(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ワーク反転装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/248 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
B65G47/248 C
(21)【出願番号】P 2020015516
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2019153319
(32)【優先日】2019-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100092738
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】北浦 一郎
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/031983(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3001251(JP,U)
【文献】実開昭53-116974(JP,U)
【文献】特開平08-217226(JP,A)
【文献】特開2018-020366(JP,A)
【文献】特開昭49-036098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交配置された2面のワーク取付面を有するワーク取付部の左右両側に設けられた回動体と、
前記回動体
は円板を前記ワーク取付部に沿うように切り欠いた形状に形成されており、前記回動体の外周面は円弧面に形成されており、該円弧面を回動自在に支承する複数の支承ロールを備えた基台と、
前記基台の内部に設けられて、前記回動体を回動させるスプロケットを備えた駆動装置と、
前記両側の少なくとも一方の回動体に等ピッチで一体的に設けられて、前記スプロケットに噛合するピンとを有し、
前記ピンを有する回動体は、外周面が前記支承ロールに支承される一対の側板を有し、該側板間に前記ピンが配置されて
おり、
前記ワーク取付部の背面側の突起物を覆うように、前記左右の回動体間に、一体もののカバー部材が設けられている90度ワーク反転装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記基台のセンター付近に配置された駆動モータを有し、該駆動モータの減速機出力軸に前記スプロケットが設けられている請求項1記載の
90度ワーク反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワーク反転装置として特許文献1(実公平5-43024号公報)や特許文献2(特開平11-49317号公報)に記載のものがある。これら従来の反転装置の駆動装置としては、回転枠や反転ドラムの外周面にチェーンを張設したり、回転枠にラックを形成したりしたものであった。
【0003】
特許文献3(特開2018-199151号公報)や特許文献4(特開2019-43703号公報)に記載のものは、回転体と別体の円板にピンを設けたり、回転体と別体のラック形成体を設けたりしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平5-43024号公報
【文献】特開平11-49317号公報
【文献】特開2018-199151号公報
【文献】特開2019-43703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1や2記載の駆動装置は、回転枠や反転ドラムの外周面にチェーンを張設したものであったので、チェーンの緩みが生じ、回転駆動の始動時や停止時にショックが発生したりして、回転枠や反転ドラムの正確な回転位置決めができないという問題があった。また回転枠にラックを形成するものでは、大径の回転枠の外周面にラックを形成しなければならないため、大型の歯切り盤を必要とし、コスト高になるものであった。
【0006】
一方、前記特許文献3や4記載のものは、そのような問題は解消されてはいるが、回転体とは別にラック形成体や円板を設けていたため、部品点数が多く、コスト高になるものであった。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来技術の課題を解決して、部品点数を削減した反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本件発明の90度ワーク反転装置は、直交配置された2面のワーク取付面を有するワーク取付部の左右両側に設けられた回動体と、前記回動体は円板を前記ワーク取付部に沿うように切り欠いた形状に形成されており、前記回動体の外周面は円弧面に形成されており、該円弧面を回動自在に支承する複数の支承ロールを備えた基台と、前記基台の内部に設けられて、前記回動体を回動させるスプロケットを備えた駆動装置と、前記両側の少なくとも一方の回動体に等ピッチで一体的に設けられて、前記スプロケットに噛合するピンとを有し、前記ピンを有する回動体は、外周面が前記支承ロールに支承される一対の側板を有し、該側板間に前記ピンが配置されており、前記ワーク取付部の背面側の突起物を覆うように、前記左右の回動体間に、一体もののカバー部材が設けられている。
【0009】
前記駆動装置は、前記基台のセンター付近に配置された駆動モータを有し、該駆動モータの減速機出力軸に前記スプロケットが設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本件発明によれば、回転体に一体にピンが設けられているので、従来のものに比べ、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るワーク反転装置の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び
図2に示すものは、ワークとして金型を90度反転させるものである。
【0018】
この反転装置は、ワーク取付部1の左右両側に回動体2が設けられている。ワーク取付部1は、直交配置された2面のワーク取付面1a、1bを有する。回動体2は、円板をワーク取付部1に沿うように切り欠いた形状に形成されている。
【0019】
回動体2の外周面は円弧面に形成されている。回動体2が基台3に設けられた複数の支承ロール4に回転自在に支承されている。支承ロール4は4個が、回動体2の回転中心に対して左右両側に対称に上下に配置されている。支承ロールの個数や配置はこの実施の形態に示すものに限定されない。
【0020】
基台3には、回動体2を回動させる駆動装置5が設けられている。そして回動体2には、駆動装置5の回転動力を伝達する伝達部6が一体的に設けられている。駆動装置5には、回動体2に動力を伝達するスプロケット7を有する。
【0021】
回動体2には、スプロケット7と噛合するピン8が一体的に植設されて前記伝達部6とされている。
【0022】
スプロケット7は、基台3に回転自在に設けられている。スプロケット7には、基台3に設けられた駆動モータ9から、伝動機構10を介して動力が伝達される。
【0023】
回動体2は、外周面が支承ロール4に支承される一対の側板2a、2bを有し、この側板2a、2bにわたってピン8が一体的に設けられている。ピン8は、側板2a、2bに同一円周上に等間隔で配置されている。このピン8の側板2a、2bへの一体的固定手段は、ネジ結合、ナット結合、溶接結合等であれば良く、特に限定されない。
【0024】
スプロケット7は、最上位の支承ロール4とその下方の支承ロール4の中間位置に配置されている。
【0025】
図1において、前記伝達部6は、左右一対の回動体2の両方に設けられている。したがって、スプロケット7も左右一対設けられている。左右一対のスプロケット7は、伝動機構10を介して一つの駆動モータ9により駆動される。
【0026】
なお、本発明では、伝達部6は、少なくとも、左右両側の回転体のいずれか一方に設けられていればよい。この場合、伝達部6が設けられていない回動体2の側板は一枚であっても良い。
【0027】
上記構成の実施の形態によれば、駆動モータ9からの動力が伝動機構10を介してスプロケット7に伝達され、スプロケット7の動力は、回動体2の伝達部6に伝達されて、回動体2を回動させる。
【0028】
図3及び
図4に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、回動体2の構造が前記実施の形態と異なるものである。
【0029】
ピン8を有する回動体2は、外周面が前記支承ロール4に支承される大径側板2aと、該側板2aより小径とされた小径側板2bとを有する。両側板2a、2b間に前記ピン8が配置されている。
【0030】
大径側板2aの厚みt1と、小径側板2bの厚みt2とは、t1>t2とされており、大径側板2aが支承ロール4によって支承される強さを有している。
【0031】
図5~
図7に示すものは、本発明の他の実施の形態である。この実施の形態では、ワーク取付部1の背面に、バックカバー11が設けられている。バックカバー自体は、特許文献4(特開2019-43703号公報)においても開示されているが、従来のものは、内部の駆動装置と干渉しないようにスリットが設けられ、第1カバー部材と第2カバー部材との分割構造とされていた。
【0032】
しかし、本発明の実施の形態では、駆動装置5の伝達部6は、左右両側の回動体2で行われるため、左右の回動体2,2間を一体のカバー部材11で覆うことができる。
【0033】
カバー部材11は、薄鋼板で部分円筒状に形成され、ワーク取付部1の背面を覆うように、ワーク取付部材1や左右の回動体2に、その周縁が固定されている。
【0034】
カバー部材11は、左右の回動体2,2を連結固定する連結ロッド12等のワーク取付部1背面側に突出する突起物12を覆い隠すように設けられているので、これらの突起物12に巻き込まれる危険性が回避されて安全性が増す。
【0035】
また、この実施の形態では、駆動装置5が反転装置のセンター付近に配置されている。駆動モータ9の減速機出力軸にスプロケット7が設けられ、このスプロケット7が伝達部6のピン8に直接噛合している。
【0036】
この実施の形態では、
図2に示す伝達機構10(チェーン)が不要とされて、部品点数の削減が図られる。
【0037】
これらの実施の形態によれば、回転体とは別体のラック形成体又は従動歯を設けた円板を有する従来のものに比べて、部品点数が削減される。また、バックカバーを設けるものにあっては、カバー部材を一体ものとすることができるので、従来の分割型に比べ部品点数が削減される。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、ワークとして金型に限定されるものではない。また、本発明は、スプロケットが支承ロールの一つに同心状に設けられているものも含むものである。また、図示省略するが、回動体の外周面に溝が周設され、該溝内に前記ピンが配置されているものも含む。
【0039】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 ワーク取付部(1a、1bは取付面)
2 回動体(2a、2bは側板)
3 基台
4 支承ロール
5 駆動装置
6 伝達部
7 スプロケット
8 ピン
9 駆動モータ
10 伝動機構
11 バックカバー
12 突起物(連結ロッド)