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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20241025BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20241025BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20241025BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241025BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20241025BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20241025BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20241025BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20241025BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/209
H01M50/262 Z
H01M10/613
H01M10/6561
H01M10/6557
H01M10/647
H01M10/625
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022063272
(22)【出願日】2022-04-06
(65)【公開番号】P2023154155
(43)【公開日】2023-10-19
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼士 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】根本 雄太
(72)【発明者】
【氏名】池田 博昭
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-082477(JP,A)
【文献】特開2009-212055(JP,A)
【文献】特開2017-098107(JP,A)
【文献】特開2009-277471(JP,A)
【文献】特開2016-115481(JP,A)
【文献】特開2016-091665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 10/04-39
H01M 10/60-667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール部によってシールされた状態のケースに収容された電極体を備える複数の単電池であって、1つの方向である配列方向に配列された前記単電池と、互いに隣り合う前記ケースのケース側壁の間に介在されるスペーサと、を備え、前記複数の単電池が互いに近接する方向に拘束圧が加えられた状態で拘束された組電池であって、
前記電極体は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層した積層体を捲回した偏平な捲回体であって、前記ケース側壁と対向する相対する一対の平面部と、一対の前記平面部の上縁を繋ぐ部分に上側に膨らむ上湾曲部と、を備え、
前記スペーサは、基板部と、前記基板部から前記ケース側壁の方向に同じ高さに突出するように構成された複数の突出部と、を備え、前記複数の突出部によって通風路を構成し、
前記複数の突出部の中の少なくとも一部が上突出部としての第1突出部であり、
前記第1突出部は、前記平面部の上縁の延びる方向に連続して途切れなく延びて構成されており、前記平面部の前記シール部に最も近い上縁に対応する前記ケース側壁の対応位置より上側であって、かつ前記上湾曲部に対応する前記ケース側壁の位置を押圧し、
前記複数の突出部の中で前記第1突出部以外は、前記平面部に対応する前記ケース側壁の位置を押圧する第2突出部であって、前記第2突出部は、前記電極体の捲回軸と平行な平行部と前記捲回軸に対して垂直な垂直部と前記平行部と前記垂直部とを繋ぐ接続湾曲部とを備える突出部と、前記平行部だけの突出部と、を備える
組電池。
【請求項2】
前記ケース側壁における、前記平面部の上縁に対応する第1位置と、前記平面部の下縁に対応する第2位置との間の長さを(A)とし、
前記第1位置から前記第1突出部による前記第1位置に近い側の押圧位置までの距離を(B)としたとき、
(A)に対する(B)の割合(C)は、4.5%以上、13.6%以下である
請求項に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を、スペーサを介して並べて配置した組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
車両駆動用の高出力電源等に広く用いられているリチウムイオン二次電池等の非水二次電池は、組電池として構成されている。組電池は、電極体をケースに収容して構成された複数の単電池の間にスペーサを介在させて構成されている。そして、拘束バンドによって単電池の配列方向に一定荷重が加えられた状態で拘束されている。各単電池は、電極体がケースに収容された状態でシール部によってシールされている(特許文献1参照)。
【0003】
各スペーサは、ケース側壁に向って突出する突出部としての複数の凸状部を備えている。複数の凸状部は、基板部に対して櫛歯形状を有するように構成されている。スペーサは、各凸状部の先端面でケースの側壁を押圧する。凸状部の間の空間は、冷却空気を流通させるための通路として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-128991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各単電池は、電極体を収容した状態で、蓋体によってケースの開口を閉塞してシール部が構成されているが、時間経過とともにシール部から水分が浸入してしまう。すると、電極体のシール部の近くの上縁部において、浸入した水分と活物質のイオン等の電荷担体とが反応することで、活物質から電荷担体が引き抜かれる。その結果、活物質、ひいては電極の収縮が生じる。すると、電極体の上縁部対するスペーサによる拘束圧が弱まり、その結果、適切な極間距離を維持することが困難となって、結果として、容量維持率の低下を招くおそれがある。
【0006】
特許文献1のスペーサにおける凸状部は、配列方向に弾性変形可能に構成されている。凸状部が配列方向に弾性変形可能に構成されていると、当該部分では、ケース側壁を押圧する拘束圧は小さくなる。このため、浸入した水分とリチウムイオンとが反応することで、電極の収縮が生じた場合において、適切な極間距離を維持することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための組電池は、シール部によってシールされた状態のケースに収容された電極体を備える複数の単電池であって、1つの方向である配列方向に配列された前記単電池と、互いに隣り合う前記ケースのケース側壁の間に介在されるスペーサと、を備え、前記複数の単電池が互いに近接する方向に拘束圧が加えられた状態で拘束された組電池であって、前記電極体は、前記ケース側壁と対向する相対する一対の平面部を備え、前記スペーサは、基板部と、前記基板部から前記ケース側壁の方向に突出するように構成された複数の突出部と、を備え、前記複数の突出部の中の少なくとも一部が上突出部であり、前記上突出部は、前記平面部の前記シール部に最も近い上縁に対応する前記ケース側壁の対応位置より上側を押圧する。
【0008】
上記組電池によれば、単電池のシール部からは、ケースの内部に時間経過に伴い微量ながらも水分が浸入する。すると、シール部の近くである電極体の平面部の上縁及びその周辺において、浸入した水分と活物質のイオン等の電荷担体とが反応する。これにより、活物質からイオンが引き抜かれ、活物質、ひいては電極の収縮が生じる。すると、平面部の上縁及びその周辺に対するスペーサによる拘束圧が弱まり、その結果、当該部分での適切な極間距離を維持することが困難となって、容量維持率の低下につながるおそれがある。この点、ケース側壁の平面部の上縁に対応する対応位置より上側を上突出部で押圧することにより、当該部分の拘束圧が高まることで、ケース側壁の変位量が他の領域よりも大きくなる。したがって、電極の収縮が生じても、極間距離を維持することができる。その結果、リチウム析出を抑え、容量維持率の低下を抑えることができる。
【0009】
上記組電池において、前記電極体は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層した積層体を捲回した偏平な捲回体であって、相対する面が前記平面部であり、一対の前記平面部の上縁を繋ぐ部分に上側に膨らむ上湾曲部が構成されており、前記上突出部は、前記上湾曲部に対応する前記ケース側壁の位置を押圧する構成としてもよい。
【0010】
上記構成によれば、ケース側壁と上湾曲部の間に隙間があっても、上突出部が平面部を踏み外すことで、自ずと傾く。これにより、ケース側壁の上湾曲部に対応する位置を荷重が集中し高まった状態で押圧できる。その結果、電極の収縮が生じても、極間距離を維持することができる。
【0011】
上記組電池において、前記上突出部は、前記平面部の上縁の延びる方向に、連続して途切れなく延びて構成されているようにしてもよい。上記構成によれば、電極体における平面部の上縁に対応する対応位置の上側を、上縁の延びる方向に隙間なく押圧できる。
【0012】
上記組電池において、前記複数の突出部は、前記基板部に対して同じ高さである構成としてもよい。上記構成によれば、平坦なケース側壁全体を、複数の突出部で押圧できる。そして、電極体における平面部の上縁に対応する対応位置の上側では、上突出部が傾くことで、拘束圧を高めることができる。
【0013】
上記組電池において、前記ケース側壁における、前記平面部の上縁に対応する第1位置と、前記平面部の下縁に対応する第2位置との間の長さを(A)とし、前記第1位置から前記上突出部による前記第1位置に近い側の押圧位置までの距離を(B)としたとき、(A)に対する(B)の割合(C)は、4.5%以上、13.6%以下である構成としてもよい。
【0014】
上記構成によれば、上突出部による押圧位置の平面部の上縁からの飛び出し割合となる(C)を4.5%以上、13.6%以下とすることで、リチウム析出を抑え、そして、容量維持率の低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容量維持率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、組電池の斜視図である。
図2図2は、図1の組電池を構成する単電池を示す斜視図である。
図3図3は、電極体を展開した状態を示す斜視図である。
図4図4は、複数の単電池が拘束された組電池の平面図である。
図5図5は、単電池間に介在されるスペーサの斜視図である。
図6図6は、単電池とスペーサとの位置関係を示す模式図である。
図7図7は、実施例及び比較例で使用する単電池の製造工程を示す図である。
図8図8は、比較例における、負極板抵抗分布を示す図である。
図9図9は、比較例において、位置1~位置4の各位置における負極板抵抗の平均値を示す図である。
図10図10は、実施例1における面圧分布を示す図である。
図11図11は、実施例1及び比較例において、位置1~位置4の各位置における面圧の平均値を示す図である。
図12図12は、実施例1~3及び比較例において、サイクル数と容量維持率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1図12を参照して説明する。
[組電池の構成]
図1に示すように、組電池1は、複数の単電池10と、複数のスペーサ40と、一対のエンドプレート50と、複数の拘束バンド52と、を備えている。複数の単電池10は、1つの方向である配列方向Xに配列されている。一対のエンドプレート50は、配列方向Xにおいて、組電池1の両端に配置されている。複数の拘束バンド52は、一対のエンドプレート50を架橋するように取り付けられている。複数のスペーサ40は、配列方向Xにおいて、複数の単電池10の間、及び、単電池10とエンドプレート50との間、にそれぞれ配置されている。
【0018】
エンドプレート50は、複数の単電池10と複数のスペーサ40とを配列方向Xに挟み込んでいる。複数の拘束バンド52は、複数のビスによって、エンドプレート50に固定されている。複数の拘束バンド52は、それぞれ、配列方向Xに所定の拘束圧が加わるように取り付けられている。これにより、複数の単電池10と複数のスペーサ40とに対して配列方向Xと同じ方向であって、複数の単電池10が互いに近接する方向から拘束圧が加えられ、組電池1が一体的に保持されている。本実施形態では、エンドプレート50と、複数の拘束バンド52とで、拘束機構が構成されている。
【0019】
[単電池の構成]
図2に示すように、単電池10は、一例としてリチウムイオン二次電池である。単電池10は、ケース11と、蓋体12と、を備えている。ケース11は、電極体20を収容する。ケース11は、上側に開口を有した偏平な有底角型(直方体形状)の外形を有する。蓋体12は、ケース11の開口を閉塞する。ケース11及び蓋体12は、アルミニウム、若しくはアルミニウム合金等の金属で構成される。また、ケース11の厚み(板厚)は、概ね1mm以下、好ましくは0.5mm以下、例えば0.3mm以上、0.4mmである。単電池10は、ケース11に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。配列方向Xにおいて、ケース11のなかで互いに向かい合うケース側壁11Aは、平面で構成されている。ケース側壁11Aは、スペーサ40から拘束圧が加わると、若干内方に撓み、電極体20を押圧する。
【0020】
蓋体12には、2つの外部端子13A,13Bが設けられる。外部端子13A,13Bは、電力の充放電に用いられる。電極体20における正極側の端部である正極側集電部20Aは、正極側集電部材14Aを介して正極の外部端子13Aに電気的に接続される。電極体20における負極側の端部である負極側集電部20Bは、負極側集電部材14Bを介して負極の外部端子13Bに電気的に接続される。集電部材14A,14Bは、蓋体12を貫通して外部端子13A,13Bと接続される。集電部材14A,14Bと蓋体12の間には、絶縁性を有したガスケットが配置される。ガスケットは、集電部材14A,14Bと蓋体12とを電気的に絶縁するとともに、集電部材14A,14Bと蓋体12との間をシールする。また、ケース11内には、注入口15から非水電解液が注入される。なお、外部端子13A,13Bの形状は、図2に示す形状に限定されず、任意の形状であってよい。隣り合う単電池10の正極の外部端子13Aと負極の外部端子13Bとは、バスバー18(図1参照)で電気的に接続されている。これにより、隣り合う単電池10は、直列に電気接続されている。
【0021】
[電極体]
図3に示すように、電極体20は、長尺の正極シート21と負極シート24とがセパレータ27を介して積層した積層体を捲回した偏平な捲回体である。正極シート21、負極シート24、及びセパレータ27は、それぞれの長手となる方向が長手方向D1と一致するように積層される。捲回前の積層体は、正極シート21、セパレータ27、負極シート24、セパレータ27の順に、厚さ方向に積層される。電極体20は、セパレータ27を挟んで積層された正負のシート21,24が、その帯形状の幅方向D2に延びる捲回軸L1周りに捲回された構造を有している。
【0022】
[正極シート]
正極シート21は、正極集電体22と、正極合材層23と、を備える。正極集電体22は、長尺状に形成された箔状の電極基材である。正極合材層23は、正極集電体22の相対する2つの面の各々に設けられる。正極集電体22は、幅方向D2の一端に、正極合材層23が形成されずに正極集電体22が露出した正極側未塗工部22Aを備える。
【0023】
正極集電体22は、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金から構成される金属箔が用いられる。正極集電体22は、正極における集電体として機能する。正極集電体22が備える正極側未塗工部22Aは、捲回体の状態において、向かい合う面が互いに圧接されて正極側集電部20Aを構成する。
【0024】
正極合材層23は、液状体の正極合材ペーストの硬化体である。正極合材ペーストは、正極活物質、正極溶媒、正極導電材、及び、正極結着材を含む。正極合材層23は、正極合材ペーストが乾燥されて正極溶媒が気化することで形成される。したがって、正極合材層23は、正極活物質、正極導電材、及び、正極結着材を含む。
【0025】
正極活物質は、単電池10における電荷担体であるリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なリチウム含有複合金属酸化物が用いられる。リチウム含有複合酸化物は、リチウムと、リチウム以外の他の金属元素とを含む酸化物である。リチウム以外の他の金属元素は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、マグネシウム、モリブデン、ニオブ、チタン、タングステン、アルミニウム、リチウム含有複合酸化物にリン酸鉄として含有される鉄からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0026】
例えば、リチウム含有複合酸化物は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)である。例えば、リチウム含有複合酸化物は、ニッケル、コバルト及びマンガンを含有する三元系リチウム含有複合酸化物であり、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCoMnO)である。例えば、リチウム含有複合酸化物は、リン酸鉄リチウム(LiFePO)である。
【0027】
正極溶媒は、有機溶媒の一例であるNMP(N-メチル-2-ピロリドン)溶液が用いられる。正極導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバ等の炭素繊維、黒鉛が用いられる。正極結着材は、正極合材ペーストに含まれる樹脂成分の一例である。正極結着材は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等が用いられる。
【0028】
なお、正極シート21は、正極側未塗工部22Aと正極合材層23との境界に、絶縁層を備えてもよい。絶縁層は、絶縁性を有した無機成分と、結着材として機能する樹脂成分とを含む。無機成分は、粉末状のベーマイト、チタニア、及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1つである。樹脂成分は、PVDF、PVA、アクリルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0029】
[負極シート]
負極シート24は、負極集電体25と、負極合材層26と、を備える。負極集電体25は、長尺状に形成された箔状の電極基材である。負極合材層26は、負極集電体25の相対する2つの面の各々に設けられる。負極集電体25は、幅方向D2の一端であって、正極側未塗工部22Aと反対に位置する端部において、負極合材層26が形成されずに負極集電体25が露出した負極側未塗工部25Aを備える。
【0030】
負極集電体25は、銅又は銅を主成分とする合金から構成される金属箔が用いられる。負極集電体25は、負極における集電体として機能する。負極側未塗工部25Aは、捲回体の状態において、向かい合う面が互いに圧接されて負極側集電部20Bを構成する。
【0031】
負極合材層26は、液状体の負極合材ペーストの硬化体である。負極合材ペーストは、負極活物質、負極溶媒、負極増粘材、及び、負極結着材を含む。負極合材層26は、負極合材ペーストが乾燥されて負極溶媒が気化することで形成される。したがって、負極合材層26は、負極活物質、さらに、添加材として、負極増粘材及び負極結着材を含む。なお、負極合材層26は、導電材のような添加材をさらに含んでもよい。
【0032】
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料である。負極活物質は、例えば、黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、カーボンナノチューブ等の炭素材料等が用いられる。負極溶媒は、一例として、水である。負極分散材は、一例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いることができる。負極結着材は、正極結着材と同様のものを用いることができる。負極結着材は、一例としてSBRである。
【0033】
[セパレータ]
セパレータ27は、正極シート21と負極シート24との接触を防ぐとともに、正極シート21及び負極シート24の間で非水電解液を保持する。非水電解液に電極体20を浸漬させると、セパレータ27の端部から中央部に向けて非水電解液が浸透する。
【0034】
セパレータ27は、ポリプロピレン製等の不織布である。セパレータ27としては、例えば、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、及びイオン導電性ポリマー電解質膜等を用いることができる。
【0035】
[非水電解液]
非水電解液は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
【0036】
本実施形態では、非水溶媒としてエチレンカーボネートを採用している。非水電解液には、添加剤としてのリチウム塩としてのリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)が添加される。例えば、非水電解液におけるLiBOBの濃度が0.001以上0.1以下[mol/L]となるように、非水電解液にLiBOBを添加する。
【0037】
[電極体の収納状態]
電極体20は、その捲回軸L1が、ケース11の底面に平行に延在する状態で配置される。また、電極体20は、偏平した捲回体形状を有しており、相対する一対の平面部31と、相対する一対の平面部31の上縁を繋ぐ上湾曲部32と、平面部31の下縁を繋ぐ下湾曲部33と、を備えている。上湾曲部32は、上側に膨らむ形状を有し、下湾曲部33は、下側に膨らむ形状を有している。そして、電極体20は、下湾曲部33がケース11の底面側に位置し、上湾曲部32が蓋体12側に位置するように収容される。ケース11に収容された電極体20における一対の平面部31は、各々がケース側壁11Aと対向する。
【0038】
電極体20がケース11に収容されると、ケース11の開口は、蓋体12が配置され、レーザ溶接等の固定方法によってシールされる。ケース11の開口と蓋体12とをシールする溶接部は、ケース11をシールするためのシール部12A(図2参照)の一例である。また、集電部材14A,14Bと蓋体12との間に配置されたガスケットは、シール部12Aの一例である。この後、単電池10は、蓋体12に設けられた注入口15(図2参照)を介して、そのケース11内に電解液が注入される。その後、注入口15は、レーザ溶接等によってシールされる。注入口15をシールする溶接部は、シール部12Aの一例である。上湾曲部32は、シール部12Aに近い電極体20の上縁部となる。
【0039】
[スペーサ]
図4に示すように、組電池1は、予め設定された所定数の単電池10と、これらの各単電池10の間に介在される複数のスペーサ40と、を備えている。本実施形態の組電池1において、各単電池10は、それぞれ、配列方向Xにおいて平行なケース側壁11Aの間にスペーサ40を挟み込む状態で配置される。さらに、交互に並んで配置された各単電池10及びスペーサ40は、配列方向Xの両端位置に配置された一対のエンドプレート50間に挟み込まれる。本実施形態の組電池1は、各スペーサ40及び各エンドプレート50を拘束部材として、複数の単電池10が束ねられる構成となっている。一例として、各単電池10におけるケース側壁11Aには、拘束圧として、1MPa以上、5MPa以下の面圧が付与される。また、2MPa以上、3MPa程度の面圧が付与される。
【0040】
図5に示すように、各スペーサ40は、矩形平板で構成された基板部41と、基板部41の一方の面に設けられた複数の突出部42と、を備えている。基板部41の一方の面は、ケース側壁11Aに押し当てられる押し当て面である。複数の突出部42は、リブ形状であって、基板部41の一方の面に、櫛歯状に並んで設けられている。複数の突出部42は、基板部41の一方の面からの高さが同じである。複数の突出部42の間は、各単電池10を冷却するための通風路となる。各突出部42の先端面は、ケース側壁11Aと面接触し得るように平面で構成されている。通風路は、一例として、下端から上方に向って冷却空気が流れる。
【0041】
複数の突出部42の中で、基板部41の上縁に沿って、捲回軸L1方向に延びるリブが第1突出部43であり、上突出部である。第1突出部43は、電極体20の平面部31の上縁に対応するケース側壁11Aの対応位置の上側に延在する。すなわち、第1突出部43は、電極体20の上湾曲部32に対応するケース側壁11Aの位置に延在する。そして、第1突出部43は、ケース側壁11Aを介して上湾曲部32を押圧する。第1突出部43は、途切れなく連続して設けられた直線形状のリブである。第1突出部43は、一例として、基板部41の最上段に位置する1本である。
【0042】
第1突出部43以外の残りの複数の突出部42は、主として電極体20の平面部31に対応するケース側壁11Aの位置を押圧する第2突出部44であり、主として平面部用突出部である。第2突出部44は、捲回軸L1と平行な平行部44Aと、捲回軸L1に対して垂直な垂直部44Bと、平行部44Aと垂直部44Bと、を繋ぐ接続湾曲部44Cと、を備えている。
【0043】
上から数えて3段目以降の奇数段の第2突出部44は、平行部44Aと、接続湾曲部44Cと、垂直部44Bと、が連続した連続リブである。奇数段の第2突出部44における垂直部44Bは、下の方の平行部44Aに繋がるリブほど中央線L2より離れて延在する。また、偶数段の第2突出部44は、平行部44Aで構成されている。
【0044】
[組電池の作用]
図6に示すように、複数の突出部42は、所定の拘束圧で、ケース側壁11Aを介して電極体20を押圧する。これにより、電極体20の膨張を抑制する。これと共に、複数の突出部42は、電極体20における、極間距離を一定に維持するように機能する。この際、複数の突出部42の中で大部分を占める第2突出部44は、電極体20の平面部31に対応するケース側壁11Aの対応位置を拘束圧で押圧する。これに対して、第1突出部43は、ケース側壁11Aと上湾曲部32との間に隙間を有することで、平面部31を踏み外すことで、自ずと傾く。これにより、第1突出部43は、ケース側壁11Aに対して荷重集中することで、第2突出部44がケース側壁11Aを押圧する際の面圧よりも高い面圧で押圧することになる。その結果、当該部分の拘束圧が高まり、ケース側壁11Aの変位量が他の領域よりも大きくなる。
【0045】
単電池10のシール部12Aからは、ケース11の内部に時間経過に伴い微量ながらも水分が浸入する。すると、シール部12Aの近くである上湾曲部32やその周辺において、浸入した水分と活物質のリチウムイオンとが反応する。これにより、活物質からリチウムイオンが引き抜かれ、活物質、ひいては電極の収縮が生じる。このような場合であっても、第1突出部43は、第2突出部44よりも高い拘束圧でケース側壁11Aを介して上湾曲部32を押圧する。これにより、極間距離を維持することができ、その結果、リチウム析出を抑え、容量維持率の低下を抑えることができる。
【0046】
[実施例]
実施例では、次のように、単電池10を製造した。図7に示すように、工程101は、単電池10を組み立てる工程である。具体的に、正負のシート21,24を製造する。そして、正極シート21と負極シート24とをセパレータ27を介して積層した後、捲回し、さらに、偏平に押圧する。その後、正極側未塗工部22Aを圧接して正極側集電部20Aを形成するとともに、負極側未塗工部25Aを圧接して負極側集電部20Bを形成する。以上の手順により、電極体20が製造される。次いで、電極体20をケース11内に収容する。このとき、正極側集電部20Aは、正極側集電部材14Aを介して正極の外部端子13Aと電気的に接続される。負極側集電部20Bは、負極側集電部材14Bを介して負極の外部端子13Bと電気的に接続される。ケース11の上部の開口は、蓋体12によって塞がれる。ここで、実施例で用いられる蓋体12には、実験のため、製品等とは異なり、貫通孔が形成されており、外部雰囲気によって、ケース11内の電槽の状態が外部環境の影響を受け易く構成されている。
【0047】
ここで、ケース11の開口を蓋体12で閉塞する前において、ケース側壁11Aと電極体20のとの間には、圧力や負極抵抗を測定する複数のセンサを配置する。これらのセンサは、電極体20の上湾曲部32や下湾曲部33に安定して配置することができない。そこで、平面部31に整列して配置される。
【0048】
工程102において、電極体20の乾燥工程が行われる。一例として、電極体20は、105℃、減圧雰囲気において、1時間以上乾燥される。工程103において、一例として、電極体20の吸湿工程が行われる。一例として、温度25℃、湿度65%の環境で、12時間吸湿される。
【0049】
工程104において、注入口15からは、ケース11内に非水電解液が注入される。注液後、注入口15がシールされる。このように構成された実施例での単電池10は、工程105において、初期充電が行われ、次いで、活性化される。工程106において、リチウムの析出試験を行う。
【0050】
[実施例1]
図6に示すように、平面部31において、平面部31の上縁であって平面部31と上湾曲部32との境界位置を位置1(第1位置)と定義し、位置1から一定間隔を隔てた上から2番目の位置を位置2と定義する。さらに、位置2から一定間隔を隔てた上から3番目の位置を位置3と定義し、平面部31の下縁であって平面部31と下湾曲部33との境界位置を位置4(第2位置)と定義する。位置1と位置2、位置2と位置3、および位置3と位置4との間隔は等しい。
【0051】
そして、平面部31の上縁(位置1)と平面部31の下縁(位置4)との距離、すなわち平面部31の高さを(A)とする。また、平面部31の上縁(位置1)から第1突出部43の(位置1)に近い側の角の位置までの距離、すなわち第1突出部43から平面部31までの距離を(B)とする。換言すると、(B)は、平面部31の上縁からの第1突出部43の飛び出し量である。実施例1では、(A)に対する(B)の割合(C)、すなわち(位置1)から上湾曲部32側への飛び出し割合(C)を13.6%に設定している。
【0052】
[実施例2]
実施例2では、(A)に対する(B)の割合(C)、すなわち(位置1)から上湾曲部32側への突出量を7.8%に設定している。
【0053】
[実施例3]
実施例3では、(A)に対する(B)の割合(C)、すなわち(位置1)から上湾曲部32側への突出量を4.5%に設定している。
【0054】
[比較例]
比較例では、(A)に対する(B)の割合(C)、すなわち(位置1)から上湾曲部32側への突出量を-2.9%に設定している。すなわち、突出部42は、平面部31の上だけに位置し、上湾曲部32の上側に位置していない。比較例において、スペーサ40は、第1突出部43と定義可能なリブを備えていない。
【0055】
実施例1、実施例2、実施例3、及び比較例は、正極シート21と負極シート24とをセパレータ27を介して積層した積層体を、捲回する際の捲芯径を大きくすることで、(A)を大きくし、一方で、(B)が小さくなるように設定している。
【0056】
【表1】
【0057】
図8は、比較例における負極板抵抗分布を示す図である。図8において、上側は、上湾曲部32であり、下側は、下湾曲部33である。また、図9は、位置1~位置4の各位置における負極抵抗の平均値を示す。図8において、色の濃い領域ほど高抵抗を示している。
【0058】
比較例では、位置1の周辺の負極抵抗が位置2、位置3、及び位置4の負極抵抗よりも高くなることを確認できる(図8及び図9参照)。これは、シール部12Aを介して電極体20に水分が浸入したことが原因だと考えられる。このまま使用を続けると、浸入した水分と活物質のイオン等の電荷担体とが反応し、活物質、ひいては電極体20の収縮が生じ、リチウム析出が発生する。なお、左右方向中央において上下方向に負極抵抗が高い領域があるが、これは、上湾曲部32が浸入した水分と反応したことを原因として負極抵抗が高まったものではない。
【0059】
図10は、実施例1における拘束圧の面圧分布を示す。図10において、色の濃い領域ほど高圧力を示している。また、図11は、実施例1における位置1、位置2、位置3、及び位置4の各位置における拘束圧の平均値を示す。実施例1では、スペーサ40が第1突出部43を備えている。したがって、位置1における拘束圧が位置2、位置3、位置4よりも高いことを確認できる。図11に示すように、比較例では、第1突出部43を備えていないことから、位置1において、実施例1と比べて拘束圧が低くなっている。また、比較例では、位置1~位置4にかけて拘束圧がほぼ同程度であることが確認できる。
【0060】
【表2】
【0061】
上記表2は、実施例1~実施例3における容量維持率を示している。充放電サイクル数「0」、「50」、「100」、「150」、「200」、「250」、「300」、「350」の各々について、容量維持率を算出した。この際、充電電流値(A)も、「0」、「210」、「220」、「230」、「240」、「250」、「260」、「280」と順次高くした。図12は、サイクル数に対する容量維持率を示している。実施例1~実施例3は、比較例よりも、サイクル数が増えても、容量維持率の低下が少ないことを確認することができる。
【0062】
すなわち、実施例1~実施例3では、第1突出部43が平面部31を踏み外すことで、自ずと傾く。したがって、第1突出部43側壁を押圧する位置は、第2突出部44がケース側壁11Aを押圧する位置より、高い拘束圧で押圧される。したがって、上湾曲部32やその周辺において、電極の収縮が生じても、極間距離を維持することができ、その結果、リチウム析出を抑え、容量維持率の低下を抑えることができる。
【0063】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)各単電池10のシール部12Aからは、ケース11の内部に時間経過に伴い微量ながらも水分が浸入する。すると、シール部12Aの近くである電極体20の上湾曲部32やその周辺において、浸入した水分とリチウムイオンとが反応することで、活物質からリチウムイオンが引き抜かれ、活物質、ひいては電極体20の収縮が生じる。すると、上湾曲部32やその周辺に対するスペーサ40による拘束圧が弱まり、その結果、当該部分での適切な極間距離を維持することが困難となって、容量維持率の低下につながるおそれがある。
【0064】
この点、ケース側壁11Aの上湾曲部32に対応する位置を、第1突出部43で押圧することで、当該部分の拘束圧が高まり、ケース側壁11Aの変位量が他の領域よりも大きくなる。これにより、電極体20の収縮が生じても、極間距離を維持することができる。その結果、リチウム析出を抑え、容量維持率の低下を抑えることができる。
【0065】
(2)ケース側壁11Aと上湾曲部32の間に隙間があっても、第1突出部43が平面部31を踏み外すことで、自ずと傾く。これにより、ケース側壁11Aの上湾曲部32に対応する位置を、荷重が集中し高まった状態で押圧できる。その結果、電極体20の収縮が生じても、極間距離を維持することができる。
【0066】
(3)第1突出部43が上縁の延びる方向に、連続して途切れなく延びて構成されている。したがって、ケース側壁11Aの上湾曲部32に対応する位置を、上縁の延びる方向に途切れることなく連続的に押圧できる。
【0067】
(4)複数の突出部42は、基板部41に対して同じ高さである。したがって、平坦なケース側壁11A全体を、第1突出部43及び第2突出部44で押圧できる。そして、ケース側壁11Aの上湾曲部32に対応する位置は、第1突出部43が傾くことで拘束圧を高めることができる。
【0068】
(5)第1突出部43による押圧位置の平面部31の上縁からの飛び出し割合である(C)を4.5%以上、13.6%以下とすることで、リチウム析出を抑え、そして、容量維持率の低下を抑えることができる。
【0069】
[変形例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・上湾曲部32をケース側壁11Aを介して第1突出部43で押圧できるのであれば、第1突出部43による押圧位置の平面部31の上縁からの飛び出し割合である(C)は、4.5%以上、13.6%以下に限定されるものではない。すなわち、4.5%未満でもよいし、13.6%超であってもよい。
【0070】
・複数の突出部42は、基板部41に対して同じ高さでなくてもよい。一例として、ケース側壁11Aが撓み易ければ、第1突出部43を第2突出部44よりも背高としてもよい。これにより、上湾曲部32に対応する位置をより高い拘束圧で押圧できる。
【0071】
・第1突出部43は、上湾曲部32の延びる方向に連続したリブでなくてもよい。一例として、連続したリブの一部が途切れていてもよい。また、上湾曲部32の延びる方向に点線形状を有するリブであってもよい。
【0072】
・電極体20は、捲回体ではなく、正極シート21と負極シート24とをセパレータ27を介して積層した積層体をケース11に収容したものであってもよい。この場合、電極体20は、上湾曲部32や下湾曲部33が存在しないことになる。第1突出部43は、ケース側壁11Aにおける平面部31の上縁に対応する対応位置よりも上側の位置を、平面部31を踏み外した状態で押圧することになる。
【0073】
・第1突出部43は最上段の1本に限定されるものではなく、上湾曲部32に対応する位置に延在するのであれば、上から2本や3本であってもよい。
・スペーサ40における突出部42の構成は、図5図6の構成に限定されるものではない。一例として、複数の突出部42は、全て、捲回軸L1と平行な方向に延びる同じ高さのリブが等間隔に設けられていてもよい。このように横線状にリブが設けられたスペーサ40においては、上湾曲部32に対応する位置に延在する最上段または最上段から数本の突出部が第1突出部43であり、平面部31に対応する位置に延在する残りの突出部が第2突出部44となる。
【0074】
また、複数の突出部42は、上下方向に延び、捲回軸L1と垂直な方向に平行、且つ、等間隔に設けられていてもよい。この場合、上湾曲部32に対応するケース側壁11Aの位置を押圧する部分が第1突出部43となる。
【0075】
・第1突出部43は、平坦面ではなく、1つの円弧面や複数の突部を備えた凹凸面で構成されていてもよい。また、各先端面は、一端から他端に向って傾斜する傾斜面で構成されていてもよい。また、各先端面は、これら様々な形状が組み合わさって構成されていてもよい。
【0076】
・複数の突出部42は、等間隔に設けられていなくてもよい。すなわち、部分的に複数の突出部42の間隔が狭くなっていてもよいし、広くなっていてもよい。
・単電池10は、リチウムイオン二次電池に限定されず、正極シート21と負極シート24と非水電解液とを備える構成であれば、ニッケル水素二次電池などであってもよい。
【0077】
・リチウムイオン二次電池である単電池10は、自動搬送機や荷役用の特殊自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の他、コンピュータ、その他の電子機器に搭載されるものであってもよく、これ以外のシステムを構成するものであってもよい。例えば、船舶、航空機等の移動体に設けられるものであってもよく、発電所から変電所等を介して二次電池が設置されたビルや家庭等に電力を供給する電力供給システムであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…組電池
10…単電池
11…ケース
11A…ケース側壁
12A…シール部
15…注入口
20…電極体
31…平面部
32…上湾曲部
33…下湾曲部
40…スペーサ
41…基板部
42…突出部
43…第1突出部
44…第2突出部
44A…平行部
44B…垂直部
44C…接続湾曲部
50…エンドプレート
52…拘束バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12