(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/531 20210101AFI20241025BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/184 D
(21)【出願番号】P 2023115070
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2020511720の分割
【原出願日】2019-03-27
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2018074200
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018074201
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下司 真也
(72)【発明者】
【氏名】粂 信吾
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】実公平3-51887(JP,Y2)
【文献】特開2010-250970(JP,A)
【文献】特開2006-253131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部、前記筒部の一方の端部を閉じる底壁および前記筒部の他方の端部に連続する開口縁を有する電池缶と、
前記筒部に収容された電極体と、
前記開口縁の開口を封口するように前記開口縁に固定され、前記電池缶の内側を向く第1主面、前記第1主面とは反対側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面とを繋ぐ側面を有する封口体と、を備え、
前記封口体は、封口板と、前記封口板の周縁部に配されたガスケットと、を有し、
前記電極体から内部リード線が導出され、前記内部リード線が前記封口板に接続しており、
前記内部リード線が前記ガスケットに固定されており、
前記ガスケットは、前記周縁部の前記電極体側に配された内側リング部と、前記周縁部の前記電極体と反対側に配された外側リング部と、前記周縁部の端面を覆う側壁部と、前記内側リング部に連続して前記電極体との対向面に配されたリード線保持部と、を有し、
前記リード線保持部によって、前記内部リード線が前記ガスケットに固定されており、
前記リード線保持部は、前記封口板の面方向に沿って延在する前記内部リード線の上方において、前記内部リード線と前記封口板の間に介在している、電
池。
【請求項2】
前記リード線保持部は、前記封口板の面方向に沿って前記内部リード線が挿通される筒状部を有する、請求項
1に記載の電
池。
【請求項3】
前記リード線保持部は、スナップフィット機構によって前記筒状部を形成している、請求項
2に記載の電
池。
【請求項4】
前記ガスケットの前記内側リング部、前記外側リング部、前記側壁部、および、前記リード線保持部が、一体成型されている、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電
池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池と、これらを電気的に接続するバスバーと、を備える電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、複数を並列あるいは直列に接続されて用いられる場合がある。この場合、各電池の電極同士は、バスバーで電気的に接続される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池缶の開口が封口体により封口される電池において、通常、電池缶は一方の外部端子として機能し、封口体は他方の外部端子として機能する。例えば、特許文献1のように、負極は、電池缶の底部から集電される。一方、正極は、電池缶の底部に対向するように配置されている封口体から集電される。つまり、各電極に外部リード線をそれぞれ接続する場合、負極用の外部リード線は電池の下面から導出され、正極用の外部リード線は電池の上面から導出される。よって、電池の上下方向に配線のための空間が必要である。
【0005】
両極を電池の封口体側から集電する場合、正極用の外部リード線および負極用の外部リード線は、それぞれ近接して配置される。信頼性の観点から、正極用の外部リード線と負極用の外部リード線との接触を防ぐ必要がある。しかし、接続される電池が増えると、配線が複雑化して、外部リード線同士が意図せずに接触するおそれがある。この接触を防ぐためには、配線のためのより広い空間が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、複数の電池と、複数の前記電池を電気的に接続するバスバーと、を備え、前記電池は、筒部、前記筒部の一方の端部を閉じる底壁および前記筒部の他方の端部に連続する開口縁を有する電池缶と、前記筒部に収容された電極体と、前記開口縁の開口を封口するように前記開口縁に固定され、前記電池缶の内側を向く第1主面、前記第1主面とは反対側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面とを繋ぐ側面を有する封口体と、を備え、前記バスバーは、前記電池を嵌め込む複数の貫通孔を備えており、前記貫通孔に嵌め込まれた前記電池の前記開口縁の少なくとも一部は、前記バスバーと接触し、前記開口縁と前記バスバーとは、電気的に接続されており、前記封口体と前記バスバーとは、電気的に絶縁されている、電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池同士を接続するために必要な空間を小さくすることができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
【
図1C】
図1AのX-X線における断面の一部を示す縦断面模式図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係る電池の縦断面模式図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係るバスバーを模式的に示す斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る他の電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示す電池モジュールを展開して示す斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る電池の要部の縦断面模式図である。
【
図6】同電池において、電池缶の外観を示す斜視図である。
【
図7】封口体にリード線が接続された状態を示す斜視図である。
【
図8】同電池において、内圧上昇時の封口体近傍の状態を示す断面図である。
【
図9】同電池において、内圧上昇時の封口体近傍の別の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る電池モジュールは、複数の電池と、複数の電池を電気的に接続するバスバーと、を備える。電池は、筒部、筒部の一方の端部を閉じる底壁および筒部の他方の端部に連続する開口縁を有する電池缶と、筒部に収容された電極体と、開口縁の開口を封口するように開口縁に固定される封口体と、を備える。封口体は、電池缶の内側を向く第1主面、第1主面とは反対側の第2主面、および、第1主面と第2主面とを繋ぐ側面を有する。バスバーは、電池を嵌め込む複数の貫通孔を備えており、貫通孔に嵌め込まれた電池の開口縁の少なくとも一部は、バスバーと接触している。開口縁とバスバーとは、電気的に接続されている一方、封口体とバスバーとは、電気的に絶縁されている。
【0010】
封口体は、電池の一方の電極(例えば、正極)の外部端子として機能する。一方、バスバーの貫通孔には、直接、電池缶が嵌め込まれており、バスバーは、電池の他方の電極(例えば、負極)の外部端子および外部リード線として機能する。よって、配線が極めてシンプルになって、配線空間は省スペース化される。また、バスバーは、開口縁側に配置されるため、両方の電極をともに、封口体の近傍(例えば、第2主面側)から集電することができる。
【0011】
バスバーは、電池缶の開口縁を介して、封口体の側面の少なくとも一部を覆う第1部分を有してもよい。第1部分は、例えば、貫通孔の周縁から電池缶の開口縁に沿うように立ち上がっている。つまり、貫通孔の周縁の電池缶の軸方向(以下、Z方向とも称する。)に沿った断面は、略L字形状であってもよい。これにより、電池缶との接触面積が大きくなって集電性が向上する。さらに、電池缶をバスバーに嵌め込む際の方向が決め易くなる。
【0012】
バスバーは、封口体の第2主面の外周縁の少なくとも一部を覆う第2部分を有してもよい。第2部分は、例えば、貫通孔の周縁から貫通孔の中心に向かって延出しており、貫通孔の一部を覆う。これにより、電池缶のバスバーに対する嵌め込みの量が決め易くなる。さらに、バスバーの面積が増えるため、抵抗が小さくなる。第2部分と封口体の第2主面との間には、電池缶の開口縁が介在していてもよい。
【0013】
バスバーは、第1部分および第2部分の両方を有していてもよい。これにより、電池缶はバスバーに固定され易くなる。
【0014】
開口縁の端面が、封口体の側面上に配置されている場合、つまり、電池缶の開口縁が、封口体の第2主面を覆っていない場合、本実施形態に係るバスバーは特に有用である。通常、この場合、外部リード線を使うことなく、両方の電極を封口体の第2主面側から集電することは困難である。しかし、電池缶を嵌め込むことのできるバスバーを用いることで、外部リード線を使うことなく、電池缶と同電位の電極を封口体の第2主面側から容易に集電することができる。
【0015】
封口体は、例えば、導電性の封口板と、封口板の周縁部に配された絶縁性のガスケットと、を有する。
【0016】
開口縁の端面が封口体の側面上に配置されている場合、ガスケットの少なくとも一部は、開口縁の端面よりも電池缶の軸方向に突出していてもよい。ガスケットにより、封口体(封口板)とバスバーとの絶縁はより確実になる。
【0017】
開口縁の端面が封口体の側面上に配置されている場合、電池缶の高さ方向において、封口体と接触する最低位置における開口縁の外径は、筒部の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、開口縁と筒部との境界が明確になって、電池缶のバスバーに対する嵌め込みの量がさらに決め易くなる。
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る電池モジュールおよび電池について、適宜図面を参照しながら説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。図示例において、同じ機能を有する部材には、同じ符号を付している。
【0019】
図1Aは、本実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
図1Bは、同電池モジュールを、
図1Aとは反対側から見た斜視図である。
図1Cは、
図1AのX-X線における断面の一部を示す縦断面模式図である。
図2Aは、本実施形態に係る電池の縦断面模式図である。
図2Bは、
図2Aに示す電池の斜視図である。
図3Aは、本実施形態に係るバスバーを模式的に示す斜視図である。
図3Bは、同バスバーを、
図3Aとは反対側から見た斜視図である。
【0020】
電池10Aは、円筒型であって、円筒型の有底の電池缶100Aと、電池缶100Aに収容された円筒型の電極体200Aと、電池缶100Aの開口を封口する封口体300Aと、電池缶100Aと電気的に接続するとともに、封口体300Aと電気的に絶縁されたバスバー600と、を具備する。複数の電池10Aは、バスバー600に設けられた複数の貫通孔603(
図3A参照)に嵌め込まれている。
【0021】
電池缶100Aは、電極体200Aを収容する筒部120Aと、筒部120Aの一方の端部を閉じる底壁130Aと、筒部120Aの他方の端部に連続する開口縁110Aとを有する。開口縁110Aの開口は、封口体300Aにより塞がれている。
【0022】
電池缶100Aの高さ方向において、封口体300Aと接触する最低位置における電池缶100Aの開口縁110Aの外径は、筒部120Aの外径よりも小さくてもよい。これにより、開口縁110Aと筒部120Aとの境界が明確になって、電池缶100Aのバスバー600に対する嵌め込み量が決め易くなる。
【0023】
例えば、開口縁110Aは、筒部120Aとの境界に、筒部120Aの外径を小さくするテーパ領域110Sを備えてもよい。テーパ領域110Sは、例えば、Z方向と45°未満の角度を成す。
【0024】
封口体300Aは、電池缶100Aの内側を向く第1主面300Xと、第1主面300Xとは反対側の第2主面300Yと、第1主面300Xと第2主面300Yとを繋ぐ側面300Zと、を備える。電池缶100Aの開口縁110Aの端面110Tは、封口体300Aの側面300Z上にあり、開口縁110Aは、封口体300Aの第2主面300Yの外周縁を覆っていない。
【0025】
貫通孔を備えるバスバー600を用いることで、開口縁110Aが第2主面300Yを覆っていない場合であっても、外部リード線を使うことなく、電池缶100Aと同電位の電極を第2主面300Y側から集電することができる。
【0026】
ただし、開口縁110Aの端面110Tは、封口体300Aの第2主面300Y上にあってもよい。つまり、開口縁110Aの一部は、第2主面300Yの外周縁を覆っていてもよい。
【0027】
バスバー600は、例えば、第3主面600Xとその反対側の第4主面600Yとを備える板状物であり、貫通孔603は、第3主面600Xから第4主面600Yまで貫通している。電池10Aは、例えば、バスバー600の第4主面600Y側から、貫通孔603に嵌め込まれる。
【0028】
バスバー600は、電池缶100Aの開口縁110Aを介して、封口体300Aの側面300Zを覆う第1部分601と、封口体300Aの第2主面300Yの外周縁を覆う第2部分602と、を有する。第1部分601と開口縁110Aの外表面との間には、導電性の接合材を介在させてもよい。
【0029】
第1部分601は、貫通孔603の周縁から電池缶100Aの開口縁110Aに沿うように立ち上がっている。第2部分602は、貫通孔603の周縁から貫通孔603の中心に向かって延出しており、貫通孔603の一部を覆う。ただし、バスバー600の形状はこれに限定されない。
【0030】
第1部分601の相当部分および第2部分602は、例えば、バスバー600の材料である板状物を打ち抜いて貫通孔603を形成する際に、同時に形成される。その後、上記相当部分を折り曲げて、第1部分601が形成される。
【0031】
図示例において、貫通孔603の直径は封口体300Aの外径と同程度であって、バスバー600は、第1部分601と開口縁110Aとの接触により、電池缶100Aと電気的に接続している。電池10Aのバスバー600に対する嵌め込み量は、第2部分602により規制される。
【0032】
この場合、無負荷状態における第1部分601の第4主面600Yに対する角度θ(
図3B参照)は、90度以上であることが好ましい。つまり、第1部分601は、貫通孔603の径を小さくするように立ち上がっていることが好ましい。このような第1部分601を備えるバスバー600に電池10Aを圧入して嵌め込むことにより、第1部分601と開口縁110Aとが接触しやすくなって、集電性がさらに向上する。
【0033】
角度θは、例えば90度~95度であってもよい。
【0034】
封口体300Aは、封口板310Aと、封口板310Aの周縁部311Aに配されたガスケット320Aとを有する。封口板310Aは、円盤状もしくはディスク状であり、防爆機能を有する。具体的には、封口板310Aは、構造的強度を確保するための厚肉の周縁部311Aおよび中央領域312Aと、防爆機能を発揮する薄肉部313Aとを具備する。薄肉部313Aは、周縁部311Aと中央領域312Aとの間の環状領域に設けられる。中央領域312Aの内側面には、電極体200Aを構成する正極または負極から導出された内部リード線210Aの端部が接続されている。よって、封口板310Aは一方の端子機能を有する。そのため、本実施形態によれば、電池10Aの両方の電極を、ともに封口体300Aの第2主面300Y側から集電することができる。
【0035】
電池缶100Aの内圧が上昇すると、封口板310Aが外方に向けて盛り上がり、例えば周縁部311Aと薄肉部313Aとの境界部に張力による応力が集中し、その境界部から破断が生じる。その結果、電池缶100Aの内圧が開放され、電池10Aの安全性が確保される。ただし、封口体300Aの形状はこれに限定されない。
【0036】
ガスケット320Aは、外側リング部321Aおよび内側リング部322Aと、外側リング部321Aと内側リング部322Aとを繋ぐ側壁部323Aとを有する。封口板310Aの周縁部311Aの端面311Tは、側壁部323Aで覆われている。外側リング部321Aと内側リング部322Aとが、封口板310Aの周縁部311Aを挟み込むことで、ガスケット320Aが封口板310Aに固定されている。
【0037】
電池10Aの電池缶100Aの高さ方向において、ガスケット320Aの内側リング部322Aと接触する最低位置における電池缶100Aの開口縁110Aの外径は、筒部120Aの外径よりも小さくなっている。また、外側リング部321Aは、開口縁110Aの端面110Tよりも電池缶100AのZ方向に突出している。この場合、バスバー600は特に有用である。外側リング部321Aにより、封口板310Aとバスバー600との絶縁がより確実になるためである。
【0038】
外側リング部321A、内側リング部322Aおよび側壁部323Aは一体化された成型体である。ガスケット320Aは、例えばインサート成型により封口板310Aと一体成型され得る。一体成型によれば、封口板310Aとガスケット320Aとが相互に密着した状態が容易に達成される。封口板310Aとガスケット320Aとが一体成型されることで、封口体300Aを一部品として取り扱うことができ、電池10Aの製造が容易になる。
【0039】
防爆機能を妨げない点で、バスバー600は、薄肉部313Aを覆わないことが好ましく、周縁部311Aと薄肉部313Aとの境界部を覆わないことがより好ましい。つまり、貫通孔603は、薄肉部313Aを覆わない程度の径を有することが好ましい。貫通孔603の直径は、例えば、ガスケット320Aの外側リング部321Aの内径よりも大きく、外側リング部321Aの外径以下である。
【0040】
同様の観点から、バスバー600の第2部分602は、薄肉部313Aを覆わないことが好ましく、周縁部311Aと薄肉部313Aとの境界部を覆わないことがより好ましい。第2部分602は、例えば、貫通孔603の周縁から、周縁部311Aと薄肉部313Aとの境界部までの間に延出している。好ましくは、第2部分602は、その全体が外側リング部321A上にあるように、貫通孔603の周縁から延出している。
【0041】
本実施形態において、開口縁110Aの少なくとも一部は、ガスケット320Aの側壁部323Aを封口板310Aの周縁部311Aの端面311Tに対して押圧し、側壁部323Aを開口の径方向に圧縮していることが好ましい。これにより、電池缶100Aの開口縁110Aと封口体300Aとの間の密閉性を確保し易くなる。例えば、開口縁110Aは、ガスケット320AをZ方向ではなく、Z方向と垂直な方向(以下、XY方向とも称する。)に押圧する。この場合、開口縁110Aがガスケット320Aを押圧する力をZ方向とXY方向とに分解すると、XY方向のベクトルは、Z方向のベクトルよりも大きなスカラー量を有する。
【0042】
以下、開口縁110Aがガスケット320AをXY方向に押圧する場合に適した封口板310A、ガスケット320Aおよび開口縁110Aについて説明する。
【0043】
図2Aでは、開口縁110Aの内側に、縮径された突起部111が開口の周方向に沿って形成されている。この突起部111が、側壁部323Aを端面311Tに対して押圧している。ガスケット320Aの側壁部323Aには、突起部111に対応する位置に、予め凹部3231を設けておいてもよい。ガスケット320Aに凹部3231を設けることで、側壁部323Aが圧縮されたときのガスケット320Aの過度な変形を抑制し得る。
【0044】
突起部111は、開口の周方向に沿って間欠的に複数形成してもよく、開口の周方向に沿って連続的に形成してもよい。連続的に形成された突起部111は、開口の周方向に沿った環状の溝部を形成し得る。突起部111は、ガスケット320Aもしくはその側壁部323Aを、封口板310Aの周縁部311Aの端面311Tに向けてより強く押圧し得る。よって、封口体300Aと開口縁110Aとの間の密閉性がより確実に確保される。突起部111を間欠的に複数形成する場合、開口の中心に対して角度的に等価な位置に複数(少なくとも2箇所、好ましくは4箇所以上)の突起部111を設けることが好ましい。
【0045】
電池缶100Aの高さ方向において、突起部111の位置と端面311Tの中心位置とは実質的に同一である。これにより、封口板310Aとガスケット320Aの変形が抑制される。また、ガスケット320Aもしくはその側壁部に印加される圧力も偏りにくくなる。よって、ガスケット320Aの変形が抑制されやすく、かつガスケット320Aの圧縮率を高めることができ、封口体300Aと開口縁110Aとの間の密閉性がより顕著に確保され得る。
【0046】
突起部111の位置と封口板310Aの端面311Tの中心位置とが実質的に同一であるとは、電池缶100Aの高さ方向において、突起部111の位置と封口板310Aの端面311Tの中心位置とのずれ量が、電池缶100Aの高さHの4%以下であることを意味する。
【0047】
周縁部311Aの端面311Tの中心位置には、開口縁110Aが有する突起部111に対応するように凹溝3111が形成されている。
【0048】
電池缶100Aの高さ方向において、凹溝3111の中心位置と突起部111の位置とのずれ量は、電池缶100Aの高さHの4%以下であればよい。
【0049】
上記構成によれば、電池缶内を密閉するためにガスケットをZ方向に押圧する必要がない。そのため、電池缶100Aは、ガスケット320Aと電極体200Aとの間に介入する縮径部を有さなくてもよい。この場合、封口体300Aと電極体200Aとの最短距離は、例えば2mm以下、好ましくは1.5mm以下、さらには、1mm以下にすることが可能である。
【0050】
封口板310Aと同電位の電極を、バスバーで集電してもよい。これにより、接続構造はさらにシンプルになる。
図4Aは、封口板と同電位の電極をバスバーにより集電する電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aに示す電池モジュールを展開して示す斜視図である。
【0051】
封口板と同電位の電極は、例えば、板状物の第2バスバー700により集電される。第2バスバー700は、例えば、上記バスバー600(以下、第1バスバー600と称する場合がある。)と同形状であって、第1バスバー600に積層するように配置されてもよい。第2バスバー700は、第1バスバー600の貫通孔603に対応する第2貫通孔703を有する。
【0052】
第2バスバー700は、封口板に接触する第3部分701を有する。第3部分701は、例えば、封口板の中央領域に接触する。第3部分701は、第2貫通孔703の周縁から封口板の中央領域に向かって延出しており、第2貫通孔703の一部を覆う。
【0053】
第1バスバー600と第2バスバー700との間には、絶縁部材800を介在させる。絶縁部材800もまた、第1バスバー600の貫通孔603に対応する第3貫通孔803を有する。
【0054】
内部リード線は、封口板に接続されるとともに、ガスケットに固定されてもよい。これにより、安全機構が占める電池内の空間を小さくできるため、高容量化が容易となる。
【0055】
以下において、封口体から電極体に向かう方向を下方向、電極体から封口体に向かう方向を上方向とする。一般に、電池缶を底部が下になるように直立させたときに、開口縁に向かう筒部の軸に平行な方向が上方向である。
【0056】
従来、防爆機能と電流遮断機能の両方を備えた電池を実現するには、防爆機能を奏するための部材(防爆弁)と、電流を遮断するための部材の2つを電池内に設ける必要があり、電池内において一定の空間を占めていた。
【0057】
電流遮断機能は、通常使用時においては、電極体から導出された内部リード線が封口板と電気的に接続している一方、異常時においては、内部リード線と封口板との電気的接続が断たれることによって実現される。内部リード線が封口板に固定されている場合、異常時において電池の内圧が上昇すると、封口板が上方向に盛り上がる変形に追随して内部リード線も変形してしまうため、電流を遮断することができない。そこで、従来構成では、電流を遮断するための部材(リード線取り付け部材)に内部リード線を固定したうえで、防爆弁とリード線取り付け部材との電気的接続を制御することによって、電流遮断機能を実現していた。このため、防爆弁とリード線取り付け部材の少なくとも2つの部品を要した。
【0058】
これに対し、内部リード線をガスケットに固定する場合、内部リード線を、電流を遮断するための部材として機能させることができる。これにより、安全機構に必要な部品点数が削減される。また、電池内の安全機構に占める空間を節約できるため、節約した空間を電極体の容積に割り当てることができ、高容量化が可能となる。
【0059】
内部リード線がガスケットに固定されるとは、電池内圧の上昇により上方向の圧力が封口体に加わる場合であっても、封口板などの内部リード線と電気的に接続する部材の変形に追随して内部リード線が変形しないように、内部リード線の変形がガスケットによって規制されていることを意味する。
【0060】
ガスケットは、例えば、封口板の周縁部の電極体側(内側)に配された内側リング部と、封口板の周縁部の電極体と反対側(外側)に配された外側リング部と、封口板の周縁部の端面を覆う側壁部とを有する。この場合、ガスケットの内側リング部に連続して、電極体との対向面に配されたリード線保持部を設けるとよい。リード線保持部を介して、内部リード線がガスケットに固定される。内側リング部、外側リング部、側壁部、および、リード線保持部は、一体で成型されるものであってもよい。
【0061】
リード線保持部には、内部リード線を固定するための固定部を設けることができる。固定部は、リード線保持部と一体で形成されるものであってよく、あるいは、別部材としての固定部がリード線保持部に取り付けられるものであってもよい。後者の場合、固定部を取り付けるための取付部をリード線保持部に設けてもよい。
【0062】
リード線保持部は、例えば、内部リード線を封口板の面方向に沿って延在させるとともに、延在する内部リード線と封口板の間に介在するように配してもよい。これにより、内部リード線をガスケットに固定することができる。
【0063】
好ましくは、リード線保持部は、封口板の面方向に沿って内部リード線が挿通される筒状部を有する。当該筒状部は、スナップフィット機構によって形成されてもよい。
【0064】
好ましくは、固定部は筒状部材により形成される。筒状部材に内部リード線を挿通することによって、内部リード線がリード線保持部に固定され、内部リード線がガスケットに固定されるとよい。
【0065】
筒状部材は、スナップフィット機構により組み立てられたものであってもよい。例えばクリップ機構を利用することで筒状部材の筒部分を容易に形成できる。
【0066】
より好ましくは、封口体は、封口板とガスケットが一体成型された封口体を用いるとよい。一体成型の方法としては、インサート成型を用いることができる。封口板とガスケットとが一体成型されることで、封口体を一部品として取り扱うことができ、電池の製造が容易になる。
【0067】
封口板とガスケットが一体成型された封口体を用いることによって、ガスケットを任意の形状に作製できることから、固定部がリード線保持部に形成されたガスケット、または、固定部を取り付けるための取付部がリード線保持部に形成されたガスケットを容易に作製できる。
【0068】
電池の封口は、一般に、開口縁と筒部との間に、開口縁および筒部よりも内径の小さな縮径部を設け、縮径部上に配置した封口体を、ガスケットおよび封口板を挟み込むように金属缶の開口縁を介して上下方向から押圧しかしめ加工することによって行われている。しかしながら、封口板とガスケットが一体成型された封口体は、上記の封口方法により製造された電池に限られず、従来の縮径部を設けない封口方法を採用する場合においても好ましく用いることができる。縮径部を設けないことにより、縮径部の幅(高さ)の分だけ電極体の幅(高さ)を長くすることができるため、一層の高容量化が可能である。
【0069】
以下、本発明の実施形態に係る電池であって、内部リード線がガスケットに固定されており、かつ、電池缶が縮径部を有する場合について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電池モジュールは、この電池を複数備えてもよい。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0070】
電池は、円筒型を有し、円筒型の有底の電池缶と、缶内に収容された円筒型の電極体と、電池缶の開口を封口する封口体とを具備する。
図5は、本実施形態に係る電池の要部の縦断面模式図であり、
図6は同電池の斜視図である。
【0071】
電池缶100Bは、電極体200Bを収容する筒部120Bと、筒部120Bの一方の端部を閉じる底壁130Bと、筒部120Bの他方の端部に連続する開口縁110Bとを有する。開口縁110Bの開口は、封口体300B(
図7参照)により閉じられている。
【0072】
封口体300Bは、封口板310Bと、封口板310Bの周縁部311Bに配されたガスケット320Bとを有する。封口板310Bは、円盤状もしくはディスク状であり、防爆機能を有する。具体的には、封口板310Bは、構造的強度を確保するための厚肉の周縁部311Bおよび中央領域312Bと、防爆機能を発揮する薄肉部313Bとを具備する。薄肉部313Bは、周縁部311Bと中央領域312Bとの間の領域に設けられる。中央領域312Bの内側面には、電極体200Bを構成する正極または負極から導出された内部リード線210Bの端部が接続されている。よって、封口板310Bは一方の端子機能を有する。
【0073】
ガスケット320Bは、外側リング部321Bおよび内側リング部322Bと、外側リング部321Bと内側リング部322Bとを繋ぐ側壁部323Bと、リード線保持部324とを有する。リード線保持部324は、封口板の中央領域312Bの下方において電極体200Bと対向する位置に、内側リング部322Bに連続して配されている。封口板310Bの周縁部311Bの端面311Tは、側壁部323Bで覆われている。
【0074】
リード線保持部324には、内部リード線210Bをガスケット320Bに固定するための固定部325が設けられている。固定部325を介して、内部リード線210Bがガスケット320Bに固定される。固定部の具体的な構造については、後述する。
【0075】
封口体300Bは、封口板310Bとガスケット320Bが一体成型されたものであってもよい。ただし、その場合、電池内圧の上昇に伴い、封口板310Bの変形に追随して内部リード線210Bを固定する固定部325が変形しないように、リード線保持部の少なくとも固定部325は封口板310Bと密着しない。封口板310Bと固定部325とは、接触していないか、内圧上昇に伴う封口板310Bの僅かな変形によって封口板310Bと固定部325との接合が外れるように弱く接触している。
【0076】
電池缶100Bの筒部120Bと開口縁110Bの間には、開口縁110Bの筒部分の内径および筒部120Bの内径よりも内径の小さな縮径部140が設けられている。すなわち、開口縁110Bは、縮径部140を介して筒部120Bと連続している。
【0077】
内側リング部322Bとリード線保持部324の間には、第1の開口326が設けられている。また、リード線保持部324の中央部には、第2の開口327が設けられている。第1の開口326および第2の開口327によって、封口板310Bの下面(電極体と対向する面)が露出する。第1の開口326は、電池内の内圧が高くなった際に、圧力を封口板310Bに伝える役割を有する。一方、第2の開口327は、封口板310Bの中央領域312Bにおいて、封口板310Bと内部リード線210Bとを電気的に接続可能とするために配されている。
【0078】
外側リング部321B、内側リング部322B、側壁部323B、および、リード線保持部324は一体化された成型体である。ガスケット320Bは、例えばインサート成型により封口板310Bと一体成型され得る。
【0079】
図7は、内部リード線210Bが接続された封口体300Bの斜視図である。
図7において、ガスケットの第1の開口326より内側の領域がリード線保持部324に相当する。リード線保持部324に、2つの筒状部328a、328bが、固定部として設けられている。筒状部328a、328bは、第2の開口327を介して互いに対向する位置に配されている。
【0080】
内部リード線210Bは、筒状部328a、328bに挿通されている。これにより、内部リード線210Bがリード線保持部324に固定され、内部リード線210Bがガスケットに固定される。筒状部328a、328bの間の領域では、第2の開口327を介して封口板の中央領域312Bが露出しており、内部リード線210Bと封口板との電気的接続がなされる。
【0081】
筒状部328a、328bは、例えば、スナップフィットによりクリップ機構を形成した成型品を用いることで、筒形状に容易に組み立てることができる。
【0082】
もっとも、内部リード線210Bをガスケットに固定するためには、筒形状の固定部を必ずしも設ける必要はなく、例えば、固定部は内部リード線210Bの電極体200Bに対向する面側に形成されていなくてもよい。封口板の面方向に沿って延在する内部リード線210Bの少なくとも上方において、固定部が内部リード線210Bと封口板の間の空間に介在していれば、電池内圧の上昇により封口板が変形し、中央領域312Bが上方向に移動しても、リード線の上方向の変形がリード線保持部324によって規制される。結果、電池内圧の上昇時に電流を遮断することが可能になる。また、固定部(筒状部)は、必ずしも2つ以上設ける必要はなく、1つでもよい。
【0083】
しかしながら、2つの筒状部328a、328bを設けた構成(
図7参照)が、リード線をガスケット(リード線保持部)に確実に固定できるため、好ましい。
【0084】
図8および
図9は、本実施形態の電池10Bの内圧上昇時における動作を説明する図であり、リード線保持部324を備えた封口体300B近傍の領域の断面図である。
【0085】
電池缶100Bの内圧が上昇すると、封口体300Bに外方向に向かう圧力が加わる。これにより、第1の開口326を介して、封口板310Bが外方に向けて押し上げられる。しかしながら、内部リード線210Bはリード線保持部324により固定されているため、封口板310Bの変形に追随した内部リード線210Bの変形は抑制されている。このため、内圧が所定値を超えると、封口板310Bと内部リード線210Bとの接合が剥がれ、封口板310Bの中央領域312Bがリード線保持部324および内部リード線210Bから浮き上がる。結果、封口板310Bと内部リード線210Bとの電気的接続が断たれ、電池10B内に流れる電流が遮断される(
図8)。
【0086】
図8において、電流が遮断された状態においても、電池缶100Bの内圧が低下しない場合には、例えば周縁部311Bと薄肉部313Bとの境界部に張力による応力が集中し、その境界部から破断が生じる。結果、電池缶100Bの内圧が開放され、電池10Bの安全性が確保される(
図9)。
【0087】
電池缶の材質は特に限定されず、鉄、および/または鉄合金(ステンレス鋼を含む)、銅、アルミニウム、アルミニウム合金(マンガン、銅などの他の金属を微量含有する合金など)、などが例示できる。第1バスバー、第2バスバーの材質も特に限定されず、電池缶と同じ材質を例示することができる。
【0088】
ガスケットの材質は限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)などを用いることができる。
【0089】
リード線保持部の材質は特に限定されず、ガスケットの材質として例示されたものを用いることができる。
【0090】
次に、リチウムイオン二次電池を例に、電極体200A(または200B)の構成について例示的に説明する。
円筒型の電極体200A(または200B)は、捲回型であり、正極と負極とをセパレータを介して渦巻状に捲回して構成されている。正極および負極の一方には内部リード線210A(または210B)が接続されている。内部リード線210A(または210B)は、封口板310A(または310B)の中央領域312A(または312B)の内側面に溶接等により接続される。正極および負極の他方には、別の内部リード線が接続され、別の内部リード線は電池缶100A(または100B)の内面に溶接等により接続される。
【0091】
(負極)
負極は、帯状の負極集電体と、負極集電体の両面に形成された負極活物質層とを有する。負極集電体には、金属フィルム、金属箔などが用いられる。負極集電体の材料は、銅、ニッケル、チタンおよびこれらの合金ならびにステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。負極集電体の厚みは、例えば5μm~30μmであることが好ましい。
【0092】
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて結着剤と導電剤を含む。負極活物質層は、気相法(例えば蒸着)で形成される堆積膜でもよい。負極活物質としては、Li金属、Liと電気化学的に反応する金属もしくは合金、炭素材料(例えば黒鉛)、ケイ素合金、ケイ素酸化物、金属酸化物(例えばチタン酸リチウム)などが挙げられる。負極活物質層の厚みは、例えば1μm~300μmであることが好ましい。
【0093】
(正極)
正極は、帯状の正極集電体と、正極集電体の両面に形成された正極活物質層とを有する。正極集電体には、金属フィルム、金属箔(ステンレス鋼箔、アルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔)などが用いられる。正極集電体の厚みは、例えば5μm~30μmであることが好ましい。
【0094】
正極活物質層は、正極活物質および結着剤を含み、必要に応じて導電剤を含む。正極活物質は、特に限定されないが、LiCoO2、LiNiO2のようなリチウム含有複合酸化物を用いることができる。正極活物質層の厚みは、例えば1μm~300μmであることが好ましい。
【0095】
各活物質層に含ませる導電剤には、グラファイト、カーボンブラックなどが用いられる。導電剤の量は、活物質100質量部あたり、例えば0~20質量部である。活物質層に含ませる結着剤には、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ゴム粒子などが用いられる。結着剤の量は、活物質100質量部あたり、例えば0.5質量部~15質量部である。
【0096】
(セパレータ)
セパレータとしては、樹脂製の微多孔膜や不織布が好ましく用いられる。セパレータの材料(樹脂)としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミドなどが好ましい。セパレータの厚さは、例えば8μm~30μmである。
【0097】
(電解質)
電解質にはリチウム塩を溶解させた非水溶媒を用い得る。リチウム塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、イミド塩類などが挙げられる。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0098】
上記では、リチウムイオン二次電池を例として説明したが、本発明は、一次電池か二次電池かを問わず、封口体を用いて電池缶の封口を行う電池において利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係る電池は、高エネルギー密度が要求される用途、例えば携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等の電源として使用するのに適している。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
【符号の説明】
【0100】
20:電池モジュール
10A、10B:電池
100A、100B:電池缶
110A、110B:開口縁
110S:テーパ領域
110T:端面
111:突起部
120A、120B:筒部
130A、130B:底壁
140:縮径部
200A、200B:電極体
210A、210B:内部リード線
300A、300B:封口体
300X:第1主面
300Y:第2主面
300Z:側面
310A、310B:封口板
311A、311B:周縁部
311T:端面
3111:凹溝
312A、312B:中央領域
313A、313B:薄肉部
320A、320B:ガスケット
321A、321B:外側リング部
322A、322B:内側リング部
323A、323B:側壁部
3231:凹部
324:リード線保持部
325:固定部
326:第1の開口
327:第2の開口
328a、328b:筒状部
600:バスバー(第1バスバー)
600X:第3主面
600Y:第4主面
601:第1部分
602:第2部分
603:貫通孔
700:第2バスバー
701:第3部分
703:第2貫通孔
800:絶縁部材
803:第3貫通孔