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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電気かみそり
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/48 20060101AFI20241025BHJP
   B26B 19/46 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
B26B19/48 C
B26B19/46
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022219
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124526
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】金森 芳彰
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-097163(JP,A)
【文献】特表2007-533391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0186234(US,A1)
【文献】特開2015-119942(JP,A)
【文献】特表2020-512064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B19/00-19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する把持部と、体毛を切断する剃毛部を有し前記把持部の一端に連結されるヘッド部と、を備える電気かみそりであって、
前記剃毛部が当接する肌の近傍を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像する領域に対し、異なる方向から光を照射することができる照明装置と、
前記撮像装置から得られる画像を処理する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、
異なる方向の光を個別に照射して撮像するように前記照明装置、および前記撮像装置を制御する撮像制御部と、
前記撮像装置が撮像した画像を処理することにより体毛の性状を示す性状情報を生成する性状情報生成部と、を備える
電気かみそり。
【請求項2】
前記照明装置は、光軸の方向が異なる複数の光源を備える
請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
前記照明装置は、光路を切り替える光路切り替え装置を備える
請求項1または2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
前記撮像装置、および前記照明装置の光源は、同一の基板に取り付けられる
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【請求項5】
前記撮像装置は、赤外光に基づき撮像する
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【請求項6】
前記性状情報生成部は、特定領域の波長の画像に基づき性状情報を生成する
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髭などの体毛の切除を行う電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の身体部位の画像を記録する撮像装置と、撮像された画像に基づいて局所的な発毛方向を求め、求められた発毛方向に応じて、剃毛装置が身体上を動かされるべき方向、および場所を利用者に指示するシェービングガイダンスシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-534806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のシステムでは、肌と体毛との色調差が少ない場合、例えば肌の色が白い人における白色の体毛は、肌との色調差が少なくなり、画像処理による肌と体毛との分離ができにくく、体毛の性状に関する情報を取得することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、肌との色調差が少ない体毛でもその性状を検知することができる電気かみそりの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである電気かみそりは、使用者が把持する把持部と、体毛を切断する剃毛部を有し前記把持部の一端に連結されるヘッド部と、を備える電気かみそりであって、前記剃毛部が当接する肌の近傍を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像する領域に対し、異なる方向から光を照射することができる照明装置と、前記撮像装置から得られる画像を処理する画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、異なる方向の光を個別に照射して撮像するように前記照明装置、および前記撮像装置を制御する撮像制御部と、前記撮像装置が撮像した画像に基づき体毛の性状を示す性状情報を生成する性状情報生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる方向から光を個別に照射することで、肌と体毛とを効果的に分離し、精度良く体毛の性状を検知することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る電気かみそりを示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係るヘッド部を示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る画像処理装置の機能部を示すブロック図である。
図4図4は、電気かみそりの他の例1を示す斜視図である。
図5図5は、電気かみそりの他の例2のヘッド部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電気かみそりの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0010】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0011】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0012】
図1は、電気かみそりを示す斜視図である。図2は、電気かみそりのヘッド部を示す斜視図である。なお、電気かみそり100は、エッジはアール面取りがなされ、滑り止め用の凹凸などが設けられる部分が存在するが、これらの図示は省略している。
【0013】
電気かみそり100は、電動の刃を用いて髭などの体毛を切断して除去する装置であり、把持部110と、ヘッド部120と、撮像装置131と、照明装置160と、画像処理装置150(図1において不図示)と、を備えている。本実施の形態の場合、電気かみそり100は、報知装置140を備えている。
【0014】
把持部110は、電気かみそり100を使用する際に使用者が把持する部分である。本実施の形態の場合、把持部110は、画像処理装置150、剃毛用の刃の駆動などを制御する制御装置、およびバッテリなどを収容する筐体として機能している。把持部110の外面には、電源をオン・オフするための電源スイッチ111などが設けられている。
【0015】
ヘッド部120は、体毛を切断するための刃を備えた剃毛部121を有し把持部110の一端に連結される部材である。本実施の形態の場合、ヘッド部120は、把持部110に対し相対的に動作可能に連結されている。ヘッド部120の動作方向は、特に限定されるものではないが、電気かみそり100は、前後方向(図中X軸方向)、幅方向Y(図中Y軸方向)、上下方向(図中Z軸方向)をそれぞれ軸中心とした周方向に揺動可能となっている。
【0016】
剃毛部121は、幅方向に延在する半円筒形状で網目状の貫通孔を有する第一外刃122を前後方向に複数本(本実施の形態の場合4本)備え、第一外刃122の間に配置されるスリット状の貫通孔を有する第二外刃123を備えている。第一外刃122、および第二外刃123は、ヘッド枠体124に取り付けられており、剃毛部121は、ヘッド基体125に対して着脱可能となっている。
【0017】
ヘッド部120の内部には、第一外刃122に対応して設けられる第一内刃(不図示)、および第二外刃123に対応して設けられる第二内刃(不図示)が配置され、第一内刃、第二内刃のそれぞれを幅方向(図中Y軸方向)に往復振動させるための内刃駆動装置が備えられている。内刃駆動装置にて第一内刃、第二内刃を振動させることにより、第一外刃122、第二外刃123の貫通孔に挿入された体毛が振動する第一内刃、第二内刃との間で切除される。
【0018】
撮像装置131は、剃毛部121が当接する肌の近傍を撮像する装置である。本実施の形態の場合、撮像装置131は、剃毛部121を肌に当接させた状態において、前後方向(図中X軸方向)については外刃である第一外刃122、および第二外刃123の全体に対応する長さの肌、幅方向(図中Y軸方向)については第一外刃122の幅(図中Y軸方向)の全体に対応する長さの肌を一度で撮像できる画角を備えている。これにより、剃毛直前、直後の体毛、肌の状態を正確に撮像することができる。
【0019】
撮像装置131の種類は、特に限定されるものではなく、例えばレンズなどを含む光学系と光学系により結ばれた像を電気信号に変換する撮像素子とを備えたいわゆるデジタルカメラを例示することができる。本実施の形態の場合、撮像装置131は、可視光の波長範囲ばかりでなく、近赤外を含む赤外光の波長範囲の光に基づく像も撮像することができる。
【0020】
撮像装置131は、ヘッド部120のヘッド基体125に固定されており、把持部110に対するヘッド部120の動作と共に撮像装置131も動作する。これにより、電気かみそり100による剃毛中においても肌と撮像装置131との距離を安定化させることができ、より鮮明な画像を撮像することができる。具体的には、図2に示すように、ヘッド基体125の前側(図中X-側)の面から前方に向かって突出する基板133の幅方向(図中Y軸方向)の中央部に撮像装置131は取り付けられている。これによれば、ヘッド枠体124を着脱する際に撮像装置131が邪魔になることがなく好ましい。また、基板133には、撮像装置131の画角内の肌を照らすLEDなどの照明装置160が取り付けられている。基板133、撮像装置131は、カバー134に覆われている。
【0021】
照明装置160は、撮像装置131が撮像する領域に対し、異なる方向から光を照射することができる装置である。照明装置160が所定の領域を照射するそれぞれの方向は特に限定されるものではないが、例えば肌面の法線に対する角度が異なる場合であり、具体的には肌面の法線に沿った光軸を有する光を照射し、また肌面の法線に対し所定の角度(例えば15°以上、90°未満)で交差する光軸を有する光を照射する場合を例示することができる。肌面の法線に沿った光軸を有する光を照射した場合、肌面が比較的白く撮像され、肌面の法線に対し所定の角度で交差する光軸を有する光を照射した場合、肌面が比較的黒く撮像され、肌面が比較的黒く撮像される場合、画像内で白色の体毛を肌と区別して検出し易くなることを発明者は見出している。
【0022】
照明装置160が異なる方向から光を照射する態様は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、照明装置160は、光軸の方向が異なるように取り付けられている複数の光源を備えている。具体的に照明装置160は、第一光軸163の光を放射する第一光源161と、第二光軸164の光を放射する第二光源162と、を備えている。第一光軸163、および第二光軸164は、剃毛部121が肌に当接している状態において撮像装置131が撮像する領域の中央部、またはその近傍を通過する。また、第一光源161、および第二光源162は、共に撮像装置131が撮像する領域全体を照射する。撮像装置131が取り付けられている基板133には、撮像装置131の比較的近くに第一光源161が取り付けられ、撮像装置131から比較的離れた位置に第二光源162が取り付けられている。基板133、撮像装置131は、カバー134に覆われている。
【0023】
光源の種類は、特に限定されるものではないが、例えばLED(light emitting diode)に基づき白色光を放射するものなどを例示することができる。照明装置160が複数の光源を備える場合、これらは同一の波長、または同一の波長範囲の光を放射するものでもよく、例えば最大ピークの波長が相互に異なる光を放射するものでもかまわない。本実施の形態の場合、第一光源161、および第二光源162は、単色発光のLEDとLEDからの光を励起光とする波長変換物質を備え、可視光領域、および近赤外領域の光を放射する。
【0024】
報知装置140は、画像処理装置150の処理結果を使用者に報知する装置である。報知装置140の報知方法は、特に限定されるものではなく、音(音声含む)、光、振動、電気的刺激これらの組み合わせなどにより報知する方法を例示できる。本実施の形態の場合、報知装置140は、光により情報を報知する装置であり、LEDなどの複数の発光素子を把持部110のヘッド部120側の端部の周縁に並べて備えている。報知装置140は、光の明るさ、色、および発光パターンの少なくとも一つを変化させることができるものとなっている。
【0025】
図3は、画像処理装置の機能部を示すブロック図である。画像処理装置150は、照明装置160を制御し、撮像装置131から得られる画像を処理する装置であり、プログラムをプロセッサに実行させることにより実現される処理部として、撮像制御部157と、性状情報生成部151と、を備えている。本実施の形態の場合、画像処理装置150は、剃毛情報生成部152と、結果報知部153と、情報取得部154と、を備えている。
【0026】
撮像制御部157は、異なる方向の光を個別に照射するように照明装置160を制御し、照明装置160に光を個別に照射させるタイミングに撮像装置131の撮像タイミングが同期するように撮像装置131を制御している。本実施の形態の場合、撮像制御部157は、第一光源161、および第二光源162が交互に発光するように照明装置160を制御し、第一光源161、および第二光源162がそれぞれ発光するタイミングに合わせて撮像を実行するように撮像装置131を制御する。
【0027】
性状情報生成部151は、所定の領域に対しそれぞれ異なる方向に照射される光のそれぞれにより撮像装置131が撮像した画像を処理し、体毛の性状を示す性状情報を生成する。性状情報は、例えば体毛の長さ、体毛の生えている方向、および体毛の密度の少なくとも一つを含む情報である。
【0028】
性状情報生成部151が例えば体毛の長さを示す性状情報を生成する場合の一例を説明する。性状情報生成部151は、情報取得部154で取得された複数方向の光に基づく画像に対してそれぞれコントラストを強調する処理を施す。例えば、性状情報生成部151は、画像の各画素の輝度に対して、入力階調に対する出力階調の変化を大きくするような階調変換を行うことで、輝度コントラストを高める。なお、このコントラスト強調の前又は後において、画像に対してローパスフィルタをかけることで、肌の凹凸等の細かいノイズを除去してもよい。
【0029】
続いて、性状情報生成部151は、コントラストを強調した画像に対して、輪郭抽出を行う。より詳しくは、性状情報生成部151は、周辺画素との輝度差が閾値以上の場合に白画素を出力、閾値未満の場合に黒画素を出力する2値化(白色/黒色化)を行った後に、膨張収縮処理を行うことで、細かいノイズを除去する。なお、膨張収縮処理とは、注目画素の周辺に白色の画素が1つでも存在すれば注目画素を白色に置き換える膨張処理、および注目画素の周辺に黒色の画素が1つでも存在すれば注目画素を黒色に置き換える収縮処理のことである。この輪郭抽出によって、個々の体毛の輪郭を示す画像が得られる。
【0030】
ここで、性状情報生成部151は、異なる方向で照射された光に基づき撮像された同一領域の複数の画像について体毛の輪郭を抽出し、複数の画像内の輪郭を統合してもかまわない。これにより、黒色の体毛と白色の体毛とがほぼ同じ比率で生えている場合など黒色と白色の体毛が混在する場合でも効果的に体毛の性状情報を生成することが可能となる。また、性状情報生成部151は、異なる方向で照射された光に基づき撮像された同一領域の複数の画像を比較し、例えば抽出された輪郭の数の最も多い画像など所定の条件に従い一枚の画像を選択してもよい。これにより、黒色と白色の体毛のうち、より多く生えている色の体毛に対して正確に体毛の性状を示す性状情報を取得することが可能となる。
【0031】
続いて、性状情報生成部151は、輪郭抽出された各領域について、外接矩形を算出する。具体的には、性状情報生成部151は、輪郭抽出された各領域について、抽出した体毛に対応する領域に矩形の輪郭がそれぞれ接するように外接矩形を算出する。つまり、黒色の体毛については黒色の部分を囲む外接矩形が算出され、白色の体毛については白色の部分を囲む外接矩形が算出される。ただし、外接矩形の算出方法はこの方法に限らず、体毛の長さを推定するため体毛の輪郭を覆う矩形を算出できれば他の方法でもよい。以上の処理によって、白色の体毛、および黒色の体毛の少なくとも一方を含む個々の体毛に対応する領域に外接する矩形を示す画像が得られる。
【0032】
次に、性状情報生成部151は、算出された各外接矩形について、外接矩形の長辺の長さを算出することで、各体毛の長さを特定する。長辺の長さの特定については、長辺を斜辺とし、画素が並ぶ直交方向に沿った2辺を含む直角三角形における直交する2辺の長さ(それぞれ、画素数×画素間隔)を算出し、三平方の定理を用いて、斜辺である長辺の長さを算出する。また、直行する2辺の長さから体毛の方向を性状情報として算出してもかまわない。
【0033】
(体毛の長さ、方向)
このようにして、撮像装置131により撮像された画像から、個々の体毛の長さ、方向が特定される。さらに、性状情報生成部151は、画像に含まれる複数の体毛の長さ、方向を統計的に処理し、画像内の複数の体毛の長さ、方向を代表する情報を数値化された性状情報として生成する。統計処理を行う場合、体毛の長さを重みとして用いてもよく、所定の長さ閾値以上の体毛の長さのデータのみを用いてもよい。
【0034】
(体毛の密度)
性状情報生成部151が体毛の密度を示す性状情報を生成する場合の一例を説明する。性状情報生成部151が、個々の体毛の輪郭を示す画像を生成するまでは上記と同様である。
【0035】
次に、性状情報生成部151は、輪郭抽出された各領域について、面積を算出し、画像内の各領域の総面積を算出する。さらに、性状情報生成部151は、画像の面積に対する矩形の領域の総面積の比を体毛の密度を示す数値化された性状情報として生成する。
【0036】
剃毛情報生成部152は、性状情報生成部151が生成した性状情報に基づき剃毛に関する剃毛情報を生成する。剃毛情報は、剃毛方向、および剃毛終了の少なくとも一つを含む情報である。剃毛情報生成部152は、例えば体毛長さを示す性状情報が長さ閾値以下になれば、剃毛終了を示す剃毛情報を生成してもよい。また、剃毛情報生成部152は、剃毛密度を示す性状情報が剃毛密度閾値以下になれば、剃毛終了を示す剃毛情報を生成してもよい。また、剃毛情報生成部152は、剃毛部121を肌に対して動かす方向である剃毛方向を示す剃毛情報を生成してもよい。
【0037】
本実施の形態の場合、剃毛情報生成部152は、所定間隔で撮像された光の照射方向が同一の画像から体毛や肌のキメに着目した動きベクトルを算出し、動きベクトルから得られる速度が速度閾値以上の場合、速度過剰の剃毛情報を生成してもかまわない。また、剃毛情報生成部152は、所定のシャッター速度(露光時間)で撮像された一枚の画像から体毛や肌のキメなどのブレ幅を算出し、シャッター速度とブレ幅とから得られる速度が速度閾値以上の場合、速度過剰の剃毛情報を生成してもかまわない。
【0038】
また、剃毛情報生成部152は、例えば長さ閾値より20%長い第一長さ閾値、長さ閾値より40%長い第二長さ閾値など値の異なる複数の閾値を保持しておき、体毛の長さの段階に応じた剃毛情報など段階的に増加、または減少する剃毛情報を生成してもかまわない。
【0039】
剃毛情報生成部152は、性状情報が長さ閾値以下、剃毛密度閾値以下などになり剃毛終了を示す剃毛情報を生成した後において、新しく生成された性状情報によりさらに剃毛終了を示す剃毛情報を生成した場合、剃毛過剰を示す剃毛情報を生成してもかまわない。
【0040】
結果報知部153は、剃毛情報生成部152が生成した剃毛情報を、報知装置140を制御して使用者に報知する。例えば、結果報知部153は、報知装置140が備える発光装置が放射する光を制御して明るさ、色、および発光パターンの少なくとも一つを変化させることにより剃毛情報を使用者に報知する。体毛の長さが長い段階では赤色を発光させる制御を行って剃毛未終了を使用者に報知し、剃毛終了を示す剃毛情報を剃毛情報生成部152から取得すると青色を発光させる制御を行って剃毛終了を報知する。さらに、使用者が長さ閾値以下の体毛が存在する領域に対し剃毛動作をしている場合は、赤色の点滅状態になるように報知装置140を制御し、剃毛過剰を報知してもよい。
【0041】
また、剃毛情報生成部152が段階的に増加、または減少する剃毛情報を生成している場合、結果報知部153は、発光装置が放射する光を制御して明るさ、色、および発光パターンの少なくとも一つを段階的に変化させることにより段階的な剃毛情報を使用者に報知してもかまわない。例えば、光の強度を段階的に強くする、または弱くする、発光の点滅間隔を長くする、または短くする場合を例示することができる。
【0042】
上記実施の形態に係る電気かみそり100によれば、複数の方向から照射される光に基づき撮像装置131が撮像したそれぞれの画像から、体毛の色にかかわらず体毛に関する情報を抽出して剃毛に関する剃毛情報を使用者に報知することができる。従って使用者は、電気かみそり100が肌に対して移動する速さ、所定の領域における剃毛の終了などを認識しながら剃毛処理を実行することができ、肌に対するダメージを抑制して、体毛の色にかかわらず効率よく剃毛作業を進めることができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、照明装置160が基板133に対して取付角度の異なる第一光源161、第二光源162を備えた場合を説明したが、照明装置160は、基板133に対して取付角度が同じで光軸が平行に配置される光源を備え、図4に示すように、光軸変更部材165を用いて少なくとも一つの光源の光軸を他の光源の光軸と異なるものとしてもかまわない。光軸変更部材165は、導光部材、および反射部材の少なくとも一方を備えるものを例示できる。
【0045】
また、図5に示すように、照明装置160は、一つの第一光源161から放射される光の光路を切り替える光路切り替え装置166と、切り替えられる一方の光路の光軸を変更する光軸変更部材165と、を備えてもかまわない。光路切り替え装置166は、特に限定されるものではないが、例えば、反射部材の角度を変更する装置、光の透過と反射とを電気的に制御できる液晶などの装置を例示できる。この場合、撮像制御部157は、異なる方向の光を個別に照射するように照明装置160の光路切り替え装置166を制御すればよい。
【0046】
また、撮像装置131は、赤外光に基づき撮像するいわゆる赤外カメラであってもよい。これによれば、肌のテカリを抑えることができ、白色の体毛と肌とのコントラスト差の大きな画像を生成することが可能となる。また、電気かみそり100を使用している環境における環境光、例えば洗面台に取り付けられている照明などからの光の影響を受けずに精度よく体毛の性状を検出することができる。
【0047】
また、撮像装置131は、広い波長領域に光を検出して画像を生成する場合でも、性状情報生成部151が、取得した画像から特定領域の波長の画像を抽出し、抽出後の画像に基づき性状情報を生成してもかまわない。これによれば、例えば抽出した波長が赤外領域であった場合、撮像装置131が赤外カメラであった場合と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、発光素子を備えた報知装置140を例示したが、報知装置140は、スピーカーなどの発音装置、把持部110に振動を発生させる振動装置、把持部110を把持した手に電気的な刺激を付与する電気的筋肉刺激装置などを備えてもかまわない。このような報知装置140により、音や振動の、強さ、発生パターン、電気的刺激の強さや方向を変化させて剃毛情報を報知することができる。
【0049】
また、上記実施の形態では第一外刃122を4本、第二外刃123を1本、合計5本の外刃を備える剃毛部121を例示したが、外刃の本数は特に限定されるものではなく、4本以下、または6本以上の外刃を備える剃毛部121であってもかまわない。
【0050】
また、外刃に対して内刃が回転することにより剃毛する剃毛部121であってもかまわない。
【0051】
また、撮像装置131の取付位置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、後ろ側(図中X+側)や、側方(図中Y-側、Y+側)などに取り付けられても構わない。また、把持部110に取り付けられても構わない。撮像装置131の数も1台に限定されるものではなく、複数箇所に取り付けられても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、髭を剃毛するいわゆる電気シェーバー、髪の毛を剃毛するいわゆるバリカンなど、人を含む動物の体毛を剃毛することができる電気かみそりに適用できる。
【符号の説明】
【0053】
110 把持部
111 電源スイッチ
120 ヘッド部
121 剃毛部
122 第一外刃
123 第二外刃
124 ヘッド枠体
125 ヘッド基体
131 撮像装置
133 基板
134 カバー
140 報知装置
150 画像処理装置
151 性状情報生成部
152 剃毛情報生成部
153 結果報知部
154 情報取得部
155 未剃毛情報生成部
156 領域指示部
157 撮像制御部
160 照明装置
161 第一光源
162 第二光源
163 第一光軸
164 第二光軸
165 光軸変更部材
166 装置
図1
図2
図3
図4
図5