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特許7576844IVIGの代替のための多量体ハイブリッドFc蛋白質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】IVIGの代替のための多量体ハイブリッドFc蛋白質
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20241025BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241025BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
A61K39/395 Y
A61P37/06
A61P7/00
A61P17/00
A61P25/02
A61P21/00
A61P7/04
A61P29/00
A61P25/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021526229
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2019061020
(87)【国際公開番号】W WO2020102251
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】62/767,303
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512257473
【氏名又は名称】ジェイエヌ バイオサイエンシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鶴下 直也
(72)【発明者】
【氏名】ツォ, ジェイ. ユン
【審査官】大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509335(JP,A)
【文献】国際公開第2017/129737(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/040311(WO,A1)
【文献】特表2017-512063(JP,A)
【文献】特表2015-501291(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294825(US,A1)
【文献】SORENSEN, VIGDIS et al.,International Immunology,2000年01月,Vol. 12, No. 1,pp. 19-27,DOI: 10.1093/intimm/12.1.19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
A61K 38/00-51/12
A61P 1/00-43/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドFc蛋白質であって、N末端からC末端の順に、少なくとも一部のヒンジ領域、CH2及びCH3領域(ここで、それぞれIgGアイソタイプである)を含むIgG Fc領域と、Cμ3及びCμ4領域を含むIgM Fc領域とを含み、
前記少なくとも一部のヒンジ領域は、(a)抗体可変領域、又は(b)標的に特異的に結合する異種ポリペプチドに連結せず、
前記ハイブリッドFc蛋白質の分子は、前記少なくとも一部のヒンジ領域内のシステイン残基間の鎖間ジスルフィド結合を介して二重鎖を形成し、前記二重鎖は前記Cμ3及びCμ4領域を介して互いに多量体化できる、ハイブリッドFc蛋白質。
【請求項2】
前記IgG Fc領域がヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであり、前記Cμ3及びCμ4領域がそれぞれヒトCμ3及びCμ4領域である、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項3】
前記少なくとも一部のヒンジ領域が、25アミノ酸超のポリペプチドに連結されていない、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項4】
前記少なくとも一部のヒンジ領域が、天然抗体においてFc二重鎖の形成に関与しないシステイン残基の置換によって、天然のヒトヒンジ領域と異なる、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項5】
前記蛋白質が前記少なくとも一部のヒンジ領域、前記CH2及びCH3領域、及び前記Cμ3及びCμ4領域、並び前記少なくとも一部のヒンジ領域に連結された25アミノ酸までのペプチド、並びJ鎖からなる、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項6】
前記少なくとも一部のヒンジ領域が、そのN末端にGlu-Pro-Lys-Ser-Ser(配列番号8)のペプチドを含む、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項7】
前記IgG Fc領域及び/又は前記IgM Fc領域が、ADCC、ADP又はCDCを低下させるための1つ以上の変異を含む、請求項1のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項8】
前記IgG Fc領域が、FcRn結合を増加させるための1つ以上の変異を含む、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項9】
前記IgG Fc領域及び/又は前記IgM Fc領域が、シアリル化を増加させるための1つ以上の変異を含む、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項10】
分子あたり2個超のシアル酸残基を有する、請求項1~9のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項11】
前記IgG Fc領域の234及び235位(Eu番号付け)がアラニン残基である、請求項1に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項12】
前記IgM Fc領域の433及び435位(Eu番号付け)がそれぞれアラニン残基及びセリン残基である(配列番号11)、請求項1~11いずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項13】
前記IgG Fc領域の428位(Eu番号付け)がロイシン残基である(配列番号13)、請求項1~12のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項14】
前記IgG Fc領域の241及び/又は243位(Eu番号付け)がアラニン残基である(それぞれ配列番号15及び16)、請求項1~13のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項15】
前記ハイブリッドFc蛋白質の分子が、前記少なくとも一部のヒンジ領域内のシステイン残基間の鎖間ジスルフィド結合を介して二重鎖を形成しており、前記二重鎖が前記Cμ3及びCμ4領域を介して互いに多量体化している、請求項1~14のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項16】
前記多量体がヘキサマーである、請求項14に記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項17】
ヘキサマーあたり12個超のシアル酸分子を有する、請求項16記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項18】
少なくとも99重量%の純度を有する、請求項1~17のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
免疫疾患の治療用の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、請求項1~18のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質を含む、医薬組成物。
【請求項21】
炎症性疾患、臓器移植後の拒絶反応、血液疾患、皮膚疾患、又は神経筋疾患の治療用の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、請求項1~18のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質を含む、医薬組成物。
【請求項22】
自己免疫疾患の治療用の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、請求項1~18のいずれかに記載のハイブリッドFc蛋白質を含む、医薬組成物。
【請求項23】
前記疾患が、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病、ギランバレー症候群、又は慢性炎症性脱髄性ポリニューロパシーである、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、又は自己免疫性好中球減少症である、請求項22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年11月14日に出願されたUS 62/767,303の利益を主張するものであり、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表
本願は、2019年10月24日に作成された85キロバイトの538890WO-ST25という名前のtxtファイル中の配列を含み、これは参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
何千人もの健康なヒトのドナーから採取したIgGをプールした製剤である経静脈的免疫グロブリン(IVIG)は、免疫不全及び免疫介在性疾患の治療のためのヒトの治療薬として使用されてきた(Nimmerjahn et al., Annu. Rev. Immunol. 26:513-533, 2008; Nagelkerke et al., Front. Immunol. 5: Article 674, 2015; Mitrevski et al., Front. Immunol. 6: Article 4, 2015; Seite et al., Arthritis Rheum. 67:595-603, 2015; Afonso et al., Biomolecules 6:15, 2016; Lazarus, Chapter 6 in Imbach (eds), Antibody Therapy, Springer, 2018)。体重1kgあたり200~500mgの投与量で投与されたIVIGは、免疫不全患者にドナー由来の病原体特異的IgG抗体を提供し、感染症を防御する。このような防御用IgG抗体は、循環過程で最終的に消去されてしまうため、患者の防御機能を維持するためには、通常3~4週間ごとにIVIGを継続的に投与する必要がある。
【0004】
IVIGの高用量投与(典型的には、体重1kgあたり1~3g)は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、ギランバレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性ポリニューロパシーなどの急性及び慢性免疫介在性疾患の治療のために抗炎症剤として使用されてきた。免疫介在性疾患の治療におけるIVIGのオフラベルユーズは、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、自己免疫性好中球減少症を含む。以下の2つのMOAが提案されており、科学的観察によって裏付けられている。(i)胎児性Fc受容体の飽和、(ii)B細胞機能の抑制(Nagelkerke et al., Front. Immunol. 5: Article 674, 2015; Seite et al., Arthritis Rheum. 67:595-603, 2015)。
【0005】
胎児性Fc受容体(FcRn)は、膜貫通型α鎖及びβ2-マイクログルブリン(β2m)を含むヘテロダイマーである。内皮細胞に発現したFcRnは、母体IgGの胎児へのトランスサイトーシスと成人のIgGホメオスタシスの両方を媒介する。ピノサイトースされたIgG抗体は、酸性化エンドソームでFcRnに捕捉され、リソソームでの分解からレスキューされ、細胞表面にリサイクルされ、循環に戻される。FcRnへのIgGの結合は飽和状態にある。血清中のIgG濃度が正常値以上になると、FcRnに結合できない過剰なIgGはリソソームで分解される(Roopenian et al., Nat. Rev. Immunol. 7:715-725, 2007; Kuo et al., J. Clin. Immunol. 30:777-789, 2010; Rath et al., Front. Immunol. 5: Article 664, 2015)。高レベル(通常1~3グラム/kg)で投与されたIVIGは、自己免疫疾患患者に存在する病原性IgG抗体とFcRnの結合に対して競合し、その結果、循環内のそのような病原性抗体のクリアランスが促進される(Nimmerjahn et al., Annu. Rev. Immunol. 26:513-533, 2008; Seite et al., Arthritis Rheum. 67:595-603, 2015)。
【0006】
I型膜貫通蛋白質であるSiglecファミリーの1つであるCD22は、糖鎖に結合したシアル酸(sialic acid)に32μMの親和性で特異的に結合する(Powell et al., J. Biol. Chem. 13:7523-7532, 1995; Fearon et al., Annu. Rev. Immunol. 18:393-442, 2000; Pillai et al., Annu. Rev. Immunol. 30:357-392, 2012; Nitschke, Glycobiol. 24:807-817, 2014)。CD22は、B細胞の活性化の閾値を確立するための重要な調節役を担っている。CD22の多価架橋は、その細胞質ドメインに位置する免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIMs)を介して細胞内シグナルを誘導し、B細胞の機能抑制につながる。IVIGのシアリル化(sialylated)部分は、CD22に結合し、B細胞の免疫応答を負に調節することが示されている(Mitrevski et al. Int. Trends Immun. 2:67, 2014; Seite et al., Blood 116:1698-1704, 2010)。IVIG(又はFc蛋白質)のシアリル化のレベルと、その免疫抑制の活性との間に正の相関関係が報告されており(Schwab et al., Clin. Exp. Immunol. 178:97-99, 2014; Washburn et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 112: E1297-E1306, 2015; Bruckner et al., Int. Immunol. 29:499-509, 2017)、これは炎症性疾患の治療のためのIVIGの治療活性におけるCD22の関与の重要性を示している。
【0007】
B細胞や骨髄性樹状細胞に発現するI型膜貫通蛋白質であるCD32B(Fcγ受容体IIBとも呼ばれる)の関与も、IVIGのMOAに関係しているとされている。CD32Bは、細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を持つCD64(Fcγ受容体I)、CD32A(Fcγ受容体IIA)、CD16(Fcγ受容体III)とは異なり、細胞質ドメインにITIMモチーフを持ち、免疫反応の負のレギュレーターとして機能している。CD32Bの架橋は細胞内シグナル伝達を誘導し、B細胞の抗体生産の抑制につながる。IVIGは、CD32Bを欠損させたマウスでは、ITP、関節リウマチ、腎炎のマウスモデルにおいて治療効果が認められなかった。しかし、IVIGがCD32Bと直接相互作用して免疫抑制効果を発揮するかどうかは、まだ不明である。CD32Bの代わりに、マクロファージや樹状細胞に発現しているマウスのSIGN-R1(specific ICAM-3 grabbing nonintegrin-related 1)のヒトオルソログであるDC-SIGN(dendritic-cell-specific ICAM-3 grabbing nonintegrin;CD209とも呼ばれる)がIVIGの主要な作用部位であることが報告されている。シアリル化IVIG(又はFc蛋白質)がマクロファージや樹状細胞上のDC-SIGNと相互作用することで、IL-33などの特定のサイトカインの発現が誘導され、抗原提示細胞におけるCD32BのアップレギュレーションやCD32Bを介したシグナル伝達が生じ、免疫反応を抑制することになる。レビューとしては、Samuelsson et al., Science 291:484-486, 2001; Crow et al., Blood 102:558-560, 2003; Bruhns et al., Immunity 18:573-581, 2003; Akilesh et al., J. Clin. Invest. 113:1328-1333, 2004; Zhou et al., Cell. Mol. Immunol. 4:279-283, 2006; Kaneko et al., Science 313:670-673, 2006; Kaneko et al., J. Exp. Med. 203:789-797, 2006; Anthony et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 105:19571-19578, 2008; Anthony et al., Nature 475:110-113, 2013; Pagan et al., Cell 172:564-577, 2018を参照。
【0008】
IVIGは、ヒトの免疫不全及び様々な免疫介在性疾患の治療に広く使用されているにもかかわらず、ヒトのプール血液に由来するという本質的な欠点を有する。感染症やその他の献血に適さない状態の血液源はスクリーニングされているが、未知の感染物質がIVIG製品に混入する可能性が常に存在することになる。また、IVIGのバッチ間のばらつきは避けられない。さらに、献血量の減少はIVIGの供給不足を招く。従って、免疫介在性疾患の患者の治療のためにIVIGを機能的に代替する、清潔でコンスタントに供給される組換え製品を開発することが重要である。
【0009】
IgGとFcRnの間の相互作用をブロックして異化作用を高め、循環内のIgG分子の濃度を低下させるために、組換え抗FcRnモノクローナル抗体を使用する試みがいくつかなされている。Nixonら(Front. Immunol. 6: Article 176, 2015)はヒト抗FcRn抗体を作製し、カニクイザルのIgGレベルを長期にわたって低下させた。Kiesslingら(ci. Transl. Med. 9: eaan1208, 2017)は、ヒト化抗FcRnモノクローナル抗体ロザノリキシズマブをIVIGの代替として使用したことを報告している。カニクイザルとヒトの両方で、ロザノリキシズマブは循環内のIgG濃度を低下させた。7 mg/kgのロザノリキシズマブを静脈内投与された数名のヒト対象では、治療に起因する重篤な有害事象が認められた。KiesslingとNixonの論文はいずれも、抗FcRn抗体によるB細胞媒介性免疫反応の抑制のデータを示していない。
【0010】
IgGとFcRnの相互作用をブロックする別のアプローチとして、Patelら(J. Immunol. 187:1015-1022, 2011)は、FcRn結合を強化した人工ヒトIgG1抗体であって、Fc領域の252番のMetをTyrに、254番のSerをThrに、256番のThrをGluに、433番のHisをLysに、且つ434番のAsnをPheに置換したもの(MST-HN;位置はEu番号付けに基づく)が、マウスの血清IgGレベルを低下させたことを報告している。Ulrichtsら(J. Clin. Invest. JCI97911, 2018)は、上述の同じ5つのアミノ酸置換(MST-HN)を有するヒトIgG1由来のFcフラグメント(エフガルチギモド)をFcRnのアンタゴニストとして使用し、エフガルチギモドがヒトにおいてIgGレベルを最大50%低下させたことを示した。
【0011】
Czajkowskyら(Sci. Reports 5: 9526, 2015)は、FcRnのアンタゴニストの可能性として、309位(Eu番号付け)のロイシン残基をシステイン残基に変更し、ヘキサマー形成のために18アミノ酸長のμテールピースをヒトIgG1 Fcフラグメントの末端に取り付けたヘキサマーFcフラグメント(Hexa-Fc)の作製を報告した。しかし、この論文では、Hexa-Fcによる血清IgG量の調節に関する動物実験データは示されていない。また、著者は、Hexa-Fcのユニークな3次元構造がFcRnとの相互作用を妨げている可能性を指摘している。
【0012】
また、Spirigら(J. Immunol. 200: 2542-2553, 2018)は、309位(Eu番号付け)にロイシンからシステインへの置換を導入し、Fc領域の末端にμテールピースを導入することで、ヘキサマーのIgG1 Fcフラグメント(Fc-μTP-L309C)を作製した。Fc-μTP-L309Cは、マウスの炎症性関節炎及びITPの抑制に有効であったが、ヒトFcRnトランスジェニックマウス(3.1時間)及びラット(2.5~3時間)での血清半減期は短かった。一方、ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるヒトIgGの血清半減期は約10日と報告されている(Tam et al., mAbs 5:397-405, 2013)。なお、Spirig論文では、Fc-μTP-L309Cの血清IgGレベルへの影響や免疫反応の抑制に関するデータは報告されていない。
【0013】
US 9,382,319は、IgG又はIgAとIgM成分を有するハイブリッド重鎖定常領域に連結した抗体又はFc融合蛋白質を報告している。抗体可変領域又は異種ポリペプチドは、対象の標的部位に対する結合部位を形成し、ハイブリッド定常領域は、標的を表面に発現する細胞の多量体化及び活性化をもたらす。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、ハイブリッドFc蛋白質であって、N末端からC末端の順に、ヒンジ領域の少なくとも一部、CH2及びCH3領域(ここで、それぞれIgGアイソタイプである)を含むIgG Fc領域と、Cμ3及びCμ4領域を含むIgM Fc領域とを含み、ヒンジ領域の少なくとも一部は、(a)抗体可変領域、又は(b)標的に結合する異種ポリペプチドに連結せず、ハイブリッドFc蛋白質の分子は、ヒンジ領域の少なくとも一部内のシステイン残基間の鎖間ジスルフィド結合を介して二重鎖を形成し、二重鎖はCμ3領域及びCμ4領域を介して互いに多量体化できる、ハイブリッドFc蛋白質を提供する。
【0015】
任意に、IgG Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであり、Cμ3及びCμ4領域は、それぞれヒトCμ3及びCμ4領域である。任意に、ヒンジ領域の少なくとも一部分は、25アミノ酸超のポリペプチドに連結されていない。任意に、ヒンジ領域の少なくとも一部は、天然抗体においてFc二重鎖の形成に関与しないシステイン残基の置換によって、天然のヒトヒンジ領域と異なる。任意に、蛋白質は、本質的に、ヒンジ領域の少なくとも一部、CH2及びCH3領域、並びにCμ3領域及びCμ4領域、任意にヒンジ領域の少なくとも一部に連結された最大25アミノ酸のペプチドからなる。任意に、ヒンジ領域の少なくとも一部分は、そのN末端にGlu-Pro-Lys-Ser-Ser(配列番号8)のペプチドを含む。任意に、IgG Fc領域及び/又はIgM Fc領域は、ADCC、ADP又はCDCを低下させるための1つ以上の変異を含む。任意に、IgG Fc領域は、FcRnの結合を増加させる1つ以上の変異を含む。任意に、IgG Fc領域及び/又はIgM Fc領域は、シアリル化を増加させるための1つ以上の変異を含む。
【0016】
任意に、IgG Fc領域の234及び235位(Eu番号付け)は、アラニン残基である(例えば、配列番号9)。任意に、IgM Fc領域における第433及び第435位(Eu番号付け)は、それぞれアラニン残基及びセリン残基である(例えば、配列番号10)。任意に、IgG Fc領域の位置428(Eu番号付け)は、ロイシン残基である(例えば、配列番号13)。任意に、IgG Fc領域の241又は243位(Eu番号付け)は、アラニン残基である(例えば、それぞれ配列番号15及び16)。
【0017】
任意に、ハイブリッドFc蛋白質の分子は、ヒンジ領域の少なくとも一部内のシステイン残基間の鎖間ジスルフィド結合を介して二重鎖を形成しており、二重鎖がCμ3及びCμ4領域を介して互いに多量体化している。任意に、多量体はヘキサマーである。
【0018】
任意に、ハイブリッドFc蛋白質は、少なくとも99%w/wの純度である。
【0019】
本発明はさらに、上述のハイブリッドFc蛋白質のいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明はさらに、上述のいずれかのハイブリッドFc蛋白質の有効なレジメを、それを必要とする対象に投与する工程を含む、免疫疾患の治療方法を提供する。任意に、ハイブリッドFc蛋白質は、循環内のIgG分子の半減期を減少させる。任意に、ハイブリッドFc蛋白質は、循環内のIgG分子の濃度を低減させる。任意に、ハイブリッドFc融合蛋白質は、B細胞の免疫応答を抑制する。任意に、対象は、免疫疾患を有する。
【0021】
本発明はさらに、炎症性疾患、臓器移植後の拒絶反応、血液疾患、皮膚疾患、又は神経筋疾患を治療するための医薬品の生産における、上述のいずれかのハイブリッドFc蛋白質の使用を提供する。
【0022】
本発明はさらに、自己免疫疾患を治療するための医薬品の生産における、上述のいずれかのハイブリッドFc蛋白質の使用を提供する。任意に、この疾患は、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病、ギランバレー症候群、又は慢性炎症性脱髄性ポリニューロパシーである。任意に、この疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、又は自己免疫性好中球減少症である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】発現ベクターpVF101の概略構造を示す。
【0024】
図2】本発明のヘキサマーハイブリッドFc蛋白質の概略構造を示す。
【0025】
図3】マウス血清中のマウスモノクローナルIgG抗体ABC2の相対濃度をSEM(standard error of the mean)エラーバーとともに示す。ABC2をFc蛋白質なし(グループA)、LS41K-Fc.S(グループB)、又はLS41K-Fc.SL(グループC)の3匹のマウスに投与した。
【0026】
図4】グループA、B及びCのマウス血清中のマウスIgGの相対濃度をSEMエラーバーとともに示す。
【0027】
図5】グループB及びCからのマウス血清中のLS41K-Fc.S及びLS41K-Fc.SLの濃度を、それぞれSEMエラーバーとともに示す。
【0028】
図6】マウス血清中のABC2の相対濃度をSEMエラーバーとともに示す。ABC2を100μg(グループD)又は400μgのLS41K-Fc.SL(グループE)とともに3匹のマウスに投与した。
【0029】
図7】グループD及びEからのマウス血清中のマウスIgGの相対濃度をSEMエラーバーとともに示す。
【0030】
図8】グループD及びEからのマウス血清中のLS41K-Fc.SLの濃度をSEMエラーバーとともに示す。
【0031】
図9A-B】(A)ST6GAL1及び(B)B4GALT1の発現ベクターの概略構造を示す。
【0032】
図10A-C】(A)ガンマ-1(配列番号29-32)、ガンマ-2(配列番号33-36)、ガンマ-3(配列番号37-40)、(B)ガンマ-4(配列番号41-44)、アルファ-1(配列番号45-47)、アルファ-2(配列番号48-50)、及び(C)ミュー重鎖定常領域(配列番号51-54)、及びJ鎖(配列番号55)の配列である。Cミュー配列では、18アミノ酸のミューテールピースに下線が引かれている。J鎖の示された最初の22アミノ酸は、切断されたシグナルペプチドである。
【0033】
図11A-D】ヒト及びマウスFcRnへの結合のFACS分析。(A)pH6.0及びpH7.5におけるヒトFcRnへのアービタックス(マウス-ヒトキメラIgG1抗体)の結合、(B)pH6.0及びpH7.5におけるヒトFcRnへのLS41K-Fc.SLの結合、(C)pH6.0及びpH7.5におけるマウスFcRnへのアービタックスの結合、(D)pH6.0及びpH7.5におけるマウスFcRnへのLS41K-Fc.SLの結合を示す。
【0034】
定義
本発明のハイブリッドFc蛋白質は、典型的には単離された形態で提供される。これは、ハイブリッドFc蛋白質が、その生産又は精製に起因する干渉蛋白質及び他のコンタミネーション物質を、典型的には少なくとも50%w/wの純度で含んでいることを意味するが、ハイブリッドFc蛋白質が、その使用を容易にするために意図された過剰の薬学的に許容される担体又は他のビヒクルと組み合わされる可能性を排除するものではない。場合によっては、ハイブリッドFc蛋白質は、生産又は精製から生じる干渉蛋白質及びコンタミネーション物質に対して少なくとも60、70、80、90、95又は99%w/wの純度である。多くの場合、ハイブリッドFc蛋白質は、その精製後に残っている優勢な高分子種である。
【0035】
ハイブリッドFc蛋白質は、FcRnに特異的に結合する。特異的な結合は、検出可能なほどの大きさであり、少なくとも1つの無関係な標的に対して起こる非特異的な結合と区別される。特異的な結合は、特定の官能基間の結合又は特定の空間的な適合(例えば、ロックとキーのタイプ)の形成の結果であることができ、一方、非特異的な結合は、通常はファンデルワールス力の結果である。しかし、特異的な結合は、必ずしもハイブリッドFc蛋白質が1つだけの標的と結合することを意味するものではない。例えば、シアリル化によりCD22に特異的に結合することもある。
【0036】
基本的な抗体構造ユニットは、サブユニットのテトラマーである。各テトラマーは、2つの同一のポリペプチド鎖対を含み、各対は1つの「軽」(約25kDa)鎖及び「重」(約50~70kDa)鎖を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に主要な関与をする、約100~110個又はそれより多数のアミノ酸の可変領域を含む。この可変領域は、最初、開裂可能なシグナルペプチドに連結して発現される。シグナルペプチドを有しない可変領域は、成熟可変領域と呼ばれることもある。従って、例えば、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドを有しない軽鎖可変領域を意味する。但し、可変領域と呼ぶことは、シグナル配列が必ず存在することを意味せず、実際のところ、本発明の抗体又は融合蛋白質は、発現され分泌されると、シグナル配列が開裂する。重鎖可変領域と軽鎖可変領域との対は、抗体の結合領域を規定する。軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分は、それぞれ、軽鎖定常領域及び重鎖定常領域を規定する。重鎖定常領域は、エフェクター機能に主要な関与をする。IgG抗体において、重鎖定常領域は、CH1領域、ヒンジ領域、CH2及びCH3領域に区分される。IgAにおいて、重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3領域に区分される。CH1領域は、ジスルフィド結合及び非共有結合によって、軽鎖定常領域に結合する。ヒンジ領域は、抗体の結合領域とエフェクター領域との間に可撓性をもたらし、また、テトラマーにおいて、2つの重鎖定常領域の間に分子内ジスルフィド結合のための部位を提供する。CH2領域及びCH3領域は、エフェクター機能及びFcRn結合の主要な部位である。IgM抗体において、μ重鎖定常領域(Cμ)は、4つの領域、Cμ1、Cμ2、Cμ3及びCμ4にさらに区分される。Cμ3領域及びCμ4領域は、1つ以上のJ鎖と協働して、天然IgM抗体及び本発明のハイブリッドFc蛋白質において、多量体化機能を提供することがある。ミューテールピースは、IgM重鎖定常領域のC末端に位置する18アミノ酸長のポリペプチドである。IgMは多量化して、J鎖が存在するときはペンタマー構造を、J鎖が存在しないときはヘキサマー構造を形成する。
【0037】
軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ又はイプシロンに分類され、それぞれ、抗体アイソタイプをIgG、IgM、IgA、IgD又はIgEと規定する。軽鎖及び重鎖において、可変領域及び定常領域は、約12個又はそれより多数のアミノ酸の「J」区分によって結合されており、重鎖は、約10個又はそれより多数のアミノ酸の「D」区分も含む(典型的にはFundamental Immunology (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y., 1989), Ch. 7を参照)(あらゆる目的のために、参照によりその全体が組み込まれる)。
【0038】
軽鎖/重鎖の各対の成熟可変領域は、抗体結合部位を形成する。従って、抗体全体は、2つの結合部位を有し、即ち2価である。天然の抗体において、これらの結合部位は同じである。但し、2つの結合部位が異なる二重特異性抗体を作製することが可能である(例えば、Songsivilai and Lachmann, Clin. Exp. Immunol., 79:315-321 (1990); Kostelny et al., J. Immunol., 148:1547-53 (1992)を参照)。可変領域はすべて、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって連結され、比較的保存されている同じ一般構造のフレームワーク領域(FR)を示す。各対の2つの鎖からのCDRは、フレームワーク領域によって整合され、これにより特異的エピトープへの結合が可能になっている。N末端からC末端に向かって、軽鎖及び重鎖の両者は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4のドメインを含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabatの定義、Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1987 and 1991), or Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); Chothia et al., Nature 342:878-883 (1989)に従う。Kabatはまた、異なる重鎖可変領域間又は異なる軽鎖可変領域間の対応する残基が、同じ番号を割り当てられる、広く使用されている番号付け規則(Kabat番号付け)を提供している。Kabat番号付けは抗体定常領域に使用することが可能であるが、EUインデックスがより一般に使用されており、本願においてもそのようにしている。
【0039】
ハイブリッドFc蛋白質の多量体化ユニットは、典型的には、それぞれのヒンジ領域の1つ以上のシステイン間の鎖間ジスルフィド結合によって連結された2つのそのような蛋白質の二重鎖である。
【0040】
多量体化とは、ハイブリッド定常領域のCμ部分を介する、少なくとも2つの多量体化ユニット、より典型的には、5つ又は6つのそのようなユニットの、会合を意味する。ハイブリッドFc蛋白質の多量体化は、通常のIgMのペンタマー又はヘキサマーの構造よりも、高次又は低次の構造を形成することもあり得る。このような場合、多量体化によって形成された複合体が少なくとも約5又は6個のユニットを持つことを特徴づけることがある。
【0041】
融合蛋白質における異種ポリペプチドは、天然には免疫グロブリン定常領域に連結していないポリペプチドである。このようなポリペプチドは、完全長蛋白質であるか、又は、完全長蛋白質が結合する抗原への特異的結合を維持するに足る長さの、完全長蛋白質のあらゆるフラグメントであり得る。例えば、異種ポリペプチドは、受容体細胞外ドメイン又はそれに対するリガンドであり得る。
【0042】
「対象」という用語は、治療的又は予防的な治療を受けているヒト及び非ヒトの動物を含む。他の非ヒト動物には、ヒトの状態の動物モデル(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類)及び獣医学的な対象を含む。
【0043】
「標的」という用語は、対象に存在する標的分子(例えば、蛋白質、核酸又は炭水化物)を示し、これに抗体又はFc融合蛋白質などの薬物が特異的に結合して、対象における状態の治療又は予防をもたらすことができる。
【0044】
アミノ酸置換を保存的又は非保存的と分類する目的で、アミノ酸は次のようにグループ分けされる:グループI(疏水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖配向に影響する残基):gly、pro;及び、グループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換には、同じクラスのアミノ酸間での置換が含まれる。非保存的置換は、いずれか1つのクラスの要素を、他のクラスの要素と交換することからなる。
【0045】
配列同一性割合は、可変領域についてのKabat 番号付け規則、又は定常領域についてのEU番号付けによって、最大に整合される抗体配列で決定される。整合化の後、対象抗体領域(例えば、重鎖又は軽鎖の成熟可変領域全体)が参照抗体の同じ領域と比較される場合、対象抗体領域と参照抗体領域との配列同一性割合は、対象抗体領域と参照抗体領域の双方において同じアミノ酸が占める位置の数を、両領域の整合させた位置のギャップを除外した総数で割り、百分率に変換するために、100を乗じたものである。
【0046】
1つ以上の明記した要素を「含む」組成物又は方法は、明記していない他の要素を含んでよい。例えば、抗体を含む組成物は、その抗体を、単独で、又は他の含有物と組み合わせて、有してよい。
【0047】
「本質的にからなる」は、慣例に従って、組成物又は方法の基本的かつ新規な特徴を示すために使用され、基本的かつ新規な特徴に重大な影響を与えない他の成分又は工程が存在することを排除するものではない。
【0048】
FcRn受容体への抗体のpH依存性結合とは、抗体がそのような受容体に、pH6.0において、pH7.5におけるよりも強く結合することを意味する。ピノサイトーシスによる内在化後のエンドソームにおける低いpHでのFcRnの結合は、IgG抗体をリソソームにおける異化作用分解からレスキューする。レスキューされたIgG抗体は、次に、中性pHにてFcRnから放出され、循環にリサイクルされる。このようなpH依存性FcRn結合は、IgG抗体の血清中での半減期が長くなる分子メカニズムの基礎となっている(Ghetie et al., Annu. Rev. Immunol. 18:739-766, 2000)。例えば、ヒトIgG抗体は、pH6.0にて、ヒト胎児Fc受容体(FcRn)に結合し、一方、pH7.5においては、それらはFcRnに弱く結合するにすぎない。IgG抗体におけるFcRn結合部位は、CH2及びCH3ドメインの連結部に存在する。μ重鎖は、pH6.0又はpH7.5においてFcRnに結合しないので、天然IgMは、FcRn媒介経路を利用して、白血球における分解から抗体をレスキューすることができず、従って、典型的には天然IgG抗体よりも短い半減期を有する。本発明のいくつかのハイブリッドFc蛋白質は、pH6.0と7.5でFcRnへの結合に有意な差があったとしてもほとんどなく、これはFcRnへの結合についてIgGと競合する能力に寄与する。
【発明の詳細な説明】
【0049】
I. 概説
本発明のハイブリッドFc蛋白質は、IgG Fc及びIgM Fc成分を含む。IgG Fc成分は、ヒンジ領域の少なくとも一部とCH2及びCH3領域を含む。IgM成分は、Cμ定常領域のCμ3及びCμ4領域を含む。ハイブリッドFc蛋白質は、ヒンジ領域内のシステイン間の鎖間ジスルフィド結合によって二重鎖を形成できる。この二重鎖は、IgM Fc部分のジスルフィド結合によって多量体化できる。ハイブリッドFc蛋白質のIgG部分は、他のIgG分子と同様に、FcRn受容体に特異的な親和性を有す。しかし、IgM Fcを介した多量体化の結果、この結合のアビディティが増大する。本発明の実施にメカニズムの理解は求められないが、ハイブリッドFc蛋白質のFcRnへの結合は、内因性IgGのFcRnへの結合と競合するため、内因性IgGの半減期を減少させると考えられる。内因性IgGの半減期の減少は、これまで経静脈的免疫グロブリンで治療されていたような、内因性IgGを媒介とする免疫疾患の治療に有用である。US 9,382,319の既述の抗体又は融合蛋白質とは対照的に、この作用機序は、ハイブリッドFc領域に連結された抗体可変領域又は異種ポリペプチドによって提供される結合領域による標的の係合を介して、対象において治療が効果的に行われることを必要としない。上記の利点は、ハイブリッドFc蛋白質の発現のための核酸コンストラクトの作製に関与する以外のインビトロの操作なしに行うことができる。
【0050】
II. ハイブリッドFc領域の成分
ハイブリッドFc蛋白質は、IgG Fc及びIgM Fc部分を含む。IgG Fc部分は、ヒンジ領域の少なくとも一部とCH2及びCH3領域を含む。CH2とCH3領域は、FcRnの結合、プロテインA及びGの結合、ADCC(抗体依存性細胞傷害)、CDC(補体依存性細胞傷害)、オプソニン化などの役割を担っているか、又はその少なくとも一部を担っている。ヒンジ領域の少なくとも一部の役割は、IgG Fc領域を二重化する鎖間ジスルフィド結合を形成するためのシステイン残基を供給することである。ヒンジ領域の少なくとも一部には、天然のヒンジ領域に含まれる少なくとも1つ、通常は2つ以上のシステインと、二重鎖を形成する望ましい鎖間ジスルフィド結合をサポートするのに十分な周辺残基を含む。しかし、天然のヒンジ領域の全てのシステイン残基がFc領域間の二重鎖形成に寄与するわけではなく、そのような他のシステイン残基のいずれか又はすべてを除去するか、又はセリン又はアラニン又はグリシンなどの他の残基で置換して、システインが不自然なジスルフィド結合に参加することを避けることができる。従って、ヒンジ領域の一部、通常はN-末端部分を、典型的には25、20、15、10、5残基以下の合成ペプチドで置き換えることができる。システイン残基を提供するだけでなく、任意の合成ペプチドを含むヒンジ領域は、二重鎖や多量体を形成するための柔軟性を提供する。Gly、ala及びserは、この目的のための例示的な残基である。合成ペプチドは、自然界に単離されたペプチドとして生じないという意味で合成であり、それが結合するヒンジ又はその部分に自然に連結していない配列を有しているが、本実施例のように、ヒンジ領域の一部、特にN-末端部分の変異バージョンであることも可能である。合成ペプチドは、多くの場合、ala、gly及び/又はserが過剰に含まれている(即ち、合成ペプチドの全残基の少なくとも25、35又は50%がala、gly及び/又はserである)。
【0051】
Cμ部分は、Cμ定常領域のCμ3及びCμ4を含む。Cμ部分は、複数の一価又は二価の結合ユニットを多価の複合体に多量体化する役割を担っている。本発明を実施するためにメカニズムの理解は必要ではないが、ハイブリッドFc融合蛋白質の多量体化は、異なるモノマーのCμ3領域間の、及び異なるモノマーのミューテールピース間の、鎖間ジスルフィド結合を通じて、天然のIgM抗体における態様と類似の態様で生じると考えられる。IgMのマルチマーの中には、muテールピースに結合した1本又は複数のJ鎖を含むものもある。1つ以上のJ鎖が存在する場合、IgMはペンタマー構造を形成でき、J鎖が存在しない場合は構造をヘキサマー構造を形成できる。ヘキサマーのIgMはペンタマーよりも強いCDCを持つことが報告されている。本発明のハイブリッドFc蛋白質は、IgMのようにペンタマー又はヘキサマーの複合体を形成すると考えられるが、ペンタマーやヘキサマーと同様に、又はそれに代えて、より大きい又は小さい他の多量体を形成してもよい。
【0052】
上述の成分は、合成ペプチド(存在する場合)、IgGヒンジ領域の少なくとも一部分、IgG CH2領域、IgG CH3領域、Cμ3領域、Cμ4領域が、N末端からC末端の順に配置されている。
【0053】
典型的には、全てのIgG領域は、同じアイソタイプ及びサブタイプである。即ち、全てのIgG領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のいずれかである。任意に、ハイブリッドFc蛋白質のIgG CH2及びCH3領域は、異なるアイソタイプ及びサブタイプを含む。
【0054】
好ましくは、IgG領域はヒトIgGである。同様に、Cμ3領域及びCμ4領域は、好ましくはヒトである。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM重鎖の定常領域の例示的な配列を、成分に分けて図10A、B、Cに示す(CH1、hinge、CH2、CH3、Cμ1、Cμ2、Cμ3、及びCμ4、及びJ鎖)。しかし、非ヒト霊長類、ラクダ類、軟骨魚類、マウス又はラットを含む他の種からの領域も使用できる。ヒトIgG1ハイブリッドFc蛋白質の例示的な配列は、配列番号7、11、13、15及び16である。IgG2、IgG3及びIgG4ハイブリッドFc蛋白質の例示的な配列は、配列番号26~28にそれぞれ記載されている。
【0055】
治療用蛋白質又は融合蛋白質に典型的に見られる他の成分は、存在してもしてなくてもよく、必須ではない。例えば、本発明のハイブリッドFc蛋白質は、IgG CH1定常領域(対になる軽鎖がないため)、ヒト又は他の対象に存在する標的に特異的に結合する結合部位を形成する重鎖又は軽鎖可変領域、又はFc融合蛋白質に典型的に見られる、ヒト又は他の対象に存在する標的に特異的に結合する受容体ECD又はリガンドなどの異種ポリペプチドを含む必要はない。
【0056】
本発明のFc蛋白質を含むヒトのIgG領域、IgA領域もしくはIgM領域(つまり、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4)又はJ鎖に言及することは、例示的配列、又はそのアロタイプもしくは同型アロタイプ、又は、例示的配列に対して少なくとも90、95、98もしくは99%の配列同一性を有し、かつ/あるいは、CH1、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4並びにJ鎖の場合には、1、2、3、4、5、10もしくは15個までのアミノ酸削除、置換もしくは内部挿入によって、及び、IgG1、IgG2もしくはIgG4のヒンジ領域については、1、2もしくは3個の削除、置換もしくは内部挿入によって、IgG3ヒンジについては、1、2、3、4、5もしくは6個までの削除によって、例示的配列とは異なる他の変異配列に、言及することである。置換(存在する場合)は、好ましくは保存的である。ヒト定常領域は、異なる個体間で、アロタイプ変異及び同型アロタイプ変異を示し、つまり、定常領域は、異なる個体において、1つ以上の多型位置にて異なり得る。同型アロタイプは、同型アロタイプを認識する血清が、1つ以上の他のアイソタイプの非多型領域に結合する点で、アロタイプと相違する。ヒト定常領域への言及は、あらゆる天然アロタイプ(同型アロタイプを含む)を有する定常領域、又は、天然アロタイプの多型位置を占める残基のあらゆる並べ替えを含む。非ヒト定常領域の配列は、例えば、Swiss-Protデータベース又はGenbankデータベースによって提供される。非ヒト定常領域への言及は、同様に、アロタイプ変異もしくは同型アロタイプ変異、及びその並び替え、又は、天然配列とは異なる他の変異配列を含む。変異の範囲は、配列同一性、及び/又は、非ヒト定常領域の天然配列に関する置換の数によって、上述のヒト定常領域に関する変異の説明と類似の態様で、規定される。アイソタイプ又は他の種内の対応する位置を規定すること、又は、変異位置を定義することにおいては、Eu番号付け規則が使用される。
【0057】
様々な目的のために、IgG又はIgM Fc領域又はその両方に様々な置換を行うことができる。例えば、IgG Fcには、FcRn結合を増加させる多くの既知の変異がある。例示的な置換には、250位のGln及び/又は428位のLeu、434位のSer又はAsn、252位のTyr、254位のThr、及び256位のGluを含む(EU番号付け)。FcRn結合の増加は、本発明のハイブリッドFc蛋白質が内因性IgGとFcRnの結合をより強く競合させる上で有利である。また、IgG及びIgM Fcには、ADCC、ADP(抗体依存性食作用)、CDCのいずれかを低下させる多数の変異が知られている。(例えば、Winter et al., US Patent No. 5,624,821; Tso et al., US Patent No. 5,834,597; 及びLazar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:4005, 2006を参照)。例えば、234位、235位、236位及び/又は237位のいずれかを置換すると、Fcγ受容体、特にFcγRI受容体に対する親和性が低下する(例えば、US 6,624,821を参照)。任意に、ヒトIgG2の234位、236位及び/又は237位はアラニンで、235位はグルタミン又はグルタミン酸で置換されている(US 5,624,821参照)。エフェクター機能を低下させる他の置換としては、268位のAla、297位のGly又はAla、309位のLeu、322位のAla、327位のGly、330位のSer、331位のSer、238位のSer、268位のAla、309位のLeu(Eu番号付け)を含む。IgG又はIgM Fcの他の置換は、CD22への結合を増加させるのに有用なシアリル化を刺激するのに有利である。例えば、IgG Fc領域における241位のPheのAlaによる置換、243位のPheのAlaによる置換、262位のValのGluによる置換、及び264位のValのGluによる置換(Eu番号付け)のそれぞれは、IgG分子のシアリル化を促進することが知られている(Yu et al, J. Am. Chem. Soc. 2013 135:9723-9732)。IgG分子のシアリル化を増強する他のIgG Fc変異体は、米国特許9187552号、9328170号、9663581号で報告されている。
【0058】
後述するように、ヒンジ領域の一部又は全部を置換した合成リンカーや、エフェクター機能やFcRn結合を強化又は抑制するための1つ又は数個のアミノ酸置換を除いて、ハイブリッドFc蛋白質は、上述のヒンジ、CH2、CH3、Cμ3、Cμ4領域以外の配列を含まないことが好ましい。前述したように、CH1領域、又は重鎖又は軽鎖可変領域は必要ない。それにもかかわらず、例えば、ヘキサヒスチジンタグのような他の配列を付加できるが、必須ではない。従って、好ましいハイブリッドFc蛋白質は、完全又は部分的なヒンジ、上述のCH2、CH3、Cμ3及びCμ4領域、任意に5、10、15、20又は25残基までの、上述の合成ペプチドなどのさらなるペプチド、及び任意にJ鎖からなるか、又は本質的にからなる。いくつかのハイブリッドFc蛋白質は、完全又は部分的なヒンジからなるか、又は本質的にからなり、任意に、上述したような軽鎖のペアリング、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4領域に関与する1つ以上のシステイン残基を除去するように改変されている。いくつかのハイブリッドFc蛋白質は、ヒンジ領域の1つ以上の変異したシステイン残基を除いて、完全なヒトIgGヒンジ、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4領域、及び任意にJ鎖からなるか、又は本質的にからなる。ヒトの配列から全体的又は実質的に形成されたハイブリッドFc蛋白質は、ヒトにおいて免疫原性を示す可能性はあってもほとんどない。存在する任意の追加配列は、好ましくは、ヒトにおけるハイブリッドFc蛋白質の免疫原性を増加させない。
【0059】
2つの重鎖を含む標準的な免疫グロブリン構造は、最大4つのシアル酸残基(1つの鎖につき2つ)を有する。本発明のハイブリッドFc蛋白質は、その多量体化(例えば、ヘキサマー)とや、Cmu3及びCmu4領域がさらなるシアル酸付着部位を提供することの両方の理由から、2個よりも多くのシアル酸を有し得る。例えば、本発明のハイブリッドFc融合体は、蛋白質1分子あたり平均2.1個以上のシアル酸を持つことができる(例えば、2.1~5個)。従って、本発明のハイブリッドFc分子のヘキサマーは、ヘキサマーあたり平均12、15又は20を超えるシアル酸分子を有し得る(例えば、12.1~30個)。より高いシアリル化は、CD22への結合を介した免疫抑制に有利である。
【0060】
III. 遺伝子組み換えと発現
ハイブリッドFc蛋白質は、組換え発現により生産される。ハイブリッドFc蛋白質は、IgG Fc部分をコードするDNAセグメントを、Cμ部分をコードするDNAセグメントとフレーム内で融合させることによって実現される。好ましくは、IgGのCH3エクソンの最後のアミノ酸が、Cμ3エクソンの最初のアミノ酸とフレーム内で融合される。
【0061】
いくつかの成分をコードするコンストラクトを構築する際に、遺伝的要素の融合を行う順序は重要ではない。また、それぞれのセグメントをコードするオーバーラップしたオリゴヌクレオチドをオーバーラップしたPCR型反応で接合することにより、セグメントを同時に連結することもできる。実際には、ハイブリッド定常領域をコードする発現ベクターがいったん作製されると、同じベクターを用いて、ハイブリッド定常領域をコードするDNAセグメントを再作製することなく、融合蛋白質の場合には任意の重鎖可変領域又は他の結合領域(及び場合によっては軽鎖可変領域)を挿入できる。
【0062】
哺乳類細胞は、本発明のハイブリッドFc蛋白質をコードするヌクレオチドセグメントを発現させるための1つの宿主である(Winnacker, From Genes to Clones, (VCH Publishers, NY, 1987)を参照)。インタクトな異種蛋白質を分泌できる多数の適切な宿主細胞株が当技術分野で開発されており、CHO細胞株、種々のCOS細胞株、HeLa細胞、HEK293細胞、L細胞、及びSp2/0及びNS0を含む非抗体生産ミエローマを含む。好ましくは、細胞は非ヒトである。抗体を生産するために使用される細胞は、内因性にJ鎖を発現していてもいなくてもよい。内因性のJ鎖が発現していないか、又は不十分なレベルで発現している場合、宿主細胞を遺伝的に改変してJ鎖を発現させることができる(即ち、そのようなものをコードするコンストラクトを導入することによって)。しかし、J鎖を発現していない宿主細胞を用いることも可能である。J鎖を有するまたは有しない細胞の選択は、生成される抗体又は融合タンパクが有する結合価に影響する(例えば、J鎖を持つペンタマーと持たないヘキサマー)。好ましくは、ハイブリッドFc蛋白質は、モノクローナル細胞株から発現される。
【0063】
これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサーなどの、発現制御配列(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49 (1986))、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位などの、必要な処理情報部位、及び、転写終結因子配列を含んでもよい。好ましい発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149 (1992)を参照。
【0064】
細胞は、発現するハイブリッドFc蛋白質をコードするベクターでトランスフェクトされる。ハイブリッドFc蛋白質は、発現され、シグナルペプチドを除去するために処理され、組み立てられ、宿主細胞から分泌される。ハイブリッドFc蛋白質が主に多量体、特にハイブリッド定常領域のCμ部分を介して5個又は6個のユニットが結合した多量体として分泌されるように、多量体化及びJ鎖との会合が少なくとも主に細胞内で起こると考えられる。
【0065】
ハイブリッドFc蛋白質は、従来の抗体精製法により細胞培養上清から精製できる。精製は、アフィニティー試薬としてプロテインA又はプロテインGを用いるクロマトグラフィー工程を含み得る。イオン交換、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフ又はHPLCなどの従来の抗体精製手順も使用できる(典型的にはScopes, Protein Purification (Springer-Verlag, NY, 1982)を参照)。
【0066】
IV. 治療方法及び医薬組成物
本発明のハイブリッドFc蛋白質は、抗体又はB細胞機能によって媒介される様々な状態、特に背景技術に示されているようにIVIGによって以前に治療された状態を治療するのに有用である。そのような状態には、免疫疾患、炎症性疾患、臓器移植後の拒絶反応、血液疾患、皮膚疾患、又は神経筋疾患を含む。状態の指定は相互に排他的ではない。従って、免疫疾患は、例えば、炎症性疾患でもあり得る。ハイブリッドFc蛋白質は、循環内の内因性IgG分子の半減期を減少させ、内因性B細胞の免疫応答を抑制し、循環内の内因性IgG分子の濃度を減少させることによって、そのような状態を治療できる。
【0067】
本発明のハイブリッドFc蛋白質によって治療可能な免疫疾患の1つのカテゴリーは、移植拒絶反応である。同種異系細胞又は器官(例えば、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、及び骨髄)がホストに移植されたとき(即ち、寄贈者と受贈者が、同じ種の異なる個体である)、ホストの免疫系は、移植中の外来抗原に対して免疫反応(移植片対宿主病)を起こし、移植された組織の破壊に至る。本発明のハイブリッドFc蛋白質は、とりわけ、受贈者におけるアロ抗原誘導免疫応答を阻止するのに有用である。
【0068】
本発明のハイブリッドFc蛋白質に関連する使用は、「移植片対宿主」病(GVHD)に含まれる免疫応答を調節することにある。GVHDは、免疫適格細胞が、同種レシピエントに移転されたときに生じる、致死の可能性のある疾患である。この状況において、ドナーの免疫担当細胞は、レシピエントの組織を攻撃するかもしれない。皮膚、腸上皮及び肝臓の組織が、しばしば標的となり、GVHDの過程において破壊されるかもしれない。この疾患は、骨髄移植の場合など、免疫組織が移植されるときに、特に深刻な問題を示すが、心臓及び肝臓の移植を含む他の場合には、より軽度のGVHDも報告されている。
【0069】
免疫抑制が望ましいさらなる状況は、特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫疾患、川崎病、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、多発性硬化症、自己免疫性好中球減少症1型糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、スティッフマンシンドローム、関節リウマチ、重症筋無力症、及びエリテマトーデスである。その他の治療可能な疾患としては、急性散在性脳脊髄炎、急性運動性軸索型ニューロパチー、アジソン病、有痛脂肪症、成人発症スティル病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗糸球体基底膜腎炎、抗好中球細胞質抗体関連の血管炎、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体脳炎、抗リン脂質症候群、抗シンテターゼ症候群、再生不良性貧血、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性脳炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性卵管炎、自己免疫性睾丸炎、自己免疫性膵臓炎、自己免疫性ポリエンドクライン症候群、自己免疫性ポリエンドクライン症候群2型、自己免疫性ポリエンドクライン症候群3型、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ぶどう膜炎、バロ同心円硬化症、ベーチェット病、ビッカースタッフ脳炎、水疱性類天疱瘡、セリアック病、慢性疲労症候群、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コガン症候群、コールドアグルチニン病、複合性局所疼痛症候群、CREST症候群、クローン病、ヘルペス状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、円板状エリテマトーデス、子宮内膜症、滑膜炎、滑膜炎関連関節炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛症、胃炎、妊娠性天疱瘡、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、グレーブス眼症、橋本脳症、橋本甲状腺炎、ヘノッホ-ショーンライン紫斑病、汗腺膿瘍、特発性拡張型心筋症、特発性炎症性脱髄疾患、IgA腎症、IgG4関連全身性疾患、封入体筋炎、炎症性腸疾患(IBD)、中間型ぶどう膜炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、ランベルト-イートン筋痛症症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、靱帯性結膜炎、線状IgA病、ループス腎炎、ループス血管炎、ライム病、メニエール病、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、モルヒネ、ミュシャ-ハーベルマン病、重症筋無力症、心筋炎、筋炎、視神経脊髄炎、ニューロミオトニア、オプソクロナス・マイオクロナス症候群、視神経炎、オルド甲状腺炎、回帰性リューマチ、傍腫瘍性小脳変性症、パリーロンベルグ症候群、パーソナージュ-ターナー症候群、ストレプトコッカス関連小児自己免疫性神経精神疾患、尋常性天疱瘡、悪性貧血、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リューマチ性多発筋痛、多発筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性免疫不全症、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性ニューロパシー、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、純赤血球無形成、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグ症候群、後腹膜線維化症、リューマチ性熱、リューマチ性関節炎、リューマチ性血管炎、サルコイドーシス、シュニッツラー症候群、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、シデナム舞踏会、交感神経性眼球炎、全身性強皮症、血小板減少症、トロサ-ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、蕁麻疹、蕁麻疹性血管炎、血管炎、及び白斑を含む。
【0070】
これらの疾患のいずれかにおいて、身体は自身の抗原の1つに対する体液性免疫反応を発現し、その抗原を発現する細胞の破壊をもたらし、潜在的に壊滅的及び/又は致命的な結果をもたらす。自己免疫疾患は、ハイブリッドFc蛋白質を投与することによって治療される。
【0071】
本発明のハイブリッドFc蛋白質によって治療可能な他の免疫疾患には、喘息、アレルギー、セリアック病、乾癬、ブドウ膜炎を含む。セリアック病、乾癬、ぶどう膜炎は自己免疫疾患である。
【0072】
ハイブリッドFc蛋白質は、発症を遅らせ、重症度を軽減し、さらなる悪化を抑制し、及び/又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状を改善する投与量、投与経路及び投与頻度を意味する有効なレジメで投与される。対象が既に障害を患っている場合、そのレジメは治療上有効なレジメと呼ぶことができる。対象が一般集団と比較して障害のリスクが高いが、まだ症状を経験していない場合、レジメは予防的に有効なレジメと呼ばれることがある。いくつかの例では、治療的又は予防的な有効性は、個々の対象において、過去のコントロール群又は同じ患者における過去の経験と比較して観察できる。他の例では、前臨床試験又は臨床試験において、治療的又は予防的な有効性は、治療を受けた対象の集団を、治療を受けていない対象のコントロール集団と比較して実証できる。
【0073】
ハイブリッドFc蛋白質の例示的な投与量は、0.01~20、又は0.5~5、又は0.01~1、又は0.01~0.5、又は0.05~0.5mg/kg体重(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、又は5mg/kg)、又は固定投与量として10~1500mgである。投与量は、患者の状態及び事前の治療に対する反応(もしあれば)、治療が予防的であるか治療的であるか、及び障害が急性であるか慢性であるか、などに依存する。
【0074】
投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内で行うことができる。全身への投与は、静脈内投与又は皮下投与が好ましい。静脈内投与は、例えば、30~90分などの期間にわたって注入することにより行うことができる。
【0075】
投与の頻度は、循環内のハイブリッドFc蛋白質の半減期、患者の状態及び投与経路などに依存する。投与頻度は、毎日、毎週、毎月、四半期、又は患者の状態の変化や治療対象の障害の進行に応じて不定期に行うことができる。静脈内投与の場合は、連続した治療期間中、週1回から四半期に1回の頻度が例示されるが、それより大きい又はそれより少ない頻度での投与も可能である。皮下投与の場合、例示的な投与頻度は、毎日から毎月であるが、それより大きい又はそれより少ない頻度での投与も可能である。
【0076】
投与回数は、障害が急性であるか慢性であるか、及び治療に対する障害の反応に依存する。急性障害又は慢性障害の急性増悪に対しては、しばしば1回から10回の投与で十分である。急性疾患や慢性疾患の急性増悪時には、単回ボーラス投与(任意に分割投与)で十分な場合もある。急性疾患や急性増悪の再発に対しては、治療を繰り返すことができる。慢性障害に対しては、本発明のハイブリッドFc蛋白質を定期的な間隔で、例えば、毎週、隔週、毎月、四半期、6ヶ月ごとに、少なくとも1年、5年、10年、又は患者の生涯にわたって投与できる。
【0077】
医薬組成物は、好ましくは、ヒトへの非経口投与に適している。そのような組成物は、好ましくは無菌で実質的に等張であり、GMP条件で生産される。医薬組成物は、単位投与形態(即ち、1回の投与のための投与量)で提供できる。医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又は補助剤を用いて製剤化できる。薬学的に許容されるとは、ヒトへの非経口投与に適していることを意味し、例えば、FDAによって承認されているか、承認可能であることを意味する。処方は、選択した投与経路によって異なる。注射の場合、本発明のFc蛋白質は水溶液、好ましくはHank's液、Ringer's液、生理食塩水又は酢酸バッファーなどの生理学的に適合したバッファーで処方できる(注射部位の不快感を軽減するため)。この溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調製剤を含み得る。あるいは、本発明のハイブリッドFc蛋白質は、使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水で構成するために凍結乾燥された形態であってもよい。
【0078】
本発明のハイブリッドFc蛋白質による治療は、治療される障害に対して有効な他の治療と組み合わせることができる。免疫障害の治療のためにの従来の治療法は、マストセル脱顆粒阻害剤、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、及びアザチオプリン、シクロホスファミド、ロイケラン、FK506及びシクロスポリンのようなより強力な抗炎症剤を含む。また、タイサブリ(R)(ナタリズマブ)やヒュミラ(R)(アダリムマブ)などの生物学的抗炎症剤も使用可能である。
【0079】
上又は下で引用された全ての特許出願、ウェブサイト、その他の出版物、アクセッション番号などは、全ての目的のために、個々の項目が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、その全体が参照により組み込まれる。ある配列の異なるバージョンが異なる時期にアクセッション番号に関連付けられている場合、本出願の有効出願日におけるアクセッション番号に関連付けられたバージョンを意味する。有効出願日とは、該当する場合はアクセッション番号を参照して、実際の出願日と優先権出願の出願日のうち、どちらか早い方を指す。同様に、出版物やウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時期に公開されている場合、他に指示がない限り、本願の有効出願日に最も最近公開されたバージョンを意味する。本発明の任意の特徴、工程、要素、実施形態、又は側面は、特に他に示されていない限り、他のものと組み合わせて使用できる。本発明は、明確さと理解のために、例示及び実施例を用いてある程度詳細に説明してきたが、添付の請求項の範囲内で特定の変更及び修正を実施できることは明らかであろう。
【実施例
【0080】
実施例1:全般的な方法及び材料
【0081】
組換えDNAの操作、組換え蛋白質の発現、精製、特性評価は、Green及びSambrook (Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 4th ed., 2012, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)、Greenfield(Antibodies, A Laboratory Manual, 2nd ed., 2014, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)、Kostelnyら(Int. J. Cancer 93:556-565, 2001)、Coleら(J. Immunol. 159:3613-3621, 1997)及びTsurushitaら(Methods 36:69-83, 2005)に記載の標準的な実験技術に従って実施した。
【0082】
N末端からC末端まで、人工シグナルペプチド(sp)と、ヒトIgG1アイソタイプのヒンジ、CH2及びCH3領域、さらにヒトCμ3及びCμ4領域を含む多量体ハイブリッドFc蛋白質を生産するために設計された哺乳類発現ベクターpVF101(図1)は、以下の遺伝子成分を含んでいる。図1のpVF101のSalI部位から時計回りに進むと、このプラスミドは、LS41A-Fc(以下に定義)をコードする領域の転写を開始するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーター及びエンハンサー(図中CMV-P)を含む。CMVプロモーターの後には、ヒンジ領域(Hinge;配列番号2)と融合したシグナルペプチドをコードするエクソン(配列番号1)、CH2をコードするエクソン(配列番号3)、Cμ3(配列番号5)及びCμ4(配列番号6)と融合したCH3をコードするエクソン(配列番号4)、及びポリアデニル化部位がイントロンを介在して続いている。ヒンジ(図中のH)、CH2、CH3領域及びポリアデニル化部位は、ヒトγ-1重鎖遺伝子に由来する。ハイブリッドFc蛋白質の転写ユニットの後には、SV40初期プロモーター(SV40-P)、ピューロマイシン耐性のためのピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(puro)、及びSV40ポリアデニル化部位を含むセグメント(SV40-A)が続く。最後に、pVF101にはプラスミドpUC19の一部が含まれており、細菌複製起点(pUC ori)とβラクタマーゼ遺伝子(β lactamase)が含まれている。図中の矢印は、転写の向きを示している。pVF101にコードされている成熟ハイブリッドFc蛋白質(LS41A-Fc)(ヒンジ、CH2、CH3、Cμ3、Cμ4領域から構成される)のアミノ酸配列は、EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号7)である。ジスルフィド結合LS41A-Fcダイマーのヘキサマーの概略構造を図2に示す。
【0083】
哺乳類発現ベクターpVF101をLS41A-Fcのコード領域において以下のように改変し、新たな発現ベクターpVF102を作製した。pVF102では、成熟LS41A-Fc配列のヒンジ領域の最初の5つのアミノ酸残基を人工ペンタペプチドEPKSS(配列番号8)に置き換えた。CH2の234位及び235位のロイシン残基(Eu番号付け、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interests, Fifth edition, NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, 1991)をアラニン残基(L234A/L235A)(配列番号9)に変更して、IgG分子に付随するエフェクター機能の可能性を排除した(Xu et al. 2000 Cell. Immunol. 200:16-26; Hezareh et al. 2001 J. Virol. 75:12161-12168)。Cμ3の433位のプロリン残基と435位の別のプロリン残基(Eu番号付け)をそれぞれアラニン残基とセリン残基に変更し(P433A/P435S)(配列番号10)、IgM分子に付随するCDC活性の可能性を排除した(Arya et al., 1994 J. Immunol. 152:1206-1212)。pVF102を作製においてpVF101に他の変更は導入しなかった。pVF102にコードされている成熟ハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列(LS41K-Fc.S)(人工ペンタペプチド、ヒンジの一部、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4から構成される)は、EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号11)である。
【0084】
哺乳類発現ベクターpVF102を、CH3の428位のメチオニン残基をロイシン残基(Eu番号付け)に置き換えることによって改変し(配列番号12)、新たな発現ベクターpVF103を作製した。pVF103の作製においてpVF102に他の変更は導入しなかった。pVF103にコードされている成熟ハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列(LS41K-Fc.SL)(人工ペンタペプチド、ヒンジの一部、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4から構成される)は、EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号13)である。
【0085】
培養上清又はマウス血清中のLS41A-Fc、LS41K-Fc.S及びLS41K-Fc.SLの濃度を、サンドイッチELISAにより測定した。ELISAプレートに、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH 7.4)で1/2,000に希釈したヤギ抗ヒトIgG Fcγ鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を100μl/wellで4℃で一晩コートし、Wash Buffer(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗浄した後、ELISA Buffer(2%スキムミルクと0.05% Tween20を含むPBS)200μl/wellで室温で1時間ブロックした。Wash Bufferで洗浄した後、ELISA Bufferで適切に希釈したテストサンプル100μl/wellをELISAプレートに供した。精製したLS41A-Fc、LS41K-Fc.S、又はLS41K-Fc.SLのいずれかを標準サンプルとして用いた。ELISAプレートを室温で1時間インキュベートし、Wash Bufferで洗浄した後、結合したFc蛋白質を、ELISAバッファーで1/2,000に希釈したHRP結合ヤギ抗ヒトガンマ鎖抗体(SouthernBiotech, Birmingham, AL)100μl/wellを用いて検出した。室温で30分インキュベートし、Wash Bufferで洗浄した後、100μl/wellのABTS基質で発色を開始し、100μl/wellの2%シュウ酸で発色を停止した。吸光度は405nmで読み取った。
【0086】
マウス血清中のマウスモノクローナル抗ヒトCD122 IgG1/カッパ抗体ABC2(米国特許9028830)の濃度を、(1)ELISAプレートのコートにJN Biosciencesの6つのヒスチジン残基と融合したヒトCD122細胞外領域(CD122-His;配列番号14)を用いたこと、(2)結合したABC2の検出にHRP標識ヤギ抗マウスカッパ鎖抗体(Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)を用いたこと、及び(3)ABC2を標準サンプルとして用いたことを除いて、上述のようにサンドイッチELISAで測定した。
【0087】
マウス血清中のマウスIgGの濃度を、(1)コートにヤギ抗マウスIgG Fcγ鎖特異的抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いたこと、(2)検出にHRP結合ヤギ抗マウスカッパ鎖抗体(Bethyl Laboratories)を用いたこと、及び(3)ABC2を標準サンプルとして用いたことを除いて、上述のようにサンドイッチELISAで測定した。
【0088】
実施例2:多量体ハイブリッドFc蛋白質の発現及び精製
【0089】
発現ベクターpVF102及びpVF103をチャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO-K1の染色体に個別に導入して、LS41K-Fc.S、及びLS41K-Fc.SLを安定的に生産する細胞株をそれぞれ得た。SFM4CHO培地(GE Healthcare, Chicago, IL)を用いて、CHO-K1細胞を7.5% CO2インキュベーター内で37℃で培養した。CHO-K1への安定したトランスフェクションは、エレクトロポレーション法で行った。トランスフェクションの前に、FspIを用いて各発現ベクターを線形化した。典型的な実験では、約107個の細胞に20μgの線形化プラスミドをトランスフェクションし、SFM4CHO培地に懸濁し、細胞を適切に希釈した後、いくつかの96ウェルプレートにプレーティングした。48時間後、安定したトランスフェクタントを分離するために、ピューロマイシンを加えた。選択の開始から約12日後、トランスフェクタントの培養上清を抗体生産についてアッセイした。
【0090】
LS41K-Fc.S、及びLS41K-Fc.SLの発現は、上述のようにサンドイッチELISAによって測定した。以前に精製されたLS41K-Fc.S、又はLS41K-Fc.SLを標準として使用した。LS41K-Fc.S及びLS41K-Fc.SLのそれぞれを生産するCHO-K1安定トランスフェクタントを、SFM4CHOで細胞生存率が50%未満になるまで増殖させた。遠心分離とろ過の後、培養上清をプロテインAカラム(HiTrap MABSelect SuRe, GE Healthcare)にロードした。カラムをPBSで洗浄した後、0.1MのNaClを含む0.1Mのグリシン-HCl(pH3.0)でハイブリッドFc蛋白質を溶出した。溶出したハイブリッドFc蛋白質のバッファーを1M Tris-HCl(pH8.0)で中和した後、透析によってPBSに変えた。ハイブリッドFc蛋白質の濃度は、280nmでの吸光度を測定することにより決定した(1mg/ml=1 OD)。
【0091】
精製したLS41K-Fc.S及びLS41K-Fc.SLの天然フォームの分子サイズをSuperose 6 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を備えたAKTA Basic FPLCシステムを用いて、ゲルろ過により分析した。ランニングバッファーとしてPBSを使用した。精製されたLS41K-Fc.S、及びLS41K-Fc.SLのそれぞれに単一のドミナントピークが観察された。溶出パターンを分子サイズマーカーと比較することにより、天然フォームのLS41K-Fc.S、及びLS41K-Fc.SLのサイズは約600kDaと見積もられ、これは、ヒンジ、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4領域を含む本発明のジスルフィド結合ハイブリッドFcダイマーのヘキサマーのサイズと一致した。
【0092】
実施例3:マウスにおけるLS41K-Fc.Sの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)の解析
【0093】
50μlのPBS中の400μgのLS41K-Fc.Sの非存在下及び存在下での50μgのマウスモノクローナル抗ヒトCD122 IgG1抗体ABC2(それぞれ、グループA及びB)を、1グループあたり3匹のBalb/cマウスに心臓内投与した。投与1日前(Day-1)、投与後2時間(2HR)、1日後(Day1)、3日後(Day3)、5日後(Day5)、8日後(Day8)に、これらのマウスから血清サンプルを採取した。
【0094】
血清サンプル中のABC2の濃度は、上述のようにELISAによって測定した。各時点(Day1、Day3、Day5、及びDay8)のABC2濃度を、各マウスの2HRサンプルの濃度で正規化した。そのデータを図3にプロットした。グループA(ABC2単独)のABC2の平均相対濃度は、100%(2HR)、52.0%(Day1)、36.7%(Day3)、29.9%(Day5)、19.3%(Day8)であった。一方、グループB(ABC2及びLS41K-Fc.S)のABC2の平均濃度の割合は、100%(2HR)、39.1%(Day1)、20.1%(Day3)、14.9%(Day5)、及び8.8%(Day8)であった。LS41K-Fc.SをABC2と一緒に投与すると、ABC2を単独で投与した場合に比べて、マウス血清中のABC2濃度が急速に低下した。これは、LS41K-Fc.SのFcRnへのアビディティが高いため、リソソームにおけるABC2の異化が促進されたためと考えられる。
【0095】
血清サンプル中のマウスIgGの濃度は、上述のようにELISAによって測定した。各時点(2HR、Day1、Day3、Day5、及びDay8)におけるマウスIgG濃度を、各マウスのDay-1サンプルの濃度で正規化した。そのデータを図4にプロットした。グループA(ABC2単独)では、マウスIgGの平均相対濃度はほとんど変化しなかった。マウスIgG濃度の平均値は、100%(Day -1)、92.8%(2HR)、86.2%(Day 1)、90.7%(Day 3)、96.6%(Day 5)、96.8%(Day 8)であった。一方、グループB(ABC2及びLS41K-Fc.S)の平均相対IgG濃度は、Day 3にDay-1の3分の2まで低下し、Day 8には80%のレベルに戻った。平均相対IgG濃度は、100%(Day -1)、88.4%(2HR)、72.1%(Day 1)、67.6%(Day 3)、74.8%(Day 5)、80.4%(Day 8)であった。これらの結果は、LS41K-Fc.SがマウスIgGに対してFcRnへの結合を効率的に競合し、マウスIgGの循環へのリサイクルを阻害することを示している。
【0096】
血清サンプル中のLS41K-Fc.Sの濃度を、上述のようにELISAによって測定した。そのデータを図5にプロットした。LS41K-Fc.Sの平均濃度は、230μg/ml(2HR)、144μg/ml(Day 1)、76.4μg/ml(Day 3)、50.0μg/ml(Day 5)及び5.1μg/ml(Day 8)であった。Day 8に濃度が急激に低下したのは、ヒト由来のLS41K-Fc.Sに対するマウスの免疫反応によるものと考えられる。Day1、Day3、Day5のサンプルを用いて算出したマウス循環内のLS41K-Fc.Sの半減期は62時間であった。
【0097】
実施例4:マウスにおけるLS41K-Fc.SLのPK及びPD解析
【0098】
ヒトIgGのガンマ重鎖の428位(Eu番号付け)のメチオニン残基をロイシン残基(M428L)に置換すると、修飾IgG抗体の血清半減期が長くなることが知られている(Hinton et al., J. Biol. Chem. 279:6213-6219, 2004; Hinton et al., J. Immunol. 176:346-356, 2006)。循環内の半減期を増加させる試みとして、CH3の428位のメチオニン残基がロイシン残基で置換されているLS41K-Fc.SのLS41K-Fc.SLと称する変異体を作製した。
【0099】
50μlのPBSに50μgのABC2と400μgのLS41K-Fc.SLを混合したものを3匹のBalb/cマウス(グループC)に心臓内投与した。投与の1日前(Day -1)、投与後2時間(2HR)、1日後(Day 1)、3日後(Day 3)、5日後(Day 5)、8日後(Day 8)に、マウスから血清サンプルを採取した。この実験は、上述のグループA(ABC2単独)及びグループB(ABC2及びLS41K-Fc.S)と併せて行った。
【0100】
血清サンプル中のLS41K-Fc.SLの濃度は、上述のようにELISAで測定した。LS41K-Fc.SLの平均濃度は、279μg/ml(2HR)、86.0μg/ml(1日目)、20.1μg/ml(3日目)及び7.2μg/ml(5日目)であった。このデータを図5にプロットした。Day 8のサンプルの濃度は、検出限界未満であった。Day 5のLS41K-Fc.SL濃度は、グループCでは2HR時の濃度の2.6%であったのに対し、グループBではDay 5のLS41K-Fc.S濃度は2HR時の濃度の21.7%であった。Day1、Day3、及びDay5で計算したLS41K-Fc.SLの循環内の半減期は27時間であった。Fc領域にM428L変異が存在するにもかかわらず、LS41K-Fc.SLはLS41K-Fc.Sよりも迅速に循環からクリアされた。
【0101】
血清サンプル中のABC2の濃度は、上述のようにELISAによって測定した。各時点(Day1、Day3、Day5、及びDay8)のABC2濃度を、各マウスの2HRサンプル中の濃度で正規化した。そのデータを図3にプロットした。グループC(ABC2及びLS41K-Fc.SL)におけるABC2の平均相対濃度は、37.3%(Day1)、12.7%(Day3)、10.2%(Day5)、8.0%(Day8)であった。LS41K-Fc.SLは、LS41K-Fc.Sと比較して、Days 3及びDays 5に血清サンプル中のABC2の濃度をより劇的に減少させた。
【0102】
血清サンプル中のマウスIgGの濃度は、上述のようにELISAによって測定した。各時点(2HR、Day1、Day3、Day5、及びDay8)のマウスIgG濃度を、各マウスのDay-1サンプルの濃度で正規化した。そのデータを図4にプロットした。マウスIgGの平均相対濃度は、87.2%(2HR)、68.6%(Day 1)、55.3%(Day 3)、67.1%(Day 5)、118.8%(Day 8)であった。グループCのLS41K-Fc.SLにより、Day 3のマウスIgG濃度は投与前の濃度(Day-1)のほぼ半分に達した。
【0103】
LS41K-Fc.SLにM428L変異が存在すると、親のLS41K-Fc.Sと比較して、血清半減期が予想されたように増加するのではなく、減少する結果となった。また、LS41K-Fc.SLは、LS41K-Fc.Sと比較して、循環内のABC2及びマウスIgGの濃度を低下させる機能が高いことがわかった。
【0104】
実施例5:LS41K-Fc.SLの用量依存性
50μgのマウスモノクローナルIgG1抗体ABC2と100μg(グループD)又は400μg(グループE)のLS41K-Fc.SLを、1グループあたり3匹のBalb/cマウスに心臓内投与した。投与から2時間後(2HR)、1日後(Day1)、3日後(Day3)、5日後(Day5)、8日後(Day8)にこれらのマウスから血清を採取した。血清サンプル中のABC2、マウスIgG及びLS41K-Fc.SLの各濃度は、上述のようにELISAで測定した。
【0105】
各時点(Day1、Day3、Day5、及びDay8)のABC2濃度を、各マウスの2HRサンプルの濃度で正規化した。そのデータを図6にプロットした。100μgのLS41K-Fc.SLを用いたABC2の平均相対濃度(グループD)は、2HRで100%、Day 1で34.0%、Day 3で19.6%、Day 5で16.4%、Day 8で12.3%であった。400μgのLS41K-Fc.SLを用いたABC2の平均濃度(グループE)は、2HRで100%、Day 1で27.2%、Day 3で10.7%、Day 5で8.0%、Day 8で5.5%であった。血清中のABC2濃度の低下は、LS41K-Fc.SLの投与量に依存していた.
400μgのLS41K-Fc.SLの投与(グループE)は、100μgのLS41K-Fc.SLの投与(グループD)よりも迅速に循環内のABC2の濃度を低下させた。
【0106】
血清サンプル中のマウスIgGの濃度は、上述のようにELISAによって測定した。各時点(Day1、Day3、Day5、及びDay8)のマウスIgG濃度を、各マウスの2HRサンプルの濃度で正規化した。そのデータを図7にプロットした。グループDの平均相対マウスIgG濃度は、2HRで100%、Day 1で83.6%、Day 3で73.6%、Day 5で76.5%、Day 8で92.8%であった。グループEの平均相対マウスIgG濃度は、2HRでに100%、Day 1で74.8%、Day 3で61.4%、Day 5で63.6%、Day 8で88.3%であった。マウスIgG濃度は、グループD及びEともにDay1、Day3で低下し、Day5から次第に上昇し始めた。マウスIgG濃度は、グループD(100μgのLS41K-Fc.SL)よりもグループE(400μgのLS41K-Fc.SL)で、Days 1、3及び5に急激に減少した。
【0107】
図8は血清サンプル中のLS41K-Fc.SLの濃度を示す。グループDのLS41K-Fc.SLの平均濃度は、2HRで72.8μg/ml、Day 1で21.9μg/ml、Day 3で5.3μg/ml、Day 5で2.1μg/mlであった。グループEのLS41K-Fc.SLの平均濃度は、2HRで311.3μg/ml、Day 1で97.4μg/ml、Day 3で23.8μg/ml、Day 5で9.2μg/mlであった。Day 8のLS41K-Fc.SLの濃度は、両投与グループともに検出限界未満であった。Day1、Day3及びDay5のデータを用いて算出したLS41K-Fc.SLの平均血清半減期は、100μg及び400μg投与群ともに28時間であった。
【0108】
実施例6:シアル化を強化するためのFc変異
【0109】
IgG Fc領域の241位及び243位(Eu番号付け)のそれぞれにおけるフェニルアラニン残基のアラニン残基へのアミノ酸置換(それぞれF241A及びF243A)は、IgG分子及びFc蛋白質におけるN-結合型グリカンのシアル化を増強することが示されている(Yu et al., J. Am. Chem. Soc. 135:9723-9732, 2013; Ahmed et al., J. Mol. Biol. 426: 3166-3179; Fiebiger et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 112: E2385-E2394, 2015; Mimura et al., J. Immunol. Methods 428:30-36, 2016)。
【0110】
LS41K-Fc.SLの変異体を、pVF103のヒトガンマ-1鎖のCH2の241位のフェニルアラニン残基(Eu番号付け)をアラニン残基に置換してpVF104を生成することにより作製した。pVF104にコードされている成熟ハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列(LS41K-Fc.SL. F241A)(人工ペンタペプチド、及びヒンジの一部、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4で構成される)は、EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVALFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号15)である。
【0111】
LS41K-Fc.SLの別の変異体は、pVF103のヒトガンマ-1鎖のCH2の243位のフェニルアラニン残基をアラニン残基に置換してpVF105することにより作製した。pVF105にコードされている成熟ハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列(LS41K-Fc.SL. F243A)(人工ペンタペプチド、ヒンジの一部、CH2、CH3、Cμ3及びCμ4で構成される)は、EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLAPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号16)である。
【0112】
実施例7:ベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6GAL1)及びベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(B4GALT1)の発現
【0113】
哺乳類細胞で発現するIgG分子はシアル化が不十分であるが(Wang et al. Biotech. Bioeng. 2018 115:1378-1393; Friedman et al. 1988 Cancer Lett. 43:79)、シアル化IVIGが抗炎症作用の原因であると報告されている(Anthony et al., J. Clin. Immunol. 30:9-14, 2010; Seite et al., Arthritis Rheum. 67:595-603, 2015)。末端シアル酸は、アルファ-2,3-、アルファ-2,6-、又はアルファ-2,8-結合でガラクトースに結合できる。CD22及びDC-SIGNは、α-2,6結合のシアル酸にのみ結合する(Powell et al., J. Biol. Chem. 13:7523-7532, 1995; Anthony et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 105:9571-19578, 2008)。2つのベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6GAL1及びST6GAL2)は、哺乳類細胞においてα-2,6結合シアル酸をN-結合カルボキシレートの末端ガラクトースに付着させる役割を担っている。
【0114】
Raymondら(mAbs 7:571-583, 2015)は、CHO-K1細胞における組換えST6GAL1の発現が、アルファ-2,6-シアリル化組換えヒトIgG1抗体のレベルを増加させることを報告した。
【0115】
N-結合型グリカンの末端N-アセチルグルコサミンへのガラクトース分子の付加を触媒する組換えB4GALT1(ベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1)と組換えST6GAL1をCHO-K1細胞で共発現させると、IgG分子のα-2,6シアリル化のレベルがさらに上昇した。
【0116】
ヒトST6GAL1及びB4GALT1のそれぞれをコードする遺伝子は、SpeI-EagIフラグメントとしてSynbio Technologies(Monmouth Junction, NJ)で合成した。ヒトST6GAL1(配列番号17)の発現ベクター(pFCm512;図9A)は、(i)LS41A-FcをコードするSpeI-EagIフラグメントをヒトST6GAL1をコードする合成遺伝子に置き換えたこと、及び(ii)ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(puro)をブラスチジン-Sデアミナーゼ遺伝子(図中Bsr)に置き換えたことを除いて、pVF101(図1)と同じ構造を有する。また、ヒトB4GALT1(配列番号18)の別の発現ベクター(pFCm513;図9B)は、(i)LS41A-FcをコードするSpeI-EagIフラグメントをヒトB4GALT1をコードする合成遺伝子に置き換え、及び(ii)ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(puro)をストレプトアロテイカスヒンドゥスタヌスのブレオマイシン耐性遺伝子(図中Zeo)に置き換えたことを除いて、pVF101と同じ構造を有する。
【0117】
実施例8:CD22の関与
【0118】
発現ベクターpVF103、pVF104及びpVF105のそれぞれをHEK293細胞に一過性にトランスフェクトして、ポリエチレンイミン法により、LS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A及びLS41K-Fc.SL.F243Aをそれぞれ発現させる(Durocher et al. Nucl. Acids Res. 30:e9, 2002)。また、これら3つの発現ベクターのそれぞれを(i)pFCm512、又は(ii)pFCm512及びpFCm513とHEK293細胞にコトランスフェクションする。
【0119】
このように発現させたLS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、及びLS41K-Fc.SL.F243AのCD22への結合をヒトバーキットリンパ腫細胞株Ramos及びRajiを用いてフローサイトメトリーで解析する。CD22の架橋を介してRamos細胞の生存率を低下させるLS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、及びLS41K-Fc.SL.F243Aの活性をSeiteら(Blood 116:1698-1704, 2010)に記載された方法によって分析する。
【0120】
実施例9:非ヒト霊長類におけるLS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A及びLS41K-Fc.SL.F243AのPK及びPD解析
【0121】
ヒト化抗CD122 IgG1抗体HuABC2(米国特許9028830)を、3匹のカニクイザルのグループに5mg/kgで静脈内投与する。また、HuABC2と20mg/kgのLS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、LS41K-Fc.SL.F243Aのいずれかを別の3匹のカニクイザルに静脈内投与する。これらのサルから、投与の1日前(Day -1)、投与後2時間(2HR)、1日後(Day 1)、4日後(Day 4)、7日後(Day 7)、10日後(Day 10)、14日後(Day 14)に血清サンプルを採取する。
【0122】
血清サンプル中のHuABC2の濃度は、(1)ELISAプレートのコートにJN Biosciencesで生成された6つのヒスチジン残基に融合したヒトCD122細胞外領域(CD122-His;配列番号14)を使用すること、(2)結合した抗体の検出にHRP標識ヤギ抗ヒトκ鎖抗体を使用すること、及び(3)LS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、及びLS41K-Fc.SL.F243Aがカニクイザルの循環からHuABC2を迅速に除去する能力を有することを示すために標準サンプルとしてHuABC2を使用することを除いて、上記のようにELISAによって測定する。
【0123】
血清サンプル中の総カニクイザルIgGの濃度は、(1)コートにヤギ抗カニクイザルIgG Fcγ鎖特異的抗体を使用すること、(2)結合した抗体の検出にHRP標識ヤギ抗カニクイザルカッパ鎖抗体を使用すること、及びLS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、及びLS41K-Fc.SL.F243Aがカニクイザルの循環内のIgG濃度を低下させる能力を有することを示すために標準サンプルとしてカニクイザルIgGを使用することを除いて、上記のようにELISAで測定する。
【0124】
LS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、又はLS41K-Fc.SL.F243Aを投与したカニクイザルからB細胞を単離する。LS41K-Fc.SL、LS41K-Fc.SL.F241A、及びLS41K-Fc.SL.F243Aの免疫反応を抑制する能力を示すために、抗エンドトキシン抗体の生産を分析することにより、エンドトキシンなどの抗原に対するB細胞の反応活性をモニターする。また、表面にCD40を結合することによるB細胞の免疫反応をフローサイトメトリーで解析し、表面のCD95の発現レベルを測定する。
【0125】
実施例10:LS41K-Fc.SL.F243Aのシアリル化レベル
【0126】
CHO-K1細胞を、上述のようにエレクトロポレーションにより、ヒトST6GAL1を発現するpFCm512で安定的にトランスフェクトした。次に、ブラスチジン存在下での選択により単離したST6GAL1を発現するCHO-K1安定トランスフェクタント(CHO-K1/ST6GAL1)を、LS41K-Fc.SL.F243Aを発現するpVF105での安定トランスフェクションに使用した。LS41K-Fc.SL.F243Aを発現するプロマイシン耐性のCHO-K1/ST6GAL1細胞を、上述のようにSFM4CHO培地で増殖させた。LS41K-Fc.SL.F243Aを上述のようにプロテインAアフィニティカラムを用いて精製した。精製された LS41K-Fc.SL.F243Aは、Superose 6カラムを用いたゲル濾過分析において、予想されるサイズ(約600kDa)の単一のドミナントピークを示した。
【0127】
CHO-K1/ST6GAL1細胞から精製したLS41K-Fc.SL.F243Aのシアリル化をEnzyChrom Sialic Acid Assay Kit(BioAssay Systems, Hayward, CA)を用いて解析した。このアッセイでは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であるハーセプチン(R)(トラスツズマブ)を参照として使用した。各LS41K-Fc.SL.F243A分子に結合しているシアル酸の平均数は21.3個であった。各ハーセプチンに結合したシアル酸の平均数は0.14であった。
【0128】
実施例11:FcRnへの結合
【0129】
ヒトFcRnを細胞表面に発現させるために、新しいベクターpFCm239を構築した。ベクターpFCm239は、(1) Spe-EagIフラグメントを、N末端からC末端に向かって、ヒトFcRnのシグナルペプチド及び細胞外領域(配列番号19)、ポリペプチドリンカーThr-Gly-Gly、FLAGポリペプチド(配列番号20)、ポリペプチドリンカーGly-Gly-Gly、ヒトCD55のGPIアンカレッジシグナル(配列番号21)をコードするDNAフラグメント(hFcRn-FLAG-GPI;配列番号22)で置換したこと、及び(2)ミコフェノール酸の存在下でトランスフェクタントを選択するために、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(puro)を大腸菌キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼで置換したことを除いて、pVF101(図1)と同じ構造を有する。
【0130】
発現ベクターpFCm240は、Spe-EagIフラグメントを全長ヒトβ2ミクログロブリンをコードするDNAフラグメント(配列番号23)で置換したことを除いて、pVF101と同じ構造を有する。
【0131】
マウスミエローマ細胞株NS0は、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むDME培地で維持した。NS0細胞をエレクトロポレーション法によりpFCm239で安定的にトランスフェクトし(Bebbington et al. Bio/Technology 10:169-175, 1992)、10%FBS、1μg/mlミコフェノール酸、HT培地サプリメント(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)、0.25mg/mlキサンチンを含むDME培地で選択した後、ラット抗FLAGペプチド抗体L5(BioLegend, San Diego, CA)とフィコエリトリン標識ヤギ抗ラットIgG抗体(SouthernBiotech, Birmingham, AL)を用いてフローサイトメトリーにより表面上のhFcRn-FLAG-GPIの発現を検査した。FcRn-FLAG-GPIを発現しているNS0細胞には、さらにエレクトロポレーション法によりpFCm240を安定的にトランスフェクトした。ピューロマイシン耐性のNS0トランスフェクタントは、マウス抗ヒトβ2ミクログロブリン抗体2M2(BioLegend)及びフィコエリスリン標識ヤギ抗マウスIgG抗体(SouthernBiotech)を用いたフローサイトメトリーにより、ヒトβ2ミクログロブリンの発現について試験した。hFcRn-FLAG-GPIとヒトβ2ミクログロブリンを発現するNS0トランスフェクタント細胞株をNS0/hFcRnと命名した。ヒトIgG抗体はpH6.0でNS0/hFcRnに結合した。
【0132】
発現ベクターpFCm380は、Spe-EagIフラグメントを、N末端からC末端まで、マウスFcRnのシグナルペプチド及び細胞外領域コードするDNAフラグメント(配列番号24)、ポリペプチドリンカーThr-Gly-Gly、FLAGポリペプチド(配列番号20)、ポリペプチドリンカーGly-Gly-Gly、及びヒトCD55のGPIアンカレッジシグナル(配列番号21)をコードするDNAフラグメント(mFcRn-FLAG-GPI;配列番号25)で置換したことを除いて、pVF101(図1)と同じ構造を有する。エレクトロポレーションによりNS0細胞をpFCm380で安定的にトランスフェクトした。ピューロマイシン耐性のNS0細胞を、ラット抗FLAGペプチド抗体L5及びフィコエリトリン標識ヤギ抗ラットIgG抗体を用いたフローサイトメトリーにより、表面上のmFcRn-FLAG-GPIの発現について試験した。内因性マウスβ2ミクログロブリンに結合したmFcRn-FLAG-GPIを表面に発現しているNS0トランスフェクタント細胞株をNS0/mFcRnと命名した。マウスIgG抗体はpH6.0でNS0/mFcRn細胞に結合した。
【0133】
アービタックス(セツキシマブ;マウス-ヒトキメラ抗EGFR IgG1抗体)及びLS41K-Fc.SLのNS0/hFcRn細胞への結合は、0.5%BSA及び0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS中で、pH7.5(FACS Buffer(pH7.5))及びpH6.0(FACS Buffer(pH6.0))で試験した。FcRn結合については、アービタックスとLS41K-SLのそれぞれを2,000ng/ml、400ng/ml、80ng/mlで、200μlのFACS Buffer(pH7.5)又はFACS Buffer(pH6.0)中で約10万個のNS0/hFcRn細胞とともに室温で30分間インキュベートした。洗浄後、NS0/hFcRn細胞を、最初の結合工程で使用したのと同じpHのFACS Buffer中で、1μg/mlのフィコエリスリン標識ドンキー抗ヒトIgG F(ab')2抗体(Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)とともに室温で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、最初の結合工程で使用したのと同じpHのFACS Bufferで懸濁した後、フローサイトメトリーに供した。
【0134】
アービタックスはpH6.0で用量依存的にヒトFcRnとの結合を示した。アービタックスのヒトFcRnへの結合は、pH6.0でのFcRn結合と比較して、pH7.5では著しく減少した(図11A)。これは、ヒトFcRnに対するヒトIgG抗体の結合がpH依存性であるという報告された観察結果と一致している(pH6.0では強く結合し、pH7.5では少ししか結合しない(Hinton et al. 2006 J. Immunol. 176: 346-356))。対照的に、本発明のハイブリッドFc融合蛋白質(LS41K-Fc.SL)は、pH6.0と7.5の両方で用量依存的にヒトFcRnに結合した(Fig.11B)。LS41K-Fc.SLのヒトFcRnへの結合は、pH6.0とpH7.5の間で大きな違いは見られなかった。
【0135】
アービタックス及びLS41K-Fc.SLのマウスFcRnへの結合についても、上述のNS0/mFcRn細胞を用いてpH6.0及びpH7.5で試験した。アービタックスは、pH6.0では用量依存的にマウスFcRnに結合したが、pH7.5ではほとんど検出されなかった(図11C)。LS41K-Fc.SLは、pH6.0とpH7.5の両方でマウスFcRnに用量依存的に結合した(Fig.11D)。LS41K-Fc.SLのマウスFcRnへの結合は、pH6.0とpH7.5の間で大きな違いは見られなかった。
【0136】
実施例12:ヒトIgG2、IgG3及びIgG4 Fc領域を含むハイブリッドFc蛋白質
【0137】
LS41K-Fc.SLをコードするpVF103内のヒンジ、CH2及びCH3領域のコード配列を、それぞれヒトIgG2のヒンジ、CH2及びCH3領域のコード配列で置き換えて、pVF103-G2を構築する。pVF103-G2にコードされているヒトIgG2ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列は、ERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTWVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFCVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号26)である。
【0138】
pVF103のヒンジ、CH2及びCH3領域のコード配列を、それぞれヒトIgG3のヒンジ、CH2及びCH3領域の最後の繰り返しのコード配列に置き換えて、pVF103-G3を構築する。pVF103-G3にコードされているヒトIgG3ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列は、EPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCPVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号27)である。
【0139】
pVF103のヒンジ、CH2及びCH3領域のコード配列を、それぞれヒトIgG4のヒンジ、CH2及びCH3領域のコード配列で置き換えて、pVF103-G4を構築する。pVF103-G4にコードされているヒトIgG4ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列は、ESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVRVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPEDNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号28)である。

配列表
配列番号1

pVF101にコードされるLS41A-Fcに使用されるシグナルペプチドのアミノ酸配列

MGWSWIFFFLLSGTASVLS

配列番号2

pVF101にコードされるヒトガンマ-1重鎖のヒンジ領域のアミノ酸配列

EPKSCDKTHTCPPCP

配列番号3

pVF101にコードされるヒトガンマ-1重鎖のCH2領域のアミノ酸配列

APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK

配列番号4

pVF101にコードされるヒトガンマ-1重鎖のCH3領域のアミノ酸配列

GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号5

pVF101にコードされるヒトmu重鎖のCμ3領域のアミノ酸配列

DQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPK

配列番号6

pVF101にコードされるヒトmu重鎖のCμ4領域のアミノ酸配列

GVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号7

pVF101にコードされる成熟LS41A-Fc蛋白質のアミノ酸配列

EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号8

pVF102にコードされるヒンジ領域の一部と融合したペンタペプチドのアミノ酸配列

EPKSS

配列番号9

pVF102にコードされるヒトガンマ-1重鎖の改変CH2領域のアミノ酸配列

APEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK

配列番号10

pVF102にコードされるヒトmu重鎖のCμ3領域のアミノ酸配列

DQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPK

配列番号11

pVF102にコードされる成熟LS41K-Fc.S蛋白質のアミノ酸配列

EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号12

pVF103にコードされるヒトガンマ-1重鎖の改変CH3領域のアミノ酸配列

GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号13

pVF103にコードされる成熟LS41K-Fc.SL蛋白質のアミノ酸配列

EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号14

C末端で6つのヒスチジン残基と融合したヒトCD122細胞外領域の成熟フォームのアミノ酸配列(CD122-His)

SAAVNGTSQFTCFYNSRANISCVWSQDGALQDTSCQVHAWPDRRRWNQTCELLPVSQASWACNLILGAPDSQKLTTVDIVTLRVLCREGVRWRVMAIQDFKPFENLRLMAPISLQVVHVETHRCNISWEISQASHYFERHLEFEARTLSPGHTWEEAPLLTLKQKQEWICLETLTPDTQYEFQVRVKPLQGEFTTWSPWSQPLAFRTKPAALGKDTTGGGAHHHHHH

配列番号15

pVF104にコードされる成熟LS41K-Fc.SL.F241A蛋白質のアミノ酸配列

EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVALFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号16

pVF105にコードされる成熟LS41K-Fc.SL.F243A蛋白質のアミノ酸配列

EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLAPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号17

pFCm512にコードされるヒトベータ-ガラクトシドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1(ST6GAL1)のアミノ酸配列

MIHTNLKKKFSCCVLVFLLFAVICVWKEKKKGSYYDSFKLQTKEFQVLKSLGKLAMGSDSQSVSSSSTQDPHRGRQTLGSLRGLAKAKPEASFQVWNKDSSSKNLIPRLQKIWKNYLSMNKYKVSYKGPGPGIKFSAEALRCHLRDHVNVSMVEVTDFPFNTSEWEGYLPKESIRTKAGPWGRCAVVSSAGSLKSSQLGREIDDHDAVLRFNGAPTANFQQDVGTKTTIRLMNSQLVTTEKRFLKDSLYNEGILIVWDPSVYHSDIPKWYQNPDYNFFNNYKTYRKLHPNQPFYILKPQMPWELWDILQEISPEEIQPNPPSSGMLGIIIMMTLCDQVDIYEFLPSKRKTDVCYYYQKFFDSACTMGAYHPLLYEKNLVKHLNQGTDEDIYLLGKATLPGFRTIHC

配列番号18

pFCm513にコードされるヒトベータ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(B4GALT1)のアミノ酸配列

MRLREPLLSGSAAMPGASLQRACRLLVAVCALHLGVTLVYYLAGRDLSRLPQLVGVSTPLQGGSNSAAAIGQSSGELRTGGARPPPPLGASSQPRPGGDSSPVVDSGPGPASNLTSVPVPHTTALSLPACPEESPLLVGPMLIEFNMPVDLELVAKQNPNVKMGGRYAPRDCVSPHKVAIIIPFRNRQEHLKYWLYYLHPVLQRQQLDYGIYVINQAGDTIFNRAKLLNVGFQEALKDYDYTCFVFSDVDLIPMNDHNAYRCFSQPRHISVAMDKFGFSLPYVQYFGGVSALSKQQFLTINGFPNNYWGWGGEDDDIFNRLVFRGMSISRPNAVVGRCRMIRHSRDKKNEPNPQRFDRIAHTKETMLSDGLNSLTYQVLDVQRYPLYTQITVDIGTPS

配列番号 19

ヒトFcRnのシグナルペプチド及び細胞外領域のアミノ酸配列

MGVPRPQPWALGLLLFLLPGSLGAESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSS

配列番号20

FLAGペプチドのアミノ酸配列

DYKDDDDK

配列番号21

ヒトCD55のGPIアンカレッジシグナルのアミノ酸配列

PNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT

配列番号22

pFCm239にコードされるhFcRn-FLAG-GPIのアミノ酸配列

MGVPRPQPWALGLLLFLLPGSLGAESHLSLLYHLTAVSSPAPGTPAFWVSGWLGPQQYLSYNSLRGEAEPCGAWVWENQVSWYWEKETTDLRIKEKLFLEAFKALGGKGPYTLQGLLGCELGPDNTSVPTAKFALNGEEFMNFDLKQGTWGGDWPEALAISQRWQQQDKAANKELTFLLFSCPHRLREHLERGRGNLEWKEPPSMRLKARPSSPGFSVLTCSAFSFYPPELQLRFLRNGLAAGTGQGDFGPNSDGSFHASSSLTVKSGDEHHYCCIVQHAGLAQPLRVELESPAKSSTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT

配列番号23

ヒトβ2ミクログロブリンのアミノ酸配列

MSRSVALAVLALLSLSGLEAIQRTPKIQVYSRHPAENGKSNFLNCYVSGFHPSDIEVDLLKNGERIEKVEHSDLSFSKDWSFYLLYYTEFTPTEKDEYACRVNHVTLSQPKIVKWDRDM

配列番号24

マウスFcRnのシグナルペプチド及び細胞外領域のアミノ酸配列

MGMPLPWALSLLLVLLPQTWGSETRPPLMYHLTAVSNPSTGLPSFWATGWLGPQQYLTYNSLRQEADPCGAWMWENQVSWYWEKETTDLKSKEQLFLEALKTLEKILNGTYTLQGLLGCELASDNSSVPTAVFALNGEEFMKFNPRIGNWTGEWPETEIVANLWMKQPDAARKESEFLLNSCPERLLGHLERGRRNLEWKEPPSMRLKARPGNSGSSVLTCAAFSFYPPELKFRFLRNGLASGSGNCSTGPNGDGSFHAWSLLEVKRGDEHHYQCQVEHEGLAQPLTVDLDSSARSS

配列番号25

pFCm380にコードされるmFcRn-FLAG-GPIのアミノ酸配列

MGMPLPWALSLLLVLLPQTWGSETRPPLMYHLTAVSNPSTGLPSFWATGWLGPQQYLTYNSLRQEADPCGAWMWENQVSWYWEKETTDLKSKEQLFLEALKTLEKILNGTYTLQGLLGCELASDNSSVPTAVFALNGEEFMKFNPRIGNWTGEWPETEIVANLWMKQPDAARKESEFLLNSCPERLLGHLERGRRNLEWKEPPSMRLKARPGNSGSSVLTCAAFSFYPPELKFRFLRNGLASGSGNCSTGPNGDGSFHAWSLLEVKRGDEHHYQCQVEHEGLAQPLTVDLDSSARSSTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT

配列番号26

ヒトIgG2-ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列

ERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTWVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFCVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号27

ヒトIgG3-ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列

EPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCPVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY

配列番号28

ヒトIgG4-ベースのハイブリッドFc蛋白質のアミノ酸配列

ESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVRVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPEDNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLASSLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A-B】
図10A
図10B
図10C
図11A-D】
【配列表】
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