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特許7576737異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器
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  • 特許-異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器 図1
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  • 特許-異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器 図5B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
G01R19/165 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022533927
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2021023890
(87)【国際公開番号】W WO2022004539
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2020112830
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】仲井 俊介
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-51985(JP,A)
【文献】特開平7-229930(JP,A)
【文献】実開平2-129137(JP,U)
【文献】特開平11-271366(JP,A)
【文献】特開平5-53216(JP,A)
【文献】特開昭60-183918(JP,A)
【文献】特開2019-92254(JP,A)
【文献】米国特許第5289166(US,A)
【文献】特開2004-241605(JP,A)
【文献】中国実用新案第205691680(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/00
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流の供給電圧の異常を検出する異常検出装置であって、
前記供給電圧を整流して得た直流電圧の振幅と、所定のサンプリング期間特定用閾値との比較結果を出力するサンプリング期間特定用コンパレータと、
前記サンプリング期間特定用コンパレータの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値となるときの前記直流電圧をデジタル値に変換するサンプリングを行い、当該サンプリングにより得たデジタル値が所定の電圧値異常条件を満たす場合に異常を検出するコンピュータとを備えていることを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異常検出装置において、
前記サンプリング期間特定用設定値は、前記直流電圧の振幅が前記サンプリング期間特定用閾値を超えるときの前記サンプリング期間特定用コンパレータの出力であり、
前記電圧値異常条件は、前記デジタル値の絶対値が前記サンプリング期間特定用閾値よりも大きい所定の異常検出用閾値を所定の基準回数以上超えるという条件であることを特徴とする異常検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の異常検出装置において、
前記基準回数は、2回以上であることを特徴とする異常検出装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の異常検出装置において、
前記直流電圧の振幅と、所定の計測時間特定用閾値との比較結果を出力する計測時間特定用コンパレータをさらに備え、
前記コンピュータは、前記計測時間特定用コンパレータの出力が、継続して所定の計測時間特定用設定値となる時間を計測し、計測時間が所定の時間異常条件を満たした場合にも異常を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の異常検出装置において、
前記計測時間特定用設定値は、前記直流電圧の振幅が前記計測時間特定用閾値を下回るときの前記計測時間特定用コンパレータの出力であり、
前記時間異常条件は、前記計測時間が所定の設定時間以上であるという条件であることを特徴とする異常検出装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の異常検出装置において、
三相交流の相電圧に対応して設けられ、前記相電圧を前記供給電圧として整流することにより直流電圧を得る3つの単相整流回路と、
3つの前記直流電圧に対応して設けられた3つの前記サンプリング期間特定用コンパレータとを備え、
前記コンピュータは、3つの前記直流電圧に対し、対応する前記サンプリング期間特定用コンパレータの出力が前記サンプリング期間特定用設定値となるときの値をデジタル値に変換するサンプリングを行い、当該サンプリングによって取得した3つのデジタル値のうちの少なくとも1つが前記電圧値異常条件を満たす場合に異常を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の異常検出装置と、
前記三相交流に対して電力変換を行うことにより、駆動電流を出力する電力変換装置と、
前記電力変換装置によって出力された駆動電流に応じたレーザ光を出射するレーザ装置とを備え、
前記コンピュータは、前記異常を検出した場合に、前記駆動電流の出力を停止するように前記電力変換装置を制御することを特徴とするレーザ発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交流の供給電圧の異常を検出する異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された異常検出装置は、コンデンサを備え、三相交流の供給電圧を供給する三相交流電源に停電、欠相等の異常が発生したときに前記コンデンサに充放電を繰り返させて徐々にその電圧を低下させる。そして、前記コンデンサの電圧が基準電圧よりも低くなったときに異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3858831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の異常検出装置は、徐々に低下するコンデンサの電圧に基づいて異常を検出するので、異常の発生から検出までにかかる時間が長くなる。
【0005】
そこで、三相交流の供給電圧をサンプリングし、当該サンプリングによって取得したデジタル値に基づいて異常を検出するコンピュータを、異常検出装置に設けることが考えられる。しかし、このようにする場合、コンピュータが全時間分の供給電圧をサンプリングするので、コンピュータの負荷が大きくなる。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンピュータの負荷の増大を抑制しつつ、異常の発生から検出までにかかる時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、交流の供給電圧の異常を検出する異常検出装置であって、前記供給電圧を整流して得た直流電圧の振幅と、所定のサンプリング期間特定用閾値との比較結果を出力するサンプリング期間特定用コンパレータと、前記サンプリング期間特定用コンパレータの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値となるときの前記直流電圧をデジタル値に変換するサンプリングを行い、当該サンプリングにより得たデジタル値が所定の電圧値異常条件を満たす場合に異常を検出するコンピュータとを備えていることを特徴とする。
【0008】
この態様によると、コンピュータが、直流電圧のサンプリングにより得たデジタル値に基づいて異常を検出するので、特許文献1のように徐々に低下するコンデンサの電圧に基づいて異常を検出する場合に比べ、異常の発生から検出までにかかる時間を短縮できる。
【0009】
また、コンピュータが、サンプリング期間特定用コンパレータの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値となるときの直流電圧だけをサンプリングすればよいので、全時間分の供給電圧をサンプリングする場合に比べ、コンピュータの負荷を削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、コンピュータの負荷の増大を抑制しつつ、異常の発生から検出までにかかる時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係るレーザ発振器を示すブロック図である。
図2図2は、異常検出装置及び電力変換装置を示すブロック図である。
図3図3は、単相整流回路の回路図である。
図4A図4Aは、異常検出装置に入力される相電圧の振幅が大きい場合における相電圧の波形を例示する図である。
図4B図4Bは、図4Aに対応する直流電圧の波形を示す図である。
図5A図5Aは、異常検出装置に入力される相電圧の振幅が小さい場合における図4A相当図である。
図5B図5Bは、図5Aに対応する直流電圧の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係るレーザ発振器1を示す。このレーザ発振器1は、電力変換装置10と、異常検出装置20と、レーザ装置40と、出力装置50と、システム制御装置60とを備えている。
【0014】
電力変換装置10は、商用電源2からブレーカ3を介して入力される三相交流に対して電力変換を行うことにより、駆動電流を出力する。具体的には、電力変換装置10は、三相全波整流回路11と、三相全波整流回路11の出力に接続された平滑コンデンサ12と、当該平滑コンデンサ12の電圧が入力されるインバータ回路13とを備えている。
【0015】
異常検出装置20は、商用電源2からブレーカ3を介して入力される三相交流の3つの供給電圧としての相電圧の異常を検出し、異常の検出時には、駆動電流の出力を停止するように電力変換装置10のインバータ回路13を制御するとともに、異常検出信号SADを出力する。
【0016】
ここで、異常検出装置20の詳細な構成について、図2を参照して説明する。
【0017】
異常検出装置20は、3つの単相整流回路21a~21cと、サンプリング期間特定用閾値設定部22と、3つのサンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cと、計測時間特定用閾値設定部24と、3つの計測時間特定用コンパレータ25a~25cと、コンピュータ26とを備えている。
【0018】
3つの単相整流回路21a~21cは、商用電源2からブレーカ3を介して入力される三相交流の相電圧に対応して設けられている。各単相整流回路21a~21cは、対応する相電圧を整流することにより直流電圧を得る。
【0019】
単相整流回路21a~21cは、例えば図3に示すように、4つのダイオード27a~27dを有するブリッジ回路27と、当該ブリッジ回路27と並列に接続された抵抗28とを有している。
【0020】
サンプリング期間特定用閾値設定部22は、ユーザ入力により設定される所定のサンプリング期間特定用閾値STH(図4B参照)を記憶する。
【0021】
3つのサンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cは、それぞれ、3つの単相整流回路21a~21cにより出力される3つの直流電圧に対応して設けられている。各サンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cは、対応する直流電圧の振幅と、前記サンプリング期間特定用閾値設定部22に記憶されたサンプリング期間特定用閾値STHとの比較結果を出力する。
【0022】
計測時間特定用閾値設定部24は、ユーザ入力により設定される所定の計測時間特定用閾値MTH(図4B及び図5B参照)を記憶する。
【0023】
3つの計測時間特定用コンパレータ25a~25cは、それぞれ、3つの単相整流回路21a~21cにより出力される3つの直流電圧に対応して設けられている。各計測時間特定用コンパレータ25a~25cは、それぞれ、対応する直流電圧の振幅と、計測時間特定用閾値設定部24に記憶された計測時間特定用閾値MTHとの比較結果を出力する。
【0024】
コンピュータ26は、過大検出部26aと、過小検出部26bと、通信部26cと、電流制御部26dとを有している。コンピュータ26は、マイクロコンピュータである。
【0025】
過大検出部26aは、前記3つの直流電圧に対し、対応するサンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値となるときの値(アナログ値)をデジタル値に変換するサンプリングを行う。具体的には、過大検出部26aは、サンプリング対象の直流電圧に対応するサンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値になったときにサンプリングを開始し、当該出力が変わらなければ、サンプリングを継続する一方、当該出力が変わるとサンプリングを終了する。ここで、サンプリング期間特定用設定値は、前記直流電圧の振幅が前記サンプリング期間特定用閾値STHを超えるときのサンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cの出力である。
【0026】
そして、過大検出部26aは、前記サンプリングによって取得した3つのデジタル値のうちの少なくとも1つが、所定の電圧値異常条件を満たす場合に異常を検出する。電圧値異常条件は、デジタル値の絶対値が所定の異常検出用閾値ATH(図4B参照)を所定の基準回数以上超えるという条件である。ここで、異常検出用閾値ATHは、ユーザ入力によりサンプリング期間特定用閾値STHよりも大きく設定される。基準回数は、3回に設定される。基準回数は、固定値としてもよいし、ユーザ入力によって設定されるようにしてもよい。
【0027】
過小検出部26bは、前記3つの計測時間特定用コンパレータ25a~25cの出力に対し、継続して所定の計測時間特定用設定値となる時間の計測を行う。具体的には、過小検出部26bは、測定対象の計測時間特定用コンパレータ25a~25cの出力が所定の計測時間特定用設定値になったときに時間の計測を開始し、当該出力が変わらなければ計測を継続する一方、当該出力が変わると計測時間を0にリセットする。そして、過小検出部26bは、3つの計測時間のうちの少なくとも1つが所定の時間異常条件を満たした場合に異常を検出する。なお、過小検出部26bは、異常を検出したときにも、計測時間を0にリセットする。計測時間特定用設定値は、直流電圧の振幅が計測時間特定用閾値MTHを下回るときの計測時間特定用コンパレータ25a~25cの出力である。時間異常条件は、計測時間が所定の設定時間ST(図5B参照)以上であるという条件である。設定時間STは、相電圧(供給電圧)の2周期に設定されている。設定時間STは、1周期又は3周期以上の期間に設定してもよい。また、設定時間STは、固定値であってもよいし、ユーザ入力によって設定されるようにしてもよい。
【0028】
通信部26cは、過大検出部26a及び過小検出部26bのうちの少なくとも一方によって異常が検出された場合に、異常検出信号SADをシステム制御装置60に出力する。
【0029】
電流制御部26dは、過大検出部26a及び過小検出部26bのうちの少なくとも一方によって異常が検出された場合に、駆動電流の出力を停止するように電力変換装置10のインバータ回路13を制御する。
【0030】
レーザ装置40は、互いに直列に接続された複数のレーザ共振器(レーザダイオードバー)41と、レーザ共振器41から出力される光を結合させて出射するコンバイナ(回折格子)42とを備えている。レーザ共振器41は、電力変換装置10により出力された駆動電流によって駆動される。したがって、レーザ装置40は、電力変換装置10によって出力された駆動電流に応じたレーザ光を出射する。
【0031】
出力装置50は、システム制御装置60から異常通知信号SANを受信したときに光を出力するLED(Light Emitting Diode)である。
【0032】
システム制御装置60は、レーザ装置40を常時制御する。また、システム制御装置60は、異常検出装置20によって異常検出信号SADが出力されたときに、異常通知信号SANを出力装置50に送信する。
【0033】
上述のように構成されたレーザ発振器1では、異常検出装置20の1つの単相整流回路21aに、図4Aに示す相電圧が入力されると、当該単相整流回路21aは、図4Bに示すような直流電圧を出力する。対応するサンプリング期間特定用コンパレータ23aの出力は、図4B中符号SSに示す時点で、直流電圧の振幅がサンプリング期間特定用閾値STHを超えることを示す出力、すなわちサンプリング期間特定用設定値となる。したがって、過大検出部26aは、図4B中符号SSで示す時点で、直流電圧をデジタル値に変換するサンプリングを開始し、当該サンプリングにより得たデジタル値が異常検出用閾値ATHを3回超えるという電圧値異常条件を満たす場合に異常を検出する。図4Bの例では、符号ADで示す時点で、過大検出部26aが異常を検出し、電流制御部26dの制御によりインバータ回路13が駆動電流の出力を停止する。また、通信部26cが異常検出信号SADを出力し、システム制御装置60が異常通知信号SANを出力装置50に送信し、出力装置50が光を出力する。他の2つの単相整流回路21b,21cに図4Aに示す相電圧が入力された場合にも、対応するサンプリング期間特定用コンパレータ23b,23cの出力に基づいて、異常検出装置20のコンピュータ26、電力変換装置10、出力装置50及びシステム制御装置60が同様の動作を行う。
【0034】
異常検出装置20がこのような動作を行うので、サンプリング期間特定用閾値STH及び異常検出用閾値ATHを適当に設定することにより、相電圧及び直流電圧の振幅が大き過ぎる場合に、過大検出部26aに異常を検出させることができる。
【0035】
また、コンピュータ26が、直流電圧のサンプリングにより得たデジタル値に基づいて異常を検出するので、特許文献1のように徐々に低下するコンデンサの電圧に基づいて異常を検出する場合に比べ、異常の発生から検出までにかかる時間を短縮できる。
【0036】
また、コンピュータ26が、サンプリング期間特定用コンパレータ23a~23cの出力が所定のサンプリング期間特定用設定値となるときの直流電圧だけをサンプリングするので、全時間分の直流電圧をサンプリングする場合に比べ、コンピュータ26の負荷を削減できる。
【0037】
また、基準回数を2回以上に設定したので、1回に設定した場合に比べ、瞬時的なノイズによって過大検出部26aが異常を検出するのを抑制できる。
【0038】
また、異常検出装置20の1つの単相整流回路21aに、図5Aに示す相電圧が入力されると、当該単相整流回路21aは、図5Bに示すような直流電圧を出力する。対応する計測時間特定用コンパレータ25aの出力は、計測を開始してからずっと、直流電圧の振幅が計測時間特定用閾値MTHを下回ることを示す出力、すなわち計測時間特定用設定値となる。過小検出部26bは、計測時間特定用コンパレータ25aの出力が計測時間特定用設定値になったときに、時間の計測を0から開始する。そして、計測を開始してから設定時間STが経過したときに、計測時間が設定時間ST、すなわち2周期に達し、時間異常条件が満たされる。したがって、過小検出部26bが、図5B中符号ADで示す時点で異常を検出し、電流制御部26dの制御によりインバータ回路13が駆動電流の出力を停止する。また、通信部26cが異常検出信号SADを出力し、システム制御装置60が異常通知信号SANを出力装置50に送信し、出力装置50が光を出力する。他の2つの単相整流回路21b,21cに図5Aに示す相電圧が入力された場合にも、対応する計測時間特定用コンパレータ25b,25cの出力に基づいて、異常検出装置20のコンピュータ26、電力変換装置10、出力装置50及びシステム制御装置60が同様の動作を行う。
【0039】
このように、コンピュータ26が、計測時間特定用コンパレータ25aの出力が計測時間特定用設定値となる時間を計測すれば、全時間分の直流電圧のサンプリングを行わなくても、直流電圧の振幅が小さ過ぎるという異常を検出できるので、コンピュータ26の負荷を削減できる。
【0040】
なお、本実施形態では、サンプリング期間特定用閾値STH、異常検出用閾値ATH及び計測時間特定用閾値MTHを、ユーザ入力により設定したが、固定値としてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、設定時間STを相電圧の2周期に設定したが、相電圧の3周期以上に設定してもよい。
【0042】
また、本実施形態では、基準回数を3回に設定したが、1回に設定してもよいし、3回以外の複数回に設定してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、出力装置50を、異常通知信号SANを受信したときに光を出力するLEDとしたが、異常通知信号SANを受信したときに特定の画像を出力する画像出力装置や、異常通知信号SANを受信したときに特定の音声を出力する警報装置等としてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、異常検出装置20による異常検出の対象を、レーザ発振器1に供給される三相交流の相電圧としたが、他の機器に供給される交流電圧としてもよい。また、異常検出装置20による異常検出の対象を、単相の交流電圧だけにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示の異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器は、コンピュータの負荷の増大を抑制しつつ、異常の発生から検出までにかかる時間を短縮でき、交流の供給電圧の異常を検出する異常検出装置及びそれを備えたレーザ発振器として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 レーザ発振器
10 電力変換装置
20 異常検出装置
21a~21c 単相整流回路
23a~23c サンプリング期間特定用コンパレータ
25a~25c 計測時間特定用コンパレータ
26 コンピュータ
40 レーザ装置
STH サンプリング期間特定用閾値
ATH 異常検出用閾値
MTH 計測時間特定用閾値
ST 設定時間
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B