(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 61/28 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
B65B61/28
(21)【出願番号】P 2021085548
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】澁野 武志
(72)【発明者】
【氏名】西内 和正
(72)【発明者】
【氏名】近藤 光
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-013922(JP,U)
【文献】特開昭50-008692(JP,A)
【文献】実開昭62-080808(JP,U)
【文献】特開昭62-295822(JP,A)
【文献】特開昭61-114923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/28
B65G 47/46
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する複数の容器を前後方向にのびる搬送経路に沿って左右複数列に並んだ状態で搬送しながら前記容器への内容物の充填および前記上部開口の封止を順次行うことにより内容物充填容器を形成する充填包装機であって、
形成された各列の前記内容物充填容器を前記搬送経路の上方の排出位置まで押し上げるリフターと、
前記排出位置の前後両側に左右方向にのびるように設けられた前側連絡通路および後側連絡通路と、
前記排出位置まで押し上げられた前記内容物充填容器を前記前側連絡通路および前記後側連絡通路に交互に振り分ける振り分け手段と、
前記前側連絡通路および前記後側連絡通路の左右いずれか一端部に接続するように設けられた排出コンベアと、
前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれに振り分けられた前記内容物充填容器を前記排出コンベアへ移送する前側移送手段および後側移送手段とを備えている、充填包装機。
【請求項2】
前記前側移送手段および前記後側移送手段が、前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれの前後方向外側に隣接して左右2つのプーリに巻き掛けられて回転駆動可能となされかつ外側面に前記内容物充填容器を保持するための複数の凸部が長さ方向に間隔をおいて設けられている前側移送ベルトおよび後側移送ベルトよりなる、請求項1の充填包装機。
【請求項3】
前記振り分け手段が、前後往復動可能な可動体と、前記排出位置まで押し上げられた前記内容物充填容器を交互に前記前側連絡通路および前記後側連絡通路に向かって押圧しうるように前記可動体に連結された垂直板状のプッシャとを備えており、前記プッシャと前記前側移送ベルトまたは前記後側移送ベルトとの前後に向かい合う面によって、前記内容物充填容器が前記前側連絡通路または前記後側連絡通路を移送される際のガイド面が構成されている、請求項2の充填包装機。
【請求項4】
前記前側連絡通路および前記後側連絡通路の左右いずれか他端部に接続するように不良品排出部が設けられており、
前記前側移送手段および前記後側移送手段は、前記前側連絡通路または前記後側連絡通路に振り分けられた前記内容物充填容器に不良品が含まれている場合に、前記内容物充填容器を前記不良品排出部まで移送しうるようになされている、請求項1~3のいずれか1つの充填包装機。
【請求項5】
前記排出コンベアは、前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれの左右いずれか一端部に接続するように設けられた前側排出コンベアおよび後側排出コンベアよりなる、請求項1~4のいずれか1つの充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充填包装機に関し、より詳細には、複数の容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら容器内に飲料、食品等の内容物を充填して密封包装することにより内容物充填容器を形成する充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充填包装機として、例えば下記特許文献1に示すように、前後方向にのびる搬送コンベアによって左右複数列に並んだ状態で搬送されてきた内容物充填容器が、容器排出ステーションにおいて押し上げ部材によって押し上げられ、押し上げられた各列の内容物充填容器が、前後往復動可能な押動部材により、搬送コンベアと立体交差状に配置された左右方向にのびる排出コンベアに渡し板を介して移載され、排出コンベアによって1列に並んだ状態で排出されるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記充填包装機の場合、形成された各列の内容物充填容器を遅滞なく排出させるためには排出コンベアの速度を高速にする必要があるが、そうすると排出コンベアに移載された内容物充填容器が慣性力によって倒れるおそれがあるため、排出を安定的に行うのが困難になる。
【0005】
この発明は、上記の課題を解決するため、形成された内容物充填容器を高速でかつ安定的に排出させることが可能な充填包装機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)上部開口を有する複数の容器を前後方向にのびる搬送経路に沿って左右複数列に並んだ状態で搬送しながら前記容器への内容物の充填および前記上部開口の封止を順次行うことにより内容物充填容器を形成する充填包装機であって、
形成された各列の前記内容物充填容器を前記搬送経路の上方の排出位置まで押し上げるリフターと、
前記排出位置の前後両側に左右方向にのびるように設けられた前側連絡通路および後側連絡通路と、
前記排出位置まで押し上げられた前記内容物充填容器を前記前側連絡通路および前記後側連絡通路に交互に振り分ける振り分け手段と、
前記前側連絡通路および前記後側連絡通路の左右いずれか一端部に接続するように設けられた排出コンベアと、
前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれに振り分けられた前記内容物充填容器を前記排出コンベアへ移送する前側移送手段および後側移送手段とを備えている、充填包装機。
【0008】
2)前記前側移送手段および前記後側移送手段が、前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれの前後方向外側に隣接して左右2つのプーリに巻き掛けられて回転駆動可能となされかつ外側面に前記内容物充填容器を保持するための複数の凸部が長さ方向に間隔をおいて設けられている前側移送ベルトおよび後側移送ベルトよりなる、前記1)の充填包装機。
【0009】
3)前記振り分け手段が、前後往復動可能な可動体と、前記排出位置まで押し上げられた前記内容物充填容器を交互に前記前側連絡通路および前記後側連絡通路に向かって押圧しうるように前記可動体に連結された垂直板状のプッシャとを備えており、前記プッシャと前記前側移送ベルトまたは前記後側移送ベルトとの前後に向かい合う面によって、前記内容物充填容器が前記前側連絡通路または前記後側連絡通路を移送される際のガイド面が構成されている、前記2)の充填包装機。
【0010】
4)前記前側連絡通路および前記後側連絡通路の左右いずれか他端部に接続するように不良品排出部が設けられており、
前記前側移送手段および前記後側移送手段は、前記前側連絡通路または前記後側連絡通路に振り分けられた前記内容物充填容器に不良品が含まれている場合に、前記内容物充填容器を前記不良品排出部へ移送しうるようになされている、前記1)~3)のいずれか1つの充填包装機。
【0011】
5)前記排出コンベアは、前記前側連絡通路および前記後側連絡通路それぞれの左右いずれか一端部に接続するように設けられた前側排出コンベアおよび後側排出コンベアよりなる、前記1)~4)のいずれか1つの充填包装機。
【発明の効果】
【0012】
上記1)の充填包装機によれば、形成された各列の内容物充填容器がリフターにより排出位置まで押し上げられて前側連絡通路および後側連絡通路に交互に振り分けられた後、前側移送手段および後側移送手段により排出コンベアへ交互に移送されるので、例えば上記特許文献1記載の従来の充填包装機と比べて、排出される内容物充填容器の搬送速度を低速にすることができ、搬送中の内容物充填容器が慣性力によって倒れるのが抑制される。従って、上記1)の充填包装機によれば、形成された内容物充填容器を高速でかつ安定的に排出させることができ、製造能力が向上する。
【0013】
上記2)の充填包装機によれば、前側移送手段および後側移送手段が、内容物充填容器を保持するための凸部を外側面に有する前側移送ベルトおよび後側移送ベルトよりなるので、簡単な装置構成によって内容物充填容器を排出コンベアへ安定的に移送できる。
【0014】
上記3)の充填包装機によれば、振り分け手段が、可動体と垂直板状のプッシャとよりなるので、簡単な装置構成でありながら、排出位置まで押し上げられた各列の内容物充填容器を、短時間で確実に前側連絡通路および後側連絡通路に振り分けることができる。
また、上記3)の充填包装機によれば、プッシャと前側移送ベルトまたは後側移送ベルトとの前後に向かい合う面が、前側連絡通路または後側連絡通路を内容物充填容器が移送される際のガイド面として機能するので、内容物充填容器の移送が安定的に行われる。
【0015】
上記4)の充填包装機によれば、排出される内容物充填容器に含まれている場合がある不良品を、前側移送手段および後側移送手段によって不良品排出部に移送すればよいので、別途不良品排出装置を設ける必要がない。
【0016】
上記5)の充填包装機によれば、排出コンベアが、前側連絡通路に接続された前側排出コンベアと、後側連絡通路に接続された後側排出コンベアとよりなるので、例えば内容物充填容器への口栓の取付等が行われる後工程部を、特別な振り分け装置を設けることなく2つのラインに分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施形態に係る充填包装機の全体構成を示す側面図である。
【
図2】同充填包装機の搬送コンベアの一部を示す側面図である。
【
図3】(a)は同搬送コンベアの一部を示す平面図であり、(b)は同搬送コンベアの一部を示す正面図である。
【
図4】同搬送コンベアに用いられる第1保持プレートおよび第2保持プレートを示すものであって、(a)は第1保持プレートの正面図、(b)は第1保持プレートの側面図、(c)は第2保持プレートの側面図、(d)は第2保持プレートの正面図である。
図4(c)中、二点鎖線の円Eで囲まれた部分は、二点鎖線の円eで囲まれた部分の断面を拡大して示したものである。
【
図5】同充填包装機に使用される上部開口を有する容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図6】同充填包装機のトップシール部において上部開口が封止された状態の内容物充填容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図7】同充填包装機のフラップシール部においてフラップが容器表面にシールされた状態の内容物充填容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図9】(a)は同排出部の平面図、(b)は同排出部の正面図である。
【
図10】同排出部における内容物充填容器の排出工程を順次示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態に係る充填包装機について、
図1~
図10を参照しながら以下に説明する。
以下の説明において、
図1の右を「前」、同左を「後」といい、また、左右は前から見た場合の左右をいうものとする。
また、
図1、
図2、
図8および
図10は、充填包装機の全体または一部の側面を、チャンバの手前側の側壁を省略して示したものである。
【0019】
この実施形態の充填包装機(1)は、カートンよりなる容器(C1)に飲料、食品等の内容物を充填して封止することにより、内容物充填容器(C2)を形成するためのものである。
図1に示すように、充填包装機(1)は、前後に長い密閉型(箱型)のチャンバ(2)を有している。チャンバ(2)の前端壁(23)にカートンブランク入口(201)が設けられ、チャンバ(2)の頂壁(21)後端部に内容物充填容器出口(202)が設けられている。
【0020】
チャンバ(2)の前端部(2a)には、筒状カートンブランク(CB)の一方の開口を封止して底部を成形することにより、有底角筒状の容器(C1)を形成するボトム成形部(3)が設けられている。
ボトム成形部(3)には、放射状の複数のカートンホルダ(30a)を有するタレット(30)が水平軸周りに回転自在に設けられているとともに、タレット(30)の回転方向(
図1の反時計回り方向)に沿って、カートンブランク入口(201)から導入されたカートンブランク(CB)をカートンホルダ(30a)にセットする受入部(31)、カートンブランク(CB)の一方の端部を加熱するボトム加熱部(32)、カートンブランク(CB)の一方の端部を折り込んで折り癖を付けるボトムブレーカ部(33)、カートンブランク(CB)の一方の端部を封止するボトムシール部(34)、底部が成形された容器(カートン)(C1)をカートンアンローダ(35a)により次工程に移送する移送部(35)が順次設けられている。
受入部(31)には、カートンマガジンからピッカーによって引き抜かれたカートンブランク(CB)が、カートンローダ(36)によりカートンブランク入口(201)を通じて送られるようになっている。
図示の充填包装機(1)の場合、ボトム成形部(3)が設けられているチャンバ(2)の前端部(2a)は、側面より見て前斜め上方に傾斜した両屋根型の形状を有している。同形状によって、チャンバ(2)の前端部(2a)の高さが抑えられている。
【0021】
また、チャンバ(2)内には、ボトム成形部(3)の後側(下流側)から後端部までのトンネル状部分(2b)に、複数の容器(C1)を、これらの開口が上向きとなる状態で、後方にのびる水平な搬送経路(R)に沿って搬送する搬送コンベア(4)が設けられている。
そして、搬送経路(R)上に、上流側(前側)から下流側(後側)に向かって、容器(C1)上部を予備的に折り込む予備ブレーカ部(5)、容器(C1)上部を折り込んで折り癖を付けるトップブレーカ部(6)、容器(C1)を殺菌する殺菌部(7)、容器(C1)に内容物を充填する充填部(8)、容器(C1)上部を封止するトップシール部(9)、封止に伴い内容物充填容器(C2)上部に形成されたフラップ(C21)を折り込んで同容器(C2)の表面にシールするフラップシール部(10)、および、内容物充填容器(C2)をチャンバ(2)外に排出させる排出部(11)が順次設けられている。
【0022】
上記の基本構成を有する充填包装機(1)において、チャンバ(2)内には、所定の複数箇所からクリーンエアが吹出供給されるとともに、チャンバ(2)内を流通したクリーンエアが所定の複数箇所から吸引排出されるようになっている。これにより、チャンバ(2)内は、クリーンエア吸引排出エリアを除いて、そのほぼ全体がクリーンエアによって陽圧に保持され、無菌状態が保持される。
より詳細には、チャンバ(2)内の殺菌部(7)、充填部(8)およびトップシール部(9)には、特に高い無菌性が要求されることから、ULPAフィルタ(F)(JIS Z8122:2000に規定する定格流量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ)により清浄化されたクリーンエアが、給気配管(P1)を通してクリーンエア吹出口(AB1)(AB2)から吹出供給される。
また、チャンバ(2)内における殺菌部(7)、充填部(8)およびトップシール部(9)以外の箇所、例えばフラップシール部(10)に設けられた熱風吹出口(101)(
図1参照)やボトム成形部(3)に設けられた熱風吹出口(図示略)には、そこまで高い清浄度が要求されないことから、HEPAフィルタ(JIS Z8122:2000に規定する定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター)により清浄化されたクリーンエアが供給される。
チャンバ(2)内を流通したクリーンエアの排出は、チャンバ(2)内の所定の複数箇所に設けられかつ排気配管を通じて排気ファンに接続されたクリーンエア吸込口から吸引排出されるようになっている。
図1に示すように、チャンバ(2)におけるボトム成形部(3)およびフラップシール部(10)の上方の頂壁(21)部分に設けられたクリーンエア吸込口(AS1)(AS2)は、排気配管(P2)を通じて排気ファン(E)に接続されている。排気配管(P2)の途中には、バタフライバルブ(V)等の流量調整弁が設けられており、チャンバ(2)内からのクリーンエアの排出流量を調整できるようになっている。
【0023】
チャンバ(2)内は、その全体を洗浄(CIP)および滅菌(SIP)できるように構成されている。洗浄時は、チャンバ(2)のカートンブランク入口(201)および内容物充填容器出口(202)が閉じられ、所定の複数箇所に設けられた洗浄ノズル(12)からアルカリ性溶液、酸性溶液等の洗浄剤が噴射供給された後、すすぎが行われるようになっている。同様に、滅菌時も、チャンバ(2)のカートンブランク入口(201)および内容物充填容器出口(202)が閉じられ、所定の複数箇所から滅菌剤が供給されて、滅菌が行われるようになっている。
【0024】
図2~
図4に詳しく示すように、搬送コンベア(4)は、4列1ピッチ送りの構成を有するものであって、搬送経路(R)の左右両側に配置されて前後のスプロケット(41)に巻き掛けられたエンドレス状の左右2本のコンベアチェーン(42)と、左右のコンベアチェーン(42)間に搬送経路(R)に沿って互いに平行に配置されかつ容器(C1)の底部を支持する4本のボトムレール(43)と、両コンベアチェーン(42)の左右に向かい合うリンク間に架設されかつ4本のボトムレール(43)上で容器(C1)を開口が上向きとなるように保持する多数の容器ホルダ(44)とを備えている。
容器(C1)は、搬送コンベア(4)の前端部において、ボトム成形部(3)の移送部(35)からカートンアンローダ(35a)によって容器ホルダ(44)に順次移送される(
図1参照)。
【0025】
各容器ホルダ(44)は、左右方向にのびる長い垂直板材よりなりかつ両コンベアチェーン(42)のリンク(421)に渡し止められた前後1対の第1保持プレート(441)と、前後方向にのびる短い垂直板材よりなりかつ前後の第1保持プレート(441)の所定の長さ方向複数箇所に介在固定された左右2枚で対をなす計4対の第2保持プレート(442)とを有している。
そして、前後2枚の第1保持プレート(441)によって、4本のボトムレール(43)で底部が支持された4つの容器(C1)の前後側壁が保持されているとともに、4対それぞれの左右2枚の第2保持プレート(442)によって、4つの容器(C1)それぞれの左右側壁が保持されている。つまり、対をなす前後2枚の第1保持プレート(441)および4対それぞれの左右2枚の第2保持プレート(442)により、容器(C1)を前後左右から取り囲んで保持する保持部(440)が形成されている。容器ホルダ(44)を上記のような第1保持プレート(441)および第2保持プレート(442)によって構成すれば、チャンバ(2)内における上下方向のクリーンエアの流れが妨げられず、クリーンエアの流れを下向きの安定した流れとする整流効果が得られ易くなる。
対をなす前後2枚の第1保持プレート(441)は、これらの左右両端部が、左右のコンベアチェーン(42)における互いに向かい合うリンク(421)の内側面に、垂直板状のブロック(45)を介して取り付けられている。そして、コンベアチェーン(42)のリンク(421)のピッチが、搬送コンベア(4)による容器(C1)の搬送ピッチ(P)に相当するようになされている(
図2参照)。
各第1保持プレート(441)および各第2保持プレート(442)には、容器(C1)の側壁外面と点接触させられる半球状突起(441a)(442a)が形成されている。これらの半球状突起(441a)(442a)の存在により、容器(C1)の側壁外面が各第1保持プレート(441)および各第2保持プレート(442)の内側面と密着するのが回避されるので、殺菌部(7)において、殺菌剤の噴霧による容器(C1)の側壁外面の殺菌が確実に行われる。
各第1保持プレート(441)の上縁部には、容器(C1)を保持する部分に、他の部分よりも上方に突出した上方凸部(441b)が設けられている。これらの上方凸部(441b)により、容器(C1)をより安定して保持することが可能となり、また、上方凸部(441b)以外の第1保持プレート(441)上縁部の高さが抑えられることで、トップブレーカ部(6)等における容器(C1)上部への加工が支障なく行われる。各上方凸部(441b)の先端部分は、カートンアンローダ(35a)により容器(C1)を保持部(440)へ移送する際のガイドとなるように、前後方向外方に向かって斜め上方に傾斜させられている。
前後1対の第1保持プレート(441)のうち後側の第1保持プレート(441)の上縁部には、上方凸部(441b)どうしの間の部分に、後方に向かって水平状に折り曲げられた後方凸部(441c)が設けられている。これらの後方凸部(441c)によって、前後に隣り合う容器ホルダ(44)どうしの隙間のうち容器(C1)が存在しない部分が塞がれるので、クリーンエアの流通を容器(C1)の周辺に集中させることができる。
【0026】
図5は、上部開口(C10)を有する容器(C1)の詳細を示すものである。同容器(C1)は、底壁および前後左右の側壁よりなる有底角筒状のものであって、各側壁の上部には折り罫(C11)が形成されている。左右側壁の上部は、左右方向外向きに広がって折れ曲がり易くなるように、トップブレーカ部(6)において、折り罫(C11)に沿って癖折りされるようになっている。
充填部(8)において上部開口(C10)を通じて内容物が充填された容器(C1)は、充填部(8)の下流側のトップシール部(9)において、
図6に示すように、前後左右側壁の上部が折り罫(C11)に沿って左右方向外方に広がるように折り曲げられるとともに、それによって上部開口(C10)に形成された前後縁部どうしが重ね合わせられてシールされることにより、左右方向に長いフラップ(C21)を上部に有する内容物充填容器(C2)が形成される。
上記内容物充填容器(C2)は、次のフラップシール部(10)において、フラップ(C21)の左右両側部が、下方に折り込まれて左右側壁の上部表面にシールされることにより、
図7に示すような直方体状の最終形態に成形される。
【0027】
図8~
図10は、排出部(11)の詳細を示したものである。
搬送コンベア(4)のボトムレール(43)は、内容物充填容器出口(202)の直下位置の1ピッチ手前で途切れており、同直下位置に、内容物充填容器(C2)を搬送経路(R)上方の排出位置(内容物充填容器出口(202)の上方位置)まで押し上げるリフター(111)が設けられている。図示のリフター(111)は、複数本(図では4本)の垂直ロッドよりなり、内容物充填容器(C2)を載せて押し上げるための水平な上端面(111a)を有している。このリフター(111)は、例えば図示のような揺動アーム(112)よりなる昇降駆動手段により、ボトムレール(43)の上面とほぼ同一レベルの下限位置と、内容物充填容器出口(202)に隣接するチャンバ(2)の頂壁(21)上面とほぼ同一レベルの上限位置との間で昇降駆動させられるようになっている。排出部(11)におけるチャンバ(2)の頂壁(21)の高さは、内容物充填容器(C2)を押し上げる距離が極力短くなるように、排出部(11)以外の部分におけるチャンバ(2)の頂壁(21)の高さよりも低くなされている。
内容物充填容器出口(202)は、複数列(図では4列)配列で搬送コンベア(4)により排出部(11)まで搬送されてきた全て(図では4個)の内容物充填容器(C2)が通り抜けられるように、チャンバ(2)の頂壁(21)に形成された左右方向にのびる長孔によって構成されている。但し、内容物充填容器出口(202)は、内容物充填容器(C2)が1個または列の数より少ない複数個ずつ通り抜けられるような複数の孔で構成されていても良い。
また、排出部(11)には、リフター(111)によって押し上げられる内容物充填容器(C2)を側方から支持案内する複数(図では4つ)の押し上げガイド(113)が設けられている。
図9に示すように、押し上げガイド(113)は、チャンバ(2)の頂壁(21)下面における内容物充填容器出口(202)の後縁部に取り付けられた曲折板状のものであって、内容物充填容器(C2)の後側壁に沿う垂直な中央壁部(113a)と、中央壁部(113a)の左右側縁から前方に向かって左右方向外方に広がるようにのびる左右側壁部(113b)とを備えている。そのため、フラップ(C21)の左右両側部がシールされないで左右に広がった状態のフラップシール不良の内容物充填容器(C2X)がリフター(111)によって押し上げられた場合でも、同容器(C2X)が押し上げガイド(113)に引っかからず、排出位置まで押し上げられる。
【0028】
排出位置の前後両側には、前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)が左右方向にのびるように設けられている。排出位置まで押し上げられた複数の内容物充填容器(C2)は、振り分け手段(14)によって1サイクルごとに前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)に交互に振り分けられる。
前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)は、チャンバ(2)の頂壁(21)における内容物充填容器出口(202)の前後両側部分によって構成されている。前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)の前後幅は、内容物充填容器(C2)の前後幅とほぼ等しくなされている。
振り分け手段(14)は、前後往復動可能な可動体(14A)と、排出位置まで押し上げられた内容物充填容器(C2)を交互に前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)に向かって押圧しうるように可動体(14A)に連結された垂直板状のプッシャ(14B)とを備えている。
可動体(14A)は、チャンバ(2)の頂壁(21)に前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)をまたぐように設けられた左右2つのリンクユニット(141)よりなる。各リンクユニット(141)は、下端部がチャンバ(2)の頂壁(21)における前側連絡通路(13F)の前方位置に回動自在に取り付けられた前リンク(141a)と、下端部がチャンバ(2)の頂壁(21)における後側連絡通路(13R)の後方位置に回動自在に取り付けられた後リンク(141b)と、前後端部が前リンク(141a)および後リンク(141b)の上端部にそれぞれ回動自在に連結された水平な中間リンク(141c)とよりなる。両リンクユニット(141)は、互いに同期して揺動しうるように、例えばこれらの前リンク(141a)どうしが水平な連結ロッド(142)により連結されている。
各リンクユニット(141)は、駆動手段により駆動させられる。図示の駆動手段は、ロッドが左右リンクユニット(141)の後リンク(141b)に個別に接続された2つのエアシリンダ(143)よりなる。両エアシリンダ(143)は、共通の1つの電磁弁(図示略)によってエアの供給・停止が制御されることにより、互いに同期して伸縮しうるようになっている。両エアシリンダ(143)が駆動させられて前後に伸縮すると、各リンクユニット(141)の後リンク(141b)が前後に揺動させられ、それに連動して中間リンク(141c)が前後往復動するようになっている。なお、駆動手段は、エアシリンダ以外の流体圧シリンダ、電動シリンダ、モータ駆動による往復動機構等であっても構わない。
プッシャ(14B)は、左右リンクユニット(141)の中間リンク(141c)に垂下状に取り付けられている。左右リンクユニット(141)の中間リンク(141c)が前後往復動すると、それに連動してプッシャ(14B)が内容物充填容器出口(202)の幅とほぼ等しいストロークで前後往復動させられる。プッシャ(14B)は、その前面および後面によって、排出位置にある複数の内容物充填容器(C2)を同時にかつ安定して押圧しうるような左右長さおよび上下高さを有している。
なお、振り分け手段は、例えばリニアガイド付きエアシリンダのロッドをプッシャ(14B)に直接接続して、プッシャ(14B)を前後往復動させる構成とすることも可能であるが、上記のようにリンクユニット(141)を用いた構成とする方がプッシャ(14B)の動きが安定する点で有利である。
【0029】
前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)の左右いずれか一端部(本実施形態では右端部)に接続するように排出コンベアが設けられている。より詳細には、排出コンベアは、前側連絡通路(13F)の右端部に接続するように設けられた前側排出コンベア(15F)と、後側連絡通路(13R)の右端部に接続するように設けられた後側排出コンベア(15R)とよりなる。図示の場合、1つのコンベア(ベルトコンベア)がコンベアガイド(151)によって前後2つに区画されることにより、前側排出コンベア(15F)および後側排出コンベア(15R)が構成されている。但し、2つの独立したコンベアによって前側排出コンベアおよび後側排出コンベアを構成しても良い。また、排出コンベアは、前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)双方の一端部に接続された1つのコンベアによって構成することも可能である。図示は省略したが、前側排出コンベア(15F)および後側排出コンベア(15R)は、それぞれ口栓取付装置等の後工程部までのびている。
前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)の左右いずれか他端部(本実施形態では左端部)に接続するように、不良品排出部(17)が設けられている。不良品排出部(17)は、不良品排出シュート(171)を備えている。不良品排出シュート(171)の上端部は、前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)の左端部に隣接するようにチャンバ(2)の左側壁(22)上部に取り付けられている。不良品排出シュート(171)の下端部は、不良品回収ボックス等の不良品回収部(図示略)の上方に配置されている。
【0030】
前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)に交互に振り分けられた内容物充填容器(C2)は、前側移送手段(16F)および後側移送手段(16R)によって前側排出コンベア(15F)および後側排出コンベア(15R)へ移送される。
また、振り分けられた内容物充填容器(C2)に不良品(C2X)が含まれている場合、同内容物充填容器(C2)(C2X)は前側移送手段(16F)および後側移送手段(16R)によって不良品排出部(17)へ移送される。
前側移送手段(16F)は、前側連絡通路(13F)の前側において左右2つのプーリ(161)(162)に巻き掛けられて回転駆動可能となされかつ外側面に内容物充填容器(C2)を保持するための複数の凸部(164)が間隔をおいて設けられている前側移送ベルト(163F)よりなる。後側移送手段(16R)は、後側連絡通路(13R)の後側において左右2つのプーリ(161)(162)に巻き掛けられて回転駆動可能となされかつ外側面に内容物充填容器(C2)を保持するための複数の凸部(164)が間隔をおいて設けられている後側移送ベルト(163R)よりなる。チャンバ(2)の頂壁(21)における前側移送手段(16F)および後側移送手段(16R)に対応する箇所は、チャンバ(2)の左右側壁(22)からそれぞれ左右方向外方に張り出しており、同張り出し部分に各プーリ(161)(162)が設置されている。対をなす左右のプーリのうち排出コンベア(15F)(15R)と反対側(本実施形態では左側)がサーボモータ(165)に接続された駆動プーリ(161)となされ、排出コンベア(15F)(15R)側(本実施形態では右側)が従動プーリ(162)となされている。
前側移送ベルト(163F)および後側移送ベルト(163R)それぞれにおいて、プッシャ(14B)と前後に向かい合う部分(1631)がプッシャ(14B)と平行になるように、同部分(1631)の内側面が、チャンバ(2)の頂壁(21)の所要箇所に設けられた垂直板状のベルトガイド(166)によって摺動可能に支持されている。そして、プッシャ(14B)と前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)の前記部分(1631)との前後に向かい合う面によって、前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)を内容物充填容器(C2)が移送される際のガイド面が構成されている。
なお、前側移送手段および後側移送手段は、例えば、内容物充填容器(C2)を押すプッシャを備えたチェーンや、内容物充填容器(C2)を載置して搬送するコンベアによって構成することも可能であるが、上述した凸部(164)付きの前側移送ベルト(163F)および後側移送ベルト(163R)によって構成すれば、内容物充填容器(C2)の前後方向の移動を規制しつつ排出コンベアまで確実に安定した状態で移送できる点で有利である。
前側移送ベルト(163F)および後側移送ベルト(163R)の外側面に設けられる凸部(164)は、内容物充填容器(C2)を安定して押せるように、内容物充填容器(C2)の重心高さ付近、または、移載位置における前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)の上面と内容物充填容器(C2)の底部との摩擦抵抗を考慮して、内容物充填容器(C2)の重心高さよりやや下部付近に当たるような所要の上下高さを有するものとなされるのが好ましい。凸部(164)は、高さ方向で複数個に分割されていてもよい。
【0031】
排出位置まで押し上げられた複数の内容物充填容器(C2)が振り分け手段(14)のプッシャ(14B)により前方に押されて前側連絡通路(13F)に移載されると、各内容物充填容器(C2)は前側移送ベルト(163F)における凸部(164)どうしの間の部分とプッシャ(14B)との間に挟まれ、前後方向の動きが規制される。この状態でサーボモータ(165)が駆動して前側移送ベルト(163F)が所定方向(
図9(a)の時計回り方向)に回転させられると、複数の内容物充填容器(C2)が前側移送ベルト(163F)の凸部(164)により右方に押されて、1列に並んで前側排出コンベア(15F)へ移送される。
次のサイクルにおいて、排出位置まで押し上げられた複数の内容物充填容器(C2)が振り分け手段(14)のプッシャ(14B)により後方に押されて後側連絡通路(13R)に移載されると、各内容物充填容器(C2)は後側移送ベルト(163R)における凸部(164)どうしの間の部分とプッシャ(14B)との間に挟まれ、前後方向の動きが規制される。この状態でサーボモータ(165)が駆動して後側移送ベルト(163R)が所定方向(
図9(a)の逆時計回り方向)に回転させられると、複数の内容物充填容器(C2)が後側移送ベルト(163R)の凸部(164)により右方に押されて、1列に並んで後側排出コンベア(15R)へ移送される。
【0032】
ここで、前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)による内容物充填容器(C2)の移送速度は、次のサイクルの内容物充填容器(C2)が排出位置へ押し上げられてプッシャ(14B)が振り分け動作(後方または前方への移動)を開始するまでに前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)への移送がほぼ完了するように設定することができる。この態様の場合、前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)への移送がほぼ完了するまでの間、プッシャ(14B)をガイドとして機能させることができるので、前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)上の内容物充填容器(C2)の移送を安定した状態で速やかに行うことが可能となる。
また、内容物充填容器(C2)の移送速度の別態様として、2サイクル後の内容物充填容器(C2)が排出位置へ押し上げられるまでに前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)への移送がほぼ完了するように設定することができる。この態様の場合、以下のような効果が奏される。すなわち、例えば上記特許文献1記載の従来の充填包装機の場合、1サイクルで排出される複数の内容物充填容器を、次のサイクルで排出される複数の内容物充填容器が排出位置に来るまでに移動が完了しているように、排出コンベアの速度を高速にして搬送する必要があり、内容物充填容器が倒れて排出が不安定となることがあった。これに対して、上記実施形態の充填包装機(1)では、排出される複数の内容物充填容器(C2)が1サイクルごとに前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)に交互に振り分けられてから前側排出コンベア(15F)および後側排出コンベア(15R)へ移送されるので、1サイクルで排出される複数の内容物充填容器(C2)を、その2サイクル後に排出される複数の内容物充填容器(C2)が排出位置に来るまでに移動が完了しているように、前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)から前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)へ移送すればよい。従って、上記実施形態の充填包装機(1)によれば、前側移送ベルト(163F)および後側移送ベルト(163R)による内容物充填容器(C2)の移送速度ならびに前側排出コンベア(15F)および後側排出コンベア(15R)の速度を、従来の充填包装機における排出コンベアの速度の2分の1程度まで低速にすることができるので、排出中に内容物充填容器(C2)が倒れるのが抑制され、排出中の搬送状態が安定する。なお、内容物充填容器(C2)の移送速度を上記態様とする場合、プッシャ(14B)は、前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)において内容物充填容器(C2)の移送が開始される前または移送の途中で同内容物充填容器(C2)から離れるためガイドとして機能しなくなるが、上記の通り移送速度が抑えられるので、内容物充填容器(C2)の移送を比較的安定した状態で行うことができる。
【0033】
図9(a)に示すように、前側移送手段(16F)および後側移送手段(16R)における従動プーリ(162)の外径は、駆動プーリ(161)の外径よりも小径となされている。また、各ベルトガイド(166)の排出コンベア(15F)(15R)側の端部は従動プーリ(162)の手前で途切れている。そのため、前側移送ベルト(163F)および後側移送ベルト(163R)は、それぞれベルトガイド(166)の上記端部から従動プーリ(162)にかけての部分(1632)において、プッシャ(14B)から次第に遠ざかるように角度が付けられている。各移送ベルト(163F)(163R)が従動プーリ(162)に掛かる部分では、移送ベルト(163F)(163R)外側面の凸部(164)が従動プーリ(162)を中心として回転するため、凸部(164)の先端部分の移動速度が高くなり、凸部(164)の先端部分によって押された内容物充填容器(C2)が加速して移送状態が不安定になるおそれがある。そこで、上記構成によって従動プーリ(162)に掛かる部分の移送ベルト(163F)(163R)の凸部(164)が内容物充填容器(C2)に当たらないようにすることで、内容物充填容器(C2)を倒すことなく排出コンベア(15F)(15R)へ安定して移送できる。
なお、従動プーリ(162)については、その外径を駆動プーリ(161)の外径と同一とすると共に、駆動プーリ(161)に対して前方または後方に所定距離ずらして配置してもよく、それによっても、各移送ベルト(163F)(163R)におけるベルトガイド(166)の端部から従動プーリ(162)にかけての部分(1632)に上記のような角度を付けることができる。
【0034】
前述したように、この実施形態の充填包装機(1)では、排出位置まで押し上げられた複数の内容物充填容器(C2)が、1サイクルごとに前側連絡通路(13F)および後側連絡通路(13R)に交互に振り分けられて、前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)に移送され、これらの排出コンベア(15F)(15R)により後工程部まで搬送される。
後工程部が例えば内容物充填容器(C2)に口栓を取り付ける口栓取付部である場合において、口栓取付装置の単位時間当たりの処理能力が充填包装機(1)の単位時間当たりの製造能力の半分程度であると、充填包装機(1)の製造能力に対応するために、2ラインに分けて2台の口栓取付装置により口栓の取付を行う必要がある。このような場合、従来の充填包装機では、排出コンベア上に特別な振り分け装置を設けて2ラインに振り分ける必要があった。これに対して、上記実施形態の充填包装機(1)によれば、形成された内容物充填容器(C2)が排出位置で振り分けられて2つの排出コンベア(15F)(15R)により搬送されるので、特別な振り分け装置を設けることなく、口栓取付部等の後工程部を2ラインに分けることができる。
【0035】
充填包装機(1)の運転開始時や一時停止後の復帰時は、容器(C1)への内容物充填量が不足する。内容物充填量が安定するまでに形成された内容物充填容器(C2)は、不良品として排除する必要がある。従来の充填包装機では、不良品は人手で排除するか専用の不良品排除装置で排除していた。それに対して、この実施形態の充填包装機(1)の場合、充填不良の内容物充填容器(C2)が排出部(11)に搬送されてきた場合、前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)において前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)を通常時とは逆方向に回転させて同内容物充填容器(C2)を左方向に移動させ、不良品排出シュート(171)に落として排除する。すなわち、この実施形態の充填包装機(1)によれば、専用の不良品排出装置を設けることなく、自動で不良品を排除できる。
また、この実施形態の充填包装機(1)によれば、シール不良により内容物充填容器(C2)の表面から剥がれて浮き上がったフラップ(C21)を検出するセンサーを排出部(11)の所定箇所に設ければ、フラップシール不良の内容物充填容器(C2X)についても、上記と同様にして自動で排除することができる。
【0036】
図10は、上記充填包装機(1)による内容物充填容器(C2)の排出工程の一例を示すものであり、より詳細には、排出工程における搬送コンベア(4)、リフター(111)、振り分け手段(14)、前側移送手段(16F)および後側移送手段(16R)の動作タイミングの一例を示すものである。
図10(a)は、1サイクル目の4個の内容物充填容器(C2)が搬送コンベア(4)により排出部(11)へ搬送されてきた状態を示している。この状態では、リフター(111)は昇降ストロークの下限位置にあってその上端面(111a)に内容物充填容器(C2)が載置される。また、振り分け手段(14)のプッシャ(14B)は、後端位置、すなわち内容物充填容器出口(202)後縁部の上方位置にある。
そして、この状態からリフター(111)が上昇させられ、
図10(b)に示すように、各内容物充填容器(C2)が内容物充填容器出口(202)上方の排出位置まで押し上げられる。
内容物充填容器(C2)が排出位置に来た時点で、振り分け手段(14)のエアシリンダ(143)が伸長方向に駆動してプッシャ(14B)が前方に移動し、
図10(c)に示すように、同プッシャ(14B)によって内容物充填容器(C2)が前方に押されて前側連絡通路(13F)へ移載される。リフター(111)は、次のサイクルの内容物充填容器(C2)が排出部(11)に到来する前に下限位置まで下降させられる。
内容物充填容器(C2)が前側連絡通路(13F)へ移載されると、前側移送手段(16F)のサーボモータ(165)が駆動して前側移送ベルト(163F)が所定方向に回転させられ、前側移送ベルト(163F)の凸部(164)で押された内容物充填容器(C2)が、前端位置(内容物充填容器出口(202)前縁部の上方位置)のプッシャ(14B)および前側移送ベルト(163F)の前後に向かい合う平行な面(ガイド面)によって挟まれながら、前側排出コンベア(15F)へ移送される。
次のサイクルの4個の内容物充填容器(C2)が排出部(11)へ到来してリフター(111)の上端面(111a)に内容物充填容器(C2)が載置されると、リフター(111)が上昇させられ、
図10(d)に示すように、各内容物充填容器(C2)が排出位置まで押し上げられる。
これらの内容物充填容器(C2)が排出位置に来た時点で、振り分け手段(14)のエアシリンダ(143)が縮小方向に駆動してプッシャ(14B)が前端位置から後方に移動し、
図10(e)に示すように、同プッシャ(14B)によって内容物充填容器(C2)が後方に押されて後側連絡通路(13R)へ移載される。リフター(111)は、さらに次のサイクルの内容物充填容器(C2)が排出部(11)に到来する迄に下限位置まで下降させられる。
内容物充填容器(C2)が後側連絡通路(13R)へ移載されると、後側移送手段(16R)のサーボモータ(165)が駆動して後側移送ベルト(163R)が所定方向に回転させられ、後側移送ベルト(163R)の凸部(164)で押された内容物充填容器(C2)が、後端位置のプッシャ(14B)および後側移送ベルト(163R)の前後に向かい合う平行な面(ガイド面)によって挟まれながら、後側排出コンベア(15R)へ移送される。
以上の工程が繰り返し行われることにより、チャンバ(2)内で形成された内容物充填容器(C2)が遅滞なく排出される。
【0037】
この実施形態の充填包装機(1)によれば、1サイクルの内容物充填容器(C2)の振り分け中に、次のサイクルの内容物充填容器(C2)の排出部(11)への搬送が行われ(
図10(c)(e)参照)、また、前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)による1サイクルの内容物充填容器(C2)の移送中に、次のサイクルの内容物充填容器(C2)の排出位置への押し上げが行われるので(
図10(d)(f)参照)、各装置に無駄な待機時間がなく、効率よく稼働させることができる。
なお、この実施形態では、排出位置の内容物充填容器(C2)が前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)へ移載されてから、前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)を回転させるようになっており、内容物充填容器(C2)が前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)で停止する時間がある。これに代えて、内容物充填容器(C2)が前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)へ移載されている途中で前側移送ベルト(163F)または後側移送ベルト(163R)を始動し、内容物充填容器(C2)を前側排出コンベア(15F)または後側排出コンベア(15R)に向けて押し始めるようにしても良い。後者の動作タイミングによれば、内容物充填容器(C2)が前側連絡通路(13F)または後側連絡通路(13R)で停止する時間がなくなるが、内容物充填容器(C2)を安定して移載するには、この実施形態による動作タイミングの方が有利である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、複数の容器を所定の搬送経路に沿って複数列で搬送しながら容器内に飲料、食品等の内容物を充填して密封包装することにより内容物充填容器を形成する充填包装機として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0039】
(1):充填包装機
(2):チャンバ
(202):内容物充填容器出口
(4):搬送コンベア
(8):充填部
(9):トップシール部
(10):フラップシール部
(11):排出部
(111):リフター
(13F):前側連絡通路
(13R):後側連絡通路
(14):振り分け手段
(14A):可動体
(14B):プッシャ
(15F):前側排出コンベア
(15R):後側排出コンベア
(16F):前側移送手段
(16R):後側移送手段
(161):駆動プーリ
(162):従動プーリ
(163F):前側移送ベルト
(163R):後側移送ベルト
(164):凸部
(17):不良品排出部
(171):不良品排出シュート
(C1):容器
(C10):上部開口
(C2):内容物充填容器
(C2X):フラップシール不良の内容物充填容器(不良品)
(R):搬送経路