(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20241025BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/204 401H
H01M50/262 M
H01M50/262 S
H01M50/289 101
H01M50/291
(21)【出願番号】P 2021159245
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄司
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0036020(US,A1)
【文献】特開2013-229102(JP,A)
【文献】特開2013-073918(JP,A)
【文献】特開2001-313018(JP,A)
【文献】国際公開第2020/166182(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057082(WO,A1)
【文献】特開2015-115285(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174855(WO,A1)
【文献】特開2015-069695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを積層してケース部材に収納してなる電池パックであって、
前記ケース部材は、
複数の電池セルを厚み方向に積層してなる電池モジュールの下方に位置する底面部と、
前記電池モジュールの両側方に位置する第1側壁部および第2側壁部とを有し、
前記底面部には、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの位置を幅方向に規制する複数箇所の位置規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、
前記第1側壁部および前記第2側壁部にはそれぞれ、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの高さ方向位置を規制する高さ規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、
前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルは、
前記位置規制形状部に規制される複数箇所の被位置規制部と、
前記高さ規制形状部に規制される第1被高さ規制部および第2被高さ規制部を有し、
前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルはそれぞれ樹脂枠部材に嵌め込まれており、
前記被位置規制部、前記第1被高さ規制部、前記第2被高さ規制部はいずれも、前記樹脂枠部材に形成され、
前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部は、それぞれ、前記電池セルの上面に配置され
、
前記高さ規制形状部は、前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部が内部に嵌め込まれる溝部である電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記電池モジュールの底面と、前記ケース部材の底面部のうち前記位置規制形状部以外の部位との間に隙間があり、
前記電池モジュールの一方の側面と、前記ケース部材の第1側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、
前記電池モジュールのもう一方の側面と、前記ケース部材の第2側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間がある電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックであって、
前記電池モジュールの積層方向の一方の端部に取り付けられ、各前記隙間を外部と通気させるエンドプレートを有し、
前記エンドプレートは、剛性部材と、前記剛性部材の内面側に位置する樹脂部材とを有し、
前記樹脂部材は、前記ケース部材に密着するリップ部を有する電池パック。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の電池パックであって、
前記ケース部材は、前記電池モジュールの積層方向の一方の端部側に位置するエンドウォールを有し、
前記電池モジュールは、その積層方向に圧縮された状態で前記ケース部材に収納されており、
前記底面部における前記エンドウォールよりも前記電池モジュールの積層方向に内側の領域の複数箇所に、機器への締結箇所が設けられている電池パック。
【請求項5】
複数の電池セルを積層してケース部材に収納してなる電池パックであって、
前記ケース部材は、
複数の電池セルを厚み方向に積層してなる電池モジュールの下方に位置する底面部と、
前記電池モジュールの両側方に位置する第1側壁部および第2側壁部とを有し、
前記底面部には、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの位置を幅方向に規制する複数箇所の位置規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、
前記第1側壁部および前記第2側壁部にはそれぞれ、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの高さ方向位置を規制する高さ規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、
前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルは、
前記位置規制形状部に規制される複数箇所の被位置規制部と、
前記高さ規制形状部に規制される第1被高さ規制部および第2被高さ規制部を有し、
前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルはそれぞれ樹脂枠部材に嵌め込まれており、
前記被位置規制部、前記第1被高さ規制部、前記第2被高さ規制部はいずれも、前記樹脂枠部材に形成され、
前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部は、それぞれ、前記電池セルの上面に配置され、
前記電池モジュールの底面と、前記ケース部材の底面部のうち前記位置規制形状部以外の部位との間に隙間があり、
前記電池モジュールの一方の側面と、前記ケース部材の第1側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、
前記電池モジュールのもう一方の側面と、前記ケース部材の第2側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、
前記電池モジュールの積層方向の一方の端部に取り付けられ、各前記隙間を外部と通気させるエンドプレートを有し、
前記エンドプレートは、剛性部材と、前記剛性部材の内面側に位置する樹脂部材とを有し、
前記樹脂部材は、前記ケース部材に密着するリップ部を有する電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池セルを積層した電池スタックと、電池スタックを収納するケース部材とを有する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックに関する従来技術として、特許文献1に蓄電装置が開示されている。この特許文献1に開示される蓄電装置では、単電池(蓄電素子)を積層して組電池としてモジュール化した電池スタックを、当該電池スタックにおける単電池の積層方向の両側に配置されたエンドプレートを介して、ボルトでパックケースに締結して固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1に開示される蓄電装置では、電池スタックにおける単電池の積層方向の両側にエンドプレートを配置して、このエンドプレートを介して電池スタックをパックケースにボルトで締結しており、部品点数が多い。そして、このように部品点数が多いと、電池スタックをパックケースに固定する工程が煩雑になる。また、多くの部品の公差が積み重なるので、単電池の電極端子の位置決めを正確に行えず、電極端子とバスバーモジュールとの接続が困難になる。また、蓄電装置内で無駄なスペースが多く発生して、蓄電装置が大型化してしまう。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、部品点数を減らすことができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、複数の電池セルを積層してケース部材に収納してなる電池パックであって、前記ケース部材は、複数の電池セルを厚み方向に積層してなる電池モジュールの下方に位置する底面部と、前記電池モジュールの両側方に位置する第1側壁部および第2側壁部とを有し、前記底面部には、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの位置を幅方向に規制する複数箇所の位置規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、前記第1側壁部および前記第2側壁部にはそれぞれ、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの高さ方向位置を規制する高さ規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルは、前記位置規制形状部に規制される複数箇所の被位置規制部と、前記高さ規制形状部に規制される第1被高さ規制部および第2被高さ規制部を有し、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルはそれぞれ樹脂枠部材に嵌め込まれており、前記被位置規制部、前記第1被高さ規制部、前記第2被高さ規制部はいずれも、前記樹脂枠部材に形成され、前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部は、それぞれ、前記電池セルの上面に配置され、前記高さ規制形状部は、前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部が内部に嵌め込まれる溝部であること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、電池セルの被位置規制部がケース部材の位置規制形状部に規制されるとともに、電池セルの第1被高さ規制部および第2被高さ規制部がケース部材の高さ規制形状部に規制される。これにより、取り付け用の専用部品を使用しなくても、電池スタックのケース部材への取り付けと、ケース部材と電池セルの位置決めを行うことができる。そのため、電池パックの部品点数を減らしながら、電池モジュールのケース部材への取り付けと、ケース部材に対する電池モジュールの位置決めを行うことができる。
また、被位置規制部、第1被高さ規制部、第2被高さ規制部を、樹脂枠部材に集約するので、より効果的に部品点数を減らすことができる。
【0010】
上記の態様においては、前記電池モジュールの底面と、前記ケース部材の底面部のうち前記位置規制形状部以外の部位との間に隙間があり、前記電池モジュールの一方の側面と、前記ケース部材の第1側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、前記電池モジュールのもう一方の側面と、前記ケース部材の第2側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、冷却風をケース部材と電池モジュールとの間に形成した隙間に流すようにして電池パックの内部に流すことにより、電池モジュールに含まれる個々の電池セルを冷却できる。
【0012】
上記の態様においては、前記電池モジュールの積層方向の一方の端部に取り付けられ、各前記隙間を外部と通気させるエンドプレートを有し、前記エンドプレートは、剛性部材と、前記剛性部材の内面側に位置する樹脂部材とを有し、前記樹脂部材は、前記ケース部材に密着するリップ部を有すること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、エンドプレートの樹脂部材のリップ部がケース部材に密着しているので、電池パックの内部に流した冷却風を電池パックの外部へ逃がさないようにすることができる。そのため、効率よく冷却風により電池セルを冷却できる。
【0014】
上記の態様においては、前記ケース部材は、前記電池モジュールの積層方向の一方の端部側に位置するエンドウォールを有し、前記電池モジュールは、その積層方向に圧縮された状態で前記ケース部材に収納されており、前記底面部における前記エンドウォールよりも前記電池モジュールの積層方向に内側の領域の複数箇所に、機器への締結箇所が設けられていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、エンドウォールに作用する電池モジュールの積層方向の拘束荷重は、エンドウォールよりも電池モジュールの積層方向に内側の領域には作用し難いので、機器への締結箇所に作用し難くなる。そのため、安定して電池パックを機器に締結させておくことができる。
また、上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、複数の電池セルを積層してケース部材に収納してなる電池パックであって、前記ケース部材は、複数の電池セルを厚み方向に積層してなる電池モジュールの下方に位置する底面部と、前記電池モジュールの両側方に位置する第1側壁部および第2側壁部とを有し、前記底面部には、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの位置を幅方向に規制する複数箇所の位置規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、前記第1側壁部および前記第2側壁部にはそれぞれ、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルの高さ方向位置を規制する高さ規制形状部が、前記電池モジュールの積層方向に沿って形成されており、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルは、前記位置規制形状部に規制される複数箇所の被位置規制部と、前記高さ規制形状部に規制される第1被高さ規制部および第2被高さ規制部を有し、前記電池モジュールに含まれる個々の電池セルはそれぞれ樹脂枠部材に嵌め込まれており、前記被位置規制部、前記第1被高さ規制部、前記第2被高さ規制部はいずれも、前記樹脂枠部材に形成され、前記第1被高さ規制部および前記第2被高さ規制部は、それぞれ、前記電池セルの上面に配置され、前記電池モジュールの底面と、前記ケース部材の底面部のうち前記位置規制形状部以外の部位との間に隙間があり、前記電池モジュールの一方の側面と、前記ケース部材の第1側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、前記電池モジュールのもう一方の側面と、前記ケース部材の第2側壁部のうち前記高さ規制形状部以外の部位との間に隙間があり、前記電池モジュールの積層方向の一方の端部に取り付けられ、各前記隙間を外部と通気させるエンドプレートを有し、前記エンドプレートは、剛性部材と、前記剛性部材の内面側に位置する樹脂部材とを有し、前記樹脂部材は、前記ケース部材に密着するリップ部を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示の電池パックによれば、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の電池パックの全体斜視図である。
【
図2】説明の便宜上、電池セルを一部のみ示し、その他の電池セルを省略して示した本実施形態の電池パックの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の電池パックの実施形態について説明する。
【0019】
<電池パックの全体概要について>
図1に示すように、本実施形態の電池パック1は、電池スタック11と、当該電池スタック11を収納する電池ケース12と、を有する。なお、電池スタック11は本開示の「電池モジュール」の一例であり、電池ケース12は本開示の「ケース部材」の一例である。
【0020】
電池スタック11は、
図1に示すX方向に積層されて配置される複数の角型の電池セル21により構成されている。本実施形態では、2つの電池スタック11が
図1に示すY方向に並んで配置されている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、
図1に示すようにXYZ軸を定義する。
【0021】
電池スタック11に含まれる個々の電池セル21は、その上面31に、2つの電極端子32を備えている。2つの電極端子32は、一方が正極端子であり、他方が負極端子である。
【0022】
図3に示すように、電池セル21は、樹脂枠部材22に嵌め込まれている。この樹脂枠部材22は、底面部41と、第1側壁部42および第2側壁部43と、を備えている。底面部41は、電池セル21の底面部分を保持している。また、第1側壁部42および第2側壁部43は、底面部41における電池パック1の幅方向(Y方向、左右方向)の両端部から、電池パック1の高さ方向(Z方向、上方向)に向けて延びるようにして形成されている。そして、第1側壁部42および第2側壁部43は、電池セル21の両側面部分を保持している。
【0023】
図1に示すように、電池スタック11の積層方向の一方の端部(すなわち、後述するエンドウォール52とは反対側の端部)には、板状部材であるエンドプレート13が、取り付けられている。このエンドプレート13は、押し出し材である電池ケース12とは元々は別体であって後付けされるものである。また、エンドプレート13は、押し出し材として形成されている。
【0024】
電池ケース12は、全体として上方が開放された箱状のアルミニウムの押し出し部材であり、ケース本体51と、エンドウォール52と、を備えている。
【0025】
ケース本体51は、底面部53と、第1側壁部54および第2側壁部55と、を備えている。底面部53は、複数の電池セル21を厚み方向に積層して構成される電池スタック11の下方に位置している。第1側壁部54および第2側壁部55は、電池スタック11の両側方(すなわち、電池パック1の幅方向(Y方向、左右方向)の両側)に位置している。そして、第1側壁部54および第2側壁部55は、底面部53における電池パック1の幅方向の両端部から、電池パック1の高さ方向に向けて延びるようにして形成されている。
【0026】
エンドウォール52は、電池スタック11の積層方向の一方の端部(すなわち、エンドプレート13とは反対側の端部)側の位置に配置されている。このエンドウォール52は、長方形の板状に形成されており、ケース本体51と摩擦圧接または溶接により接合されている。
【0027】
このような電池ケース12は、底面部53とエンドウォール52と第1側壁部54および第2側壁部55とによって囲われて形成される電池スタック11の収納空間であるスロット部57を、2つ備えている。
【0028】
なお、電池ケース12は、電池スタック11の積層方向におけるエンドウォール52とは反対側(すなわち、エンドプレート13側)の端部が開口している。また、電池パック1は、実際に使用される場面等に応じて上部を覆うカバー部材等が適宜、取り付けられる。
【0029】
<電池セル(電池スタック)の位置決めについて>
図1~
図3に示すように、本実施形態では、電池ケース12の第1側壁部54および第2側壁部55には、それぞれ、電池スタック11に含まれる個々の電池セル21の高さ方向位置を規制する溝部56が、電池スタック11の積層方向に沿って形成されている。なお、溝部56は、本開示の「高さ規制形状部」の一例である。
【0030】
また、
図3に示すように、電池セル21が嵌め込まれる樹脂枠部材22は、その第1側壁部42および第2側壁部43の上端部に、電池ケース12の溝部56に規制される第1鍔部44および第2鍔部45を備えている。第1鍔部44は、第1側壁部42から電池セル21の内側および外側に向けて延びるようにして形成されている。また、第2鍔部45は、第2側壁部43から電池セル21の内側および外側に向けて延びるようにして形成されている。なお、第1鍔部44は本開示の「第1被高さ規制部」の一例であり、第2鍔部45は本開示の「第2被高さ規制部」の一例である。
【0031】
そして、
図4に示すように、第1鍔部44は、その下面71(すなわち、電池セル21の外側にある下面)が電池ケース12の溝部56の下面73に接するようにして、溝部56の内部に嵌め込まれている。さらに、第1鍔部44は、その下面71(すなわち、電池セル21の内側にある下面)が電池セル21の上面31に接するようにして、電池セル21の上面31に配置されている。
【0032】
同様に、第2鍔部45は、その下面71が電池ケース12の溝部56の下面73に接するようにして、溝部56の内部に嵌め込まれている。さらに、第2鍔部45は、その下面71が電池セル21の上面31に接するようにして、電池セル21の上面31に配置されている。
【0033】
このようにして、樹脂枠部材22を介して電池ケース12対する電池セル21の高さ方向の位置決めを行う。これにより、電池セル21の上面31の高さ方向の位置のバラつきを最小に抑えることができる。そのため、電池セル21の上面31に備わる電極端子32へのバスバーの接合を安定して行うことができる。
【0034】
また、
図2に示すように、本実施形態では、電池ケース12の底面部53には、電池スタック11に含まれる個々の電池セル21の位置を幅方向に規制する複数箇所の整列溝部58が、電池スタック11の積層方向に沿って形成されている。整列溝部58は、1つのスロット部57につき、2つ形成されている。なお、整列溝部58は、本開示の「位置規制形状部」の一例である。
【0035】
図5に示すように、整列溝部58は、底面部81と側面部82を備えている。そして、側面部82は、底面部81側から上方側(すなわち、整列溝部58の溝形状の開口側)に向かうに連れて整列溝部58の溝形状の内側に入り込むようにして、テーパ形状に形成されている。
【0036】
また、
図3に示すように、電池セル21が嵌め込まれる樹脂枠部材22は、その底面部41に、電池ケース12の整列溝部58に規制される複数箇所の整列凸部46を備えている。整列凸部46は、1つの樹脂枠部材22につき、2つ形成されている。なお、整列凸部46は、本開示の「被位置規制部」の一例である。
【0037】
図5に示すように、整列凸部46は、底面部91と側面部92を備えている。そして、側面部92は、底面部91側から上方側に向かうに連れて整列凸部46の内側に入り込むようにして、テーパ形状に形成されている。
【0038】
このような電池ケース12の整列溝部58と電池セル21の整列凸部46について、整列溝部58の内部に整列凸部46が嵌め込められ、整列凸部46の側面部92と整列溝部58の側面部82とが接している。
【0039】
このようにして、樹脂枠部材22を介して電池ケース12対する電池セル21の幅方向の位置決めを行う。
【0040】
本実施形態では、以上のようにして、電池パック1の高さ方向と幅方向について、電池ケース12に対する電池セル21の位置決めを行う。すなわち、樹脂枠部材22の第1鍔部44および第2鍔部45と電池ケース12の溝部56との接点と、樹脂枠部材22の第1鍔部44および第2鍔部45と電池セル21の上面31との接点と、樹脂枠部材22の整列凸部46と電池ケース12の整列溝部58との接点と、を有することにより、電池パック1の高さ方向と幅方向について、電池ケース12に対する電池セル21の位置決めが行なわれている。そして、これにより、電池パック1の高さ方向と幅方向について、電池ケース12に対して、複数の電池セル21を積層した電池スタック11の位置決めがなされる。
【0041】
このように、電池ケース12は、電池スタック11を収納するケースとしての役割とともに、電池パック1の高さ方向と幅方向について電池スタック11の位置決めを行う治具としての役割を有する。特に、電池ケース12はアルミニウムの押し出し材であるので、溝部56や整列溝部58の形状や位置の精度を高くすることができることから、電池スタック11の位置決めを精度よく行うことができる。
【0042】
このようにして、本実施形態では、電池セル21の整列凸部46が電池ケース12の整列溝部48に規制されるとともに、電池セル21が嵌め込まれる樹脂枠部材22の第1鍔部44および第2鍔部45が電池ケース12の溝部56に規制される。
【0043】
これにより、取り付け用の専用部品を使用しなくても、電池セル21の電池ケース12への取り付けと、電池ケース12に対する電池セル21の位置決めを行うことができる。そのため、電池パック1の部品点数を減らしながら、複数の電池セル21を厚み方向に積層してなる電池スタック11の電池ケース12への取り付けと、電池ケース12に対する電池スタック11の位置決めを行うことができる。
【0044】
そして、電池パック1の部品点数が減ることにより、各部品の公差の積み上げが少なくなる。そのため、例えば、電池セル21の電極端子32の高さ精度(すなわち、電池パック1の高さ方向の精度)が向上し、電極端子32にバスバー(不図示)を安定して接合することができる。特に、本実施形態では、電池セル21が嵌め込まれる樹脂枠部材22の第1鍔部44および第2鍔部45が電池ケース12の溝部56に規制されるので、電池セル21の電極端子32の高さ精度が向上する。また、電池パック1の部品点数が減ることにより、電池パック1を小型化できるとともに、電池パック1の製造工程の簡易化と製造コストの低減を図ることができる。
【0045】
そして、本実施形態では、整列凸部46、第1鍔部44、第2鍔部45を、樹脂枠部材22に集約するので、より効果的に電池パック1部品点数を減らすことができる。
【0046】
<電池セルの冷却について>
図3に示すように、本実施形態では、電池スタック11の一方の側面23と、電池ケース12の第1側壁部54のうち溝部56以外の部位(すなわち、溝部56よりも下方の部位)との間に、隙間111がある。
【0047】
また、電池スタック11の他方の側面24(すなわち、もう一方の側面)と、電池ケース12の第2側壁部55のうち溝部56以外の部位(すなわち、溝部56よりも下方の部位)との間に、隙間112がある。
【0048】
さらに、電池スタック11の底面25と、電池ケース12の底面部53のうち整列溝部58以外の部位(すなわち、2つの整列溝部58の間の部位)との間に、隙間113がある。
【0049】
そして、隙間111と隙間112と隙間113は、互いに連通している。これにより、
図6~
図8に示すように、外部ダクトから隙間111と隙間112に冷却風を流し込むことができる。そして、これにより、冷却風が隙間111と隙間112を流れて隣り合う電池セル21の間を流れた後に、隙間113から電池パック1の外に流れる。そのため、電池セル21を冷却して、電池セル21から排出される排熱を電池パック1の外に排出させることができる。なお、外部ダクトから隙間113に冷却風を流し込み、冷却風が隙間111と隙間112から電池パック1の外に流れるようにしてもよい。また、
図7にて点線の矢印方向で示すように、エンドウォール52側から隙間111と隙間112に冷却風を流し込でもよい。
【0050】
このようにして、本実施形態では、冷却風を電池スタック11と電池ケース12との間に形成した隙間111および隙間112および隙間113に流すようにして電池パック1の内部に流すことにより、電池スタック11に含まれる個々の電池セル21を冷却できる。
【0051】
また、
図1や
図7に示すように、本実施形態では、エンドプレート13は、隙間111および隙間112を外部と通気させる開口部121を備えている。そして、エンドプレート13は、剛性部材101と、剛性部材101の内面側(すなわち、電池スタック11が配置される側)に位置する樹脂部材102とを備えている。
【0052】
剛性部材101は、金属(例えば、アルミニウム)で形成されている。そして、剛性部材101は、摩擦圧接または溶接により、あるいは、ボルトを使用して、電池ケース12のケース本体51に接合されている。
【0053】
樹脂部材102は、樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン))で形成されている。そして、本実施形態では、樹脂部材102は、電池ケース12のケース本体51に密着するリップ部103を備えている。
【0054】
このようにして、エンドプレート13の樹脂部材102のリップ部103が電池ケース12のケース本体51に密着しているので、電池パック1の内部の隙間111や隙間112に流した冷却風を電池パック1の外部へ逃がさないようにできる。そのため、効率よく冷却風により電池セル21を冷却できる。
【0055】
<電池パックの機器への締結箇所について>
図1に示すように、電池スタック11は、その積層方向に圧縮された状態で電池ケース12に収納されている。そして、
図6に示すように、本実施形態では、電池ケース12の底面部53におけるエンドウォール52よりも電池スタック11の積層方向に内側の領域の複数箇所に、機器(不図示、例えば、車両)への締結箇所114が設けられている。この締結箇所114では、
図3に示すように、ボルト115で電池ケース12に締結されるプレート部材116を介して、ボルト115で電池パック1が機器に締結されている。本実施形態では、締結箇所114は、電池スタック11の積層方向について、3箇所設けられている。
【0056】
これにより、エンドウォール52に作用する電池スタック11の積層方向の拘束荷重は、エンドウォール52よりも電池スタック11の積層方向に内側の領域には作用し難いので、機器への締結箇所114に作用し難くなる。そのため、安定して電池パック1を機器に締結させておくことができる。
【0057】
<変形例について>
なお、変形例として、
図3にて点線に示すように、電池パック1は、衝突吸収用にL字ガード117を有してもよい。
【0058】
また、その他の変形例として、
図10に示すように、電池パック1は、左右分割されていてもよい。これにより、電池スタック11を電池ケース12に収納し易くなるなど、電池スタック11の取り回しが良くなるので、電池パック1を作製し易くなる。
【0059】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
1 電池パック
11 電池スタック
12 電池ケース
13 エンドプレート
21 電池セル
22 樹脂枠部材
23 一方の側面
24 他方の側面
25 底面
41 底面部
42 第1側壁部
43 第2側壁部
44 第1鍔部
45 第2鍔部
46 整列凸部
51 ケース本体
52 エンドウォール
53 底面部
54 第1側壁部
55 第2側壁部
56 溝部
58 整列溝部
101 剛性部材
102 樹脂部材
103 リップ部
111 隙間
112 隙間
113 隙間
114 締結箇所