触している(
図4および
図5参照)。防音放熱カバー3の放熱接触面10と、対象物2の表面とは、放熱接触面10が粗面化されていることから、隙間が形成されている。この隙間に形成された空気層により、対象物2の表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積を低減することができる。これにより、防音放熱カバー3が対象物2の表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができるので、防音放熱カバー3の吸音性能が向上する。
【0047】
一方、対象物2の表面と、放熱接触面10との間の隙間に形成された空気層により、対象物2から防音放熱カバー3への熱伝導性が低下するようにも思われる。しかし、上記したように、放熱接触面10の最大高さ粗さは300μmよりも小さいので、熱伝導性の低下が抑制される。
【0048】
図5に、
図4の領域Rを拡大した、放熱接触面10の一部拡大断面図を示す。防音放熱カバー3は、放熱接触面10側から順に、スキン層3aと、発泡層3bと、を備える。スキン層3aは、防音放熱カバー3が成形される際に、型40と接触して急冷されることにより形成される。スキン層3aにおいては、第一吸音材は発泡していない。このため、スキン層3aの伝熱性能は、発泡層3bよりも高い。
【0049】
詳細には図示しないが、防音放熱カバー3の放熱面11側にもスキン層3aが形成されている。換言すると、防音放熱カバー3は、放熱面11側のスキン層3aと、放熱接触面10側のスキン層3aと間に発泡層3bが挟まれた構成となっている。
【0050】
3.防音放熱カバー3の製造方法
次に、
図6~
図10を参照して、防音放熱カバー3の製造方法の一例について説明する。ただし、防音放熱カバー3の製造方法は以下の説明に限定されない。
【0051】
図6に、防音放熱カバー3の製造工程のフローチャートを示す。本形態に係る製造工程は、粗面化工程(S1)と、注入工程(S2)と、成形工程(S3)と、型抜き工程(S4)と、を備える。
【0052】
まず、防音放熱カバー3を成形するための型40が用意される。型40は、金属製であっても良いし、樹脂製であっても良い。
【0053】
図7に示すように、型40は、下型41と、下型41にヒンジ42を介して接続された上型43と、を備える。本形態では、下型41と上型43とは同じ形状に形成されている。上型43は、ヒンジ42を軸にして回動可能に構成されている。上型43が回動されることにより、下型41の上に上型43が重ねられる構成となっている。ただし、下型41と上型43とは異なる形状に形成されていても良い。また、ヒンジ42は省略しても良い。
【0054】
下型41の上面には、下方に凹んだ下側凹部41aが形成されている。下型41の上に上型43が重ねられた状態で、上型43の下面には、上方に凹んだ上側凹部43aが形成されている。下型41の下側凹部41aと、上型43の上側凹部43aとによって形成されたキャビティ内に樹脂が充填されて固化されることにより、防音放熱カバー3が成形される。
【0055】
本形態では、下型41の下側凹部41aの底面は、防音放熱カバー3の放熱接触面10を形成する粗面41bとされる。ただし、上型43の上側凹部43a天井面を粗面41bとしても良い。
【0056】
粗面41bは、JIS B0601:2013(ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に準拠した最大高さ粗さRzが、50~300μmであり、好ましくは60~250μmであり、より好ましくは70~250μmであり、さらに好ましくは80~250μmであり、特に好ましくは110~200μmであり、最も好ましくは140~160μmである。
【0057】
本形態では、
図6に示すように、下型41の下側凹部41aの底面を粗面化する粗面化工程を実行する(S1)。粗面化工程は、ブラスト加工、シボ加工等、任意の手法を用いることができる。ただし、予め粗面41bが形成された型40を用いる場合には、粗面化工程を省略しても良い。
【0058】
ブラスト加工は、被加工物に圧縮気体と混合した研磨剤を噴射して研磨加工する加工法である。研磨剤は特に限定されず、例えば、金属系(アルミナ、スチールショット、スチールグリッド、還元鉄粉等)、プラスチック系(ポリプラス、ポリエキストラ、ナイロン等)、植物系(クルミ、ピーチ、コーン等)を適宜に選択できる。
【0059】
シボ加工は、型40の表面をエッチングやレーザー加工することによりしわ模様を形成する加工法である。例えば、予めエッチングパターンが形成されたフィルムを金属製の型40の表面に貼付し、化学薬品でエッチングすることにより、型40の表面にパターンを転写する。このようにしてパターンが転写された型40を用いて樹脂を成形することにより、型40の表面のパターンが樹脂に転写される。あるいは、金属製または樹脂製の型40の表面にレーザー光線を照射して表面を削ることにより、型40の表面にパターンが形成される。
【0060】
型40に粗面41bを形成した後、注入工程が実行される(S2)。
図8に示すように、注入工程(S2)においては、ヒンジ42を軸にして上型43を開いた状態にし、下型41の下側凹部41a内に、液体状の樹脂50を所定量注入する。下側凹部41a内に注入される樹脂50の量は、発泡率により、適宜に調節可能である。樹脂50は、熱伝導材を含んでいても良いし、また、熱伝導材を含まない構成としても良い。
【0061】
続いて、成形工程が実行される(S3)。
図9に示すように、ヒンジ42を軸にして上型43が回動されて、下型41に重ねられる。その後、型40が所定の温度に加熱されることにより、樹脂50に混入された発泡剤が発泡するとともに、液体状の樹脂50が固化する。このように、成形工程(S3)において、樹脂50の発泡工程と、樹脂50の固化工程と、が実行される。これにより、発泡樹脂が形成される。このとき、下型41の下側凹部41aに形成された粗面41bの形状に対応して、樹脂50の表面が粗面化する。
【0062】
樹脂50は、発泡することにより膨張し、下側凹部41aと上側凹部43aとで形成されたキャビティ内に充填される。
【0063】
樹脂50と、キャビティの内面とが接触すると、樹脂50が急冷されて、発泡する前に固化する。これにより、樹脂50には、キャビティの内面と接触した部分に、空隙が存在しないスキン層3aが形成される。スキン層3aが形成された後、スキン層3aよりも内方の樹脂はスキン層3aよりもゆっくりと固化するので、発泡剤による発泡が進行し、発泡層3bが形成される。
【0064】
上記したように、樹脂50と、キャビティ内面とが接触した領域にスキン層3aが形成される。このため、防音放熱カバー3のうち、下型41の粗面41bと接触した部分にスキン層3aが形成され、このスキン層3aのうち下側の粗面41bと接触した部分に、所定の最大高さ粗さRzを備えた放熱接触面10が形成される。
【0065】
次に、型抜き工程が実行される(S4)。
図10に示すように、樹脂が固化した後、上型43を、ヒンジ42を軸にして回動させて開き、下型41から樹脂を取り出す。以上により、防音放熱カバー3が完成する。
【0066】
4.実施例および比較例
次に、本発明の実施例および比較例について説明する。
【0067】
4.1 ブラスト加工
(実施例1)
実施例1では金属製の型40を用いた。型40に用いられる金属は特に限定されず、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を用いることができる。本実施例1ではアルミニウム製の型40を用いた。下型41の下側凹部41aの底面を、アルミナ(粒度36)を研磨剤としてブラスト加工した。これにより、下型41の下側凹部41aの底面に、最大高さ粗さRzが48μmの粗面41bを形成した。ただし、粒度は、JIS R 6001-1:2017(ISO 8486-1)に準拠する。
【0068】
粗面41bが形成されたアルミニウム製の下型41に、熱伝導材を含む樹脂を注入し、固化、発泡させた。これにより、実施例1に係る防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。実施例1の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは105μmであった。
【0069】
実施例1の防音放熱カバー3を、放熱接触面10がアルミニウム製のブロックの上面と接触するように配置して、防音放熱カバー3をブロックに固定した。防音放熱カバー3が固定された状態のブロックに所定の周波数の振動を与え、防音放熱カバー3の上方に配置したマイクロフォンにより、防音放熱カバー3から漏洩した音を検出した。結果を
図11に示す。
【0070】
(実施例2)
次に、アルミニウム製の型40を用い、研磨剤として炭化ケイ素(粒度12)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る防音放熱カバー3を作成した。実施例2の下型41の下側凹部41aの底面の最大高さ粗さRzは82μmであった。また、実施例2の防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、206μmであった。
【0071】
実施例1と同様にして、実施例2の防音放熱カバー3の防音性能の実験を行った。結果を
図11に示す。
【0072】
(実施例3)
次に、アルミニウム製の型40を用い、研磨剤として、実施例1よりも粒度の小さなアルミナ(粒度16)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る防音放熱カバー3を作成した。実施例3の下型41の下側凹部41aの底面の最大高さ粗さRzは69μmであった。また、実施例3の防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、195μmであった。
【0073】
実施例1と同様にして、実施例3の防音放熱カバー3の防音性能の実験を行った。結果を
図11に示す。
【0074】
(実施例4)
次に、アルミニウム製の型40を用い、研磨剤として、実施例3よりも粒度の小さなアルミナ(粒度8)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る防音放熱カバー3を作成した。実施例4の下型41の下側凹部41aの底面の最大高さ粗さRzは78μmであった。また、実施例4の防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、271μmであった。
【0075】
実施例1と同様にして、実施例3の防音放熱カバー3の防音性能の実験を行った。結果を
図11に示す。
【0076】
(比較例1)
比較例1として、アルミニウム製のブロックに所定の周波数の振動を与え、ブロックの上方に配置したマイクロフォンにより、ブロックから発生する音を検出した。結果を
図11に示す。
【0077】
(比較例2)
比較例2として、放熱接触面10が粗化されていない防音放熱カバー3を作成した。詳細には、下型41の下側凹部41aの内面、および上型43の上側凹部43aの内面が鏡面仕上げされた金属製の型40を用いて、比較例2に係る防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。
【0078】
実施例1と同様にして、比較例2の防音放熱カバー3の防音性能の実験を行った。結果を
図11に示す。
【0079】
(結果と考察)
図11は、HBK社製の加振機(Type4808)を用いて、ブロックにホワイトノイズ振動を与えた際に発生した騒音レベルの周波数分析を示すグラフである。周波数200~10000Hzのホワイトノイズ振動を与えたとき、実施例1~4、および比較例1~2の騒音レベルは、6300Hzをピークとした山形状になった。
【0080】
200~1250Hzまでは、実施例1~4、および比較例1~2の騒音レベルに、大きな差は生じなかった。1250Hzを超えると、騒音レベルに差が生じ始めた。
【0081】
実施例1~4については周波数が2000Hz~4000Hzの区間で騒音レベルが低下した。一方、比較例1~2については周波数が2000Hz~4000Hzの区間で騒音レベルは増加した。このため、周波数が3150Hz以上の領域で、実施例1~4は、比較例1~2よりも騒音レベルが小さくなった。
【0082】
実施例1~4においては、放熱接触面10の最大高さ粗さRzが大きくなるほど、騒音レベルが低下することが分かった。
【0083】
実施例1~4に係る防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzが105~271μmに形成されている。これにより、防音放熱カバー3の放熱接触面10と、ブロックの表面との間には隙間が形成されている。この隙間に形成された空気層により、ブロックの表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積を低減することができ、防音放熱カバー3がブロックの表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができたことによって、防音放熱カバー3の防音性能が向上したと考えられる。
【0084】
4.2 シボ加工
(実施例5)
実施例5では、金属製の型40を用いた。下型41の下側凹部41aの底面にシボ加工を施した。下型41の下側凹部41aの底面に、最大高さ粗さRzが50μmの粗面41bを形成した。
【0085】
粗面41bが形成された型40を用いて、実施例1と同様にして防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。実施例5の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは94μmであった。
【0086】
実施例1と同様にして、実施例5の防音放熱カバー3の防音性能の検査を行った。結果を
図12に示す。なお、
図12においては、実施例5の放熱接触面10の最大高さ粗さRzについては、金型の最大高さ粗さRzに基づき、説明の便宜上、50μmと表示した。
【0087】
(実施例6)
次に、実施例5と異なる条件で、下型41の下側凹部41aの底面にシボ加工を施した。下型41の下側凹部41aの底面に、最大高さ粗さRzが107μmの粗面41bを形成した。
【0088】
粗面41bが形成された型40を用いて、実施例1と同様にして防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。実施例6の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは141μmであった。
【0089】
実施例1と同様にして、実施例6の防音放熱カバー3の防音性能の検査を行った。結果を
図12に示す。なお、
図12においては、実施例6の放熱接触面10の最大高さ粗さRzについては、金型の最大高さ粗さRzに基づき、説明の便宜上、100μmと表示した。
【0090】
(実施例7)
次に、実施例5と異なる条件で、下型41の下側凹部41aの底面にシボ加工を施した。下型41の下側凹部41aの底面に、最大高さ粗さRzが158μmの粗面41bを形成した。
【0091】
粗面41bが形成された型40を用いて、実施例1と同様にして防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。実施例7の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは182μmであった。
【0092】
実施例1と同様にして、実施例7の防音放熱カバー3の防音性能の検査を行った。結果を
図12に示す。なお、
図12においては、実施例7の放熱接触面10の最大高さ粗さRzについては、金型の最大高さ粗さRzに基づき、説明の便宜上、150μmと表示した。
【0093】
(実施例8)
次に、実施例5と異なる条件で、下型41の下側凹部41aの底面にシボ加工を施した。下型41の下側凹部41aの底面に、最大高さ粗さRzが204μmの粗面41bを形成した。
【0094】
粗面41bが形成された型40を用いて、実施例1と同様にして防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。実施例8の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは203μmであった。
【0095】
実施例1と同様にして、実施例8の防音放熱カバー3の防音性能の検査を行った。結果を
図12に示す。なお、
図12においては、実施例8の放熱接触面10の最大高さ粗さRzについては、金型の最大高さ粗さRzに基づき、説明の便宜上、200μmと表示した。
【0096】
(比較例3)
比較例3として、アルミニウム製のブロックに所定の周波数の振動を与え、ブロックの上方に配置したマイクロフォンにより、ブロックから発生する音を検出した。結果を
図12に示す。
【0097】
(比較例4)
比較例4として、放熱接触面10が粗化されていない防音放熱カバー3を作成した。詳細には、下型41の下側凹部41aの内面、および上型43の上側凹部43aの内面が鏡面仕上げされた金属製の型40を用いて、比較例4に係る防音放熱カバー3を作成した。防音放熱カバー3の厚みは5mmであった。
【0098】
実施例1と同様にして、比較例4の防音放熱カバー3の防音性能の実験を行った。結果を
図12に示す。
【0099】
(結果と考察)
型40の最大高さ粗さRzと、防音放熱カバー3の最大高さ粗さRzとの差異
実施例5~8について、型40の粗面41bの最大高さ粗さRzよりも、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzの方が大きかった。これは、シボ加工により型40に形成された粗面41bは、エッチングにより形成されているので、エッジが鋭いためであると考えられる。また、液体の薬品によりエッチングされることから、凹凸形状が複雑になり、オーバーハング形状が形成される場合も考えられる。このため、成形された防音放熱カバー3が、鋭く形成されたエッジ部分により切断されたり、オーバーハング形状に形成された部分が型40に残留したまま剥がれたりすると考えられる。この結果、型40の粗面41bの最大高さ粗さRzよりも、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzの方が大きくなったと考えられる。実施例8については、型40の粗面41bの最大高さ粗さRzと、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、略同等であった。
【0100】
(2)騒音レベル
図12は、HBK社製の加振機(Type4808)を用いて、ブロックにホワイトノイズ振動を与えた際に発生した騒音レベルの周波数分析を示すグラフである。周波数200~10000Hzのホワイトノイズ振動を与えたとき、実施例5~8、および比較例3~4の騒音レベルは、6300Hzをピークとした山形状になった。
【0101】
200~1600Hzまでは、実施例5~8、および比較例3~4の騒音レベルに、大きな差は生じなかった。1600Hzを超えると、実施例5~8、および比較例3~4の騒音レベルに差が生じ始めた。4000Hzを超えると、実施例5~8、および比較例3~4の騒音レベルは大きく上昇し、また、騒音レベルの差が大きく生じた。
【0102】
防音放熱カバー3を有しない比較例3は、周波数が4000Hzを超えると騒音レベルが急激に上昇し、5000~8000Hzでは2番目に騒音レベルが大きくなり、10000Hzでは最も騒音レベルが大きくなった。
【0103】
シボが形成されていない防音放熱カバー3を有する比較例4の騒音レベルは、4000~8000Hzの範囲で最も大きくなった。これは、シボを有しないことにより、カバーが共振し、騒音レベルが大きくなったためと考えられる。
【0104】
実施例5~8については、5000~10000Hzの区間で、比較例3および4よりも騒音レベルが小さくなっていた。
【0105】
4000~10000Hzの区間において、実施例5と実施例6の騒音レベルは、ほぼ同等であった。最大高さ粗さRzが実施例5および実施例6よりも大きな実施例7は、実施例5および実施例6に比べて騒音レベルが小さくなっていた。さらに最大高さ粗さRzが大きな実施例8の騒音レベルは、最も小さくなっていた。このように、全体として、最大高さ粗さRzの大きな防音放熱カバー3を備えるものほど、騒音レベルが小さくなっていた。
【0106】
防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、実施例5が94μmであり、実施例6が141μmであり、実施例7が182μmであり、実施例8が203μmである。このため、防音放熱カバー3の放熱接触面10と、ブロックの表面との間には隙間が形成されている。この隙間に形成された空気層により、ブロックの表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積を低減することができ、防音放熱カバー3がブロックの表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができたことによって、防音放熱カバー3の防音性能が向上したと考えられる。
【0107】
周波数が4000~10000Hzの区間における、実施例5~8の騒音レベルを比較すると、全体として、最大高さ粗さRzが大きくなるにつれて、騒音レベルが低下している。これは、放熱接触面10とブロックの表面との間の隙間が大きい方が、ブロックの表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積を低減することができ、防音放熱カバー3がブロックの表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができたため、ブロックからの音の吸収性が向上するためと考えられる。
【0108】
上記の点について、
図13を参照して説明する。
図13は、上記の騒音レベル試験において、最大高さ粗さRzに対する、周波数4000~10000Hzの領域における騒音レベルの平均の変化を示すグラフである。図中の3つデータは、実施例5~7に対応する。
【0109】
図13に示されるように、最大高さ粗さRzが大きくなるにしたがって、平均騒音レベルが低下している。すなわち、最大高さ粗さRzが大きくなるにしたがって、防音効果が高まることが分かる。
【0110】
図13に、平均騒音レベル66.7[dB]の線が表示されている。この値は、比較例3の、周波数4000~10000Hzの区間における平均騒音レベルである。実施例5~7は、比較例3の平均騒音レベルよりも防音効果が高いことが分かった。
【0111】
4.3 放熱性
(実施例9)
アルミニウム製の型40を用い、研磨剤としてアルミナを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例9に係る防音放熱カバー3を作成した。実施例9の防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzは、150μmであった。
【0112】
実施例9に係る防音放熱カバー3が取付けられた状態のブロックを100℃の熱源で加熱し、防音放熱カバー3の表面の温度が一定になるまで加熱を続けた。実施例9に係る防音放熱カバー3の表面の温度は93.80℃であった。
【0113】
(比較例1~2)
また、上記した比較例1および比較例2に係る防音放熱カバー3が取付けられた状態のブロックを100℃の熱源で加熱し、防音放熱カバー3の表面の温度が一定になるまで加熱を続けた。比較例1に係る防音放熱カバー3の温度は98.40℃であり、比較例2に係る防音放熱カバー3の表面の温度は92.20℃であった。
【0114】
(結果と考察)
放熱性試験の結果によれば、実施例9は93.80℃であり、比較例1は98.40℃であった。これは、防音放熱カバー3により、ブロックの熱が効率的に外部に放散されたためであると考えられる。
【0115】
一方、比較例2の結果は92.20℃であった。これは、比較例2の防音放熱カバー3の放熱接触面10は粗面化されていないので、ブロックの表面との密着性が高く、ブロックから防音放熱カバー3へすみやかに熱伝導されたためであると考えられる。しかしながら、上記したように、比較例2の騒音レベルは比較例1とほとんど差がないので、好ましくない。
【0116】
むしろ、実施例9の結果は93.80℃と、粗面化されていない比較例2とほとんど同等レベルの放熱性を有していると考えられる。
【0117】
5.本形態の作用効果
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態は、対象物2を被覆する防音放熱カバー3であって、対象物2と接触する接触部12を有する放熱接触面10を備え、密度が、0.1~2.0g/cm3であり、熱伝導率が、0.1~2.0W/mKであり、放熱接触面10の最大高さ粗さRzが、50~300μmである。
【0118】
本形態によれば、対象物2の表面と、防音放熱カバー3の放熱接触面10と、が接触部12で接触しているので、対象物2から発生した熱は、接触部12を介して防音放熱カバー3に熱伝導する。これにより、対象物2の放熱性が向上する。
【0119】
本形態によれば、放熱接触面10の最大高さ粗さRzが50μmより大きいことから、対象物2の表面と、防音放熱カバー3の放熱接触面10との間には、少なくとも50μmの隙間が形成されている。この隙間に形成された空気層によって、対象物2の表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積を低減することができ、防音放熱カバー3が対象物2の表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができるので、対象物2の防音性を向上させることができる。
【0120】
また、本形態によれば、放熱接触面10の最大高さ粗さRzは300μmよりも小さいので、対象物2の表面と、防音放熱カバー3の放熱接触面10との間に形成された隙間は比較的に狭い。このため、空気層に熱がこもることを抑制できるので、対象物2から防音放熱カバー3への熱伝導性の低下を抑制することができる。
【0121】
本形態に係る放熱接触面10の、最大高さ粗さRzは60~250μmが好ましく、110~200μmがさらにこのましい。
【0122】
本形態によれば、放熱接触面10の最大高さ粗さRzが110μmより大きいことから、対象物2の表面と防音放熱カバー3の放熱接触面10との接触面積をより低減することができ、防音放熱カバー3が対象物2の表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー3からの二次放射音を抑えることができるので、対象物2の防音性を向上させることができる。
【0123】
また、本形態によれば、放熱接触面10の最大高さ粗さRzは200μmよりも小さいので、対象物2から防音放熱カバー3への熱伝導性の低下を、より一層抑制することができる。
【0124】
本形態によれば、防音放熱カバー3は、発泡樹脂によりシート状に形成されており、さらに、気泡を備える発泡層3bと、発泡層3bよりも厚み方向について外方に形成されるとともに、気泡が発泡層3bよりも少ないスキン層3aと、を備える。放熱接触面10はスキン層3aに形成されている。
【0125】
本形態によれば、スキン層3aは比較的に気泡が少ないので、発泡層3bに比べて熱伝導性が高い。熱伝導性が高いスキン層3aが対象物2と接触するので、対象物2から防音放熱カバー3への熱伝導性を向上させることができる。
【0126】
本形態によれば、防音放熱カバー3はシート状に形成されており、防音放熱カバー3は、さらに、熱伝導材を含み、熱伝導材は厚み方向に沿って延在している。
【0127】
本形態によれば、防音放熱カバー3の熱伝導性を向上させることができる。
【0128】
本形態に係る防音放熱カバー3の熱伝導率は、0.5~0.7W/mKが好ましい。本形態によれば、防音放熱カバー3の熱伝導性をさらに向上させることができる。
【0129】
本形態に係るカバー部材1は、防音放熱カバー3であって、さらに放熱接触面10と反対側に放熱面を備える防音放熱カバー3と、防音放熱カバー3よりも硬度の大きい材料により形成され、防音放熱カバー3の放熱面の側から防音放熱カバー3を被覆する補強部材4と、を備える。防音放熱カバー3は、さらに、放熱接触面10に沿う第一方向の両端部寄りの位置に形成された一対の第一取付部13と、一対の第一取付部13の間に形成された放熱領域14と、を備える。補強部材4は、第一方向の両端部寄りの位置に形成され、一対の第一取付部13にそれぞれ取付けられる一対の第二取付部21と、一対の第二取付部21同士を橋掛けするとともに複数の貫通孔31を有する橋掛部22と、を備える。放熱接触面10は、防音放熱カバー3の厚み方向について、少なくとも放熱領域14と重なる位置に形成されている。
【0130】
本形態によれば、防音放熱カバー3の位置決めを行うとともに、放熱性を向上させることができる。
【0131】
本形態に係る防音放熱カバー3の製造方法は、放熱接触面10を成形するための粗面41bを備える型40内に樹脂を注入した後に固化させることにより、防音放熱カバー3を成形する成形工程を備え、粗面41bの最大高さ粗さRzが、50~300μmである。
【0132】
型40の粗面41bの最大高さ粗さRzが50~300μmであることにより、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さを、粗面41bの最大高さ粗さRzに対応したものに形成することができる。なお、対応するとは、同じである場合を含むとともに、異なっている場合でも、粗面41bと最大高さ粗さと、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzとが、何らかの関係性を有している場合も含む。
【0133】
本形態によれば、成形工程において、型40の粗面41bの形状を、防音放熱カバー3の放熱接触面10に転写する構成としても良い。また、本形態によれば、成形工程において、型40の粗面41bの最大高さ粗さRzよりも、防音放熱カバー3の放熱接触面10の最大高さ粗さRzを大きく形成する構成としても良い。
【0134】
本形態によれば、防音放熱カバー3の製造方法は、型40の内面の少なくとも一部を粗面化する粗面化工程を備えてもよい。
【0135】
粗面化工程は、型40の内面の少なくとも一部をブラスト加工により粗面化するものであってもよい。また、粗面化工程は、金属製または樹脂製の型40の内面の少なくとも一部をシボ加工により粗面化するものであってもよい。
【0136】
本形態においては、成形工程において、樹脂50を発泡させる発泡工程を実行してもよい。
【0137】
本形態においては、成形工程において成形する樹脂50が熱伝導材を含む構成としてもよい。
【0138】
(実施形態2)
次に、
図14を参照して、実施形態2について説明する。
図14に示すように、本形態に係る防音放熱カバー3は、放熱領域14の放熱面11に、複数の突条15が外方に突出して形成されている。複数の突条15は、防音放熱カバー3の面方向に延在するように形成されている。詳細には、複数の突条15は、防音放熱カバー3が対象物2に取り付けられた状態で、対象物2の外周面の周方向に沿って直線状に延びて形成されている。複数の突条15は、放熱領域14の放熱面11において、対象物2の軸方向に間隔を空けて並んで配列されている。本形態では、複数の突条15は等間隔に並んで形成されている。ただし、複数の突条15の形状は、平面視、波状としても良い。また、複数の突条15は、対象物2の外周面の軸方向に延在するように形成しても良いし、対象物2の外周面の周方向および軸方向に対して傾斜する方向に延在する形状に形成しても良い。
【0139】
熱伝導材は、突条15の先端側において、突条15の延在方向に連続して延在されるようにすると良い。これにより、突条15の延在方向の一端側から他端側に至る範囲に、連続して熱伝導材が配置されることにより、面方向においても高い放熱性能を発揮することができる。
【0140】
本形態に係る防音放熱カバー3の放熱面には、間隔を空けて並んで配列された複数の突条15が形成されている。防音放熱カバー3の一対の第一取付部13に補強部材4の一対の第二取付部21が取付けられた状態において、防音放熱カバー3の複数の突条15は、補強部材4の橋掛部22に当接する。本形態によれば、空気層を介さずに、突条15から補強部材4に熱を伝えることができるので、カバー部材1の放熱性をさらに向上させることができる。
【0141】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0142】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【要約】
対象物(2)を被覆する防音放熱カバー(3)であって、前記対象物(2)と接触する接触部(12)を有する放熱接触面(10)を備え、密度が、0.1~2.0g/cm3であり、熱伝導率が、0.1~2.0W/mKであり、前記放熱接触面(10)の最大高さ粗さ(Rz)が、50~300μmである、防音放熱カバー(3)である。対象物(2)の表面と、防音放熱カバー(3)の放熱接触面(10)との間に形成された空気層によって、対象物(2)の表面と防音放熱カバー(3)の放熱接触面(10)との接触面積を低減することができ、防音放熱カバー(3)が対象物(2)の表面から受ける振動が抑制され、防音放熱カバー(3)からの二次放射音を抑えることができるので、対象物(2)の防音性を向上させることができる。