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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】施解錠システム、及び施解錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
E05B49/00 R
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545449
(86)(22)【出願日】2022-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2022028545
(87)【国際公開番号】W WO2024023867
(87)【国際公開日】2024-02-01
【審査請求日】2022-07-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-03
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506359288
【氏名又は名称】株式会社アスタリスク
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規之
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】居島 一仁
【審判官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】特許第6991875(JP,B2)
【文献】特開2021-127618(JP,A)
【文献】特許第5686269(JP,B1)
【文献】特開2021-67073(JP,A)
【文献】特開2002-288750(JP,A)
【文献】特開2002-342862(JP,A)
【文献】特許第5584495(JP,B2)
【文献】特許第5520660(JP,B2)
【文献】特開2018-71280(JP,A)
【文献】特開2001-350424(JP,A)
【文献】特開2020-153204(JP,A)
【文献】特開2021-179084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの室内側に配置され、当該室内側に設けられたサムターンに取り付けられ、当該サムターンを操作する施解錠装置と、
前記施解錠装置と対応付けて設置され、当該施解錠装置と通信可能であり、前記ドア前に位置する人物の生体情報を取得する取得端末と、
前記取得端末と通信可能であり、当該取得端末から受信した前記生体情報に基づいて前記人物を特定し、前記取得端末に対応付けて管理された人物リストと当該特定された人物を照合することで、当該人物の前記ドアに対する出入資格を認証し、認証結果を前記取得端末に送信するサーバと、
を備え、
前記施解錠装置は、前記認証結果を受信した前記取得端末からの前記サムターンを操作するための情報に基づいて、前記サムターンを操作する、施解錠システム。
【請求項2】
前記取得端末は、前記人物のタッチ入力を受け付ける入力受付部を有し、
前記入力受付部に対するタッチ入力があった場合に、前記生体情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項3】
前記取得端末は、前記ドア前を撮像し、画像を生成する撮像部を有し、
前記生成された画像中に人物を検出した場合に、前記生体情報を取得することを特徴とする、請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項4】
前記取得端末は、前記生体情報を取得する際に省電力モードから復帰することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の施解錠システム。
【請求項5】
前記取得端末は、
設置姿勢を検知する姿勢検知部と、
アラームを発生させるアラーム発生部と、
を有し、
前記アラーム発生部は、前記設置姿勢が変化した場合に前記アラームを発生させることを特徴とする、請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項6】
前記施解錠装置と前記取得端末は、Bluetooth Low Energy通信方式を用いて、前記サムターンを操作するための情報を送受信することを特徴とする、請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項7】
前記生体情報は、前記撮像部によって撮像された前記人物の顔画像に基づいて生成されることを特徴とする、請求項3に記載の施解錠システム。
【請求項8】
前記取得端末はスマートデバイスであることを特徴とする、請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項9】
請求項1の施解錠システムが有する施解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サムターンを介してドアのロックを施解錠する施解錠システム、及び施解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅やオフィスのドアに設けられたロックを、物理的な鍵を用いずに、電気的に施錠または解錠(以下、「施解錠」という。)する電気錠が用いられつつある。例えば、特許文献1に記載の施解錠システムは、ドアの外側面に設けられる外部筐体と、ドアに埋設される鍵ケースと、を備えており、外部筐体に対して入力されたキー情報に基づいて、鍵ケースのデッドボルトが電気的に開閉するよう構成されている。
【0003】
上記の施解錠システムによれば、住宅やオフィスに出入りする人物は、キー情報を外部筐体に入力することでドアを施解錠できるので、物理的な鍵を携帯する必要がない。しかしながら、既設のドアについては、物理的な鍵の施解錠に対応した鍵ケースやサムターンなどの部品が設けられているので、特許文献1の施解錠システムを導入するためには、既設部品を取り外す工事が必要となる。
【0004】
一方で、既設のドアに用いられる施解錠制御装置が特許文献2に記載されている。当該施解錠制御装置は、サムターンに被さるようにドアの内側面に取り付けられる装置であり、サムターンのノブを挟持する挟持構造と、利用者のスマートフォンによる遠隔操作に応じて挟持構造を回転駆動する制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6935965号公報
【文献】特許第7071017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、上記特許文献2に記載されているような施解錠制御装置が登場しているが、当該施解錠制御装置はユーザのスマートフォンと連動することで施解錠を制御するものである。具体的には、ユーザが所有するスマートフォンには、予め、施解錠制御装置と連動するためのアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションを通じてキー情報が施解錠制御装置に送信される構成となっている。施解錠制御装置は、受信したキー情報の認証に成功した場合にサムターンを回転操作する。
【0007】
このように施解錠制御装置とユーザのスマートフォンが連動するシステムは、物理的な鍵の代わりにスマートフォンを用いるものであるため、ユーザは、外出する際には、常にスマートフォンを携帯しておく必要がある。仮に、スマートフォンを室内に置き忘れた場合や、そもそも、ユーザがスマートフォンを所有していない場合には、当該施錠制御装置を利用してロックを施解錠することが不可能となる。
【0008】
そこで、本発明は、既設のドアに対して物理的な鍵を必要とせず、且つ、スマートフォンを所有していないユーザでも施解錠が可能な施解錠システム、及び施解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の施解錠システムは、ドア前に位置する人物の生体情報を取得するように設置された取得端末と、前記ドアの室内側に設けられたサムターンに取り付けられる施解錠装置と、前記人物の生体情報に基づいて、前記ドアに対する当該人物の出入資格を認証するサーバと、を備え、前記施解錠装置は、前記認証結果に応じて前記サムターンを操作することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記取得端末が、前記人物のタッチ入力を受け付ける入力受付部を有し、前記入力受付部に対するタッチ入力があった場合に、前記生体情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記取得端末が、前記ドア前を撮像し、画像を生成する撮像部を有し、前記生成された画像中に人物を検出した場合に、前記生体情報を取得することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記取得端末が、前記生体情報を取得する際に省電力モードから復帰することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記取得端末が、設置姿勢を検知する姿勢検知部と、アラームを発生させるアラーム発生部と、を有し、前記アラーム発生部は、前記設置姿勢が変化した場合に前記アラームを発生させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記施解錠装置と前記取得端末が、Bluetooth Low Energy通信方式を用いて、前記認証結果に基づく前記サムターンの操作情報を送受信することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記生体情報は、前記撮像部によって撮像された前記人物の顔画像に基づいて生成されることを特徴とする。
【0016】
また、前記取得端末はスマートデバイスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、既設のドアに対して物理的な鍵を必要とせず、且つ、スマートフォンを所有していないユーザでも施解錠が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る施解錠システムが設置されたドアを室外から見た図
図2】施解錠システムが設置されたドアを室内から見た図
図3】施解錠システムを構成するハードウエアの全体図
図4】(a)施解錠システムが備えるスマートデバイスのハードウエア構成図、(b)施解錠システムが備える施解錠装置のハードウエア構成図、(c)施解錠システムが備えるサーバのハードウエア構成図
図5】施解錠システムが設置されたドアの側面図
図6】(a)上記サーバが有するユーザテーブル、(b)上記サーバが有する照合リスト、(c)上記サーバが有する設置情報テーブル
図7】施解錠システムのメインフローを示す図
図8】施解錠システムの登録処理を示す図
図9】施解錠システムの施解錠処理を示す図
図10】施解錠システムの追跡処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
【0020】
以下、本発明の第1実施形態に係る施解錠システムを、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1乃至図3に示すように、第1実施形態に係る施解錠システム100は、住宅やオフィスビルのドアDのロックを、当該ドアDに出入りする人物の生体情報に基づいて、施錠及び/又は解錠するシステムである。この施解錠システム100は、ドアDa,Db,Dcの室外に設置された室外端末である複数のスマートデバイス10a,10b,10cと、インターネット通信回線などのネットワークを介して複数のスマートデバイス10a,10b,10cの各々と通信可能に設けられたサーバ30と、各ドアDa,Db,Dcの室内にあるサムターンSに設置された複数の施解錠装置20a,20b,20cと、を備えている。なお、室外に設置されている態様とは、スマートデバイス10の全部または一部がドアDの外側に露出している態様である。
【0022】
<スマートデバイスの構成>
【0023】
スマートデバイス10は、生体情報を取得する取得端末として機能するものであり、ドアDの外側に設置される公知のスマートホンやタブレット端末である。スマートデバイス10の設置態様については特に限定されないが、例えば、図1に示すように、スマートデバイス10aは、その背面に設けられた両面テープによって、ドアDaの外側面に接着されている。スマートデバイス10bは、その背面に設けられた両面テープによって、ドアDbの近傍の壁面に接着されている。スマートデバイス10cは、ドアDc前に設けられた支柱の上部に設けられたホルダ(不図示)に保持されている。なお、スマートデバイス10a,10bは、その正面が外側に向かって露出するようにドアDaやドアDbの近傍の壁の内部に埋め込まれても構わない。
【0024】
スマートデバイス10は、図4(a)に示すように、タッチパネルディスプレイ11、カメラモジュール12、近距離無線通信モジュール13、ネットワーク通信モジュール14、及びGPSモジュール17を備えている。これらは、スマートデバイス10が有するCPU15に対して電気的に接続されており、CPU15によって制御される。
【0025】
タッチパネルディスプレイ11は、スマートデバイス10の正面の略全面に配置されており、CPU15によって生成された情報をドアD前の人物に対して表示する表示部として機能する。また、タッチパネルディスプレイ11は、ドアD前の人物からのタッチ入力を受け付けて当該入力をCPU15へと入力する入力受付部として機能する。
【0026】
カメラモジュール12は、スマートデバイス10の正面に配置されており、レンズユニットを介してドアD前を撮像するイメージセンサを備えている。当該カメラモジュール12は、ドアD前にいる人物を撮像して、画像を生成する撮像部として機能するものであり、生成した画像をCPU15へと入力する。
【0027】
ネットワーク通信モジュール14は、インターネット通信回線などのネットワークに接続し、当該ネットワーク介してサーバ30に対して情報を送受信するネットワーク通信部として機能するモジュールである。当該ネットワーク通信モジュールは、室内に設けられたLANに対して無線で接続するWi-Fiモジュールや、SIMカードに記録された加入者情報に基づいて通信事業者が提供する移動体通信網に接続する通信モジュールである。本実施形態では、ネットワーク通信モジュールは、室内のLANに対して優先的に接続し、室内LANに対して接続できない場合に移動体通信網に接続する。
【0028】
近距離無線通信モジュール13は、電波による近距離の無線通信を行う近距離無線通信部として機能するモジュールであって、施解錠装置20に対して操作コマンドを送信する。操作コマンドは、解錠する方向にサムターンSを回転させることを示すコマンド又は施錠する方向にサムターンSを回転させることを示すコマンドである。本実施形態では、消費エネルギーを抑える観点から、近距離無線通信モジュール13として、Bluetooth Low Energy規格によって無線通信を行うBluetooth(登録商標)モジュールが用いられている。
【0029】
GPSモジュール17は、スマートデバイス10の位置を検出する位置検出部として機能するモジュールであり、検出した位置情報をCPU15に入力する。
【0030】
CPU15は、メモリ16と電気的に接続されており、メモリ16に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することで、カメラモジュール12から取得した画像、ネットワーク通信モジュール14を介して送受信する情報、近距離通信モジュール13を介して送受信する情報、及びGPSから受信した位置情報を処理する処理部として機能する。なお、メモリ16に記憶されているアプリケーションプログラムには、スマートデバイス10を他のスマートデバイスと識別するために、当該スマートデバイスに対して一意となるよう付与された識別情報(以下、「デバイスコード」という。)が定められている。
【0031】
<施解錠装置の構成>
【0032】
施解錠装置20は、図2および図5に示すように、サムターンSに被さるようにドアDの内側面に設置される。施解錠装置20は、ドアDに設置される筐体21と、サムターンSを挟持する挟持部22と、を備えている。筐体21は、ドアDの内側面に両面テープを介して接着される基部23と、基部23の先端部からサムターンSに向かって延出する延出部24と、を備えている。当該筐体21の内部には、図4に示すように、近距離無線通信モジュール25、マイコン26(MCU26)、ドライブ回路27、及びこれらの部品に電力を供給する電源回路が実装された基板と、モータ28と、モータ28の回転動力を挟持部22へと伝達する動力伝達機構(不図示)と、が収容されている。
【0033】
施解錠装置20の近距離無線通信モジュール25は、対応するスマートデバイス10と電波による無線通信を行う近距離無線通信部として機能するモジュールであり、スマートデバイス10から操作コマンドを受信し、受信した操作コマンドをマイコン26へと入力する。なお、本実施形態では、スマートデバイス10の近距離無線通信デバイス13と同様に、Bluetooth Low Energy規格によって無線通信を行うBluetoothモジュールが用いられている。
【0034】
マイコン26は、CPU(不図示)とメモリ(不図示)が内蔵されたものであり、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することで、入力された操作コマンドに基づいてモータ28の回転方向及び回転ステップを制御する制御信号をドライブ回路27へと出力する。このようにマイコン26はモータ28を制御する制御部として機能する。ドライブ回路27は、モータ28を駆動する回路であり、マイコン26から入力された制御信号に基づいて、モータ28を駆動するための電力をモータ28に出力する。
【0035】
モータ28は、ドライブ回路27から入力された電力に基づいて回転する。当該モータ28のシャフトは、複数のギアによって構成される動力伝達機構に接続されており、当該動力伝達機構の出力シャフトは挟持部22に接続されている。これにより、モータ28の回転に応じて挟持部22が回転することとなる。
【0036】
<サーバの構成>
【0037】
サーバ30は、図4(c)に示すように、インターネット通信回線などのネットワークを介してスマートデバイス10と通信するためのネットワーク通信モジュール31と、CPU32と、メモリ33と、を備えている。
【0038】
サーバ30のメモリ33は、後述する施解錠処理、情報提供処理、及び追跡処理に用いられる情報を記憶する記憶部として機能するものであり、図6に示すように、ユーザテーブル、照合リスト、及び設置情報テーブルを備えている。以下、各テーブルおよびリストについて説明する。
【0039】
図6(a)に示すように、ユーザテーブルは、ドアDの出入資格を有する人物(以下、「ユーザ」という。)の情報を記憶するユーザ情報記憶部として機能するものであり、ユーザ毎にレコードが設けられている。当該ユーザテーブルは、ユーザIDフィールド、生体情報フィールド、及び個人情報フィールドを有する。
ユーザIDフィールドにはユーザIDが登録される。ユーザIDは、各ユーザに対して一意的に付与された文字列であり、後述する登録処理においてサーバ30によって発行される。
生体情報フィールドにはユーザの生体情報が登録される。本実施形態の生体情報は、ユーザの顔画像を解析することにより算出された特徴量であり、後述する登録処理においてスマートデバイス10によって取得される。
個人情報フィールドには、生体情報以外のユーザの個人情報が登録される。個人情報は、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどのプライベートな情報や、部署、役職、雇用形態などの業務的な情報であり、スマートデバイス10が一般住宅に設置される場合にはプライベートな情報が登録され、スマートデバイス10がオフィスビルに設置される場合には業務的な情報が登録される。このような個人情報は後述する登録処理(s10)においてスマートデバイス10により取得される。
【0040】
図6(b)に示すように、照合リストは、ドアの出入資格を有するユーザのユーザIDを記憶するものであり、各スマートデバイス10(デバイスコード)に対応するように複数の照合リスト(本実施形態では3つの照合リスト)が設けられている。当該照合リストへのユーザIDの登録は後述の登録処理(s10)において行われる。
【0041】
図6(c)に示すように、設置情報テーブルは、スマートデバイス10の設置に関する設置情報(デバイスコード、設置場所、及びGPS値)を記憶する設置情報記憶部として機能するものであり、スマートデバイス10毎にレコードが設けられている。当該設置情報テーブルは、スマートデバイス10のデバイスコードが登録されるデバイスコードフィールド、設置場所フィールド、及びGPSフィールドを有する。設置場所フィールドは、スマートデバイス10が設置された建物の所在地が登録される。GPSフィールドには、スマートデバイス10のGPSモジュール17により取得されたGPS値が登録される。当該設置情報テーブルへの設置情報の登録は後述の登録処理(s10)及び追跡処理(s30)において行われる。
【0042】
上記のように、複数のスマートデバイス10、複数の施解錠装置20、及びサーバ30によって本実施形態の施解錠システム100が構成されており、施解錠装置20は、対応するスマートデバイス10から受信した操作コマンドに基づいてサムターンSを操作する。ここで、本実施形態の施解錠システム100は、スマートデバイス10がドアD前の人物の生体情報を取得し、サーバ30が当該生体情報に基づいてユーザを特定し、ユーザの出入資格の認証結果に基づいて、スマートデバイス10が操作コマンドを施解錠装置20に対して送信することとしている。また、サーバ30は、インターネット通信回線を介して、上記メモリ33に登録されている情報を管理者コンピュータ40(図3)に提供する。さらに、サーバ30は、設置されたスマートデバイス10の位置の追跡が可能となっている。以下、図7乃至図10に基づいて、施解錠システム100の処理のフローを説明する。
【0043】
<登録処理>
【0044】
図7は施解錠システム100のメインフローであり、先ずは登録処理(s10)が実行される。登録処理(s10)は、サーバ30のメモリ33に設けられたユーザテーブル、照合リスト、及び設置情報テーブルに対して情報を登録する処理であって、スマートデバイス10が設置される際に実行される。当該登録処理(s10)では、図8に示すように、スマートデバイス10が、入力処理(s11)、撮像処理(s12)、生体情報取得処理(s13)、及び送信処理(s14)をこの順に実行し、サーバが受信処理(s15)および登録処理(s16)をこの順に実行する。
【0045】
入力処理(s11)は、設置情報入力処理と、ユーザ情報入力処理と、を含む。
設置情報入力処理は、各スマートデバイス10のユーザまたは設置担当者に設置情報を入力させる処理であって、スマートデバイス10のCPU15は、設置場所を入力させる入力フォームをタッチパネルディスプレイ11に表示させる。ユーザまたは設置担当者は、タッチパネルディスプレイ11を操作して、入力フォームに設置場所を入力する。CPU15は、タッチパネルディスプレイ11から設置場所を取得すると、メモリ16に記憶されているデバイスコードを読み出すとともに、GPSモジュール17からGPS値を取得する。CPU15は、これら設置場所、デバイスコード、及びGPS値を対応付けてメモリ16に記憶する。
ユーザ情報入力処理は、ユーザに個人情報を入力させる処理である。具体的には、スマートデバイス10のCPU15は、個人情報を入力させる入力フォームをタッチパネルディスプレイ11に表示させる。ユーザは、タッチパネルディスプレイ11を操作して、入力フォームに個人情報を入力する。CPU15は、タッチパネルディスプレイ11から個人情報を取得すると、当該個人情報をメモリ16に記憶する。
【0046】
撮像処理(s12)は、例えば自分撮りによって、ユーザの顔を撮像する処理である。具体的には、スマートデバイス10のCPU15は、カメラモジュール12に対して撮像コマンドを入力する。カメラモジュール12は、入力された撮像コマンドに従って所定のフレームレートで撮像を行い、画像を生成する。カメラモジュール12によって生成された画像はCPU15に入力される。CPU15は、カメラモジュール12から画像を取得する度に、取得した画像をタッチパネルディスプレイ11に表示させる。また、CPU15は、当該表示と共に、タッチパネルディスプレイ11に決定ボタンを表示させる。当該決定ボタンは、GUIであり、当該決定ボタンがユーザによって押されると、CPU15は、表示している画像を生体情報用の画像としてメモリ16に記憶する。
【0047】
生体情報取得処理(s13)は、撮像処理(s12)においてメモリ16に記憶された画像に基づいて、ユーザの生体情報を取得する処理であって、CPU15は、画像に含まれる顔部分の画像(以下、「顔画像」という。)を抽出する抽出処理、抽出した顔画像に基づいて特徴量を算出する算出処理を含む。なお、当該特徴量の算出方法は特に限定されないが、例えば、目、鼻、口などの顔要素について、その位置、大きさ、範囲などを一定の規則に基づいて数値化することにより算出することができる。このようにして算出された特徴点は、当該ユーザの生体情報としてメモリ16に記憶される。
【0048】
送信処理(s14)は、スマートデバイス10のCPU15が、上記の各処理において取得した情報(設置情報、個人情報、生体情報)を、ネットワーク通信モジュール14を介して、サーバ30に送信する処理である。
【0049】
受信処理(s15)は、サーバ30のCPU32が、ネットワーク通信モジュール31を介して、設置情報、個人情報、及び生体情報を受信する処理である。
【0050】
登録処理(s16)は、サーバ30のCPU32が、新たにユーザIDを発行し、当該ユーザID、受信した個人情報、及び生体情報をユーザテーブルに追加登録する。また、CPU32は、受信した設置情報を設置情報テーブルに追加登録する。さらに、設置情報に含まれているデバイスコードに対応する照合リストを特定し、特定した照合リストにユーザIDを追加登録する。
【0051】
上記の登録処理(s10)は、ドアDに対する出入資格を有する全てのユーザに対して実施される。
【0052】
<施解錠処理>
【0053】
図7に戻り、上記登録処理(s10)の次に検出処理(s2)が実行される。検出処理(s2)は、ドアD前に位置する人物を検出する処理である。具体的には、スマートデバイス10のCPU15が、タッチパネルディスプレイ11からの入力を監視する。この状態において、ユーザがタッチパネルディスプレイ11に対してタッチ入力を行った場合には、タッチパネルディスプレイ11からCPU15に対して、タッチ入力に関する情報が入力される。CPU15は、当該入力があった場合にドアD前に人物が存在するものと判定する。他の検出処理(s2)の例としては、スマートデバイス10のCPU15は、所定の秒間隔でカメラモジュール12に対して撮像コマンドを入力する。当該撮像コマンドに基づいて、カメラモジュール12はドアD前を撮像し、生成した画像をCPU15へと入力する。CPU15は、取得した画像を解析して、画像中に人物が検出された場合にドアD前に人物が存在するものと判定する。スマートデバイス10は、上記タッチパネルディスプレイ11を用いた検出処理と、カメラモジュール12を用いた検出処理の一方または両方を実施する。
【0054】
上記検出処理(s2)の結果、人物が検出されない場合(No)には、後述のリクエスト確認処理(s3)を実行する。一方、人物が検出された場合(Yes)には施解錠処理(s20)が実行される。
【0055】
施解錠処理(s20)は、検出された人物の生体情報に基づいて当該人物の出入資格を認証し、認証が成功した場合にはサムターンSを操作する処理であって、図9に示すように、取得処理(s21)、特定処理(s22)、照合処理(s23)、選択処理(s25)、及び操作処理(s26)を含む。
【0056】
取得処理(s21)は、ドアD前の人物の生体情報を取得する処理である。本実施形態では、スマートデバイス10のCPU15は、カメラモジュール12に対して撮像コマンドを入力する。カメラモジュール12は、入力された撮像コマンドに従って撮像を行い、画像を生成し、生成した画像をCPU15に入力する。CPU15は、カメラモジュール12から取得した画像における人物の顔を検出し、当該顔における特徴量を算出する。当該特徴量の算出方法は、上記登録処理(s10)における算出方法と同一である。当該取得処理(s21)によって取得された生体情報は、サーバ30へと送信される。
【0057】
サーバ30は、生体情報を受信すると、特定処理(s22)を実行する。特定処理(s22)は、サーバ30のCPU32が、受信した生体情報に対応するユーザを特定する処理である。具体的には、CPU32は、受信した生体情報(特徴量)に最も近似する生体情報を、ユーザテーブルにおいて検索する。ここで、近似する生体情報がない場合(No)には、出入資格の認証が失敗したことをスマートデバイス10に送信する。一方、近似する生体情報がある場合(Yes)には、当該生体情報に対応するユーザIDをユーザーテーブルから抽出する。このように、サーバ30のCPU32は、生体情報に基づいてユーザを特定する特定部として機能する。
【0058】
サーバ30は、ユーザを特定すると、照合処理(s23)を実行する。照合処理(s23)は、サーバ30のCPU32が、受信したデバイスコードに対応する照合リストと、特定したユーザIDを照合する処理である。照合した結果、ユーザIDが照合リストに含まれている場合には、出入資格の認証が成功したことをスマートデバイス10に送信する。一方で、ユーザIDが照合リストに含まれていない場合には、出入資格の認証が失敗したことをスマートデバイス10に送信する。このように、サーバ30のCPU32は、特定されたユーザを照合リストと照合する照合部として機能する。そして、特定部および照合部により、ドア前人物の出入資格を認証する資格認証部が構成されている。
【0059】
スマートデバイス10は、サーバ30から認証結果を受信する。ここで、受信した認証結果が失敗である場合(s24:No)には、施解錠処理(s20)を終了する。一方、認証結果が成功である場合(s24:Yes)には、選択処理(s25)を実行する。
【0060】
選択処理(s25)は、ユーザに対して、解錠または施錠のいずれかを選択させる処理であって、スマートデバイス10のCPU15は、解錠または施錠を選択させるGUIを有する選択画面をタッチパネルディスプレイ11に表示させ、ユーザによる選択を受け付ける。ここで、「施錠」が選択された場合には、スマートデバイス10のCPU15は、近距離無線通信モジュール13を介して、施錠コマンドを施解錠装置20へと送信する。一方、「解錠」が選択された場合には、スマートデバイス10のCPU15は、近距離無線通信モジュール13を介して、解錠コマンドを施解錠装置20へと送信する。
【0061】
施解錠装置20の近距離無線通信モジュール25は、スマートデバイス10から送信されたコマンドを受信して、受信したコマンドをマイコン26へと入力する。マイコン26は、近距離無線通信モジュール25から入力されたコマンドに応じてモータ28を制御するための制御信号をドライブ回路27へと入力する。ドライブ回路27は、マイコン26から入力された制御信号に基づいてモータ28を駆動するための電力をモータ28へと出力する。上述したようにモータ28の回転動力は、動力伝達機構を介して挟持部22へと伝達され、挟持部22の回転に伴って、サムターンSのノブが回転することとなる。
【0062】
上記のように、本実施形態の施解錠システム100によれば、サムターンSに被さるように施解錠装置20が設置され、当該施解錠装置20はスマートデバイス10からの認証結果に基づいてサムターンSを操作するので、既存のドアDに対して物理的な鍵を用いずともロックの施解錠が可能となる。また、スマートデバイス10はドアDに設置されているので、スマートフォンを所有しないユーザであっても利用することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の施解錠システム100によれば、ユーザの個人情報や生体情報がサーバに登録されている。よって、仮に、スマートデバイス10が紛失や盗難にあったとしても、個人情報や生体情報が流出することがない。
【0064】
図7に戻り、施解錠処理(s20)が実行されると、サーバ30は、管理者コンピュータ40からのリクエストの有無を確認する(s3)。当該リクエストは、設置情報の送信をリクエストするものであり、リクエストがない場合には、次の時間確認処理(s4)を実行する。一方、リクエストがあった場合には、情報提供処理(s30)が実行される。情報提供処理(s30)では、サーバ30のCPU32は設置情報テーブルから設置情報を抽出し、抽出した設置情報を管理者コンピュータ40に送信する。管理者コンピュータ40は、受信した設置情報をモニターなどの表示部に表示させる。これにより管理者は設置情報を確認することができる。
【0065】
情報提供処理(s30)が実行されると時間確認処理(s4)が実行される。時間確認処理(s4)は、スマートデバイス10のCPU15が所定時間経過しているかを確認する処理である。所定時間経過していないときは、人物の検出処理(s2)が実行される。所定時間経過しているときは、下記の追跡処理(s40)が実行される。
【0066】
追跡処理(s40)は、ドアDに設置されているスマートデバイス10の位置を追跡する処理であって、図10に示すように、GPS取得処理(s41)、対比処理(s42)、地図情報生成処理(s43)、及び表示処理(s44)を実行する。
【0067】
GPS取得処理(s41)は、スマートデバイス10がGPSモジュール17からGPS値を取得する処理である。スマートデバイス10のCPU15は、取得したGPS値と、メモリ16に記憶されたデバイスコードと、を対応付けてサーバ30へと送信する。
【0068】
サーバ30のCPU32は、スマートデバイス10からGPS値とデバイスコードを受信し、対比処理(s42)を実行する。対比処理(s42)では、受信したデバイスコードに対応するGPS値を設置情報テーブルから抽出し、当該抽出したGPS値と受信したGPS値とを対比する。対比した結果、互いのGPS値が誤差の範囲内である場合には正常であると判断し、誤差の範囲を超えて相違している場合には異常であると判断する。このように異常と判断された場合には、異常であることを示す情報、及び異常と判断されたスマートデバイス10のデバイスコードを後述の送信処理において管理者コンピュータ40に送信する。上記対比を行った後に、サーバ30のCPU32は、受信したデバイスコードに基づいて設置情報テーブルのレコードを特定し、特定したレコードのGPSフィールドに対して受信したGPS値を登録する。
【0069】
次に、サーバ30のCPU32は、地図情報生成処理(s43)を実行する。地図情報生成処理(s43)は、設置されているスマートデバイス10の場所をマーカで示した地図を生成する処理であって、サーバ30のCPU32は設置情報ターブルからGPS値を抽出し、当該抽出したGPS値を地図上のマーカ座標に反映した地図情報を生成する。サーバ30のCPU32は生成した地図情報および対比結果を管理者コンピュータ40へと送信する。
【0070】
管理者コンピュータ40は、サーバ30から地図情報および対比結果を受信し、表示処理を実行する(s44)。表示処理(s44)は、当該サーバ30から受信した情報を表示する処理であって、異常を示す対比結果を受信した場合には、管理者コンピュータ40はモニターにスマートデバイス10の設置状況を確認する旨の画面を表示させる。また、管理者コンピュータ40はモニターに地図情報を表示させる。これにより、管理者はスマートデバイス10の所在地を確認することができる。
【0071】
本実施形態の施解錠システム100は、更に下記の機能を兼ね備えても構わない。
【0072】
<盗難防止機能>
【0073】
施解錠システム100は、上記実施形態で説明した追跡機能に加えて、スマートデバイス10の盗難防止機能を有しても構わない。当該盗難防止機能として、スマートデバイス10は、その設置姿勢が変化した場合にアラームを発生させることとしている。具体的には、図4に示すように、スマートデバイス10は、設置姿勢を検知する検知部として機能する角速度センサ18と、設置姿勢が変化した場合にアラーム音を発生するアラーム発生部として機能するスピーカー19と、を備えている。角速度センサ18は、スマートデバイス10の回転や向きの変化を角速度として検知するセンサであって、その信号はCPU15に入力される。CPU15は、角速度センサ18から入力された信号の変化に基づいて、スマートデバイス10の設置姿勢の変化を判定する。このようにCPU15は姿勢変化判定部として機能する。そして、当該判定の結果、設置姿勢が変化したと判定された場合には、CPU15は、メモリ16に予め記憶されたアラーム音源を再生する。当該アラーム音源の再生により出力されたアラーム音信号は、不図示のアンプ回路によって増幅されて、スピーカー19へと入力される。当該構成によれば、設置されたスマートデバイス10の姿勢の変化が生じた場合に、アラーム音が出力されるので、盗難を防止することができる。
【0074】
また、スマートデバイス10のCPU15は、設置姿勢の変化を検出した場合に、カメラモジュール12に対して撮像コマンドを入力する。そして、カメラモジュール12によって生成された画像を取得してサーバ30に送信しても構わない。サーバ30は、スマートデバイス10から画像を受信すると、当該画像をメモリ33に記憶させ、管理者コンピュータ40からのリクエストに基づいて、当該画像を管理者コンピュータ40に送信する。
【0075】
<インターホン機能>
【0076】
施解錠システム100は、インターホン機能を有しても構わない。インターホン機能は、ドアD前の人物と通話する機能である。具体的には、施解錠システム100は、スマートデバイス10と通話可能なネットワーク電話を備えている。当該ネットワーク電話は、室内に設けられた公知のIP電話やインターネット電話であり、インターネット通信回線に接続されている。スマートデバイスは、スピーカー19とマイク(不図示)を備えており、CPU15は、マイクから入力された音声信号を音声情報へと変換してネットワーク電話へと送信する。また、CPU15は、ネットワーク電話から受信した音声情報をスピーカーから発生させる。当該構成によれば、ドアD前の人物はスマートデバイス10を用いて、室内の人物と通話をすることができる。
【0077】
また、上記通話に際して、スマートデバイス10のCPU15は、タッチパネルディスプレイ11に「インターホンを鳴らす」旨のGUIや、「呼び鈴を鳴らす」旨のGUIを表示させ、当該GUIが操作された場合に通話を開始しても構わない。当該GUIは、例えば、人物の出入資格が認証されなかった場合(s24:No)に表示させるのが好ましい。
【0078】
また、スマートデバイス10のCPU15は、上記GUIが操作された場合に、カメラモジュール12に対して撮像コマンドを入力し、カメラモジュールによって生成された画像を取得しても構わない。当該態様においてCPU15は、取得した画像およびデバイスコードをサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した画像とデバイスコードを対応付けてメモリ33に記憶する。当該態様によれば、通話しようとする人物の画像をサーバ30に保存することができる。当該画像を閲覧する場合は、インターネット通信回線に接続可能なユーザ端末から、サーバ30に対して閲覧リクエストを送信する。サーバ30のCPU32は、閲覧リクエストを受信すると、受信したユーザに対応するデバイスコードを照合リストに基づいて特定し、特定したデバイスコードに対応して記憶された画像をユーザ端末に送信する。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は実施形態に限定されず、例えば下記の変形態様であっても構わない。
【0080】
[変形例1]
上記実施形態では、スマートデバイス10において、画像に基づいて人物の顔の特徴点を算出し、当該特徴点を生体情報としてサーバ30に送信しているが、スマートデバイス10において取得した画像を生体情報としてサーバ30に送信し、サーバ30のCPU32が特徴点を算出する態様であっても構わない。また、サーバ30は機械学習によってユーザを特定しても構わない。機械学習によるユーザの特定は、例えば、登録処理(s10)において、サーバ30はスマートデバイス10からユーザの画像を取得し、当該ユーザの画像を教師データとして学習済みモデルを生成する。そして、特定処理(s22)におて、サーバ30のCPU32は、スマートデバイス10から取得した画像を学習済みモデルに入力することでユーザを特定することができる。
【0081】
[変形例2]
上記実施形態では、人物の顔画像から算出された特徴点や顔画像を生体情報として用いたが、指紋、掌紋、静脈、虹彩、耳介、又は声紋などの生体情報に基づいてユーザの特定を行っても構わない。
【0082】
例えば、指紋、掌紋、又は静脈などの生体情報を用いる場合には、指紋、掌紋、静脈などをスキャンして生体画像を生成するスキャナがスマートデバイス10と通信可能に接続され、スキャナによって生成された生体画像がスマートデバイス10に入力される。
【0083】
また、例えば、虹彩や耳介などの生体情報を用いる場合には、虹彩や耳介の生体画像を生成するカメラがスマートデバイス10と通信可能に接続され、カメラによって生成された生体画像がスマートデバイス10に入力される。
【0084】
また、例えば、生体情報として声紋を用いる場合には、スマートデバイス10が備えるマイクによって当該生体情報が取得され、取得された生体情報がスマートデバイス10のCPU15に入力される。また、外付けのマイクをスマートデバイス10に接続しても構わない。
【0085】
[変形例3]
上記実施形態では、顔画像のみに基づいてユーザの特定を行っているが、顔画像と上記変形例2で挙げた他の生体情報を組み合わせてユーザの特定を行っても構わない。
【0086】
[変形例4]
上記実施形態の施解錠処理(s20)において、特定処理(s22)によって特定されたユーザを認証する認証処理を実行しても構わない。当該変形態様においては、サーバ30のメモリ33に設けられたユーザテーブルに、パスワードフィールドが設けられている。パスワードフィールドは、ユーザによって指定されたパスワードが登録されるフィールドであり、上記登録処理(s10)において、ユーザの個人情報と共に登録される。なお、パスワードは、英数字の文字列や、質問に対する回答などである。そして、施解錠処理(s20)では、取得処理(s21)の後に当該パスワードの入力処理が実行され、送信処理によってパスワードが生体情報と共にサーバ30へと送信される。サーバ30は、受信処理において、生体情報と共にパスワードを受信し、特定処理(s22)の後に認証処理が実行される。認証処理では、先ず、特定処理(s22)において特定されたユーザIDに対応するパスワードをユーザテーブルから抽出し、受信したパスワードと抽出したパスワードを照合する。照合の結果、両者が一致した場合には、特定処理(s22)において特定したユーザ(ユーザID)が適正であること、すなわち、特定処理(s22)において特定したユーザは、本システムのユーザであることが認証される。なお、当該パスワードによる人物認証については、必ずしも全てのユーザに対して行う必要はなく、一卵性双生児であるユーザに対してのみ行っても構わない。また、セキュリティレベルの高い部屋に入室する際にのみ行われても構わない。
【0087】
[変形例5]
上記実施形態の登録処理(s10)では、スマートデバイス10が、登録すべき情報をサーバ30に送信する態様であったが、当該態様に限られない。例えば、施解錠システム100は、インターネット通信回線を介して、サーバ30と通信可能なユーザの端末(以下、「ユーザ端末」という。)を備えており、ユーザ端末からサーバ30に対して生体情報や個人情報を送信する対応であっても構わない。このようにユーザ端末からサーバ30に対して生体情報や個人情報を送信可能とすることで、事後的に個人情報が変更になった場合や、生体情報に基づくユーザの特定が不安定になった場合に、ユーザ自身がこれらの情報を再度登録し直すことができる。
【0088】
[変形例6]
上記実施形態において、スマートデバイス10は、検出処理(s2)において人物が検出されない場合(No)には、スリープモードなどの省電力モードで動作し、検出処理(s2)において人物が検出された場合に通常モードで動作する動作態様であっても構わない。
【0089】
[変形例7]
上記実施形態では、Bluetooth Low Energy規格に基づいてスマートデバイス10と施解錠装置20と通信を行っているが、他の無線通信規格や有線通信規格を用いても構わない。
【0090】
[変形例8]
上記実施形態のサーバ30のメモリ33は、認証履歴を記憶する履歴記憶部として機能するものであっても構わない。具体的には、サーバ30のメモリ33には履歴テーブルが設けられている。履歴テーブルは、ユーザの出入資格の認証が成功する度にレコードが追加される。当該履歴テーブルは、認証されたユーザのユーザコードが登録されるユーザコードフィールドと、認証した日時が登録される日時フィールドと、認証に用いたスマートデバイス10のデバイスコードが登録されるデバイスコードフィールドと、認証に用いた生体情報が登録される生体情報フィールドと、を備えている。当該履歴テーブルに登録された情報は、管理者コンピュータ40からのリクエストに応じて、管理者コンピュータ40に送信される。管理者コンピュータ40は、受信した情報をモニターに表示する。当該態様によれば、管理者はユーザの出入状況を把握することができる。
【0091】
[変形例9]
上記実施形態では、スマートデバイス10は、生体情報である顔画像を取得する取得端末として室外に設置されているが、例えば、ガラス製のドアDの内側(室内側)に設置され、ガラス製のドアDを介して室外の人物の顔画像を撮像するものであっても構わない。
【符号の説明】
【0092】
10 スマートデバイス(取得端末)
11 タッチパネルディスプレイ(入力受付部)
12 カメラモジュール(撮像部)
13 近距離無線通信モジュール
17 GPSモジュール(位置検出部)
18 角速度センサ(姿勢検知部)
20 施解錠装置
30 サーバ
100 施解錠システム
D ドア
S サムターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10