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特許7576787通知システム、通知方法及びコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】通知システム、通知方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241025BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241025BHJP
【FI】
H04M11/00 302
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020102268
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021197610
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】593197271
【氏名又は名称】株式会社ジンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100181788
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 実華
(72)【発明者】
【氏名】比留間 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】森山 和広
(72)【発明者】
【氏名】徳勢 真紀
(72)【発明者】
【氏名】塩見 泰彦
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-295507(JP,A)
【文献】特開2001-202431(JP,A)
【文献】特開2002-215752(JP,A)
【文献】特開2013-206108(JP,A)
【文献】特開2011-210124(JP,A)
【文献】特開2013-109736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G06Q 10/00-99/00
G16Z 99/00
G06F 21/30-21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
確認対象者の本人確認に使用される書類である本人確認書類に示される本人識別情報と、前記確認対象者の電話番号と、を対応付けて記憶する記憶部と、
記電話番号に関して所定の注意条件が満たされた場合に、所定の通知先に通知する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記電話番号に関して状態を示す情報に変化が生じた場合に所定の注意条件が満たされたと判定する、通知システム。
【請求項2】
前記制御部は、同一の電話番号に対応付けて複数の異なる本人識別情報が存在する場合に所定の注意条件が満たされたと判定する、請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記制御部は、同一の本人識別情報に対応付けて複数の異なる電話番号が存在する場合に所定の注意条件が満たされたと判定する、請求項1に記載の通知システム。
【請求項4】
コンピューターが、確認対象者の本人確認に使用される書類である本人確認書類に示される本人識別情報と、前記確認対象者の電話番号と、を対応付けて記憶する記憶部からデータを取得するステップと、
コンピューターが、前記電話番号に関して所定の注意条件が満たされた場合に、所定の通知先に通知するステップと、
前記コンピューターが、前記電話番号に関して状態を示す情報に変化が生じた場合に所定の注意条件が満たされたと判定するステップと、
を有する通知方法。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の通知システムとしてコンピューターを動作させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人確認をより有効に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な業種において本人確認の重要性が増している。例えば、マネーロンダリング等の犯罪を防止することを目的として、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯罪収益移転防止法」という。)の改正により、令和2年4月からは本人確認方法が一部厳格化される。このような流れを受けて、本人確認をより正確に行うための技術も提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-038443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現状では、必ずしも全ての本人確認において精度よく判定を行うことはできていない。例えば、偽った情報が提示された本人確認が問題なしとして取り扱いされてしまったり、ある時点では問題のなかった本人確認についてその後に問題が生じたとしても看過されてしまったりしていた。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、本人確認に関して問題が生じる可能性をより精度よく判定することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、確認対象者の本人確認に使用される書類である本人確認書類に示される本人識別情報と、前記確認対象者の電話番号と、を対応付けて記憶する記憶部と、前記本人識別情報又は前記電話番号に関して所定の注意条件が満たされた場合に、所定の通知先に通知する制御部と、を備える通知システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上記の通知システムであって、前記制御部は、前記電話番号に関して状態を示す情報に変化が生じた場合に所定の注意条件が満たされたと判定する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の通知システムであって、前記制御部は、同一の電話番号に対応付けて複数の異なる本人識別情報が存在する場合に所定の注意条件が満たされたと判定する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の通知システムであって、前記制御部は、同一の本人識別情報に対応付けて複数の異なる電話番号が存在する場合に所定の注意条件が満たされたと判定する。
【0010】
本発明の一態様は、コンピューターが、確認対象者の本人確認に使用される書類である本人確認書類に示される本人識別情報と、前記確認対象者の電話番号と、を対応付けて記憶する記憶部からデータを取得するステップと、コンピューターが、前記本人識別情報又は前記電話番号に関して所定の注意条件が満たされた場合に、所定の通知先に通知するステップと、を有する通知方法である。
【0011】
本発明の一態様は、上記の通知システムとしてコンピューターを動作させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、本人確認に関して問題が生じる可能性をより精度よく判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の通知システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図2】通知装置20の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3】電話番号情報記憶部241が記憶する情報の具体例を示す図である。
図4】確認対象者情報記憶部242が記憶する情報の具体例を示す図である。
図5】通知先情報記憶部243が記憶する情報の具体例を示す図である。
図6】確認対象者情報取得部252が新たな確認者情報を取得した際の処理の具体例を示すフローチャートである。
図7】注意条件判定部253の処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の通知システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。通知システム100は、1又は複数の端末装置10(10_1~10_n:nは1以上の整数)と、通知装置20とを含む。端末装置10と通知装置20とは、ネットワーク30を介して通信する。ネットワーク30は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク30は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0015】
端末装置10は、特定の事業者によって使用される情報機器である。端末装置10は、例えばパーソナルコンピューターや、サーバー機器や、専用システムなどの装置を用いて構成されてもよい。特定の事業者とは、例えば犯罪収益移転防止法第2条第2項における特定事業者であってもよい。特定の事業者は、例えば金融機関、クレジットカード会社、宝石や貴金属等の取扱業者である。特定の事業者は、上記の特定事業者に限定される必要はなく、顧客などの人物について所定の情報の提示を受けて本人確認を行う事業者であればどのような事業者であってもよい。
【0016】
本人確認とは、顧客などの人物について、その人物が自称している人物と真に同一の人物であることを確認するための処理である。本人確認は、例えば犯罪収益移転防止法第4条第1項第1号に規定する本人特定事項の確認を意味するものであってもよい。本人特定事項の確認では、例えば本人確認書類が使用される。本人確認書類は、本人特定事項の一部又は全部が掲載されている書類である。本人確認書類は、例えば運転免許証、在留カード、マイナンバーカード、パスポート、健康保険証、年金手帳などの書類である。本人確認において、1つの本人確認書類のみが使用されてもよいし、複数の本人確認書類が使用されてもよい。特定の事業者は、本人確認を行う際には、本人確認の対象者から本人確認書類の提示を受け、本人確認書類に掲載されている本人特定事項や本人確認書類の識別情報などを取得する。
【0017】
特定の事業者は、取得された情報を端末装置10に入力する。特定の事業者は、端末装置10を操作することによって、取得された情報を通知装置20に送信し登録する。端末装置10は、通知装置20から本人確認に用いられた情報に関して所定の条件(注意すべき事を示す条件)が満たされたと判定された場合には、その判定結果を通知装置20から受信する。端末装置10がその判定結果を出力することによって、特定の事業者は判定結果を知ることができる。その後、特定の事業者は、判定結果に応じて、本人確認の情報について対象者に確認を行うことができる。
【0018】
通知装置20は、パーソナルコンピューターやサーバー機器などの情報機器である。図2は、通知装置20の機能構成を示す概略ブロック図である。通知装置20は、通信部21、入力部22、出力部23、記憶部24及び制御部25を備える。
【0019】
通信部21は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部21は、ネットワーク30を介して他の装置とデータ通信する。
【0020】
入力部22は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部22は、通知装置20の管理者の指示を通知装置20に入力する際に管理者によって操作される。入力部22は、入力装置を通知装置20に接続するためのインターフェースであっても良い。この場合、入力部22は、入力装置において管理者の入力に応じ生成された入力信号を通知装置20に入力する。入力部22は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。この場合、入力部22は管理者によって発話された文言を音声認識し、認識結果の文字列情報を通知装置20に入力する。入力部22は、管理者の指示を通知装置20に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。
【0021】
出力部23は、通知装置20に接続された不図示の出力装置を介し、通知装置20の管理者に対してデータの出力を行う。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されても良い。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。
【0022】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部24は、電話番号情報記憶部241、確認対象者情報記憶部242及び通知先情報記憶部243として機能する。
【0023】
電話番号情報記憶部241は、複数の電話番号に関する情報を記憶する。電話番号情報記憶部241は、少なくとも確認対象者の電話番号と、その電話番号の状態を示す情報(例えば、後述する状態情報及び他人名義判定結果)とを対応付けて記憶する。確認対象者とは、本人確認を受ける者である。確認対象者は、例えば犯罪収益移転防止法第2条第3項における顧客等であってもよい。
【0024】
図3は、電話番号情報記憶部241が記憶する情報の具体例を示す図である。電話番号情報記憶部241は、例えば電話番号情報テーブルを記憶する。電話番号情報テーブルは、複数の電話番号情報レコードを有する。電話番号情報レコードは、例えば電話番号、状態情報及び他人名義判定結果の値を含む。電話番号は、少なくとも電話番号情報レコードが登録された時点で有効に実在し、特定の人物(以下「想定使用者」という。)によって使用されていると想定されていた電話番号である。
【0025】
状態情報は、所定のタイミングにおける電話番号の利用状況を表す。状態情報は、例えば、有効、無効、移転、局預又は都合停止の5つの状態のいずれかとして表されてもよい。例えば、有効の場合“1”、無効の場合“2”、移転の場合“3”、局預の場合“4”、都合停止の場合“5”の値が保持されてもよい。有効は、対象となる電話番号を想定使用者である加入者が使用しており、発着信できる状態であることを表す。無効は、対象となる電話番号が使用されておらず発着信できない状態であることを表す。移転は、対象となる電話番号の想定使用者が他の電話番号を使用している状態であり、対象となる電話番号そのものでは想定使用者に対して連絡をとることができない状態にあることを表す。例えば、状態が移転である電話番号に発信が行われた場合、発信者の受話器には他の番号に変更されていることを示すアナウンス(移転アナウンス)が流れる。局預は、対象となる電話番号を想定使用者である加入者が使用しているが、発着信できない状態であることを表す。局預の場合、電話番号に発信をしても、発信者の受話器には移転アナウンスは流れない。都合停止は、対象となる電話番号が加入者の事情で発着信できない状態にされている状態を表す。なお、利用状況は上記の5つの状態に限定される必要は無く、他の状態が設けられていてもよいし、より少ない種類の状態で表されてもよい。所定のタイミングとは、例えば、1カ月毎でもよいし、2カ月毎でもよいし、どのようなタイミングであってもよい。
【0026】
他人名義判定結果は、電話番号の所有者が想定使用者ではなくなっているか否かを表す。例えば、電話番号の所有者が想定使用者ではなくなっている場合、他人名義判定結果には“X”が保持される。例えば、電話番号の所有者が想定使用者のままである場合、他人名義判定結果には“Y”が保持される。他人名義判定については後述する。
【0027】
確認対象者情報記憶部242は、複数の確認対象者に関する情報を記憶する。確認対象者情報記憶部242は、少なくとも確認対象者の本人確認に用いられる識別情報(以下「本人識別情報」という。)と、確認対象者が想定使用者となっている電話番号と、を対応付けて記憶する。
【0028】
図4は、確認対象者情報記憶部242が記憶する情報の具体例を示す図である。確認対象者情報記憶部242は、例えば確認対象者情報テーブルを記憶する。確認対象者情報テーブルは、複数の確認対象者情報レコードを有する。確認対象者情報レコードは、例えば識別番号、事業者識別情報、書類情報、本人識別情報、有効期限、電話番号及びフラグの各値を有する。識別情報は、確認対象者情報レコードを一意に示す識別情報である。事業者識別情報は、確認対象者に対して本人確認を行った事業者を示す識別情報である。
【0029】
書類情報は、確認対象者に対して本人確認が行われた際に使用された本人確認書類を示す情報である。本人識別情報は、本人確認に用いられた本人確認書類に示された識別情報であって、確認対象者を示す識別情報である。例えば本人確認書類が旅券である場合には、本人識別情報は旅券番号であってもよい。例えば本人確認書類が在留カードである場合には、本人識別情報は在留カード番号であってもよい。有効期限は、本人確認に使用された本人確認書類の有効期限を示す。電話番号は、確認対象者が想定使用者となっている電話番号を示す。フラグは、注意条件を満たしたか否かを示す。例えば、注意条件が満たされた場合にはフラグの値として“1”が保持される。例えば、注意条件が満たされていない場合にはフラグの値として“0”が保持される。
【0030】
注意条件とは、その確認対象者情報レコードに対応する確認対象者が注意を要する人物であることを示す条件である。注意条件の具体例として、重複状態の確認対象者であることを示す条件や、失効状態を示す条件や、電話番号の状態において変化が生じたことを示す条件や、AML/CFT(Anti-Money Laundering / Counter Financing of Terrorism)に基づいた顧客リスクの高さに応じて定まる継続的顧客管理の期間が近づいていることを示す条件(以下「継続的顧客管理条件」という。)がある。以下、これらの注意条件の具体例について説明する。
【0031】
重複状態とは、同一の確認対象者に対して複数の異なる確認対象者情報レコードが登録されている状態を示す。例えば、同一の電話番号及び書類情報の組合せに対して、複数の異なる本人識別情報が登録されている状態は重複状態の一例である。例えば、同一の書類情報及び本人識別情報の組合せに対して、複数の異なる電話番号が登録されている状態は重複状態の一例である。このような状態にある確認対象者は、本人確認において偽装した本人確認書類や電話番号を使用している可能性など、様々な留意すべき可能性がある。このような確認対象者は、注意を要する人物である。
【0032】
失効状態とは、本人確認に用いられた本人確認書類の有効期限が切れている状態である。失効状態は、本人確認に用いられた本人確認書類の有効期限までの残り期間が所定の期間(例えば10日や1カ月など)を切った状態であってもよい。このような状態にある確認対象者は、本人確認において使用された本人確認書類の正当性が失われる又は既に失われた可能性があるため、注意を要する人物である。
【0033】
電話番号の状態において変化が生じたこととは、電話番号の状態情報が有効ではなくなっている状態である。例えば、電話番号の状態情報が無効であることが条件として注意条件が設定されてもよいし、電話番号の状態情報が無効又は都合停止であることが条件として注意条件が設定されてもよい。さらに、電話番号が他人名義になっていることも注意条件として設定されてもよい。すなわち、例えば電話番号の状態情報が無効であること、都合停止であること、又は他人名義になっていること、のいずれか一つでも満たす場合には条件が満たされるとして注意条件が設定されてもよい。
【0034】
継続的顧客管理条件とは、確認対象者に対してAML/CFTに基づいて定められるリスク基準(例えば高、中、低)に応じて決まる期間が前回の確認から近づいている又は既に経過したことを示す条件である。例えば、リスク基準が高である確認対象者に対しては、6カ月~1年の間の所定の期間が定められてもよい。例えば、リスク基準が中である確認対象者に対しては、2年~3年の間の所定の期間が定められてもよい。例えば、リスク基準が低である確認対象者に対しては、3年~5年の間の所定の期間が定められてもよい。
【0035】
通知先情報記憶部243は、各事業者に対する通知先情報を記憶する。通知先情報記憶部243は、少なくとも特定の事業者を示す事業者識別情報と、その事業者に対して情報を通知する際に使用される通知先を示す情報と、を対応付けて記憶する。
【0036】
図5は、通知先情報記憶部243が記憶する情報の具体例を示す図である。通知先情報記憶部243は、例えば通知先情報テーブルを記憶する。通知先情報テーブルは、複数の通知先情報レコードを有する。通知先情報レコードは、例えば事業者識別情報及び通知先情報の各値を有する。事業者識別情報は、通知装置20において注意条件を満たす確認対象者が検出された際に通知を行う対象となる事業者を示す事業者識別情報である。通知先情報は、通知を行う際に用いられる宛先を示す情報である。通知先情報は、例えば端末装置10に対して送信される通知の宛先を示す。より具体的には、通知先情報は端末装置10において受信可能な電子メールのアドレスを示す情報であってもよいし、通知のための所定のプロトコルで使用される宛先を示す情報(例えばIPアドレスやMACアドレスや他の専用の宛先情報)であってもよい。
【0037】
図2に戻って制御部25の説明を行う。制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部25は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、電話番号情報取得部251、確認対象者情報取得部252、注意条件判定部253及び通知部254として機能する。なお、制御部25の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0038】
電話番号情報取得部251は、電話番号情報記憶部241に記憶される各電話番号について、状態情報と他人名義判定結果とを取得する。状態情報の取得と他人名義判定結果の取得とでは、どのようなアルゴリズムが適用されてもよい。例えば、他人名義判定において、所定期間連続して電話番号の状態情報として「無効」が保持された後に、無効以外が保持された場合には、他人名義になったと判定されてもよい。
【0039】
確認対象者情報取得部252は、本人確認を行う特定の事業者から、本人確認の過程や本人確認の処理後に確認対象者に関する情報を取得する。例えば、確認対象者情報取得部252は、特定の事業者によって操作される端末装置10から、ネットワーク30を介して確認対象者の情報を受信してもよい。確認対象者情報取得部252によって取得される情報は、例えば確認対象者情報記憶部242に記憶される情報である。
【0040】
注意条件判定部253は、判定対象となっている確認対象者について、注意条件を満たすか否か判定する。判定対象となる確認対象者の情報は、例えば端末装置10から送信されてきた判定依頼に含まれる確認対象者の情報であってもよいし、確認対象者情報記憶部242に記憶されている情報であってもよい。例えば、注意条件判定部253は、端末装置10から判定依頼を受信すると、受信された判定依頼に含まれる情報について注意条件を満たすか否か判定する。そして、注意条件判定部253は、判定結果を、送信元である端末装置10に対して送信する。例えば、注意条件判定部253は、確認対象者情報記憶部242に記憶されている情報について判定するタイミングが到来すると、その情報について注意条件を満たすか否か判定する。注意条件判定部253は、注意条件を満たした場合、その情報の事業者識別情報に応じた通知先情報を、通知先情報記憶部243から読み出す。そして、読み出された通知先に対して判定結果を送信することを通知部254に指示する。
【0041】
通知部254は、注意条件判定部253の指示に応じて、通知先に対し情報を送信する。
【0042】
図6は、確認対象者情報取得部252が新たな確認者情報を取得した際の処理の具体例を示すフローチャートである。まず、確認対象者情報取得部252が、端末装置10から確認対象者情報を受信することで取得する(ステップS101)。このとき、例えば端末装置10から本人確認に用いられる本人識別情報や電話番号について注意条件を満たすか否かの判定依頼が受信されてもよい。注意条件判定部253は、確認対象者情報取得部252によって取得された情報について、注意条件を満たすか否か判定する。特に、図6のフローチャートでは、注意条件判定部253は、重複状態であるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0043】
受信された確認対象者の情報が重複状態である場合(ステップS103-YES)、通知部254は、確認対象者の情報の送信元である端末装置10に対して重複状態であると通知する(ステップS104)。このとき、通知部254は、具体的にどのような情報と重複しているかについては通知しないように構成されてもよい。このように構成されることによって、個人情報を適切に保護しつつ、注意条件(特に重複状態であることを示す条件)が満たされて注意が必要であることを通知することが可能となる。注意条件判定部253は、確認対象者情報記憶部242に記憶されている情報のうち、重複状態にあった情報のフラグを更新する(ステップS105)。このとき、通知部254は、フラグが更新された情報について、その事業者識別情報に応じた通知先に対して、重複状態にあった確認対象者の情報(以下「重複情報」という。)であること(注意条件が満たされたこと)を通知してもよい。
【0044】
受信された確認対象者の情報が重複状態でない場合(ステップS103-NO)、通知部254は、確認対象者の情報の送信元である端末装置10に対して重複状態でないと通知する(ステップS106)。確認対象者情報取得部252は、受信された確認対象者の情報を確認対象者情報記憶部242に登録する(ステップS107)。
【0045】
図7は、注意条件判定部253の処理の具体例を示すフローチャートである。所定のタイミングが到来すると、注意条件判定部253は、図7に示されるフローチャートの処理を実行する。以下、図7に示されるフローチャートについて説明する。
【0046】
まず、注意条件判定部253は、確認対象者情報記憶部242に記憶されている確認対象者の情報のうち、判定対象となる情報を取得する。判定対象となる情報は、例えば識別情報にしたがって順番に取得されてもよいし、所定のアルゴリズムで決定されてもよい。例えば、注意条件判定部253は、判定対象となる確認対象者情報レコードを確認対象者情報記憶部242から読み出す(ステップS201)。注意条件判定部253は、読み出された確認対象者情報について注意条件を満たすか否か判定する(ステップS202)。
【0047】
判定対象の確認対象者の情報が注意条件を満たす場合(ステップS203-YES)、注意条件判定部253は、判定対象の確認対象者の情報について、注意条件を満たすことを記録する。例えば、注意条件判定部253は、判定対象となっている確認対象者情報レコードのフラグを更新する(ステップS204)。注意条件判定部253は、注意条件を満たした確認対象者の情報の取得元である事業者の通知先情報を取得する。通知部254は、取得された通知先情報に基づいて、事業者に対し注意条件が満たされた確認対象者を通知する。例えば、通知部254は、注意条件が満たされた確認対象者を注意人物として端末装置10に対し通知する(ステップS205)。
【0048】
注意条件判定部253は、このタイミングで判定対象となっている確認対象者全てについての判定が完了したか否か判定する(ステップS206)。判定がなされていない判定対象の情報がある場合には(ステップS206-NO)、注意条件判定部253は、判定がされていない判定対象の情報についてステップS201以降の処理を実行する。一方、判定がなされていない判定対象の情報がない場合には(ステップS206-YES)、注意条件判定部253は処理を終了する。
【0049】
このように構成された通知システム100によれば、本人確認の対象となっている者(確認対象者)について、本人確認に関する問題が生じている可能性についてより精度よく判定することが可能となる。すなわち、例えば重複状態などの状態が生じている場合には、本人確認に用いられようとしている情報や過去の本人確認で用いられた情報について、信憑性が低い可能性がある。
【0050】
また、例え本人確認書類に記載された情報に特に問題が見つからない場合であっても、その本人識別情報と対応付けて登録された電話番号において状態の変化が検出される場合には、注意条件が満たされたと判定される。電話番号の状態に変化が生じている場合には、その電話番号の契約者の生活形態に変化が生じている可能性が高い。このような状態を検出することによって、確認対象者に対し素早く状態の確認を行うことができる。
【0051】
また、本人確認に使用された本人確認書類の有効期限が失効された場合にも、注意条件が満たされたと判定される。本人確認書類の有効期限が失効している場合には、確認対象者の生活形態に変化が生じている可能性が高い。このような状態を検出することによって、確認対象者に対し素早く状態の確認を行うことができる。
【0052】
また、AML/CFTに基づいた継続的顧客管理条件に応じて、その条件としてリスクに応じて定められた期間が近づいたり到来したりすると、注意条件が満たされたと判定され通知が行われる。このような通知がおこなわれることによって、AML/CFTに準拠したリスク管理が可能となる。
【0053】
(変形例)
通知装置20は、複数の情報処理装置を用いて通知システムとして構成されてもよい。例えば、記憶部24と、制御部25とがそれぞれ異なる情報処理装置において実装されてもよい。また、制御部25の機能である電話番号情報取得部251、確認対象者情報取得部252、注意条件判定部253及び通知部254が、複数の情報処理装置において実装されてもよい。これらの場合、各情報処理装置は、通信ケーブルで直接的に接続されてもよいし、LAN等の構内ネットワークを用いて接続されてもよいし、広域網や公衆ネットワークを介して接続されてもよい。
【0054】
本発明の通知システム100において、電話番号に代えてIPアドレスが用いられてもよい。この場合、記憶部241は、電話番号情報記憶部241に代えてIPアドレス情報記憶部として機能する。IPアドレス情報記憶部は、IPアドレス及び状態情報を対応付けて記憶する。状態情報は、各IPアドレスの状況を表す。状態情報は、例えば各IPアドレスが不正利用されている可能性の程度や具体的な状況を示す情報であってもよい。確認対象者情報記憶部242は、電話番号に代えてIPアドレスを記憶する。この場合、注意条件の具体例として、不正アクセスのアクセス元として検出されたことが条件となってもよいし、IPアドレスのブラックリストとして登録されることが条件となってもよい。例えば、国外や、プロキシ経由又はインターネットカフェやフリーWiFi(登録商標)等において疑わしいアクセスを検知する装置やシステムによって検知されたIPアドレスが登録されているリストに登録されていることが、注意条件として定義されてもよい。
【0055】
本発明の通知システム100において、電話番号に代えて住所が用いられてもよい。この場合、記憶部241は、電話番号情報記憶部241に代えて住所情報記憶部として機能する。住所情報記憶部は、住所及び状態情報を対応付けて記憶する。状態情報は、各住所の状況を表す。状態情報は、例えば各住所が不正利用されている可能性の程度や具体的な状況を示す情報であってもよい。確認対象者情報記憶部242は、電話番号に代えて住所を記憶する。この場合、注意条件の具体例として、空室(賃貸物件等の情報)のデータベースにおいて、空室登録されている住所として検出されたことが条件となってもよい。注意条件の具体例として、グレー住所のデータベースにおいて、グレー住所として登録されている住所として検出されたことが条件となってもよい。グレー住所とは、マンスリーマンションやウィークリーマンションや宿泊施設(例えばホテル)の申込み等に際して不適切である可能性のある住所であり、そのような住所を集めたデータベースに登録されている住所である。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100…通知システム, 10…端末装置, 20…通知装置, 30…ネットワーク, 21…通信部, 22…入力部, 23…出力部, 24…記憶部, 241…電話番号情報記憶部, 242…確認対象者情報記憶部, 243…通知先情報記憶部, 25…制御部, 251…電話番号情報取得部, 252…確認対象者情報取得部, 253…注意条件判定部, 254…通知部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7