(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】内部フレームに固定された2つの頭尾構成のラウドスピーカを持つアコースティックスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20241025BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
H04R1/40 310
H04R1/02 101Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184517
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-09-06
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512228750
【氏名又は名称】ドゥビアル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】マクス レネ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン ガングロフ
(72)【発明者】
【氏名】ベランジェ ロワ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ベイザ
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル シャンボン
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0337756(US,A1)
【文献】登録実用新案第3175641(JP,U)
【文献】Michael Brown,"Devialet Phantom review: Forget everything you thought you knew about speaker technology",[online],2015年11月13日,[2023.09.20検索], インターネット<URL: https://www.techhive.com/article/600033/devialet-phantom-review-forget-everything-you-thought-you-knew-about-speaker-technology.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-金属フレーム(3)と、
-前記フレーム(3)に締結されたプラスチックシェル(5)であって、前記シェル(5)が少なくとも2つの開口(7A、7B)を形成する、プラスチックシェルと、
-横断軸線(T)に沿って背中合わせに配列された少なくとも2つのラウドスピーカ(9A、9B)であって、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)がそれぞれ前記2つの開口(7A、7B)を横切って延びる、少なくとも2つのラウドスピーカと、
を備える、アコースティックスピーカ(1;100)において、
前記フレーム(3)が、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の間を横切って配置されかつ前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)がその上に締結される内側部分(21)を備え、
前記シェル(5)が一体型である、ことを特徴とする、
アコースティックスピーカ(1;100)。
【請求項2】
-前記フレーム(3)が、長手軸線(L)に沿って前記アコースティックスピーカ(1;100)の後部(15)を形成する外側部分(19)を備え、前記シェル(5)が前記長手軸線(L)に沿って前記アコースティックスピーカ(1;100)の前部(13)を形成し、
-前記シェル(5)と前記フレーム(3)の前記外側部分(19)が、前記長手軸線(L)に沿って相互に入れ子構成するのに適する、
請求項
1に記載のアコースティックスピーカ(1;100)。
【請求項3】
前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の一方(9B)を前記内側部分(21)に締結するための締結システム(11)を備え、前記締結システム(11)が、
-前記フレーム(3)の前記内側部分(21)を貫通する第1部分(79)と、
-前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)に対して横断方向に前記内側部分(21)の他方の側に配置された第2部分(81)であって、前記第2部分(81)が、前記内側部分(21)が前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)と前記第2部分(81)との間に挟まれるブロック位置と前記2つの開口(7A、7B)の一方を介して前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)を取り外せるようにするアンブロック位置との間で、前記横断軸線(T)に対して平行の軸線(T’)の周りで前記内側部分(21)に対して回転可能に取り付けられ、前記第2部分(81)が前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の他方(9A)が不在のとき前記内側部分(21)の前記他方の側から回転作動できる、第2部分(81)と、
を含む、
請求項1
又は2に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項4】
前記締結システム(11)の前記第1部分(79)が、スクリューの軸部を備え、前記第2部分(81)が前記スクリューの頭部を備える、請求項
3に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項5】
前記締結システム(11)の前記第2部分(81)が、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の他方(9A)によって形成されたハウジング(63A)の中に係合する前記横断軸線(T)に沿った延長部(83)を含む、請求項
3又は
4に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項6】
前記ラウドスピーカ(9A、9B)の少なくとも一方(9A)が、前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に接着された面(61A)を備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項7】
前記シェル(5)が、前記接着された面(61A)へのアクセスを形成する開口(46)を形成する、請求項
6に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項8】
前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の一方(9B)が、前記横断軸線(T)に対して直角を成す向きに定められかつ前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)のブロック位置と前記2つの開口(7A、7B)の一方(7B)を介して前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)を取り外せるようにするアンブロック位置との間で前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に対して少なくとも1つのダウエルピン(113、115)を移動するために前記シェル(5)の少なくとも1つの開口(139、141)を介してアクセス可能な頭部(9B)を含む少なくとも1つのダウエルピン(113、115)を備える締結システム(111)によって、前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に固定される、請求項1~
7のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
-金属フレームと、
-フレームに固定されたプラスチックシェルであって、シェルが少なくとも2つの開口を形成する、シェルと、
-横断軸線に沿って背中合わせに配列された少なくとも2つのラウドスピーカであって、2つのラウドスピーカが、それぞれ2つの開口を横切って延びる、少なくとも2つのラウドスピーカと、
を備える、アコースティックスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカ、特にウーファは、嵩が大きく重い要素であり、アコースティックスピーカにかなりの振動を生じる可能性がある。したがって、一方のラウドスピーカによって発生した振動が他方のラウドスピーカによって発生した振動によって相殺されるように頭尾構成に配列される。
【0003】
このようなアコースティックスピーカを組み立てる際、まず、ラウドスピーカが、アコースティックスピーカの内側において、シェルの部分に取り付けられる。その後、シェルの部分は、2つのラウドスピーカが頭尾構成になるように、相互に及び/又はフレームに最終位置に組み立てられる。このような構造の利点は、ラウドスピーカが通過して延びる開口のプラスチックの周囲をラウドスピーカが強化することである。
【0004】
しかし、組立て全体は比較的複雑であり、シェルの部分の組立ての痕跡が残り、これは使用者に見える又は使用者が触れる可能性がある。このような痕跡は、アコースティックスピーカに与えたい滑らかできれいな外観にとって有害である。このような痕跡は、概ね美的に好ましくないと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、組立てがより複雑ではないアコースティックスピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、上述のタイプのアコースティックスピーカに関連し、フレームは、2つのラウドスピーカの間を横切って配置されかつその上に2つのラウドスピーカが固定される内側部分を備える。
【0007】
具体的実施形態によれば、アコースティックスピーカは、単独で又は技術的に可能な任意の組合せで下記の特徴の1つ又はそれ以上を含む。即ち、
-2つのラウドスピーカは、フレームによって形成されるもの以外にシェルとの間に堅固な接続部を持たず、
-シェルは一体型であり、
-フレームは、長手軸線に沿ってアコースティックスピーカの後部を形成する外側部分を備え、シェルは、長手軸線に沿ってアコースティックスピーカの前部を形成し、シェルとフレームの外側部分は、長手軸線に沿って相互に入れ子構成するのに適し、
-アコースティックスピーカは、2つのラウドスピーカの一方を内側部分に固定するのに適する締結システムを備え、締結システムは、フレームの内側部分を貫通する第1部分と、2つのラウドスピーカの前記一方に対して横断方向に内側部分の他方の側に配置された第2部分とを含み、第2部分は、内側部分が2つのラウドスピーカの前記一方と第2部分との間に挟まれるブロック位置と、2つの開口の一方を介して2つのラウドスピーカの前記一方を取り外せるようにするアンブロック位置との間で横断軸線に対して平行の軸線の周りで内側部分に対して回転可能に取り付けられ、第2部分は、前記2つのラウドスピーカの他方が不在のとき内側部分の他方の側から回転作動でき、
-締結システムの第1部分は、スクリューの軸部を備え、第2部分は前記スクリューの頭部を備え、
-締結システムの第2部分は、2つのラウドスピーカの他方によって形成されたハウジングの中に係合する横断軸線に沿った延長部を含み、
-ラウドスピーカの少なくとも一方は、フレームの内側部分に接着された面を備え、
-シェルは、前記接着された面へのアクセスを形成する開口を形成し、
-2つのラウドスピーカの一方は、横断軸線に対して直角を成す向きに定められかつ2つのラウドスピーカの前記一方のブロック位置と2つの開口の一方を介して2つのラウドスピーカの前記一方を取り外せるようにするアンブロック位置との間でフレームの内側部分に対してダウエルピンを動かすためにシェルの少なくとも一方の開口を介してアクセス可能な頭部を含む、少なくとも1つのダウエルピンを備える締結システムによってフレームの内側部分に固定される。
【0008】
本発明は、添付図面を参照しながら単に例として示す下記の説明を読めば、より良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るアコースティックスピーカの分解斜視図である。
【
図2】
図1のアコースティックスピーカの側面図である。
【
図3】
図1のアコースティックスピーカの前面図である。
【
図4】
図1~3のアコースティックスピーカの、アコースティックスピーカによって形成された長手軸線及びラウドスピーカによって形成された横断軸線を通過する平面に沿って見た断面図である。
【
図5】
図1~4のアコースティックスピーカのシェルの2つのコピーの中に在る金属インサートの前面図である。
【
図6】ラウドスピーカの一方の接着ゾーンを中心とする
図4の詳細図である。
【
図7】ラウドスピーカの一方の密封ガスケットを中心とする
図4の詳細図である。
【
図8】
図1~4のアコースティックスピーカの変形を構成するアコースティックスピーカの分解斜視図である。
【
図9】
図8のアコースティックスピーカの、垂直中心面に沿って見た断面図である。
【
図10】
図8及び9のアコースティックスピーカの、長手軸線に対して直角を成しかつラウドスピーカによって形成された横断軸線を通過する平面に沿って見た断面詳細図で特に、
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るアコースティックスピーカ1について、
図1~4を参照して説明する。
【0011】
アコースティックスピーカ1は、例えば、アクティブスピーカである。即ち、特に、音響信号リーダと増幅器と(図示せず)を含む。同様に、明確化のために、本発明に直接関係しないアコースティックスピーカの他の電気又は電子要素は図示しない。
【0012】
アコースティックスピーカ1は、金属フレーム3と、フレームに固定されかつ少なくとも2つの開口7A、7Bを形成するプラスチックシェル5と、を備える。アコースティックスピーカ1は、横断軸線Tに沿って背中合わせに配列されかつそれぞれ2つの開口7A、7Bを横切って延びる2つのラウドスピーカ9A、9Bを備える。アコースティックスピーカは、ラウドスピーカ9Bをフレーム3に固定するのに適する締結システム11を備え、ラウドスピーカ9Aは、図示する例においてこのフレームにもっと単純に固定される。
【0013】
横断軸線Tは、例えば、アコースティックスピーカが水平面S上で使用位置にあるとき水平である。
【0014】
図示する実施例において、アコースティックスピーカ1は、横断軸線Tに対して直角を成すことが好ましい長手軸線Lに沿って長円形である。したがって、アコースティックスピーカ1は、シェル5によって形成された前部13と、フレーム3によって形成された後部15とを含む。
【0015】
好ましくは、アコースティックスピーカ1は、シェル5によって形成されたハウジング17の中に固定された第3のラウドスピーカ(図示せず)を備える。
【0016】
アコースティックスピーカは、例えば、横断軸線Tに対して直角を成しかつ長手軸線Lを通過する平面Pに対して対称形である外側形状を持つ。
【0017】
フレーム3は、例えば、好ましくはアルミニウムから作られ鋳造部品である。
【0018】
フレーム3は、アコースティックスピーカの後部15を形成し例えば長手軸線Lに沿ってシェル5と入れ子構成するのに適する外側部分19を備える。フレーム3は、平面Pに沿って2つのラウドスピーカ9A、9Bの間に延びかつその上に2つのラウドスピーカが堅固に固定される内側部分21を備える。
【0019】
「堅固に固定」とは、本明細書において、例えば100N(ニュートン)好ましくは1000Nの引裂き強度に耐える確実な機械的固定を意味する。
【0020】
外側部分19は、アコースティックスピーカ内部に発生した熱を排出するための複数のフィン25を形成する後部23(
図4)と、後部23からラウドスピーカ9A、9B下方を長手方向に延びるソールプレート27と、を備える。
【0021】
内側部分21は、例えば、概ね平面形状を持つ。内側部分21は、後部23及びソールプレート27と一体的であると有利である。内側部品21は、締結システム11が貫通する軸方向の通路29を形成する。
【0022】
横断方向にラウドスピーカ9Aの方を向く第1面31Aにおいて、内側部分は、ラウドスピーカ9Aの受容面33Aを形成する。横断方向にラウドスピーカ9Bの方を向く第2面31Bにおいて、内側部分は、ラウドスピーカ9Bの受容面33Bを形成する。
【0023】
受容面33A、33Bは、横断軸線Tに対して直角を成すと有利である。受容面は、横断軸線を完全に取り囲むと有利であり、例えば環状形を持つ。受容面は、それぞれ第1面31A及び第2面31Bにおいて、内側部分21の横断隆起部を形成する。
【0024】
シェル5は、一体型であると有利である。「一体型」とは、シェルが単一のピースであり、相互に機械的に固定される部分によって構成されないことを意味する。
【0025】
シェル5は、フレームの外側部分19と一緒にアコースティックスピーカの内部容積35を形成し、この中にラウドスピーカ9A及び9Bがほとんど挿入される。
【0026】
シェル5は、例えばポリカーボネート(PC)及び15%~25%(重量)のグラスファイバを含む内側層37と、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む外側層39又はトリム層と、を備える。
【0027】
シェルは、例えば内側部分21の縁の中へ長手方向にネジ入れられるダウエルピン41及びシェルを長手方向に内側部分に押圧するようにダウエルピンの上にネジ式に嵌められるナット43を使用して、フレームの内側部分21に堅固に固定される。
【0028】
シェルは、フレーム3による以外には2つのラウドスピーカ9A、9Bに堅固に接続されない。シェルは、それぞれ開口7A、7Bを介して横断軸線Tに沿ってフレームの内側部分21までラウドスピーカ9A、9Bを挿入できるようにするのに適する。
【0029】
シェルは、それぞれ長手方向にラウドスピーカ9A、9Bとフレームの後部23との間に配置された2つの後部分45A、45Bを備える。
【0030】
シェルは、ラウドスピーカ9Aにアクセスするための開口46を形成すると有利である。
【0031】
開口46は、ハウジング17の中に収容されて、第3スピーカ(図示せず)に隠されると有利である。
【0032】
内側層37は内部容積35の境界となる。
【0033】
開口7A、7Bは、円形であり、例えば横断軸線Tを中心とすることが好ましい。開口7A、7Bは、それぞれシェルの2つの縁47A、47Bを境界とする。
【0034】
縁47A及び後壁45Aは、金属インサート49Aによって強化される。
【0035】
縁49B及び後壁45Bは、金属インサート49Aと構造的に同様であることが有利である金属インサート49Bによって強化される。
【0036】
2つのインサートは構造的に同様であり、インサート49Aについてのみ
図5を参照して簡単に説明する。
【0037】
インサート49Aは、シェルの内側層37によってオーバーモールドされる。金属インサート49Aは、縁47Aを強化するために縁47Aに配置された円形部分51と、円形部分51に長手方向に隣接し後壁45Aに配置された部分53とを備える。
【0038】
ラウドスピーカ9A、9Bは、例えばウーファである。「ウーファ」は、例えば、1000Hz未満好ましくは500Hz未満、より好ましくは150Hz未満の周波数の音波を拡散するのに適するラウドスピーカを意味する。
【0039】
ラウドスピーカ9A、9Bは、それぞれ、シャーシ55A、55B(
図4)と、音波を発するのに適するメンブレン57A、57Bと、磁気回路59A、59Bと、を備える。
【0040】
メンブレン57A、57Bは、球体キャップであると有利である。ラウドスピーカ9A、9Bは横断方向においてメンブレンと反対の側で内側部分21に固定されるので、メンブレンは、横断軸線Tにおいて遮断されない。
【0041】
磁気回路59A、59Bは、フレームの内側部分21に固定される。磁気回路59A、59Bは、それぞれフレームの受容面33A、33Bと当接する面61A、61Bを形成する。磁気回路は、それぞれ、少なくともフレームの内側部分21の側にある軸方向ハウジング63A、63Bを形成する。
【0042】
図6に示すように、面61Aは、横断軸線Tから半径方向に、磁気回路59Aによって形成されたリム65Aを境界とする。
【0043】
面33Aは、例えば接着剤67を使用して受容面61Aに接着される。
【0044】
好ましくは、リム65A及び受容面33Aを形成する内側部分21の隆起部は、一緒にハウジング69を形成し、この中に接着剤67の過剰分があって、磁気回路59Aとフレームの内側部分21との間の結合を強化する。
【0045】
実施例において、シャーシ55A、55Bは、磁気回路59A、59Bに固定されて、フレームには直接的に固定されない。
【0046】
シャーシ55A、55Bは、磁気モーター及びフレーム3による以外にはシェル5に堅固に固定されない。言い換えると、ラウドスピーカ9A、9Bのシャーシは、シェルの縁47A、47Bに対して突き出される。
【0047】
図7に示すように、密封ガスケット71A、71Bは、それぞれラウドスピーカ9A、9Bとシェルの縁47A、47Bとの間に配列される。但し、これらのシールは、ラウドスピーカ9A、9Bとシェルとの間の堅固な接続部を構成しない。
【0048】
密封ガスケット71A及び71Bは、構造的に相互に同一でありかつ平面Pに対して相互に対称的なので、本明細書においてはシール71Aについてのみ説明する。
【0049】
シール71Aは、横断軸線Tの周りでシャーシ55Aを弾性的に把握する本体部73と、シェルの縁47Aを圧迫するリップ75とを備える。
【0050】
本体部73は、シャーシ55Aによって形成されたショルダ77Aを横断方向に圧して当接する。
【0051】
リップ75は、横断方向にアコースティックスピーカの外側に曲がる。
【0052】
シール71Aの構成は、開口7Aを介した内部容積35の中へのラウドスピーカ9Aの挿入を容易にできる。
【0053】
締結システム11は、通路29を介してフレームの内側部分21を通過して軸方向に延びる第1部分79と、ラウドスピーカ9Bに対して横断方向において第1部分21の他方の側に配置された第2部分81と、を備える。
【0054】
図示する例において、第1部分79は、スクリュー軸部であり、第2部分は、スクリューの頭部とワッシャとを含む。
【0055】
第1部分79即ちスクリュー軸部は、ラウドスピーカ9Bの磁気回路59Bによって形成されたハウジング63Bの中へネジ入れられる。
【0056】
第2部分81即ちスクリュー頭部は、軸T’即ちこの実施例において横断軸線Tの周りで、ラウドスピーカ9Bをブロックする位置と開口7Bを介してラウドスピーカ9Bを取り外せるようにするアンブロック位置との間で内側部分21に対して回転可能に取り付けられる。
【0057】
図4に示すブロック位置において、内側部分21は、軸方向にラウドスピーカ9Bと第2部分81との間に挟まれる。
【0058】
アンブロック位置において、第1部分79は磁気回路59Bから(ネジを)緩められて(unscrew)、ラウドスピーカ9Bを解放するので、ラウドスピーカは、横断軸線Tに沿って並進させることによって内部容積35から取り外せる。
【0059】
第2部分81即ちスクリュー頭部は、ラウドスピーカ9Aが不在のときラウドスピーカ9Bと反対の内側部分21の側から軸T’の周りで回転作動できる。
【0060】
図示する実施例において、第2部分81は、ラウドスピーカ9Aによって形成されたハウジング63Aの中に係合する横断方向延長部83を含む。これは、ラウドスピーカ9Aがフレームの受容面33Aに接着されるように内部容積35に導入されるときラウドスピーカ9Aの移動を案内できるようにする。
【0061】
図示しない変形によれば、締結システム11は、ラウドスピーカ9Bに固定されて通路29を貫通するダウエルピンと、横断方向にラウドスピーカ9Bと反対の内側部分21の側からダウエルピンの上にネジ式に嵌められるナットと、を含む。
【0062】
アコースティックスピーカ1の組立てについて簡単に説明する。
【0063】
フレームに電子要素(図示せず)を固定した後、シェル5とフレーム3は、長手軸Lに沿って相互に入れ子構成される。シェルは、その後、ナット43をダウエルピン41上にネジ式に嵌めることによって、フレームに固定される。
【0064】
ラウドスピーカ9Bは、開口7Bを介して横断軸線Tに沿って内部容積35の中へ導入される。
【0065】
まだラウドスピーカ9Aに占められていない内側部分21の外側から、締結システム11は通路29の中へ導入される。第1部分79は、第2部分81が内側部分21に当接するまでハウジング63Bの中へネジ入れられる。磁気回路59Bの面61Bは、内側部分の受容面33Bとしっかりと当接したまま維持される。締結システム11のネジ入れ操作は、ラウドスピーカ9Aによってまだ占められていない内側部分21の側から簡単に実施される。
【0066】
次に、受容面33A及び/又は磁気回路59Aの面61Aが、接着剤67でコーティングされる。ラウドスピーカ9Aは、シェルの開口7Aを介して内部容積35の中へ導入される。第2部分81の延長部83は、磁気回路59Aによって形成されたハウジング63Aの中へ進入して、ラウドスピーカ9Aの移動を案内できるようにする。面61Aと受容面33Aは、相互に当接を維持される。接着剤67の過剰分は、ハウジング69の中へ流れ込む。接着剤が乾燥する。これで、ラウドスピーカ9Aは、フレームの内側部分21に確実に固定される。
【0067】
ラウドスピーカの分解の際には、シェルによって形成されたアクセス口46を使用して、適切なツール(図示せず)を挿入して、ラウドスピーカ9Aを内側部分21から緩める。ラウドスピーカ9Aは、その後、横断軸線Tに沿って取り外せる。ラウドスピーカ9Aを取り外したら、締結システム11は、開口7Aを介してアクセス可能になる。その後、第1部分79のネジを緩めてラウドスピーカ9Bを解放するために第2部分81を回転できる。ラウドスピーカ9Bは、開口7Bを介して横断軸線Tに沿って取り外せる。
【0068】
上述の特徴を持つので、アコースティックスピーカ1は、シェル5の一体型性質にもかかわらず、組立・解体が容易である。
【0069】
図8~10を参照して、次にアコースティックスピーカ1の変形を構成するアコースティックスピーカ100について説明する。アコースティックスピーカ100は、
図1~7に示すアコースティックスピーカ1と同様である。同様の要素には同じ参照符号を付けて、重ねて説明しない。下では顕著な相違についてのみ説明する。
【0070】
アコースティックスピーカ100は、ラウドスピーカ9A、9Bの締結様式の点で異なる。
【0071】
アコースティックスピーカ100のラウドスピーカ9Aは、アコースティックスピーカ1のラウドスピーカ9Bと同様にネジ式に係合することによって固定される。
図10に示すように、締結システム11は、ラウドスピーカ9Aを内側部分21に堅固に固定する。第1部分79は、磁気回路59Aの中へネジ入れられ、第2部分81は、ラウドスピーカ9Aの反対の内側部分21の側から第1部分をネジ止めできるようにする。
【0072】
第2部分81は、アコースティックスピーカ1には存在する延長分83を持たない。
【0073】
ラウドスピーカ9Bは、内側部分21にラウドスピーカ9Bを接着することを含まない締結システム111によって内側部分21に固定される。
【0074】
締結システム111は、内側部分21に対してラウドスピーカ9Bをブロック又はアンブロックできるようにする2つのダウエルピン113、115を備える。
【0075】
図示しない変形によれば、締結システム111は、ダウエルピンを1つだけ含むように構成される。
【0076】
締結システム111は、ダウエルピン113、115を長手方向に案内するための支持ブロック117と、ラウドスピーカ9Bの磁気回路59Bの中へ軸方向にネジ入れられるワッシャヘッドスクリュー119と、ロックワッシャ121と、ワッシャヘッドスクリュー119の上にスリップ式に嵌められる接続ピース123とを備える。
【0077】
ロックワッシャ121は、接続ピース123とワッシャヘッドスクリュー119の頭部125との間で横断方向に圧迫される。ロックワッシャ121は、高い強靭性を持つ。
【0078】
変形(図示せず)において、数個のロックワッシャが、接続ピース123と頭部125との間に直列に配列される。
【0079】
支持ブロック117は、例えばスクリューによってフレームの内側部分21のラウドスピーカ9Bの側に締結される。支持ブロックは、ダウエルピン113、115のための2つの長手方向の通路127、129、及びスクリュー頭部125、ロックワッシャ121及び接続衣ピース123が中に配置されるハウジング131を形成する。
【0080】
ダウエルピン113、115は、ロックワッシャ121を徐々に圧迫してシステムの組立てを容易にするために、例えば長手方向に頭部133~135へ向かって徐々に増大する直径を持つスピンドル形プロフィルを持つ。
【0081】
接続ピース123は、ダウエルピン113、115のための横断方向のストッパを形成するリム137を含む。
【0082】
ダウエルピン113、115が支持ブロック117の中へネジ入れられたとき、ダウエルピンは、横断軸線Tに沿ってフレームの内側部品21へ向かって接続ピース123を押して、スクリュー頭部125と接続ピース123との間でロックワッシャ121を更に圧迫する。このように、ロックワッシャ12によってスクリュー頭部125に対して加えられた弾性力は、磁気回路59Bを支持ブロック117にしっかりと押し続けて、ラウドスピーカ9Bを内側部分21に締結する。
【0083】
ラウドスピーカ9Bは、内側部分21に堅固に締結されて、磁気回路59Bを支持ブロック117から離すためにはロックワッシャ121の強靭性に勝たなければならない。更に、ラウドスピーカ9Bは、この力が止むと、支持ブロックへ向かって戻される。
【0084】
変形において、ダウエルピン113、115は、フレームの内側部分21の中へネジ入れられ、支持ブロック117は省略される。
【0085】
好ましくは、シェル5は、シェルの外部からダウエルピンの頭部133、135にアクセスするための2つの開口139、141を形成する。
【0086】
これらのアクセス口は、第3のラウドスピーカによって隠されると有利である。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
-金属フレーム(3)と、
-前記フレーム(3)に締結されたプラスチックシェル(5)であって、前記シェル(5)が少なくとも2つの開口(7A、7B)を形成する、プラスチックシェルと、
-横断軸線(T)に沿って背中合わせに配列された少なくとも2つのラウドスピーカ(9A、9B)であって、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)がそれぞれ前記2つの開口(7A、7B)を横切って延びる、少なくとも2つのラウドスピーカと、
を備える、アコースティックスピーカ(1;100)において、
前記フレーム(3)が、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の間を横切って配置されかつ前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)がその上に締結される内側部分(21)を備える、ことを特徴とする、
アコースティックスピーカ(1;100)である。
第2の態様は、
前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)が、前記フレーム(3)によって形成されたもの以外に前記シェル(5)との間に堅固な接続部がない、第1の態様におけるアコースティックスピーカ(1;100)である。
第3の態様は、
前記シェル(5)が一体型である、第1の態様又は第2の態様におけるアコースティックスピーカ(1;100)である。
第4の態様は、
-前記フレーム(3)が、長手軸線(L)に沿って前記アコースティックスピーカ(1;100)の後部(15)を形成する外側部分(19)を備え、前記シェル(5)が前記長手軸線(L)に沿って前記アコースティックスピーカ(1;100)の前部(13)を形成し、
-前記シェル(5)と前記フレーム(3)の前記外側部分(19)が、前記長手軸線(L)に沿って相互に入れ子構成するのに適する、
第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1;100)である。
第5の態様は、
前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の一方(9B)を前記内側部分(21)に締結するための締結システム(11)を備え、前記締結システム(11)が、
-前記フレーム(3)の前記内側部分(21)を貫通する第1部分(79)と、
-前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)に対して横断方向に前記内側部分(21)の他方の側に配置された第2部分(81)であって、前記第2部分(81)が、前記内側部分(21)が前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)と前記第2部分(81)との間に挟まれるブロック位置と前記2つの開口(7A、7B)の一方を介して前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)を取り外せるようにするアンブロック位置との間で、前記横断軸線(T)に対して平行の軸線(T’)の周りで前記内側部分(21)に対して回転可能に取り付けられ、前記第2部分(81)が前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の他方(9A)が不在のとき前記内側部分(21)の前記他方の側から回転作動できる、第2部分(81)と、
を含む、
第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第6の態様は、
前記締結システム(11)の前記第1部分(79)が、スクリューの軸部を備え、前記第2部分(81)が前記スクリューの頭部を備える、第5の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第7の態様は、
前記締結システム(11)の前記第2部分(81)が、前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の他方(9A)によって形成されたハウジング(63A)の中に係合する前記横断軸線(T)に沿った延長部(83)を含む、第5の態様又は第6の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第8の態様は、
前記ラウドスピーカ(9A、9B)の少なくとも一方(9A)が、前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に接着された面(61A)を備える、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第9の態様は、
前記シェル(5)が、前記接着された面(61A)へのアクセスを形成する開口(46)を形成する、第8の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第10の態様は、
前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の一方(9B)が、前記横断軸線(T)に対して直角を成す向きに定められかつ前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)のブロック位置と前記2つの開口(7A、7B)の一方(7B)を介して前記2つのラウドスピーカ(9A、9B)の前記一方(9B)を取り外せるようにするアンブロック位置との間で前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に対して少なくとも1つのダウエルピン(113、115)を移動するために前記シェル(5)の少なくとも1つの開口(139、141)を介してアクセス可能な頭部(9B)を含む少なくとも1つのダウエルピン(113、115)を備える締結システム(111)によって、前記フレーム(3)の前記内側部分(21)に固定される、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(100)である。