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特許7576816ポリグルタミン酸化抗葉酸剤およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ポリグルタミン酸化抗葉酸剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/127 20060101AFI20241025BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241025BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241025BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K31/517
A61K31/519
A61K31/525
A61K39/39
A61K47/12
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/28
A61K47/32
A61K47/34
A61P35/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019529465
(86)(22)【出願日】2017-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017046667
(87)【国際公開番号】W WO2018031980
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】62/374,458
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/675,695
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/675,701
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517045370
【氏名又は名称】エル.イー.エー.エフ. ホールディングス グループ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】L.E.A.F. HOLDINGS GROUP LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニイェキザ,クレト
(72)【発明者】
【氏名】モヨ,ヴィクター,マンドラ
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】山村 祥子
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/25882(WO,A1)
【文献】Journal of Controlled Release、(2015)、220、29-36
【文献】.Journal of Medicinal Chemistry、(1990)、33(2)、711-717
【文献】Drug Resistance Updates、(2012)、15、183-210
【文献】Molecular Pharmaceutics、(2014)、11、2631-2639
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
Caplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソームによりカプセル化されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む、リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物であって、前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、少なくとも3つのグルタミン酸残基を含み、前記少なくとも3つのグルタミン酸残基はγカルボキシル基結合によって結合され、前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択され、前記リポソームは、ペグ化されており、かつ標的細胞の表面抗原に対する特異的な親和性を有する標的化部分を含有しないことを特徴とする、リポソーム組成物。
【請求項2】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化RTX、またはポリグルタミン酸化LTXである、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項3】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化抗葉酸剤またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項4】
前記リポソームは20nm~200nmまたは80nm~120nmの範直径を有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項5】
前記リポソームはリポソーム成分から形成され、前記リポソーム成分は:
アニオン性脂質および中性脂質のうち少なくとも1種、
DSPE、DSPE-PEG-マレイミド、HSPC、HSPC-PEG、コレステロール、コレステロール-PEG、およびコレステロール-マレイミドから成る群から選択される少なくとも1種、または
DSPE、DSPE-PEG-FITC、DSPE-PEG-マレイミド、コレステロール、およびHSPCから成る群から選択される少なくとも1種
を含む、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項6】
1つ以上のリポソーム成分が、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリーL-リジン(PLL)、モノシアロガングリオシド(GM1)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリルアミド)(PAA)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ホスファチルポリグリセロール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン、L-アミノ酸系ポリマー、およびポリビニルアルコールから成る群から選択される少なくとも1つの立体安定剤をさらに含む、請求項に記載のリポソーム組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールPEGは200~500ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項8】
前記リポソームは、
(a)アニオン性または中性である、
(b)ゼロ以下のゼータ電位を有する、
(c)0~-150mVのゼータ電位を有する、または
(d)-30~-50mVのゼータ電位を有する、
請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項9】
前記リポソームは、カチオン性である、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項10】
前記リポソームは内部空間を有し、前記内部空間は前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤および水溶性の薬学的に許容可能な担体を含有し、任意に前記水溶性の薬学的に許容可能な担体は、(a)トレハロースであるか、(b)5mM~200mMの濃度のクエン酸緩衝剤を含有し、かつpH2.8~6であるか、または(c)50mM~500mMの全濃度の酢酸ナトリウムおよび酢酸カルシウムを含有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項11】
前記リポソームは、200,000未満、または10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項12】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、pH5~8である、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項13】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、4個、5個、5~10個、4~6個、または5個超のグルタミル基を有する、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項14】
免疫賦活剤、検出可能なマーカー、およびマレイミドのうち1種類以上をさらに含み、前記免疫賦活剤、検出可能なマーカー、またはマレイミドは、前記PEGまたは前記リポソームの外部に結合されている、請求項13に記載のリポソーム組成物。
【請求項15】
前記免疫賦活剤は、フルオレセイン;フルオレセインイソチオシアネート(FITC);DNP;βグルカン;β-1,3-グルカン;およびβ-1,6-グルカンからなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項14に記載のリポソーム組成物。
【請求項16】
ハプテン、またはマンニトール、トレハロース、ソルビトール、およびスクロースから成る群から選択される少なくとも1種の凍結保護剤をさらに含む、請求項15に記載のリポソーム組成物。
【請求項17】
単位投与剤である、請求項1に記載のリポソーム組成物。
【請求項18】
請求項1に記載のリポソーム組成物を含む、医薬組成物。
【請求項19】
リポソームによりカプセル化されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む、リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物であって、前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、そのγカルボキシル基によって結合される少なくとも3つのグルタミン酸残基を含み、前記リポソームは、標的細胞の表面抗原に対する特異的な親和性を有する標的化部分を含有しないことを特徴とする、リポソーム組成物。
【請求項20】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項21】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化RTX、またはポリグルタミン酸化LTXである、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項22】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化抗葉酸剤またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含有する、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項23】
前記リポソームは20nm~200nmまたは80nm~120nmの範直径を有する、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項24】
前記リポソームは、
(a)アニオン性または中性である、
(b)ゼロ以下のゼータ電位を有する、
(c)0~-150mVのゼータ電位を有する、または
(d)-30~-50mVのゼータ電位を有する、
請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項25】
前記リポソームは、カチオン性である、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【請求項26】
前記ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、4個、5個、5~10個、4~6個、または5個超のグルタミル基を有する、請求項19に記載のリポソーム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連案件
本出願は、米国特許商標庁において2016年8月12日出願された米国特許仮出願第62/374,458号に基づき、35U.S.C.§119の下で優先権を主張し、その全体が本明細書に参考によって援用される。本出願はまた、2017年8月11日出願された米国出願第15/675,695号、および2017年8月11日出願された米国出願第15/675,701号の優先権を主張する。米国出願のそれぞれの内容はこれらの全体が本明細書に援用される。本明細書において言及されるすべての参考、特許、および特許出願はこれらの全体が参考によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は全般的には、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤が充填された標的化または非標的化リポソームなどの送達ビヒクルを含むL-ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物、ならびに癌などの高増殖性疾患、関節リウマチなどの免疫系の障害、およびHIVなどの感染性疾患を含む疾患を治療するために組成物を製造および使用する方法に関する。
【0003】
葉酸は細胞増殖および組織再生に不可欠である。哺乳動物細胞は葉酸を新しく合成せず、三大葉酸摂取系である還元葉酸キャリア(RFC)系、葉酸受容体(FR)αおよびβ系、ならびに葉酸共輸送体(PCFT)系によって取り込まれる細胞外葉酸に依存する。葉酸依存生合成経路を標的にする抗葉酸剤は抗増殖剤として機能する。天然由来の葉酸は、ホリルポリグルタミン酸シンテターゼ(FPGS)の作用を通してポリグルタミン酸として細胞内に存在し、この酵素はγペプチド結合における最大で6個のグルタミル基を葉酸基質に加える。ポリグルタミン酸化は少なくとも次の3つの主な目的で役割を果たす。(1)細胞の中へまたは外に自由に移動可能である、非常に過剰のモノグルタミン酸プールにおける細胞内葉酸の蓄積を促進する;(2)これらの比較的大きいアニオン性分子の選択的な細胞内保持を可能にする;(3)チミジル酸シンターゼおよびAICARトランスホルミラーゼを含む、いくつかの葉酸依存酵素に対する葉酸コファクター親和性を大きく高める(例えば図2を参照)。
【0004】
抗葉酸剤は、「葉酸模倣分子」細胞毒性剤として70年以上前に最初に開発された抗増殖剤系である。理論的根拠は、生理学的な葉酸輸送機構および細胞分裂の際のDNA複製に対するそれらの促進的な細胞内作用機序を利用して、癌細胞などの迅速に複製する細胞において葉酸の作用に対抗する分子系統を設計することであった。具体的には、抗葉酸剤は、葉酸をその全身輸送、生理学的細胞取り込み(例えば、還元葉酸キャリア(RFC)およびプロトン結合葉酸トランスポーター(PCFT)を介する)および細胞内プロセシングにおいて模倣するように設計された。抗葉酸剤は具体的にはDNAおよびRNA合成の際に作用し、細胞周期のS期の間に細胞毒性効果を及ぼす。結果として、それらは悪性細胞および骨髄細胞などの迅速に分裂する細胞に高い毒性効果を有する。
【0005】
抗葉酸剤は葉酸代謝のそれらの阻害について幅広く認識されている。主な抗葉酸剤酵素標的およびこれらの酵素を標的にする例である抗葉酸剤は、(a)ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)[例えば、メトトレキサート(MTX)およびプララトレキサート]、(b)チミジル酸シンターゼ(TS)[例えば、ラルチトレキセド(RTX)、GW1843U、およびペメトレキセド(PMX)]、(c)β-グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFTアーゼ)[例えば、ロメトレキソール(LMX)、PMX]、および(d)5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(AICARFTアーゼ)[例えば、PMX]を含む。上記酵素の阻害は新たなヌクレオチド生合成を抑制し、プリンおよびピリミジン前駆体の不均衡を生じ細胞が正確なDNA複製を実施できないようにし、最終的に細胞死をもたらす。従って、葉酸代謝経路の阻害剤が、血液悪性腫瘍および固形腫瘍を含む高増殖性疾患、ならびに関節リウマチなどの免疫系の障害を治療する上で重要な役割を演じることは驚きではない。
【0006】
上記抗葉酸剤のそれぞれは、生理学的なpHでの主輸送系である、還元葉酸キャリア(RFC)によって輸送される。RFCは正常細胞および疾患細胞で広範に発現され、結果としてこれらの薬剤は癌の化学療法における主な障害である用量制限毒性を有する。
【0007】
ペメトレキセド(商標名ALIMTA(登録商標)で市販されている)は6-5縮合ピロロ[2,3,-d]ピリミジン核を含む抗葉酸剤であり、チミジル酸シンターゼ(TS)、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)、およびチミジンとプリンヌクレオチドの合成に関連する葉酸依存酵素であるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を阻害する。メトトレキサートと同様に、ペメトレキセドはRFCおよび膜葉酸結合タンパク質によって細胞中に輸送され、そこでホリルポリ-γ-グルタミン酸シンセターゼによってポリグルタミン酸化される。ポリグルタミン酸化型のペメトレキセドは、ペメトレキセドモノグルタミン酸と比べて高い細胞内維持を有しTSおよびGARFTに対して高い親和性を有する。ペメトレキセドは中皮腫および非小細胞肺癌(NSCLC)の治療について承認されている。骨髄抑制は一般的にペメトレキセド療法による用量制限毒性であり、この薬剤の臨床適用を制限している。葉酸およびビタミンBによる前処置が、骨髄抑制、疲労、および皮膚発疹を含む最も頻繁な副作用を改善するために現在使用されている。
【0008】
癌治療の課題の一つは、細胞毒性剤を、正常な健常細胞に対するこのような薬剤の影響を最小化しおよび/または低下しながら癌細胞に送達することである。正常細胞における抗葉酸剤の毒性に取り組むため、WO2016/25882は、例えば、多くの癌細胞によって発現される葉酸受容体に特異的な親和性を有する抗体を用いて癌細胞に標的化される抗葉酸剤のリポソーム製剤を報告する。この製剤は健常細胞に対する抗葉酸剤の影響を低下するおよび/または最小限にすることができ、患者がより少ない副作用を受ける可能性があることを意味する。
【0009】
抗葉酸剤を用いる癌および他の高増殖性障害の治療における進歩にも関わらず、効能を改善し抗葉酸剤療法と関連する用量制限毒性を低下するための追加の組成物および方法が必要とされている。本開示はこれらの必要性に取り組む組成物および方法を提供する。
【発明の概要】
【0010】
本開示は全般的に、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤が充填されたリポソームなどの送達ビヒクルを含む、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物、ならびに癌などの高増殖性疾患、関節リウマチなどの免疫系の障害、およびHIVなどの感染性疾患を含む疾患を治療するために組成物を製造および使用する方法に関する。本開示はさらに、ペンタグルタミン酸化およびヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤が充填されたリポソームなどの送達ビヒクルを含む、ペンタグルタミン酸化およびヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤組成物、ならびに高増殖性疾患、免疫系障害および感染性疾患を含む疾患を治療するために組成物を製造および使用する方法に関する。
【0011】
例示として限定されないが、本開示はポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化およびヘキサグルタミン酸化)型の抗葉酸剤であるMTX、PMX、LTX、AG2034、RTX、ピリトレキシム、プララトレキサート、AG2034、GW1843、アミノプレリン、およびLY309887を含むリポソーム組成物を説明する。これらの組成物は、投与されるそのモノグルタミン酸化状態における抗葉酸剤の細胞毒性と比べて、より高い細胞毒性有効負荷(例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤)の優先的な送達をもたらすことによって、癌細胞に抗葉酸剤を送達する効能および安全性に対する改善をもたらす。本開示はまた、目的の標的細胞の表面に発現されるエピトープ(抗原)に対して特異的な親和性を有する標的化部分を含む標的化リポソーム組成物も提供する。標的化リポソーム組成物は、ポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を標的細胞に特異的に送達することによって、癌細胞に抗葉酸剤を送達する効能および安全性にさらなる改善をもたらす。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示はポリグルタミン酸化抗葉酸剤(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)を含む組成物を提供する。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態により、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1種類以上のメンバーである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化メンバーはペンタグルタミン酸化される。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化メンバーはヘキサグルタミン酸化される。
【0013】
一つの実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、またはLTXを含む。
【0014】
一つの実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。
【0015】
別の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。
【0016】
別の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0017】
追加の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0018】
追加の実施形態では、本開示はポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含むリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)組成物を提供する。例えば、ポリグルタミン酸抗葉酸剤はリポソーム内のHEPES緩衝化溶液中であり得る。さらなる実施形態では、LPA組成物はペグ化される(PLPA)。いくつかの実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAリポソームはアニオン性または中性である。他の実施形態では、PLPAリポソームはカチオン性である。いくつかの実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸抗葉酸剤が捕捉された少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも30%のリポソームを含む。いくつかの実施形態では、PLPAリポソームは20~200nm、30~175nm、または50~150nmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、PLPAリポソームは30~175nmまたは50~150nmの範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、PLPAリポソームは80~120nmの範囲の直径を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、PLPA組成物は、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化される。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化される。一つの実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、またはLTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、またはLTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、またはLTXを含む。一つの実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。
【0020】
別の実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。
【0021】
別の実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0022】
追加の実施形態では、PLPA組成物はポリグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示はリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を提供し、ここでリポソームはペグ化されかつポリグルタミン酸化抗葉酸剤ならびにPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合される標的化部分を含み、ここで標的化部分は目的の標的細胞上の表面抗原に対する特異的な親和性を有する。いくつかの実施形態では、標的化部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、標的化部分は抗体または抗体のフラグメントである。追加の実施形態では、標的化部分は抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一領域抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多価抗体の1種類以上を含む。追加の実施形態では、標的化部分は腫瘍細胞上に存在するが非腫瘍細胞では存在しないまたは到達できない腫瘍細胞表面抗原上のエピトープに対する特異的な親和性を有する。いくつかの実施形態では、標的化部分-PLPAはPEGおよびリポソームの外側の少なくとも1つに配置される免疫刺激剤、検出可能なマーカーおよびマレイミドの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、標的化部分-PLPAリポソームはアニオン性または中性である。他の実施形態では、標的化部分-PLPAリポソームはカチオン性である。いくつかの実施形態では、標的化部分-PLPA組成物は少なくとも10%のリポソーム捕捉されるポリヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。追加の実施形態では、標的化部分-PLPAリポソームは20~200nmの範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、リポソームは80~120nmの範囲の直径を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、標的化部分-PLPAは抗体または抗体フラグメントなどのポリペプチド標的化部分を含み、標的化部分はビアコア分析を用いて測定されるとき、0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で標的抗原を結合する。さらなる実施形態では、標的化部分は葉酸受容体を特異的に結合するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分によって結合される葉酸受容体は、葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)、および葉酸受容体δ(FR-δ)からなる群から選択される1種類以上の葉酸受容体である。
【0025】
本開示はまた、高増殖性細胞をPLPAおよび/またはLPA組成物と接触させることを含む高増殖性細胞を死滅させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、高増殖性細胞は癌細胞である。いくつかの実施形態では、本方法はインビボで実施される。いくつかの実施形態では、本方法はインビトロで実施される。さらなる実施形態では、癌細胞は肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、および血液悪性腫瘍からなる群から選択される癌から得られる、または由来する一次細胞または細胞株由来細胞である。
【0026】
追加の実施形態では、本開示は、癌を有するまたは有するリスクのある被験体にリポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤(LPA)組成物および/またはペグ化LPA(PLPA)組成物の効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、および血液悪性腫瘍からなる群から選択される癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1種類以上のメンバーである。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はポリグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。一つの実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMXを含む。一つの実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMXを含む。別の実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のMTXを含む。別の実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のMTXを含む。別の実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のRTXを含む。別の実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のRTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のLTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のLTXを含む。
【0027】
追加の実施形態では、本開示は、癌を有するまたは有するリスクのある被験体に、任意にペグ化されたリポソームの効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、および血液悪性腫瘍からなる群から選択される癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1種類以上のメンバーである。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はポリグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のMTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のMTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のRTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のRTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のLTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のLTXを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌を有するまたは有するリスクのある被験体にLPA組成物および/またはペグ化LPA(PLPA)組成物の効果的な量を投与することを含む癌を治療する方法を提供し、ここでPLPAおよび/またはLPA組成物は癌の表面抗原(エピトープ)に対し特異的な親和性を有する標的化部分をさらに含む。さらなる実施形態では、本開示は、標的化部分によって結合される葉酸受容体を表面に発現する癌を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸抗葉酸剤および葉酸受容体に対し特異的な結合親和性を有する標的化部分を含むリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を投与することを含む癌を治療するための方法を提供する。さらなる実施形態では、標的化部分は葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)、および/または葉酸受容体δ(FR-δ)に対し特異的な結合親和性を有する。
【0029】
さらなる実施形態では、本方法は肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、および血液悪性腫瘍からなる群から選択される癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1種類以上のメンバーである。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はポリグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のMTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のMTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のRTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のRTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のLTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のLTXを含む。
【0030】
追加の実施形態では、本開示は、癌療法を実施しているまたは実施したことのある被験体にLPA組成物および/またはPLPA組成物の効果的な量を投与することを含む癌維持療法のための方法を提供する。
【0031】
追加の実施形態では、本開示は、免疫系障害を有するまたは有するリスクのある被験体に、目的の免疫細胞上の表面抗原に対し特異的親和性を有する標的化部分を含むリポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む、リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤組成物の効果的な量を投与することを含む免疫系の障害を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は自己免疫疾患を治療するために投与される。さらなる実施形態では、本方法は関節リウマチを治療するために投与される。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1種類以上のメンバーである。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はポリグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のMTXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のPMXを含む。さらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のPMXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のRTXを含む。別のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のRTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はペンタグルタミン酸化型のLTXを含む。追加のさらなる実施形態では、投与される組成物はヘキサグルタミン酸化型のLTXを含む。
【0032】
本開示はまた、ポリグルタミン酸抗葉酸剤を腫瘍に送達する方法を提供し、腫瘍を有する被験体に腫瘍上の表面抗原に対し特異的な結合親和性を有する標的化部分を含むリポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化および/またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤(LPA)組成物および/またはペグ化LPA(PLPA)を投与することを含み、ここで標的化PLPAおよび/または標的化LPA組成物は治療上効果的な用量で腫瘍に送達される。
【0033】
追加の実施形態では、本開示はリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を含む組成物を調製する方法を提供し、本方法はリポソーム成分、溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む混合物を形成すること、混合物をホモジナイズして溶液中にリポソームを形成させること、および混合物を処理してポリグルタミン酸抗葉酸剤を含むリポソームを形成させることを含む。
【0034】
リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化および/またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤(LPA)組成物および/またはペグ化LPA(PLPA)組成物を含み、任意に目的の標的細胞の表面上の表面抗原に対し特異的な親和性を有する標的化部分をさらに含む、医薬組成物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】葉酸のホメオスタシスおよび抗葉酸剤の細胞蓄積を示す図である。流入および流出(抗)葉酸トランスポーター。細胞内に入ると、(抗)葉酸はサイトゾルおよびミトコンドリアでポリグルタミン酸化され、一方、リポソームでは対抗する過程の加水分解が生じる。図1はGonenら,Drug Resistance Updates(最新薬剤耐性)15:183-210(2012)を出典とする。
図2】サイトゾルおよびミトコンドリアにおける細胞葉酸代謝およびその区画化を示す図である。図2はGonenら,Drug Resistance Updates(最新薬剤耐性)15:183-210(2012)を出典とする。
図3A-B】進行した上皮性腫瘍の特徴である細胞極性の破壊および組織の無秩序を示す図である。図3Aに示されるように、正常な単純な上皮は明らかな頂端-基底極性を示す個別細胞の単層を含む。細胞はしっかり詰まり、頂端と基底膜領域を分ける頂端結合複合体によって互いに結合される。極性が保存される正常細胞では、FR-αは、血液循環における葉酸と離れて位置しかつ、直接的に接触しない細胞の頂端表面で結合される。図3Bに示されるように、高悪性度上皮性腫瘍は頂端-基底極性の喪失および全体的な組織の無秩序を示し、FR-αを血液循環中の葉酸と直接的に接触させる。
図4】癌における抗葉酸剤耐性の根底にある分子機構を示す図である。図4はGonenら,Drug Resistance Updates(最新薬剤耐性)15:183-210(2012)を出典とする。
図5】L-αヘキサグルタミン酸化ペメトレキセドの化学式を示す図である。
図6】本開示によって包含される例であるL-γポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物の化学式を示す図である。
図7】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)の用量応答関係を、腺癌亜型であるNCI H2342非小細胞肺癌(NSCLC)において示す図である。結果はルシフェラーゼ発光によって測定される細胞生存率である。図7にまとめて示されるように、遊離ペメトレキセドgG6はIC50によって測定される阻害された細胞生存率で最も低い能力であると考えられる。リポソームペメトレキセドgG6およびリポソームペメトレキセドgG6-FR1Abはともに遊離ペメトレキセドよりそれぞれ7倍および40倍能力が高い。
図8】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)の、腺癌亜型NCI H2342非小細胞肺癌(NSCLC)における用量応答関係を、処理48時間後の生存細胞のパーセントとして示す図である。
図9】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)の、腺癌亜型NCI H2342非小細胞肺癌(NSCLC)における用量応答関係の例を、処理48時間後の生存細胞のパーセントとして示す図である。
図10】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)のHT-29(結腸癌)における48時間での用量応答関係を示す図である。遊離ペメトレキセドgG6は最も低い能力であると考えられる。さらに、リポソームペメトレキセドgG6はペメトレキセドの2倍の能力であり、リポソームペメトレキセドgG6-FR1Abは遊離ペメトレキセドよりも5倍高い能力である。
図11】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)のHT-29(結腸癌)における48時間での用量応答関係の例を示す図である。
図12】ペメトレキセド、遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(hexa gG6)、リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームhexa gG6)、および遊離ペメトレキセドの、256nMの相当薬剤による48時間暴露後の卵巣癌OAW28細胞の増殖に対する効果を示す図である。リポソームペメトレキセドhexa gG6はペメトレキセドhexa gG6よりも効率的に細胞に侵入して卵巣癌OAW28細胞の増殖を阻害できる。
図13】遊離ペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(hexa gG6)およびリポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームhexa gG6)の、256nMの相当薬剤による48時間暴露後の結腸癌SW260細胞の増殖に対する効果を示す図である。非標的化および標的化リポソームペメトレキセドhexa gG6は遊離ペメトレキセドhexa gG6よりも効率的に細胞に侵入して結腸癌SW260細胞の増殖を阻害できる。
図14】癌細胞株SW620(CRC)、HT-29(結腸癌)、H1806(トリプルネガティブ乳癌)、OAW28(卵巣癌)、H292(NSCLC、腺癌亜型)、およびH2342(NSCLC、腺癌亜型)への48時間にわたる暴露後のペメトレキセドと比較したリポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)の相対的能力を示す図である。
図15】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(Lps hexa gG6)の48時間にわたる暴露後のHCC1806トリプルネガティブ乳癌細胞に対する治療効果をペメトレキセドと比較して示す図である。
図16】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(Lps hexa gG6)の48時間にわたる暴露後のH292非小細胞肺癌細胞に対する治療効果をペメトレキセドと比較して示す図である。
図17】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(Lps hexa gG6)の48時間にわたる暴露後のOAW28卵巣癌細胞に対する治療効果をペメトレキセドと比較して示す図である。
図18】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの16~128nMの範囲の異なる用量による48時間にわたる暴露後のH292非小細胞肺癌細胞に対する治療効果を示す図である。試験した用量範囲のそれぞれで、リポソームペメトレキセドgG6製剤はペメトレキセドと比べてH292非小細胞肺癌細胞を阻害することにおいて優れている。
図19】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの16nM、32nM、64nM、および128nMによる48時間にわたる暴露後のHCC1806トリプルネガティブ乳癌細胞に対する治療効果を示す図である。試験した用量のそれぞれで、リポソームペメトレキセドgG6製剤はHCC1806トリプルネガティブ乳癌細胞を阻害することにおいてペメトレキセドよりも優れている。
図20】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの濃度範囲における48時間にわたる暴露後のOAW28卵巣癌細胞に対する治療効果を示す図である。128nMの用量で、ペメトレキセドはリポソームペメトレキセドgG6リポソーム製剤よりも細胞増殖を効率的に阻害すると思われ、一方、32nMおよび64nMの用量でリポソーム製剤はペメトレキセドよりも優れた治療効果を有し、16nMでリポソームペメトレキセドgG6の治療効果はペメトレキセドと同等である。
図21】分化するヒト好中球に対するリポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの16nM、32nM、64nM、および128nMでの毒性を示す図である。図はリポソームペメトレキセドgG6がペメトレキセドよりも分化するヒト好中球に対して有意に低い毒性であることを示す。
図22】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの相当薬剤の16nM、32nM、64nM、および128nMでの48時間にわたる暴露後のAML12肝細胞に対する効果を示す図である。際立ったことに、試験したいずれの用量でもリポソームペメトレキセドgG6およびリポソーム薬剤による処理後のAML12肝細胞に対する毒性があるように思われない。これに反し、ペメトレキセド処理は試験したすべての用量で約40%のAML12肝細胞数の低下をもたらす。
図23】リポソームペメトレキセドL-γヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)およびペメトレキセドの相当薬剤の16nM、32nM、64nM、および128nMでの48時間にわたる暴露後のCCD841結腸上皮細胞に対する効果を示す図である。試験したすべての濃度で、ペメトレキセドはCCD841結腸上皮細胞数の約50%以上の低下をもたらし、これに対しリポソームgG6による処理後の細胞数は約20%以下の低下である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願は、従来の癌治療を超える進歩および癌細胞に抗葉酸剤を送達する方法を説明する。特に、本開示は過去に認識されていない抗葉酸剤系に関する。
【0037】
より具体的には、本出願は、限定されないが、ペメトレキセドポリグルタミン酸およびロメトレキソールポリグルタミン酸などの封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を説明する。非限定的な例では、封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤(例えば、ペメトレキセドポリグルタミン酸)は、1種類以上の葉酸受容体α、β、およびδに対して特異的な親和性を有する標的化部分を用いて標的化される。別の非限定的な例では、封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤は標的化されない。
【0038】
葉酸は水溶性ビタミンBである。身体/細胞における葉酸の主な役割は、細胞分裂に関与する重大な過程であるセリン、メチオニン、チミジンおよびプリン生合成に関与する様々なメチルトランスフェラーゼに対するコファクターとしてである。葉酸の主機能は、ヌクレオチド生合成、ホモシステイン(Hcy)の再メチル化、および生物学的メチル化反応に関与する一炭素単位の移行を仲介することである。ヌクレオチドの新たな生合成に必須のコファクターとして、葉酸はDNA合成、安定性および統合、ならびに修復において重要な役割を演じる。葉酸はまた、DNAのメチル化(遺伝子発現を調節する)、タンパク質のメチル化(重要な翻訳後修飾)、および脂質のメチル化(それらの合成、例えばホスファチジルコリンにおいて重要)のための主なメチル基供与体を提供する。より詳しく後述されるように、このため、抗葉酸剤は葉酸の作用をブロックする目的で癌の治療として開発され、これによって細胞分裂、DNA/RNA合成および修復ならびにタンパク質合成を阻害する。
【0039】
自然において、葉酸は動物生成物および葉物野菜中でポリグルタミン酸化型で生じる。ポリグルタミン酸は生理学的輸送に適していない。天然ポリグルタミン酸は空腸で主にモノグルタミン酸に分解されてから生理学的に輸送され細胞によって取り込まれる。ポリグルタミン酸型での食物葉酸は次いで、空腸でモノグルタミン酸に切断されて、そこで吸収される。腸細胞によって吸収されると、葉酸はポリグルタミン酸化され細胞内に保持されるかあるいは代謝、保存、または腸肝再循環のための種々の区画用に門脈循環中に放出されるかのいずれかである。葉酸は血漿に入り、肝細胞および他の細胞に入ることによって迅速に除去される。
【0040】
肝臓は門脈循環に入る葉酸の大部分を取り込み、一方で残存する葉酸は肝臓を通過し、門脈循環に入り、他の組織によって取り込まれ、そこで細胞内保存のためにそのポリグルタミン酸型に変換される。肝臓は葉酸の主な貯蔵場所である。外科的胆管ドレナージは6時間以内に血清葉酸の低下をもたらし得、一方で食事制限は3週の間匹敵する低下を生じず、これはおそらく葉酸の全体内保存が500~20,000mcgと推定されるためである。この観察は、葉酸の多量な腸肝循環があることを示す。
【0041】
モノグルタミン酸は血液中の葉酸の唯一の循環型であり、細胞膜を横断して輸送される唯一の葉酸型である。腸細胞によって吸収されると、葉酸はポリグルタミン酸化され細胞内に保持されるかあるいは代謝、保存、または腸肝再循環のための種々の区画用に門脈循環中に放出されるかのいずれかである。モノグルタミン酸が細胞に取り込まれると、細胞内葉酸は、細胞分裂に関与する重大な過程であるセリン、メチオニン、チミジンおよびプリン生合成に関与する様々なメチルトランスフェラーゼに対するコファクターとして生物学的に作用する型であるポリグルタミン酸として主に存在する。
【0042】
ポリグルタミン酸化は、そのエネルギー源としてATPを用いる酵素ホリルポリグルタミン酸シンセターゼ(FPGS)による近傍ホリルグルタミン酸の末端カルボキシル基へのγ結合におけるグルタミン酸基の付加を含む。
【0043】
ポリグルタミン酸化は分子(抗葉酸剤など)へのグルタミン酸残基の付加を指し、それによってポリグルタミン酸化後に得られる分子は1つを超えるグルタミン酸残基を有する。文献では、グルタミン酸残基を指すグルタミン酸、グルタミル基、グルタミルラジカルなどの複数の名称が使用されている。グルタミン酸残基(グルタミル基)のそれぞれは独立してL型またはD型であり得る。
【0044】
例えば、その化学名が「N-[4-2-(2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル]ベンゾイル]-l-グルタミン酸であるペメトレキセドは、既に1つのグルタミル基を有する(モノグルタミン酸化)。本明細書で説明されるペメトレキセドへのグルタミン酸残基の付加は、ポリグルタミン酸化ペメトレキセドをもたらす。例えば、ペメトレキセドへの5つを超えるグルタミン酸残基の付加は、全部で6つのグルタミン酸基(ペメトレキセドからの1つおよび付加された5つの追加グルタミル基)をもたらし、本明細書ではペメトレキセドヘキサグルタミン酸またはヘキサグルタミン酸化ペメトレキセドと呼ばれる。文献ではこの物質は、ペメトレキセドペンタグルタミン酸またはペンタグルタミン酸化ペメトレキセドとも呼ばれている。
【0045】
γポリグルタミン酸化は前述のように分子へのグルタミン酸残基の付加を指し、ここでペプチド結合はグルタミン酸のアミノ基とグルタミン酸側鎖のγ炭素のカルボキシル基の間にある。αポリグルタミン酸化は前述のように分子へのグルタミン酸残基の付加を指し、ここでペプチド結合はグルタミン酸のアミノ基とグルタミン酸側鎖のα炭素のカルボキシル基の間にある。
【0046】
単一分子はγポリグルタミン酸化のみ、αポリグルタミン酸化のみ、またはγポリグルタミン酸化とαポリグルタミン酸化の組み合わせによって形成され得る。
【0047】
抗葉酸剤は「葉酸模倣分子」細胞毒性剤として70年以上前に開発された。理論的根拠は、生理学的な葉酸輸送機構および細胞分裂の際のDNA複製に対するそれらの促進的な細胞内作用機序を利用して、癌細胞などの迅速な複製細胞において葉酸の作用に対抗する分子系統を設計することであった。具体的には、抗葉酸剤は、葉酸をその全身輸送、生理学的細胞取り込み(例えば、還元葉酸キャリア(RFC)およびプロトン結合葉酸トランスポーター(PCFT)を介する)および細胞内プロセシングにおいて模倣するように設計された。抗葉酸剤は具体的にはDNAおよびRNA合成の際に作用し、細胞周期のS期の間に細胞毒性効果を及ぼす。結果として、それらは悪性細胞および骨髄細胞などの迅速に分裂する細胞に高い毒性効果を有する。
【0048】
概して、人体には葉酸および抗葉酸剤の4種のトランスポーター:還元葉酸キャリア(RFC)、葉酸受容体(FR)、プロトン結合葉酸トランスポーター(PCFT)、およびATP結合カセットトランスポーターがある。前述されるように、これらの輸送機構のいずれも細胞膜を横断して遊離ポリグルタミン酸を輸送するためには効果的でない。
【0049】
RFCは、還元葉酸およびMTXまたはPMXなどの親水性抗葉酸剤に対する高い親和性ならびにMTXよりもPMXに対する2倍高い親和性を有する飽和性アニオン依存細胞膜キャリアである。それらは溶質キャリアのスーパーファミリーのメンバーであり、高い経膜アニオン勾配、特に細胞中への困難な葉酸輸送を達成するために細胞のエネルギー状態によって調節される有機リン酸勾配を利用する。
【0050】
RFCによる細胞毒性抗葉酸剤の輸送は腫瘍特異的ではない。RFCは正常組織で広範に発現され、かつほとんどの正常組織の特性である中性pHで高い活性を示すため、RFCを介して輸送される抗葉酸剤は限定的な型の正常組織に毒性を生じることが示されている。
【0051】
葉酸受容体α、β、およびδ(FR-α、FR-β、およびFR-δ)は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー領域によって細胞膜に固定される高親和性葉酸結合タンパク質である。FRはFAに対し特に高い親和性を有する。それらは葉酸を、エンドサイトーシス機構を介して細胞中に輸送する。細胞質において、小胞が6.0~6.5のpHに酸性化すると、葉酸は受容体から放出され、PCFTによって部分的に仲介されることが提唱されている機構によってエンドソームから輸出される。FR-αはRFCよりもその好ましい基質に対して高い親和性を有するが、細胞中へのその葉酸輸送は結合、陥入、小胞形成および転位、酸性化、ならびに小胞から細胞質中への基質の輸出などの一連のステップを必要とする。細胞中への輸送のために必要とされるこれらの複数のステップのため、FR仲介葉酸輸送の割合はRFCによって仲介される割合の1%である。
【0052】
プロトン結合葉酸トランスポーター(PCFT)は、特に低酸素環境の特性である、酸性の細胞外環境において最も効率的に機能する葉酸-H+共輸送体である。RFCとPCFTの間の重大な違いは、輸送基質に対するこれらの親和性に影響する最適pHである。pH7.4では、RFC活性が最適でありPCFTの活性は最小化されるので、抗葉酸剤の輸送は主にRFCによって仲介される。あるいは、PCFT活性はpHが低下されるとより顕著である。固形腫瘍などの酸性細胞外環境がある組織中への腸内葉酸の吸収および取り込み、または効率は低いが、中性pH環境における組織中への輸送を仲介することに加え、PCFTは葉酸受容体仲介エンドサイトーシスにおいて役割を演じ得る。
【0053】
ATP結合カセットトランスポーターのいくつかは、葉酸および抗葉酸剤の低い親和性で高い能力のATP依存性流出ポンプである。これらは多剤耐性関連タンパク質であるMRP1~MRP5および乳癌耐性タンパク質であるBCRPを含む。これらの薬剤耐性排出ポンプはすべて、細胞から抗葉酸剤をポンピングすることに関与するだけでなく、他系統の薬剤を細胞から排出することが示されている。
【0054】
細胞内葉酸はFPGSによってポリグルタミン酸に変換され、一方、GGHは末端グルタミン酸を取り除き、これによってしばしば葉酸流出ポンプともいわれるATP結合カセットトランスポーターによる、細胞から出て細胞外循環に戻る葉酸の輸出を促進する。理論によって拘束されることは望まないが、ポリグルタミン酸化葉酸は、それらがATP結合カセットトランスポーターの不十分な基質であるため細胞に良く保持されると考えられる。さらに、理論によって拘束されることは望まないが、ポリグルタミン酸化葉酸はモノグルタミン酸と比べて細胞内葉酸依存酵素にとって優れた基質であると考えられる。
【0055】
葉酸の場合のように、MTX、PMXおよびRTXなどの抗葉酸剤はFPGS誘導ポリグルタミン酸化によって腫瘍および正常細胞に保持されると考えられ、GGHによるモノグルタミン酸への加水分解後に細胞から輸出される。生理学的葉酸でのように、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は細胞に長く保持され、これによって暴露の期間を延長することによりそれらの細胞毒性を増加する。ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は一般的にモノグルタミン酸型よりも大きな程度にチミジル酸およびプリン生合成におけるそれらの標的葉酸依存酵素に対し高い親和性を有し、結果としてこれらを阻害する。このため、FPGSおよびGGHは、最適な葉酸依存性一炭素移送反応および抗葉酸剤誘導性細胞毒性効果のための、葉酸および抗葉酸剤の細胞内ホメオスタシスの維持にとって重要な酵素であると考えられる。
【0056】
細胞内に入ると、葉酸および抗葉酸剤(例えば、限定されないが、ペメトレキセドおよびプララトレキサートなど)はFPGSによってポリグルタミン酸にポリグルタミン酸化される。この過程は生物学的活性にとって必要である。例えば、ポリグルタミン酸化は保持を促進し(細胞内濃度を高める)、葉酸依存性酵素(チミジル酸シンターゼを含む)に対する親和性を増加する。ポリグルタミン酸を生成する細胞の能力はまた抗葉酸剤の細胞毒性作用を高め、これによって抗葉酸剤を非常に効果的な細胞毒性剤にする。
【0057】
本出願者はポリグルタミン酸化型の抗葉酸剤の細胞毒性効果を研究することに着手して、癌性細胞を治療する上でのこれらの有効性を評価した。ポリグルタミン酸化型の抗葉酸剤は正常細胞または癌細胞のいずれによっても取り込まれないため(詳細は後述される)、本出願者はこのようなポリグルタミン酸化型が癌細胞に直接的に送達されると、癌細胞における過剰な抗葉酸剤の排出の結果として生じ得る正常細胞への望ましくない毒性の低下によって、抗葉酸剤の毒性が改善され得ると仮定した。
【0058】
特に、癌細胞に存在する抗葉酸剤の過剰量は、葉酸および抗葉酸剤の高い能力のATP依存排出ポンプを介して循環系に戻され得る。このことは、その全内容が本明細書にその全体について参考によって援用されるWO2016/25882で報告される標的化リポソーム方法を用いて抗葉酸剤が送達されるときでさえ当てはまる。言い換えると、WO2016/25882の技術はほとんど正常細胞を回避しながら癌細胞に抗葉酸剤を送達できるが、送達された過剰な抗葉酸剤の流出は循環系に戻り正常細胞に取り込まれ得、望ましくない毒性をもたらす。これらの毒性は、患者の循環系における遊離抗葉酸剤の従来の投与と関連する毒性と比べて顕著に低下されるが、それでもそれらは望ましくない。本明細書で説明される抗葉酸剤および送達システムは、WO2016/25882によって達成される正常細胞への顕著に低下されたが毒性の効果をさらに低下し、正常細胞に対する毒性のさらに大きな低下をもたらすことができる。
【0059】
本発明者らは、癌治療のためにポリグルタミン酸化抗葉酸剤を用いる潜在的な利点を理解した。例えば、ポリグルタミン酸、特にペンタグルタミン酸は、細胞にその葉酸プールをより効率的に保持させることができる。しかし、それらの高い負電荷および他の特性のため、ペンタグルタミン酸は現在、既知の細胞膜横断輸送基質を有さない。
【0060】
本開示は、過去には癌細胞によって取り込まれ得なかった抗葉酸剤の種々の系統(例えば、ポリグルタミン酸)を癌細胞に送達する進歩し改善された技術を説明する。細胞膜横断輸送の欠如のため、癌細胞に送達されたポリグルタミン酸は癌細胞内に効果的に保持される。これは、例えば、モノグルタミン酸化抗葉酸剤などの非ポリグルタミン酸化抗葉酸剤と関連する毒性を低下および/または消失させる。なぜならポリグルタミン酸は循環系に戻されないためである。実際に、それらがたとえ戻されたとしても、それらは健康な細胞によって取り込まれないであろう。
【0061】
ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物およびそれらの使用によってもたらされる治療効果はおびただしく、かつ驚くべきものである。
【0062】
最初に、多くの細胞毒性剤、特に抗葉酸剤の活性型は、ポリグルタミン酸化型であり、従って、従来は送達不能なポリグルタミン酸化型の抗葉酸剤の送達は、薬剤が直ちに活性であることを意味する。さらに、いくつかの固形腫瘍はFPGS活性およびポリグルタミン酸化量が低いまたは欠くことが知られている。このことは、FPGS活性が低い腫瘍が非ポリグルタミン酸化薬剤を介する化学療法により耐性であることを意味し、これは薬剤が細胞に取り込まれた後、活性化のために低い内因性FPGS活性に依然として依存するためである。
【0063】
第二に、それらの非ポリグルタミン酸化状態での薬剤の保持も問題を含んでいる。腫瘍、特に低い内因性FPGS活性を有する腫瘍を治療する上で問題の一部は少なくとも2つある。前パラグラフにおいて、低いレベルのFPGSによる薬剤の低活性化に関する問題を考察している。この欠点に加えて、非ポリグルタミン酸化ペメトレキセドなどの非ポリグルタミン酸化薬剤は、それらが細胞から外に積極的に輸送され得るため、細胞における保持が限定されている。非ポリグルタミン酸化薬剤(例えば、非ポリグルタミン酸化ペメトレキセド)の輸送はそれ自体で2重の問題である。まず、非ポリグルタミン酸化薬剤が細胞から外へ輸送される場合、それはもはや治療のために癌細胞内で作用できない。また、細胞の外側に位置する抗葉酸剤などの細胞毒性剤は、正常細胞を含む他の細胞に再度入ることができ、正常細胞に望ましくない毒性を生じる。細胞への侵入時に、特定の細胞プロセスが機能して、本明細書で示されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤をモノグルタミン酸に還元し得る。しかし、最近の試験は、提供されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤の毒性および活性がこのような還元が生じる前に細胞を死滅させることを示唆する。
【0064】
第三に、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は細胞内に保持され細胞外に輸送されないため、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤の投与(例えば、静脈内投与)は、限定された期間のみで実施され得、従って正常組織への望ましくない毒性の可能性をさらに低下する。短縮された投与期間はまた、臨床現場における投与期間を相対的に低下できるため、患者の快適度を改善して費用を低下する。例えば腫瘍細胞内でのポリグルタミン酸化薬剤の保持は、薬剤が細胞外環境から取り除かれた後でさえ(例えば、静脈投与を停止する)、腫瘍細胞が治療から回復する可能性が低いことを意味する。
【0065】
第四に、標的化および非標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤などの開示されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤の活性は、腫瘍がFPGS欠損である場合でさえ腫瘍中で低下しない。これは、薬剤を活性化するのにFPGSに頼らないためである。
【0066】
前述のすべての理由のため、リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、同じ方法で送達される非ポリグルタミン酸化抗葉酸剤よりも高い治療指数を有する。すなわち、本発明者らは本薬剤が最小化/低下された毒性を有し、患者が低い副作用を有する薬剤の高投与量に耐えられることを予測する。前述の効果はポリグルタミン酸化されない投与薬剤には存在しない。
【0067】
本開示の組成物および方法によって包含されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤の非網羅的リストは、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、ペンタグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ペンタグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ペンタグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。
【0069】
いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物(例えば、ポリグルタミン酸およびポリグルタミン酸を含むリポソームなどの送達ビヒクル)成分は「分離され」る。本明細書で使用されるとき、分離されるという用語は、天然では認められない形態である組成物を指す。分離されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は、それらがもはや天然に認められる形態ではない程度まで精製されたものを含む。いくつかの実施形態では、分離されているポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物成分はほとんど純粋である。分離された組成物は、これらが天然でまたはこれらが調製される環境(例えば、細胞培養)で認められる可能性があり得るタンパク質および核酸などの他の細胞内組成物など、それらが天然に関連する物質を含まないまたはほとんど含まない。ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は希釈剤またはアジュバントとともに製剤化され得、さらに実際的な目的のために分離され得、例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は診断または治療で使用されるとき、医薬品として許容可能な担体または希釈剤と通常混合される。いくつかの実施形態では、分離されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物(例えば、ポリグルタミン酸およびポリグルタミン酸を含むリポソームなどの送達ビヒクル)は1%未満または0.1%未満のDNAまたはタンパク質を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソーム組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤がペンタグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、提供される組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤がペンタグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤がペンタグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、提供される組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤がヘキサグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤がヘキサグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤が5~10または≧4つのグルタミル基を有する。いくつかの実施形態では、リポソーム組成物中の70%、80%、または90%を超えるポリグルタミン酸化抗葉酸剤が5~10または≧4つのグルタミル基を有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、α(L-αまたはD-α)またはD-γポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物(例えば、ポリグルタミン酸およびポリグルタミン酸を含むリポソームなどの送達ビヒクル)は水性溶液中である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は100ng/mL~700mg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は100ng/mL、250ng/mL、500ng/mL、750ng/mL、1ug/mL、100ug/mL、250ug/mL、500ug/mL、750ug/mL、1mg/mL、100mg/mL、250mg/mL、または500mg/mLを超える濃度である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソームの濃度は100ng/mL~1mg/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、100ng/mL、250ng/mL、500ng/mL、750ng/mL、1ug/mL、100ug/mL、250ug/mL、500ug/mL、750ug/mL、または1mg/mLを超える濃度である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ヘキサグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ヘキサグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。
【0073】
ペメトレキセドは、例えば、葉酸代謝ならびにプリンおよびピリミジン合成に関わる少なくとも3種の酵素を阻害する多重標的化抗葉酸剤である。これらの酵素はチミジル酸シンターゼ(TS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)である(図2を参照)。ペメトレキセドはFDAによって承認されており、現在依然として中皮腫および非小細胞肺癌のための重要な治療である。
【0074】
中皮腫および非小細胞肺癌の治療において、ペメトレキセドは悪性中皮腫の治療のため、および非小細胞肺癌を有する患者の初期治療および維持治療のため、シスプラチンとの併用で承認されている。ペメトレキセドは非小細胞肺癌の二次療法において、ドセタキセルと同等の効能を示したが、著しく低い毒性を有する。ペメトレキセドの最も一般的で重大な毒性-骨髄抑制および粘膜炎-は、葉酸およびビタミンB12補充によって著しく改善されているが、依然として望ましくない毒性がある。いくつかの特定の実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)である。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXである。
【0075】
これらの毒性は本明細素で説明されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤を用いて低下され、最小化されおよび/または消失され得る。本明細素で説明されるいくつかの特定の実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)である。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXである。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ラルチトリキセド(RTX)である。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXである。
【0077】
ロメトレキソールはそのグリシンアミドリボヌクレオチドトランスフェラーゼ(GARFT)活性の直接的抑制によってプリン合成を阻害する最初の有力な抗葉酸剤であった。特定の実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)である。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXである。
【0078】
本明細書で考察されるように、臨床現場におけるペメトレキセドなどの抗葉酸剤の使用は、重大な臨床的ジレンマをもたらした。骨髄、GI管および口腔粘膜細胞などの迅速に再生する正常組織細胞は、それらもまたそれらのDNAをより頻繁に複製するため、この薬剤系の細胞毒性効果に感受性であることが示されている。結果として、臨床現場では、抗葉酸剤の使用はしばしば重篤で生命を脅かす血液学的および非血液学的毒性の副作用をもたらしている。さらに、毒性は一方で用量制限的であり、他方で優れた効能を達成する能力を妨害すると考えられた。それらの関連する重篤な生命を脅かす毒性のため、有望な抗葉酸剤は、開発中に失敗した例えばロメトレキソール、または臨床現場における使用が制限された例えばラルチトレキセド(TOMUDEX(登録商標))およびペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、のいずれかである。
【0079】
本明細書で説明される要素はまた、一般的に抗葉酸剤に対する耐性機構のコアにおいてであり、その抗腫瘍活性がメトトレキサート、ペメトレキセド、ロメトレキソール、およびラルチトレキセドなどのポリグルタミン酸化によって増強されるものである。
【0080】
開示されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、抗葉酸剤の用量制限的な毒性と関連する薬理学的課題を克服するための戦略をもたらす。提供される方法は、抗葉酸剤有効負荷の従来は送達できない(輸送機構の欠如のため)ポリグルタミン酸型を腫瘍細胞に送達し、一方で(1)正常組織細胞への暴露を最小限にする/低下する、(2)癌細胞に対する抗葉酸剤の細胞毒性効果を最適化する/改善する、および(3)排出ポンプの影響を最小限にする/低下する。
【0081】
本明細書で提供されるポリグルタミン酸化化学物質は、ポリグルタミン酸化型で細胞に送達されない同等の抗葉酸剤を超えて、多くの効果を達成する。例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、PMX、MTX、RTX、およびLTXなどの抗葉酸剤が増加された活性(葉酸依存酵素に対する増加された結合親和性を介する)および細胞保持を有するのに必要とされるFPGS誘導性ポリグルタミン酸化活性を回避するボーラスとして投与される。本明細書において図、開示、および例に反映されるように、細胞における高度ポリグルタミン酸(例えば、4、5、または5つを超えるグルタミン酸基を含む薬剤)の保持は、それらの鎖長の直接的な機能である。このため、未結合MTX-Glu4のかなりの部分およびMTX-Glu5のほとんどは細胞外薬剤の除去後少なくとも24時間細胞中に残存し、DHFR、DNA合成、および細胞生存能力に対し阻害効果を及ぼし続ける。
【0082】
新規化学物質は、細胞および葉酸経路の分子生物学を綿密に利用することによりポリグルタミン酸化型の抗葉酸剤の腫瘍細胞内濃度を増加するおよび/または最大にするように設計され得る。新規化学物質の特定の標的化型は、癌特異的形態学が癌治療のための抗葉酸剤の使用と関連する臨床的および薬理学的課題を緩和する目標のために有用であると認識されていない、腫瘍と正常細胞の間の異なる細胞極性を利用できる。さらに、新規化学物質は、細胞排出ポンプによって仲介される腫瘍細胞耐性治療を最小化する。
【0083】
例として、限定されないが、標的化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は、捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤;およびアミノ酸鎖(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含む標的化部分を含むペグ化リポソームを含み得、アミノ酸鎖は複数のアミノ酸を含み、標的化部分は葉酸受容体の少なくとも1つの型に対し特異的な親和性を有し、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合される。例示的な実施形態では、リポソーム-封入ポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)はペンタグルタミン酸化型のペメトレキセドまたはペンタグルタミン酸化型の任意の適切な抗葉酸剤であり得る。例示的な実施形態では、リポソーム-封入ポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)はヘキサグルタミン酸化型のペメトレキセドまたはヘキサグルタミン酸化型の任意の適切な抗葉酸剤であり得る。
【0084】
例示として、限定されないが、非標的化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は、捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むペグ化リポソームを含み得る。例示的な実施形態では、リポソーム-封入ポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)は、ペンタグルタミン酸化型のペメトレキセドまたはペンタグルタミン酸化型の任意の適切な抗葉酸剤であり得る。例示的な実施形態では、リポソーム-封入ポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)は、ヘキサグルタミン酸化型のペメトレキセドまたはヘキサグルタミン酸化型の任意の適切な抗葉酸剤であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、任意にペグ化された、標的化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物は、捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤;およびアミノ酸鎖(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含む標的化部分を含むペグ化リポソームを含み、アミノ酸鎖は複数のアミノ酸を含み、標的化部分は葉酸受容体の少なくとも1つの型に対し特異的な親和性を有する。特異的親和性は、例えば、限定されないが、葉酸受容体の少なくとも1つの型に対する0.5×10-10~10×10-6モル[0.05ナノモル~10マイクロモル]の範囲の平衡解離定数(Kd)を含むように定められ得、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合される。
【0086】
いくつかの実施形態では、任意にペグ化された、標的化リポソーム組成物は、捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)、およびアミノ酸鎖(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含む標的化部分を含むペグ化リポソームを含み、アミノ酸鎖は複数のアミノ酸を含み、標的化部分は葉酸受容体の少なくとも1つの型に対し特異的な親和性を有する。いくつかの実施形態では、標的化部分の特異的親和性は、葉酸受容体の少なくとも1つの型に対し0.5×10-10~10×10-6モルの範囲の平衡解離定数(Kd)である。さらなる実施形態では、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合される。
【0087】
増強された活性のためにポリグルタミン酸化を必要とする抗葉酸剤などの遊離細胞毒性剤の使用には少なくとも3つの主な制限がある。本明細書において検討され開示される新規化学物質は、これらの基本的な制限に対処するように設計される。これらの制限は次のものを含む。第一の制限は正常組織細胞に対する毒性であり、この毒性はモノグルタミン酸型の例えばRFCまたはPCFTを介した細胞取り込み、およびそれに続く正常組織細胞における延長した細胞保持を伴う増強された細胞毒性を有するγポリグルタミン酸化型へのFPGSによるその細胞内変換に起因する。第二の制限はほとんどの活性ポリグルタミン酸化型の薬剤の不十分な量の送達であり、それはこのような化合物が細胞膜を横断できないことによる。それよりむしろ、その細胞内利用能は細胞外環境から輸送されるモノグルタミン酸型の薬剤をポリグルタミン酸化する細胞の能力に依存する。第三の制限は抗葉酸剤のペンタグルタミン酸化型およびヘキサグルタミン酸化型などのほとんどの細胞毒性型の適切な量を腫瘍細胞内に保持することである。これは、ポリグルタミン酸化の低下をもたらすようにFPGSを下方調節する、および場合によっては、GGHによるポリグルタミン酸化型の分解ならびに細胞からモノおよび他の低度グルタミン酸化型である(1-、2-、3-)グルタミン酸を排出するが、高度な(例えば、ペンタグルタミン酸化およびヘキサグルタミン酸化)型の葉酸およびそれらのアナログは排出しない能力を有する排出ポンプ(ATPカセット)の上方調節を増加する、癌細胞の能力に起因する。
【0088】
本明細書で検討され開示されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤である新規化学物質は前述の欠点および制限を有さず、これらおよび他の制限に取り組むように設計される。実際、新規化学物質は活性型の薬剤の全身輸送、細胞取り込みおよび腫瘍内蓄積と関連する薬理学的課題を低下する/最小にする。本開示の新規化学物質はペンタグルタミン酸化型およびヘキサグルタミン酸化型の抗葉酸剤への暴露のために腫瘍細胞を優先的に標的にし、および/または正常細胞、特に骨髄および胃腸管の上皮内層における高いターンオーバー(例えば、迅速な複製)の正常細胞へのこのような抗葉酸剤カクテルの暴露を最小限にする。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示はポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む組成物を提供する。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態によりポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化メンバーはペンタグルタミン酸化される。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化メンバーはヘキサグルタミン酸化される。
【0090】
一つの実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。
【0091】
一つの実施形態では、組成物はリグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。
【0092】
別の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。
【0093】
別の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0094】
追加の実施形態では、組成物はポリグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はペンタグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、組成物はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0095】
追加の実施形態では、本開示はポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を提供する。いくつかの実施形態では、リポソームは任意にペグ化される(PLPA)。いくつかの実施形態では、PLPA組成物はペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPA組成物はヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAリポソームはアニオン性または中性である。他の実施形態では、PLPAリポソームはカチオン性である。いくつかの実施形態では、少なくとも10%のリポソーム捕捉されたPLPA組成物はポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAリポソームは20~200nmの範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、リポソームは80~120nmの範囲の直径を有する。
【0096】
いくつかの実施形態により、LPAは、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化される。さらなる実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化される。
【0097】
一つの実施形態では、LPAはポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはペンタグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含む。
【0098】
一つの実施形態では、LPAはポリグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、LPAはペンタグルタミン酸化PMXを含む。さらなる実施形態では、LPAはヘキサグルタミン酸化PMXを含む。
【0099】
別の実施形態では、LPAはポリグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはペンタグルタミン酸化MTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはヘキサグルタミン酸化MTXを含む。
【0100】
別の実施形態では、LPAはポリグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはペンタグルタミン酸化RTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0101】
追加の実施形態では、LPAはポリグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはペンタグルタミン酸化LTXを含む。さらなる実施形態では、LPAはヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0102】
リポソーム
いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤が提供される。いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、内部空間を含むリポソーム;内部空間内に配置されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤;リポソームの外側に結合されるPEG分子;ならびに癌細胞の表面に発現される少なくとも1種類の抗原(例えば、葉酸受容体(例えば、FR-α、FR-β、および/またはFR-δ))に対し特異的な親和性を有するタンパク質(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含む標的化部分を含んでよく、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の少なくとも1つに結合される。
【0103】
他の実施形態では、非標的化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤が提供される。
【0104】
標的化または非標的化リポソーム組成物に含まれるリポソームは従来技術で知られている任意のリポソームであってよい。しかし、限定されないが、本明細書で説明されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤などの、任意の特定の薬剤のリポソーム封入が、有用で機能的なリポソーム製剤を達成するためのほとんど定型的な実験を含み得ることは従来技術の当業者によって理解されるであろう。一般的に、提供されるリポソームは、任意のリポソーム構造、例えば、1つ以上の脂質二相によって外部メディウムから隔離された内部空間を有する構造、またはメンブランが内部を隔離する親油中心部分を伴う半透過性メンブランを有する任意のマイクロカプセルを有し得る。脂質二相は親水性部(親水部分)および疎水性部(疎水性部分)によって特徴付けられる両親媒性分子の任意の配列であってよい。通常、二層における両親媒性分子は、疎水性部分がシートの内側を向き、一方、親水性部分が外側を向く二次元シートに配列される。提供されるリポソームを形成する両親媒性分子は、任意の既知のまたは最近発見された両親媒性分子、例えば合成または天然由来の脂質あるいは生体適合性脂質であってよい。リポソームはまた、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤、例えばポリマーソームおよびニオソーム、によって形成されてもよい。本開示の目的のため、限定されないが、これらのリポソーム形成材料は「脂質」とも呼ばれる。
【0105】
本明細書で示されるリポソーム組成物製剤は液体あるいは乾燥粉末または乾燥固形物などの乾燥剤形であってよい。乾燥粉末または乾燥固形物は、例えば凍結乾燥条件下で最初の乾燥を実施し得、あるいは任意に乾燥固形物または乾燥粉末は共に最初の乾燥のみ、あるいはともに最初の乾燥および第二乾燥を実施し得る。乾燥剤形では、粉末または固形物は、例えば、1~6%の水分、例えば、2~5%の水分または2~4%の水分などを有し得る。乾燥の一つの例示的な方法は凍結乾燥(フリーズドライ、またはクリオデシケーションとも呼ばれる)である。本開示の組成物および方法のいずれかは、リポソーム、凍結乾燥されたリポソーム、または凍結乾燥されたリポソームから再構成されたリポソームを含み得る。いくつかの実施形態では、開示される組成物および方法は1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結保護剤を含む。これらの保護剤は一般的にポリヒドロキシ化合物であり、糖(単、二、および多糖)、ポリアルコールおよびこれらの誘導体、グリセロール、またはポリエチレングリコール、トレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、ラクトース、デキストラン、グリセロール、またはアミノグリコシドなどである。さらなる実施形態では、凍結乾燥保護剤または凍結保護剤は、リポソームの外部、リポソームの内部、またはリポソームの外部および内部の両方の溶液の最大で10%または最大で20%含まれる。
【0106】
いくつかの実施形態では、リポソームは循環におけるそれらの寿命を延ばす立体的安定剤を含む。親水性ポリマー(ポリエチレングリコール(PEG))、糖脂質(モノシアロガングリオシド(GM1))または他のものなどの1種類以上の立体的安定剤がリポソーム表面に直近で隣接する空間を占有し、この空間から他のマクロ分子を排除する。結果として、血漿オプソニンのリポソーム表面への接近および結合が妨げられ、このためこのようなリポソームとのマクロファージの相互作用、またはいずれかの他の排除機構が阻害され、循環におけるリポソームの寿命が高められる。いくつかの実施形態では、立体的安定剤または立体的安定剤の集合はPEGまたはPEGを含む組み合わせである。さらなる実施形態では、立体的安定剤はPEGまたは200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するPEGを含む組み合わせである。これらのPEGは、直鎖、分枝、星形または櫛形構造などの任意の構造のものであってよく、市販されている。
【0107】
開示されるリポソームの直径は特に限定されない。いくつかの実施形態では、リポソームは例えば30~150nm(ナノメーター)の範囲の直径を有する。他の実施形態では、リポソームは40~70nmの範囲の直径を有する。
【0108】
リポソームの特性は、リポソームを作製するために使用される脂質の性質によって影響される。幅広く多様な脂質がリポソームを作製するために使用されている。これらはカチオン性、アニオン性、および中性脂質を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソームはアニオン性または中性である。他の実施形態では、提供されるリポソームはカチオン性である。電荷(例えば、アニオン性、中性、またはカチオン性)の測定は、リポソームのゼータ電位を測定することによって一般的に測定できる。リポソームのゼータ電位は正、ゼロ、または負であってよい。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位はゼロ以下である。いくつかの実施形態では、リポソームのゼータ電位は0~-150mVの範囲である。別の実施形態では、リポソームのゼータ電位は-30~-50mVの範囲である。
【0109】
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質が、遺伝子トランスフェクション剤として一般的に使用されるカチオン性リポソームを作製するために使用される。カチオン性リポソーム上の正電荷は、細胞表面上の負電荷と相互作用できる。細胞へのカチオン性リポソームの結合後、リポソームはエンドサイトーシスによって細胞の内側に輸送される。
【0110】
いくつかの実施形態では、中性~アニオン性のリポソームが使用される。一つの実施形態では、アニオン性リポソームが使用される。例えば、HSPCなどの中性脂質とPEG-DSPEなどのアニオン性脂質の混合物を用いることで、正常細胞に非特異的に結合する可能性が低いアニオン性リポソームの形成がもたらされる。腫瘍細胞への特異的な結合は、例えば葉酸受容体α抗体、葉酸受容体β抗体、および/または葉酸受容体δ抗体を含む、例えば、葉酸受容体抗体などの腫瘍標的化抗体を用いることによって達成できる。
【0111】
例として、脂質の少なくとも1種類(またはいくつか)は、親水性および疎水性部分(一般的に親水性ヘッドおよび疎水性テイル)を有するように定められる両親媒性脂質である。疎水性部分は一般的に疎水性相内に向き(例えば二層内)、一方、親水性部分は一般的に水性相(例えば、二層の外側)に向く。親水性部分は、炭水化物、リン酸、カルボキシル基、サルフェート基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、および他の基などの極性または荷電基を含み得る。疎水性部分は、限定されないが、長鎖飽和および不飽和脂肪族炭化水素基、および1つ以上の芳香族、シクロ-脂肪族または複素環基によって置換される基を含む無極性基を含み得る。両親媒性化合物の例は、限定されないが、リン脂質、アミノ脂質、およびスフィンゴ脂質を含む。
【0112】
一般的に、例えば、脂質はリン脂質である。リン脂質は、限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリンなどを含む。コレステロール、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンなどの他の脂質膜成分を使用できることが理解されるべきである。
【0113】
本明細書で提供されるリポソームを含む脂質は、アニオン性および中性リン脂質を含むアニオン性および中性(双性イオン性および極性を含む)脂質であってよい。中性脂質は選択されたpHで非電荷または中性双性イオン型で存在する。生理学的pHで、このような脂質は、例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、エファリン、コレステロール、セレブロシドおよびジアシルグリセロールを含む。双性イオン性脂質の例は、限定されないが、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)を含む。アニオン性脂質は生理学的pHで負に荷電される。これらの脂質は、限定されないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレイルホスファチジルグリセロール(POPG)、および中性脂質に結合した他のアニオン性修飾基を含む。
【0114】
まとめると、アニオン性および中性脂質は本明細書において非カチオン性脂質と呼ばれる。このような脂質は特定のリンを含み得るが、それらはそのように限定されない。非カチオン性脂質の例は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルレイルホスファチジルグリセロール(POPG)、16-0-モノメチルPE、16-0-ジメチルPE、18-1-トランスPE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、l-ステアロイル-2-オレオイルホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、およびコレステロールを含む。
【0115】
リポソームは、従来技術で知られているリポソームの成分(リポソーム成分ともいう)を用いる任意のリポソーム集合方法を用いて集合され得る。リポソーム成分は、例えば、DSPE、HSPC、コレステロールおよびこれらの成分の誘導体などの脂質を含む。他の適切な脂質は、例えばAvanti Polar Lipids,Inc.(アラバスタ―,アラバマ州,米国)から市販されている。アニオン性リポソームを作製するのに適している利用可能な負電荷または中性のリストの一部は、例えば、以下の:DLPC、DMPC、DPPC、DSPC、DOPC、DMPE、DPPE、DOPE、DMPA・Na、DPPA・Na、DOPA・Na、DMPG・Na、DPPG・Na、DOPG・Na、DMPS・Na、DPPS・Na、DOPS・Na、DOPE-グルタリル・(Na)2、テトラミリストイルカルジオリピン・(Na)2、DSPE-mPEG-2000・Na、DSPE-mPEG-5000・Na、およびDSPE-マレイミドPEG-2000・Naの少なくとも1種類であってよい。
【0116】
脂質誘導体は、例えば、少なくとも、リポソーム成分への1種類のまたは複数の立体的安定剤および/または官能基の結合(好ましくは共有結合)を含み、その後で立体的安定剤および/または官能基はリポソーム成分の一部であるとみなされる。官能基は、リポソーム成分をタンパク質などの別の部分に結合するために使用できる基を含む。このような官能基は、少なくとも、マレイミドを含む。これらの立体的安定剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-L-リジン(PLL)、モノシアロガングリオシド(GM1)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリルアミド)(PAA)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ホスファチジルポリグリセロール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン、L-アミノ酸系ポリマー、およびポリビニルアルコールからなる群からの少なくとも1種類が含まれる。
【0117】
リポソームの成分はそれに結合する任意の分子(すなわち、化学物質/試薬/タンパク質)を含み得るため、いくつかの実施形態では、提供されるリポソームの成分は、少なくとも、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC、HSPC-PEG、HSPC-マレイミド、コレステロール、コレステロール-PEG、およびコレステロール-マレイミドからなる群から選択されるメンバーを含む。いくつかの実施形態では、提供されるリポソームの成分は、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC、HSPC-PEG、HSPC-マレイミド、コレステロール、コレステロール-PEG、およびコレステロール-マレイミドを含む。例示的な実施形態では、リポソームを作製するリポソーム成分はDSPE、DSPE-FITC、DSPE-マレイミド、コレステロール、および/またはHSPCを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、リポソーム脂質二層の少なくとも1つの成分は官能化される(または反応性である)。本明細書で使用されるとき、官能化成分は試薬および部分を脂質に交差結合するために使用できる反応基を含む成分である。脂質が官能化されるとき、それが形成するいずれのリポソームもまた官能化される。いくつかの実施形態では、反応基は交差結合剤(または他の部分)と反応して交差結合を形成する基である。リポソーム脂質二層中の反応基は、それが交差結合剤と接触しかつ別の部分(例えば、立体的安定剤または標的化部分)に交差結合されることを可能にする脂質のいずれかの場所に配置される。いくつかの実施形態では、反応基は、例えばリン脂質を含む、脂質のヘッド基にある。いくつかの実施形態では、反応基はマレイミド基である。マレイミド基は、限定されないがジチオールトレイトール(DTT)を含むジチオール交差結合剤の存在下で互いに交差結合できる。
【0119】
前述のもの以外に他の官能化脂質、他の反応基、および他の交差結合剤の使用もさらに考えられると理解されるべきである。マレイミド基に加え、考えられる他の例は、限定されないが、他のチオール反応基、第一級および第二級アミンなどのアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルキン基、アジド基、カルボニル、アロセチル(例えば、ヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルフヒドリル基、およびピリジルジスルフィド基を含む。
【0120】
官能化および非官能化脂質は、Avanti Polar 5 Lipids(アラバスタ―、アラバマ州)を含む多くの市販元から入手可能である。
【0121】
いくつかの実施形態では、提供されるリポソームはその外部に配置される免疫刺激剤、検出可能なマーカー、または両方をさらに含む。免疫刺激剤または検出可能なマーカーは、リポソームの外部に、例えば、任意にリポソームの立体的安定剤にイオンによって結合され得る、または共有結合によって結合され得る。
【0122】
用語免疫刺激剤はまた、免疫賦活剤および免疫刺激物質としても知られ、免疫系をその成分のいずれかの活性化を誘発するまたは活性を増加することによって刺激する物質を指す。これらの免疫刺激剤は、ヘプテン、アジュバント、タンパク質免疫刺激剤、核酸免疫刺激剤、および化学的免疫刺激剤の1種類以上を含んでよい。多くのアジュバントは、リピッドA、百日咳菌または結核菌由来タンパク質などの、免疫反応を刺激するように設計された物質を含む。特定のアジュバントは市販されており、例えば、フロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories、デトロイト、ミシガン州)、Merck Adjuvant 65(Merck and Company、Inc.、ローウェイ、ニュージャージー州)、AS-2(SmithKline Beecham、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、カルシウム、鉄、または亜鉛の塩、アシル化チロシンの不溶性懸濁液、アシル化糖、カチオン性またはアニオン性誘導体化多糖類、ポリホスファゼン、生体分解性マイクロスフェア、モノホスホリルリピッドAおよびquilAである。GM-CSF、インターロイキン-2、-7、-12、および他の成長因子などのサイトカインもアジュバントとして使用できる。例示的な実施形態では、免疫刺激剤はフルオレセイン、DNP、βグルカン、β-1,3-グルカン、β-1,6-グルカンからなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0123】
検出可能なマーカーは、従来技術で知られているいずれかの適切な手段、例えば、磁気共鳴画像(MRI)、光学的画像化、蛍光/発光画像化、または核イメージング技術によって検出可能である、例えば、少なくとも、放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレーター、酵素、色素、インク、磁性化合物、生体触媒または色素を含み得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、免疫刺激剤および/または検出可能なマーカーは、それをリポソームと共インキュベーションすることによって外部に結合される。例えば、免疫刺激剤および/または検出可能なマーカーは、疎水性相互作用あるいはアビジン/ビオチン結合または金属キレート化結合(例えば、Ni-NTA)などのイオン結合によってリポソーム膜と結合され得る。あるいは、免疫刺激剤または検出可能なマーカーは、例えば、リポソーム成分にまたはPEGである立体的安定剤に共有結合されることによって、リポソームの外部に共有結合され得る。
【0125】
一つの例示的な試薬は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)であり、実験に基づき、免疫賦活剤および検出可能なマーカーの両方として作用できる。
【0126】
さらなる非限定的な実施形態では、提供されるリポソームは内部空間を囲む。いくつかの実施形態では、内部空間は、限定されないが水溶液を含む。いくつかの実施形態では、内部空間は本明細書で提供されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、内部空間はトレハロースなどの医薬品として許容可能な担体をさらに含む。追加の実施形態では、トレハロースは約5~20%重量のトレハロースで、あるいは1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結保護剤の任意の組み合わせで5~20%の全濃度で存在する。いくつかの実施形態では、内部空間は緩衝剤を含む。さらなる実施形態では、緩衝剤はHEPES緩衝剤またはクエン酸緩衝剤である。なおさらなる実施形態では、クエン酸緩衝剤は5~200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、内部空間は2.8~6のpHを有する。追加の実施形態では、リポソームの内部空間は酢酸ナトリウムおよび/または酢酸カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、リポソームの内部空間は50mM~500mMの酢酸ナトリウムおよび酢酸カルシウムの全濃度を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤は、内部空間を含むリポソーム;内部空間内に配置される水性ポリグルタミン酸化抗葉酸剤;および少なくとも1種類の葉酸受容体に対し特異的な親和性を有するタンパク質を含む標的化部分を含有するメディウムを含み、ここで標的化部分はリポソームの外側に配置される。いくつかの実施形態では、メディウムは水溶液である。いくつかの実施形態では、内部空間、外部空間(例えば、メディウム)、または内部空間とメディウムの両方は、前述される1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結保護剤を含む。いくつかの実施形態では、凍結保護剤はマンニトール、トレハロース、ソルビトール、および/またはスクロースである。
【0128】
いくつかの実施形態では、非標的化リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤は、内部空間を含むリポソーム;および内部空間内に配置される水性ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含有するメディウムを含む。いくつかの実施形態では、メディウムは水溶液である。いくつかの実施形態では、内部空間、外部空間(例えば、メディウム)、または内部空間とメディウムの両方は、前述される1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結保護剤を含む。いくつかの実施形態では、凍結保護剤はマンニトール、トレハロース、ソルビトール、および/またはスクロースである。
【0129】
前述のように、リポソームは循環におけるそれらの寿命を延ばすことができる立体的安定剤を含み得る。立体的安定剤を組み込むこれらの実施形態では、立体的安定剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-L-リジン(PLL)、モノシアロガングリオシド(GM1)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリルアミド)(PAA)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ホスファチジルポリグリセロール、ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、両親媒性ポリ-N-ビニルピロリドン、L-アミノ酸系ポリマー、およびポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種類のメンバーであり得る。いくつかの実施形態では、立体的安定剤または立体的安定剤の集団はPEGである。一つの実施形態では、立体的安定剤はPEGである。さらなる実施形態では、PEGは200~5000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。これらのPEGは、直鎖の、分枝の、星形または櫛形の構造などの任意の構造のものであってよく、市販されている。
【0130】
いくつかの実施形態では、リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPAまたはPLPA)は水溶性である。すなわち、リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤は水溶液の剤形である。いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAは200,000分子未満のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む内部空間を含む。いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、LPAまたはPLPAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、LPAまたはPLPAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAの内部空間は、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のポリグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のポリグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のポリグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAの内部空間は、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAの内部空間は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満ペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化RTXを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAの内部空間は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、リポソーム抗葉酸剤はペグ化される(すなわち、ペグ化リポソームポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤(PLPAまたはPLPNA))。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは水溶性である。すなわち、PLPAまたはPLPNAは水溶液の剤形である。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む内部空間を含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤含む。さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは200,000分子未満のポリグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のポリグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のポリグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ポリグルタミン酸化MTX、ポリグルタミン酸化PMX、ポリグルタミン酸化LTX、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化RTX、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化RTXのを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化LTXを含む。
【0138】
さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のペンタグルタミン酸化RTXを含む。
【0139】
さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは200,000分子未満のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0140】
さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のポリグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のペンタグルタミン酸化RTXを含む。
【0141】
さらなる実施形態では、PLPAまたはPLPNAの内部空間は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、PLPAまたはPLPNAは10,000~100,000分子のヘキサグルタミン酸化RTXを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物を含む溶液のpHはpH5~8またはpH2~6である。
【0143】
標的化リポソーム
いくつかの実施形態では、本開示はリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を提供し、ここでリポソームはペグ化され、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤ならびにPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合される標的化部分を含み、ここで標的化部分は目的の標的細胞上の表面抗原に対する特異的な親和性を有する。このようなリポソームは本明細書において「標的化リポソーム」と一般的に呼ばれ得、例えばリポソームは、リポソームの表面に、さもなければリポソームに結合される、1つ以上の標的化部分または生体分布調節物質を含む。標的化リポソームの標的化部分は、所望の標的(例えば、目的の標的細胞の表面上に発現される抗原標的)を特異的に結合できるいずれかの部分または薬剤であってよい。一つの実施形態では、標的化リポソームは、その中へ標的化リポソームを内在化する、目的の標的細胞の表面上の標的に特異的および優先的に結合し、封入されたポリグルタミン酸化細胞毒性剤(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化PMX、LTX、およびMTXなどのポリグルタミン酸化抗葉酸剤)がその細胞毒性効果を発揮する。さらなる実施形態では、標的細胞は癌細胞、腫瘍細胞、または転移細胞である。いくつかの実施形態では、標的化リポソームは免疫リポソームである。
【0144】
用語である結合するまたは結合されたは、例えば、共有結合、イオン結合(例えば、アビジン-ビオチン)、疎水性相互作用による結合、およびマレイミドなどの官能基またはPEGなどのリンカーを介する結合などの任意のタイプの結合を指す。例えば、検出可能なマーカー、立体的安定剤、リポソーム、リポソーム成分、免疫刺激剤は、マレイミド官能基によって、またはPEG-マレイミド基によって、互いに直接的に結合され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、リポソームに結合される標的化部分はポリペプチドである。さらなる実施形態では、標的化部分は抗体または抗体のフラグメントである。追加の実施形態では、標的化部分は抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一領域抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多価抗体の1種類以上を含む。追加の実施形態では、標的化部分は腫瘍細胞に存在するが非腫瘍細胞には存在しないまたは到達できない腫瘍細胞表面抗原上のエピトープに対し特異的な親和性を有する。いくつかの実施形態では、標的化部分はさらにPEGおよびリポソームの外側の少なくとも1つで配置される免疫刺激剤、検出可能なマーカー、およびマレイミドの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)またはペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(PLPA)リポソームの標的化部分はアニオン性または中性である。他の実施形態では、LPAまたはPLPAリポソームの標的化部分はカチオン性である。いくつかの実施形態では、LPAまたはPLPAリポソーム組成物の標的化部分は、少なくとも10%のリポソーム封入されたポリグルタミン酸抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分-LPAまたは標的化部分-PLPAリポソームは20~200nmの範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、リポソームは80~120nmの範囲の直径を有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、標的化部分-LPAまたは標的化部分-PLPAは抗体または抗体フラグメントなどのポリペプチド標的化部分を含み、標的化部分はビアコア分析を用いて測定されるとき、0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で標的抗原を結合する。さらなる実施形態では、標的化部分-LPAまたは標的化部分-PLPAはポリペプチド標的化部分を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、標的化部分-LPAまたは標的化部分-PLPAは抗体または抗体フラグメントなどのポリペプチド標的化部分を含み、標的化部分はGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される標的抗原に対し特異的な親和性を有する。
【0148】
さらなる実施形態では、標的化部分は抗体または抗体フラグメントなどのポリペプチド標的化部分を含み、および標的化部分は葉酸受容体に対する結合特異性を有する。いくつかの実施形態では、標的化部分はビアコア分析を用いて測定されるときに0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で葉酸受容体を結合する。いくつかの実施形態では、標的化部分によって結合される葉酸受容体は、葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)、および葉酸受容体δ(FR-δ)からなる群から選択される1種類以上の葉酸受容体である。
【0149】
いくつかの実施形態では、標的化部分は目的の標的細胞の表面に発現される目的の標的を特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、標的化部分は全長抗体である。いくつかの実施形態では、標的化部分は抗体の抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、標的化部分は抗体由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。開示される標的化リポソームのための標的化部分として作用できる適切なタンパク質の例は、全長ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、単一領域抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体および多価抗体の1種類以上を含む。提供される標的化リポソームの抗体は上記特性の組み合わせを有し得る。例えば、ヒト化抗体は抗原結合フラグメントであってよく、かつペグ化され、多重化されてもよい。
【0150】
用語「ヒト化抗体」は、最小限の非ヒト(例えば、ネズミ)配列を含む特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらのフラグメントである非ヒト(例えば、ネズミ)の形態を指す。一般的に、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)由来の残基が所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、およびハムスター)のCDR由来の残基によって置換される、ヒト免疫グロブリンである(Jonesら,Nature 321:522-525(1986)、Riechmannら,Nature 332:323-327(1988)、Verhoeyenら,Science 239:1534-1536(1988))。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvネットワーク領域(FR)残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種由来の抗体における相当する残基で置換される。ヒト化抗体は、Fvフレームワーク領域および/または置換された非ヒト残基内における追加残基の置換によってさらに修飾されて、抗体特異性、親和性、および/または能力を洗練し最適化できる。一般的に、ヒト化抗体は非ヒト免疫グロブリンに相当するCDR領域のすべてまたはほとんどすべてを含む少なくとも1つ、典型的には2または3つの可変領域のほとんどすべてを含み、ここでFR領域のすべてまたはほとんどすべてはヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)、一般的にはヒト免疫グロブリンのもの、の少なくとも一部を含み得る。ヒト化抗体を作製するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号および第5,639,641号で報告されている。
【0151】
本明細書で考察されるように、葉酸受容体(FR)は、還元葉酸キャリア(RFC)とは異なり、葉酸および抗葉酸剤を細胞中にもたらすために異なる経路を活用する。いくつかの実施形態では、標的化部分は葉酸受容体を特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的化部分は葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δから選択される葉酸受容体を特異的に結合する。葉酸受容体αに対する抗体は、従来技術で知られている技術を用いて一般的に作製できる。さらに、多くの抗葉酸受容体抗体の配列が公有および/または市販されており、容易に入手可能である。
【0152】
葉酸受容体に対するネズミ抗体は、開示される標的化リポソームの標的化部分として使用できる、葉酸受容体に対するネズミ抗体である抗体の例である。これらの抗体の配列は既知であり、例えば、米国特許第5,646,253号、第8,388,972号、第8,871,206号、および第9,133,275号、ならびに国際出願第PCT/US2011/056966号および第PCT/US2012/046672号で報告される。例えば、公有で既に開示されている配列に基づき、抗体の遺伝子を合成し一過性発現ベクター中に配置し、抗体をHEK-293一過性発現系で産生させた。抗体は完全な抗体、Fab、または本明細書で説明される、さもなければ従来技術で知られている様々な抗体変種のいずれかであってよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、標的化リポソームは30~500個の標的化部分(例えば、30~250個の標的化部分または30~200個の標的化部分)を含む。いくつかの実施形態では、提供される標的化リポソームは、220個未満の標的化部分、200個未満の標的化部分、または175個未満の標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分はリポソームの外部に非共有結合される(例えば、イオン相互反応またはGPIアンカーを介して)。
【0154】
いくつかの実施形態では、標的化リポソームの外部の分子は、脂質、標的化部分、立体的安定剤(例えば、PEG)、マレイミド、およびコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分はマレイミド官能基を介して共有結合される。いくつかの実施形態では、標的化部分はリポソーム成分またはPEG分子などの立体的安定剤に共有結合される。いくつかの実施形態では、すべての標的化部分はPEGなどのリポソームの一成分に結合される。別の実施形態では、標的化部分はリポソームの別の成分に結合される。例えば、いくつかの標的部分は脂質成分またはコレステロールに結合され得、いくつかの標的化部分は立体的安定剤(例えば、PEG)に結合され得、さらに他の標的化部分は検出可能なマーカーまたは別の標的化部分に結合され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、標的化リポソームの標的化部分は、癌細胞の表面に発現される抗原に対する親和性および特異性を有する(すなわち、特異的に結合する)。さらなるいくつかの実施形態では、標的化リポソームの標的化部分は、葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δからなる群から選択される抗原に対する親和性および特異性を有する。一つの実施形態では、標的化部分は、葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δからなる群から選択される1種類以上の抗原に特異的親和性を有する(すなわち、特異的に結合する)。さらなる実施形態では、標的化部分は、葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δからなる群から選択される少なくとも2種類の抗原に対する特異的親和性を有する。別の実施形態では、標的化部分は、例えば、葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δである3種の抗原に対する特異的親和性を有する。標的化部分は時として完全な抗原を結合しないが抗原における多くのエピトープの1つのエピトープだけを結合するため、標的化部分は抗原の1つのエピトープに親和性および特異性を有し得る。
【0156】
用語「エピトープ」または「抗原決定基」は本明細書において交換可能で使用され、特定の抗体または結合部分によって認識され特異的に結合され得る抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドであるとき、エピトープは近接アミノ酸およびタンパク質の三次元フォルディングによって並列される非近接アミノ酸の両方から形成され得る。近接アミノ酸から形成されるエピトープは一般的に、タンパク質変性時に保持され、一方、三次元フォルディングによって形成されるエピトープは一般的にタンパク質変性時に失われる。エピトープは一般的に、独自の空間構造中の少なくとも3個、より一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、標的化部分は腫瘍細胞に存在するが非腫瘍細胞には存在しないまたは到達できない腫瘍細胞表面抗原上のエピトープに対する特異的な親和性を有する。例えば、いくつかの条件では、腫瘍抗原は正常細胞および悪性癌細胞の両方の表面に存在するが、腫瘍エピトープは癌細胞でのみ暴露される。さらなる例として、腫瘍抗原は癌において構成変化を有し得、癌細胞特異的エピトープを提示させ得る。本明細書で説明されるエピトープに特異的親和性を有する標的化部分は有用であり、開示される組成物および方法によって包含される。いくつかの実施形態では、癌細胞特異的エピトープを有する腫瘍細胞は癌細胞である。このような腫瘍細胞表面抗原の例は、葉酸受容体α、葉酸受容体β、および葉酸受容体δを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物はリポソームおよび担体、例えば医薬品として許容可能な担体、を含む医薬組成物として提供される。提供される医薬組成物に含まれる医薬品として許容可能な担体の例は、生理食塩水、等張性デキストロース、等張性スクロース、リンゲル液、およびハンクス液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝物質が医薬組成物の保存安定性における最適pHを維持するために加えられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物のpHは6.0~7.5である。いくつかの実施形態では、pHは6.3~7.0である。さらなる実施形態では、pHは6.5である。理想的には、医薬組成物のpHは、リポソーム膜脂質の安定性および捕捉された物質の保持の両方を可能にする。一般的には2~20mM濃度での、ヒスチジン、ヒドロキシエチルピペラジン-エチルスルホン酸(HEPES)、モルホリノエチルスルホン酸(MES)、コハク酸、酒石酸、およびクエン酸が、緩衝物質の例である。他の適切な担体は、例えば、水、緩衝化水溶液、0.4%NaCl、および0.3%グリシンを含む。タンパク質、炭水化物、またはポリマー安定剤、および浸透圧調整剤、例えば、ゼラチン、アルブミン、デキストラン、またはポリビニルピロリドンを加えることができる。組成物の等張性はグルコースあるいは、より不活性なラクトース、スクロース、マンニトール、またはデキストリンなどの化合物によって0.25~0.35mol/kgの生理学的な量に調整できる。これらの組成物は、従来技術で知られている標準的な滅菌技術(例えば、ろ過)を用いて一般的に滅菌できる。得られる水溶液は使用のためにパッキングされまたは無菌条件下でろ過し凍結乾燥されてよく、凍結乾燥された調製物は投与前に無菌水性メディウムと混合される。
【0159】
提供される医薬リポソーム組成物はまた、生理学的条件に近づけるために必要とされる他の医薬品として許容可能な添加物質を含んでよく、pH調節および緩衝化剤、ならびに浸透圧調整剤、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムなどを含み得る。さらに、リポソーム懸濁液は、保存においてフリーラジカルおよび脂質-過酸化損傷に対して脂質を保護する脂質保護剤を含み得る。α-トコフェロールなどの親油性フリーラジカルクエンチャー、およびフェリオキサミンなどの水溶性鉄特異的キレーターが適している。
【0160】
提供される液体医薬組成物中のリポソーム濃度は必要に応じて幅広く変動してよく、例えば、重量で通常約0.05%未満または少なくとも約2~10%から30~50%であり、選択される特定の投与方式に従って、主に液体容量および粘度によって選択され得る。例えば、濃度は治療と関連する液体負荷量を低減するために増加され得る。これは特に、アテローム性動脈硬化症と関連するうっ血性心不全または重度高血圧を有する患者で望ましいものであり得る。あるいは、刺激性脂質からなるリポソーム医薬組成物は、投与部位における炎症を低下するために低濃度に希釈され得る。
【0161】
いくつかの実施形態は、その表面に葉酸受容体を発現する腫瘍に、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤の標的化ペグ化リポソーム製剤を送達する方法に関する。例示的な方法は、腫瘍に標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤の治療上効果的な用量を送達する量で、本開示におけるリポソームを含む組成物のいずれかの少なくとも1つを投与するステップを含む。
【0162】
投与されるリポソーム医薬組成物の量は、リポソーム内部に捕捉される特定のポリグルタミン酸化抗葉酸治療剤物質、治療される疾患状態、使用されるリポソーム型、および臨床医の判断に依存する。一般的に、投与されるリポソーム医薬組成物の量は、特定の治療剤物質の治療上効果的な用量を送達するのに十分なものである。
【0163】
治療上効果的な用量を送達するのに必要なリポソーム医薬組成物の量は、薬剤試験の従来技術で一般的である定型的なインビトロおよびインビボ法で決定できる。例えば、D.B.Budman、A.H.Calvert、E.K.Rowinsky(編者)、Handbook of Anticancer Drug Development(抗癌剤開発のハンドブック),LWW,2003を参照する。様々な治療用組成物の治療上効果的な投与量は、従来技術の当業者に知られている。いくつかの実施形態では、医薬リポソーム組成物によって送達される治療用物質は、その定型的な非リポソーム製剤中の同量の治療用物質を投与することによって得られる活性と少なくとも同等またはより高い活性をもたらす。一般的には、リポソーム医薬組成物における投与量は、例えば、体重kgあたり約0.005~約500mgの治療用物質、ほとんどの場合、約0.1~約100mg治療用物質/体重kgの範囲である。
【0164】
本明細書で使用されるとき、「効果的な量」は医学的に望ましい結果をもたらすのに十分な薬剤の投与量を指す。効果的な量は、所望の転帰、治療または予防される特定の条件、治療される被験体の年齢および身体的状態、症状の重度、治療期間、同時または併用療法の性質(ある場合)、投与の特定経路、ならびに医師の知識および専門技術内の要因などで変化する。「効果的な量」は、定められた目的との関連で、経験的におよび日常的手法で決定できる。本開示では、用語「被験体」および「患者」は交換可能に使用され、同じ意味を有する。最大用量、すなわち正当な医学的判断に従う最も高い安全な用量、が使用されることが一般的に好ましい。
【0165】
例えば、被験体が腫瘍を有するとき、効果的な量は、腫瘍容積または負荷量(例えば、腫瘍を画像化することによって測定される)を低下する薬剤(例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤)の量であり得る。効果的な量はまた、血液または他の体液あるいは組織(例えば、バイオプシー)における癌細胞の存在および/または出現頻度によって日常的に評価できる。腫瘍が組織または器官の正常機能性に影響している場合、効果的な量は組織または器官の正常機能性を測定することによって日常的に評価できる。いくつかの例では、効果的な量は1つ以上、好ましくはすべての徴候を低下または排除するために必要とされる量である。
【0166】
「治療する」または「治療」または「治療するため」などの用語は、(a)診断された病理学的症状または障害の徴候を治癒する、遅延する、低下する、および/または進行を停止する治療手段、ならびに(b)標的疾患または症状の発症を防止するおよび/または遅延する予防的または防止的手段、の両方を指す。このため、治療を必要とする被験体は、癌または症状を既に有するもの、癌または症状を有するリスクがあるもの、および防止されるべき感染または症状があるものを含む。特定の実施形態では、被験体が、例えば、疾患または症状(例えば、癌、関節リウマチ)と関連する徴候のすべての、一部の、または一時的な改善または消失を示す場合、被験体は本明細書において提供される方法によって良好に「治療され」る。
【0167】
提供されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソーム)を含む医薬組成物も提供される。医薬組成物は、好ましくは医薬品として許容可能な担体中に、サンプルリポソームおよび好ましくは抗葉酸剤を含む無菌の組成物である。
【0168】
用語「送達ビヒクル」は一般的に、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤の細胞中への導入を補助、促進または容易にするように作用する任意の組成物、例えば、ウイルス配列、ウイルス材料、あるいは脂質またはリポソーム製剤を指す。
【0169】
用語「医薬品として許容可能な担体」は、例えば、ヒトまたは他の被験体への投与に適している1種類以上の適合性のある固体または液体増量剤、希釈剤またはカプセル化物質を指す。
【0170】
用語「担体」は、リポソーム組成物が投与を容易にするために組み合わされる有機または無機原料、天然または合成原料を指す。医薬組成物の成分は、これらの所望の医薬効能を大きく損なう相互作用を排除する手段で混合される。適切な緩衝化剤は、酢酸および塩(1~2%W/V)、クエン酸および塩(1~3%W/V)、ホウ酸および塩(0.5~2.5%W/V)、ならびにリン酸および塩(0.8~2%W/V)を含む。適切な保存剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003~0.03%W/V)、クロロブタノール(0.3~0.9%W/V)、およびパラベン(0.01~0.25%W/V)を含む。
【0171】
本明細書において他に記載がない限り、様々な投与経路が利用可能である。選択される特定の方式は、選択される特定の有効薬剤、治療される特定の条件および治療的効能のために必要とされる投与量に依存する。提供される方法は、医学的に許容できる任意の既知の方式の投与を用いて、および適正な医療行為に従い実施できる。いくつかの実施形態では、投与経路は注射である。さらなる実施形態では、注射は筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、関節内、硬膜内、髄腔内、静脈内、筋肉内、または胸骨内注射から選択される非経口経路によるものである。いくつかの実施形態では、投与経路は注入である。追加の実施形態では、投与経路は経口、鼻腔、粘膜、舌下、気管内、眼科、直腸、膣、眼、局所、経皮、肺、または吸入である。
【0172】
いくつかの実施形態では、PLPAおよび/または標的化PLPAは、注入組成物、注射組成物、非経口組成物、または局所組成物として調製される。さらなる実施形態では、注射は、腹腔内注射、腫瘍内直接注射、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、経皮および鼻腔内経路による送達の1種類以上を含む。さらなる実施形態では、PLPAおよび/または標的化PLPAは液体溶液または懸濁液である。しかし、注射前の液体ビヒクルにおける溶液または懸濁液に適した固体剤形も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、従来技術で知られている方法に従って、腸溶性コーティング錠剤またはゲルカプセルとして製剤化される。
【0173】
いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、腫瘍中への直接的なリポソームの緩徐な、持続される頭蓋内注入を用いて中枢神経系の腫瘍に投与される(例えば、対流増加送達(CED))。Saitoら,Cancer Research 64:2572-2579(2004)、Mamotら,J.Neuro-Oncology 68:1-9(2004)を参照する。他の実施形態では、製剤は組織表面に直接適用される。ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤の持続放出、pH依存放出、および他の特定の化学的または環境条件仲介放出投与(例えば、蓄積注射および崩壊性インプラント)も提供される。このような放出仲介組成物は、本明細書でさらに説明され、さもなければ従来技術で知られている。
【0174】
吸入による投与では、組成物は適切な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスの使用によって、加圧パックまたは噴霧器からエアゾールスプレー調製物の剤形で都合よく送達できる。加圧エアゾールの場合には、投与単位は計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定できる。
【0175】
組成物を全身に送達することが望ましいとき、それらは注射による、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために製剤化できる。注射用製剤は、単位投与剤形で、例えば、アンプルでまたは多回投与容器で提供できる。医薬品の非経口製剤は原料の水溶液を含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。あるいは、リポソームの懸濁液はオイルベース懸濁液として調製できる。適切な親油性溶媒または賦形剤は、セサミオイルなどの脂肪オイル、あるいはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルを含む。
【0176】
あるいは、非標的化または標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、粉末剤形または使用前に適切な賦形剤、例えば、無菌パイロジェンフリー水での構成のための凍結乾燥剤形であってよい。
【0177】
提供される組成物(例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤、およびポリグルタミン酸化抗葉酸剤含有リポソーム)はまた、例えばココアバターまたは他のグリセリドなどの標準的な坐薬ベースを含む、坐薬または停留浣腸などの直腸または膣用組成物に製剤化できる。
【0178】
提供される組成物はインビボ、エクスビボおよびインビトロでの適用を有する。いくつかの実施形態では、組成物はインビボ適用を有する。インビボ使用は、細胞の亜集団の選択的処理が望まれる細胞培養および組織工学などの使用を含み得る。例えば、正常な患者または癌を有する患者に由来する幹細胞の培養の際、細胞を、考察されるサンプル組成物またはサンプルリポソームで処理して細胞の癌性亜集団に対処できる。癌性亜集団が生じ得、これはドナーが本来癌を有しているため、または細胞がインビトロ処理の際に自発的に形質転換するためである。
【0179】
いくつかの実施形態では、リポソーム組成物はリポソームを有する容器、および任意に、リポソームによって標的化または優先的に結合される物質(抗原)を有する容器、および取扱説明書、例えば1つ以上の適用においてリポソーム組成物を用いることと関連する手順または情報、を含むキットで提供される。このような取扱説明書は、任意の媒体、例えば、硬質紙複写、電子媒体、または取扱説明書を含むデータベースまたはウェブサイトを通して提供できる。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示は、高増殖性細胞をポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)と接触させることを含む高増殖性細胞を死滅させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは高増殖性細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される高増殖性細胞の表面上の細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される高増殖性細胞の表面上の細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍細胞をポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)と接触させることを含む腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは高増殖性細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される腫瘍細胞の表面上の細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される腫瘍細胞の表面上の細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示は、高増殖性疾患を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む高増殖性疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは目的の標的細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原と特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示は、自己免疫疾患を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む免疫系の疾患(例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患)を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、免疫系の疾患は自己免疫疾患である。さらなる実施形態では、免疫系の疾患は関節リウマチである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化プララトレキサート(PTX)を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化プララトレキサート(PTX)を含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは目的の標的細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌を有するまたは有するリスクのある被験体ポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、癌は肺(例えば、非小細胞肺癌)、膵臓、乳癌、卵巣、肺、前立腺、頭頸部、胃、胃腸管、結腸、食道、子宮頸部、腎臓、胆管、胆嚢、および血液学的悪性腫瘍(例えば、白血病またはリンパ腫)からなる群から選択される癌である。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは目的の標的細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示は、肺癌を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を治療するための方法を提供する。特定の実施形態では、癌は非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。いくつかの実施形態では、リポソームは非標的化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは肺癌(例えば、非小細胞肺癌)細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、ムチン1、葉酸受容体δ、ネクチン4、NaPi2b、CD56、EGFR、およびSC-16からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームはであり、リポソームはムチン1、葉酸受容体δ、ネクチン4、NaPi2b、CD56、EGFR、およびSC-16からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示は、膵臓癌を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む膵臓癌を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。いくつかの実施形態では、リポソームは非標的化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは膵臓癌細胞の表面上の抗原を特異的に結合する標的化部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、TACSTD2(TROP2)、ムチン1、葉酸受容体δ、メソテリン、グアニル酸シクラーゼC(GCC)、SLC44A4、およびネクチン4からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはTACSTD2(TROP2)、ムチン1、葉酸受容体δ、メソテリン、グアニル酸シクラーゼC(GCC)、SLC44A4、およびネクチン4からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0187】
追加の実施形態では、本開示は、乳癌を有するまたは有するリスクのある被験体にポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、およびHER2)を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。いくつかの実施形態では、リポソームは非標的化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは乳癌細胞の表面における抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルは、LIV-1(ZIP6)、EGFR、HER2、HER3、ムチン1、葉酸受容体δ、GONMB、およびネクチン4からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的部分をその表面上に含む。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームはであり、リポソームはLIV-1(ZIP6)、EGFR、HER2、HER3、ムチン1、葉酸受容体δ、GONMB、およびネクチン4からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、提供される組成物(例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソーム)は、細胞表面における腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原の発現によって識別可能である血液学的癌を有するまたは有するリスクのある被験体に投与される。このため、いくつかの実施形態では、本開示は、癌の細胞表面における腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原の発現によって識別可能である癌、固形癌、および/または転移を有するまたは有するリスクのある被験体に標的化部分およびポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供し、ここで標的化部分は送達ビヒクルの表面に表れ腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原を特異的に結合する。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは血液学的癌細胞の表面に発現される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。追加の実施形態では、標的化部分は、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはCD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示は高増殖性疾患の治療用医薬品の製造のためにポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は5つ以上のグルタミル基を含む。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化される。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はメトトレキサート(MTX)である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化AG2034である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化プララトレキサートである。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化AG2034である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化GW1843である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化アミノプテリンである。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化LY309887である。いくつかの実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はリポソーム中である。いくつかの実施形態では、高増殖性疾患は癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺(例えば、非小細胞肺癌)、膵臓、乳癌、卵巣、肺、前立腺、頭頸部、胃、胃腸管、結腸、食道、子宮頸部、腎臓、胆管、胆嚢、および血液学的悪性腫瘍からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌はトリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は白血病またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、高増殖性疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態では、高増殖性疾患は関節リウマチである。
【0190】
いくつかの実施形態では、開示される組成物(例えば、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソーム)は、細胞表面における腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原の発現によって識別可能である癌、固形癌、および/または転移を有するまたは有するリスクのある被験体に投与される。このため、いくつかの実施形態では、本開示は、癌の細胞表面における腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原の発現によって識別可能である癌、固形癌、および/または転移を有するまたは有するリスクのある被験体に標的化部分およびポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供し、ここで標的化部分は送達ビヒクルの表面に表れ腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原を特異的に結合する。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化PMXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。追加の実施形態では、送達ビヒクルは癌、固形癌、および/または転移細胞の表面に発現される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。追加の実施形態では、標的化部分は、GONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する。さらなる実施形態では、送達ビヒクルはリポソームであり、リポソームはGONMB、CD56、TACSTD2(TROP2)、CEACAM5、葉酸受容体-α、葉酸受容体-β、ムチン1、葉酸受容体-δ、STEAP1、メソテリン、ネクチン4、ENPP3、グアニリルシクラーゼC(GCC)、SLC44A4、NaPi2b、CD70(TNFSF7)、CA9(炭酸脱水酵素)、5T4(TPBG)、SLTRK6、SC-16、組織因子、LIV-1(ZIP6)、CGEN-15027、P-カドヘリン、フィブロネクチンエクストラドメインB(ED-B)、VEGFR2(CD309)、テネイシン、コラーゲンIV、ペリオスチン、エンドセリン受容体、HER2、EGFR、CD30、CD79b、CD19、CD138、CD74、CD37、CD19、CD22、CD33、およびCD98からなる群から選択される細胞表面抗原を特異的に結合する標的化部分を含む。
【0191】
さらなる実施形態では、本開示は、細胞表面に葉酸受容体を発現する細胞を含む癌を有するまたは有するリスクのある被験体に、葉酸受容体を特異的に結合するその表面上の標的化部分およびポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤を含む送達ビヒクル(例えば、リポソーム)の効果的な量を投与することを含む癌を治療するための方法を提供する。さらなる実施形態では、葉酸受容体は葉酸受容体α、葉酸受容体β、または葉酸受容体δである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ペンタグルタミン酸化MTX、ペンタグルタミン酸化PMX、ペンタグルタミン酸化LTX、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化RTX、ペンタグルタミン酸化ピリトレキシム、ペンタグルタミン酸化プララトレキサート、ペンタグルタミン酸化AG2034、ペンタグルタミン酸化GW1843、ペンタグルタミン酸化アミノプテリン、およびペンタグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるペンタグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ヘキサグルタミン酸化MTX、ヘキサグルタミン酸化PMX、ヘキサグルタミン酸化LTX、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化RTX、ヘキサグルタミン酸化ピリトレキシム、ヘキサグルタミン酸化プララトレキサート、ヘキサグルタミン酸化AG2034、ヘキサグルタミン酸化GW1843、ヘキサグルタミン酸化アミノプテリン、およびヘキサグルタミン酸化LY309887からなる群から選択されるヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化PMXを含む。特定の実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化MTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化RTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤はヘキサグルタミン酸化LTXを含む。いくつかの実施形態では、投与される送達ビヒクルはリポソームである。さらなる実施形態では、リポソームはペグ化される。本明細書で開示されるように、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む葉酸受容体を標的にするペグ化リポソームは、正常細胞(すなわち、癌細胞と異なり、リポソームを積極的に取り込まない、および/または葉酸受容体を発現しない細胞)と比べて、癌細胞、特に葉酸受容体を発現する癌細胞に高量のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を送達できる。葉酸受容体を発現するいずれの癌も、本開示方法に従って治療され得る。いくつかの癌は早期段階で葉酸受容体を発現し得るが、癌の多くは後期段階で葉酸受容体を発現し得ることに注意すべきである。
【0192】
本発明の方法によって治療され得る癌は、癌腫、肉腫、および黒色腫が含まれる。癌腫には、限定されないが、基底細胞癌腫、胆道癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、絨毛癌腫、CNS癌、結腸直腸癌、腎臓または腎細胞癌、喉頭癌、肝臓癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC、例えば、腺癌、巨(または燕麦)細胞癌、および扁平上皮癌腫を含む)、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌(基底細胞癌および扁平上皮癌を含む)、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、直腸癌、呼吸器系の癌、および泌尿器系の癌を含む。
【0193】
肉腫は骨(骨肉種)および軟組織(線維肉腫)に生じる間葉性新生物である。肉腫は、限定されないが、脂肪肉腫(粘液性脂肪肉腫および多形性脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫、神経線維肉腫、または神経原性肉腫とも呼ばれる)、ユーイング腫瘍(骨のユーイング肉腫、骨外(すなわち、骨ではない)ユーイング肉腫、および原始神経外胚葉性腫瘍を含む)、滑膜肉腫、脈管肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、カポジ肉腫、血管内皮腫、デスモイド腫瘍(進行性線維腫症とも呼ばれる)、皮膚線維肉腫性尿管炎(DFSP)、悪性線維性組織球腫(MFH)、血管周囲細胞腫、悪性間葉腫、軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、線維形成性小細胞腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、および軟骨肉腫を含む。
【0194】
黒色腫は皮膚および他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍である。黒色腫の例は、限定されないが、悪性黒子黒色腫、表在拡大性黒色腫、結節性黒色腫、および末端黒子型黒色腫を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法の1つ以上によって治療される癌は固形腫瘍リンパ腫である。固形腫瘍リンパ腫の例は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、およびB細胞リンパ腫を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法の1つ以上によって治療される癌は、骨癌、脳腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、上皮内新生物、黒色腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、または横紋筋肉腫である。
【0197】
開示される方法は、本明細書で考慮される組成物(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソームなどのポリグルタミン酸化抗葉酸剤)の送達から利益を得る可能性があるいずれかの被験体で実施できる。哺乳動物被験体、特にヒト被験体が好ましい。いくつかの実施形態では、被験体はまた動物を含み、家庭用愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、およびフェレット)、家畜または農場動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリおよび他の家禽類)、純血種ウマなどのウマ、実験動物(例えば、マウス、ラット、およびウサギ)、および他の動物などが挙げられる。他の実施形態では、被験体は魚類および他の水生種を含む。
【0198】
薬剤が送達される被験体は正常な被験体であり得る。あるいは、被験体は提供される組成物の1種類以上の送達から診断され得るまたは利益を得ることができる症状を有し得るまたは発症するリスクがあり得る。いくつかの実施形態では、このような症状は癌(例えば、固形腫瘍癌またはリンパ腫などの非固形癌)を含む。いくつかの実施形態では、これらの症状(例えば、癌)は、本明細書で開示される標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤によって特異的に結合され得る抗原を発現する細胞を含む。さらなる実施形態では、これらの抗原は標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤を特異的に結合し細胞中に内在化させる。いくつかの実施形態では、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、癌細胞の表面に発現される葉酸受容体(例えば、葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)、および葉酸受容体δ(FR-δ))を特異的に結合する。
【0199】
提供される組成物によって治療できる症状を診断するための試験は、従来技術で知られており、医師に熟知されているであろう。細胞型が葉酸受容体を発現するかどうかの決定は、市販の抗体を用いてなされ得る。これらの検査室試験は、限定されないが、顕微鏡分析、育成依存試験(培養など)、および核酸検出試験を含む。これらは、湿式マウント、染色増強顕微鏡検査、免疫顕微鏡検査(例えば、FISH)、ハイブリダイゼーション顕微鏡検査、粒子凝集、酵素結合イムノソルベントアッセイ、尿スクリーニング試験、DNAプローブハイブリダイゼーション、および血清学的試験を含む。医師は一般的にまた、全前歴を考慮し、上記の検査室試験を行うことに加えて完全な身体的検査を実施するであろう。
【0200】
癌を有する被験体は、例えば、検出可能な癌細胞を有する被験体であってよい。癌を発症するリスクのある被験体は、例えば、癌を発症する通常よりも高い確率を有する被験体であってよい。これらの被験体は、例えば、癌を発症する高い可能性と関連すると示されている遺伝的異常を有する被験体、癌に対する家系的素因を有する被験体、タバコ、アスベスト、または他の化学的毒素などの癌原因物質(すなわち、発癌物質)に暴露される被験体、および過去に癌が治療され明らかな寛解にある被験体を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、本開示は葉酸受容体標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤を、高い割合で(その細胞表面に葉酸受容体を発現しない細胞よりも少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、または少なくとも5倍高い)その表面に葉酸受容体を発現する腫瘍細胞に選択的に送達する方法を提供する。
【0202】
いくつかの実施形態では、本開示は本明細書で開示されるリポソーム組成物を作製する方法を提供する。一つの実施形態では、本方法は、(1)リポソーム成分、および(2)水溶液中のポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤、を含む混合物を調製することを含む。さらなる実施形態では、混合物はペグ化リポソーム成分を含む。混合物を次いでホモジナイズして水溶液中にリポソームを形成させる。さらに、混合物を、膜を通して押し出して水溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を囲むリポソームを形成できる。本開示のリポソーム成分は、官能化脂質および標的化部分に結合される脂質を含む任意の脂質(コレステロールを含む)、検出可能な標識、および立体的安定剤、あるいはこれらのすべてのいずれかのサブセットを含み得ると理解される。さらに、水溶液中の生体活性ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、例えば、緩衝剤、塩、および凍結保護剤などを含むリポソームの内部または外部について本明細書で説明される、さもなければ従来技術で知られている任意の試薬および化学物質を含み得ることが留意される。
【0203】
いくつかの実施形態では、本開示は本明細書で開示される標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(標的化PLPA)または非標的化PLPAを作製する方法を提供する。一つの実施形態では、本方法は、(1)リポソーム成分、(2)水溶液中のポリグルタミン酸化(例えば、ペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化)抗葉酸剤、および(3)標的化部分、を含む混合物を調製することを含む。混合物を次いでホモジナイズして水溶液中にリポソームを形成させる。さらに、混合物を、膜を通して押し出して水溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を囲むリポソームを形成し得る。標的化ペグ化リポソーム成分は、官能化脂質および標的化部分に結合される脂質を含む任意の脂質(コレステロールを含む)、検出可能な標識、および立体的安定剤、あるいはこれらのすべてのいずれかのサブセットを含み得ると理解される。標的化ペグ化リポソームは、例えば、緩衝剤、塩、および凍結保護剤などを含むリポソームの内部または外部について本明細書で説明される、さもなければ従来技術で知られている任意の試薬および化学物質を含み得ることがさらに留意される。
【0204】
上記方法は任意にさらに、取り出すステップの後に組成物を凍結乾燥して凍結乾燥組成物を調製するステップを含む。前述のように、水溶液中の標的化PTPLAまたは非標的化PTPLAは、本明細書で説明される、さもなければ従来技術で知られている凍結保護剤を含み得る。組成物が凍結乾燥される場合、凍結保護剤が好ましいであろう。
【0205】
さらに、凍結乾燥ステップ後に、本方法は任意にさらに凍結乾燥ステップ後に組成物を溶媒に溶解することにより凍結乾燥組成物を再構成するステップを含む。再構成の方法は従来技術で知られている。一つの例示的な溶媒は水である。他の溶媒は生理食塩水および緩衝化溶液を含む。
【0206】
特定の例である実施形態が本明細書で考察されるが、リポソームは従来技術で知られている任意の方法によって調製できると理解される。例えば、G.Gregoriadis(編者),Liposome Technology(リポソーム技術),vol.1-3,1st edition,1983;2nd edition,1993,CRC Press,45 Boca Raton,Fla.を参照する。リポソーム組成物を作製するのに適した方法の例は、押し出し、逆相蒸発、超音波処理、溶媒(例えば、エタノール)注入、マイクロ流体化、デタージェント透析、エーテル注入、および脱水/再水和化を含む。リポソームのサイズは、低圧押し出しまたは加圧に使用されるメンブランのポアサイズおよびマイクロ流体化で使用される圧力および透過数を制御することにより、あるいは従来技術で知られている他の適切な方法によって日常的に制御できる。
【0207】
一般的に、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はリポソームの中、すなわち内側(内部)空間に含有される。一つの実施形態では、置換されたアンモニウムがリポソームの周りの外部メディウムから部分的にまたはほぼ完全に取り除かれる。このような除去は従来技術で知られている任意の適切な手段(例えば、希釈、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、透析、限外ろ過、および沈殿)によって達成できる。従って、前述のさもなければ従来技術で知られているリポソームを作製する方法は、押し出しステップ後にリポソームの外部の水溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を取り除くステップを任意にさらに含み得る。
【0208】
他の実施形態では、本開示は葉酸受容体を選択的に標的にする標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(PLPA)を提供し、それは内部空間を含むリポソーム、内部空間内に配置されるポリグルタミン酸化抗葉酸剤、リポソームの外側に結合される立体的安定剤分子、および少なくとも1種類の葉酸受容体に対する特異的な親和性を有するタンパク質を含む標的化部分を含み、当該標的化部分は立体的安定剤およびリポソームの外側の少なくとも1つに結合される。この実施形態の成分は、本開示の他の実施形態で説明されるものと同一であり得る。例えば、標的化ペグ化リポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤およびPEGであり得る立体的安定剤は、本開示の他の部分で説明される通りである。
【0209】
いくつかの実施形態では、本開示は捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含有するリポソームを含む非標的化組成物を調製する方法を提供し、本方法は、リポソーム成分、溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む混合物を形成すること;混合物をホモジナイズして溶液中にリポソームを形成すること;および混合物を処理してポリグルタミン酸化抗葉酸剤を捕捉および/または封入するリポソームを形成することを含む。いくつかの実施形態では、処理は、薄膜の水和、押し出し、インライン混合、および撹拌:1つ以上を含み、粒子が形成されると、粒子はそれらのサイズを押し出しおよび超音波処理の1つ以上によってさらに変更できる。いくつかの実施形態では、非標的化組成物は少なくとも10%のリポソーム捕捉されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームはアニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、リポソームはカチオン性である。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示は捕捉および/または封入されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含有するペグ化リポソームを含む標的化組成物を調製する方法を提供し、標的化部分はアミノ酸鎖であり、アミノ酸鎖は複数のアミノ酸を含み、標的化部分は葉酸受容体の少なくとも1つの型に対する特異的な親和性を有し、特異的親和性は少なくとも1つの型の葉酸受容体に対して0.5×10-10~10×10-6モル[0.05ナノモル~10μモル]の範囲の平衡解離定数(Kd)を含むように定められ、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一つまたは両方に結合され、方法はリポソーム成分、溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む混合物を調製すること、混合物をホモジナイズして溶液中にリポソームを形成させること、混合物を処理してポリグルタミン酸化抗葉酸剤を捕捉および/または封入するリポソームを形成させること、およびポリグルタミン酸化抗葉酸剤を捕捉および/または封入するリポソームの表面上に標的化部分を与えることを含み、標的化部分は葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)および葉酸受容体δ(FR-δ)の少なくとも1つに対し特異的な親和性を有する。いくつかの実施形態では、処理は薄膜水和法、押し出し、インライン混合、および撹拌の1つ以上を含み、粒子が形成されると、粒子は押し出しおよび超音波処理の1つ以上によってそれらのサイズをさらに変更できる。いくつかの実施形態では、標的化組成物は、少なくとも10%のリポソーム捕捉されたポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む。いくつかの実施形態では、リポソームはアニオン性または中性である。いくつかの実施形態では、標的化部分は葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)および葉酸受容体δ(FR-δ)の1つ以上に対する特異的な親和性を有する。さらなる実施形態では、標的化部分は葉酸受容体α(FR-α)および葉酸受容体β(FR-β)に対する特異的な結合親和性を有する。追加の実施形態では、標的化部分は腫瘍細胞に存在するが非腫瘍細胞には存在しないまたは到達できない腫瘍細胞表面抗原上のエピトープに対し特異的な親和性を有する。
【0211】

次の例は、限定されないが、明白または暗に、いずれかの手段、形状、または形態で本開示を説明することが意図されている。これらは使用され得る典型的なものであるが、従来技術の当業者に知られている他の手順、方法論、または技術も代わりとして使用され得る。例示的な組成物は例示的なリポソームを含む。例示的な組成物および例示的なリポソームの両方が例セクションで説明される実験で使用され、本開示全体を通して本開示の具体的な実施形態であり、本開示の全範囲を定めることは意図されない。
【0212】
図5はL-γペンタグルタミン酸化ペメトレキセドの化学式を示す。細胞内に入ると、ペメトレキセドは酵素ホリルポリグルタミン酸シンテターゼによってポリグルタミン酸型に転換される。示される化学式は、各グルタミン酸がL型であるペンタグルタミン酸である。さらに、各結合はグルタミン酸のγカルボキシルによるものである。
【0213】
図6は本開示に包含される例であるL-γポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物の化学式を示す。グルタミン酸はL型であり、それらはグルタミン酸のγカルボキシルによって連結される。
【0214】
方法
ヘキサグルタミン酸化ペメトレキセド(HGP)リポソームの作製
簡単に説明すると、γHGP(gG6)を次の手順によってリポソームに封入した。最初に、リポソーム膜の脂質成分を量り分け、エタノール中の濃縮溶液として約65℃の温度で混合した。この例では、使用した脂質はホモジナイズされたダイズホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])だった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比は約3:2:0.15だった。次に、gG6を6.5~6.9のpHで20mg/mLの濃度にて水性緩衝液に溶解した。薬剤溶液を65℃まで加熱した。エタノール脂質溶液を小孔ニードルによってgG6に注入した。このステップの際、薬剤溶液を磁気撹拌装置によって十分撹拌した。混合を高温(63~72℃)で実施して、脂質が液晶状態(液体転移温度Tm=51~54℃を下回る温度で達するゲル状態に対して)にあることを確実にした。結果として、液体は水和化され、水性コアにgG6を含む複数の二層(多層膜)小胞(MLV)を形成した。
【0215】
フィルター押し出しを用いるMLVのサイズ低下
MLVを積層(トラックエッチ化ポリカーボネート)メンブランの2回通過を用いる高圧押し出しによって所望サイズの単層(単一二層)小胞に分画化した。積層メンブランは200nmのポアサイズを伴う2層および100nmのポアサイズを伴う6層を有した。押し出しの際、温度を、Tmを超えて維持して液体メンブランの可塑性を確実にした。押し出しの結果として、サイズおよび層化性が大きく不均一であるMLVは、それらの内部に薬剤を隔絶した小さく均一(100~120nm)な単層小胞(ULV)になった。後方散乱検出器(90°)を有するMalvern Zetasizer Nano ZS装置(サウスボロー,マサチューセッツ州)を、石英微量キュベット中25℃で流体力学サイズ(直径)を測定するために使用した。サンプルを分析前に製剤マトリックス中で50倍に希釈した。
【0216】
リポソームの精製
gG6を含有するULVが調製された後、リポソーム外gG6を、小容量用カラムまたは大容量に適した緩衝液に対する接線流ダイアフィルトレーションを用いて取り除いた。任意の緩衝溶液を使用できるが、本例では、使用した緩衝剤は5mMのHEPES、145mM塩化ナトリウム、pH6.7だった。精製の終了時、ろ過滅菌を0.22ミクロンフィルターを用いて実施した。
【0217】
抗体共役体化
活性化リポソームを、DSPE-PEG-マレイミドを脂質組成物に加えることによって調製した。リポソームは4種の異なる脂質:水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](DSPE-PEG-2000)、および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、を3:2:0.1125:0.0375の比で含む。
【0218】
抗体チオール化を、トラウト試薬(2-イミノチオラン)の使用により実施して、スルフヒドリル基を第一級アミンに結合させた。抗体を0.9~1.6mg/mLの濃度でPBSに懸濁させた。トラウト試薬(14mM)を1~5mMの最終濃度で抗体溶液に加え、次いで室温で1時間インキュベーション後に透析によって除去した。チオール化抗体を活性化リポソームに60g/molリン酸脂質の比で加え、反応混合物を室温で1時間および4℃で一昼夜インキュベーションした。L-システインを使用して反応を停止させ、未共役体化抗体を透析によって取り除いた。
【表1】
【0219】
HGP(ペンタグルタミン酸化ペメトレキセド)およびリポソームの用量反応試験
細胞生存率を、CellTiter-Glo(登録商標)(CTG)発光細胞生存率アッセイによって3日目(48時間)および4日目(72時間)に測定した。このアッセイは培養中の生細胞の数をその中に存在したATPを定量することに基づいて測定し、これが今度は代謝的に活性な細胞の存在を示す。CTGアッセイは読み取りにルシフェラーゼを使用する。ペメトレキセドの細胞生存率用量反応阻害を評価するため、異なる癌細胞増殖におけるHGPおよびリポソームを、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイを用いて検討した。ヒト癌細胞を収集し、計数し0日目に同一細胞密度でプレートに播種した。各試験物質の8段階希釈系列を1日目に細胞に加えた。用量反応曲線を作製し、GraphPad Prismを用いてフィッティングし、各試験物質のIC50を計算した。IC50がより低いと、試験物質は癌細胞増殖阻害に関しより強力だった。
【0220】
細胞を96ウェルプレートに、新鮮な培地100μL中ウェルあたり細胞5×104個の細胞密度で0日目に播種した。培養培地中の各試験物質の8段階2倍希釈系列を調製し1日目に三重で細胞に加えた。さらに、細胞の3ウェルをコントロールとしてビヒクル(薬剤無含有のHBSまたはリポソームHGP用の空リポソーム)単独で処理した。
【0221】
3および4日目にCellTiterGlo(登録商標)の100μLを各ウェルに加え、室温で15分間インキュベーションした。ルシフェラーゼ発光を各ウェルについて記録した。さらに、培養培地中のビヒクル(HBSまたは空リポソーム)の8段階2倍希釈系列を空ウェルに加えアッセイに含めて、バックグランド発光シグナルを生成した。ルシフェラーゼシグナルを、それぞれ読み取りからバックグランド発光シグナルを差し引くことによって基準化した。
【0222】
ヒト正常一次骨髄CD34+細胞をATCCから得た(ATCC、カタログ番号PCS-800-012)。細胞を37℃で1分間融解してから氷上に置いた。細胞を次いでStemSpan SFEM(Stem Cell Techカタログ番号9650)+10%加熱不活化ウシ胎児血清(コーニング、35-015-CV)に再懸濁した。細胞を2.5×104個/ウェルの密度で96ウェル培養プレートに播種した。翌日、生細胞を遠心分離によって収集し、好中球増殖培地(StemSpan SFEM)+10%加熱不活化ウシ胎児血清+100ng/mLヒト幹細胞因子(シグマ、カタログ番号H8416)、20ng/mLヒト顆粒球コロニー刺激因子(シグマ、カタログ番号H5541)、および10ng/mLヒト組換えIL3(シグマ、SRP3090)に細胞2.5×104個/ウェルの密度で再懸濁した。細胞を37℃で10日間インキュベーションした。新鮮な培地を2日毎に加えた。成熟好中球を次いで収集し細胞1×104個/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、37℃で一昼夜インキュベーションした。翌日、試験物質またはビヒクルを好中球培地に再懸濁しプレートに加えた。細胞を次いで37℃で48時間または72時間のいずれかでインキュベーションしてから、Cell Titer Glo Assay(プロメガ、カタログ番号G7572)を用いて各時点で測定した。
【0223】
細胞株AML12(非癌性肝細胞)およびCCD841(非癌性結腸上皮細胞)で使用される方法論は、癌細胞に使用される方法と同様である。
【0224】
結果
遊離ペメトレキセドγヘキサグルタミン酸(gG6)、(非標的化)リポソームペメトレキセドγヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)、ペメトレキセド、および葉酸受容体α標的化抗体(FR1Ab)リポソームペメトレキセドγヘキサグルタミン酸(リポソームgG6-FR1Ab)の、NCI H2342非小細胞肺癌(NSCLC)、腺癌亜型における用量反応関係を図7に示す。結果はルシフェラーゼ発光によって測定される細胞生存率である。この図7で示されるように、遊離ペメトレキセドgG6はIC50で測定されるとき最も低い能力であると考えられる。リポソームペメトレキセドgG6およびリポソームペメトレキセドgG6-FR1Abはともに遊離ペメトレキセドよりそれぞれ7倍および40倍強力である。図8および図9は同様なデータを処理の48時間後における生存細胞のパーセントとして示す。
【0225】
同様なデータがHT-29結腸癌細胞株について、パーセントとして表される細胞生存率を示す図10および11で示される。これらの図で示されるように、遊離ペメトレキセドgG6は最も低い能力であると考えられる。この例では、リポソームペメトレキセドgG6はペメトレキセドの2倍強力であり、リポソームペメトレキセドgG6-FR1Abは遊離ペメトレキセドより5倍強力である。
【0226】
追加の細胞株、すなわちOAW28卵巣癌細胞およびSW260結腸癌細胞もペメトレキセドγG5(gG6とも呼ばれる)製剤によって処理した。図12に示されるように、上記データと一致して、遊離ペメトレキセドgG6は最も低効果であり、リポソームペメトレキセドgG6はペメトレキセドより効果的であると考えられる。
【0227】
図13は、リポソームペメトレキセドgG6-FR1Abが非標的化リポソームペメトレキセドgG6および遊離ペメトレキセドgG6より癌細胞の数値的に高い阻害をもたらすことを示す。
【0228】
別の一連の用量反応実験では、癌の異なる型を代表する6種の細胞株、すなわちHT-29(結腸癌)、H2342(NSCLC、腺癌亜型)、H292(NSCLC、腺癌亜型)、SW620(CRC)、H1806(トリプルネガティブ乳癌)、およびOAW28(卵巣癌)を試験した(図14)。処理はリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸(リポソームgG6)を用いる48時間暴露から構成された。
【0229】
48時間にわたる暴露後、ペメトレキセドと比較した上記誘導体のすべての相対的能力を図14に示す。多様な誘導体を用いた処理の相対的な能力は、本図に示されるように、各細胞株についてペメトレキセドのIC50をリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸のIC50により除することにより算出した。本図で示されるように、すべての細胞株において、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸の能力はペメトレキセドの能力を十分超えた。例えば、NSCLC細胞株H292を考える。図に示されるように、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸の能力はペメトレキセドの能力の25~50倍以上の範囲だった。このことは、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸の4%以下の用量がペメトレキセドの100%用量と同じ治療効果を有することを示唆する。
【0230】
乳癌、肺癌、および卵巣癌における代表的な細胞株に対する細胞毒性活性についてリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸(リポソームgG6/Lps Hexa gG6)とペメトレキセドを比較する癌細胞生存率試験を図15~17に示す。これらのデータは、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸がペメトレキセドよりも能力が高いことを示す。さらに、効能の指標として、同一細胞株における実験の結果を、図18~20において16~128nMの範囲の様々な用量で示した。これらの図で示されるように、これらの用量範囲のそれぞれで、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸は肺癌および乳癌細胞株において癌細胞の阻害に関してペメトレキセドよりも優れている(それぞれ図18および19)。卵巣癌細胞株において、128nMの用量でペメトレキセドはリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸と同等に効果的であると思われ(図20を参照)、一方、32nMおよび64nMの用量でリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸はペメトレキセドよりも良好な治療効果を有し、16nMで治療効果は低く、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸とペメトレキセドで同程度である。
【0231】
ペメトレキセドによって治療される患者で認められる主な毒性は骨髄抑制であり、それは好中球数(白血球細胞型)を含む血球数の低下として現れる。下痢および粘膜炎として現れる口腔および消化管の内層でのいくつかの有害効果もあり、ならびにいくつかの例では肝臓に対する有害効果がある。上記毒性を評価するため、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸およびペメトレキセドの処置を好中球、CCD841結腸上皮細胞、およびAML12肝細胞に分化されたCD34+細胞で48時間にて測定した。図21に示されるように、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸はペメトレキセドと対比的に、分化するヒト好中球に対し有意に低い毒性である。これはまた、16~128nMの用量範囲で、ペメトレキセドと比較して本誘導体での処理後に良好に維持される、好中球数によって裏付けられる(図21)。際立ったことに、試験した用量レベルでのリポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸による処理後に、肝細胞に対するいずれの毒性もないようにみえる(図22)。これに反し、ペメトレキセドは試験したすべての用量で、肝細胞数における約40%の低下をもたらす。そして最後に、同じ傾向が上皮結腸細胞の処理後に認められる(図23)。この図で示されるように、試験したすべての用量でペメトレキセドは、リポソームペメトレキセドヘキサグルタミン酸での処置後の約20%以下の低下に比べて、細胞数での約50%以上の低下をもたらしている。
【0232】
本開示の非限定的な例示的実施形態では、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む組成物が提供される。
【0233】
直前のパラグラフの組成物において、組成物はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含み得る。
【0234】
上記の2パラグラフのいずれかの組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1つ以上のメンバーであり得る。
【0235】
上記の3パラグラフのいずれかの組成物において、組成物はポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、またはLTXであり得るポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含み得る。
【0236】
上記の4パラグラフのいずれかの組成物において、組成物はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化抗葉酸剤を含み得るポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含み得る。
【0237】
上記の5パラグラフのいずれかの組成物において、組成物はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含み得るポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含み得る。
【0238】
非限定的な例であるリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤(LPA)組成物は上記の6パラグラフのいずれかの組成物を含み得、リポソームは任意にペグ化され得る(PLPA)。
【0239】
直前のパラグラフのLPAまたはPLPA組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化葉酸剤を含み得る。
【0240】
上記の2パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤は、ポリグルタミン酸化メトトレキサート(MTX)、ポリグルタミン酸化ペメトレキセド(PMX)、ポリグルタミン酸化ロメトレキソール(LTX)、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化ラルチトレキセド(RTX)、ポリグルタミン酸化ピリトレキシム、ポリグルタミン酸化プララトレキサート、ポリグルタミン酸化AG2034、ポリグルタミン酸化GW1843、ポリグルタミン酸化アミノプテリン、およびポリグルタミン酸化LY309887からなる群から選択される1つ以上のメンバーであり得る。
【0241】
上記の3パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はポリグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXである。
【0242】
上記の4パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化葉酸剤を含み得る。
【0243】
上記の5パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、ポリグルタミン酸化抗葉酸剤はペンタグルタミン酸化またはヘキサグルタミン酸化PMX、MTX、RTX、および/またはLTXを含み得る。
【0244】
上記の6パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、リポソームはアニオン性または中性であり得る。
【0245】
上記の7パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合され得、標的化部分は目的の標的細胞上の表面抗原に対する特異的な親和性を有し得る。
【0246】
上記の8パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合され得、ポリペプチドであり得る。
【0247】
上記の9パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPA組成物において、標的化部分はPEGおよびリポソームの外側の一方または両方に結合され得、抗体または抗体のフラグメントであり得る。
【0248】
上記の10パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPAにおいて、免疫刺激剤、検出可能なマーカー、およびマレイミドの1つ以上が、PEGおよびリポソームの外側の少なくとも1つに配置され得る。
【0249】
上記の11パラグラフのいずれかのLPAまたはPLPAにおいて、ポリペプチドはビアコア分析を用いて測定されるとき0.5×10-10~10×10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で抗原を結合し得る。
【0250】
上記の12のパラグラフのいずれかのLPAまたはPLPAにおいて、ポリペプチドは、葉酸受容体α(FR-α)、葉酸受容体β(FR-β)、および葉酸受容体δ(FR-δ)からなる群から選択される1種類以上の葉酸受容体を特異的に結合し得る。
【0251】
高増殖性細胞を死滅する非限定的な例示的方法は、高増殖性細胞をパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物と接触させることを含み得る。
【0252】
直前のパラグラフの方法において、高増殖性細胞は癌細胞であり得る。
【0253】
癌を治療するための非限定的な例示的方法は、癌を有するまたは有するリスクのある被験体にパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤の効果的な量を投与することを含み得る。
【0254】
直前のパラグラフの方法において、癌は肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、および血液悪性腫瘍からなる群から選択される1種類以上であり得る。
【0255】
癌療法を実施しているまたは実施したことがある被験体のための非限定的な例示的維持療法は、癌療法を実施しているまたは実施したことがある被験体にパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤の効果的な量を投与することを含み得る。
【0256】
非限定的な例示的医薬組成物は、パラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を含み得る。
【0257】
免疫系の障害を治療するための非限定的な例示的方法は、免疫系の障害を有するまたは有するリスクのある被験体にパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物の効果的な量を投与することを含み得る。
【0258】
感染性疾患を治療するための非限定的な例示的方法は、感染性疾患を有するまたは有するリスクのある被験体にパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物の効果的な量を投与することを含み得る。
【0259】
その表面に葉酸受容体を発現する腫瘍にポリグルタミン酸化抗葉酸剤を送達する非限定的な例示的方法は、腫瘍にポリグルタミン酸化抗葉酸剤の治療上効果的な用量を送達する量で腫瘍を有する被験体にパラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を投与することを含み得る。
【0260】
パラグラフのいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を含み得るリポソームポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を調製する非限定的な例示的方法は、リポソーム成分、溶液中のポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含む混合物を形成すること、混合物をホモジナイズして溶液中にリポソームを形成させること、および混合物を処理してポリグルタミン酸化抗葉酸剤を含むリポソームを形成させることを含む。
【0261】
非限定的な例示的医薬組成物は、パラグラフ[0254]~[0272]のいずれかのポリグルタミン酸化抗葉酸剤組成物を含み得る。
【0262】
本開示は種々のいくつかの実施形態を参考にして説明されているが、様々な変更が本開示の趣旨から逸脱することなくなされ得ると理解されるべきである。従って、本開示の範囲は、添付の請求を参照して判断されるべきであり、このような請求によって権利を与えられる均等物の全範囲を伴う。特許出願および公開を含む、すべての引用された文献および参考の開示は、すべての目的のために参考によって本明細書に援用される。
【0263】
様々な新規化学物質、これらの化学物質を作製するための方法および装置が添付の請求で後述される。
図1
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図3A
図3B
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