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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】部品実装装置および実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021554086
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029755
(87)【国際公開番号】W WO2021084831
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019196074
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
(72)【発明者】
【氏名】桜井 浩二
(72)【発明者】
【氏名】池田 政典
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139388(JP,A)
【文献】特開2016-157898(JP,A)
【文献】特開2016-157899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部を有する電子部品を基板に実装する部品実装装置であって、
前記電子部品を供給する部品供給機構と、
前記機能部の位置を認識する認識部と、
前記部品供給機構から供給された前記電子部品を保持して前記基板に実装する部品実装機構と、
前記認識部により認識された前記機能部の前記位置と、記憶部に電子部品ごとに記憶されている保持位置補正値に基づいて、前記部品実装機構による前記電子部品の保持位置を決定する保持位置決定部と、を備えた、
部品実装装置。
【請求項2】
前記保持位置決定部は、前記電子部品において前記機能部に重ならない位置を前記保持位置と決定する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記保持位置決定部は、前記機能部の前記位置を前記保持位置と決定する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記認識部の少なくとも一部は前記部品実装機構とともに移動可能であり、
前記認識部は、前記部品供給機構上で前記機能部の前記位置を認識する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記電子部品は発光素子であり、前記機能部は発光部であり、
前記部品実装装置は、前記発光部の位置に基づいて、前記発光部が前記基板の所定の位置に位置するように前記基板における前記電子部品の実装位置を補正する実装位置補正部をさらに備えた、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
機能部を有する電子部品を部品実装機構により保持して基板に実装する部品実装装置を用いた実装基板の製造方法であって、
前記機能部の位置を認識し、
前記機能部の前記位置と、記憶部に電子部品ごとに記憶されている保持位置補正値に基づいて前記部品実装機構による前記電子部品の保持位置を決定し、
前記部品実装機構により前記保持位置で前記電子部品を保持して前記基板に実装する、
実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記電子部品において前記機能部に重ならない位置を前記保持位置として決定する、
請求項6に記載の実装基板の製造方法。
【請求項8】
前記機能部の前記位置を前記保持位置として決定する、
請求項6に記載の実装基板の製造方法。
【請求項9】
前記電子部品を供給する部品供給機構上で前記機能部の前記位置を認識する、
請求項6に記載の実装基板の製造方法。
【請求項10】
前記電子部品は発光素子であり、前記機能部は発光部であり、
前記発光部の位置に基づいて、前記発光部が前記基板の所定の位置に位置するように前記基板における前記電子部品の実装位置を補正する、
請求項6に記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機能部を有する電子部品を基板に実装する部品実装装置および実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面実装用のチップLEDなどの発光素子と、その発光素子が実装された基板とを有する照明基板が広く用いられるようになっている。照明基板は、発光素子を部品実装装置によって基板上に実装し、はんだ接合により基板に接合する方法により製造される。発光素子を基板に実装する際には、キャリヤテープに格納された発光素子をテープフィーダが供給し、吸着ノズルが発光素子の上面を真空吸着により保持し、基板上に発光素子を移送して実装する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-119134号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の部品実装装置は、機能部を有する電子部品を基板に実装する部品実装装置であって、前記電子部品を供給する部品供給機構と、前記機能部の位置を認識する認識部と、前記部品供給機構から供給された前記電子部品を保持して前記基板に実装する部品実装機構と、前記認識部により認識された前記機能部の前記位置と、記憶部に電子部品ごとに記憶されている保持位置補正値に基づいて、前記部品実装機構による前記電子部品の保持位置を決定する保持位置決定部と、を備えた
【0005】
本開示の実装基板の製造方法では、機能部を有する電子部品を部品実装機構により保持して基板に実装する部品実装装置を用いた実装基板の製造方法であって、前記機能部の位置を認識し、前記機能部の前記位置と、記憶部に電子部品ごとに記憶されている保持位置補正値に基づいて前記部品実装機構による前記電子部品の保持位置を決定し、前記部品実装機構により前記保持位置で前記電子部品を保持して前記基板に実装する
【0006】
本開示によれば、機能部を有する電子部品の適正な位置を吸着して基板に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施の形態に係る部品実装装置の上面図
図2図1に示す部品実装装置の部分透視側面図
図3A】本開示の実施の形態に係る部品実装装置によって基板に実装される発光素子の上面図
図3B図3Aに示す発光素子の底面図
図3C図3Aに示す発光素子の側面図
図4A】本開示の実施の形態に係る部品実装装置によって基板に実装される他の発光素子の上面図
図4B図4Aに示す発光素子の底面図
図4C図4Aに示す発光素子の側面図
図5A】本開示の実施の形態に係る部品実装装置が有するテープフィーダの部品供給位置にピッチ送りされたポケットを基板認識カメラによって撮影する状態を示す図
図5B】本開示の実施の形態に係る部品実装装置が有するテープフィーダによってピッチ送りされるキャリヤテープの一部の上面図
図6A】本開示の実施の形態に係る部品実装装置が有するテープフィーダが供給する発光素子の発光部の中心が目標位置からずれていない例を示す図
図6B】本開示の実施の形態に係る部品実装装置が有するテープフィーダが供給する発光素子の発光部の中心が目標位置からずれている例を示す図
図7】本開示の実施の形態に係る部品実装装置の制御系の構成を示す機能ブロック図
図8】本開示の実施の形態に係る部品実装装置による実装基板の製造方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施の形態の説明に先立ち、本開示の着想に至った経緯を簡単に説明する。特許文献1を含む従来技術では、吸着ノズルが電子部品を保持する位置が、電子部品の外形中心や、キャリヤテープにおいて電子部品が格納されたポケットの中心に設定される。しかしながら、発光素子の上面には機能部である発光部が設けられている。そのため、発光素子を吸着ノズルで保持する場合、次のような問題がある。発光部が軟質の素材で形成されている場合、吸着ノズルが発光部を吸着することで発光素子の特性を低下させてしまうことがある。一方、発光部以外の部分が軟質の素材で形成されている場合、発光部以外の部分を吸着すると発光素子が吸着ノズルに粘着して外れなくなってしまうことがある。そこで、発光素子の構造に応じて適正な位置を吸着する必要がある。
【0009】
本開示は、機能部を有する電子部品の適正な位置を吸着して基板に実装することができる部品実装装置および実装基板の製造方法を提供する。
【0010】
以下に図面を参照しながら、本開示の実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図中では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向に沿ったX軸(図1における左右)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下)が示される。また、水平面と直交する鉛直方向に沿ったZ軸(図2における上下)が示される。
【0011】
まず図1図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお図2は、図1のII-II線における断面を部分的に示している。部品実装装置1は、部品供給部4から供給された電子部品を基板3に実装する部品実装作業を実行する。図2に示すように、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配設されている。基板搬送機構2は、上流から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決め保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流に搬出する。
【0012】
図1に示すように、基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並列に装着されている。テープフィーダ5は、電子部品を収納するポケットが形成されたキャリヤテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りする。このピッチ送りにより、テープフィーダ5は、図2に示す実装ヘッド8が電子部品をピックアップする部品供給位置5aに電子部品を供給する。すなわち、テープフィーダ5は、電子部品を供給する部品供給機構として機能する。
【0013】
図1に示すように、X軸における基台1aの両端部の上面には、リニア駆動機構を有するY軸ビーム6がY軸に沿って延びるように配設されている。2基のY軸ビーム6には、同様にリニア駆動機構を有する2基のX軸ビーム7が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。X軸ビーム7はX軸に沿って延びるように配設されている。X軸ビーム7には、それぞれ実装ヘッド8がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド8は、電子部品を吸着保持して昇降可能な複数の吸着ユニット8aを有する。吸着ユニット8aのそれぞれの下端部には、図2に示すように、電子部品を吸着して保持する吸着ノズル8bが装着されている。
【0014】
図1において、Y軸ビーム6、X軸ビーム7を駆動することにより、実装ヘッド8はX軸、Y軸に沿って移動する。これにより2つの実装ヘッド8はそれぞれ、対応した部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから電子部品を吸着ノズル8bによって吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装点に装着する。すなわち、Y軸ビーム6、X軸ビーム7および実装ヘッド8は、吸着ノズル8bによってテープフィーダ5(部品供給機構)の部品供給位置5aから供給される電子部品を保持して基板3に実装する部品実装機構9を構成する。
【0015】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ(以下、第1認識カメラ)10が配設されている。部品供給部4から電子部品を取り出した実装ヘッド8が第1認識カメラ10の上方を移動する際に、第1認識カメラ10は、実装ヘッド8に保持された電子部品を撮影して電子部品の保持姿勢を認識する。実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには、基板認識カメラ(以下、第2認識カメラ)11が取り付けられている。第2認識カメラ11は、実装ヘッド8と一体的に移動する。すなわち、第2認識カメラ11は、部品実装機構9を構成する実装ヘッド8とともに移動する。
【0016】
実装ヘッド8が移動することにより、第2認識カメラ11は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク(図示せず)を撮影して基板3の位置を認識する。また、第2認識カメラ11はテープフィーダ5の部品供給位置5aの上方に移動し、部品供給位置5a付近のキャリヤテープの状態を認識する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、第1認識カメラ10による電子部品の認識結果と、第2認識カメラ11による電子部品の認識結果と基板3の位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0017】
図2に示すように、部品供給部4にはフィーダベース12aに予め複数のテープフィーダ5が装着された台車12がセットされる。台車12には、テープリール14が保持されている。テープリール14は、電子部品を保持したキャリヤテープ13を巻回状態で収納している。テープリール14から引き出されたキャリヤテープ13は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
【0018】
次に図3A図3Cを参照して、基板3に実装される電子部品である発光素子Daの構造について説明する。発光素子Daは、例えば表面実装用のチップLEDである。図3A図3Cに示すように、発光素子Daの本体部Baの上面Duaの一部には、発光部Saが設けられている。図3B図3Cに示すように、本体部Baの裏面Ddaには、電極E1a、電極E2aが設けられている。発光部Saは、電極E1aと電極E2aとの間に電圧を加えると光を発する機能部である。
【0019】
発光部Saの上部は、レンズなどの硬質の素材で形成されている。一方、発光部Sa以外の本体部Baの上面Duaは、軟質の樹脂などの素材で形成されている。図2に示す吸着ノズル8bによって発光素子Daを保持する際は、硬質の発光部Saの上部が、吸着ノズル8bによって吸着される保持位置Paとして設定される。この例では、発光部Saの発光中心Csaが保持位置Paとして選択されている。発光中心Csaは、機能部である発光部Saの位置の例を示している。
【0020】
次に図4A図4Cを参照して、図3A図3Cに示す発光素子Daとは異なる構造を有する発光素子Dbの構造について説明する。図4A図4Cにおいて、発光素子Dbの本体部Bbの上面Dubの一部には、上部が露出するように発光部Sbが設けられている。図4B図4Cにおいて、本体部Bbの裏面Ddbには、電極E1b、電極E2bが設けられている。発光部Sbは、電極E1bと電極E2bとの間に電圧を加えると光を発する機能部である。
【0021】
発光素子Daとは反対に、発光素子Dbでは、発光部Sbは、軟質の樹脂などの素材で形成され、発光部Sb以外の本体部Bbの上面Dubは、硬質の樹脂などの素材で形成されている。吸着ノズル8bによって発光素子Dbを保持する際は、硬質の発光部Sb以外の本体部Bbの上面Dubが吸着ノズル8bによって吸着される保持位置Pbとして設定される。この例では、発光部Saの発光中心Csb(機能部の位置)から保持位置補正値F(Xf,Yf)だけ移動した位置が保持位置Pbとして選択されている。発光素子Dbでは、保持位置Pbは発光部Sb(機能部)に重ならない位置に設定される。
【0022】
以下、発光素子Daと発光素子Dbとを区別する必要がない場合は、単に発光素子Daと発光素子Dbを「発光素子D」と称し、発光部Saと発光部Sbを「発光部S」と称す。また、本体部Baと本体部Bbを「本体部B」と称し、電極E1a,E2aと電極E1b,E2bを「電極E1,E2」と称す。また、上面Duaと上面Dubを「上面Du」と称し、裏面Ddaと裏面Ddbを「裏面Dd」と称す。また、発光中心Csaと発光中心Csbを「発光中心Cs」と称し、保持位置Paと保持位置Pbを「保持位置P」と称す。以下、テープフィーダ5によって供給され、部品実装機構9による部品実装動作によって基板3に実装される電子部品として、発光素子Dを例に説明する。
【0023】
次に図5A図5Bを参照して、第2認識カメラ11による部品供給位置5aに供給された発光素子Dの認識動作について説明する。図5Aにおいて、テープフィーダ5の上には、キャリヤテープ13を上方からガイドする押え部材15が配設されている。押え部材15には、部品供給位置5aに開口部15aが設けられている。
【0024】
図5Bは、部品供給位置5a付近のキャリヤテープ13を上方から見た状態を示しており、押え部材15は図示省略している。キャリヤテープ13のベーステープ13aには、発光素子Dを収納する凹形状のポケット13bと、キャリヤテープ13をピッチ送りするスプロケット(図示省略)が係合する送り穴13cとが等間隔に設けられている。発光素子Dを収納したポケット13bの上面には、カバーテープ13dが貼着されている。
【0025】
図5Aにおいて、カバーテープ13dは開口部15aの縁部15bで剥離されて折り返される。これによって、部品供給位置5aおよび部品供給位置5aより下流(図5Aの右)に位置するポケット13bの上方が開放される。以下、部品供給位置5aにピッチ送りされたポケット13bを対象ポケット13Bと称する。矢印aで示すように、Y軸ビーム6、X軸ビーム7が駆動されることによって、第2認識カメラ11は、部品供給位置5aの上方に移動し、開口部15aを通して部品供給位置5aの対象ポケット13Bを撮影する。
【0026】
次に、図6A図6Bを参照して、第2認識カメラ11によって撮影された対象ポケット13Bの認識画像11aの一例を説明する。第2認識カメラ11は、発光素子Dの発光部Sを選択的に認識できるように対象ポケット13Bを撮影する。図6Aは、対象ポケット13Bと、発光素子Dと、発光部Sと、第2認識カメラ11との間に相対的な位置ずれがない例を示している。認識画像11aでは、対象ポケット13Bと発光素子Dの本体部Bとは認識されないが、便宜上、図中に対象ポケット13Bの位置と発光素子Dの本体部Bの位置とを点線で示している。
【0027】
図6Aにおいて、ポケット中心Cpは、点線で示す対象ポケット13Bの中心を示し、部品中心Cdは、点線で示す発光素子Dの中心を示している。図5Aに示すように部品供給位置5aの上方に第2認識カメラ11が移動すると、図6Aに示す第2認識カメラ11の撮影視野11bの中心11cは、ポケット中心Cp、部品中心Cdと一致している。認識画像11aには、X軸に直交する中心線11xとY軸に直交する中心線11yとが重ねて表示されている。また、認識画像11aに基づき認識された発光部Sの発光中心Csが、黒丸で表示されている。このように相対的な位置ずれがない場合の発光中心Csを、発光部Sの目標発光中心Cs0と定義する。
【0028】
図6Bは、発光部Sの発光中心Csが目標発光中心Cs0からずれている認識画像11aの例を示している。発光素子Dが対象ポケット13Bの中で動くと、発光中心Csが目標発光中心Cs0からずれる原因となる。後述するように、図7に示す第1処理部31が、認識画像11aを認識処理する。これにより第1処理部31は、発光部Sの発光中心Csの目標発光中心Cs0からのX軸、Y軸に沿った位置ずれ量を示す発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsを算出する。このように、第1処理部31と、部品実装機構9とともに移動可能な第2認識カメラ11とは、発光部Sの位置を認識する認識部として機能する。すなわち認識部は、部品供給機構であるテープフィーダ5が供給する電子部品の機能部の位置を認識する。この機能部の位置とは、認識部の視野範囲(撮影視野11b)における位置である。
【0029】
図6Bにおいて、吸着ノズル8bによって発光素子Dを吸着する際の保持位置Pは、認識された発光部Sの発光中心Csから保持位置補正値F(Xf,Yf)だけ移動された位置に決定される。すなわち、保持位置Pは、認識画像11aから算出される発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsに保持位置補正値F(Xf,Yf)を加えた位置に決定される。
【0030】
図6Bに示す保持位置Pは、発光部Sに重ならない位置に設定された図4A図4Cを参照して説明した発光素子Dbに適用される例である。一方、図3A図3Cを参照して説明した発光部Sの位置に保持位置Pが設定される発光素子Daの場合、認識された発光部Sの発光中心Csが保持位置Pに決定される。
【0031】
次に図7を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御部30、基板搬送機構2、テープフィーダ5、部品実装機構9、第1認識カメラ10、第2認識カメラ11、入力部36、表示部37を有している。制御部30は、第1処理部31、保持位置決定部(以下、決定部)32、実装位置補正部(以下、補正部)33、第2処理部34、実装記憶部35を有している。実装記憶部35は記憶装置であり、第1記憶部40、第2記憶部41、第3記憶部42、第4記憶部43、第5記憶部44を有している。入力部36は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。表示部37は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データの他、認識画像11aなどを表示する。
【0032】
第1記憶部40は、基板3に実装される発光素子Dの実装位置などのデータ(実装データ)を生産対象の基板3の種類ごとに記憶する。第2記憶部41は、基板3に実装される発光素子Dのサイズ、発光部Sのサイズと発光素子D内の位置、保持位置補正値F(Xf,Yf)などのデータ(部品データ)を発光素子Dの種類ごとに記憶する。第1処理部31は、前述のように、第2認識カメラ11が撮影した認識画像11aを認識処理して、発光部Sの発光中心Csの位置ずれ量である発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsを算出する。第3記憶部42は、算出された発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsを認識結果として記憶する。
【0033】
決定部32は、第2記憶部41に記憶されている保持位置補正値F(Xf,Yf)と第3記憶部42に記憶されている発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsとに基づいて、吸着ノズル8bが発光素子Dを吸着する際の保持位置Pを決定する。このように、決定部32は、第2認識カメラ11と第1処理部31とにより認識された発光部Sの位置に基づいて、部品実装機構9による発光素子Dの保持位置Pを決定する。すなわち、決定部32は、認識部により認識された機能部の位置に基づいて、部品実装機構9による電子部品の保持位置Pを決定する。第4記憶部43は、決定された保持位置Pを記憶する。
【0034】
補正部33は、発光部Sの位置に基づいて、発光部Sが基板3の所定の位置に配置されるように実装位置を補正する。発光部Sの位置とは、第1記憶部40に記憶されている発光素子Dの実装位置、第2記憶部41に記憶されている発光部Sの発光素子D内の位置、第3記憶部42に記憶されている発光部Sの発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsなどに基づく。第5記憶部44は、補正後の実装位置を実装補正値として記憶する。
【0035】
第2処理部34は、第4記憶部43に記憶された保持位置Pに基づいて部品実装機構9を制御して、吸着ノズル8bによって発光素子Dを吸着する。また第2処理部34は、第5記憶部44に記憶された補正後の実装位置に基づいて部品実装機構9を制御して、発光部Sが基板3の所定の位置に配置されるように発光素子Dを基板3に実装させる。
【0036】
なお、実装記憶部35を構成する第1記憶部40、第2記憶部41は、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)等で構成されている。第3記憶部42~第5記憶部44は書き換え可能なRAMやフラッシュメモリ、ハードディスク等で構成されている。なお、これらの2つ以上を一体に構成してもよい。第1処理部31、決定部32、補正部33、第2処理部34はCPU(中央演算処理装置)またはLSI(大規模集積回路)で構成されている。あるいは専用回路で構成されていてもよく、汎用のハードウェアを、一過性または非一過性の記憶装置から読みだしたソフトウェアで制御して実現してもよい。またこれらの2つ以上を一体に構成してもよい。
【0037】
次に、図8に沿って、部品実装装置1を用いた実装基板の製造方法について説明する。まず、基板搬送機構2によって部品実装装置1内に基板3が搬入されて実装作業位置に位置決め保持される(ST1)。次いで第2認識カメラ11と第1処理部31は、発光素子Dの上面Duに設けられた発光部Sの位置を認識する(ST2)。ST2において、発光素子Dは、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給されている。すなわち、認識部は、電子部品を供給する部品供給機構上で電子部品の機能部を認識する。
【0038】
次いで決定部32は、認識された発光部Sの位置に基づいて部品実装機構9による発光素子Dの保持位置Pを決定する(ST3)。図3に示す発光素子Daの場合、保持位置Pは、発光部Sの位置に決定され、図4に示す発光素子Dbの場合、保持位置Pは、発光部Sに重ならない位置に決定される。次いで第2処理部34は部品実装機構9を制御して、吸着ノズル8bによって発光素子Dを保持位置Pで保持させる(ST4)。
【0039】
次いで補正部33は認識された発光部Sの位置に基づいて、発光部Sが基板3の所定の位置に配置されるように実装位置を補正する(ST5)。すなわち、部品実装機構9は、保持位置Pで発光素子Dを保持して基板3に実装する。次いで第2処理部34は部品実装機構9を制御して、補正された実装位置に発光素子Dを実装させる(ST6)。これにより、発光部Sが基板3の所定位置に配置されるように発光素子Dが基板3に実装される。
【0040】
次いで全ての発光素子Dが基板3に実装されていない場合(ST7においてNo)、ST2に戻って次の発光素子Dの発光部Sを認識し、保持位置P、実装位置を補正して次の発光素子Dを基板3に実装させる。基板3に所定の発光素子Dが全て実装されると(ST7においてYes)、制御部30は、基板搬送機構2を制御して基板3を下流に搬出させ(ST8)、ST1に戻って次の実装対象の基板3を搬入させる。
【0041】
上記説明したように、部品実装装置1は、テープフィーダ5と、第2認識カメラ11および第1処理部31と、部品実装機構9と、決定部32とを有し、発光部Sを有する発光素子Dを基板3に実装する。テープフィーダ5は、電子部品である発光素子Dを供給する部品供給機構である。第2認識カメラ11と第1処理部31は、機能部の位置(発光中心Cs)を認識する認識部として機能する。部品実装機構9は、部品供給機構から供給される電子部品を保持して基板3に実装する。決定部32は、認識部により認識された機能部の位置に基づいて、部品実装機構9による電子部品の保持位置Pを決定する。これによって、機能部を有する電子部品の適正な位置を吸着して基板3に実装することができる。
【0042】
なお、第2認識カメラ11と第1処理部31は、電子部品における機能部の位置を認識する認識部として機能し、第2認識カメラ11は部品実装機構9とともに移動可能である。そして、認識部は、テープフィーダ5が供給している電子部品における機能部の位置を認識する。第1処理部31は第2認識カメラ11に内蔵されていてもよい。すなわち、認識部の少なくとも一部は部品実装機構9とともに移動可能である。
【0043】
なお、上記は機能部を有する電子部品として、発光部Sを有する発光素子Dを例に説明したが、電子部品は発光素子Dに限定されることはない。例えば、電子部品は、機能部として上面に画像撮影用のセンサ領域を有するイメージセンサであってもよい。あるいは、機能部としてプロセッサチップを有し、上面にプロセッサチップのための放熱板を有するプロセッサであってもよい。この場合、プロセッサチップの上に放熱板が位置するため、保持位置は、プロセッサチップに重ならない位置に決定される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示の部品実装装置および実装基板の製造方法は、機能部を有する電子部品の適正な位置を吸着して基板に実装することができる。そのため、電子部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 部品実装装置
1a 基台
2 基板搬送機構
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ(部品供給機構)
5a 部品供給位置
6 Y軸ビーム
7 X軸ビーム
7a プレート
8 実装ヘッド
8a 吸着ユニット
8b 吸着ノズル
9 部品実装機構
10 部品認識カメラ(第1認識カメラ)
11 基板認識カメラ(第2認識カメラ)
11a 認識画像
11b 撮影視野
11c 中心
11x,11y 中心線
12 台車
12a フィーダベース
13 キャリヤテープ
13a ベーステープ
13b ポケット
13B 対象ポケット
13c 送り穴
13d カバーテープ
14 テープリール
15 押え部材
15a 開口部
15b 縁部
30 制御部
31 第1処理部
32 保持位置決定部(決定部)
33 実装位置補正部(補正部)
34 第2処理部
35 実装記憶部
36 入力部
37 表示部
40 第1記憶部
41 第2記憶部
42 第3記憶部
43 第4記憶部
44 第5記憶部
B,Ba,Bb 本体部
Cs,Csa,Csb 発光中心
D,Da,Db 発光素子
Du,Dua,Dub 上面
Dd,Dda,Ddb 裏面
E1,E2,E1a,E2a,E1b,E2b 電極
P,Pa,Pb 保持位置
S,Sa,Sb 発光部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8