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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】部門実働時間分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20241025BHJP
   G06Q 10/105 20230101ALI20241025BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q10/105
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020050389
(22)【出願日】2020-03-21
(65)【公開番号】P2021149720
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517291944
【氏名又は名称】コスモネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 弘行
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133374(JP,A)
【文献】特開2007-323267(JP,A)
【文献】特開2008-234184(JP,A)
【文献】米国特許第05459657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
複数の部門データを記録するステップ、
人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び前記予定勤務時間データの各時刻に対応した予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、
人員データに対応した実際勤務時間データを記録するステップ、
前記人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき前記部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を実行させる部門実働時間分析プログラム。
【請求項2】
前記人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき前記部門データ毎に部門実働データを記録するステップは、
前記人員計画データの前記予定勤務時間データと前記実際勤務時間データの重複部分を、当該予定勤務部門データに対応する前記部門データの前記部門実働データに算入する請求項1記載の部門実働時間分析プログラム。
【請求項3】
前記人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき前記部門データ毎に部門実働データを記録するステップは、
前記人員計画データの前記予定勤務時間データと前記実際勤務時間データの重複しない部分を、当該重複しない部分に隣接する前記重複部分における前記予定勤務部門データに対応する前記部門データの前記部門実働データに算入する請求項2記載の部門実働時間分析プログラム。
【請求項4】
前記人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき前記部門データ毎に部門実働データを記録するステップは、
前記隣接する前記重複部分が二つある場合、いずれか一方の前記重複部分における前記予定勤務部門データに対応する前記部門データを選択し、当該部門データの前記部門実働データに算入する請求項3記載の部門実働時間分析プログラム。
【請求項5】
前記部門実働データと、売上データとを表示装置に表示させるステップを備える請求項1記載の部門実働時間分析プログラム。
【請求項6】
コンピュータが、
複数の部門データを記録するステップ、
人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び前記予定勤務時間データの各時刻に対応した予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、
人員データに対応した実際勤務時間データを記録するステップ、
前記人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき前記部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を実行する部門実働時間分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部門実働時間分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるスーパーマーケット等の小売店舗において毎日の従業員の人員配置を検討するにあたり、部門毎に必要となる人員に対する過不足人数を算出することにより、人員調整を補助し収益性を向上させることは極めて重要である。
【0003】
例えば、収益性を図る一つの指標である人時生産性を作成するための技術としては、例えば下記特許文献1に業務スケジュール表作成プログラムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-76049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように業務スケジュール表を作成したとしても、実際の実働との差分を取り、当初の業務スケジュール表に対するフィードバックをかけることで、初めて収益性を向上させることができる。しかしながら、上記技術ではそのフィードバックに対する課題が残る。
【0006】
そして、実際にフィードバックをかけるためには、各従業員の実際に勤務した時間を部門毎に把握する必要がある。
【0007】
しかしながら、実際に各従業員がどの部門の仕事をどの程度したのかについては、現状一般に用いられているシステムだけでは対応が極めて困難である。具体的には、一般に各従業員の勤務時間を把握する手段としては、いわゆるタイムカードがあるが、このタイムカードには従業員の識別と、その従業員の勤務時間のみが入力されるものであり、その従業員がどの部門の仕事をどの程度行ったのかについての情報は含まれない。したがって、上記のように部門ごとの実働時間を正確に把握することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、できる限り正確に部門毎の実働時間を把握することができる部門実働時間分析プログラム及び部門実働時間分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る部門実働時間分析プログラムは、コンピュータに、複数の部門データを記録するステップ、人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、実際勤務時間データを記録するステップ、人員計画データと実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を実行させるものである。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、人員計画データと実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップは、人員計画データの予定勤務時間データと、実際勤務時間データの重複部分については重複部分の予定勤務部門データを部門実働データに算入することが好ましい。
【0011】
また、さらに上記において、限定されるわけではないが、人員計画データと実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップは、人員計画データの予定勤務時間データと、実際勤務時間データの重複しない部分については、隣接する、人員計画データの予定勤務時間データと実際勤務時間データの重複部分の予定勤務部門データを、部門実働データに算入又は部門実働データから除去するようにすることが好ましい。
【0012】
また、さらに上記において、限定されるわけではないが、隣接する、人員計画データの前記予定勤務時間データと実際勤務時間データの重複部分の予定勤務部門データが二つある場合、いずれか一方の予定勤務部門データを選択するようにすることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、部門実働データと、売上データとを表示装置に表示させるステップを備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の一観点に係る部門実働時間分析方法は、複数の部門データを記録するステップ、人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、実際勤務時間データを記録するステップ、人員計画データと実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明により、できる限り正確に部門毎の実働時間を把握することができる部門実働時間分析プログラム及び部門実働時間分析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る部門実働時間分析方法のフローの概略について示す図である。
図2】実施形態に係る部門実働時間分析方法の具体的な例における部門データの値とこれに対応する部門の関係を示す図である。
図3】実施形態に係る部門実働時間分析方法の具体的な例における人員計画データを表示装置に表示させた場合のイメージ図である。
図4】実施形態に係る部門実働時間分析方法の具体的な例における実務勤務時間データを表示装置に表示させた場合のイメージ図である。
図5】実施形態に係る部門実働時間分析方法の判定処理の一つについてのイメージ図である。
図6】実施形態に係る部門実働時間分析方法の判定処理の一つについてのイメージ図である。
図7】実施形態に係る部門実働時間分析方法の判定処理の一つについてのイメージ図である。
図8】実施形態に係る部門実働時間分析方法により表示される売上及び部門ごとの実働時間を表示させた場合のイメージ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0018】
(部門実働時間分析プログラム)
本実施形態に係る部門実働時間分析プログラム(以下「本プログラム」という。)は、コンピュータに、(S1)複数の部門データを記録するステップ、(S2)人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、(S3)実際勤務時間データを記録するステップ、(S4)人員計画データと実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を実行させるものである。図1に、本プログラムによって実行される方法のフローの概略について示しておく。
【0019】
(部門実働時間分析方法)
本プログラムは、上記の通り、情報処理装置すなわちコンピュータによって実行されるものであり、具体的にはコンピュータのハードディスク等の記録媒体に格納され、必要に応じてメモリ等の揮発性記録媒体に読み込まれ、実行されることになる。すなわち、本プログラムは、コンピュータにおいて実行されることにより、上記図で示す(S1)複数の部門データを記録するステップ、(S2)人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップ、(S3)実際勤務時間データを記録するステップ、(S4)人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップ、を有する部門実働時間分析方法(以下、本実施形態に係る部門実働時間分析方法を単に「本方法」という。)を実現することができる。
【0020】
なお本プログラムを実行するために用いられるコンピュータは、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば一般的なコンピュータの構成要素である中央演算装置(CPU)、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体、メモリ等の揮発性記録媒体、これらを接続するバス、キーボードやマウス等の入力装置、モニタ等の表示装置等を含むことが好ましいがこれに限定されない。
【0021】
次に、本プログラムによって実行される本方法の各ステップについて詳細に説明していく。本方法は、限定されるわけではないが、いわゆるスーパーマーケット等の複数の人員を複数の部門で管理しつつ人員の過不足があった場合に部門間において融通するような組織において有効に活用することができる。具体的には、複数の部門を備え、そのそれぞれにおいて人員計画を立てる一方、従業員に対しては一つのタイムレコーダー等の出退勤時刻を記録する装置(出退勤記録装置)で勤怠管理を行う(出退勤記録装置ではどの部門で作業を行ったかといった情報を入力しない場合の)組織に適用することが好適である。さらに具体的には、一つのスーパーマーケットに鮮魚部門、精肉部門、青果部門、惣菜部門、グロサリー部門、日用品部門、レジ部門、日配部門等を有し、そのそれぞれに複数の人員を抱えており、人員の過不足があった場合にこれらの部門間において所属する人員の融通を行う組織等が典型的に応用できる部門であるがこれに限定されない。ただ、以下本方法を説明するに際し、分かり易くする観点から、一つのスーパーマーケットにおいて、鮮魚部門、精肉部門、青果部門、惣菜部門、グロサリー部門、日用品部門、レジ部門、日配部門の8部門がある具体例(以下「本具体例」という。)を用いて説明する。なお、スーパーマーケット以外の人員を複数の部門で管理しつつ人員の過不足があった場合に部門間において融通するような組織の他の例としては、例えば工場や、遊園地、水族園、動物園又は博物館等の娯楽施設等が該当するがもちろんこれらにも限定されるわけではない。
【0022】
上記を背景に、まず、本方法では、(S1)複数の部門データを記録するステップを有する。ここで「部門」とは、例えば一つの組織内においてその機能や業務内容によって分けられた単位(グループ)を意味し、上記した本具体例における鮮魚部門等の業務遂行単位が該当する。そして「部門データ」とは、この部門の種類に関する情報を含むデータであって、その組織が有する部門の数だけ存在する。具体的には、「部門データ」は、その値に応じて部門の種類が特定される。本具体例では、部門データの値に応じて、その部門が鮮魚部門であるか、精肉部門であるか、青果部門であるか、惣菜部門であるか、グロサリー部門であるか、日用品部門であるか、レジ部門であるか、日配部門であるかを判断することができる。すなわち、「複数の部門データを記録する」とは、一つの組織に複数の部門があり、そのそれぞれの部門の種類に関する情報を含むデータを記録しておくことを意味する。図2に、部門データの値とこれに対応する部門の関係の例について示しておく。
【0023】
また、本方法では、(S2)人員データと、前記人員データに対応して設けられる予定勤務時間データ及び予定勤務部門データと、を含む人員計画データを記録するステップを有する。この予定配置人員データが表示装置に表示される場合のイメージ図について図3に示しておく。
【0024】
本方法で「人員」とは、本方法を実行する対象となる組織において勤務する従業員を意味する。人員には常勤の社員であっても、非常勤の社員であってもよく、またいわゆるアルバイトやパートも含まれ、その雇用形態は問わない。また「人員データ」は、上記人員の情報を含むデータであって、例えば人員の社員番号など個人を特定するための情報を含む識別データ、氏名に関する情報を含む氏名データを備えていることが好ましいが、これ以外に、社員であるか、アルバイトであるか、パートであるか等の雇用形態に関する情報を含む雇用形態データ、契約等によって勤務日数や勤務時間が定められている場合にはその情報を含む契約勤務日数データ、性別に関する情報を含む性別データ等を含ませることができるがこれに限定されない。更に、人員データには、所属部門データを含ませておくことも好ましい。ここで「所属部門」とは、その従業者が所属する部門をいい、人員データに所属部門データを含ませることで、その従業員がどの部門に所属しているのかを把握することができ、この所属部門を基本として効率的に人員計画を立てることが可能となるとともに、後述の記載からも明らかとなるが人員計画にない部分の業務をどのように配分していくのかといった際に活用することもできる。なお、本図において、山田一郎氏は鮮魚部門が所属部門である例を示している。なお、組織によっては、これら複数の部門にまたがって登録する場合も考えられるため、特定の部門に所属せず、複数の部門に所属可能な者を活用できるよう、所属部門としてマルチ部門という仮の部門自体を設けてこれらの者を所属させることも有用である。
【0025】
人員の数、本方法でいえば人員データの数は限定されず、1であってもよいが、多ければ多いほど本方法による部門実働時間分析の効果が高くなる。具体的には10以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。
【0026】
また、本方法では、上記の通り、人員データに対応して予定勤務時間データを含む。「予定勤務時間」とは、その人員が勤務する予定の時間をいい、もちろん日付に関する情報も含む。そして「予定勤務時間データ」とは、この予定勤務時間に関する情報を含むデータである。なお、本図の例では、山田一郎氏は、8時から12時まで、13時から18時までの間勤務する予定であることを意味している。
【0027】
また、本方法では、上記の通り、人員データに対応して記録される予定勤務部門データを含む。「予定勤務部門」とは、本具体例の部門のうち、当該人員が業務を行う予定の部門をいい、「予定勤務部門データ」とは、この予定勤務部門に移管する情報を含むデータである。すなわち、予定勤務部門を設定することで、その人員がその勤務時間においてどの部門の業務を行うのかということを設定することが可能となる。なお、本図の例では、山田一郎氏は8時から12時までは本来の所属部門である鮮魚部門に勤務し、13時から18時まではヘルプとして精肉部門に勤務する例を示している。
【0028】
また、予定勤務部門データには、予定作業内容データを含ませることが好ましい。「予定作業内容」とは、その部門においてどのような作業を行うのかといった作業内容をいい、予定作業内容データは、この予定作業内容に関する情報を含むデータである。このように予定作業内容データを含ませることで、どの作業内容をどの程度行わせるのかといったより詳細な人員計画を立てることが可能となる。なお、本図の例では、例えば山田一郎氏は、8時から12時までの間は、鮮魚部門において品出しを行い、13時から18時までの間は精肉部門において品出し又は棚卸を行う例を示している。
【0029】
以上の構成から明らかなように、人員計画データは、一つの組織において複数の部門が存在する場合に、そこに配置される人員がどの部門においてどの作業をどの程度の時間行うのかといった人員の配置計画に関する情報を含むデータである。本方法の使用者は、部門実働時間分析方法を実施する前提として、人員計画データを作成して記録しておく。これを作成しておくことにより、後述の実際勤務時間データを参照することで実際の人員配置を把握することが可能となる。なお、本図の例では、各人員の予定勤務内容に着目し、その人員がどの部門の業務をどの程度行うかといった観点で表示を行ったものである、組織によっては、部門ごとに作業内容を割当て、その作業に対して勤務する人員を割り当てる表示とすることとしてもよい。このようにすると、例えばある人員が一日で複数部門の作業を行う場合、当該人員の作業はその一部しか表示されず、一日全体の作業計画を一目でわからない場合がある。しかしながら、これは単に表示方式が異なるだけであり、予定勤務部門と予定勤務時間、更には人員が対応している点において違いはないことは言うまでもない。
【0030】
また、本方法では、(S3)実際勤務時間データを記録するステップを有する。実働勤務時間とは、人員が実際に勤務した時間をいい、「実際勤務時間データ」とは、実働勤務時間(実際に勤務した時間)に関する情報を含むデータをいう。上記のように人員計画が当初の予定通り進むことが理想的ではあるが、実際の業務においてその業務量が過不足するのは当然であり、その過不足に合わせて早出、残業、早退等の勤務時間の調整が発生する。この調整を正確に把握することで今後のより効率的な人員計画を立てることができるようになる。
【0031】
上記の記載から明らかであるが、実務勤務時間データは、人員データ毎に設けられるものであり、人員データに対応して実務勤務時間データが存在するものである。これにより、だれがどの程度実際に働いているのかということを把握できる。図4に、実務勤務時間データを表示装置に表示させた場合のイメージ図を示しておく。本図では、上段にある特定の人員に対する人員計画データを、下段に実務勤務時間データを示す。本図の例によると、当初山田一郎氏は8時から12時まで鮮魚部門で働き、13時から17時まで精肉部門で働く予定となっていたが、実際は9時から出勤し、12時30分まで働き、13時から15時30分まで再び働いた後30分の休憩を挟んで19時まで働いていることを示す。このように、実際は人員計画とずれをもってしまうことがよくある。
【0032】
ところで、本方法では、実際勤務時間データには、実際に行った作業内容に関する情報を含むデータ(実際作業内容データ)や実際に勤務した部門に関する情報を含むデータ(実際勤務部門データ)は含まれておらず、また、これらデータが対応して設けられるものではない。実務勤務時間は一般にいわゆるタイムカード装置による出退勤記録から求めるものであるが、このタイムカード装置では、人員の識別を行い、その人員の勤務開始時間と勤務終了時間のみが入力される。すなわち、このタイムカード装置によって入手できるデータは、人員データと、この人員データの実際に勤務した時間に関する実際勤務時間データのみである。確かに、センサーなどを組織の施設内に設け、その人員をセンサーで識別しながらその作業内容やその作業を担当する部門の情報を抽出することで実働勤務時間とその実際の作業内容(実際作業内容)及び実際に勤務する部門(実際勤務部門)についての情報を求めることはできる。しかしながら、このようなセンサーを設けることは費用対効果の観点から実際は不可能であり、また人員を徹底的に監視することにおいて問題が少なくない。よって、現状、実務勤務時間データに実際作業内容データ及び実際勤務部門データを含ませる又は対応して記録することは極めて困難である。
【0033】
そこで、本方法では、(S4)人員計画データと前記実際勤務時間データに基づき部門データ毎に部門実働データを記録するステップを有する。ここで「部門実働データ」とは、部門データ毎に対応して設けられるデータであって、その部門において、どの程度実働があったのかといった情報を含むデータであり、より具体的には時間又は人時に関する情報を含むデータである。
【0034】
上記の通り、本方法が実行される組織において、実際の業務が当初作成した人員計画データ通りに実行されれば、人員計画データによって求められる部門実働データと実際に人員が勤務した結果の部門実働データとの差は生じない。しかしながら、上記の通り、実際は当初の人員計画データ通りに実行されることは殆どなく、ずれが必然的に生じる。そして、上記の通り、現状入手できるのは人員データとこれに対応して記録される実際勤務時間データのみであり、その実際勤務部門データには実際勤務部門データや実際作業内容データが含まれていない。よって、実際のところ、実際勤務時間データから部門実働データを得ることは困難である。しかしながら、本ステップを用いることで人員計画データと実際勤務時間データを参照することで部門実働データを得ることができる。以下具体的に説明する。
【0035】
図5は、本ステップにおける実際勤務部門を判定する処理の一つについて説明する図である。本図は、前図と同様、実務勤務時間データを表示装置に表示させた場合のイメージ図であり、上段には、ある特定の人員に対する人員計画データを、下段には実務勤務時間データを示す。
【0036】
本判定処理では、まず、人員計画データの予定勤務時間データと、実際勤務時間データの重複部分について考慮し、重複部分の予定勤務部門データを部門実働データに算入する。この部分は実際の勤務とずれが生じていないため、そのまま部門実働データとして算入して差支えがない。本図の具体的な例では、例えば9時から12時の間、13時から15時30分、16時から18時までは人員計画データの予定勤務時間データと実際勤務時間データに重複している部分が生じている。そして、9時から12時の間は、人員計画データにおいて予定勤務部門データは鮮魚を示しているため、この重複した時間分を鮮魚部門における部門実働データとして算入する。また、13時から15時30分、16時から18時までの間の部分は精肉部門が予定勤務部門データであるから精肉部門における部門実働データに算入する。これにより、まず重複部分において部門の判定処理が可能となる。もし、この処理がない場合は、その人員の所属部門における勤務がそのまま部門実働データとして判断されてしまうといったことがあるが、この処理を入れることによりこのおそれがなくなるというメリットがある。
【0037】
次に、図6に、本ステップにおける実際勤務部門を判定する処理の一つについて説明する図である。本図も前図と同様、実務勤務時間データを表示装置に表示させた場合のイメージ図であり、上段には、ある特定の人員に対する人員計画データを、下段には実務勤務時間データを示す。
【0038】
本判定処理では、人員計画データの予定勤務時間データと、実際勤務時間データの重複しない部分(非重複部分)について、隣接する部分で判定した部門データ(予定勤務部門データ)を、その部門データとして判定し、その重複していない部分(非重複部分)の実際勤務時間データの時間分を部門実働データに算入する。具体的には、実際勤務時間データでは12時から12時30分までの間は実際に勤務が行われている一方、人員計画データではその時間は存在していない。そのためそのままでは勤務している部門は不明である。しかしながら、この時間に隣接する重複部分において既に鮮魚部門であると判断がなされているため、この時間の部門も鮮魚部門であると判断し、鮮魚部門にこの実際勤務時間の部分を部門実働データに算入する。また、18時から19時の間も人員計画データと実際勤務時間データの間に重複がない。しかしながらこの実際勤務時間データに隣接する部分(16時から18時までの部分)は既にレジ部門と判断されているため、この部分についても精肉部門であると判定し、その時間分を部門実働データとして算入する。これにより人員計画データと実際勤務時間データのみによって部門実働データを得ることができる。
【0039】
ところで、上記の例では、隣接する部分が一方だけの場合であるが、隣接する部分が二つある可能性もある。このような場合のイメージを図7に示す。本図では、山田一郎氏の人員計画データ及びその実際勤務時間データを示すものである。本図の例では、当初の人員計画データでは8時から12時は鮮魚部門、13時から17時までは精肉部門となっている一方、実際勤務時間データを見ると8時から14時まで勤務し、15時から17時まで勤務していた場合を示す。
【0040】
この場合において、重複する部分については上記した判定処理を行うことができる。一方で、12時から13時の間は重複しておらず、しかもこれらは連続勤務であるため、8時から12時までの時間で判定する鮮魚部門、13時から14時までの青果部門と二つ部門が隣接していることになる。このような場合、いずれが正しいのか判断に迷うことになるが、いずれか一方の部門を選択することが好ましい。この場合、限定されるわけではないが、一般に、前の時間帯における業務が長引いていると考えることが自然であるため、前の時間帯、本図の例では、鮮魚部門における業務が長引いたものと考えることができるため、鮮魚部門であると判定し、その時間部分を部門実働データに算入する。これにより、いずれのパターンに対しても部門の判定を行うことができるようになる。
【0041】
そして、上記部門実働データを人員ごとに算出し、これを総合することによって、部門実働データの総和を求めることができる。
【0042】
また、本観点において、限定されるわけではないが、部門実働データと、売上データとを表示装置に表示させるステップを備えることが好ましい。このようにすることで、人員計画データ、部門実働データ、売り上げデータを比較し、より効率的な経営を行うことが可能となる。この場合のイメージを図8に示しておく。本図では、横軸が時間、縦軸が部門実働データ(左棒)、人員計画データ(右棒)と売上をそれぞれ示している。
【0043】
以上、本発明により、できる限り正確に部門毎の実働時間を把握することができる部門実働時間分析プログラム及び部門実働時間分析方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、部門実働時間分析プログラム及び部門実働時間分析方法として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8