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特許7576906イメージング装置およびイメージング装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】イメージング装置およびイメージング装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019038528
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020141728
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-06-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【弁理士】
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100228865
【弁理士】
【氏名又は名称】吉見 優人
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松田 和之
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮宏
【合議体】
【審判長】榎本 吉孝
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/121610(WO,A1)
【文献】特表2017-520355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0240468(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0203413(US,A1)
【文献】特表2011-521237(JP,A)
【文献】特開2011-136005(JP,A)
【文献】imageJで二点間の距離を測る,[2022年05月30日検索],[online], 2013年4月9日付けウェブアーカイブ,<https://web.archive.org/web/20130409132623/https://life-science-project.com/1087/>
【文献】imageJで単位を合わせて面積を測る,[2022年05月30日検索],[online], 2012年10月15日付けウェブアーカイブ,<https://web.archive.org/web/20121015121139/https://life-science-project.com/711/>
【文献】imageJのscaleの単位を変更する,[2022年05月30日検索],[online], 2013年7月15日付けウェブアーカイブ,<https://web.archive.org/web/20130715025847/https://life-science-project.com/516/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B10/00
A61B1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を被検体の外部から被検体に向けて出射する第1の光源と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて出射する第2の光源と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェースと、
前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺が前記第1の撮影部で撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する距離算出部と、を備え、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示するイメージング装置。
【請求項2】
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する録画部をさらに備え、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する請求項1に記載のイメージング装置。
【請求項3】
白色光を被検体の外部から被検体に向けて出射する第1の光源と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて出射する第2の光源と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部に表示される前記可視画像上において、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺に沿った基準ラインを入力し、前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェースと、
前記基準ラインの長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する距離算出部と、を備え、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示するイメージング装置。
【請求項4】
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する録画部をさらに備え、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する請求項3に記載のイメージング装置。
【請求項5】
第1の光源が被検体の外部から白色光を被検体に向けて出射する工程と、
第2の光源が前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて出射する工程と、
第1の撮影部が、前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、
第2の撮影部が前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、
画像表示部が前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する工程と、
ユーザインターフェースが、前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、
距離算出部が、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺が前記可視画像を取得する工程で撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する工程と、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示する工程と、を含むイメージング装置の作動方法。
【請求項6】
録画部が前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する工程をさらに含み、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する請求項5に記載のイメージング装置の作動方法。
【請求項7】
第1の光源が白色光を被検体の外部から被検体に向けて出射する工程と、
第2の光源が前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて出射する工程と、
第1の撮影部が前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、
第2の撮影部が前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、
画像表示部が前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する工程と、
ユーザインターフェースが、前記画像表示部に表示される前記可視画像上において、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺に沿った基準ラインを入力し、前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、
距離算出部が、前記基準尺が前記可視画像を取得する工程で撮影されており、該基準ラインの長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する工程と、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示する工程と、を含むイメージング装置の作動方法。
【請求項8】
録画部が前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する工程をさらに含み、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する請求項7に記載のイメージング装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング装置およびイメージング装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外蛍光イメージングと呼称される手法が、外科手術における血管造影に利用されている。この近赤外蛍光イメージングにおいては、蛍光色素であるインドシアニングリーン(ICG)をインジェクタ等により注入することで患部に投与する。そして、このインドシアニングリーンにその波長が600~850nm(ナノメータ)程度の近赤外光を励起光として照射すると、インドシアニングリーンは750~900nm程度の波長の近赤外蛍光を発する。この蛍光を、近赤外光を検出可能な撮像素子で撮影し、その画像を液晶表示パネル等の表示部に表示する。この近赤外蛍光イメージングによれば、体表から20mm程度までの深さに存在する血管やリンパ管等の観察が可能となる。
【0003】
例えば特許文献1には、蛍光強度の経時的変化を示すグラフを求めて、そのグラフの傾きやピークまでの時間、面積等の各種の指標に基づいたカラー画像(カラーマップ)を生成する方法が開示されている。そして、特許文献1に記載の方法を用いた場合、カラー画像は、例えば、被検者の血行状態に応じて、色が連続的に変化した画像となる。医師は、このカラー画像を参考にして、血行状態が悪化しているのはどこであるのか、すなわち、血管のどこに外科的な処置を施せばよいのかを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5918532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、血管の太さや、その他、臓器の大きさを把握したい場合、特許文献1に記載の方法を用いて得られたカラー画像だけでは、それを正確に行うことができない。
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、大きさを把握したい計測対象物がある場合、その計測対象物の大きさを正確に把握することができるイメージング装置およびイメージング装置の作動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、白色光を被検体に向けて出射する第1の光源と、被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、被検体に向けて出射する第2の光源と白色光が照射された被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部と、蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部と、可視画像及び蛍光画像を表示する画像表示部と、画像表示部に表示される蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェースと、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺が第1の撮影部撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、計測ラインの長さを算出する距離算出部と、を備え、画像表示部が、距離算出部によって算出された計測ラインの長さを表示するイメージング装置に関する。
【0007】
本発明の第2の態様は、白色光を被検体に向けて出射する第1の光源と、被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、被検体に向けて出射する第2の光源と白色光が照射された被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部と、蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部と、可視画像及び蛍光画像を表示する画像表示部と、画像表示部に表示される可視画像上において、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺に沿った基準ラインを入力し、画像表示部に表示される蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェースと、基準ラインの長さに基づいて、計測ラインの長さを算出する距離算出部と、を備え、画像表示部が、距離算出部によって算出された計測ラインの長さを表示するイメージング装置に関する。
【0008】
本発明の第3の態様は、第1の光源が白色光を被検体に向けて出射する工程と、第2の光源が被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、被検体に向けて出射する工程と、第1の撮影部が白色光が照射された被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、第2の撮影部が蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、画像表示部が可視画像及び蛍光画像表示する工程と、ユーザインターフェースが、画像表示部に表示される蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、距離算出部が、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺が可視画像を取得する工程撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、計測ラインの長さを算出する工程と、画像表示部、距離算出部によって算出された計測ラインの長さを表示する工程と、を含むイメージング装置の作動方法に関する。
【0009】
本発明の第4の態様は、第1の光源が白色光を被検体に向けて出射する工程と、第2の光源が被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、被検体に向けて出射する工程と、第1の撮影部が白色光が照射された被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、第2の撮影部が蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、画像表示部が可視画像及び蛍光画像表示する工程と、ユーザインターフェースが、画像表示部に表示される可視画像上において、前記被検体と近接して配置され蛍光材を含まない基準尺に沿った基準ラインを入力し、画像表示部に表示される蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、距離算出部が、基準尺が可視画像を取得する工程撮影されており、該基準ラインの長さに基づいて、計測ラインの長さを算出する工程と、画像表示部、距離算出部によって算出された計測ラインの長さを表示する工程と、を含むイメージング装置の作動方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大きさを把握したい計測対象物がある場合、その計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のイメージング装置の実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すイメージング装置の側面図である。
図3図3は、図1に示すイメージング装置の平面図である。
図4図4は、図1に示すイメージング装置の主要な制御系を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示すイメージング装置で実行される工程を順に示す図である。
図6図6は、図1に示すイメージング装置が備える画像表示部に表示される画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のイメージング装置およびイメージング方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のイメージング装置の実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すイメージング装置の側面図である。図3は、図1に示すイメージング装置の平面図である。図4は、図1に示すイメージング装置の主要な制御系を示すブロック図である。図5は、図1に示すイメージング装置で実行される工程を順に示す図である。図6は、図1に示すイメージング装置が備える画像表示部に表示される画像の一例である。なお、以下では、説明の都合上、図1図2および図6中の上側を「上(上方)」、下側を「下(下方)」と言う。
【0013】
図1に示すイメージング装置1は、被検者STの体内に注入された蛍光色素としてのインドシアニングリーン(ICG)に対し励起光を照射し、このインドシアニングリーンから放射される蛍光を撮影するための装置である。イメージング装置1を用いることにより、例えば被検者STに外科手術を施す際に、被検者STの血行状態を正確に把握することができる。
【0014】
イメージング装置1は、4個の車輪13を備えた台車11と、この台車11の上面における台車11の進行方向の前方(図2および図3における左方向)付近に配設されたアーム機構30と、このアーム機構30にサブアーム41を介して配設された照明・撮影部12と、モニタである画像表示部15とを備える。台車11の進行方向の後方には、台車11を移動するときに使用されるハンドル14が付設されている。また、台車11の上面には、このイメージング装置1を遠隔操作するためのリモコンを装着するための凹部16が形成されている。
【0015】
また、図5に示すように、イメージング装置1は、白色光照射工程と、励起光照射工程と、可視画像取得工程と、蛍光画像取得工程と、録画工程と、画像表示工程と、ライン入力工程と、長さ算出工程と、長さ表示工程と、を含むイメージング方法を、この工程順に実行することができる。
【0016】
上述したアーム機構30は、台車11の進行方向の前方側に配設されている。このアーム機構30は、台車11の進行方向の前方側に立設された支柱36上に配設された支持部37に対して、ヒンジ部33により連結された第1アーム部材31を備える。この第1アーム部材31は、ヒンジ部33の作用により、支柱36および支持部37を介して、台車11に対して揺動可能となっている。なお、上述した画像表示部15は、支柱36に付設されている。
【0017】
この第1アーム部材31の上端には、第2アーム部材32がヒンジ部34により連結されている。この第2アーム部材32は、ヒンジ部34の作用により、第1アーム部材31に対して揺動可能となっている。このため、第1アーム部材31と第2アーム部材32とは、図2において符合Cを付した仮想線で示すように、第1アーム部材31と第2アーム部材32とが第1アーム部材31と第2アーム部材32との連結部であるヒンジ部34を中心として所定の角度開いた撮影姿勢と、図1から図3において符合Aを付した実線で示すように、第1アーム部材31と第2アーム部材32とが近接する待機姿勢とをとることが可能となっている。
【0018】
第2アーム部材32の下端には、支持部43がヒンジ部35により連結されている。この支持部43は、ヒンジ部35の作用により、第2アーム部材32に対して揺動可能となっている。この支持部43には、回転軸42が支持されている。そして、照明・撮影部12を支持したサブアーム41は、第2アーム部材32の先端に配設された回転軸42を中心に回動する。このため、照明・撮影部12は、このサブアーム41の回動により、図1から図3において符合Aを付した実線で、あるいは、図2において符合Cを付した仮想線で示すように、撮影姿勢または待機姿勢をとるためのアーム機構30に対して台車11の進行方向の前方側の位置と、図2および図3において符合Bを付した仮想線で示すように、台車11を移動させる時の姿勢であるアーム機構30に対して台車11の進行方向の後方側の位置との間を移動する。
【0019】
図4に示すように、照明・撮影部12は、光源部24と、光源制御部25と、ズームレンズ26と、プリズム27と、白色光センサ28と、励起光センサ29とを備えている。イメージング装置1を用いる際には、照明・撮影部12を被検者STの患部から数十cm程度離間させた状態とするのが好ましい。
光源部24は、白色光源である第1の光源241と、励起用光源である第2の光源242とを備えている。
第1の光源241は、白色光を照射する。これにより、被検者STに向けて白色光を照射する白色光照射工程を行うことができる。そして、この白色光は、反射光として被検体STから反射される。
【0020】
第2の光源242は、蛍光色素を励起させるための励起光を照射する。これにより、蛍光色素が注入、投与された被検者STに向けて、当該蛍光色素を励起させるための励起光を照射する励起光照射工程を行うことができる。蛍光色素がインドシアニングリーンの場合、当該インドシアニングリーンを励起させるための励起光としては、例えば、波長が810nmの近赤外光を用いるのが好ましい。810nmの近赤外光を照射されたインドシアニングリーンからは、ピークが845nm程度の近赤外光が蛍光として放射される。
【0021】
光源制御部25は、第1の光源241の点灯を制御する機能を有している。この機能により、第1の光源241に白色光の照射およびその停止をさせることができる。また、光源制御部25は、第2の光源242の点灯を制御する機能を有している。この機能により、この機能により、第2の光源242に励起光の照射およびその停止をさせることができる。なお、光源制御部25は、例えば、CPU等で構成されている。
【0022】
ズームレンズ26には、被検体STで反射した反射光である白色光と、被検体ST内のインドシアニングリーンから発生された近赤外光である蛍光とが入射する。そして、このズームレンズ26により、白色光は白色光センサ28に対して焦点合わせされ、蛍光は励起光センサ29に対して焦点合わせされる。
プリズム27には、ズームレンズ26からの光、すなわち、白色光および蛍光が一括して入射する。そして、この一括入射した白色光および蛍光は、プリズム27により分離して、白色光が白色光センサ28に向かい、蛍光が励起光センサ29に向かうことができる。
【0023】
白色光センサ28は、プリズム27により分離された白色光の一部を検出する。励起光センサ29は、プリズム27により分離された近赤外光(励起光)の一部を検出する。
また、図4に示すように、イメージング装置1は、画像形成部17と、画像合成部18と、保存部19と、録画部20と、操作部10とを備えている。これら各部は、台車11に配置されている。
【0024】
画像形成部17には、白色光センサ28によって検出された白色光と、励起光センサ29によって検出された近赤外蛍光とが入力される。そして、画像形成部17は、白色光センサ28によって検出された白色光を、RGB(赤、緑、青)の3色により構成される24ビット(=3×8)の可視画像IM1として形成する。また、画像形成部17は、励起光センサ29によって検出された蛍光を、8ビットの蛍光画像IM2として形成する。このように本実施形態では、画像形成部17は、白色光が照射された被検体STを撮影することにより、可視画像IM1を取得する可視画像撮影部である第1の撮影部171と、蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像IM2を取得する蛍光画像撮影部である第2の撮影部172として機能する。
また、第1の撮影部171では、白色光が照射されたた被検体STを撮影することにより、可視画像IM1を取得する可視画像取得工程が行われる。第2の撮影部172では、蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像IM2を取得する蛍光画取得工程が行われる。
【0025】
画像合成部18は、画像形成部17により形成された白色光による可視画像IM1と、蛍光による蛍光画像IM2とを合成して、合成画像IM3を形成する(生成する)。
また、図6に示すように、可視画像IM1、蛍光画像IM2、合成画像IM3は、画像表示部15に一括して表示される。これにより、可視画像IM1、蛍光画像IM2、合成画像IM3を画像表示部15に表示する画像表示工程を行うことができる。また、本実施形態では、画像表示部15は、可視画像IM1を表示する第1表示部151と、蛍光画像IM2を表示する第2表示部152と、合成画像IM3を表示する第3表示部153とに分けられている。そして、第3表示部153内の合成画像IM3を観察することにより、医師は、被検者STの血行状態を正確に把握することができ、また、この血行状態に基づいて、血管を切離する部分、すなわち、切離線を正確に決定することができる。
【0026】
保存部19は、白色光センサ28によって検出された白色光(信号)と、励起光センサ29によって検出された蛍光(信号)とを保存するように構成されている。
録画部20は、画像表示部15に表示される画像を録画するように構成されている。これにより、可視画像IM1、蛍光画像IM2、合成画像IM3を録画する録画工程を行うことができる。そして、医師は、この録画された可視画像IM1、蛍光画像IM2、合成画像IM3のいずれかを必要に応じて画像表示部15で見直すことができ、よって、正確に手術を行うことができる。
操作部10は、イメージング装置1の操作を行うユーザインターフェースである。例えば、操作部10は、光源部24からの光の照射、照射の停止、明るさおよび感度の調整、画像表示部15に表示される画像の表示方法などを操作するように構成されている。
【0027】
前述したように、イメージング装置1を用いることにより、被検者STに外科手術を施す際に、被検者STの血行状態を把握することができる。また、外科手術では、その他に、例えば、血管の太さや臓器の大きさ等を把握したい場合がある。そこで、イメージング装置1は、大きさを把握したい計測対象物MOがある場合、その計測対象物MOの大きさを把握可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。以下、この構成および作用について説明する。なお、計測対象物MOは、本実施形態では一例として「胃」を挙げるが、これに限定されない。
【0028】
図6に示すように、イメージング装置1は、被検体STと近接して配置される基準尺50を備える。基準尺50としては、特に限定されず、例えば、計測対象物MOである胃の幅を測定したい場合、直線定規とするのが好ましいが、計測対象物MOによっては、分度器等の他の測定器具とすることができる。
【0029】
基準尺50は、例えば、被検体STの胸部上に配置される。そして、可視画像取得工程では、白色光が照射された状態で、被検体STと、被検体ST上の基準尺50とが撮影される。これにより、被検体STと基準尺50とが写り込んだ可視画像IM1を取得することができる。可視画像IM1は、画像表示部15の第1表示部151に表示される。
【0030】
ユーザインターフェースである操作部10には、マウス(図示せず)が含まれる。そして、このマウスを用いて、画像表示部15の第1表示部151に表示される可視画像IM1上において、基準尺50に沿った基準ラインLN1を入力することができる。基準ラインLN1の長さは、基準尺50の目盛りが「0」の位置から任意の目盛りの位置までとすることができるが、基準尺50の全長、すなわち、最大測定長さよりも短いのが好ましい。また、このときの基準ラインLN1の長さを数値として入力することもできる。
【0031】
また、基準ラインLN1の入力と同様に、マウスを用いて、画像表示部15の第2表示部152に表示される蛍光画像IM2上において、所望の計測ラインLN2を入力する、すなわち、本実施形態では胃の幅に相当する箇所に計測ラインLN2を入力することができる。
【0032】
このようにイメージング装置1では、画像表示部15に表示される可視画像IM1上において、基準尺50に沿った基準ラインLN1を入力し、画像表示部15に表示される蛍光画像IM2上において、所望の計測ラインLN2を入力することができる。これにより、ライン入力工程が行われる。
【0033】
なお、本実施形態では、基準尺50は、第1の撮影部171で撮影されて可視画像IM1中に写っているが、これに限定さない。例えば、基準尺50の目盛りに蛍光材が塗布されている場合、基準尺50を第2の撮影部172で撮影して、蛍光画像IM2中に写してもよい。
【0034】
図4に示すように、イメージング装置1は、距離算出部60を備える。距離算出部60は、基準ラインLN1の長さに基づいて、計測ラインLN2の長さを算出する(演算する)。なお、距離算出部60は、例えば、CPU等で構成されている。
この算出方法としては、特に限定されず、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、基準ラインLN1の長さの画素数(以下「第1画素数」と言う)と、計測ラインLN2の長さの画素数(以下「第2画素数」と言う)とを検出する。次いで、第2画素数が第1画素数の何倍になるのかを演算する。次いで、この演算結果に、実際の基準ラインLN1の長さを乗じる。これにより、実際の計測ラインLN2の長さが得られる。
【0035】
例えば、第1画素数が100画素、第2画素数が150画素の場合、第2画素数は、第1画素数の1.5倍となる。そして、実際の基準ラインLN1の長さが50mmだったらならば、50mm×1.5倍を演算して、実際の計測ラインLN2の長さが75mmとして算出される。
【0036】
このようにイメージング装置1では、基準ラインLN1の長さに基づいて、計測ラインLN2の長さを算出することができる。これにより、長さ算出工程が行われる。
なお、距離算出部60は、基準ラインLN1の長さを用いずに、基準尺50の長さに基づいて、計測ラインLN2の長さを算出することもできる。この場合の算出方法も上記の算出方法と同様である。
【0037】
そして、計測ラインLN2の長さは、実際の長さを示す数値NVとして、画像表示部15の第3表示部153に表示される。これにより、距離算出部60によって算出された計測ラインLN2の長さを、画像表示部15の第3表示部153に表示する長さ表示工程が行われる。
【0038】
医師は、第3表示部153に表示された数値NVを視認することにより、計測対象物MOである胃の幅を正確に把握することができる。これにより、手術を安全かつ正確に行うことができる。
以上のように、大きさを把握したい計測対象物MOがある場合、イメージング装置1を用いることにより、当該計測対象物MOの大きさを正確に把握することができる。
【0039】
以上、本発明のイメージング装置およびイメージング方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、イメージング装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0040】
また、前記実施形態においては、蛍光色素を含む材料としてインドシアニングリーンを使用し、このインドシアニングリーンに対して600nm~850nm程度の近赤外光を励起光として照射することにより、インドシアニングリーンからおおよそ810nmをピークとする近赤外領域の蛍光を発光させる場合について説明したが、近赤外線以外の光を使用してもよい。
【0041】
また、被検者の症例によっては、蛍光色素として、インドシアニングリーンを使用する代わりに、例えば5-アミノレブリン酸(5-ALA/5-Aminolevulinic Acid)を使用してもよい。
【0042】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0043】
(第1項)一態様に係るイメージング装置(1)は、
白色光を被検体に向けて照射する第1の光源(241)と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて照射する第2の光源(242)と、
前記被検体と近接して配置される基準尺(50)と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部(171)と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部(172)と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する画像表示部(15)と、
前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェース(10)と、
前記基準尺が前記第1の撮影部又は前記第2の撮影部で撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する距離算出部(60)と、
を備え、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示するように構成される。
【0044】
第1項に記載のイメージング装置によれば、大きさを把握したい計測対象物がある場合、その計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0045】
(第2項)第1項に記載のイメージング装置(1)において、
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する録画部(20)をさらに備え、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示するように構成することができる。
【0046】
第2項に記載のイメージング装置によれば、録画された可視画像及び蛍光画像内の計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0047】
(第3項)一態様に係るイメージング装置(1)は、
白色光を被検体に向けて照射する第1の光源(241)と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて照射する第2の光源(242)と、
前記被検体と近接して配置される基準尺(50)と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する第1の撮影部(171)と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する第2の撮影部(172)と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を表示する画像表示部(15)と、
前記画像表示部に表示される前記可視画像上において、前記基準尺に沿った基準ラインを入力し、前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力するユーザインターフェース(10)と、
前記基準ラインの長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する距離算出部(60)と、
を備え、
前記画像表示部が、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示するように構成される。
【0048】
第3項に記載のイメージング装置によれば、基準ラインの長さに基づいて、計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0049】
(第4項)第3項に記載のイメージング装置(1)において、
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する録画部(20)をさらに備え、
前記画像表示部が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示するように構成することができる。
【0050】
第4項に記載のイメージング装置によれば、録画された可視画像及び蛍光画像内の計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0051】
(第5項)一態様に係るイメージング方法は、
白色光を被検体に向けて照射する工程と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて照射する工程と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を画像表示部に表示する工程と、
前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、
前記基準尺が前記可視画像を取得する工程又は前記蛍光画像を取得する工程で撮影されており、該基準尺の長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する工程と、
前記画像表示部に、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示する工程と、を含むことができる。
【0052】
第5項に記載のイメージング方法によれば、大きさを把握したい計測対象物がある場合、その計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0053】
(第6項)第5項に記載のイメージング方法において、
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する工程をさらに含み、
前記画像表示部に表示する工程が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示することができる。
【0054】
第6項に記載のイメージング装置によれば、録画された可視画像及び蛍光画像内の計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0055】
(第7項)一態様に係るイメージング方法は、
白色光を被検体に向けて照射する工程と、
前記被検体内に注入された蛍光色素を励起させるための励起光を、前記被検体に向けて照射する工程と、
前記白色光が照射された前記被検体を撮影することにより、可視画像を取得する工程と、
前記蛍光色素から発生した蛍光を撮影することにより、蛍光画像を取得する工程と、
前記可視画像及び前記蛍光画像を画像表示部に表示する工程と、
前記画像表示部に表示される前記可視画像上において、前記基準尺に沿った基準ラインを入力し、前記画像表示部に表示される前記蛍光画像上において、所望の計測ラインを入力する工程と、
前記基準尺が前記可視画像を取得する工程又は前記蛍光画像を取得する工程で撮影されており、該基準ラインの長さに基づいて、前記計測ラインの長さを算出する工程と、
前記画像表示部に、前記距離算出部によって算出された前記計測ラインの長さを表示する工程と、を含むことができる。
【0056】
第7項に記載のイメージング装置によれば、基準ラインの長さに基づいて、計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【0057】
(第8項)第7項に記載のイメージング方法において、
前記可視画像及び前記蛍光画像を録画する工程をさらに含み、
前記画像表示部に表示する工程が、前記録画部に録画された前記可視画像及び前記蛍光画像を表示することができる。
【0058】
第8項に記載のイメージング装置によれば、録画された可視画像及び蛍光画像内の計測対象物の大きさを正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 イメージング装置
10 操作部
11 台車
12 照明・撮影部
13 車輪
14 ハンドル
15 画像表示部
151 第1表示部
152 第2表示部
153 第3表示部
16 凹部
17 画像形成部
171 第1の撮影部
172 第2の撮影部
18 画像合成部
19 保存部
20 録画部
24 光源部
241 第1の光源
242 第2の光源
25 光源制御部
26 ズームレンズ
27 プリズム
28 白色光センサ
29 励起光センサ
30 アーム機構
31 第1アーム部材
32 第2アーム部材
33 ヒンジ部
34 ヒンジ部
35 ヒンジ部
36 支柱
37 支持部
41 サブアーム
42 回転軸
43 支持部
50 基準尺
60 距離算出部
IM1 可視画像
IM2 蛍光画像
IM3 合成画像
LN1 基準ライン
LN2 計測ライン
MO 計測対象物
NV 数値
ST 被検者
図1
図2
図3
図4
図5
図6