(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】データ生成装置、データ生成方法、及び、データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241025BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
(21)【出願番号】P 2020213641
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 楓
(72)【発明者】
【氏名】川添 健治
(72)【発明者】
【氏名】川村 信
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038666(JP,A)
【文献】特開2020-144688(JP,A)
【文献】特開2019-114116(JP,A)
【文献】特開2020-027424(JP,A)
【文献】片山 隼多,他,画像検査システムの評価のための模擬検査画像生成の検討,第23回 画像センシングシンポジウム SSII2017 [USB],日本,画像センシング技術研究会,2017年06月07日,「Abstract」、「3 提案手法」、「4.3 CNNを用いた評価」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成装置であって、
第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成する部位画像生成部と、
前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成する部位ラベル生成部と、
前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成する学習画像生成部と、
前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成する正解ラベル生成部と、
前記第1の学習画像における前記第1の部位の検出の正解を示す元の正解ラベルから前記第1の部位に関する情報を抽出して前記第1の部位ラベルを生成する部位抽出部と、を備
え、
前記元の正解ラベルは、前記第1の学習画像における前記第1の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記新たな正解ラベルは、前記第2の学習画像における前記第2の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記第1の部位ラベルは、前記第1の部位を囲む枠の形状を示す情報を含み、
前記第2の部位ラベルは、前記第2の部位を囲む枠の形状を示す情報を含む、
データ生成装置。
【請求項2】
前記部位ラベル生成部は、前記第1の部位画像から前記第2の部位画像への変形に応じて、前記第1の部位ラベルの枠の形状を示す情報を変換して前記第2の部位ラベルを生成する、
請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記部位画像生成部は、前記第1の部位画像を変形させて、前記第2の部位を含む前記第2の部位画像を生成し、
前記部位ラベル生成部は、前記第1の部位画像から前記第2の部位画像への変形に基づいて、前記第1の部位ラベルに含まれる前記第1の部位に関する情報を前記第2の部位に関する情報に変換し、前記第2の部位ラベルを生成する、
請求項
1に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記元の正解ラベル及び前記第1の部位ラベルは、前記第1の部位の種類を示す部位種類情報を含み、
前記部位ラベル生成部は、前記第1の部位ラベルに含まれる前記部位種類情報を前記第2の部位ラベルに含める、
請求項
1から
3のいずれか1項に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成方法であって、
第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成し、
前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成し、
前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成し、
前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成
し、
前記第1の学習画像における前記第1の部位の検出の正解を示す元の正解ラベルから前記第1の部位に関する情報を抽出して前記第1の部位ラベルを生成し、
前記元の正解ラベルは、前記第1の学習画像における前記第1の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記新たな正解ラベルは、前記第2の学習画像における前記第2の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記第1の部位ラベルは、前記第1の部位を囲む枠の形状を示す情報を含み、
前記第2の部位ラベルは、前記第2の部位を囲む枠の形状を示す情報を含む、
データ生成方法。
【請求項6】
物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成プログラムであって、
第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成し、
前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成し、
前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成し、
前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成
し、
前記第1の学習画像における前記第1の部位の検出の正解を示す元の正解ラベルから前記第1の部位に関する情報を抽出して前記第1の部位ラベルを生成し、
前記元の正解ラベルは、前記第1の学習画像における前記第1の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記新たな正解ラベルは、前記第2の学習画像における前記第2の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、
前記第1の部位ラベルは、前記第1の部位を囲む枠の形状を示す情報を含み、
前記第2の部位ラベルは、前記第2の部位を囲む枠の形状を示す情報を含む、
ことをコンピュータに実行させるデータ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ生成装置、データ生成方法、及び、データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ニューラルネットワークによって構成された識別器に検査対象の物体を撮像した画像を入力し、物体に不良の部位が含まれるか否かを識別させる技術が知られている。識別器は、不良の部位を含む物体を撮像した学習画像を用いて学習されることにより、物体に不良の部位が含まれるか否かを識別できるようになる。しかし、不良の部位を含む物体を多数用意することが難しい場合がある。そこで、特許文献1では、不良の部位を含む画像と、不良の部位を含まない画像との差分データを抽出し、不良の部位を含まない画像に差分データを合成して不良の部位を含む疑似的な学習画像を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、識別器の学習を行うためには、学習画像だけでは不十分であり、学習画像に加えて、学習画像における不良の部位の検出の正解を示す正解ラベルを用意する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、識別器の学習に用いられる学習画像及び正解ラベルを効率的に生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るデータ生成装置は、物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成装置であって、第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成する部位画像生成部と、前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成する部位ラベル生成部と、前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成する学習画像生成部と、前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成する正解ラベル生成部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るデータ生成方法は、物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成方法であって、第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成し、前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成し、前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成し、前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成するデータ生成方法。
【0008】
本開示の一態様に係るデータ生成プログラムは、物体を撮像した画像から前記物体に検出対象の部位が含まれるか否かを識別する識別器の学習に用いるデータを生成するデータ生成プログラムであって、第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成し、前記第1の部位画像の前記第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、前記第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成し、前記物体の画像の少なくとも一部に前記第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成し、前記第2の学習画像の前記第2の部位画像が合成された位置に関する情報と前記第2の部位ラベルとに基づいて、前記第2の学習画像における前記第2の部位の検出の正解を示す新たな正解ラベルを生成することをコンピュータに実行させる。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、識別器の学習に用いられる学習画像及び正解ラベルを効率的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態に係る検査システムの構成例を示す模式図
【
図2A】正解ラベルに含まれる部位位置情報が矩形枠を示す場合の一例を説明するための図
【
図2B】正解ラベルに含まれる部位位置情報がセグメント領域を示す場合の一例を説明するための図
【
図3】一実施の形態に係るデータ生成装置及び学習装置の構成例を示すブロック図
【
図4】第1の学習データから第2の学習データを生成する処理を説明するための図
【
図5】データ生成装置及び学習装置が実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図6】本開示に係るデータ生成装置及び学習装置のハードウェア構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(一実施の形態)
<検査システムの構成>
図1は、一実施の形態に係る検査システム10の構成例を示す模式図である。次に、
図1を参照して、一実施の形態に係る検査システム10の構成について説明する。
【0014】
検査システム10は、撮像装置11、検査装置12、データ生成装置100、及び、学習装置200を備える。なお、撮像装置11及び検査装置12は1つの装置として構成されてもよい。データ生成装置100及び学習装置200は1つの装置として構成されてもよい。
【0015】
撮像装置11は、有線通信又は無線通信によって検査装置12に接続される。撮像装置11は、検査対象の物体1を撮像し、物体画像を生成する。撮像装置11は、生成した物体画像を検査装置12へ送信する。検査対象の物体1の例として、自動車のボディー、ギア、ネジなどの金属加工部品、ICチップ、プリント基板などの電気部品といった製品の製造に用いられる部品が挙げられる。
【0016】
検査装置12は、撮像装置11から物体画像を受信する。検査装置12は、識別器300を用いて、物体画像に存在する不良部位2を検出する。不良部位2の例として、キズ、色むら、汚れ、欠け、クラック、バリ、異物、印字のかすれ、印字の位置ずれといった、正常な物体1には存在しない部位が挙げられる。なお、本実施の形態では不良とされる部位を検出する場合について説明するが、検出対象は不良とされる部位に限られない。例えば、検出対象は、特定の特徴を有する部位であれば、どのような部位であってもよい。
【0017】
識別器300は、物体画像に不良部位2が含まれているか否かを検出する機械学習モデルであってよい。識別器300は、物体画像が入力された場合、当該物体画像に不良部位2が含まれている否かを示す検出結果情報を出力するように構成されてよい。また、識別器300は、当該物体画像に不良部位2が含まれている場合、当該物体画像における不良部位2の位置を示す情報(以下、部位位置情報という)を検出結果情報として出力するように構成されてよい。また、識別器300は、当該物体画像に不良部位2が含まれている場合、その不良部位2の種類を示す情報(以下、部位種類情報という)を検出結果情報として出力するように構成されてよい。不良部位2の種類の例として、キズ、色むら、汚れ、欠け、クラック、バリ、異物、印字のかすれ、印字の位置ずれが挙げられる。
【0018】
識別器300は、ニューラルネットワーク又はディープニューラルネットワークの一例であるCNN(Convolutional Neural Network)として構成されてよい。なお、識別器300は、CNNに限られず、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)として構成されてもよい。また、識別器300は、学習器、分類器、AI(Artificial intelligence)といった他の用語に読み替えられてもよい。
【0019】
学習装置200は、複数の学習データを用いて、識別器300の学習を行う。学習データは、不良部位2を含む物体画像に相当する学習画像と、当該学習画像における不良部位2の位置を示す正解ラベルとを含む。すなわち、学習画像及び正解ラベルは、学習データによって関連付けられる。学習データは、教師データと読み替えられてもよい。例えば、学習装置200は、学習画像を識別器300に入力し、識別器300から出力される検出結果情報を得てよい。そして、学習装置200は、その検出結果情報と、入力した学習画像に関連付けられている正解ラベルとを比較し、その検出結果情報と正解ラベルとのずれ(差分)が小さくなるように識別器300の各パラメータを調整してよい。学習装置200は、複数の学習データを用いて、当該識別器300のパラメータ調整を行うことにより、識別器300が不良部位2を検出する精度を向上させてよい。なお、学習装置200の詳細については後述する。
【0020】
ここで、学習画像と正解ラベルの一例について説明する。
図2Aは、正解ラベルに含まれる部位位置情報が矩形枠を示す場合の一例を説明するための図である。
図2Bは、正解ラベルに含まれる部位位置情報がセグメント領域を示す場合の一例を説明するための図である。セグメント領域は、物体画像における不良部位2をセグメンテーションした領域であってよい。
【0021】
図2Aに示すように、部位位置情報が矩形枠141を示す情報である場合、部位位置情報は、学習画像における不良部位2を囲んだ矩形枠141の左上頂点の座標点と右下頂点の座標点とを示す情報であってよい。この場合、部位位置情報は、不良部位2を含む枠141の位置及び形状(例えば横長の長方形又は縦長の長方形等)、不良の種類を示す情報(部位種類情報)であるともいえる。なお、不良部位2を囲む枠は、矩形の枠に限られず、例えば、楕円又は多角形等であってもよい。
【0022】
図2Bに示すように、部位位置情報がセグメント領域142を示す情報である場合、部位位置情報は、学習画像における不良部位2の画素を塗り潰した二値画像であってよい。この場合、部位位置情報は、不良部位2の位置及び形状、不良の種類を示す情報(部位種類情報)であるともいえる。なお、セグメンテーションの場合、ピクセルの色情報で不良の種類を示す情報を付与してもよい。セグメント領域142は、二値画像として示される場合に限られず、例えば、三値以上の画像、又は、セグメント領域の輪郭を示す画像等であってもよい。
【0023】
本実施の形態では、
図2Bに示す、部位位置情報がセグメント領域142を示す場合を例に説明する。しかし、本実施の形態は、
図2Aに示す部位位置情報が矩形枠141を示す場合であっても当然実施可能である。
【0024】
データ生成装置100は、学習装置200において識別器300の学習に用いられる学習データを生成する。なお、データ生成装置100の詳細については後述する。
【0025】
<データ生成装置及び学習装置の詳細>
図3は、一実施の形態に係るデータ生成装置100及び学習装置200の構成例を示すブロック図である。
図4は、第1の学習データから第2の学習データを生成する処理を説明するための図である。次に、
図3、
図4を参照して、一実施の形態に係るデータ生成装置100及び学習装置200の構成について詳細に説明する。
【0026】
<<データ生成装置>>
図3に示すように、データ生成装置100は、第1の学習画像入力部101、ラベル条件設定部102、再学習データ入力部103、第1の正解ラベル生成部104、第1の学習データ格納部105、部位抽出部106、第1の部位データ格納部107、第1の部位データ選択部108、第2の部位画像生成部109、第2の部位ラベル生成部110、正常画像入力部111、第2の学習画像生成部112、第2の正解ラベル生成部113、第2の学習データ格納部114、及び、学習データ追加部115を備える。なお、第1の学習画像入力部101、ラベル条件設定部102、再学習データ入力部103、第1の正解ラベル生成部104、部位抽出部106、第1の部位データ選択部108、第2の部位画像生成部109、第2の部位ラベル生成部110、正常画像入力部111、第2の学習画像生成部112、第2の正解ラベル生成部113、及び、学習データ追加部115は、
図6に示すプロセッサ1001がメモリ1002と協調動作してコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能であってよい。したがって、本実施の形態において、これらの機能を主体として説明する処理は、プロセッサ1001を主体とする処理に読み替えることができる。また、第1の学習データ格納部105、第1の部位データ格納部107、及び、第2の学習データ格納部114は、
図6に示すメモリ1002及びストレージ1003の少なくとも1つに構築されてよい。
【0027】
第1の学習画像入力部101は、第1の学習画像の入力を受け付ける。例えば、ユーザは、入力装置1004(
図6参照)を操作して、第1の学習画像を第1の学習画像入力部101に入力する。第1の学習画像入力部101は、入力された第1の学習画像を第1の正解ラベル生成部104へ出力する。
【0028】
ラベル条件設定部102は、第1の正解ラベルを生成するにあたっての条件(ラベル条件)の入力を受け付ける。例えば、ユーザは、入力装置1004を操作して、第1の正解ラベルに含まれる部位位置情報を矩形枠141又はセグメント領域142の何れとするかを、ラベル条件設定部102に入力する。例えば、ユーザは、入力装置1004(
図6参照)を操作して、第1の正解ラベルに含まれる部位種類情報を何れの種類とするかを、ラベル条件設定部102に入力する。ラベル条件設定部102は、入力されたラベル条件を第1の正解ラベル生成部104に設定する。
【0029】
再学習データ入力部103は、再学習データの入力を受け付ける。再学習データは、後述する再学習データ抽出部208から入力されてよい。再学習データ入力部103は、入力された再学習データに含まれる正解ラベルを、第1の正解ラベルとして第1の正解ラベル生成部104へ出力する。また、再学習データ入力部103は、入力された再学習データに含まれる評価画像を、第1の学習画像として第1の正解ラベル生成部104へ出力する。
【0030】
第1の正解ラベル生成部104は、ラベル条件設定部102から設定されたラベル条件に基づいて、第1の学習画像入力部101又は再学習データ入力部103から入力された第1の学習画像に関連付ける第1の正解ラベルを生成する。なお、第1の正解ラベルは、元の正解ラベルと読み替えられてもよい。
【0031】
例えば、部位位置情報を矩形枠141とするラベル条件が入力された場合、第1の正解ラベル生成部104は、第1の学習画像を出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに第1の学習画像における不良部位2を矩形枠で囲ませる。第1の正解ラベル生成部104は、ユーザによって囲まれた矩形枠141の左上頂点の座標と右下頂点の座標を示す情報を部位位置情報として生成する。第1の正解ラベル生成部104は、その部位位置情報を含む第1の正解ラベルを生成する。
【0032】
例えば、部位位置情報をセグメント領域142とするラベル条件が設定された場合、第1の正解ラベル生成部104は、第1の学習画像を出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに第1の学習画像における不良部位2を塗り潰させる。第1の正解ラベル生成部104は、ユーザに塗り潰された領域を示す二値画像データを部位位置情報として生成する。
【0033】
例えば、部位種類情報を「キズ」とするラベル条件が設定された場合、第1の正解ラベル生成部104は、「キズ」を示す部位種類情報を生成する。
【0034】
第1のラベル生成部は、上記で生成した部位位置情報及び部位種類情報を含む第1の正解ラベルと、第1の学習画像とを関連付けて第1の学習データを生成し、第1の学習データ格納部105に出力する。
【0035】
第1の学習データ格納部105は、第1の正解ラベル生成部104から入力された第1の学習データを格納する。すなわち、第1の学習データ格納部105は、第1の学習データによって関連付けられている第1の学習画像及び第1の正解ラベルを格納する。また、第1の学習データ格納部105は、後述するように学習データ追加部115から入力された第2の学習データを第1の学習データとして格納する。
【0036】
部位抽出部106は、第1の学習データ格納部105から第1の学習データを取得し、次の処理を行う。
【0037】
部位抽出部106は、
図4に示すように、第1の学習データに含まれる第1の学習画像から、当該第1の学習画像における不良部位2を含む領域を抽出する。例えば、部位抽出部106は、第1の学習データ格納部105に格納されている第1の学習データのリストを出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに第1の学習データを1つ選択させる。そして、部位抽出部106は、第1の学習画像から、選択された第1の学習データに含まれる第1の正解ラベルが示す矩形枠の画像を抽出し、第1の部位画像とする。
【0038】
また、部位抽出部106は、
図4に示すように、第1の学習データに含まれる第1の正解ラベルから、上記で抽出された第1の部位画像に対応する領域の情報を、第1の部位ラベルとして抽出する。なお、部位抽出部106は、第1の正解ラベルから、部位種類情報を抽出し、第1の部位ラベルに含めてもよい。
【0039】
例えば、第1の正解ラベルの不良部位情報がセグメント領域142を示す二値画像データである場合、部位抽出部106は、当該二値画像データから、第1の部位画像に対応する領域の画像を、第1の部位ラベルとして抽出する。この場合、第1の部位ラベルは、二値画像データであってよい。
【0040】
例えば、第1の正解ラベルの不良部位情報が矩形枠141の左上頂点の座標と右下頂点の座標を示す情報である場合、部位抽出部106は、矩形枠141の左上頂点の座標に対する右下頂点の相対的な座標を、第1の部位ラベルとして抽出する。この場合、第1の部位ラベルは、矩形枠の左上頂点に対する右下頂点の相対的な座標を示す情報であってよい。
【0041】
部位抽出部106は、上記で生成した第1の部位画像と第1の部位ラベルとを関連付けて第1の部位データを生成し、第1の部位データ格納部107に出力する。
【0042】
このように、ユーザが第1の学習画像から第1の部位画像を抽出する操作を行うと、部位抽出部106は、第1の学習画像に関連付けられている第1の正解ラベルから、第1の部位画像に関連付ける第1の部位ラベルを自動的に抽出する。これにより、第1の部位画像に関連付ける第1の部位ラベルをユーザが手動で作成するといった手間が省かれ、第2の学習データの生成効率が向上する。
【0043】
第1の部位データ格納部107は、部位抽出部106から入力された第1の部位データを格納する。
【0044】
第1の部位データ選択部108は、第1の部位データ格納部107から第1の部位データを選択する。例えば、第1の部位データ選択部108は、第1の部位データ格納部107に含まれる複数の第1の部位画像を出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに第1の部位画像を1つ選択させる。第1の部位データ選択部108は、選択された第1の部位画像を第2の部位画像生成部109へ出力する。加えて、第1の部位データ選択部108は、選択された第1の部位画像に関連付けられている第1の部位ラベルを第2の部位ラベル生成部110へ出力する。
【0045】
第2の部位画像生成部109は、第1の部位データ選択部108から入力された第1の部位画像から第2の部位画像を生成する。例えば、第2の部位画像生成部109は、第1の部位画像を出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザから当該第1の部位画像に対する変形の操作を受け付ける。変形の操作の例として、画像の拡大、縮小、回転、反転、歪曲、トリミング、色変更、明るさ変更、彩度変更、及び、コントラスト変更等が挙げられる。第2の部位画像生成部109は、ユーザによる変形の操作に基づいて、第1の部位画像を変形し、第2の部位画像を生成する。例えば、
図4に示すように、第2の部位画像生成部109は、第1の部位画像に対して回転の操作が行われた場合、第1の部位画像を回転させて第2の部位画像を生成する。なお、第2の部位画像生成部109は、第1の部位画像に対する変形の操作が行われなかった場合、第1の部位画像を変形せずにそのまま第2の部位画像としてもよい。第2の部位画像生成部109は、生成した第2の部位画像を第2の学習画像生成部112へ出力する。
【0046】
第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位データ選択部108から入力された第1の部位ラベルと、第2の部位画像生成部109における第1の部位画像から第2の部位画像への変形に基づいて、第1の部位ラベルを変換し第2の部位ラベルを生成する。
【0047】
例えば、
図4に示すように、第2の部位画像生成部109が第1の部位画像を回転させて第2の部位画像を生成した場合、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベル(例えば二値画像又は矩形枠)を同じく回転させて第2の部位ラベルを生成する。
【0048】
例えば、第2の部位画像生成部109が第1の部位画像を反転させて第2の部位画像を生成した場合、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベル(例えば二値画像又は矩形枠)を同じく反転させて第2の部位ラベルを生成する。
【0049】
例えば、第2の部位画像生成部109が第1の部位画像をある割合で拡大(又は縮小)して第2の部位画像を生成した場合、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベル(例えば二値画像又は矩形枠)を同じ割合で拡大(又は縮小)して第2の部位ラベルを生成する。
【0050】
例えば、第2の部位画像生成部109が第1の部位画像をトリミングし第2の部位画像を生成した場合、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベルを同様にトリミングして第2の部位ラベルを生成する。
【0051】
また、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベルに含まれる部位種類情報を、第2の部位ラベルに含めてもよい。
【0052】
第2の部位ラベル生成部110は、生成した第2の部位ラベルを第2の正解ラベル生成部113へ出力する。
【0053】
このように、ユーザが第1の部位画像に変形の操作を行って第2の部位画像を生成すると、第2の部位ラベル生成部110は、その第1の部位画像に対応する第1の部位ラベルにも同様の変形を行って自動的に第2の部位ラベルを生成する。これにより、第2の部位画像に関連付ける第2の部位ラベルをユーザが手動で作成するといった手間が省かれ、第2の学習データの生成効率が向上する。
【0054】
正常画像入力部111は、不良を含まない物体(つまり正常な物体)を撮像した画像(正常画像という)の入力を受け付ける。例えば、ユーザは、入力装置1004を操作して、正常画像を正常画像入力部111に入力する。正常画像入力部111は、入力された正常画像を第2の学習画像生成部112へ出力する。ただし、正常画像は、不良部位2を含む画像であってもよい。この場合、第2の学習画像生成部112は、不良部位2を含む正常画像に、第2の部位画像を合成してよい。
【0055】
第2の学習画像生成部112は、正常画像入力部111から入力された正常画像と、第2の部位画像生成部109から入力された第2の部位画像とを合成し、第2の学習画像を生成する。例えば、第2の学習画像生成部112は、正常画像を出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに、正常画像に対して第2の部位画像を合成させる位置を入力させる。そして、第2の学習画像生成部112は、正常画像に対して、ユーザから入力された位置に第2の部位画像を合成し、第2の学習画像を生成する。第2の学習画像は、疑似的な不良部位を含む物体画像と読み替えられてもよい。なお、第2の学習画像生成部112は、アルファブレンド及びポアソン画像合成の少なくとも1つ、又は、他の方法によって正常画像と第2の部位画像とを合成してよい。第2の学習画像生成部112は、生成した第2の学習画像を第2の正解ラベル生成部113へ出力する。
【0056】
第2の正解ラベル生成部113は、第2の部位ラベル生成部110から入力された第2の部位ラベルと、第2の学習画像生成部112から入力された第2の学習画像とに基づいて、第2の正解ラベルを生成する。例えば、第2の正解ラベル生成部113は、第2の部位ラベルに、第2の学習画像において第2の部位画像が合成されている位置を示す情報を加えて、第2の正解ラベルを生成する。当該加えられた情報は、第2の正解ラベルにおける部位位置情報となってよい。なお、第2の正解ラベルは、新たな正解ラベルと読み替えられてもよい。
【0057】
また、第2の正解ラベル生成部113は、第2の部位ラベルに含まれる部位種類情報を、第2の正解ラベルに加えてもよい。
【0058】
第2の正解ラベル生成部113は、生成した第2の正解ラベルを第2の学習画像に関連付けて第2の学習データを生成する。第2の正解ラベル生成部113は、生成した第2の学習データを第2の学習データ格納部114へ出力する。
【0059】
このように、ユーザが正常画像に第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成すると、第2の正解ラベル生成部113は、第2の部位ラベルに、第2の部位画像が合成された位置を示す情報を加えて、自動的に第2の正解ラベルを生成する。これにより、第2の学習画像に関連付ける第2の正解ラベルをユーザが手動で作成するといった手間が省かれ、第2の学習データの生成効率が向上する。
【0060】
また、第2の正解ラベル生成部113は、そのように自動的に生成した第2の正解ラベルを、第2の学習画像に自動的に関連付ける。よって、ユーザは、第2の学習画像に含まれる第2の部位画像の領域を指定して第2の学習画像の正解ラベルを手動で作成することを行わなくてよい。すなわち、本実施の形態によれば、第2の学習データの生成効率が向上する。
【0061】
第2の学習データ格納部114は、第2の正解ラベル生成部113から入力された第2の学習データを格納する。
【0062】
学習データ追加部115は、第2の学習データ格納部114に格納されている第2の学習データを、第1の学習データ格納部105へ出力する。これにより、上述したように、第2の学習データが、第1の学習データ格納部105に格納される。
【0063】
<<学習装置の構成>>
図3に示すように、学習装置200は、学習条件設定部201、識別器学習部202、識別器格納部203、評価条件設定部204、評価画像入力部205、識別器評価部206、評価結果格納部207、及び、再学習データ抽出部208を備える。なお、学習条件設定部201、識別器学習部202、評価条件設定部204、評価画像入力部205、識別器評価部206、及び、再学習データ抽出部208は、
図6に示すプロセッサ1001がメモリ1002と協調動作してコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能であってよい。したがって、本実施の形態において、これらの機能を主体として説明する処理は、プロセッサ1001を主体とする処理に読み替えることができる。また、識別器格納部203、及び、評価結果格納部207は、
図6に示すメモリ1002及びストレージ1003の少なくとも1つに構築されてよい。
【0064】
学習条件設定部201は、識別器300の学習に用いる第1の学習データの選択を受け付ける。例えば、学習条件設定部201は、第1の学習データ格納部105に格納されている第1の学習データを出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに、識別器300の学習に用いる第1の学習データを選択させる。加えて、学習条件設定部201は、識別器300の学習条件の入力を受け付ける。学習条件の例として、エポック数、学習率、及び、バッチサイズ等が挙げられる。例えば、学習条件設定部201は、ユーザに、エポック数、学習率、及び、バッチサイズの少なくとも1つを入力させる。学習条件設定部201は、選択された第1の学習データの識別情報、及び、入力された学習条件を、識別器学習部202に設定する。
【0065】
識別器学習部202は、学習条件設定部201から設定された第1の学習データの識別情報に対応する第1の学習データを、第1の学習データ格納部105から取得する。識別器学習部202は、取得した第1の学習データを用いて、識別器300の学習を行う。その際、識別器学習部202は、学習条件設定部201から設定された学習条件に基づいて、識別器300の学習を行う。
【0066】
識別器300がCNNとして構成される場合、識別器学習部202は、例えば、次の(A1)から(A3)の処理によって識別器300の学習を行ってよい。
(A1)識別器学習部202は、第1の学習データに含まれる第1の学習画像を識別器300(CNN)に入力し、識別器300(CNN)から出力される検出結果情報を得る。
(A2)識別器学習部202は、その検出結果情報と当該第1の学習データに含まれる第1の正解ラベルとを比較し、その検出結果情報と第1の正解ラベルとのずれ(差分)が小さくなるように識別器300(CNN)の各パラメータを調整する。
(A3)識別器学習部202は、第1の学習データ格納部105から取得した各第1の学習データについて、上記(A1)及び(A2)の処理を行う。
【0067】
識別器学習部202は、学習を完了した識別器300を識別器格納部203へ出力する。
【0068】
識別器格納部203は、識別器学習部202から入力された識別器300を格納する。
【0069】
評価条件設定部204は、評価対象の識別器300の選択を受け付ける。例えば、評価条件設定部204は、識別器格納部203に格納されている識別器300のリストを出力装置1005(
図6参照)に表示し、ユーザに評価対象の識別器300を選択させる。加えて、評価条件設定部204は、識別器300の評価条件の入力を受け付ける。評価条件の例として、識別器300から出力された検出結果情報が正解か否かを判定するための評価用閾値、検出結果情報から得られる検出個数、面積又は寸法等に対する閾値、並びに、評価結果情報の出力先が挙げられる。例えば、ユーザは、入力装置1004を操作して、評価条件設定部204に評価条件を入力する。評価条件設定部204は、選択された評価対象の識別器300の識別情報と、設定された評価条件とを、識別器評価部206に設定する。
【0070】
評価画像入力部205は、識別器300の評価に用いる評価画像の入力を受け付ける。ここで、評価画像は、第1の学習画像及び第2の学習画像とは異なる評価用の物体画像であってよい。評価画像には、不良部位2が含まれてもよいし、不良部位2が含まれなくてもよい。例えば、ユーザは、入力装置1004(
図6参照)を操作して、評価画像入力部205に評価画像を入力する。評価画像入力部205は、入力された評価画像を識別器評価部206へ出力する。
【0071】
識別器評価部206は、評価条件設定部204から入力された識別器300の識別情報に対応する識別器300(つまり評価対象の識別器300)を、識別器格納部203から取得する。識別器評価部206は、評価画像入力部205から入力された評価画像をその識別器300に入力し、その識別器300から出力された検出結果情報を得る。識別器評価部206は、入力した評価画像と、出力された検出結果情報と、当該評価画像に予め関連付けられている正解ラベルとを含む評価結果情報を、評価結果格納部207へ出力する。
【0072】
評価結果格納部207は、識別器評価部206から出力された評価結果情報を格納する。
【0073】
再学習データ抽出部208は、評価結果格納部207に格納されている評価結果情報の中から、再学習に用いる評価結果情報を抽出する。例えば、再学習データ抽出部208は、検出結果情報と正解ラベルとのずれ(差分)が評価用閾値以上(つまり検出結果情報が不正解)である評価結果情報を抽出する。再学習データ抽出部208は、抽出した評価結果情報を、再学習データとして、再学習データ入力部103へ出力する。すなわち、再学習データ抽出部208は、評価対象の識別器300にて不良部位2の検出に失敗した評価画像及び正解ラベルを、再学習データ入力部103へ出力する。これにより、不良部位2の検出に失敗した評価画像及び正解ラベルが、再学習データ入力部103及び第1の正解ラベル生成部104を通じて、第1の学習画像及び第1の正解ラベルとして第1の学習データ格納部105に格納され、識別器学習部202において識別器300の再学習に用いられる。この再学習により、識別器300の各パラメータが、一度は不良部位2の検出に失敗した評価画像についても検出できるように調整されるので、識別器300の不良部位2の検出精度が向上する。
【0074】
<データ生成装置及び学習装置が実行する処理>
図5は、データ生成装置100及び学習装置200が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
S101として、第1の正解ラベル生成部104は、ユーザの操作に基づいて、第1の学習画像に関連付ける第1の正解ラベルを生成する。加えて、第1の正解ラベル生成部104は、第1の学習画像に第1の正解ラベルを関連付けて第1の学習データを生成し、第1の学習データ格納部105に格納する。
【0076】
S102として、部位抽出部106は、ユーザの操作に基づいて、第1のデータ格納部の第1の学習画像から第1の部位画像を抽出する。そして、部位抽出部106は、その第1の学習画像に対する第1の部位画像の抽出に基づいて、当該第1の学習画像に関連付けられている第1の正解ラベルから第1の部位ラベルを抽出する。
【0077】
S103として、第2の部位画像生成部109は、ユーザによる変形の操作に基づいて、第1の部位画像を変形して第2の部位画像を生成する。
【0078】
S104として、第2の部位ラベル生成部110は、S103における第1の部位画像から第2の部位画像への変形に基づいて、第1の部位ラベルを変換し第2の部位ラベルを生成する。
【0079】
S105として、第2の学習画像生成部112は、正常画像に対して、ユーザから入力された位置に、S103にて生成された第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成する。
【0080】
S106として、第2の正解ラベル生成部113は、S104にて生成された第2の部位ラベルと、S105にて生成された第2の学習画像とに基づいて、第2の正解ラベルを生成する。例えば、第2の正解ラベル生成部113は、第2の学習画像に対して第2の部位画像が合成されている位置を示す情報を第2の部位ラベルに加えて、第2の正解ラベルを生成する。
【0081】
S107として、第2の正解ラベル生成部113は、S106にて生成された第2の正解ラベルを第2の学習画像に関連付けて第2の学習データを生成し、第2の学習データ格納部114に格納する。
【0082】
S108として、学習データ追加部115は、第2の学習データ格納部114に格納されている第2の学習データを、第1の学習データとして第1の学習データ格納部105に格納する。
【0083】
S109として、識別器学習部202は、第1の学習データ格納部105に格納されている第1の学習データを用いて、識別器300の学習を行う。
【0084】
S110として、識別器評価部206は、評価画像及び正解ラベルを用いて識別器300の評価を行い、評価結果情報を評価結果格納部207に格納する。
【0085】
S111として、再学習データ抽出部208は、評価結果格納部207に格納されている評価結果情報のうち、識別器300の再学習に用いる評価結果情報が存在するか否かを判定する。ここで、識別器300の再学習に用いる評価結果情報とは、検出結果情報と正解ラベルとが異なる(つまり不良部位2の検出結果が不正解である)評価結果情報であってよい。識別器300の再学習に用いる評価結果情報が存在しないと判定された場合(S111:NO)、本処理は終了される。
【0086】
識別器300の再学習に用いる評価結果情報が存在すると判定された場合(S111:YES)、再学習データ抽出部208は、その識別器300の再学習に用いる評価結果情報に含まれる評価画像及び正解ラベルを、再学習データ入力部103へ出力する。そして、S101の処理が実行される。この場合、S101にて、評価画像及び正解ラベルがそれぞれ第1の学習画像及び第1の正解ラベルとして第1の学習データ格納部105に格納され、S109にて識別器300の再学習が行われるので、識別器300の不良部位2の検出精度を向上させることができる。また、S102からS108にて、不良部位2の検出結果が不正解であった評価画像から複数の第2の学習画像を派生させることができる。よって、このように評価画像から派生させた複数の第2の学習データも用いて、S109にて識別器300の再学習を行うことにより、識別器300の不良部位2の検出精度をさらに向上させることができる。
【0087】
<ハードウェア構成>
図6は、本開示に係るデータ生成装置100及び学習装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。データ生成装置100及び学習装置200は、
図6に示すコンピュータ1000として構成されてもよい。この場合、上述したデータ生成装置100及び学習装置200が有する機能ブロックは、コンピュータ1000がコンピュータプログラムの一例であるデータ生成プログラムを実行することにより実現されてよい。
【0088】
コンピュータ1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、入力装置1004、出力装置1005、通信装置1006、GPU(Graphics Processing Unit)1007、読取装置1008、及び、バス1009を備える。プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、入力装置1004、出力装置1005、通信装置1006、GPU1007、読取装置1008は、バス1009に接続され、当該バス1009を介して双方向にデータを送受信できる。
【0089】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、上述した機能ブロックを実現する装置である。プロセッサ1001の例として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、コントローラ、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が挙げられる。
【0090】
メモリ1002は、コンピュータ1000が取り扱うコンピュータプログラム及びデータを記憶する装置である。メモリ1002は、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでよい。
【0091】
ストレージ1003は、不揮発性記憶媒体で構成され、コンピュータ1000が取り扱うコンピュータプログラム及びデータを記憶する装置である。ストレージ1003の例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリが挙げられる。
【0092】
入力装置1004は、プロセッサ1001に入力するデータを受け付ける装置である。入力装置1004の例として、キーボード、マウス、タッチパッド、マイクが挙げられる。
【0093】
出力装置1005は、プロセッサ1001が生成したデータを出力する装置である。出力装置1005の例として、ディスプレイ、スピーカーが挙げられる。例えば、ユーザは、出力装置1005に表示されたUI(User Interface)を、入力装置1004を通じて操作することにより、所望のデータを入力又は選択してよい。
【0094】
通信装置1006は、サーバ又は端末に代表される他の装置と、通信ネットワークを介して、データを送受信する装置である。通信装置1006は、データを送信する送信部とデータを受信する受信部とを含んでよい。通信装置1006は、有線通信及び無線通信の何れに対応してもよい。有線通信の例として、Ethernet(登録商標)が挙げられる。無線通信の例として、IEEE802.11、Bluetooh、LTE(Long Term Evolution)、4G、5Gが挙げられる。
【0095】
GPU1007は、画像描写を高速に処理する装置である。なお、GPU1007は、AIの処理に利用されてもよい。例えば、GPU1007は、識別器300の学習処理、及び/又は、識別器300による検出処理に利用されてよい。
【0096】
読取装置1008は、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)又はUSB(Universal Serial Bus)メモリといった記録媒体からデータを読み取る装置である。
【0097】
なお、データ生成装置100、学習装置200及び検査装置12の少なくとも1つの機能ブロックは、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。少なくとも1つの機能ブロックは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。
【0098】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現できる。
【0099】
<表現1>
物体1を撮像した画像から物体1に検出対象の部位2が含まれるか否かを識別する識別器300の学習に用いるデータを生成するデータ生成装置100は、第1の学習画像に含まれる第1の部位を抽出した第1の部位画像から、第2の部位を含む第2の部位画像を生成する第2の部位画像生成部109と、第1の部位画像の第1の部位に関する情報を含む第1の部位ラベルから、第2の部位画像の第2の部位に関する情報を含む第2の部位ラベルを生成する第2の部位ラベル生成部110と、物体の画像の少なくとも一部に第2の部位画像を合成して第2の学習画像を生成する第2の学習画像生成部112と、第2の学習画像の第2の部位画像が合成された位置に関する情報と第2の部位ラベルとに基づいて、第2の学習画像における第2の部位の検出の正解を示す第2の正解ラベルを生成する第2の正解ラベル生成部113と、を備える。
【0100】
表現1の構成によれば、第2の学習画像における第2の部位の検出の正解を示す第2の正解ラベルが自動的に生成される。よって、第2の学習画像に関連付ける第2の正解ラベルをユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0101】
<表現2>
また、表現1の記載において、第1の学習画像における第1の部位の検出の正解を示す第1の正解ラベルから第1の部位に関する情報を抽出して第1の部位ラベルを生成する部位抽出部、をさらに備えてよい。
【0102】
表現2の構成によれば、第1の正解ラベルから第1の部位ラベルが自動的に生成される。よって、第1の部位画像に関連付ける第1の部位ラベルをユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0103】
<表現3>
また、表現2の記載において、第2の部位画像生成部109は、第1の部位画像を変形させて、第2の部位を含む前記第2の部位画像を生成し、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位画像から第2の部位画像への変形に基づいて、第1の部位ラベルに含まれる第1の部位に関する情報を第2の部位に関する情報に変換し、第2の部位ラベルを生成してよい。
【0104】
表現2の構成によれば、第1の部位画像から第2の部位画像への変形に基づいて、第1の部位ラベルから第2の部位ラベルが自動的に生成される。よって、第2の部位画像に関連付ける第2の部位ラベルをユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0105】
<表現4>
また、表現3の記載において、第1の正解ラベルは、第1の学習画像における第1の部位をセグメント領域として示す画像であり、第2の正解ラベルは、第2の学習画像における第2の部位をセグメント領域として示す画像であり、第1の部位ラベルは、第1の部位画像における第1の部位をセグメント領域として示す画像を含み、第2の部位ラベルは、第2の部位画像における第2の部位をセグメント領域として示す画像を含んでよい。
【0106】
<表現5>
また、表現4の記載において、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位画像から第2の部位画像への変形に応じて、第1の部位ラベルの画像を変換して第2の部位ラベルを生成してよい。
【0107】
表現4及び5の構成によれば、第1の部位ラベルが第1の部位をセグメント領域として示す画像情報である場合において、第1の部位ラベルから第2の部位ラベルが自動的に生成される。よって、第2の部位画像に関連付ける第2の部位ラベルをユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0108】
<表現6>
また、表現2の記載において、第1の正解ラベルは、第1の学習画像における第1の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、第2の正解ラベルは、第2の学習画像における第2の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報であり、第1の部位ラベルは、第1の部位を囲む枠の形状を示す情報を含み、第2の部位ラベルは、第2の部位を囲む枠の形状を示す情報を含んでよい。
【0109】
<表現7>
また、表現6の記載において、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位画像から第2の部位画像への変形に応じて、第1の部位ラベルの枠の形状を示す情報を変換して第2の部位ラベルを生成してよい。
【0110】
表現6及び7の構成によれば、第1の部位ラベルが第2の部位を囲む枠の位置及び形状を示す情報である場合において、第1の部位ラベルから第2の部位ラベルが自動的に生成される。よって、第2の部位画像に関連付ける第2の部位ラベルをユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0111】
<表現8>
また、表現1から7のいずれか1つの記載において、第1の正解ラベル及び第1の部位ラベルは、第1の部位の種類を示す部位種類情報を含み、第2の部位ラベル生成部110は、第1の部位ラベルに含まれる部位種類情報を第2の部位ラベルに含めてよい。
【0112】
表現8の構成によれば、第1の部位ラベルに含まれる部位種類情報が第2の部位ラベルに引き継がれる。よって、第2の部位画像に関連付ける第2の部位ラベルの部位種類情報をユーザが作成する手間が省け、識別器300の学習に用いるデータの生成効率が向上する。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示の技術は、例えば、不良品の検出に有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 物体
2 不良部位
10 検査システム
11 撮像装置
12 検査装置
100 データ生成装置
101 第1の学習画像入力部
102 ラベル条件設定部
103 再学習データ入力部
104 第1の正解ラベル生成部
105 第1の学習データ格納部
106 部位抽出部
107 第1の部位データ格納部
108 第1の部位データ選択部
109 第2の部位画像生成部
110 第2の部位ラベル生成部
111 正常画像入力部
112 第2の学習画像生成部
113 第2の正解ラベル生成部
114 第2の学習データ格納部
115 学習データ追加部
141 矩形枠
142 セグメント領域
200 学習装置
201 学習条件設定部
202 識別器学習部
203 識別器格納部
204 評価条件設定部
205 評価画像入力部
206 識別器評価部
207 評価結果格納部
208 再学習データ抽出部
300 識別器
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 入力装置
1005 出力装置
1006 通信装置
1007 GPU
1008 読取装置
1009 バス