(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ゾーン制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20241025BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20241025BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20241025BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20241025BHJP
【FI】
H04L12/28 500E
F24F11/46
F24F11/70
F24F11/72
(21)【出願番号】P 2023523381
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019338
(87)【国際公開番号】W WO2022249854
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021088690
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平松 勝彦
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
F24F 11/46
F24F 11/70
F24F 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を複数のゾーンに分け、前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが前記複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置と、
前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれによって前記複数の動作パラメータの中からユーザごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザごとに、N個の前記選択パラメータのそれぞれに
当該ユーザの嗜好に応じた順位が設定された選択パラメータ
に対して、各順位にそれぞれの選択パラメータを選択したユーザの人数の比率に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、前記複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、前記環境制御装置を動作させる制御装置と、を備える
ゾーン制御システム。
【請求項2】
前記複数のゾーンのうちの第1ゾーンの面積比は、(a)選択されたN個の選択パラメータのうちの少なくとも1つに前記複数のゾーンのうち、いずれかのゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数を、前記複数のゾーンすべてについて積算した積算値に対する、(b)選択されたN個の選択パラメータのうちの少なくとも1つに前記第1ゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数の比率である
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項3】
前記(a)及び前記(b)の算出では、
選択パラメータを選択した順位が上位であるほど高い重み係数を乗じる
請求項2に記載のゾーン制御システム。
【請求項4】
前記複数のゾーンのうちの第1ゾーン以外の第2ゾーンの面積比は、最上順位の第1位に前記第2ゾーンに対応する選択パラメータを選択し、かつ、前記第1位に次ぐ第2位に前記第1ゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数に基づいて縮小され、
前記第1ゾーンの面積比は、前記第2ゾーンの縮小された面積比分だけ拡大される
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項5】
前記複数のゾーンのうちの第1ゾーン以外の第2ゾーンの面積比は、最上順位の第1位に前記第2ゾーンに対応する選択パラメータを選択し、かつ、前記第1位に次ぐ第2位に前記第1ゾーンとは異なるゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数に基づいて維持され、
前記第1ゾーンの面積比は、前記第2ゾーンの維持されていない面積比分だけ拡大される
請求項1に記載のゾーン制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
空間を複数のゾーンに分け、前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが前記複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、
前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれによって前記複数の動作パラメータの中からユーザごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザごとに、N個の前記選択パラメータのそれぞれに
当該ユーザの嗜好に応じた順位が設定された選択パラメータ
に対して、各順位にそれぞれの選択パラメータを選択したユーザの人数の比率に基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、
前記複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、前記環境制御装置を動作させる
制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間を構成する複数のゾーンの空間環境を制御するためのゾーン制御システム、制御装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ワークスタイルの自由化などの観点から、フリーアドレスでの働き方が提案されている。このような働き方においては、それぞれのユーザは、自身の好きなゾーンを選択して、業務を行うことができる。ユーザは、ゾーンを選択する際、自身の好み(すなわち、嗜好)に合っているかを当該ゾーンの空間環境を参考にして判断することが行われている。ユーザが好みに応じて選択して利用するゾーンに関して、例えば、特許文献1には、空気調和装置による設定温度が高めなゾーンと、設定温度が低めなゾーンとを提供できる空調制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示された空調制御システム等では、空間の有効利用の観点で、適切な空間環境の制御ができているとは言えない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みて、より適切に空間環境の制御ができるゾーン制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るゾーン制御システムは、空間を複数のゾーンに分け、前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが前記複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置と、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれによって前記複数の動作パラメータの中からユーザごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザごとに、N個の前記選択パラメータのそれぞれに順位が設定された選択パラメータに基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、前記複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、前記環境制御装置を動作させる制御装置と、を備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る制御装置は、上記に記載の制御装置である。
【0008】
また、本開示の一態様に係る制御方法は、空間を複数のゾーンに分け、前記複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが前記複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、前記空間を利用する複数のユーザのそれぞれによって前記複数の動作パラメータの中からユーザごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザごとに、N個の前記選択パラメータのそれぞれに順位が設定された選択パラメータに基づいて、前記複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、前記複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、前記環境制御装置を動作させる。
【0009】
また、本開示の一態様は、上記制御方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、より適切に空間環境の制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態に係るゾーン制御システムの使用例を示す第1概観図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態に係るゾーン制御システムの使用例を示す第2概観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るゾーン制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施の形態に係るゾーン制御システム等について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係るゾーン制御システムの概要について、
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
図1Aは、実施の形態に係る制御システムの使用例を示す第1概観図である。
図1Bは、実施の形態に係る制御システムの使用例を示す第2概観図である。
図1A及び
図1Bでは、空間500(後述する
図2参照)を複数のユーザ99が利用している状況を示している。特に、
図1Aは、空間500を構成する第1ゾーン500aの状況を示している。また、
図1Bは、空間500を構成する第2ゾーン500bの状況を示している。また、後述する
図2に示すように、本実施の形態では、空間500は、さらに第3ソーン300c及び第4ゾーン500dを含む4つのゾーンから構成される。
【0015】
本実施の形態では、空間500をこのように第1ゾーン500a、第2ゾーン500b、第3ソーン300c及び第4ゾーン500dに分けてそれぞれのゾーンに設定された空間環境を、嗜好に応じてユーザ99が選択して利用することを想定している。なお、以下説明される実施の形態では、空間500は第1ゾーン500a、第2ゾーン500b、第3ソーン300c及び第4ゾーン500dの4個のゾーンから構成されている。ここでは、第1ゾーン500a及び第2ゾーン500bのそれぞれに2人ずつのユーザ99が存在している。本実施の形態では、図示するように、空間500を利用するユーザ99の密度(面積当たりのユーザ数が、ゾーンごとに略均一な人数となるように、空間環境が設定される。すなわち、本実施の形態において、ゾーン制御システム200(後述する
図2参照)が動作することにより、複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の密度が略均一化される。本実施の形態では、このようなユーザ99に合わせたゾーンの設定を、均等な面積比の設定から開始して、可能な限り少ない変更によって密度の均一化を図ることができる。このため、本実施の形態では、ゾーン制御によってエネルギーバランスを欠いた(極端な)制御を行う必要がなくなる。
【0016】
なお、本開示において用いられる密度の略均一化とは、空間500を利用するユーザ99の人数を、空間500を構成するゾーンの面積比で除した人数が、複数のゾーンのそれぞれに存在している状況を意味している。
【0017】
ただし、略均一化とは、厳密に均一な密度のみを意図するものではなく、例えば、ユーザ99の人数が10人未満の場合に1人又は2人程度の誤差が生じる場合がある。これは、例えば、ユーザ99の嗜好が時間変動するものであることから自然に発生する場合もあるし、3人のユーザ99の人数を、2個のゾーンの数で除したときの余剰の1人がいずれかのソーンを利用することによる場合もある。また、同様に、本実施の形態では、ユーザ99の人数が10人以上の場合に、数%~20%程度の誤差が生じていても均一化されているとみなしうる場合がある。さらに、ここでの密度の均一化は、ユーザ99の自発的な密度の低い領域への移動を伴う必要があるので、このような傾向にないユーザ99の存在人数に応じて、上記の誤差は適宜拡大される。ただし、本実施の形態によれば、密度の低いゾーンは、密度の高いゾーンに居るユーザ99の嗜好に比較的沿うものであるので、上記の傾向が少しでもあれば、密度の略均一な空間500を実現しうる。
【0018】
また、本実施の形態では、空間500を4個のゾーンによって構成している例を説明するが、空間500は、2個、3個、又は5個以上のゾーンから構成されていてもよい。
【0019】
図1Aに示すように、本実施の形態では、第1ゾーン500aの空間環境を、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aによって制御する。第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aは、環境制御装置の一例である。なお、環境制御装置は1種類のみであってもよい。この場合、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aのうち、いずれか1つのみが備えられていればよい。
【0020】
図1Bに示すように、本実施の形態では、第2ゾーン500bの空間環境を、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bによって制御する。第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bは、環境制御装置の一例である。なお、環境制御装置は1種類のみであってもよい。この場合、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bのうち、いずれか1つのみが備えられていればよい。
【0021】
上記の
図1A及び
図1Bと同様のゾーンが、さらに、第3ゾーン500c及び第4ゾーン500dのように計4つ存在する。
【0022】
また、本実施の形態では、第1ゾーン500a第2ゾーン500b、第3ゾーン500c及び第4ゾーン500dのそれぞれに、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置が個別に設けられているが、例えば、1つの装置によって、複数のゾーンのそれぞれの空間環境を制御できる装置であれば、環境制御装置は複数のゾーンのそれぞれに個別に設けられる必要はない。したがって、環境制御装置を空間500に1つだけ設けて、より適切に複数のゾーンの空間環境の制御を行うこともできる。
【0023】
本実施の形態では、環境制御装置として、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置を備える例を説明する。環境制御装置としては、この他に、換気装置、加湿装置、芳香成分発生装置、及び、空気清浄装置など、空間500の空間環境の1つ以上の因子を制御しうる装置であればあらゆる装置を適用することができる。
【0024】
[構成]
以下、
図2を
図1A及び
図1Bと併せて参照しながらゾーン制御システム200の構成について説明する。
図2は、実施の形態に係るゾーン制御システムの機能構成を示すブロック図である。本実施の形態におけるゾーン制御システム200は、制御装置100と、空間500の複数のゾーンのそれぞれに配置された複数の環境制御装置とを備える。
【0025】
第1ゾーン500aでは、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aは、第1コントローラ10aを介して制御装置100に接続されている。制御装置100は、例えば、クラウドサーバ又はエッジサーバなどとして実現され、空間500と物理的に離れた場所に設けることもできるし、空間500内に設けることもできる。第1コントローラ10aと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0026】
第1コントローラ10aは、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第1コントローラ10aは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aへと無線通信で送信する。また、第1コントローラ10aは、無線通信で第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第1コントローラ10aは備えられなくてもよい。
【0027】
制御装置100は、第1照明装置11a、第1音響装置12a、及び、第1空気調和装置13aを動作させるための動作パラメータを、第1コントローラ10aを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0028】
第1照明装置11aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの明るさを制御する装置である。第1照明装置11aは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第1照明装置11aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第1照明装置11aは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0029】
第1音響装置12aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの音を制御する装置である。第1音響装置12aは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第1音響装置12aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第1音響装置12aは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0030】
第1空気調和装置13aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの温度を制御する装置である。第1空気調和装置13aは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第1ゾーン500aを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第1空気調和装置13aは、第1ゾーン500aの空間環境の1つの因子として、第1ゾーン500aの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第1空気調和装置13aは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0031】
第2ゾーン500bでは、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bは、第2コントローラ10bを介して制御装置100に接続されている。第2コントローラ10bと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0032】
第2コントローラ10bは、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第2コントローラ10bは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bへと無線通信で送信する。また、第2コントローラ10bは、無線通信で第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第2コントローラ10bは備えられなくてもよい。
【0033】
制御装置100は、第2照明装置11b、第2音響装置12b、及び、第2空気調和装置13bを動作させるための動作パラメータを、第2コントローラ10bを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0034】
第2照明装置11bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの明るさを制御する装置である。第2照明装置11bは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第2照明装置11bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第2照明装置11bは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0035】
第2音響装置12bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの音を制御する装置である。第2音響装置12bは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第2音響装置12bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第2音響装置12bは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0036】
第2空気調和装置13bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの温度を制御する装置である。第2空気調和装置13bは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第2ゾーン500bを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第2空気調和装置13bは、第2ゾーン500bの空間環境の1つの因子として、第2ゾーン500bの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第2空気調和装置13bは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0037】
第3ゾーン500cでは、第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cは、第3コントローラ10cを介して制御装置100に接続されている。第3コントローラ10cと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0038】
第3コントローラ10cは、第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第3コントローラ10cは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cへと無線通信で送信する。また、第3コントローラ10cは、無線通信で第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第3コントローラ10cは備えられなくてもよい。
【0039】
制御装置100は、第3照明装置11c、第3音響装置12c、及び、第3空気調和装置13cを動作させるための動作パラメータを、第3コントローラ10cを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0040】
第3照明装置11cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cの明るさを制御する装置である。第3照明装置11cは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第3照明装置11cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第3照明装置11cは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0041】
第3音響装置12cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cの音を制御する装置である。第3音響装置12cは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第3音響装置12cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第3音響装置12cは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0042】
第3空気調和装置13cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cの温度を制御する装置である。第3空気調和装置13cは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第3ゾーン500cを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第3空気調和装置13cは、第3ゾーン500cの空間環境の1つの因子として、第3ゾーン500cの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第3空気調和装置13cは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0043】
第4ゾーン500dでは、第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dは、第4コントローラ10dを介して制御装置100に接続されている。第4コントローラ10dと制御装置100とは、インターネット等の通信回線を介して通信接続されているが、これらの接続及び通信の方法に特に限定はない。
【0044】
第4コントローラ10dは、第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dと、制御装置100とを通信可能に接続するための装置である。例えば、第4コントローラ10dは、通信回線経由で制御装置100から受信した信号等を第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dへと無線通信で送信する。また、第4コントローラ10dは、無線通信で第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dから受信した信号を通信回線経由で制御装置100へと送信する。なお、第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dのそれぞれが、制御装置100と直接通信することができる場合、第4コントローラ10dは備えられなくてもよい。
【0045】
制御装置100は、第4照明装置11d、第4音響装置12d、及び、第4空気調和装置13dを動作させるための動作パラメータを、第4コントローラ10dを介して、それぞれの装置に送信する。これにより、それぞれの装置は、制御装置100から送信された動作パラメータに従って動作することができる。
【0046】
第4照明装置11dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dの明るさを制御する装置である。第4照明装置11dは、受信した動作パラメータから、明るさを指定する数値を取得して、当該数値に応じた明るさで輝度を調整することができる調光照明である。なお、第4照明装置11dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dの色温度を制御する装置であってもよい。この場合、第4照明装置11dは、受信した動作パラメータから色温度を指定する数値を取得して当該数値に応じた色温度で光色を調整する。
【0047】
第4音響装置12dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dの音を制御する装置である。第4音響装置12dは、受信した動作パラメータから、音量を指定する数値を取得して、当該数値に応じた音量でBGMなどの音を発生することができる装置である。なお、第4音響装置12dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dのノイズを制御する装置であってもよい。この場合、第4音響装置12dは、受信した動作パラメータからノイズ除去レベルを指定する数値を取得して当該数値に応じたレベルでノイズを除去するアクティブノイズキャンセラである。
【0048】
第4空気調和装置13dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dの温度を制御する装置である。第4空気調和装置13dは、受信した動作パラメータから、温度を指定する数値を取得して、当該数値に応じた温度となるように送風ファンの風量を制御して目的の温度になるまで、第4ゾーン500dを冷却又は加熱することができる装置である。なお、第4空気調和装置13dは、第4ゾーン500dの空間環境の1つの因子として、第4ゾーン500dの風量を制御する送風装置であってもよい。この場合、第4空気調和装置13dは、受信した動作パラメータから風量を指定する数値を取得して当該数値に応じた風量で送風ファンを制御する。
【0049】
ここで、制御装置100は、第1ゾーン500aの動作パラメータと第2ゾーン500bの動作パラメータと第3ゾーン500cの動作パラメータと第4ゾーン500dの動作パラメータとを別々のパラメータとして決定して、第1コントローラ10a、第2コントローラ10b、第3コントローラ10c及び第4コントローラ10dのそれぞれへと送信する。したがって、動作パラメータは、空間500を構成するゾーンの数に応じた数だけ決定されて、個々に各ゾーンのコントローラなどを介して環境制御装置へと送信される。ここで決定される動作パラメータは、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置用の動作を指定する数値を含んでいるので、空間500を構成するゾーンの数と同じ数だけ生成される。一方で、照明装置、音響装置、及び、空気調和装置のいずれかの動作を指定する動作パラメータがそれぞれの装置分だけ生成される場合は、動作パラメータは、ゾーンの数に各ゾーンに設けられた装置の数を乗じた数だけ決定される。
【0050】
詳細は後述するが、この動作パラメータは、空間500を構成する複数のゾーンのそれぞれを利用するユーザ99の密度を略均一化するための動作パラメータである。より具体的には、この動作パラメータには、同じ動作パラメータとなる1つのゾーンの面積比が、制御装置100によって決められており、空間500の面積に対してそのゾーンの面積比となるように、各種の環境制御装置の影響が及ぶ範囲を制御する。したがって、各ゾーンに設けられた環境制御装置が動作パラメータに従って動作することで、各ゾーンの空間環境がユーザ99の密度を略均一化するような空間環境となる。
【0051】
例えば、上記の背景技術の欄に示した特許文献1のように、単に設定温度が高めなゾーンと、設定温度が低めなゾーンとを提供した場合、高めの温度を好むユーザ99が多く存在する場合に、設定温度が高めなゾーンにユーザ99が集中してしまうことが起こる。この場合、設定温度が低めなゾーンが効率的に利用されない問題が生じる。また、高めの温度を好むユーザ99の一部が妥協して設定温度が低めなゾーンを利用するなど、ユーザ99が満足に空間を利用できないことが起こる場合がある。ここでさらに、設定温度が高めなゾーンを好む人数に合わせて設定温度が高めなゾーンの面積を拡大すれば、密度の均一化は図れるものの、一方で、大幅にゾーンの制御を変更(すなわち設定温度が低めなゾーンを設定温度が高めなゾーンに変更する制御が必要である。これは、エネルギー効率が悪いうえ、場合により、ゾーンとゾーンとの境界部分で温度制御がうまくできない場合などが生じうる。
【0052】
一方で、本実施の形態では、設定温度が高めなゾーンを好むユーザ99の中で、設定温度が低めでもよいという、折り合いのつくユーザ99を見つけ出し、その人数を加味したゾーンの面積設定にすることができる。このため、単に設定温度が高めなゾーンを好むユーザの人数に合わせてゾーンの面積を設定する場合に比べて、大幅なゾーンの制御の変更を行う必要が生じにくい。ユーザ99が自発的に密度の高低を緩和しつつ、それぞれの折り合いがつくゾーンに収まることができるので、大幅な制御の変更がなくとも不満が生じる可能性も抑えられる。
【0053】
[動作]
以下、本実施の形態におけるゾーン制御システム200の動作について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施の形態に係るゾーン制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【0054】
なお、本フローチャートの動作が実行されるよりも前に、あらかじめ、空間50を利用する複数のユーザ99のそれぞれに対して、アンケート等の手段によって、それぞれのユーザ99の嗜好に応じた選択パラメータが選択され、図示しない記憶部等に格納される処理が実行されているものとして説明する。選択パラメータには、ユーザ99の嗜好に適合する照明装置による明るさ、音響装置による音量、及び、空気調和装置におる温度等の空間環境の因子に関する数値が含まれる。なお、明るさと、音量と、温度とは、互いにスケールの異なる数値であるが、嗜好パラメータには、空間環境の因子に関する数値として、各因子のスケールを10段階又は100段階などの標準スケールに標準化した数値が含まれている。
【0055】
また、空間500を利用するユーザ99が固定的なユーザ99ではない場合、すなわち、ある時点で空間を利用する複数のユーザ99が、別の時点で空間を利用する複数のユーザ99に対して、内訳が異なるような場合には、別にユーザ99を特定する動作が必要となる。例えば、空間500を利用する可能性のあるすべてのユーザ99のうち、ゾーン制御システム200が動作する時点で空間500を利用するユーザ99を特定して、当該空間500を利用するユーザ99の選択パラメータを記憶部から読み出す動作が、上記フローチャートの動作が実行されるよりも前に行われる。ユーザ99の特定は、空間500の入り口などにID認証によるゲートを設け、照合データから特定することや、空間500を利用するユーザ99の画像を撮像して画像認識等の技術によって行われればよい。
【0056】
上記の動作に次いで、
図3に示すように、制御装置100は、選択パラメータに基づいて、空間を利用中のユーザ99に対応する各ゾーンの面積比を決定する(S101)。
【0057】
以下、各ゾーンの面積比の決定について、いくつかの例を説明する。例えば、制御装置100は、空間500を利用する複数のユーザ99のそれぞれによって複数の動作パラメータの中からユーザ99ごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザ99ごとに、N個の選択パラメータのそれぞれに当該ユーザ99の嗜好に応じた順位が設定された選択パラメータに基づいて、複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定する。
【0058】
つまり、ユーザ99一人ひとりについて、嗜好に合うか否かによって順位付けされた第1位の選択パラメータ、第2位の選択パラメータ・・・第(N-1)位の選択パラメータ、及び、第N位の選択パラメータを選択させる。この上位の選択パラメータは当該ユーザ99によって選択される、又は、妥協可能な選択パラメータであり、これら上位の選択パラメータに対応する動作パラメータで環境制御装置が動作しているゾーンを当該ユーザ99が選択しやすいということがいえる。一方で下位の選択パラメータは当該ユーザ99にとって、嗜好と適合しにくく、このような選択パラメータに対応する動作パラメータで環境制御装置が動作しているゾーンを当該ユーザ99が選択しにくいということがいえる。
【0059】
例えば、第1位の選択パラメータ及び第2位の選択パラメータは、各ユーザ99にとって密度を均一化する方向にゾーンを移動することと天秤にかけても選択されやすい順位であるとすれば、これらの各ユーザ99で第1位及び第2位に選択されている選択パラメータを列挙して、ゾーンの面積比の変更を少なくすることができる面積比を決定することができる。このように各ユーザ99の上位に選択されている選択パラメータを用いれば、ゾーンの面積の変更を少なくしつつ、各ユーザ99からの不満が生じにくいゾーンの面積(面積比として)決定することができる。なお、上位何位までの選択パラメータを用いるかは、ユーザ99の人数や、実験的又は経験的に決定された数値が用いられればよい。例えば、先に説明したアンケート等で5位まで(N=5)のアンケートを取っておけば上位2位までは許容されやすいなどの経験則によって、用いられる順位の数値が設定される。
【0060】
ここで、上位の順位を用いる場合の面積比の求め方を説明する。例えば、上位の順位を用いる場合、以下の式(1)を用いればよい。
【0061】
【0062】
なお、上記の式(1)では、SAが調整された後のあるゾーンの面積を示し、Sが空間500全体の面積を示している。したがって、上記の式(1)の右辺第2項は、空間全体に対するあるゾーンの面積比を示している。また、nA12は、第1位又は第2位のいずれかにあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nB12は、別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nC12は、さらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nD12は、さらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。この例では、4つのゾーンが存在する空間について、第1位及び第2位の選択パラメータを用いて面積値を計算する例が示されている。
【0063】
上記の式1では、第1位と第2位とを同等の選択パラメータとして扱ったが、さらに、選択パラメータを選択した順位が上位であるほど高い重み係数を乗じて選択パラメータを用いるとしてもよい。
【0064】
この場合、上記の式(1)に対して、以下の式(2)~式(5)を代入すればよい。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
なお、上記式(2)~式(5)では、nAは、第1位にあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nBは、第1位に別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nCは、第1位にさらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nDは、第1位にさらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。
【0070】
また、上記式(2)では、nBAは、第1位に別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを、第2位にあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nCAは、第1位にさらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを、第2位にあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。同様に、nDAは、第1位にさらに別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを、第2位にあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を示している。すなわち、右辺第2項は、第2位にあるゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数の合計に係数αを乗じた数値を示している。
【0071】
上記式(3)~式(5)でも同様に、右辺第2項は、第2位に別のゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数の合計に係数αを乗じた数値を示している。この係数αを1より小さい数値とすることで、相対的に第1位に選択された選択パラメータの重みを高めることが可能となる。
【0072】
一方で、あらかじめ、あるゾーンに対して割り当てるべき面積値が決定されているような場合には、第2位にこのゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択しているユーザ99の人数から、その他のゾーンのそれぞれからいくらずつの面積をあるゾーンに対して割り当てる必要があるかを算出することもできる。
【0073】
すなわち、複数のゾーンのうちの第1ゾーン以外の第2ゾーンの面積比は、最上順位である第1位に第2ゾーンに対応する選択パラメータを選択し、かつ、第1位に次ぐ第2位に第1ゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数に基づいて縮小され、第1ゾーンの面積比は、第2ゾーンの縮小された面積比分だけ拡大されるようにすることもできる。これは以下の式(6)のようにして行われる。
【0074】
【0075】
なお、上記の式(6)では、SBAは、別のゾーンからあるゾーンに再割り当てされる面積値を示し、は、SAextあるゾーンが拡大される面積値を示している。ここで、上記の式(6)で右辺のSAextに乗じられる分数は、あるゾーンを拡大する面積のうち、別の1つのゾーンから再割り当てされる面積の比を示している。
【0076】
また、あらかじめ、あるゾーンに対して割り当てるべき面積値が決定されているような場合に、別のアプローチとして、上位(ここでは第1位及び第2位)にこのゾーンの動作パラメータに対応する選択パラメータを選択していないユーザ99の人数から、その他のゾーンのそれぞれからいくらずつの面積をあるゾーンに対して割り当てる必要があるかを算出することもできる。
【0077】
すなわち、複数のゾーンのうちの第1ゾーン以外の第2ゾーンの面積比は、最上順位である第1位に第2ゾーンに対応する選択パラメータを選択し、かつ、第1位に次ぐ第2位に第1ゾーンとは異なるゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数に基づいて維持され、第1ゾーンの面積比は、第2ゾーンにおいて維持されていない面積比分だけ拡大されるようにすることもできる。これは以下の式(7)のようにして行われる。
【0078】
【0079】
図3に戻り、決定された面積比に分かれるように、制御装置100は、環境制御装置を動作させる(S102)。以上のようにして、各ゾーンを利用するユーザ99の密度を、変更される面性を少なく維持しながら、各ユーザからの不満が少ない方法で略均一化できる。よって、より適切に空間環境の制御ができるゾーン制御システム200等を実現することができる。
【0080】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係るゾーン制御システム200は、空間500を複数のゾーンに分け、複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置と、空間を利用する複数のユーザ99のそれぞれによって複数の動作パラメータの中からユーザ99ごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザ99ごとに、N個の選択パラメータのそれぞれに順位が設定された選択パラメータに基づいて、複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、環境制御装置を動作させる制御装置100と、を備える。
【0081】
このようなゾーン制御システム200は、複数のユーザ99のそれぞれが選択した2個以上の選択パラメータに基づいて、複数のゾーンの面積比が制御される。ここで、選択パラメータは、当該ユーザ99がこのパラメータに基づく動作パラメータで空間環境が形成されたゾーンを選択しやすい(言い換えると、ユーザ99の好みに応じた)パラメータである。ユーザ99ごとに2つ以上の選択パラメータが選択されているので、この選択パラメータには、少なくとも最も選択しやすい空間環境に対応する選択パラメータと、次点で選択しやすい空間環境に対応する選択パラメータとが含まれている。次点で選択しやすい空間環境に対応する選択パラメータは、当該ユーザが妥協可能な空間環境に対応する選択パラメータともいえる。
【0082】
したがって、複数のユーザ99に対して、複数のゾーンの空間環境を決定するときに、単にユーザ99の最も選択しやすい空間環境に対応する選択パラメータ1個のみを用いる場合に比べて、空間環境の決定の自由度が拡大される。より自由度が高い空間環境の選択肢の中から、最もエネルギー効率の良い複数のゾーンの空間環境の組み合わせを選択することや、現時点の空間環境から、最も変更が少ない複数のゾーンの空間環境の組み合わせを選択することなどが可能となる。
【0083】
これにより、空間500の利用効率を向上すべく、ゾーンごとのユーザ99の密度の均一化を図りつつも、エネルギーバランスを欠くような極端な制御の変更などを行う必要がなく、環境負荷及びコストの観点で有用である。
【0084】
また、例えば、複数のゾーンのうちの第1ゾーン500aの面積比は、(a)選択されたN個の選択パラメータのうちの少なくとも1つに複数のゾーンのうち、いずれかのゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数を、複数のゾーンすべてについて積算した積算値に対する、(b)選択されたN個の選択パラメータのうちの少なくとも1つに第1ゾーン500aに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数の比率であってもよい。
【0085】
これによれば、複数のゾーンのうちの第1ゾーン500aの面積比を(a)に対する(b)の比率として算出できる。
【0086】
また、例えば、(a)及び(b)の算出では、選択パラメータを選択した順位が上位であるほど高い重み係数を乗じる。
【0087】
これによれば、各ユーザ99の選択パラメータにおける順位に応じて、上位の選択パラメータ及び下位の選択パラメータに優劣を設けて各ゾーンの面積比を算出できる。
【0088】
また、例えば、複数のゾーンのうちの第1ゾーン500a以外の第2ゾーン500bの面積比は、最上順位の第1位に第2ゾーン500bに対応する選択パラメータを選択し、かつ、第1位に次ぐ第2位に第1ゾーン500aに対応する選択パラメータを選択したユーザ99の人数に基づいて縮小され、第1ゾーン500aの面積比は、第2ゾーン500bの縮小された面積比分だけ拡大される。
【0089】
これによれば、複数のゾーンの中で、面積の拡大が必要なゾーン(ここでは第1ゾーン500a)における拡大分の面積を、その他のゾーン(ここでは第2ゾーン500b)を利用しつつも、面積の拡大が必要なゾーン(第1ゾーン500a)の選択パラメータを次点に選択していることから、このゾーン(第1ゾーン500a)に移動することが可能と推定されるユーザ99の人数に応じて、その他のゾーン(第2ゾーン500b)の面積を縮小することで確保することができる。
【0090】
また、例えば、複数のゾーンのうちの第1ゾーン以外の第2ゾーンの面積比は、最上順位の第1位に第2ゾーンに対応する選択パラメータを選択し、かつ、第1位に次ぐ第2位に第1ゾーンとは異なるゾーンに対応する選択パラメータを選択したユーザの人数に基づいて維持され、第1ゾーンの面積比は、第2ゾーンの維持されていない面積比分だけ拡大される。
【0091】
これによれば、拡大されるゾーン(第1ゾーン500a)の他のゾーン(ここでは第2ゾーン500b)を利用しつつも、拡大されるゾーン(第1ゾーン500a)の選択パラメータを次点に選択していないことから、拡大されるゾーン(第1ゾーン500a)への移動が想定されないユーザ99の人数に応じて、その他のゾーン(第2ゾーン500b)の最低限維持される面積比を決定し、維持される面積比以上の部分から、拡大分の面積を確保することができる。
【0092】
また、本実施の形態における制御装置100は、上記に記載のゾーン制御システム200に備えられる制御装置100である。
【0093】
このような制御装置100は、環境制御装置を動作させることで、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0094】
また、本実施の形態における制御方法は、空間を複数のゾーンに分け、複数のゾーンのそれぞれの空間環境を、複数の動作パラメータであって、それぞれが複数のゾーンのそれぞれに対応する複数の動作パラメータに従って個別に制御する環境制御装置を動作させる制御方法であって、空間を利用する複数のユーザのそれぞれによって複数の動作パラメータの中からユーザごとにN個(Nは2以上の整数)ずつ選択された選択パラメータであって、ユーザごとに、N個の選択パラメータのそれぞれに順位が設定された選択パラメータに基づいて、複数のゾーンのそれぞれの面積比を決定し、複数のゾーンのそれぞれが、決定された面積比に分かれるように、環境制御装置を動作させる。
【0095】
このような制御方法では、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、本実施の形態におけるプログラムは、上記に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0097】
このようなプログラムは、コンピュータを用いて、上記に記載の制御方法を実行することができ、上記に記載のゾーン制御システム200と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係るゾーン制御システム等について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0099】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、ゾーン制御システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0100】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0102】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0103】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC又はLSIなどが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integraion)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGAも同じ目的で使うことができる。
【0104】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0105】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態に係る構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
11a 第1照明装置(環境制御装置)
11b 第2照明装置(環境制御装置)
11c 第3照明装置(環境制御装置)
11d 第4照明装置(環境制御装置)
12a 第1音響装置(環境制御装置)
12b 第2音響装置(環境制御装置)
12c 第3音響装置(環境制御装置)
12d 第4音響装置(環境制御装置)
13a 第1空気調和装置(環境制御装置)
13b 第2空気調和装置(環境制御装置)
13c 第3空気調和装置(環境制御装置)
13d 第4空気調和装置(環境制御装置)
99 ユーザ
100 制御装置
200 ゾーン制御システム
500 空間