(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】先物取引情報表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20241025BHJP
G06Q 50/16 20240101ALI20241025BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241025BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241025BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q50/16
G06Q50/02
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2020209632
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020015918
(32)【優先日】2020-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-44529(JP,A)
【文献】特開2016-197367(JP,A)
【文献】米国特許第6615187(US,B1)
【文献】特許第6609873(JP,B1)
【文献】特許第6621092(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引する先物の増減に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムにおいて、
新たに先物取引を行う時期における市況に関する市況情報を取得する情報取得ステップと、
予め取得した過去の市況に関する参照用市況情報と、その過去の市況に対する後の時点における各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した市況情報に応じた参照用市況情報と各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示する表示ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする先物取引情報表示プログラム。
【請求項2】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期に発生したイベントが反映されたイベント情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期に発生したイベントが反映された参照用イベント情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得したイベント情報に応じた参照用イベント情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項3】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期における外部環境が反映された外部環境情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期における外部環境が反映された参照用外部環境情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した外部環境情報に応じた参照用外部環境情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項4】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期における家計に関する統計的データが反映された家計情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期における家計に関する統計的データが反映された参照用家計情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した家計情報に応じた参照用家計情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項5】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期における不動産に関する統計的デーが反映された不動産情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期における不動産に関する統計的データが反映された参照用不動産情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した不動産情報に応じた参照用不動産情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項6】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期に発表された専門家の意見が反映された専門家意見情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期に発表された専門家の意見が反映された参照用専門家意見情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した専門家意見情報に応じた参照用専門家意見情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項7】
上記情報取得ステップでは、新たに先物取引を行う時期における自然環境の情報が反映された自然環境情報を取得し、
上記表示ステップでは、上記参照用市況情報と、上記過去の市況の検出時期における自然環境の情報が反映された参照用自然環境情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した自然環境情報に応じた参照用自然環境情報と上記参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項8】
上記情報取得ステップでは、上記市況情報として、各先物のチャートを取得するとともに、これを予め類型化された売買シグナルのチャートパターンに当てはめ、
上記表示ステップでは、過去の先物のチャートを取得するとともに、これを予め類型化された売買シグナルのチャートパターンに当てはめた上記参照用市況情報と、この参照用市況情報におけるチャートパターンの類型と各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて当てはめたチャートパターンの類型からなる上記市況情報に応じたチャートパターンの類型からなる参照用市況情報と各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示すること
を特徴とする請求項1記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項9】
上記情報取得ステップでは、上記売買シグナルのチャートパターンの画像を教師データとして用い、入力を上記取得した各先物のチャートとし、出力を売買シグナルの類型とし、機械学習より生成した判定モデルに基づいて上記当てはめを行い、
上記表示ステップでは、上記判定モデルにより上記当てはめを行うこと
を特徴とする請求項8記載の先物取引情報表示プログラム。
【請求項10】
取引する先物の増減に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムにおいて、
新たに先物取引を行う時期における市況に関する市況情報を取得する情報取得ステップと、
予め取得した過去の市況に関する参照用市況情報と、その過去の市況に対する後の時点における各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した市況情報に応じた参照用市況情報と各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを探索する探索ステップと、
上記探索ステップにより探索された各先物の増減データに基づいて、上記各先物の何れか1以上を売買する自動売買ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする先物取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引する先物の増減に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
先物取引を行う際の様々な助言を行うアプリや、先物取引の自動化、即ち自動トレードを行うシステムが近年において利用されるようになっている。このようなアプリやシステムを利用する上では、膨大なデータ分析の下で助言をしてもらった方が勝率をより高くすることができ、利益の増加も期待できる。しかしながら、その膨大なデータを取得することができたとしても、これを分析してユーザに対して的確な助言ができるような出力解をまとめ上げることは相当な労力を要する。またこれらの作業を自動的に行うことができるシステムは従来において提案されていないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、取引する先物の増減に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明を適用した先物取引情報表示プログラムは、取引する先物の増減に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムにおいて、新たに先物取引を行う時期における市況に関する市況情報を取得する情報取得ステップと、予め取得した過去の市況に関する参照用市況情報と、その過去の市況に対する後の時点における各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した市況情報に応じた参照用市況情報と各先物の増減データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示する表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
特段のスキルや経験が無くても、先物取引を行う上で有益な助言を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の動作について説明するための図である。
【
図4】本発明の動作について説明するための図である。
【
図5】本発明の動作について説明するための図である。
【
図6】本発明の動作について説明するための図である。
【
図7】本発明の動作について説明するための図である。
【
図8】本発明の動作について説明するための図である。
【
図9】本発明の動作について説明するための図である。
【
図10】本発明の動作について説明するための図である。
【
図11】本発明の動作について説明するための図である。
【
図12】本発明の動作について説明するための図である。
【
図13】本発明の動作について説明するための図である。
【
図14】本発明の動作について説明するための図である。
【
図15】本発明の動作について説明するための図である。
【
図16】本発明の動作について説明するための図である。
【
図17】本発明の動作について説明するための図である。
【
図18】本発明の動作について説明するための図である。
【
図19】本発明の動作について説明するための図である。
【
図20】本発明の動作について説明するための図である。
【
図21】本発明の動作について説明するための図である。
【
図22】本発明の動作について説明するための図である。
【
図23】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用した先物取引情報表示プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0008】
第1実施形態
図1は、本発明を適用した先物取引情報表示プログラムが実装される先物取引情報表示システム1の全体構成を示すブロック図である。先物取引情報表示システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0009】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する探索装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を探索装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、その他物質や物性を特定することが可能なセンサも含む。情報取得部9は、インターネット上のサイトに掲載されている文字列やデータを自動的に取り込んでくる手段で構成されていてもよい。
【0010】
データベース3は、先物取引情報表示を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。先物取引情報表示を行う上で必要な情報としては、過去の市況に関する参照用市況情報、過去の市況の検出時期に発生したイベントが反映された参照用イベント情報、過去の市況の検出時期における外部環境が反映された参照用外部環境情報、過去の市況の検出時期における家計に関する統計的データが反映された参照用家計情報、過去の市況の検出時期における不動産に関する統計的データが反映された参照用不動産情報、過去の市況の検出時期に発表された専門家の意見が反映された参照用専門家意見情報、過去の市況の検出時期における自然環境の情報が反映された参照用自然環境情報と、その過去の市況における各先物の増減データとのデータセットが記憶されている。
【0011】
つまり、データベース3には、このような参照用市況情報に加え、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報の何れか1以上と、過去の市況における各先物の増減データが互いに紐づけられて記憶されている。
【0012】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0013】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0014】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0015】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0016】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0017】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0018】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0019】
上述した構成からなる先物取引情報表示システム1における動作について説明をする。
【0020】
先物取引情報表示システム1は、先物取引において使用され、例えば
図3に示すように、参照用市況情報と、各先物の増減データとの3段階以上の連関度が予め設定され、取得されていることが前提となる。参照用市況情報とは、市況に関する様々な情報である。この参照用市況情報の例としては、金利、先物、為替、各銘柄の株価、原油、貴金属、ビットコイン等の値動きを対象としたものである。この参照用市況情報は、これらの対象について時系列的なチャートや折れ線グラフ等で表示されていてもよい。またボリンジャーバンド、出来高、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。また、この市況情報は、各先物、銘柄のチャート、ボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。先物についても各先物間における値動きを示すチャート、ボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。この参照用市況情報は、実際に先物の増減を予測する前の時点において取得したものである。
【0021】
ここでいう先物とは、売買対象となる全ての先物を含む概念であり、大豆やとうもろこしといった農産物や石油、金、貴金属、ゴム、水産物、形のない株価指数等、あらゆる先物が含まれる。
【0022】
各先物の増減データは、その参照用市況情報を取得した後の時点において各先物の増減がどの程度あったかを示すデータである。この増減データは、実際の増減した値幅でカウントされるものであってもよいし、増減率で表現されるものであってもよい。この増減データは、前の時点(即ち、参照用市況情報を取得した時点)の先物に対する、測定時点(後の時点)における先物の増減で表される。ここでいう前の時点は、測定時点より10秒前、1分前、30分前、1時間前、4時間前、1日前、10日前、1か月前、1年前、5年前等のように、測定時点に対していかなる時間幅をもって構成されるものであってもよい。つまり先物の増減データは、チャートにおけるある時点を測定時点としたとき、その測定時点における先物の、その前の時点における先物に対する増減を示すものである。或いは、この先物の増減データは、先物のチャートでいうところの足そのものを表現するものであってもよい。
【0023】
つまり、この参照用市況情報と、先物の増減データのデータセットを通じて、参照用市況情報において生じた様々なテクニカルなイベント(例えばチャートが3日連続で上がっている、一時的に高値を付けた上ヒゲがチャート上に現れた場合等)の後の時点においてどのように先物が増減したかが分かる。つまりテクニカルなイベントに対する先物の増減結果がデータセットとなっている。このため、参照用市況情報と先物の増減データのデータセットを集めておくことにより、過去どのような市況となった後の時点で、先物がどのように増減したかを知ることが可能となる。
【0024】
図3の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03であるものとする。このような入力データとしての参照用市況情報は、出力に連結している。この出力においては、出力解としての、先物の増減データが表示されている。
【0025】
参照用市況情報は、この出力解としての、先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報がこの連関度を介して左側に配列し、各先物の増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報に対して、何れの先物の増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報が、いかなる先物の増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報から最も確からしいる先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての先物の増減データと互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての先物の増減データと互いに関連度合いが低いことを示している。
【0026】
【0027】
探索装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と、その場合の先物の増減データの何れが採用されたか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。
【0028】
例えば、ある参照用市況情報が、とある先物チャートにおいて、先行するMACDが遅行する同平均(SIGNAL)を下から上に抜いた時であるものとする。このような市況において、当該先物がその後の時点において、仮にとうもろこしが1%上がったものが多かったものとする。このような場合には、当該先物が1%アップの連関度が強くなる。これに対して、全く同じ市況において、当該先物がその後の時点において0.5%ダウンしたものが多く、当該先物1%アップしたものが少ないものとする。かかる場合には、当該先物0.5%ダウンの連関度が強くなり、当該先物1%アップの連関度が低くなる。
【0029】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01である場合に、過去の各先物の値動きデータから分析する。これは、例えば過去の先物チャートの電子データから抽出するようにしてもよい。参照用市況情報P01である場合に、各先物の増減データA1(金 4%アップ)の事例が多い場合には、この増減データA1につながる連関度をより高く設定し、増減データA3(とうもろこし 5%アップ)の事例が多い場合には、この増減データA3につながる連関度をより高く設定する。例えば参照用市況情報P01の例では、増減データA1と、増減データA3にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA3につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0030】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0031】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに顧客に対して先物取引の助言を行う上で、上述した学習済みデータを利用して先物の増減を予測することとなる。かかる場合には、実際に新たに先物取引を行う時期における市況に関する市況情報を取得する。この市況情報は、上述した参照用市況情報と同種のデータで構成される。
【0032】
新たに取得する市況情報は、上述した情報取得部9により入力される。情報取得部9は、チャートや値動きのデータ等を電子データとして取得するようにしてもよい。
【0033】
このようにして新たに取得した市況情報に基づいて、実際にその市況情報に対して、起こりえる可能性の高い、将来の先物(即ち、将来の先物の増減データ)を予測する。かかる場合には、予め取得した
図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して増減データA2がw15、増減データA3が連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA2を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA3を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0034】
このようにして、新たに取得する市況情報から、将来起こりえる各先物の状況を、先物の増減データを通じて探索し、ユーザ(コンサルタント)に表示することができる。この探索結果を見ることにより、ユーザ(コンサルタント)は、探索された先物の増減データに基づいて、売買すべき先物の指針を得ることができる。先物の増減データの探索結果を見せるだけでもユーザに対して有益な助言を与えることができる。ちなみに、この助言を構成する上では、単に探索された先物の増減データのみを表示する以外に、この増減データに基づいて、具体的にどの先物をどの程度購入し、或いは売却すべきかまでを表示することで助言を構成するようにしてもよい。
【0035】
図4の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用イベント情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用イベント情報が組み合わさったものが、
図4に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0036】
図4の例では、参照用市況情報と、参照用イベント情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。参照用イベント情報とは、国内又は国外において発生した様々な社会的なニュース、出来事、事件、祝い事、慶事等に加え、各企業について起きたニュース、出来事、事件、祝い事、慶事等を含む概念である。この参照用イベント情報は、各企業や社会全体に関するブログ、アナリストレポート、有価証券報告書、広告、プレスリリース、ニュース記事等から取得することができる。これらの参照用イベント情報は、ニュース記事をテキストマイニングを通じて分析した文字列や係り受け等を介して抽出されるものであってもよい。
【0037】
図4の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用イベント情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用イベント情報が組み合わさったものが、
図4に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0038】
参照用市況情報と参照用イベント情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、各先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用イベント情報がこの連関度を介して左側に配列し、各先物の増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用イベント情報に対して、各先物の増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用イベント情報が、いかなる各先物の増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用イベント情報から最も確からしい各先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。市況データに加え、実際に社会全体、又は各企業において起こった様々なイベントに応じて、後の時点における各先物の増減データは異なるものとなる。このため、これらの参照用市況情報と参照用イベント情報の組み合わせで、最適な先物の増減データを探索していくこととなる。
【0039】
図4の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0040】
探索装置2は、このような
図4に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と、参照用イベント情報、並びにその場合の各先物の増減データの何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図4に示す連関度を作り上げておく。
【0041】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01で、参照用イベント情報P16である場合に、その各先物の増減データを過去のデータから分析する。各先物の増減データが増減データA1(金 4%アップ)の事例が多い場合には、この増減データA1につながる連関度をより高く設定し、増減データA2(金 2%ダウン)の事例が多く、増減データA1の事例が少ない場合には、増減データA2につながる連関度を高くし、増減データA1につながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、増減データA1と増減データA2の出力にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA2につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0042】
また、この
図4に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0043】
図4に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P01に対して、参照用イベント情報P14の組み合わせのノードであり、増減データA3の連関度がw15、増減データA5の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P02に対して、参照用イベント情報P15、P17の組み合わせのノードであり、増減データA2の連関度がw17、増減データA4の連関度がw18となっている。
【0044】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから先物取引情報表示のための増減データの探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに先物取引を行う時期における市況に関する市況情報を取得するとともに、新たに先物取引を行う時期に発生したイベントが反映されたイベント情報を取得する。このイベント情報は、上述した参照用イベント情報に対応するものであり、例えばニュースや新聞、ブログ等のデータを取り込み、又は直接的に入力するようにしてもよい。
【0045】
このようにして新たに取得した市況情報、イベント情報に基づいて、最適な各先物の増減データを探索する。かかる場合には、予め取得した
図4(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、イベント情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、増減データA3がw19、増減データA4が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA3を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA4を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0046】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0047】
【0048】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0049】
図5は、上述した参照用市況情報と、参照用外部環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する各先物の増減データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0050】
参照用外部環境情報とは、企業の外部における、GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、設備投資、労働力調査、景気動向指数、消費支出、新車販売台数、消費者物価指数等の、政治、経済、社会、技術等に関する様々なデータを含む。
【0051】
図5の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用外部環境情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用外部環境情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0052】
参照用市況情報と参照用外部環境情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、各先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用外部環境情報がこの連関度を介して左側に配列し、増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用外部環境情報に対して、増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用外部環境情報が、いかなる増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用外部環境情報から最も確からしい各先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。市況データに加え、実際の外部環境がいかなる状態にあるのかに応じて、先物は変化する。このため、これらの参照用市況情報と参照用外部環境情報の組み合わせで、最適な各先物の増減データを探索していくこととなる。
【0053】
図5の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0054】
探索装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と参照用外部環境情報、並びにその場合の増減データが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0055】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01で、参照用外部環境情報P20である場合に、その増減データを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、増減データA1と増減データA2の出力にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA2につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0056】
また、この
図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0057】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P01に対して、参照用外部環境情報P18の組み合わせのノードであり、増減データA3の連関度がw15、増減データA5の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P02に対して、参照用外部環境情報P19、P21の組み合わせのノードであり、増減データA2の連関度がw17、増減データA4の連関度がw18となっている。
【0058】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した市況データに加え、新たに先物取引を行う時期における外部環境が反映された外部環境情報を取得する。外部環境情報は、例えば、雇用統計情報であればそのデータを直接取り込むようにしてもよい。他の統計データであれば、そのデータを直接取得するようにしてもよい。
【0059】
このようにして新たに取得した市況情報、外部環境情報に基づいて、最適な助言を構成するべく、各先物の増減データを探索する。かかる場合には、予め取得した
図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、外部環境情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、増減データA3がw19、増減データA4が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA3を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA4を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0060】
図6は、上述した参照用市況情報と、参照用家計情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する各先物の増減データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0061】
参照用家計情報とは、家計消費状況調査、家計データ、1週間の平均就業時間、貯蓄額の統計データ、年収の統計データ、家計に関する等に関する様々なデータを含む。
【0062】
図6の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用家計情報P22~25であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用家計情報が組み合わさったものが、
図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0063】
参照用市況情報と参照用家計情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、各先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用家計情報がこの連関度を介して左側に配列し、増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用家計情報に対して、増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用家計情報が、いかなる増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用家計情報から最も確からしい各先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。市況データに加え、実際の家計の状況がいかなる状態にあるのかに応じて、先物は変化が変動する先物は存在する。このため、これらの参照用市況情報と参照用家計情報の組み合わせで、最適な各先物の増減データを探索していくこととなる。
【0064】
図6の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0065】
探索装置2は、このような
図6に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と参照用家計情報、並びにその場合の増減データが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図6に示す連関度を作り上げておく。
【0066】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01で、参照用家計情報P24である場合に、その増減データを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、増減データA1と増減データA2の出力にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA2につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0067】
また、この
図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0068】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P01に対して、参照用家計情報P22の組み合わせのノードであり、増減データA3の連関度がw15、増減データA5の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P02に対して、参照用家計情報P23、P25の組み合わせのノードであり、増減データA2の連関度がw17、増減データA4の連関度がw18となっている。
【0069】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した市況データに加え、新たに先物取引を行う時期における家計に関する統計的データが反映された家計情報を取得する。家計情報は、例えば、貯蓄額の統計データ等のように各官庁が公表しているデータであれば、そのデータを直接取り込むようにしてもよい。他の統計データであれば、そのデータを直接取得するようにしてもよい。
【0070】
このようにして新たに取得した市況情報、家計情報に基づいて、最適な助言を構成するべく、各先物の増減データを探索する。かかる場合には、予め取得した
図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、家計情報がP25である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、増減データA3がw19、増減データA4が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA3を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA4を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0071】
なお、
図6に示す参照用家計情報の代替として、過去の市況の検出時期における不動産に関する統計的データが反映された参照用不動産情報を入力データとして用いるようにしてもよい。かかる場合の詳細な構成は、参照用家計情報を参照用不動産情報と読み替え、家計情報を不動産情報と読み替えることにより詳細な説明は省略する。
【0072】
かかる場合には参照用市況情報と、参照用不動産情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を用いることになる。ノード61は、参照用市況情報と、参照用不動産情報との組み合わせと、上記各先物の増減データとの3段階以上の連関度を規定することになる。
【0073】
参照用不動産情報とは、オフィス空室率、坪単価、賃料相場、地価、空き家に関する統計的データ等、不動産に関するあらゆる情報を含むものである。
【0074】
このような連関度を形成しておき、先物取引に関する助言を行う上では、新たに先物取引を行う時期における不動産に関する統計的デーが反映された不動産情報を取得し、これと同一又は類似の参照用不動産情報と参照用市況情報との組み合わせと、各先物の増減データとの3段階以上の連関度に基づいて、先物取引に関する助言を行う。
【0075】
図7は、上述した参照用市況情報と、参照用専門家意見情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する各先物の増減データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0076】
参照用専門家意見情報とは、先物の増減に関する専門家による見解が示されたあらゆる情報を意味し、アナリストレポートや新聞記事等に掲載されている先物の予想や株の増減の理由に関する専門家のコメント、見解等である。また、参照用専門家意見情報は、単に各先物が上がるか、下がるか、変わらないか、に関する予想そのものであってもよい。この参照用専門家意見情報としては、日経平均先物全体に関する意見、或いは特定のセグメント、業種に関する意見、更には個々の先物に関する意見の何れも含まれる。また参照用専門家意見情報としては、インターネット上に掲載される専門家(アナリスト)によるコメントや上昇又は下落の予想を取り込んでくるものであってもよい。
【0077】
図7の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用専門家意見情報P26~29であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用専門家意見情報が組み合わさったものが、
図7に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0078】
参照用市況情報と参照用専門家意見情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、各先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用専門家意見情報がこの連関度を介して左側に配列し、増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用専門家意見情報に対して、増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用専門家意見情報が、いかなる増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用専門家意見情報から最も確からしい各先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。先物の変動が、市況データに加え、実際の専門家の意見と相関がみられる場合がある。このため、これらの参照用市況情報と参照用専門家意見情報の組み合わせで、最適な各先物の増減データを探索していくこととなる。
【0079】
図7の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0080】
探索装置2は、このような
図7に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と参照用専門家意見情報、並びにその場合の増減データが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図7に示す連関度を作り上げておく。
【0081】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01で、参照用家計情報P28である場合に、その増減データを過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、増減データA1と増減データA2の出力にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA2につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0082】
また、この
図7に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0083】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P01に対して、参照用専門家意見情報P26の組み合わせのノードであり、増減データA3の連関度がw15、増減データA5の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P02に対して、参照用専門家意見情報P27、P29の組み合わせのノードであり、増減データA2の連関度がw17、増減データA4の連関度がw18となっている。
【0084】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した市況データに加え、新たに先物取引を行う時期に発表された専門家の意見が反映された専門家意見情報を取得する。専門家意見情報は、例えば、新聞記事において専門家の意見が示されたものがあれば、そのデータを直接取り込むようにしてもよい。
【0085】
このようにして新たに取得した市況情報、専門家意見情報に基づいて、最適な助言を構成するべく、各先物の増減データを探索する。かかる場合には、予め取得した
図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、専門家意見情報がP29である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、増減データA3がw19、増減データA4が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA3を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA4を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0086】
図8は、上述した参照用市況情報と、参照用自然環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する各先物の増減データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0087】
参照用自然環境情報とは、災害データ、気温データ、降水量データ、風向きデータ、湿度データ等、自然環境に関するあらゆる情報を意味し、気象庁が発表した過去の自然環境に関するデータ、或いは民間の企業や個人が発表した過去の自然環境に関するデータ等である。
【0088】
図8の例では、入力データとして例えば参照用市況情報P01~P03、参照用自然環境情報P30~33であるものとする。このような入力データとしての、参照用市況情報に対して、参照用自然環境情報が組み合わさったものが、
図8に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各先物の増減データが表示されている。
【0089】
参照用市況情報と参照用自然環境情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、各先物の増減データに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用市況情報と参照用自然環境情報がこの連関度を介して左側に配列し、増減データが連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用市況情報と参照用自然環境情報に対して、増減データと関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用市況情報と参照用自然環境情報が、いかなる増減データに紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用市況情報と参照用自然環境情報から最も確からしい各先物の増減データを選択する上での的確性を示すものである。先物の変動が、市況データに加え、実際の専門家の意見と相関がみられる場合がある。このため、これらの参照用市況情報と参照用自然環境情報の組み合わせで、最適な各先物の増減データを探索していくこととなる。
【0090】
図8の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0091】
探索装置2は、このような
図8に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用市況情報と参照用自然環境情報、並びにその場合の増減データが何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図8に示す連関度を作り上げておく。
【0092】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用市況情報P01で、参照用自然環境情報P32である場合に、その増減データを過去のデータから分析する。例えば参照用市況情報P01で、参照用自然環境情報P32がリンクする中間ノード61aの例では、増減データA1と増減データA2の出力にリンクしているが、以前の事例から増減データA1につながるw13の連関度を7点に、増減データA2につながるw14の連関度を2点に設定している。
【0093】
また、この
図8に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0094】
図8に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用市況情報P01に対して、参照用自然環境情報P30の組み合わせのノードであり、増減データA3の連関度がw15、増減データA5の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用市況情報P02に対して、参照用専門家意見情報P31、P33の組み合わせのノードであり、増減データA2の連関度がw17、増減データA4の連関度がw18となっている。
【0095】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した市況データに加え、新たに先物取引を行う時期における自然環境の情報が反映された自然環境情報を取得する。自然環境情報は、例えば、気象庁や民間企業、個人が発表した自然環境に関するデータや情報、或いはこれらが記載されたサイトから直接取り込むようにしてもよい。
【0096】
このようにして新たに取得した市況情報、自然環境情報に基づいて、最適な助言を構成するべく、各先物の増減データを探索する。かかる場合には、予め取得した
図8(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した市況情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、自然環境情報がP33である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、増減データA3がw19、増減データA4が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い増減データA3を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる増減データA4を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0097】
図9は、上述した参照用市況情報と、参照用イベント情報に加えて、更に参照用外部環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する各先物の増減データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0098】
かかる場合において、連関度は、
図9に示すように、参照用市況情報と、参照用イベント情報と、参照用外部環境情報との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a~61eとして表現されることとなる。
【0099】
例えば、
図9において、ノード61cは、参照用市況情報P02が連関度w3で、参照用イベント情報P15が連関度w7で、参照用外部環境情報P19が連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用市況情報P03が連関度w5で、参照用イベント情報P15が連関度w8で、参照用外部環境情報P18が連関度w10で連関している。
【0100】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに取得した市況情報と、イベント情報と、外部環境情報とに基づいて、探索解を判別する。
【0101】
この探索解を判別する上で予め取得した
図9に示す連関度を参照する。例えば、取得した市況情報が参照用市況情報P02に同一又は類似で、取得したイベント情報が参照用イベント情報P15に対応し、更に取得した外部環境情報が参照用外部環境情報P19に対応する場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、増減データA2が連関度w17で、また増減データA4が連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際に探索解を求めていくことになる。
【0102】
このような入力パラメータの種類を3種類以上にわたり組み合わせる場合には、参照用市況情報に加え、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報の何れか2以上で組み合わせが構成されたものであっても適用可能である。
【0103】
また、出力データとしては、各先物の増減データ以外に、
図10に示すように、実際の先物の購買行動(例えば、先物〇×買え、先物×〇保持)等に関する助言を直接表示するようにしてもよい。この助言は売買を助言する先物を指定する以外に具体的な購買量までも助言するようにしてもよい。かかる助言は、上述した増減データに基づいて生成するようにしてもよい。かかる場合には、将来的に先物が高くなるのであれば買うべき旨を助言し、将来的に先物が低くなるのであれば売るべき旨を助言するようにしてもよい。また、助言の中には、先物取引のリターンの可能性以外に、リスクについても表示するようにしてもよい。このとき、入力データと学習させるデータとしては、増減データの代わりに直接この助言内容をデータセットに含めて学習させるようにしてもよいことは勿論である。
【0104】
また、本発明は、先物取引を自動的に行う自動先物取引プログラムとして具現化されるものであってもよい。かかる場合には、増減データを上述した手順に基づいて探索した後、その増減データに基づいて先物の各先物を自動的に売買する。かかる場合には、先物の購買行動(例えば、先物〇×買え、先物×〇保持)等に関する助言に基づいて、システム側が自ら先物の売買を行う。かかる場合には、各先物の増減データが探索された結果、ある先物が上昇する旨が判定された場合には、その先物を自動的に購入する処理を行う。一方、ある先物が下落する旨が判定された場合には、その先物を自動的に売却するか、空売りをする処理を行う。
【0105】
上述した連関度は、
図11に示すように人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0106】
また本発明は、
図12に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて各先物の増減データを判別するものである。この参照用情報Yが参照用市況情報情報であり、参照用情報Vがそれ以外の参照情報(例えば、参照用イベント情報、参照用専門家意見情報等)の何れかであるものとする。
【0107】
このとき、
図12に示すように、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力(各先物の増減データ)と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報Uについて、出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力(各先物の増減データ)を探索するようにしてもよい。
【0108】
また、本発明では、市況情報、参照用市況情報について、チャートを売買シグナルのチャートパターンに当てはめてもよい。
図13、14は、チャートの売買シグナルのチャートパターンの例を示している。例えば
図13(a)は、移動平均線を基準に株価や先物の価値が上下動を繰り返しているときに、株価や先物の価値が移動平均線まで落ちてきたときが買いのシグナルとなる。また、
図13(b)は、もみ合い相場が長く続いた後、株価が上値抵抗線を上抜けたときが買いのシグナルとなる。
図13(c)は、Wボトム型と言われており、株価が安値圏で2回安値を付けたときが買いのシグナルとなる。
図13(d)は、逆三尊と言われており、株価が安値圏で3回安値を付け、そのうち真ん中が最も安くなるチャートパターンであり、これが現れると買いのシグナルとなる。
図14(a)は、株価が急騰した後、すぐに急落し、長い下ヒゲのローソク足または大陽線が出て反転した場合であり、これが出たときは買いのサインとなる。
図14(b)は、三川明けの明星と言われており、底値圏での大陰線が出て、下マド開けてヒゲも実体も短い陽・陰線(コマ足)が現れ、上マド開けて大陽線の形が出た場合は、目先買いシグナルとなる。
図14(c)は、三川明けがらすと言われ、黒三兵(三羽がらす)で突っ込んだ後の赤三兵でV型の転換を表し、買いのサインとなる。
図14(d)は、三川宵の明星は、上昇局面で大陽線となり、上マド開けてヒゲも実体も短い陽・陰線(コマ足)が出て、下マド開けて大陰線が出る形で下降に転換するサインになり、売りシグナルとなる。
【0109】
このようなシグナルは先物取引のみならず株取引における過去の経験則から生まれたものであるが、本発明においては、この市況情報、参照用市況情報をこれらの売買シグナルのチャートパターンの類型に当てはめるようにしてもよい。
【0110】
この当てはめは、
図15に示すような機械学習により生成した判定モデルを利用してもよい。この判定モデルでは、上述した例からなる売買シグナルのチャートパターンの画像を教師データとして用いる。入力は、各先物のチャートとし、出力を売買シグナルの類型とする。チャートを取得した場合には、この機械学習より生成した判定モデルに基づいて当てはめを行い、いかなる売買シグナルの類型に当てはめるのかを判定する。
【0111】
例えばチャートを入力した結果、出力として、三川明けがらす、三川宵の明星等の売買シグナルの類型に当てはまるのか否かを判定することができる。
【0112】
本発明においては、参照用市況情報と各先物の増減データ間の連関度を通じて機械学習を行わせる場合において、この参照用市況情報を取得する際には、その市況を表す各先物のチャートを取得する。そして、取得したチャートを
図15に示す判定モデルを通じていかなる売買シグナルの類型に当てはまるのかを判定し、それぞれの参照用市況情報を売買シグナルの類型に当てはめていく。
【0113】
その結果、この参照用市況情報は、類型化された売買シグナルで表されることになる。このような売買シグナルに対する、その後の時点で先物の増減傾向を学習させておくことにより、上述した連関度を形成しておく。
【0114】
次に、実際に市況情報を取得し場合においても、その取得したチャートを
図15に示す判定モデルを通じていかなる売買シグナルの類型に当てはまるのかを判定し、それぞれの参照用市況情報を売買シグナルの類型に当てはめていく。その結果、この市況情報は、類型化された売買シグナルで表されることになる。このような市況情報の売買シグナルの類型は、参照用市況情報のいかなる売買シグナルの類型に当てはまるのかを、上述した連関度を通じて判断する。そして、市況情報の売買シグナルの類型に対応する参照用市況情報の売買シグナルの類型と各先物の増減データとの3段階以上の連関度を利用し、連関度のより高いものを優先させて上記各先物の増減データを表示する。
【0115】
なお、
図15に示す出力に該当する売買シグナルの類型は既存の提案されている者に限定されるものでは無く、順次新たなシグナルの類型を更新するようにしてもよい。
【0116】
例えば、参照用市況情報や市況情報の各チャートを分析しても、
図15に示す出力における既存の類型に当てはまらない場合、そのチャートの傾向を新たな類型として登録しておく。そして、この新たに登録した類型と、その後の時点における各先物の増減データとの間で連関度を形成しておく。その後、この新たに登録した類型と類似するチャートが入力された場合に、同様に各先物の増減データとの間で連関度を作ることで、この新たに登録した類型と各先物の増減データとの間で、連関度の重みづけwが形成されることになる。
【0117】
このような連関度を更新しておき、新たに市況情報が入力された場合であって、
図15の判定モデルより新たに登録されたシグナルの類型であることが判別された場合には、その新たに登録された類型からなる参照用市況情報を介して探索解を探索することが可能となる。
【0118】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0119】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に先物取引を行う上で最適な先物の探索や、先物取引を行う上で最適な先物の探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0120】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0121】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0122】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより利益率が高く、リスクの低い先物を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0123】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0124】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0125】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また市況情報に加え、イベント情報、外部環境情報、家計情報、不動産情報、専門家意見情報、自然環境情報に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。同様に、イベント情報に加え、この外部環境情報の代替として、上述した専門家意見情報、自然環境情報、ファンダメンタル情報、統計情報を取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0126】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0127】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0128】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0129】
第2実施形態
第2実施形態においては、本発明では、農作物先物の相場に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムである。この第2実施形態においては、大豆や小豆、トウモロコシと言った農作物の育成過程における画像情報から、農作物先物の相場を推定する。例えば
図16に示すように、過去において育成した農作物を撮像した画像から、農作物の生育状況、農作物に発生した害虫被害、農作物に発生した病気の何れかを抽出した参照用画像情報と、その過去において育成した農作物を収穫した農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0130】
参照用画像情報とは、育成過程にある農作物をカメラにより撮影した画像である。農作物の撮影画像は、種まき、苗を作る段階から収穫に至るまで時系列的に順次撮影されたものであってもよい。また農作物の撮影画像は、畑や水田を全体的に捉えた撮影範囲の画像で構成してもよいし、畑や水田における農作物の葉や茎、実などを至近距離で撮影した画像も含まれる。また撮影画像は、ドローン等のような無人航空機を介して撮影されたものであってもよいし、地上に設置されたカメラにより撮影されたものであってもよい。このようなカメラにより、農作物の生育状況、農作物に発生した害虫被害、農作物に発生した病気等を検知することができる。ちなみに、この参照用画像情報は、カメラにより撮影した生の画像をそのまま画像情報として取得するようにしてもよいし、周知のディープラーニング技術を活用し、画像の特徴的な部分のみを抽出してこれを参照用画像情報としてもよい。
【0131】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに農作物の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、画像情報を新たに取得する。
【0132】
新たに取得する画像情報は、上述した情報取得部9によるカメラにより画像を撮影する。この撮影は、これから新たに育成しようとする農作物を対象とする。
【0133】
このようにして新たに取得した画像情報に基づいて、農作物の取引相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図16に示す連関度を参照する。具体的な農作物の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0134】
農作物の生育状況、農作物に発生した害虫被害に応じて農作物の収穫量や品質は異なり、これに応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用画像情報と実際の農作物の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、画像に映し出された農作物の生育状況や害虫被害に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0135】
図17の例では、参照用画像情報と、参照用土壌情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。 また参照用土壌情報は、農作物が作付けされる土壌に関するあらゆる情報が含まれる。この参照用土壌情報の例としては、土壌の成分、pH、含水量、温度等が含まれる。実際に土壌の成分を採取し、化学的分析手法に基づいて分析された結果を用いてもよいし、周知の土壌センサにより検知されたデータを用いてもよい。また土壌をカメラにより撮像した画像、更にこれを周知のディープラーニング技術を活用し、画像の特徴的な部分のみを抽出したものも用いてもよい。
【0136】
図17の例では、入力データとして例えば参照用画像情報P11~P13、参照用土壌情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用画像情報に対して、参照用土壌情報が組み合わさったものが、
図17に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、農作物先物の増減データが表示されている。
【0137】
参照用画像情報と参照用土壌情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、農作物の先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用画像情報と参照用土壌情報がこの連関度を介して左側に配列し、各農作物の先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用画像情報と参照用土壌情報に対して、何れの農作物の先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用画像情報と参照用土壌情報が、いかなる農作物の先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用画像情報と参照用土壌情報から最も確からしい農作物の先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図17の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0138】
推定装置2は、このような
図17に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用画像情報と、参照用土壌情報、並びにその場合の農作物の先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図16に示す連関度を作り上げておく。
【0139】
例えば、参照用画像情報P11が害虫による被害を受けている農作物の状態を映し出しているものとする。このとき、その農作物が実際に作付けされていた土壌の成分を調査したところ参照用土壌情報P14に対応する「pH●●、成分○×」であったとき、以前のデータにおいて実際の農作物を収穫まで追跡調査したところ、どの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0140】
また、この
図17に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0141】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに農作物の先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して農作物の先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、画像情報を新たに取得するとともに、土壌情報を取得する。
【0142】
土壌情報の取得は、実際にその新たに育成しようとする農作物が作付けされた土壌であり、その取得方法は、上述した参照用土壌情報を取得する際と同様である。
【0143】
このようにして新たに取得した画像情報と、土壌情報に基づいて、実際にその新たに画像情報と土壌情報とを取得した農作物の先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図17(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0144】
なお、この第2実施形態においては、参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用画像情報を撮像した農作物の育成時期における天候及び災害状況を検出した参照用自然環境情報を学習させるようにしてもよい。参照用自然環境情報は、農作物の育成過程において検知した自然環境に関するあらゆるデータであり、例えば、日射量、温度、湿度、風向、雨量等の天候状況に関するデータ、台風、洪水、旱魃、日照り等の災害状況に関するデータ等である。実際にこの参照用自然環境情報は、参照用画像情報の取得時点におけるデータを取得することが望ましいがこれに限定されるものではなく、その参照用画像情報を撮像した農作物のあらゆる育成期間における自然環境に関するデータを取得するようにしてもよい。これらの参照用自然環境情報は、温度センサ、湿度センサ、光量センサ、風向計、雨量計等リアルタイムなデータを取得するためのセンシング手段で構成されていてもよいが、台風や洪水の被害状況や旱魃、日照り等の状況を事後的に解析するものであってもよい。
【0145】
参照用画像情報と参照用自然環境情報とを有する組み合わせと、上記農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と自然環境情報を取得する。この自然環境情報は、画像情報を撮像した農作物の育成時期における天候及び災害状況を検出したものであり、その情報の種類は参照用自然環境情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、自然環境情報に応じた参照用自然環境情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0146】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、その過去において育成した農作物に対して実際に行った農作業の履歴に関する参照用履歴情報を学習させるようにしてもよい。参照用履歴情報は、参照用画像情報を撮像した農作物の育成過程において実際に行ってきた農作業の履歴である。種まきから苗を植え、収穫に至るまで具体的にどのような農作業を行ってきたのかが整理されている。例えば、水を撒いたり、肥料を施したり、農薬を散布したり、雑草の駆除を行ったりする農作業を、いつ、どの程度、どのように行ったのかがこの参照用履歴情報として反映されている。実際にこの参照用履歴情報は、農家がつけた農作業日誌を電子データ化したもので構成しても良いし、実際に農作業を行った記録が記載されたPCやスマートフォン等を通じて取得したものであってもよい。
【0147】
参照用画像情報と参照用履歴情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と履歴情報を取得する。この履歴情報は、画像情報を撮像した農作物の育成過程において実際に行ってきた農作業の履歴であり、その情報の種類は参照用履歴情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、履歴情報に応じた参照用履歴情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0148】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用市況情報を学習させるようにしてもよい。参照用市況情報は、第1実施形態において説明したものと同様であるが、データとして取得する市況は、参照用画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間であればよい。
【0149】
かかる場合には参照用画像情報と参照用市況情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と市況情報を取得する。この市況情報は、画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間であればよく、その情報の種類は参照用市況情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、市況情報に応じた参照用市況情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0150】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用イベント情報を学習させるようにしてもよい。参照用イベント情報は、第1実施形態において説明したものと同様であるが、データとして取得するイベントは、参照用画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間において発生したものであればよい。
【0151】
かかる場合には参照用画像情報と参照用イベント情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報とイベント情報を取得する。このイベント情報は、画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間に発生したものであればよく、その情報の種類は参照用イベント情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、イベント情報に応じた参照用イベント情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0152】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用外部環境情報を学習させるようにしてもよい。参照用外部環境情報は、第1実施形態において説明したものと同様であるが、データとして取得する外部環境は、参照用画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間のものであればよい。
【0153】
かかる場合には参照用画像情報と参照用外部環境情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と外部環境情報を取得する。この外部環境情報は、画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間のものであればよく、その情報の種類は参照用外部環境情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、外部環境情報に応じた参照用外部環境情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0154】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用専門家意見情報を学習させるようにしてもよい。参照用専門家意見情報は、第1実施形態において説明したものと同様であるが、データとして取得する専門家意見は、参照用画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間に発せられたものであればよい。
【0155】
かかる場合には参照用画像情報と参照用専門家意見情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と専門家意見情報を取得する。この専門家意見情報は、画像情報を撮像した農作物の育成過程から取引時に至るまでの期間に発生したものであればよく、その情報の種類は参照用専門家意見情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、専門家意見情報に応じた参照用専門家意見情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0156】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用作付面積情報を学習させるようにしてもよい。参照用作付面積情報は、その過去における農作物の育成時における作付面積に関するデータである。即ち、この参照用作付面積情報は、実際の農産物を生産する耕作地における作付面積に関するデータであり、例えば世界単位、国単位の統計データのみならず、地方単位、都道府単位、市区町村単位、更には農地単位で作付面積に関する情報が反映されるものであってもよい。この参照用作付面積情報は、月単位、年単位等、時系列的に変化し、これが統計データとして反映される。このため、このような統計データを時系列的に取得することにより、学習データを得ることができる。
【0157】
かかる場合には参照用画像情報と参照用作付面積情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と作付面積情報を取得する。この作付面積情報は、画像情報を撮像した農作物の育成時における作付面積であればよく、その情報の種類は参照用作付面積情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、作付面積情報に応じた参照用作付面積情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0158】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用政策情報を学習させるようにしてもよい。参照用政策情報は、その過去において育成した農作物の育成時から取引時において施行された政策に関する情報である。政策とは、農作物の生産に関係する政策が中心となり、例えば耕作地を減らす政策、耕作地を増やす政策、或いは他の国から農作物を積極的に輸入する政策、他の国から輸入される農作物の関税に関する政策、更には他国から輸入される農作物の自由化に関する政策等、国内に出回る農作物の需給関係に影響を及ぼすあらゆる政策が含まれる。
【0159】
かかる場合には参照用画像情報と参照用政策情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と政策情報を取得する。この政策情報は、新たに先物取引を行う時期において施行される政策に関する情報であり、その情報の種類は参照用作付面積情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、政策情報に応じた参照用政策情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0160】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用農作業履歴情報を学習させるようにしてもよい。参照用農作業履歴情報は、その農作物の育成過程において実際に行ってきた農作業の履歴である。種まきから苗を植え、収穫に至るまで具体的にどのような農作業を行ってきたのかが整理されている。例えば、水を撒いたり、肥料を施したり、農薬を散布したり、雑草の駆除を行ったりする農作業を、いつ、どの程度、どのように行ったのかがこの参照用履歴情報として反映されている。実際にこの参照用履歴情報は、農家がつけた農作業日誌を電子データ化したもので構成しても良いし、実際に農作業を行った記録が記載されたPCやスマートフォン等を通じて取得したものであってもよい。
【0161】
かかる場合には参照用画像情報と参照用農作業履歴情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報と農作業履歴情報を取得する。この農作業履歴情報は、新たに先物取引を行う対象となる農作物の育成過程における農作業履歴に関する情報であり、その情報の種類は参照用農作業履歴情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、農作業履歴情報に応じた参照用農作業履歴情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0162】
参照用画像情報と組み合わせる参照用情報として、参照用土壌情報の代替として、参照用シーズン情報を学習させるようにしてもよい。参照用シーズン情報は、過去において育成した農作物の取引を行うシーズンに関する情報であり、例えば、月、週、季節(春夏秋冬)、或いはクリスマスや正月、お盆や節句、節分等の年間行事等である。例えば小豆は正月に消費量が多くなり、大豆は節分において消費量が多くなる等、シーズンに応じて農作物の需給が変化し、相場に影響を及ぼす。このため、参照用シーズン情報も説明変数としている。
【0163】
かかる場合には参照用画像情報と参照用シーズン情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を学習させておく。そして、新たに画像情報とシーズン情報を取得する。このシーズン情報は、新たに先物取引を行うシーズンに関する情報であり、その情報の種類は参照用シーズン情報と同様である。そして、取得した画像情報に応じた参照用画像情報と、シーズン情報に応じた参照用シーズン情報とを有する組み合わせと、農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度のより高いものを優先させて、農作物先物の相場データを探索解を探索する。
【0164】
また、第1実施形態~第2実施形態ともに、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用画像情報等であるが、これに限定されるものでは無く、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)も適用可能である。
【0165】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0166】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0167】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0168】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用土壌情報P14において、以前において先物が値段が低かった経緯があったものとする。このような参照用土壌情報P14に応じた土壌情報を新たに取得したとき、先物の値段が高い探索解に対して、重み付けを下げる処理を行い、換言すれば先物の値段が低い探索解につながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0169】
例えば、他の参照用情報Gが、より先物の値段が高いレベルを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より先物の値段が低いレベルを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、先物の値段が高いレベルの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、先物の値段が低いレベルの重み付けを上げる処理を行う。つまり、先物の値段につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、先物の値段を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての先物の値段にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0170】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する先物の値段がより高いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより高く修正し、参照用情報の示唆する先物の値段がより低いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより低く修正するようにしてもよい。
【0171】
なお、
図19に示すように、先物の増減データとの間で連関度を構成する基調となる参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)も適用可能である。
【0172】
例えば、参照用自然環境情報を基調となる参照用情報とした場合、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するものであってもよい。
【0173】
同様に、
図20に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、先物の増減データとの連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外の第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0174】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用自然環境情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外の1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0175】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、先物の価格の増減を推定することができる。
【0176】
第2実施形態においても、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0177】
なお、上述した探索解としては、先物の価格の増減の代替として、農作物の品質、又は農作物の収穫量を探索解として探索するようにしてもよい。そして、この探索解としての農作物の品質、又は農作物の収穫量に対応する先物の増減データを出力するようにしてもよい。かかる場合には、農作物の品質、又は農作物の収穫量と、先物の増減データとを互いに紐付けたテンプレートを用意しておき、これを参照することで農作物の品質、又は農作物の収穫量の出力解に対する先物の増減データを出力する。
【0178】
このとき、農作物の品質、又は農作物の収穫量と、先物の増減データとを互いに3段階以上の連関度を通じて関連付けたデータを用意しておくことで同様に先物の増減データを出力するようにしてもよい。
【0179】
また第2実施形態においては、
図21に示すように参照用需要情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用需要情報と、その過去において育成した農作物を収穫した農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0180】
参照用需要情報とは、過去において取引された農作物の取引時における当該農作物の需要に関するデータである。参照用需要情報とは、農作物の需要がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用需要情報は、国単位、地域単位における農作物の販売数や在庫数等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や卸売市場における販売数や在庫数のデータから取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、国内又は国外における当該農作物の生産量に関するデータを含めてもよい。国内又は国外における農作物の生産量が多くなるほど、農作物の需要は少なくなるが、逆に生産量が少ない場合には、農作物の需要が高くなる。また参照用需要情報は、農作物を飼料とする家畜の頭数データを含めてもよい。家畜が多い場合には、その資料としての農作物の需要が高くなるためである。また、参照用需要情報は、人口推計データを含めてもよい。人口が多くなるほど農作物の需要が高くなるためである。
【0181】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに農作物の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得する。
【0182】
新たに取得する需要情報は、取引する農作物先物の相場に関する情報を表示する上で、農作物の取引時における需要に関する情報である。この需要情報の内容としては、参照用需要情報と同様である。具体的な農作物の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0183】
農作物の取引時における、実際の農作物の需要に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用需要情報と実際の農作物の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、農作物の需要に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0184】
また第2実施形態においては、
図22に示すように参照用供給情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用供給情報と、その過去において育成した農作物を収穫した農作物先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0185】
参照用供給情報とは、過去において取引された農作物の取引時における当該農作物の供給状況に関するデータである。参照用供給情報とは、農作物の供給がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用供給情報は、国単位、地域単位における農作物の実際の生産量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や卸売市場に産地から入荷される農作物の量のデータから取得するようにしてもよい。また参照用供給情報は、過去において取引された農作物の作付面積に関するデータ、当該農作物の農作業履歴に関するデータ、当該農作物について育成中に撮像した画像データ、当該農作物が作付けされている土壌の成分の調査データ、育成中の農作物の育成過程における天候及び災害状況を検出した自然環境データの何れか1以上で構成されていてもよい。作付面積、農作業履歴、農作物の画像からよみとることができる成育状況、土壌の成分、天候や災害状況に応じて農作物の生産量が変化し、ひいては市場に出回る農作物の供給量も変化する。そして、市場に出回る農作物の供給量も変化すれば、これに応じて農作物先物も増減する。このため、この供給量に関する情報を説明変数としている。
【0186】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに農作物の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、供給情報を新たに取得する。
【0187】
新たに取得する供給情報は、取引する農作物先物の相場に関する情報を表示する上で、農作物の取引時における供給に関する情報である。この供給情報の内容としては、参照用供給情報と同様である。具体的な農作物の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0188】
農作物の取引時における、実際の農作物の供給に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用供給情報と実際の農作物の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、農作物の供給に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0189】
図23の例では、参照用需要情報と、参照用供給情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
図23の例では、入力データとして例えば参照用需要情報P11~P13、参照用供給情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用需要情報に対して、参照用供給情報が組み合わさったものが、
図23に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、農作物先物の増減データが表示されている。
【0190】
参照用需要情報と参照用供給情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、農作物の先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用需要情報と参照用供給情報がこの連関度を介して左側に配列し、各農作物の先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用需要情報と参照用供給情報に対して、何れの農作物の先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用需要情報と参照用供給情報が、いかなる農作物の先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用需要情報と参照用供給情報から最も確からしい農作物の先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図23の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0191】
推定装置2は、このような
図23に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用需要情報と、参照用供給情報、並びにその場合の農作物の先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図23に示す連関度を作り上げておく。
【0192】
例えば、参照用需要情報がP11であるものとする。このとき、その参照用需要情報の取得時点における供給状況を調査したところ参照用供給情報P14であったとき、以前のデータにおいてどの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0193】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに農作物の先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して農作物の先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得するとともに、供給情報を取得する。
【0194】
このようにして新たに取得した需要情報と、供給情報に基づいて、実際にその新たに需要情報と供給情報とを取得した農作物の先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図23(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0195】
また参照用需要情報又は参照用供給情報を
図20に示す基調となる参照用情報としたとき、他の参照用情報として、第1実施形態、第2実施形態に示すいかなる情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)と組み合わせ、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するようにしてもよい。
【0196】
また、
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段(各先物の増減データ)との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報としては、更に参照用供給情報又は参照用需要情報も含まれる。他の参照用情報としては、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)に加え、参照用供給情報又は参照用需要情報も適用可能である。
【0197】
第3実施形態
第3実施形態は、原油(原油又は石油、ガソリン、灯油)の相場に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムである。
【0198】
第3実施形態においては、
図21に示すように参照用需要情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用需要情報と、その過去において取引された原油先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0199】
参照用需要情報は、過去において取引された原油の取引時における当該原油の需要に関するデータである。参照用需要情報とは、原油の需要がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用需要情報は、国単位、地域単位における原油の販売量や備蓄量等に関する情報で構成されていてもよく、ガソリンスタンド等における販売数や備蓄量、タンクに貯留されている原油、石油、ガソリンの備蓄量から取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、国内又は国外における当該原油の生産量に関するデータを含めてもよい。国内又は国外における原油の生産量が多くなるほど、原油の需要は少なくなるが、逆に生産量が少ない場合には、原油の需要が高くなる。これに加えて、この参照用需要情報は原油を利用する各産業の状況から取得するようにしてもよい。例えば、ガソリンを利用する自動車の生産台数や販売台数、車両通行量が多いほど、ガソリンに対する需要は高まる。その他石油を利用した石油製品(合成樹脂、アスファルト、燃料油、パラフィン、潤滑油等)の生産量や消費動向等から取得するようにしてもよい。また産油国や原油の消費国における国の原油に対する様々な政策についても、石油需要に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0200】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに原油の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得する。
【0201】
新たに取得する需要情報は、取引する原油先物の相場に関する情報を表示する上で、原油の取引時における需要に関する情報である。この需要情報の内容としては、参照用需要情報と同様である。具体的な原油の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0202】
原油の取引時における、実際の原油の需要に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用需要情報と実際の原油の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、原油の需要に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0203】
また第3実施形態においては、
図22に示すように参照用供給情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用供給情報と、その過去において取引した原油先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0204】
参照用供給情報とは、過去において取引された原油の取引時における当該原油の供給状況に関するデータである。参照用供給情報とは、原油の供給がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用供給情報は、国単位、地域単位における原油の実際の生産量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店やガソリンスタンドに産地から入荷される原油の量のデータから取得するようにしてもよい。また参照用供給情報は、過去における原油の生産量に関するデータ、当該原油の生産能力に関するデータ、当該原油についての原油の生産技術、精製技術に関する情報、更に産油国や原油の消費国における国の原油に対する様々な政策についても、石油の供給状況に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0205】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに原油の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、供給情報を新たに取得する。
【0206】
新たに取得する供給情報は、取引する原油先物の相場に関する情報を表示する上で、原油の取引時における供給に関する情報である。この供給情報の内容としては、参照用供給情報と同様である。具体的な原油の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0207】
原油の取引時における、実際の原油の供給に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用供給情報と実際の原油の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、原油の供給に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0208】
石油先物についても同様に
図23に示すように、参照用需要情報と、参照用供給情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
図23の例では、入力データとして例えば参照用需要情報P11~P13、参照用供給情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用需要情報に対して、参照用供給情報が組み合わさったものが、
図23に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、原油先物の増減データが表示されている。
【0209】
参照用需要情報と参照用供給情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、原油の先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用需要情報と参照用供給情報がこの連関度を介して左側に配列し、各原油の先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用需要情報と参照用供給情報に対して、何れの原油の先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用需要情報と参照用供給情報が、いかなる原油の先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用需要情報と参照用供給情報から最も確からしい原油の先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図23の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0210】
推定装置2は、このような
図23に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用需要情報と、参照用供給情報、並びにその場合の原油の先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図23に示す連関度を作り上げておく。
【0211】
例えば、参照用需要情報がP11であるものとする。このとき、その参照用需要情報の取得時点における供給状況を調査したところ参照用供給情報P14であったとき、以前のデータにおいてどの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0212】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに原油の先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して原油の先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得するとともに、供給情報を取得する。
【0213】
このようにして新たに取得した需要情報と、供給情報に基づいて、実際にその新たに需要情報と供給情報とを取得した原油の先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図23(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0214】
また参照用需要情報又は参照用供給情報を
図20に示す基調となる参照用情報としたとき、他の参照用情報として、第1実施形態、第2実施形態に示すいかなる情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)と組み合わせ、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するようにしてもよい。
【0215】
このうち、参照用市況情報については、市況自体が実際の原油価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。参照用自然環境情報は、暖冬であると燃料需要が減る場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0216】
参照用外部環境情報も同様に原油価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0217】
参照用シーズン情報も、例えば月末等や年末のように車両通行量が多いシーズンや冬等のように燃料需要が高いシーズンに応じて需給バランスが異なることから、これをパラメータとして加えている。
【0218】
また、第3実施形態は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用需要情報、又は参照用供給情報である。他の参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)も適用可能である。また、基調となる参照用情報が参照用需要情報である場合に、他の参照用情報が参照用供給情報とされていてもよいし、基調となる参照用情報が参照用供給情報である場合に、他の参照用情報が参照用需要情報とされていてもよい。
【0219】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0220】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0221】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0222】
例えば、他の参照用情報Gが、より先物の値段が高いレベルを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より先物の値段が低いレベルを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、先物の値段が高いレベルの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、先物の値段が低いレベルの重み付けを上げる処理を行う。つまり、先物の値段につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、先物の値段を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての先物の値段にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0223】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する先物の値段がより高いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより高く修正し、参照用情報の示唆する先物の値段がより低いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより低く修正するようにしてもよい。
【0224】
また、第3実施形態においても、
図18、20における他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよいことは勿論である。
【0225】
第4実施形態
第4実施形態は、ゴムの相場に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムである。
【0226】
第4実施形態においては、
図21に示すように参照用需要情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用需要情報と、その過去において取引されたゴム先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0227】
参照用需要情報は、過去において取引されたゴムの取引時における当該ゴムの需要に関するデータである。参照用需要情報とは、ゴムの需要がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用需要情報は、国単位、地域単位におけるゴムの販売量や在庫量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や問屋等における販売数や在庫量から取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、国内又は国外における当該ゴムの生産量に関するデータを含めてもよい。国内又は国外におけるゴムの生産量が多くなるほど、ゴムの需要は少なくなるが、逆に生産量が少ない場合には、ゴムの需要が高くなる。これに加えて、この参照用需要情報はゴムを利用する各産業の状況から取得するようにしてもよい。例えば、ゴムを利用する自動車の生産量やタイヤの生産量が多いほど、ゴムに対する需要は高まる。その他ゴムを利用したゴム製品(合成樹脂、輪ゴム等)の生産量や消費動向等から取得するようにしてもよい。またゴムの消費国における需要動向や国内情勢に関する情報、ゴムの消費国における国内の様々な政策についても、ゴムの需要に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0228】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たにゴムの取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得する。
【0229】
新たに取得する需要情報は、取引するゴム先物の相場に関する情報を表示する上で、ゴムの取引時における需要に関する情報である。この需要情報の内容としては、参照用需要情報と同様である。具体的なゴムの取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0230】
ゴムの取引時における、実際のゴムの需要に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用需要情報と実際のゴムの取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、ゴムの需要に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0231】
また第4実施形態においては、
図22に示すように参照用供給情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用供給情報と、その過去において取引したゴム先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0232】
参照用供給情報とは、過去において取引されたゴムの取引時における当該ゴムの供給状況に関するデータである。参照用供給情報とは、ゴムの供給がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用供給情報は、国単位、地域単位におけるゴムの実際の生産量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や問屋に産地から入荷されるゴムの量のデータから取得するようにしてもよい。また参照用供給情報は、過去におけるゴムの生産量に関するデータ、当該ゴムの生産能力に関するデータ、当該ゴムについてのゴムの生産技術に関する情報、天然ゴムの生産量に関する情報、ゴム生産国の天候、ゴム生産国の国内情勢、ゴム生産国におけるゴムに対する様々な政策についても、ゴムの供給状況に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0233】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たにゴムの取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、供給情報を新たに取得する。
【0234】
新たに取得する供給情報は、取引するゴム先物の相場に関する情報を表示する上で、ゴムの取引時における供給に関する情報である。この供給情報の内容としては、参照用供給情報と同様である。具体的なゴムの取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0235】
ゴムの取引時における、実際のゴムの供給に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用供給情報と実際のゴムの取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、ゴムの供給に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0236】
ゴム先物についても同様に
図23に示すように、参照用需要情報と、参照用供給情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
図23の例では、入力データとして例えば参照用需要情報P11~P13、参照用供給情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用需要情報に対して、参照用供給情報が組み合わさったものが、
図23に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、ゴム先物の増減データが表示されている。
【0237】
参照用需要情報と参照用供給情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、ゴムの先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用需要情報と参照用供給情報がこの連関度を介して左側に配列し、各ゴムの先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用需要情報と参照用供給情報に対して、何れのゴムの先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用需要情報と参照用供給情報が、いかなるゴムの先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用需要情報と参照用供給情報から最も確からしいゴムの先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図23の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0238】
推定装置2は、このような
図23に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用需要情報と、参照用供給情報、並びにその場合のゴムの先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図23に示す連関度を作り上げておく。
【0239】
例えば、参照用需要情報がP11であるものとする。このとき、その参照用需要情報の取得時点における供給状況を調査したところ参照用供給情報P14であったとき、以前のデータにおいてどの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0240】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たにゴムの先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用してゴムの先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得するとともに、供給情報を取得する。
【0241】
このようにして新たに取得した需要情報と、供給情報に基づいて、実際にその新たに需要情報と供給情報とを取得したゴムの先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図23(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0242】
また参照用需要情報又は参照用供給情報を
図20に示す基調となる参照用情報としたとき、他の参照用情報として、第1実施形態~第3実施形態に示すいかなる情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)と組み合わせ、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するようにしてもよい。他の参照用情報としては、これら以外に、その過去におけるゴムの取引を行う時点における原油価格に関する参照用原油価格情報を組み合わせてもよい。原油はゴムの原料であることから、この原油価格に応じてゴムの相場や需給バランスも変化するため、この参照用原油価格情報も説明変数に加えてもよい。
【0243】
このうち、参照用市況情報については、市況自体が実際のゴム価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0244】
参照用外部環境情報も同様にゴム価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0245】
参照用シーズン情報も、例えば月末等や年末のように車両通行量が多いシーズンやあるイベントに応じてゴム需要が高くなる場合もあり、シーズンに応じて需給バランスが異なることから、これをパラメータとして加えている。
【0246】
また、第4実施形態は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用需要情報、又は参照用供給情報である。他の参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報、参照用原油価格情報等)も適用可能である。また、基調となる参照用情報が参照用需要情報である場合に、他の参照用情報が参照用供給情報とされていてもよいし、基調となる参照用情報が参照用供給情報である場合に、他の参照用情報が参照用需要情報とされていてもよい
【0247】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0248】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0249】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0250】
例えば、他の参照用情報Gが、より先物の値段が高いレベルを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より先物の値段が低いレベルを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、先物の値段が高いレベルの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、先物の値段が低いレベルの重み付けを上げる処理を行う。つまり、先物の値段につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、先物の値段を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての先物の値段にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0251】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する先物の値段がより高いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより高く修正し、参照用情報の示唆する先物の値段がより低いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより低く修正するようにしてもよい。
【0252】
また、第4実施形態においても、
図18、20における他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよいことは勿論である。
【0253】
第5実施形態
第5実施形態は、貴金属の相場に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムである。
【0254】
第5実施形態においては、
図21に示すように参照用需要情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用需要情報と、その過去において取引された貴金属先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0255】
参照用需要情報は、過去において取引された貴金属の取引時における当該貴金属の需要に関するデータである。貴金属は、例えば金、銀、白金、プラチナ、パラジウム、レアメタル等、先物取引の対象となるあらゆる貴金属が含まれる。参照用需要情報とは、貴金属の需要がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用需要情報は、国単位、地域単位における貴金属の販売量や在庫量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や問屋等における販売数や在庫量から取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、国内又は国外における当該貴金属の生産量に関するデータを含めてもよい。国内又は国外における貴金属の生産量が多くなるほど、貴金属の需要は少なくなるが、逆に生産量が少ない場合には、貴金属の需要が高くなる。これに加えて、この参照用需要情報は貴金属を利用する各産業の状況から取得するようにしてもよい。例えば、貴金属を一部に利用するデバイスや電子機器の生産量が多いほど、貴金属に対する需要は高まる。その他貴金属を利用した貴金属製品(ジュエリー等の宝飾品)の生産量や消費動向等から取得するようにしてもよい。また貴金属を生産工程で使用する場合がある。白金は触媒として使用されるケースがあり、この触媒の添加を生産工程に不空、宝飾品や化学製品、ガラス製品等の需要もこの参照用需要情報に含めてもよい。また参照用需要情報は、消費国における需要動向や国内情勢に関する情報、貴金属の消費国における国内の様々な政策についても、貴金属の需要に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0256】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに貴金属の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得する。
【0257】
新たに取得する需要情報は、取引する貴金属先物の相場に関する情報を表示する上で、貴金属の取引時における需要に関する情報である。この需要情報の内容としては、参照用需要情報と同様である。具体的な貴金属の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0258】
貴金属の取引時における、実際の貴金属の需要に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用需要情報と実際の貴金属の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、貴金属の需要に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0259】
また第5実施形態においては、
図22に示すように参照用供給情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用供給情報と、その過去において取引した貴金属先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0260】
参照用供給情報とは、過去において取引された貴金属の取引時における当該貴金属の供給状況に関するデータである。参照用供給情報とは、貴金属の供給がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用供給情報は、国単位、地域単位における貴金属の実際の生産量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や問屋に産地から入荷される貴金属の量のデータから取得するようにしてもよい。また参照用供給情報は、過去における貴金属の生産量に関するデータ、当該貴金属の生産能力、精錬能力に関するデータ、当該貴金属についての貴金属の生産技術に関する情報、天然の貴金属の原石の生産量に関する情報、貴金属生産国の天候、貴金属生産国の国内情勢、貴金属生産国における貴金属に対する様々な政策についても、貴金属の供給状況に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。更に参照用供給情報としては、貴金属の生産コストに関する情報、貴金属を生産する鉱山の情報等も含めてもよい。
【0261】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに貴金属の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、供給情報を新たに取得する。
【0262】
新たに取得する供給情報は、取引する貴金属先物の相場に関する情報を表示する上で、貴金属の取引時における供給に関する情報である。この供給情報の内容としては、参照用供給情報と同様である。具体的な貴金属の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0263】
貴金属の取引時における、実際の貴金属の供給に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用供給情報と実際の貴金属の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、貴金属の供給に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0264】
貴金属先物についても同様に
図23に示すように、参照用需要情報と、参照用供給情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
図23の例では、入力データとして例えば参照用需要情報P11~P13、参照用供給情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用需要情報に対して、参照用供給情報が組み合わさったものが、
図23に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、貴金属先物の増減データが表示されている。
【0265】
参照用需要情報と参照用供給情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、貴金属の先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用需要情報と参照用供給情報がこの連関度を介して左側に配列し、各貴金属の先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用需要情報と参照用供給情報に対して、何れの貴金属の先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用需要情報と参照用供給情報が、いかなる貴金属の先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用需要情報と参照用供給情報から最も確からしい貴金属の先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図23の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0266】
推定装置2は、このような
図23に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用需要情報と、参照用供給情報、並びにその場合の貴金属の先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図23に示す連関度を作り上げておく。
【0267】
例えば、参照用需要情報がP11であるものとする。このとき、その参照用需要情報の取得時点における供給状況を調査したところ参照用供給情報P14であったとき、以前のデータにおいてどの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0268】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに貴金属の先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して貴金属の先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得するとともに、供給情報を取得する。
【0269】
このようにして新たに取得した需要情報と、供給情報に基づいて、実際にその新たに需要情報と供給情報とを取得した貴金属の先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図23(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0270】
また参照用需要情報又は参照用供給情報を
図20に示す基調となる参照用情報としたとき、他の参照用情報として、第1実施形態~第4実施形態に示すいかなる情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報等)と組み合わせ、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するようにしてもよい。
【0271】
他の参照用情報としては、これら以外に、その過去における貴金属の取引を行う時点における物価に関する参照用物価情報を組み合わせてもよい。物価は、貴金属の相場に非常に影響を及し、また物価に応じて貴金属の相場や需給バランスも変化するため、この参照用物価情報も説明変数に加えてもよい。かかる場合には、新たに貴金属の価格の増減を推量する時期における物価に関する物価情報を取得する。
【0272】
また他の参照用情報としては、過去における貴金属の取引を行う時期において公的機関が保有する貴金属の量に関する参照用公的機関保有情報を含めてもよい。公的機関が保有する貴金属の量は、相場に大きな影響を及ぼすことからこれを説明変数に含めてもよい。かかる場合には、新たに貴金属の価格の増減を推量する時期において、公的機関が保有する貴金属の量に関する公的機関保有情報を取得する。
【0273】
また他の参照用情報としては、過去における貴金属の取引を行う時期における国際情勢に関する参照用国際情勢情報を含めてもよい。貴金属は他国との間で輸入、輸出するケースが多く、国際情勢は、相場に大きな影響を及ぼすことからこれを説明変数に含めてもよい。かかる場合には、新たに貴金属の価格の増減を推量する時期における国際情勢に関する国際情勢情報を取得する。
【0274】
このうち、参照用市況情報については、市況自体が実際の貴金属価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0275】
参照用外部環境情報も同様に貴金属価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0276】
また、第5実施形態は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用需要情報、又は参照用供給情報である。他の参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報、参照用原油価格情報、参照用物価情報、参照用公的機関保有情報、参照用国際情勢情報等)も適用可能である。また、基調となる参照用情報が参照用需要情報である場合に、他の参照用情報が参照用供給情報とされていてもよいし、基調となる参照用情報が参照用供給情報である場合に、他の参照用情報が参照用需要情報とされていてもよい。
【0277】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0278】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0279】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0280】
例えば、他の参照用情報Gが、より先物の値段が高いレベルを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より先物の値段が低いレベルを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、先物の値段が高いレベルの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、先物の値段が低いレベルの重み付けを上げる処理を行う。つまり、先物の値段につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、先物の値段を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての先物の値段にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0281】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する先物の値段がより高いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより高く修正し、参照用情報の示唆する先物の値段がより低いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより低く修正するようにしてもよい。
【0282】
また、第5実施形態においても、
図18、20における他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよいことは勿論である。
【0283】
第6実施形態
第6実施形態は、水産物の相場に関する情報を表示する先物取引情報表示プログラムである。
【0284】
第6実施形態においては、
図21に示すように参照用需要情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用需要情報と、その過去において取引された水産物先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0285】
参照用需要情報は、過去において取引された水産物の取引時における当該水産物の需要に関するデータである。水産物は、例えば魚や貝、海藻、海草(スルメ、昆布、魚油、魚粕等)、先物取引の対象となるあらゆる水産物が含まれる。参照用需要情報とは、水産物の需要がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用需要情報は、国単位、地域単位における水産物の販売量や在庫量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や魚市場、問屋等における販売数や在庫量から取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、国内又は国外における当該水産物の生産量に関するデータを含めてもよい。国内又は国外における水産物の生産量が多くなるほど、水産物の需要は少なくなるが、逆に生産量が少ない場合には、水産物の需要が高くなる。これに加えて、この参照用需要情報は水産物を利用する各産業の状況から取得するようにしてもよい。例えば、水産物として魚粕を利用する製品の生産量が多いほど、水産物に対する需要は高まる。その他水産物を利用した水産物製品(割きイカ等)の生産量や消費動向等から取得するようにしてもよい。また参照用需要情報は、消費国における需要動向や国内情勢に関する情報、水産物の消費国における国内の様々な政策についても、水産物の需要に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。
【0286】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに水産物の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得する。
【0287】
新たに取得する需要情報は、取引する水産物先物の相場に関する情報を表示する上で、水産物の取引時における需要に関する情報である。この需要情報の内容としては、参照用需要情報と同様である。具体的な水産物の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0288】
水産物の取引時における、実際の水産物の需要に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用需要情報と実際の水産物の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、水産物の需要に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0289】
また第6実施形態においては、
図22に示すように参照用供給情報に対して先物の増減データを学習させるものであってもよい。かかる場合には、参照用供給情報と、その過去において取引した水産物先物の相場データとの3段階以上の連関度を利用する。
【0290】
参照用供給情報とは、過去において取引された水産物の取引時における当該水産物の供給状況に関するデータである。参照用供給情報とは、水産物の供給がどの程度あるかを示すあらゆる情報が含まれる。参照用供給情報は、国単位、地域単位における水産物の実際の生産量等に関する情報で構成されていてもよく、小売店や問屋に産地から入荷される水産物の量のデータから取得するようにしてもよい。また参照用供給情報は、過去における水産物の生産量に関するデータ、当該水産物の加工能力に関するデータ、当該水産物についての水産物の加工技術に関する情報、水産物の水揚げ量に関する情報、水産物生産国の天候、水産物生産国の国内情勢、水産物生産国における水産物に対する様々な政策についても、水産物の供給状況に影響を及ぼすため、これを含めてもよい。更に参照用供給情報としては、水産物の加工コストに関する情報、水産物を生産する漁場や養殖場の情報、更には水産物を養殖により生産する場合には、施した餌の内容や餌の量、更には飼育環境等も含めてもよい。更にこの参照用供給情報としては、水産物が水揚げされる海域(供給海域)における天候や、当該供給海域を領海に含む国の政情も含む。
【0291】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに水産物の取引相場を推定する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、供給情報を新たに取得する。
【0292】
新たに取得する供給情報は、取引する水産物先物の相場に関する情報を表示する上で、水産物の取引時における供給に関する情報である。この供給情報の内容としては、参照用供給情報と同様である。具体的な水産物の取引相場の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0293】
水産物の取引時における、実際の水産物の供給に応じて取引相場も変化する。このため、このような参照用供給情報と実際の水産物の取引相場との関係を示すデータセットを学習させておくことにより、水産物の供給に応じた取引相場を推定することが可能となる。
【0294】
水産物先物についても同様に
図23に示すように、参照用需要情報と、参照用供給情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
図23の例では、入力データとして例えば参照用需要情報P11~P13、参照用供給情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用需要情報に対して、参照用供給情報が組み合わさったものが、
図23に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、水産物先物の増減データが表示されている。
【0295】
参照用需要情報と参照用供給情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、水産物の先物の増減データ又は相場に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用需要情報と参照用供給情報がこの連関度を介して左側に配列し、各水産物の先物の増減データ又は相場が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用需要情報と参照用供給情報に対して、何れの水産物の先物の増減データ又は相場と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用需要情報と参照用供給情報が、いかなる水産物の先物の増減データ又は相場に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用需要情報と参照用供給情報から最も確からしい水産物の先物の増減データ又は相場を選択する上での的確性を示すものである。
図23の例では、連関度としてw13~w22が示されている。
【0296】
推定装置2は、このような
図23に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用需要情報と、参照用供給情報、並びにその場合の水産物の先物の増減データ又は相場がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図23に示す連関度を作り上げておく。
【0297】
例えば、参照用需要情報がP11であるものとする。このとき、その参照用需要情報の取得時点における供給状況を調査したところ参照用供給情報P14であったとき、以前のデータにおいてどの程度の先物の増減データ又は相場だったかを抽出する。
【0298】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに水産物の先物の増減データ又は相場(相場データ)を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して水産物の先物の増減データ又は相場を判別することとなる。かかる場合には、需要情報を新たに取得するとともに、供給情報を取得する。
【0299】
このようにして新たに取得した需要情報と、供給情報に基づいて、実際にその新たに需要情報と供給情報とを取得した水産物の先物の増減データ又は相場を予測する。かかる場合には、予め取得した
図23(表1)に示す連関度を参照し、最も連関度の高いものを最適解として選択する。この最適解の選択方法の詳細は、上述した第1実施形態において説明した方法と同様である。
【0300】
また参照用需要情報又は参照用供給情報を
図20に示す基調となる参照用情報としたとき、他の参照用情報として、第1実施形態~第5実施形態に示すいかなる情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用農作業履歴情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報、参照用物価情報、国際情勢情報等)と組み合わせ、これと先物の増減データとの間で連関度を構成するようにしてもよい。
【0301】
このうち、参照用市況情報については、市況自体が実際の水産物価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0302】
参照用外部環境情報も同様に水産物価格に影響を及ぼす場合もあることから、これをパラメータとして加えている。
【0303】
また、第6実施形態は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図18に示すように、基調となる参照用情報と、先物の値段との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と先物の値段との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用需要情報、又は参照用供給情報である。他の参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用市況情報、参照用イベント情報、参照用外部環境情報、参照用家計情報、参照用不動産情報、参照用農作業履歴情報、参照用専門家意見情報、参照用自然環境情報、参照用土壌情報、参照用作付面積情報、参照用政策情報、参照用シーズン情報、参照用原油価格情報、参照用物価情報、参照用公的機関保有情報、参照用国際情勢情報等)も適用可能である。また、基調となる参照用情報が参照用需要情報である場合に、他の参照用情報が参照用供給情報とされていてもよいし、基調となる参照用情報が参照用供給情報である場合に、他の参照用情報が参照用需要情報とされていてもよい。
【0304】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0305】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0306】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0307】
例えば、他の参照用情報Gが、より先物の値段が高いレベルを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より先物の値段が低いレベルを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、先物の値段が高いレベルの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、先物の値段が低いレベルの重み付けを上げる処理を行う。つまり、先物の値段につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、先物の値段を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての先物の値段にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0308】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する先物の値段がより高いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより高く修正し、参照用情報の示唆する先物の値段がより低いものにつながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての先物の値段をより低く修正するようにしてもよい。
【0309】
また、第6実施形態においても、
図18、20における他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0310】
1 先物取引情報表示システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード