(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】部品装着装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20241025BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020064357
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】秦 純一
(72)【発明者】
【氏名】福田 尚三
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩
(72)【発明者】
【氏名】松田 鷹則
(72)【発明者】
【氏名】星野 竜也
(72)【発明者】
【氏名】韓 猛
(72)【発明者】
【氏名】坪田 一総
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/018247(WO,A1)
【文献】特開2011-155050(JP,A)
【文献】特開2005-107716(JP,A)
【文献】特開2019-168238(JP,A)
【文献】特開2001-094299(JP,A)
【文献】特開平07-235800(JP,A)
【文献】特開平11-266100(JP,A)
【文献】特開2005-315749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30;
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドで保持された部品を下方から撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像と撮像時の照明による照明パターンとを制御する撮像制御部と、
前記撮像部によって撮像された画像から前記部品を認識する部品認識部と、
前記部品認識部による認識結果に基づいて、前記ヘッドで前記部品を基板に実装する部品実装部と、を備え、
前記撮像制御部は、前記部品が前記撮像部の上方を移動している第1のタイミングで前記照明を第1のパターンで点灯させるとともに前記撮像部に撮像を行わせることにより第1の画像を取得し、前記部品が前記撮像部の上方を移動している第2のタイミングで前記照明を第2のパターンで点灯させるとともに前記撮像部に撮像を行わせることにより第2の画像を取得し、
前記部品認識部は、前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて、前記部品を認識し、
前記撮像制御部は、前記第1のパターンで前記照明が点灯されて撮像された連続した複数の前記第1の画像を合成して
前記部品の全体を含む第1の合成画像を生成するとともに、前記第2のパターンで前記照明が点灯されて撮像された連続した複数の前記第2の画像を合成して
前記部品の全体を含む第2の合成画像を生成し、
前記部品認識部は、前記第1の合成画像と前記第2の合成画像とに基づいて、前記部品を認識する、
部品装着装置。
【請求項2】
前記撮像制御部は、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記撮像部に交互に撮像させ
る、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記撮像制御部は、前記第1のパターンとして前記部品の上方に配置された反射板を照
明する透過照明を行い、前記第2のパターンとして前記部品の下面を照明する反射照明を
行う、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記撮像制御部は、前記第1のパターンとして前記部品の側方を照明する側方照明を行
い、前記第2のパターンとして前記部品の下面を照明する反射照明を行う、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記撮像制御部は、前記第1のパターンとして前記部品の上方に配置された反射板を照
明する透過照明を行い、前記第2のパターンとして前記部品の側方を照明する側方照明を
行う、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記部品の認識結果に基づいて、前記部品に対応する前記基板上の位置に実装する部品
実装部、をさらに備える、
請求項1に記載の部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体などの基板製造工場には、複数の実装基板製造ラインが設けられ、実装基板製造ラインのそれぞれには、複数の部品装着装置が配置される。部品装着装置のそれぞれは、基板においてクリーム半田が印刷された位置に電子部品等の部品を装着する。近年、基板製造工場の生産性を高めるため、この部品装着装置についても稼働効率の向上が要求されている。
【0003】
従来の部品装着装置として、移動ヘッドにはノズルが搭載されており、そのノズルに保持された電子部品を照明部によって照明した上で部品認識カメラによって撮像して電子部品の画像認識を行う部品実装装置の部品認識装置が知られる(例えば特許文献1参照)。この部品認識装置は、照明部に反射照明用の第1の照明部、透過照明用の第2の照明部、側方照明用の第3の照明部をそれぞれ備える。そして、この照明部と照明対象(例えば部品)との間には、照明部のそれぞれから照射される照明光が所定の照射対象部位以外の部位に照射されるのを防止する遮光板が配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示の照明部を用いて、移動ヘッドに搭載されたノズルにより吸着された部品を部品認識カメラの上方で移動(スキャン)しながら撮像して認識する際、実装効率上の課題が発生することがあった。すなわち、部品の異なる状態または姿勢のそれぞれを検出するために、複数の照明部の照明パターンを個別に用いて撮像する場合、部品を部品認識カメラの上方で少なくとも2回移動させる必要がある。そのため、部品の認識に時間を要してしまうという課題があった。また、画像認識上の課題もあった。
【0006】
図10(A),(B)および
図11(A),(B)を参照して、画像認識上の課題について説明する。
図10(A),(B)は、電子部品を反射照明および透明照明で撮像して取得した例示画像である。
図11(A),(B)は、BGA部品を側方照明および透明照明で撮像した取得した例示画像である。BGAは、Ball Grid Arrayの略称である。
【0007】
例えば、部品を移動ヘッドで保持して移動させながら部品認識カメラで撮像して画像を取得する際、
図10(A)に示すように、部品がICまたはトランジスタなどの電子部品であり、照明部の照明のパターンとして反射照明を用いる場合、部品の電極以外が暗像となる。そのため、電極の位置および形状は明像となり容易に認識可能となる。その一方、反射照明の場合、その部品全体の外形を示すモールド外形(言い換えると、シルエット)の形状を判別するのは困難となるので、透過照明を用いる必要があった。電子部品に対し透過照明を用いると、
図10(B)に示すように、そのシルエットが明像となり容易に部品のモールド外形が認識可能となる。
【0008】
また、その他に部品がBGA部品の場合、
図11(A)に示すように、照明部の照明パターンとして側方照明を用いた際、BGA部品の電極パターン以外が暗像となるので電極パターンの位置および形状は明像となり容易に認識可能となる。その一方、側方照明を用いた際、そのBGA部品の電極パターンの表裏を示す極性マークが暗像となり部品認識カメラに撮像されないので、反射照明を用いる必要があった。BGA部品に対し反射照明を用いると、
図11(B)に示すように、極性パターンの極性マークMが明像となり容易に認識可能となる。
【0009】
このような画像認識上の課題があるため、適切な照明パターンを適宜切り替えて部品を撮像する必要があり、部品の認識に時間を要してしまい部品の実装効率が低下していた。すなわち、認識効率および実装効率の点で特許文献1の部品装着は改善の余地があった。
【0010】
本開示は、部品に応じて複数の照明パターンを適切に切り替えながら撮像して部品の異なる状態または姿勢の認識効率を向上し、部品の実装効率の低下を抑制する部品装着装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、ヘッドで保持された部品を下方から撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像と撮像時の照明による照明パターンとを制御する撮像制御部と、前記撮像部によって撮像された画像から前記部品を認識する部品認識部と、前記部品認識部による認識結果に基づいて、前記ヘッドで前記部品を基板に実装する部品実装部と、を備え、前記撮像制御部は、前記部品が前記撮像部の上方を移動している第1のタイミングで前記照明を第1のパターンで点灯させるとともに前記撮像部に撮像を行わせることにより第1の画像を取得し、前記部品が前記撮像部の上方を移動している第2のタイミングで前記照明を第2のパターンで点灯させるとともに前記撮像部に撮像を行わせることにより第2の画像を取得し、前記部品認識部は、前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて、前記部品を認識し、前記撮像制御部は、前記第1のパターンで前記照明が点灯されて撮像された連続した複数の前記第1の画像を合成して前記部品の全体を含む第1の合成画像を生成するとともに、前記第2のパターンで前記照明が点灯されて撮像された連続した複数の前記第2の画像を合成して前記部品の全体を含む第2の合成画像を生成し、前記部品認識部は、前記第1の合成画像と前記第2の合成画像とに基づいて、前記部品を認識する、部品装着装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、部品に応じて複数の照明パターンを適切に切り替えながら撮像して部品の異なる状態または姿勢の認識効率を向上し、部品の実装効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る部品装着装置の機械的構成を例示する上面図
【
図2】
図1に示す部品装着装置の機械的構成を例示する側面図
【
図3】
図2に示す移動ヘッドの動作を例示する斜視図
【
図4】
図2に示す部品認識カメラの機械的構成を例示する側面図
【
図5】
図1に示す部品装着装置の制御部の機能的構成を例示するブロック図
【
図6】
図2に示す移動する部品を連続撮像した複数の画像を時系列で並べた模式図
【
図7】
図2に示す移動する部品を連続撮像した複数の画像を1つに合成した画像例
【
図8】
図5に示す制御部で実行される動作フローを例示するフローチャート
【
図9】
図8に示すステップによって実行される照明および撮像を例示する模式図
【
図10】(A),(B)電子部品を反射照明および透明照明で撮像して取得した例示画像
【
図11】(A),(B)BGA部品を側方照明および透明照明で撮像した取得した例示画像
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る部品装着装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って参照するものとする。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
例えば、実施の形態でいう「部」または「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されていてもかまわない。
【0016】
<部品装着装置の機械的構成について>
先ず、
図1および
図2を参照しながら、部品装着装置1の機械的構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る部品装着装置1の機械的構成を例示する上面図である。
図2は、
図1に示す部品装着装置1の機械的構成を例示する側面図である。なお、
図1および
図2において、部品装着装置1の正面側(
図1の紙面で下側、
図2の紙面で左側)を前側、部品装着装置1の裏面側(
図1の紙面で上側、
図2の紙面で右側)を後側ともいう。
【0017】
部品装着装置1は、基板Wに各種の部品Pを取り付けて製造するための実装基板製造ラインに1つまたは複数配置されており、実装基板製造ラインの上流から搬送される基板Wに部品Pを所定の位置および姿勢で装着する。
【0018】
図1および
図2に示すように、部品装着装置1は、主に各部機構の動作によって基板Wに部品P(例えば、IC(Integrated Circuit)、トランジスタ、コンデンサなどの電子部品、またはBGA部品)などを実装する本体機構部10(部品実装部の一例)と、その動作を制御する制御部40と、を含んで構成される。本体機構部10は、基台12などから構成される実装機本体11と、実装機本体11に対し移動可能に構成されるヘッドユニット23(部品実装部の一例)と、を有する。なお、制御部40は、部品装着装置1の基台12(下述参照)の内部に収納されており、実装機本体11およびヘッドユニット23などの各種の機構を制御する。
【0019】
実装機本体11の基台12の中央部には、
図1に示すX方向(基板Wの搬送方向)に沿って基板搬送機構13が配設される。基板搬送機構13は、X方向に沿って延設される一対のコンベア部14を有し、その一対のコンベア部14の上に載置される基板Wを搬送して所定の装着作業位置で位置決めして保持する。
【0020】
基板搬送機構13の前後両側(
図1の紙面で上下両側、
図2の紙面で左右両側)には、前後一対の部品供給機構15のそれぞれが対向して配設される。この一対の部品供給機構15のそれぞれはスロット17が設けられるフィーダベース16を有しており、スロット17にはパーツフィーダとして複数のテープフィーダ18が並列に装着される。
【0021】
また、部品装着装置1は、フィーダーカート19をさらに有する。フィーダーカート19は、その下側に複数の車輪が配設される台車部20と、台車部20の上側に配設される複数のリールストック部(不図示)と、を含んで構成される。複数のリールストック部のそれぞれには、リール21が収容される。リール21のそれぞれから、部品Pが収容されるキャリアテープ22が引き出されて部品供給機構15のテープフィーダ18に部品Pが供給される。これにより、部品供給機構15のテープフィーダ18は、キャリアテープ22をテープ送り方向にピッチ送りすることにより、下述するヘッドユニット23の移動ヘッド26によって部品Pの取り出し(ピックアップ)が実行される取出位置に供給する。
【0022】
ヘッドユニット23は、基台12の上方に配設されており、部品供給機構15と基板Wとが配置される装着作業位置および取出位置とに亘って移動可能に構成される。具体的には、ヘッドユニット23は、基板Wの表面と略平行する平面上で互いに直交配置されるX軸テーブル機構25およびY軸テーブル機構24とによってX方向およびY方向に沿って直動移動可能である。
【0023】
基台12の上面には、Y軸テーブル機構24がY方向に沿って配設される。また、前後一対のX軸テーブル機構25がX方向に沿って配設されており、Y方向に沿ってスライド移動可能にY軸テーブル機構24のそれぞれに取り付けられる。また、前後一対のX軸テーブル機構25のそれぞれの先端部には、移動ヘッド26がX方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられる。すなわち、実施の形態1では、ヘッドユニット23に移動ヘッド26が搭載されており、移動ヘッド26はX軸テーブル機構25およびY軸テーブル機構24によって互いに独立に移動可能に設けられる。これにより、移動ヘッド26は基板Wの表面と略平行する平面上、つまり水平面(XY平面)において任意に位置決めされる。なお、X軸テーブル機構25およびY軸テーブル機構24はいずれもリニアガイド駆動機構により構成される。
【0024】
前後一対の部品供給機構15と基板搬送機構13との間には、部品認識カメラ28(撮像部の一例)が配設される。部品供給機構15から部品Pを取り出して保持した状態で移動ヘッド26に装着される部品保持ノズル27(下述参照)が部品認識カメラ28の上方を移動して通過する。このとき、部品認識カメラ28は、その通過する部品保持ノズル27に吸着保持された部品Pを所定のタイミングかつ所定の照明パターン(下述参照)で複数回撮像する。つまり、部品認識カメラ28は、部品保持ノズル27で保持された部品Pを撮像しており、制御部40によって部品Pがその上方を移動している最中で照明パターンを複数回変更されながら、その照明パターンのそれぞれに対応したタイミングで連続撮像する(下述参照)。この撮像結果のそれぞれを総合して認識処理することにより、部品Pの識別および位置検出が精度良く実行される。
【0025】
また、前後一対の部品供給機構15と基板搬送機構13との間には、ノズルホルダ38および廃棄ボックス37がさらに配設される。ノズルホルダ38は、移動ヘッド26の部品保持ノズル27を保持対象の部品Pに対応して複数種類収納する。移動ヘッド26をノズルホルダ38にアクセスさせて所定のノズル交換動作を実行させることにより、移動ヘッド26には保持対象に適した部品保持ノズル27(下述)が装着される。廃棄ボックス37は箱状に形成されて内部空間を有し、その内部空間には、部品認識カメラ28によって撮像結果を認識した結果、不良と判定された部品Pなどが廃棄される。
【0026】
<移動ヘッドの構成および動作について>
次に、
図3を参照しながら、移動ヘッド26の構成およびその動作について説明する。
図3は、
図2に示す移動ヘッド26の動作を例示する斜視図である。
【0027】
図3に示すように、移動ヘッド26は複数の移動ヘッド26を有する多連型ヘッド(不図示)であり、それぞれの移動ヘッド26の下端部には複数の部品保持ノズル27が並設される。また、移動ヘッド26には、透過照明部34(下述参照)から照射される照明光を反射させるための反射板(不図示)が固設される。反射板は、保持された部品Pの上方に配置される。
【0028】
部品保持ノズル27のそれぞれは、例えば空気圧を利用して部品供給機構15のテープフィーダ18から部品Pを真空吸着して保持し個別に昇降する。また、移動ヘッド26は、部品保持ノズル27のそれぞれを個別に昇降させるZ軸昇降機構(不図示)と、部品保持ノズル27のそれぞれをノズル軸回に個別に回転させるθ軸回転機構(不図示)と、をさらに有する。Y軸テーブル機構24およびX軸テーブル機構25が駆動することにより、移動ヘッド26は水平面(XY平面)において任意に位置決めされる。この移動により、移動ヘッド26は、部品供給機構15のテープフィーダ18の取出位置から部品Pを部品保持ノズル27によって吸着して取り出す。
【0029】
移動ヘッド26には、X軸テーブル機構25の下面側に配設され、移動ヘッド26と一体に移動する基板認識カメラ36(
図1参照)が固設される。移動ヘッド26が移動することにより、基板認識カメラ36は、基板搬送機構13によって位置決めされた基板Wの上方を通過し基板Wを撮像する。この撮像結果(撮像情報)が同様に認識処理されることにより、基板Wの位置および姿勢が検出される。
【0030】
基板Wの位置の検出結果、移動ヘッド26は、制御部40の指示に従ってその部品保持ノズル27によって部品Pをその装着点(例えば、基板W上における部品Pが装着されるべき装着位置および装着姿勢)それぞれに装着する。この部品Pの1回あたりの装着は、移動ヘッド26の部品保持ノズル27のそれぞれによって吸着保持された部品Pがすべて基板W上に装着されるまで実行される。このようにして、部品Pは、取出位置から装着作業位置までの間を移動ヘッド26の部品保持ノズル27によって保持されて移動され、そして最終的に基板W上に装着される。
【0031】
部品装着装置1は、基板W上の複数の装着点での装着がすべて完了するまで、移動ヘッド26の部品保持ノズル27による複数の部品Pの取出、装着そして取出位置への戻り移動の一連の作業を繰り返し実行する。この作業の繰り返しにより、順次搬送される基板Wのそれぞれには多数の部品Pが順次装着され、装着後、部品Pが全部装着された基板Wは下流工程に搬送される。このように、実装機本体11とヘッドユニット23とは協調して動作しており、この協調動作は制御部40の指示によって実行される。
【0032】
また、実施の形態1では、部品Pの取出位置での取出から装着作業位置での部品Pの装着までの行きの移動と、その後の取出位置への戻りの移動とからなる一連の作業単位を「1ターン」の作業単位ともいう。そして、その1ターンにおける取出位置から装着作業位置での行きの移動を、以下単に「1ターンにおける行きの移動」ともいう。
【0033】
<部品認識カメラの構成について>
次に、
図4を参照しながら、部品認識カメラ28の構成について説明する。
図4は、
図2に示す部品認識カメラ28の機械的構成を例示する側面図である。なお、説明の便宜上、
図4には部品認識カメラ28の上方かつその光軸上に移動する移動ヘッド26も図示されており、また下述するように部品認識カメラ28の照明部の内部構造が模式的に図示される。
【0034】
図4に示すように、部品認識カメラ28は、撮像センサ部29および照明ユニット部31を有する。部品認識カメラ28は、その1ターンにおける行き(つまり、片方向の往路)の移動だけで、移動ヘッド26で保持された部品Pに対し照明ユニット部31を複数回点灯し、そのタイミングそれぞれに対応して撮像カメラ部によって下方から連続して撮像する。
【0035】
撮像センサ部29は、略筒状の筐体30と、筐体30に内蔵される撮像素子(不図示)と、を有する。撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)もしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などにより構成される。撮像センサ部29は、その光軸が垂直方向(Z方向)に沿うように配設され、部品認識カメラ28の上方を移動する部品Pを撮像することが可能である。また、撮像センサ部29はシャッタ機能を有しており、制御部40の撮像処理部47(下述参照)の指令に従って所定のタイミングで撮像可能に構成される。撮像センサ部29は、その撮像素子によって撮像された結果(撮像情報)を制御部40に送信する。
【0036】
照明ユニット部31は、その筐体32が箱状に形成されており、撮像センサ部29の筐体30の上側に積み重ねた状態で連結して配置される。照明ユニット部31は、その筐体32の内部にそれぞれ配置される複数の反射照明部33、複数の透過照明部34および複数の側方照明部35を有する。これら複数の反射照明部33、複数の透過照明部34および複数の側方照明部35を適宜用いて、部品装着装置1は移動する部品Pに対し複数の照明パターンで照明を点灯させてその部品Pを撮像する。
【0037】
複数の反射照明部33のそれぞれは、照明ユニット部31の筐体32の底壁に対し略平行に配置されており、その照射方向が撮像センサ部29の光軸に沿って設けられる。反射照明部33が点灯するとその照明光が垂直方向に沿って照射される。
【0038】
部品保持ノズル27に保持された部品Pは、部品認識カメラ28の上方を移動している第1のタイミングで反射照明部33によって点灯され、部品Pの下面が照らされる。この点灯のタイミングに対応して、撮像センサ部29は、その照明された部品Pの下面を撮像して反射画像R(第1の画像の一例)を検出する(
図6および
図9参照)。反射画像Rは、最終的に部品Pの電極パターンの表裏を示す極性(以下、単に「部品Pの極性」と称する)を制御部40の部品認識部50(下述参照)に認識させるために用いられる。なお、第1のタイミング、下述する第2のタイミングおよび第3のタイミングはいずれも1ターンにおける行き(上述参照)の移動の時間内であり、かつ時系列で互いに異なって設定される。
【0039】
複数の透過照明部34のそれぞれは、筐体32の底壁および側壁に対し斜めに配置されており、その照射方向が撮像センサ部29の光軸に対し斜めに交差して設けられる。複数の透過照明部34は反射照明部33よりも上方に配置されており、反射照明部33と透過照明部34との間には、遮蔽板Bがそれぞれ配置される。遮蔽板Bも同様に筐体32の底壁および側壁の両方に対し斜めに配置される。
【0040】
透過照明部34が点灯するとその照明光が透過ガラスG(下述)を通過して垂直方向および水平方向に対して斜めに照射される。部品保持ノズル27に保持された部品Pが部品認識カメラ28の上方を移動している第2のタイミングで、透過照明部34は移動ヘッド26の反射板を点灯し、その結果、部品Pが照らされる。この点灯のタイミングに対応して、撮像センサ部29は、同様にその部品Pを撮像して透過画像(第2の画像の一例)を検出する(
図9参照)。なお、第2のタイミングは、第1のタイミングとは異なるタイミングである。透過画像Sは、最終的に部品Pのモールド外形(シルエット)を制御部40の部品認識部50に認識させるために用いられる。
【0041】
複数の側方照明部35のそれぞれは、照明ユニット部31の筐体32の側壁に対し略平行に配置されており、その照射方向が撮像センサ部29の光軸に対し垂直に交差して設けられる。また、複数の側方照明部35は透過照明部34よりも上方に配置されており、透過照明部34と側方照明部35との間には、透過ガラスGが水平方向に沿って配置される。側方照明部35が点灯するとその照明光が水平面に沿って照射される。
【0042】
部品保持ノズル27に保持された部品Pは、部品認識カメラ28の上方を移動している第3のタイミングで側方照明部35に点灯され、部品Pの側方が照らされる。この点灯のタイミングに対応して、撮像センサ部29は同様にその部品Pを撮像して側方画像(第3の画像)を検出する。側方画像は、最終的に部品Pの位置および姿勢を制御部40の部品認識部50に認識させるために用いられる。なお、第3のタイミングは、第1のタイミングまたは第2のタイミングとは異なるタイミングである。
【0043】
このように、部品認識カメラ28は、制御部40の指示に従って部品Pがその上方を移動している複数のタイミングのそれぞれで照明を複数のパターン(反射照明、透過照明または側方照明のパターン)で切り替えてそれぞれ点灯するとともに撮像を行うことで、複数種類の画像を検出する。
【0044】
<部品装着装置のソフトウェア構成について>
次に
図5を参照しながら、部品装着装置1の制御部40のソフトウェア構成(機能的構成)および制御部40の撮像処理部47の動作について説明する。
図5は、
図1に示す部品装着装置1の制御部40の機能的構成を例示するブロック図である。
図6は、
図2に示す移動する部品Pを連続撮像した複数の画像を時系列で並べた模式図である。
図7は、
図2に示す移動する部品Pを連続撮像した複数の画像を1つに合成した画像例である。
【0045】
なお、部品装着装置1の制御部40は、汎用のコンピュータにより構成されており、コンピュータのROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置に記憶保持されるソフトウェアとしてのプログラムが、そのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置によって実行される。すなわち、
図5の制御部40内に図示する各ブロックはプログラムなどのソフトウェアにより実現される機能を表している。ただし、そのブロックそれぞれで表現される機能はソフトウェアに限らず、それぞれが「装置」の物理的構成としてハードウェアによって構成されてもよい。
【0046】
図5に示すように、制御部40は、記憶部41と、機構駆動部46と、撮像処理部47と、を含んで構成される。機構駆動部46は、本体機構部10を制御し、例えば基板搬送機構13、部品供給機構15およびヘッドユニット23が互いに協調して動作するようにそれぞれの駆動を制御する。
【0047】
記憶部41は、実装情報42と、部品情報43と、撮像タイミング情報45と、を少なくとも記憶保持する。実装情報42には、基板Wのそれぞれに実装されるべき部品Pの種類、およびその基板W上の部品Pの取付位置および取付姿勢などの情報が格納される。部品情報43には、部品Pの種類ごとの外形および、電極の有無またはその本数などの情報が格納されており、また照明切替情報44も格納される。
【0048】
照明切替情報44は、部品Pのそれぞれに適した照明パターン(反射照明、透過照明または側方照明のいずれかのパターン)に関する情報が格納される。撮像処理部47のカメラ制御部48(下述参照)は、記憶部41の照明切替情報44を読み込んで、ヘッドユニット23によって保持された部品Pの種類に対応した照明パターンで部品認識カメラ28の撮像タイミングを制御する。また、撮像タイミング情報45には、部品Pのそれぞれの照明パターンに対応する撮像タイミング(シャッタタイミング)に関する情報が格納される。撮像処理部47のカメラ制御部48は、記憶部41の撮像タイミング情報45を、照明パターンと撮像タイミングを同期させて移動する部品Pを部品認識カメラ28に撮像させる制御を行う。
【0049】
撮像処理部47は、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)と、画像合成部49(撮像制御部の一例)と、部品認識部50と、を有する。
【0050】
カメラ制御部48は、部品認識カメラ28の撮像センサ部29による撮像と、その撮像時の照明ユニット部31による照明パターン(反射照明、透過照明または側方照明)と、を制御する。その具体例として、1ターンにおける行きの移動で、カメラ制御部48は、部品Pが部品認識カメラ28の上方を移動している第1のタイミングT1で、照明を反射照明部33の反射照明のパターンで点灯させて反射画像Rを取得する。そして、カメラ制御部48は、同様に1ターンにおける行きの移動で、その第1のタイミングT1からすぐ(微少時間後)の次となる第2のタイミングT2で、照明を透過照明部34の透過照明のパターンで点灯させて透過画像Sを取得する。なお、以下、照明パターンとして反射照明および透過照明を用いた場合をその一例として説明するが、部品Pの種類に応じて、使用されるべき照明パターンの組み合わせは種々に適用されてよく、部品装着装置1の実際の稼働前に設定される。
【0051】
カメラ制御部48は、部品認識カメラ28に対しこのように取得する反射画像Rと透過画像Sとを交互に1つずつ撮像させ、その1つずつの反射画像Rと透過画像Sとを1セットとして3セット連続して撮像させる。この撮像制御により、撮像処理部47は、移動する部品Pに対し時系列に互いに異なる、連続した3つの反射画像R、および同じく連続した3つの透過画像Sを部品認識カメラ28から取得することが可能となる。
【0052】
具体的には、画像が連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)である場合、
図6に示すように、最初の第1の反射画像R1は移動ヘッド26の移動方向に沿って部品Pの先端部分(例えば左側部分)を撮像したものとなる。次の第2の反射画像R2は、部品Pの中間部分(例えば中央部分)を撮像したものとなる。最後の第3の反射画像R3は、部品Pの末端部分(例えば右側部分)を撮像したものである。
【0053】
なお、
図6で紙面左右方向に延在する矢印の図示は、1ターンにおける行きの移動での時系列を意味する。
図9でも同様である。すなわち、時系列的に、第1の反射画像R1、第2の反射画像R2および第3の反射画像R3の順で、移動ヘッド26によって移動する部品Pが撮像される。
【0054】
このように撮像された、連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)および連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)のそれぞれは画像合成部49によって画像処理される。すなわち、画像が連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)である場合、
図7に示すように、画像合成部49は、反射照明のパターンで照明が点灯された、連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)を合成して第1の合成画像U1を生成する。画像が連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)である場合も同様に、画像合成部49は、透過照明のパターンで照明が点灯された、連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)を合成して第2の合成画像U2を生成する(
図9参照)。第1の合成画像U1および第2の合成画像U2は、部品認識部50に送信される。
【0055】
部品認識部50は、連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)からなる第1の合成画像U1と、連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)からなる第2の合成画像U2と、に基づいて部品Pの位置、姿勢および極性を認識する。部品認識部50による認識結果に基づいて、ヘッドユニット23はその移動ヘッド26で部品Pを基板Wの所定の位置および姿勢で実装する。
【0056】
なお、基板認識カメラ36の撮像情報も撮像処理部47に送信されており、撮像処理部47は部品認識部50と同様にその撮像情報(画像)から基板Wの位置および姿勢を認識し、その認識結果を機構駆動部46に送信する。
【0057】
<制御部40の動作フローについて>
次に、
図8および
図9を参照しながら、実施の形態1に係る制御部40の動作フローについて説明する。
図8は、
図5に示す制御部40で実行される動作フローを例示するフローチャートである。
図9は、
図8に示すステップによって実行される照明および撮像を例示する模式図である。なお、上述したように部品認識カメラ28に対し反射画像Rおよび透過画像Sのセット(組み合わせ)での検出を3セット連続して行わせるために、そのセット回数をカウントするためのカウンタn(整数型の変数)が制御部40の記憶部41に記憶保持される。
【0058】
図8に示すように、機構駆動部46は、ヘッドユニット23に移動ヘッド26で取出位置から吸着して取り出すよう指示を送信する(St1)。ヘッドユニット23は、取出位置から部品Pを取り出する。そして、その送信の時点から1ターンにおける行きの移動(ヘッド移動)が開始され、機構駆動部46は、ヘッドユニット23の移動ヘッド26で部品Pを保持させた状態で部品認識カメラ28の上方を移動させる(St2)。そして、制御部40は、カウンタnに初期化(つまり、カウンタnに整数「1」を代入)して、撮像のセット回数が1回目であることを計数する(St3)。
【0059】
撮像処理部47のカメラ制御部48は、部品Pの位置および姿勢を認識するために照明を反射照明のパターンで撮像すべきタイミング(極性用撮像タイミング)であるか否かを判定する(St4)。その判定の結果、極性用撮像タイミングではないと判定する場合、カメラ制御部48は再度極性用撮像タイミングであるか否かを判定し、そのタイミングとなるまで繰り返して判定を継続する(St4、NO)。そして、極性用撮像タイミングであると判定する場合(St4、YES)、カメラ制御部48は、部品Pが部品認識カメラ28の上方を移動している1ターンにおける行きの移動で、先ずは極性用撮像タイミングである第1のタイミングT1で照明を反射照明のパターンで点灯させる。同時にカメラ制御部48は、部品認識カメラ28に撮像を行わせる制御(撮像制御)を行う(St5)。これにより、カメラ制御部48は、第1セット目の第1のタイミングT1での第1の反射画像R1を取得できる(
図9参照)。
【0060】
次に、カメラ制御部48は、部品Pのモールド外形(シルエット)を認識するために照明を透過照明のパターンで撮像すべきタイミング(外形用撮像タイミング)であるか否かを判定する(St6)。その判定の結果、外形用撮像タイミングではないと判定する場合、カメラ制御部48は、再度外形用撮像タイミングであるか否かを判定し、そのタイミングとなるまで繰り返し判定を継続する(St6、NO)。
【0061】
そして、外形用撮像タイミングであると判定する場合(St6、YES)、カメラ制御部48は、同様に1ターンにおける行きの移動で、外形用撮像タイミングである第2のタイミングT2で照明を透過照明のパターンで点灯させる。同時にカメラ制御部48は、部品認識カメラ28に撮像を行わせる制御(撮像制御)を行う(St7)。これにより、カメラ制御部48は、第1セット目の第2のタイミングT2での第1の透過画像S1を取得できる(
図9参照)。つまり、カメラ制御部48は、1セット目の撮像で、第1のタイミングT1からすぐ(微少時間後)の第2のタイミングT2で、照明を透過照明部34の透過照明のパターンに切り替えて点灯させ、第1の透過画像S1を取得する。
【0062】
カメラ制御部48が第1のセット目(n=1)において、第1のタイミングT1での第1の反射画像R1、および第2のタイミングT2での第1の透過画像S1を取得した後、制御部40の撮像処理部47はカウンタnが3(n=3)であるか否かを判定する(St8)。その判定の結果、nが3ではないと判定する場合(St8、NO)、撮像処理部47はカウンタnに整数「1」を加算する(St9)。撮像処理部47は、カウンタnに1を加算した後、ステップSt4に戻りステップSt7までの処理のそれぞれをカウンタnが3となるまで実行する。
【0063】
つまり、カメラ制御部48は、このように反射画像Rと透過画像Sとを交互に1つずつ撮像させ、その1つずつの第1の反射画像R1と第1の透過画像S1とを第1セット目の撮像とする。そして、カメラ制御部48はその第1のセット目の撮像後も、その第1のセット目も含め3セット連続して撮像が完了するまで部品認識カメラ28を制御する。
【0064】
図9に示すように、この撮像制御により、カメラ制御部48は、第2のセット目においてタイミングT3での第2の反射画像R2、およびタイミングT4での第2の透過画像S2を取得する。また、カメラ制御部48は、第3のセット目においてタイミングT5での第3の反射画像R3、およびタイミングT6での第3の透過画像S3を取得する。
【0065】
そして、
図8に示すように、制御部40の撮像処理部47が、カウンタnが3であると判定する場合(St8、YES)、すなわち第3のセット目まで撮像が完了した場合、カメラ制御部48は、連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)、および連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)をそれぞれ独立して画像合成部49に送信する。画像合成部49は、その個別に送信された画像をそれぞれ取得し、反射照明のパターンで照明が点灯されて撮像された、連続した3つの反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)を合成して第1の合成画像U1を生成する。同様に画像合成部49は、透過照明のパターンで照明が点灯された撮像された、連続した3つの透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)を合成して第2の合成画像U2を生成する(St10)。画像合成部49は、その第1の合成画像U1および第2の合成画像U2を部品認識部50に送信する。
【0066】
部品認識部50は、画像合成部49から第1の合成画像U1および第2の合成画像U2を取得し、第1の合成画像U1に基づいて部品Pの極性を、第2の合成画像U2に基づいて部品Pのモールド外形を認識し、その認識結果を機構駆動部46に送信する(St11)。機構駆動部46は、その部品認識部50による認識結果に基づいて、ヘッドユニット23の移動ヘッド26で部品Pを基板W上の所定の位置および姿勢で実装するように指令する。ヘッドユニット23は、機構駆動部46の指令に従ってその移動ヘッド26で部品Pを基板Wに実装する(St12)。このとき、ヘッドユニット23は装着作業位置で部品Pを基板Wに実装しており、これにより1ターンにおける行きの移動が完了する。
【0067】
以上により、実施の形態1の部品装着装置1は、移動ヘッド26(ヘッドの一例)で保持された部品Pを下方から撮像する部品認識カメラ28(撮像部の一例)と、部品認識カメラ28による撮像と撮像時の照明による照明パターンとを制御するカメラ制御部48(撮像制御部の一例)と、部品認識カメラ28によって撮像された画像から部品Pを認識する部品認識部50と、部品認識部50による認識結果に基づいて、移動ヘッド26で部品Pを基板Wに実装するヘッドユニット23(部品実装部の一例)と、を備える。また、カメラ制御部48は、部品Pが撮像部の上方を移動している第1のタイミングT1で照明を反射照明(第1のパターンの一例)で点灯させるとともに部品認識カメラ28に撮像を行わせることにより反射画像R(第1の画像の一例)を取得し、部品Pが部品認識カメラ28の上方を移動している第2のタイミングT2で照明を透過照明(第2のパターンの一例)で点灯させるとともに部品認識カメラ28に撮像を行わせることにより透過画像S(第2の画像の一例)を取得する。また、部品認識部50は、反射画像Rと透過画像Sとに基づいて、部品Pを認識する。
【0068】
このため、部品装着装置1は、移動ヘッド26の、1ターンにおける行きの移動1回だけで複数の照明パターンで部品Pを撮像してその画像のそれぞれを取得することができる。これにより、部品装着装置1は、部品Pに応じて複数の照明パターンを適切に切り替えながら撮像して部品Pの異なる状態または姿勢の認識効率を向上することができる。また、部品装着装置1は、移動ヘッド26の移動1回だけで部品Pの認識に必要な画像を取得するため、部品Pの認識に要する時間を短縮して部品Pの実装効率の低下を抑制することができる。
【0069】
また、部品装着装置1では、画像合成部49(撮像制御部の一例)は、反射照明のパターン(第1のパターンの一例)で照明が点灯されて撮像された複数の反射画像R(第1の画像の一例)を合成して第1の合成画像U1を生成するとともに、透過照明のパターン(第2のパターンの一例)で照明が点灯されて撮像された複数の透過画像S(第2の画像の一例)を合成して第2の合成画像U2を生成する。また、部品認識部50は、第1の合成画像U1と第2の合成画像U2とに基づいて、部品Pを認識する。このため、部品装着装置1は、照明パターンごとに連続した複数の画像を個別に用いて部品Pの認識処理のそれぞれを行うのではなく、部品Pの認識を行う前に連続した複数の画像を合成して1つの画像とした上でその1つの画像に対して部品Pの認識を行う。これにより、部品装着装置1は、部品Pの認識の処理時間を短縮するとともに認識精度を高めることができる。
【0070】
また、部品装着装置1では、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)は、反射画像R(第1の画像の一例)と透過画像S(第2の画像の一例)とを部品認識カメラ28(撮像部の一例)に交互に撮像させる。このため、画像合成部49は、連続した複数の反射画像(具体的には、第1の反射画像R1,第2の反射画像R2,第3の反射画像R3)、および連続した複数の透過画像(具体的には、第1の透過画像S1,第2の透過画像S2,第3の透過画像S3)のそれぞれに基づいて第1の合成画像U1および第2の合成画像U2を合成する際、第1の合成画像U1および第2の合成画像U2との間で撮像範囲の差異を小さくすることができる。これにより、部品装着装置1は、画像合成の精度低下を抑制して、その結果、部品Pの認識精度の総合的な低下を抑制することができる。
【0071】
また、部品装着装置1では、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)は、照明パターンの1つ(第1のパターンの一例)として部品Pの上方に配置された反射板を照明する透過照明を行い、照明パターンの、もう1つ(第2のパターンの一例)として部品Pの下面を照明する反射照明を行う。ここで、反射照射を用いて取得した反射画像Rは部品Pの極性の認識に適したものであり、透過照明を用いて取得した透過画像Sは部品Pの極性の認識に適したものである。このため、部品認識部50が部品Pの極性、さらにはモールド外形の認識を行う際、これら認識を総合的に精度良く行ってその認識効率をさらに高めることができる。
【0072】
また、部品装着装置1は、このように認識された部品Pの認識結果に基づいて、部品Pに対応する基板W上の位置に実装するヘッドユニット23(部品実装部の一例)、をさらに備える。このため、部品装着装置1は、部品Pの認識に要する時間が短縮された状態で、ヘッドユニット23はその移動ヘッド26で部品Pを保持して基板W上の所定の位置に実装するので、製造ラインの実装効率が向上して実装基板製造ラインの生産性を高めることができる。
【0073】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0074】
また、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)は、照明パターンの1つ(第1のパターンの一例)として部品Pの上方に配置された反射板を照明する反射照明を行い、照明パターンの、もう1つ(第2のパターンの一例)として部品Pの側方を照明する側方照明を行うが、照明パターンの組み合わせはこれに限定されない。
【0075】
例えば、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)は、第1のパターンとして部品Pの側方を照明する側方照明を行い、第2のパターンとして部品Pの下面を照明する反射照明を行うように構成してもよい。これにより、部品装着装置1は、部品Pの吸着時の姿勢、さらには部品Pの表裏の極性の認識を行う際、これら認識を総合的に精度良く行ってその認識効率をさらに高めることができる。
【0076】
また、カメラ制御部48(撮像制御部の一例)は、第1のパターンとして部品Pの上方に配置された反射板を照明する透過照明を行い、第2のパターンとして部品Pの側方を照明する側方照明を行うように構成されてもよい。これにより、部品装着装置1は、部品Pの表裏の極性、さらには部品Pのモールド外形の認識を行う際、これら認識を総合的に精度良く行ってその認識効率をさらに高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示は、基板に各種部品を取り付けて製造するための実装基板製造ラインにおいて、部品に応じて複数の照明パターンを適切に切り替えながら撮像して部品の異なる状態または姿勢の認識効率を向上し、部品の実装効率の低下を抑制する部品装着装置として有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 部品装着装置
10 本体機構部
11 実装機本体
12 基台
13 基板搬送機構
14 コンベア部
15 部品供給機構
16 フィーダベース
17 スロット
18 テープフィーダ
19 フィーダーカート
20 台車部
21 リール
22 キャリアテープ
23 ヘッドユニット
24 Y軸テーブル機構
25 X軸テーブル機構
26 移動ヘッド
27 部品保持ノズル
28 部品認識カメラ
29 撮像センサ部
30 筐体
31 照明ユニット部
33 反射照明部
34 透過照明部
35 側方照明部
36 基板認識カメラ
37 廃棄ボックス
38 ノズルホルダ
40 制御部
41 記憶部
42 実装情報
43 部品情報
44 照明切替情報
45 撮像タイミング情報
46 機構駆動部
47 撮像処理部
48 カメラ制御部
49 画像合成部
50 部品認識部
B 遮蔽板
G 透過ガラス
P 部品
W 基板