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特許7576888新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/36 20230101AFI20241025BHJP
   B01F 33/503 20220101ALI20241025BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20241025BHJP
   B01F 23/80 20220101ALI20241025BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20241025BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20241025BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20241025BHJP
【FI】
C02F1/36
B01F33/503
B01F21/00 102
B01F23/80
C02F1/52 Z
B01F35/75
B63B35/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024057650
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202410185676.6
(32)【優先日】2024-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523023960
【氏名又は名称】温州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李仁輝
(72)【発明者】
【氏名】肖鵬
(72)【発明者】
【氏名】張和
(72)【発明者】
【氏名】虞功亮
(72)【発明者】
【氏名】李敬賢
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第117945524(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104817218(CN,A)
【文献】実開平06-011888(JP,U)
【文献】特開2006-187697(JP,A)
【文献】特開2006-263640(JP,A)
【文献】特開2014-167250(JP,A)
【文献】特開2017-225921(JP,A)
【文献】中国実用新案第213014197(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20- 1/26
1/30- 1/38
1/52- 1/56
B01D 21/00-21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも分散型のシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイであるシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法であって、
水域の面積及び深さから水域の体積を求め、5~10ppmの量となるように、ポリ塩化アルミニウム粉末を添加し、水で十分に混合して前記ポリ塩化アルミニウム粉末を完全に溶解させ、次に水面に沿って均一に噴霧して、ブルームシアノバクテリア細胞を凝集させるステップ(1)と、
添加された前記ポリ塩化アルミニウムと湖水を均一に混合させるように船を起動して水面を前後に移動する、撹拌ステップ(2)と、
置した後、移動式超音波処理装置を使用して、水域の表面を前後に移動し、超音波処理を行う、超音波処理ステップ(3)と、を含むことを特徴とするシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項2】
水域の水量が70万立方メートル以内にある場合、毎日に少なくとも1つの前記移動式超音波処理装置を使用して処理し、毎日の処理時間は、6時間以上であり、処理領域の水量が70万立方メートルより大きい場合、70万立方メートルを増加するごとに、少なくとも1つの前記移動式超音波処理装置を増加して同時に超音波処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項3】
前記移動式超音波処理装置は、船体、超音波振動板及び超音波制御システムを含み、前記船体の両側にそれぞれ複数の前記超音波振動板が設置され、各前記超音波振動板は、前記超音波制御システムに電気的に接続され、前記超音波制御システムは、前記船体に設置されることを特徴とする請求項1に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項4】
各前記超音波振動板はそれぞれ、振動板ブラケットに設置され、各前記振動板ブラケットは、前記船体の側面に固定して取り付けられることを特徴とする請求項3に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項5】
前記船体の両側にそれぞれ3つの前記超音波振動板が設置され、両側の前記超音波振動板は、前記船体に対して対称的に設置されることを特徴とする請求項3に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項6】
前記超音波振動板の定格電力は2.1kw、超音波周波数は28kHzであることを特徴とする請求項3に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項7】
前記船体に、前記超音波振動板及び前記超音波制御システムに電気エネルギーを提供するための船舶用バッテリー又はガソリン/ディーゼル発電機が設置されることを特徴とする請求項3に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【請求項8】
前記振動板ブラケットはステンレスブラケットであることを特徴とする請求項4に記載のシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境管理の技術分野に関し、特にシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法(明細書中、新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
シアノバクテリアブルームは、現在の水生態系で直面している深刻な環境問題であり、その原因は、ミクロキスティス、ドリコスペルマム、アファニゾメノン等のシアノバクテリアは、水域において大量に増殖し、且つ適切な環境条件下で、水域の表面に浮上し、集中し、塗料状のシアノバクテリア油膜を形成することである。シアノバクテリアブルームの発生は、水域の見えに影響を与えるだけでなく、水中の低酸素を引き起こし、他の水生動植物の成長を脅威し、他の水生生物の大量の死亡を引き起こし、さらに水域はより低酸素になり、悪循環を引き起こす。また、一部のシアノバクテリア株はさらに、シアノトキシン又は臭気成分を生成し、周囲の住民の水の安全を直接脅かす。
【0003】
現在では、一般的なシアノバクテリアブルームはほとんど集中型ブルームであり、つまり、藻類の細胞は主に水域の表面に集められてグループを形成するものである。集中型シアノバクテリアブルームに対する超音波装置は現在では、一般的であるが、近年来、新型シアノバクテリアブルーム-ラフィディオプシスブルームの発生頻度及び面積はより広くなる。現在の超音波殺藻装置が新型シアノバクテリアブルームへの処理に関する報告はほとんどない。
【0004】
現在では、集中型シアノバクテリアブルームへの処理は、より成熟した技術を持っているが、新型ブルームシアノバクテリアであるラフィディオプシスによって形成される分散型シアノバクテリアブルームに対して、現在の国内および国外の関連処理技術はまだ不足している。
【0005】
現在では、類似するシアノバクテリア処理技術の特徴は主に、以下のとおりである。処理方法は主に、物理法、化学法及び生物法といういくつかの種類がある。物理法は、(1)機械的なサルベージの方式を使用して、水域におけるシアノバクテリア細胞を除去すること、(2)凝集剤を添加し、藻類細胞(グループ)の表面電荷を変更することにより、藻類細胞を、より大きな粒子に凝集させ、徐々に水底に沈みこませること、(3)加圧又は噴射等の方式により、藻類細胞におけるエアバッグを打ち破り、藻類細胞の密度を変更し、水底に沈みこませることを含む。化学法は主に、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン等の試薬である強酸化剤を利用して、藻類細胞を酸化して殺し、ブルームを除去する目的を達成することである。生物法では主に、殺藻機能が添加された微生物菌剤は、微生物の藻類抑制効果により、直接殺藻するか又は藻類細胞の活性を抑制して、ブルームを除去する目的を達成することである。例えば、特許文献1に、第3級セピオライト綿毛、タルク、及び珪藻土が1~4:3~12:2~8で混合された混合凝結剤、及びそれを用いて藍藻ブルームの防除方法が記載されている。
【0006】
上記技術は、集中性シアノバクテリアブルームに対する処理の場合、効果が明らかであるが、分散型シアノバクテリアブルームの場合、効果がよくなく、主な問題は以下のとおりである:(1)機械的なサルベージコストが高く、且つプロセスが複雑であり、専門技術者と機器の投資が必要であり、且つ魚類及び他の水生動植物の成長に影響を与えやすい。また、新型分散型シアノバクテリアブルームの場合、藻類細胞は、水域の表面に集中せず、機械的なサルベージでは、藻をサルベージできず、効率が低い。(2)加圧又は噴射等の技術も専門設備及び技術が必要であり、コストが高く、表面に集中している高豊富度の藻類細胞を収集できる集中性藻類ブルームと異なり、分散型シアノバクテリアブルームでは、藻類細胞が水中に均一に分布するため、藻類細胞の収集効率が低く、さらに加圧又は噴射効率も低い。(3)化学試薬に一定の安全上の問題が存在し、魚類又は他の水生動植物の成長に影響を与えやすく、残留試薬はさらに二次汚染をもたらしやすく、藻類細胞が分散しすぎるため、添加された化学試薬の量は、集中性ブルームより遥かに高く、コストが高い。(4)微生物菌剤の効く時間がより長く、予想した効果を達成するために、一般的に、数週間さらには、数月間が必要であり、且つほとんどは水域の環境に対して、一定の要件があり、異なる環境では、菌剤の種類及び使用量を調整する必要があり、また、それは外来生物として、水域に添加すると、一定の生態学的リスクがある可能性がある。(5)ブロック剤の使用は、新型分散型シアノバクテリアブルームを除去する方法であり、水柱における藻類細胞を効果的に除去できるが、それは一般的には、一週間の時間だけ維持でき、リバウンドしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願公開第110642472A公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術が存在する問題を解決して、シアノバクテリア細胞を迅速に除去することができ、且つ管理効果をより長く維持することができ、分散型シアノバクテリアブルームを処理する目的を達成する、新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の解決手段を提供する:
本発明は、少なくとも分散型のシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイであるシアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法を提供し、
水域の面積及び深さから水域の体積を求め、5~10ppmの量となるようにポリ塩化アルミニウム粉末を添加し、水で十分に混合して前記ポリ塩化アルミニウム粉末を完全に溶解させ、次に水面に沿って均一に噴霧して、ブルームシアノバクテリア細胞を凝集させるステップ(1)と、
添加された前記ポリ塩化アルミニウムと湖水を均一に混合させるように船を起動して水面を前後に移動する、撹拌ステップ(2)と、
置した後、移動式超音波処理装置を使用して、水域の表面を前後に移動し、超音波処理を行う、超音波処理ステップ(3)と、を含む。
【0010】
好ましくは、水域の水量が70万立方メートル以内にある場合、毎日に少なくとも1つの移動式超音波処理装置を使用して処理し、毎日の処理時間は、6時間以上であり、処理領域の水量が70万立方メートルより大きい場合、70万立方メートルを増加するごとに、少なくとも1つの前記移動式超音波処理装置を増加して同時に超音波処理を行う。
【0011】
好ましくは、前記移動式超音波処理装置は、船体、超音波振動板及び超音波制御システムを含み、前記船体の両側にそれぞれ複数の前記超音波振動板が設置され、各前記超音波振動板は、前記超音波制御システムに電気的に接続され、前記超音波制御システムは、前記船体に設置される。
【0012】
好ましくは、各前記超音波振動板はそれぞれ、振動板ブラケットに設置され、各前記振動板ブラケットは、前記船体の側面に固定して取り付けられる。
【0013】
好ましくは、前記船体の両側にそれぞれ3つの前記超音波振動板が設置され、両側の前記超音波振動板は、前記船体に対して対称的に設置される。
【0014】
好ましくは、前記超音波振動板の定格電力は2.1kw、超音波周波数は28kHzである。
【0015】
好ましくは、前記船体に、前記超音波振動板及び前記超音波制御システムに電気エネルギーを提供するための船舶用バッテリー又はガソリン/ディーゼル発電機が設置される。
【0016】
好ましくは、前記振動板ブラケットはステンレスブラケットである。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較して、本発明は以下の技術的効果を達成した。
【0018】
本発明により提供される新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法は、一定の濃度のブロック剤の添加により、ブルームシアノバクテリア細胞を短時間内で迅速に凝集して沈降することができ、次に移動式超音波装置を使用して、水柱に残留藻類細胞の活性を抑制し、このような組合せ技術は、シアノバクテリア細胞を迅速に除去することができ、且つ管理効果をより長く維持することができ、分散型シアノバクテリアブルームを処理する目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例に使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、次の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的努力をすることなく、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0020】
図1】本発明による移動式超音波処理装置の側前方視点の3次元構造概略図である。
図2】本発明による移動式超音波処理装置の側後方視点の3次元構造概略図である。
図3】本発明による移動式超音波処理装置の前方視点の3次元構造概略図である。
図4】PACで室内の純培養藻株を処理する制御実験効果図である。
図5】PACで野生のシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイを処理する効果図である。
図6】異なる濃度のPACによる、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイ水サンプルへの経時処理効果図である。
図7】PACの添加のみで湖を処理すること及びPACと超音波の組合せ技術により、湖を処理する効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は創造的な努力をすることなく取得されたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0022】
本発明は、従来技術に存在する問題を解決し、シアノバクテリア細胞を迅速に除去することができ、且つ管理効果をより長く維持することができ、分散型シアノバクテリアブルームを処理する目的を達成する、新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法を提供することを目的とする。
【実施例
【0023】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより顕著で分かりやすくするために、以下に図面及び発明を実施するための形態を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【0024】
図1図3に示すように、本実施例は、
水域の体積を計算し、水域の面積及び深さから水域の体積を求め、5~10ppmの量でポリ塩化アルミニウム粉末を添加し、ポリ塩化アルミニウム粉末を添加する前、水で十分に混合する必要があり、粉末を完全に溶解させ、次に水面に沿って均一に噴霧する、凝集ステップ(1)と、
添加されたポリ塩化アルミニウムと湖水を均一に混合させるように船を起動して水面を前後に移動して、特に水域の表面に泡が多い領域において、船による撹拌の時間を増加する必要がある、撹拌ステップ(2)と、
6時間静置した後、移動式超音波処理装置を使用して、水域の表面を前後に移動し、超音波処理を行う、超音波処理ステップ(3)と、を含む、シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法を提供する。
【0025】
本方法では、一定の濃度のブロック剤の添加により、ブルームシアノバクテリア細胞を短時間内で迅速に凝集して沈降させることができ、次に移動式超音波装置を使用して、水柱に残留藻類細胞の活性を抑制し、このような組合せ技術は、シアノバクテリア細胞を迅速に除去することができ、且つ管理効果をより長く維持することができ、分散型シアノバクテリアブルームを処理する目的を達成する。
【0026】
ここで、水域の水量が70万立方メートル以内にある場合、毎日に少なくとも1つの移動式超音波処理装置を使用して処理し、毎日の処理時間は、6時間以上であり、処理領域の水量が70万立方メートルより大きい場合、70万立方メートルを増加するごとに、少なくとも1つの前記移動式超音波処理装置を増加して同時に超音波処理を行う必要がある。
【0027】
本実施例において、移動式超音波処理装置は、船体1、超音波振動板2及び超音波制御システム3を含み、船体1の両側にそれぞれ複数の超音波振動板2が設置され、各超音波振動板2は、超音波制御システム3に電気的に接続され、超音波制御システム3は、船体1に設置される。移動式超音波処理装置を採用して、使用しやすくて柔軟であり、超音波振動板2は、長方形板を採用して、同時に大きな面積を処理することができ、処理効率を向上させる。
【0028】
本実施例において、各超音波振動板2はそれぞれ、振動板ブラケット4に設置され、各振動板ブラケット4は、前記船体1の側面に固定して取り付けられ、振動板ブラケット4はステンレスブラケットであり、振動板ブラケット4を介して超音波振動板2を取り付けると、取り付けが便利である。
【0029】
本実施例において、船体1の両側にそれぞれ3つの超音波振動板2が設置され、両側の超音波振動板2は、前記船体1に対して対称的に設置される。
【0030】
本実施例において、超音波振動板2の定格電力は2.1kw、超音波周波数は28kHzである。
【0031】
本実施例において、船体1に、超音波振動板2及び超音波制御システム3に電気エネルギーを提供するための船舶用バッテリー又はガソリン/ディーゼル発電機が設置される。
【0032】
本移動式超音波処理装置は、藻類細胞密度が1リットルあたり10億細胞未満の場合に使用可能であり、この閾値下で、本装置の使用効率を高めることができる。
【0033】
以下は、ポリ塩化アルミニウム(PAC)を採用してシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイを処理する実験である。
【0034】
図4に示すように、室内の純培養藻株の制御実験において、PACでシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイを処理する効果(純粋な藻類の処理効果):10mg/L PACを添加する場合、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイである純粋な藻類は、680nmでの吸光度(OD680)及び葉緑素aの濃度(Chl-a)はすべて、対照群(PAC濃度が0mg/L)より大幅に低く、且つPAC濃度の増加(10mg/Lから40mg/Lまで)につれて、低下傾向がより顕著になり、PACが、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイに対して、顕著な除去効果があることを示す。
【0035】
図5に示すように、PACで野生のシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイを処理する効果:野生のシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイブルームサンプル(初期密度が1012細胞/リットルと高い)に10mg/L PACを添加する場合、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの細胞密度が顕著に低下し、除去率が60%と高く、PAC濃度が40mg/Lまで増加することにつれて、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの細胞除去率が徐々に80%以上に上昇し、PACが、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイに対して、顕著な除去効果があることを示す。
【0036】
図6に示すように、PACからシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイへの処理時効をテストする場合、30分間処理した後、10mg/L PACによりシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイ水サンプルの葉緑素aの濃度を顕著に低減することを発見し、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの生存細胞の数量が顕著に低下し、且つPAC濃度が40mg/Lまで増加するにつれて、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの葉緑素aの濃度低下傾向が増加することを示し、同時に処理時間が60分間に延長する場合、各処理グループにおけるシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの葉緑素aの濃度がより顕著に低下し、10mg/LのPACでシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイ細胞を30分間処理すると、藻類細胞を顕著に殺すことができ、PAC濃度を増加するか又は処理時間を増加することはすべて、処理効果を向上させることができることを示す。
【0037】
PACと超音波の組合せ技術は、ある都市の湖に順調に応用され、2か月間の実験中、湖におけるシリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイブルームを効果的に除去した。湖の水域の容量が約70万立方メートルであり、毎回の凝集実験では、約7トンのPAC薬品を添加し、図7に示すように、中実ドットは、PACの添加時点を表示し、前回の実験では、PACを添加するだけで、超音波装置を実行せず、結果から分かるように、PACを添加した後、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの細胞密度が顕著に低下したが、その後に約10日間にリバウンド現象が現れ、藻類細胞密度が処理前のレベルに回復し、さらには、やや上昇した。後の実験では、7トンPACを添加した後、1台の超音波装置を使用して連続的に実行し、毎日に6時間実行し、後続の1か月の間に、シリンドロスペルモプシス・ラシボルスキイの除去効果が顕著であり、且つ藻類の密度が常に低いレベルに維持され、ブルーム処理効果が高いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、具体的な例を使用して本発明の原理および実施形態を説明し、上記の実施例の説明は、本発明の方法およびコアアイデアを理解するのを助けるためにのみ使用され、同時に、当業者にとって、本発明のアイデアに応じて、発明を実施するための形態および応用範囲に変更がある。以上より、本明細書の内容は本発明への制限であると理解すべきではない。
【符号の説明】
【0039】
1-船体
2-超音波振動板
3-超音波制御システム
4-振動板ブラケット
【要約】
【課題】 本発明は、新型シアノバクテリアブルームの組み合わせ処理方法を開示し、環境管理の技術分野に関する。
【解決手段】 本発明は、水域の体積を計算し、5~10ppmの量でポリ塩化アルミニウム粉末を添加し、ポリ塩化アルミニウム粉末を添加する前、水で十分に混合する必要があり、粉末を完全に溶解させ、次に水面に沿って均一に噴霧する、凝集ステップ(1)と、添加されたポリ塩化アルミニウムと湖水を均一に混合させるように船を起動して水面を前後に移動する、撹拌ステップ(2)と、一定期間静置した後、移動式超音波処理装置を使用して、水域の表面を前後に移動し、超音波処理を行う、超音波処理ステップ(3)と、を含む。本発明は、シアノバクテリア細胞を迅速に除去することができ、且つ管理効果をより長く維持することができ、分散型シアノバクテリアブルームを処理する目的を達成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7