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特許7576911透明なボディの光学検査を行う方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】透明なボディの光学検査を行う方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241025BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20241025BHJP
   G01N 21/896 20060101ALI20241025BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/30 A
G01N21/896
G01N21/90 B
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019506401
(86)(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2017069259
(87)【国際公開番号】W WO2018024648
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】102016114190.9
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100165940
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 令子
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン クレーガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴィアト
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン テュアク
【合議体】
【審判長】濱野 隆
【審判官】貝沼 憲司
【審判官】小島 寛史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-222246(JP,A)
【文献】特開昭61-294818(JP,A)
【文献】特開2009-128261(JP,A)
【文献】特開2005-201895(JP,A)
【文献】特開2007-40855(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127657(WO,A1)
【文献】特開2008-224523(JP,A)
【文献】特開平9-15159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学撮像装置および計算ユニットの使用を含むボディの光学検査を行う方法であって、
・検査中、前記撮像装置の検出領域内に前記ボディの検査すべき領域が設定されるように前記ボディを位置決めし、
・前記検査中、回転軸線を中心として前記ボディを回転させ、
・前記回転中、前記撮像装置によって、少なくとも部分的に重なり合う前記ボディについての複数の個別像を撮像し、
・予め定められた回転位置によって、各個別像撮像する特徴付け前記予め定められた回転位置は、前記撮像装置を基準とした前記ボディの配向を定める、
光学検査を行う方法であって、
a)前記ボディについての第1の個別像を作成し、基準画像として用いられるディジタルの画像として前記計算ユニットへ伝送するステップと、
b)予め定められた回転角度だけ、予め定められた次の回転位置に達するまで、前記ボディを回転させるステップと、
c)前記回転位置で、前記ボディについての続く別の個別像を作成し、第2の個別像をディジタルの別の画像として前記計算ユニットへ伝送するステップと、
d)前記基準画像と前記別の画像とを、各画像の減算から差分画像を形成する計算により比較するステップと、
e)前記差分画像を、展開の計算により処理するステップと、
f)展開された前記差分画像を、前記計算ユニットによって分析するステップと、
g)それぞれ前記別の画像を前記基準画像として用い、前記ボディが少なくとも1回完全に回転するまで、前記ステップb)~f)を反復するステップと、
を含み、
前記ボディは、ロッド、チューブまたは薬剤パッケージから選択され、
前記ボディは、透明である、
光学検査を行う方法。
【請求項2】
前記ボディは、少なくとも部分的に回転対称に形成されており、前記回転軸線は前記ボディの対称軸線に整列する、
請求項1記載の、光学検査を行う方法。
【請求項3】
前記ボディは、プラスチック、ガラスまたはガラスセラミックを含む、
請求項1または2記載の、光学検査を行う方法。
【請求項4】
前記ボディは、容器もしくはパッケージ材、注射器、カートリッジ、小瓶もしくはアンプルを含む薬剤パッケージ材を含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項5】
前記ボディは、ガラス製の容器を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項6】
前記差分画像を分析することは、連続する画像における対象物の横方向変位を求めることに対応する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項7】
前記差分画像を取得するために、連続する画像において同じ位置に存在する対象物を消去する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項8】
前記画像の運動による不鮮鋭性を、エラー分析の際に、計算により除去する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項9】
連続する2つの回転位置間の前記ボディの回転角度は、20°を超えない、
請求項1から8までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項10】
前記ボディの回転を、前記撮像中に連続して行う、
請求項1から9までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項11】
前記撮像装置は、マトリクスカメラまたはマルチラインカメラを含む、
請求項1から10までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項12】
前記ボディを前記検査中に照明するため、少なくとも1つの照明装置が設けられている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項13】
前記照明装置は、可視波長領域および/または近赤外および/または近紫外の電磁放射を放出する光源を含む、
請求項12記載の、光学検査を行う方法。
【請求項14】
前記光源は、単色放射を放出する、
請求項13記載の、光学検査を行う方法。
【請求項15】
前記光源は、白色光を放射する、
請求項13記載の、光学検査を行う方法。
【請求項16】
前記照明は、拡散するように形成される、
請求項12から15までのいずれか1項記載の、光学検査を行う方法。
【請求項17】
前記ボディは、ボロシリケートガラスを含む、
請求項3記載の、光学検査を行う方法。
【請求項18】
前記ボディは、ボロシリケートガラス製の容器を含む、
請求項5記載の、光学検査を行う方法。
【請求項19】
連続する2つの回転位置間の前記ボディの回転角度は、10°を超えない、
請求項9記載の、光学検査を行う方法。
【請求項20】
連続する2つの回転位置間の前記ボディの回転角度は、5°を超えない、
請求項19記載の、光学検査を行う方法。
【請求項21】
ボディの光学検査を行う観察装置であって、
・少なくとも1つの光学撮像装置と、
・計算ユニットと、
・前記ボディを照明する少なくとも1つの照明装置と、
回転軸線を中心として前記ボディを回転させる回転装置と、
を含み、前記観察装置は、
h)前記ボディについての第1の個別像を作成し、基準画像として用いられるディジタルの画像として前記計算ユニットへ伝送するステップと、
i)前記ボディを、予め定められた回転角度だけ、予め定められた次の回転位置に達するまで回転させるステップと、
j)前記回転位置で、前記ボディについての続く別の個別像を作成し、第2の個別像をディジタルの別の画像として前記計算ユニットへ伝送するステップと、
k)前記基準画像と前記別の画像とを、各画像の減算から差分画像を形成する計算により比較するステップと、
l)前記差分画像を展開の計算により処理するステップと、
m)展開された前記差分画像を前記計算ユニットによって分析するステップと、
n)それぞれ前記別の画像を前記基準画像として用い、前記ボディが少なくとも1回完全に回転するまで、前記ステップi)~m)を反復するステップと、
を実行するように構成されており、
前記ボディは、透明である、
光学検査を行う観察装置。
【請求項22】
前記ボディへフォーカシングされる前記撮像装置の焦点深度は、少なくとも1cmである、
請求項21記載の、光学検査を行う観察装置。
【請求項23】
前記ボディへフォーカシングされる前記撮像装置の焦点深度は、1cm未満である、
請求項21記載の、光学検査を行う観察装置。
【請求項24】
前記ボディへフォーカシングされる前記撮像装置の焦点深度は、前記ボディの壁厚さに依存して選定されており、
前記ボディの前記壁厚さに対する前記焦点深度の比は、5未満である、
請求項21記載の、光学検査を行う観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディ、好ましくはプラスチック製、ガラス製またはガラスセラミック製の透明なボディの光学検査を行う方法および装置に関する。ここで、検査は、光学撮像装置を使用して、非接触でのボディの検出および測定により行われる。
【背景技術】
【0002】
多岐にわたる種類のボディに関する情報の非接触での検出は、多くの学術および技術の分野において大きな意義を有している。相応の用途はきわめて多様であり、幾何学的検出から技術製品での表面検査にまで及ぶ。ここで、完成時の技術製品の非接触での光学検査は、特に品質保証のために重要な役割を果たしている。
【0003】
この場合、例えば理想的な目標形状からの幾何学偏差、例えば反りもしくは凹み、また表面のもしくは材料ボリューム内の局所欠陥、例えば孔、掻き傷、筋、裂け、折れなどを検出する。さらに、載着もしくは付着した外部物体または外部材料、例えば埃、糸屑、滴、削り屑、破片もしくはその他の汚染物も識別できるとよい。
【0004】
ボディが、使用される放射もしくは波形の大部分を反射、吸収または散乱させる場合、こうした手段により、表面形状に関する情報を取得することができる。放射が対象物へ入射し、内部の構造で反射、吸収または散乱する場合、付加的に、3次元の完全な内部構造に関する情報およびこれに加えて表面形状に関する情報を取得することができる。つまり、対象物に関する3次元情報を形成可能である。こうした手段により、ボリューム内の望ましくない欠陥、例えば空洞、気泡、断裂または包有された外部材料を識別することもできる。
【0005】
形状への忠実性および無欠陥性は、製造プロセスの統御および品質保証にとって大きな役割を果たしている。特に、非破壊、非接触での3次元検査方法は、この場合、高い利用価値を発揮できる。存在する3次元の測定データに基づいて、さらなる品質判定を導出することができる。
【0006】
当該方法は、プラスチック製またはガラス製のボディの検査の際に特に有益である。相応の3次元検査方法により、例えば、ガラスボディの外輪郭を検出し、理想的な目標形状と比較することができる。こうした手段により、表面欠陥、例えば掻き傷、局所的な形状偏差、または付着物、例えば粒子もしくはガラス毛羽も識別可能である。また、3次元測定により、ガラスボディの内部の対象物も検出できる。こうした測定は、ガラス欠陥、例えば外部材料、包有物および気泡の識別にとって特に重要である。この場合、対象物が表面の上方に存在するかまたは下方に存在するか、すなわち例えば載着しているのみであるかまたはガラスそのものの内部にあるかも重要である。
【0007】
独国特許発明第102004047928号明細書(DE102004047928B4)には、対象物表面を3次元測定する方法が記載されており、ここでは、光学イメージセンサが複数の画像を含む画像スタックを撮像する。画像スタックの個別画像は、そのZ方向で相互に間隔を有する。大きなZ方向分解能を得るために、きわめて小さな焦点深度で処理が行われる。この場合、画像スタックの個別画像のなかから鮮鋭に結像されたピクセルが探索される。個別画像の焦点深度が小さいため、1回の測定過程での鮮鋭性情報の評価により、対象物表面を測定することができる。
【0008】
文献:独国特許出願公開第102012016342号明細書(DE102012016342A1)から、例えば、ガラス容器の内部に配置された照明装置を含む、ガラス容器の検査方法が公知である。
【0009】
文献:独国特許出願公開第102011100146号明細書(DE102011100146A1)からは、ガラス製の対象物の3次元測定を開示した別の方法が公知である。
【0010】
公知の装置および方法には、光学系における障害、すなわち例えば撮像装置の領域における障害がガラス対象物内のエラーとして解釈されてしまうという欠点が付随する。これらの方法は、エラー原因が光学系の領域にあるかまたは検査すべきボディの内部もしくは表面にあるかを区別できるように構成されていない。具体的には、このことは、例えば、載着している糸屑がボディ上にあるのかまたは撮像装置のレンズ上にあるのかを区別できないことを意味する。
【0011】
よって、対応する光学検査を行う装置の障害または機能損傷と、検査すべきボディに関連したエラーとを区別することはできない。ガラス内の影は例えばガラスの汚れでありうるが、ここでは、検査すべきボディに関連する原因を有するエラーである。
【0012】
こうした区別が不充分であると、ガラス対象物でのエラーの分析がシステムでの障害の分析に比べて必然的に著しく増大することになる。画像を形成するシステムの精度を高めたい場合にも、これは、システム全体における障害を低減することによってしか可能とならない。
【0013】
本方法の精度をガラス表面での変動のオーダーまで高めることは、完璧な検査システムによってもこうした障害が一貫してエラーと解釈されるため、不可能である。このため、検査精度の改善は、装置そのものによる障害に起因する欠陥率の増大を同時にともなわずには殆ど不可能である。
【0014】
さらなる欠点は、欠陥、例えば欠陥の数の連続的な分析が困難であること、または特定のエラー、例えばきわめて限定された角度においてしかそもそも可視とならない断裂の分析が低い確率でしか可能とならないことから生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の基礎とする課題は、上述した欠点を回避した、透明なボディの光学検査を行う方法および装置を提供することである。
【0016】
ここで、特には、測定ひいては検査の精度の増大を達成する。また、本方法により、検査すべきボディに関連するエラーとシステムに起因する障害とを区別できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、これらの課題は、各独立請求項による、透明なボディの光学検査を行う方法および装置によって解決される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態および発展形態は各従属請求項から得られる。
【0019】
このように、本発明は、少なくとも1つの光学撮像装置および計算ユニットを含み、特には光学撮像装置および計算ユニットの使用を含む、ボディ、好ましくは透明なボディの光学検査を行う方法に関する。付加的にさらに照明装置を設け、本方法において、検査すべきボディの照明に用いることもできる。
【0020】
検査のために、ボディは、検査中、検査すべき領域とともに、撮像装置の検出領域内に位置決めされる。ここで、検査すべき領域は、ボディ全体を含んでもよいし、また一要素のみ、例えば底部または側面を含んでもよい。
【0021】
ボディは、検査中、回転軸線を中心として回転され、ここで、回転中、撮像装置によって、ボディについての、少なくとも部分的に重なり合う複数の個別像が撮像される。ここで、回転は好ましくは連続して行われるが、不連続な回転も可能である。
【0022】
ボディの個別像の撮像は、それぞれ、光学撮像装置を基準として定められたボディの回転位置において行われる。よって、個別像の撮像の瞬時時点は、撮像装置を基準としたボディの配向を定める、予め定められた回転位置によって表される。個別像は、ディジタルの画像として、評価のために計算ユニットへ伝送される。このために、計算ユニットは、有利には、例えばエラー指標データベースに格納されたエラー情報に基づいてディジタルの画像の分析を行うことのできる画像分析機能を備えている。付加的に、1つの画像の撮像の瞬時時点および/または回転位置を計算ユニットへ伝送して、画像分析のための付加情報を取得することもできる。
【0023】
ここで、詳細には、本方法は、
a)ボディについての第1の個別像を作成し、基準画像として用いられるディジタルの画像として計算ユニットへ伝送するステップ、
b)予め定められた回転角度だけ、予め定められた次の回転位置に達するまで、ボディを回転させるステップ、
c)当該回転位置で、ボディについての続く別の個別像を作成し、第2の個別像をディジタルの別の画像として計算ユニットへ伝送するステップ、
d)基準画像と別の画像とを、各画像の減算から差分画像を形成する計算により比較するステップ、
e)差分画像を、展開、好ましくは円筒展開の計算により処理するステップ、
f)展開された差分画像を、計算ユニットによって分析するステップ、
g)それぞれ別の画像を基準画像として用い、ボディが少なくとも1回完全に回転するまで、ステップb)~f)を反復するステップ
を含む。
【0024】
よって、本発明においては、予め定められた回転角度にしたがって、予め定められた回転位置に達した際に、さらなる個別像が作成され、基準画像としての先行像と比較される。よって、第2の個別像は、新たな過程において、それぞれ新たな基準画像として用いられる。
【0025】
したがって、本方法は、連続する回転位置で撮像された、ボディの、それぞれ2つの個別像または対応するディジタルの画像を相互に比較することを基礎とする。ここで、理想的には、本方法は、ボディが撮像装置の位置を基準として少なくとも1回完全に回転し、これによりボディの検査すべき領域全体が少なくとも1回撮像装置の撮像領域に撮像のために現れるまで行われる。したがって、回転角度の和は少なくとも360°となり、これにより、ボディは、種々の観察位置から周方向で撮像される。
【0026】
各像の作成は、後続の評価を簡単化するため、好ましくは既にディジタルで行われる。そうでない場合には、各像のディジタル化を計算ユニットへの伝送の前に行うことができる。
【0027】
計算ユニットでは、各像の記憶を行うことができる。高い処理速度のため、当該記憶は直接にRAMにおいて行うと特に好都合でありうる。もちろん、他の記憶媒体への格納も可能である。
【0028】
代替的な実施形態では、ボディを定置状態に保持し、ボディを中心として撮像装置を回転させることもできる。このために、複数の撮像装置を設け、これらをボディに対して相対的な種々の位置に配置してもよい。
【0029】
この場合、照明装置は、例えば周方向に配置可能であるか、または同様に一緒に回転可能である。ただし一般にこうした配置はより複雑であるので、ボディが回転して撮像装置および/または照明装置が定置される上述した実施形態のほうが好ましいとされる。
【0030】
ここで、連続する2つの異なる回転位置での、ボディについての第1の画像と続く第2の画像との比較は、作成された2つの画像の減算での計算により、特に好都合に行うことができる。このことについては、同一でない情報のみを2つの画像からさらなる評価のために取り出すと理解されたい。これに関連して、減算によって得られる画像は差分画像とも称される。
【0031】
このようにして作成された差分画像は、公知の手法により展開することができる。ここでの展開は、対象物の幾何学形状を指向して行われる。ボディが少なくとも部分的に回転対称である場合、画像は円筒状に展開可能である。つまり、好ましくは、画像は円筒展開される。展開された画像または差分画像は、画像分析関数により、欠陥につき分析可能となる。
【0032】
本方法によれば、種々の欠陥を認識して識別することができる。ここでは、検査の際に、エラー原因が光学系の領域もしくは周囲にあるのか、または検査されるボディの内部もしくは表面にあるのかを区別することもできる。これにより、例えば、粒子、例えば埃もしくは糸屑が、ボディ上にあるか、または光学系の素子上、例えばレンズ上にあるか、または撮像の瞬時時点でボディと撮像装置との間の空気室にあるかを区別することができる。エラーの原因が検査されるボディにある場合、このエラーが撮像装置側の表面もしくはその反対側の表面にあるかまたはボディのボリューム内にあるかを区別することもできる。
【0033】
よって、本発明の方法によれば、例えば光学系の領域にある粒子、例えばレンズ上に載着した埃は、ボディについての、少なくとも部分的に重なり合う連続した個別像において、つねに画像の同じ位置に存在する。連続する2つの画像における同じ画像要素を計算により消去することで、差分画像においてこうした粒子をもはや表示しなくて済む。したがって、差分画像は、システムエラーが除去された、現行のコンピュータ支援方法によって分析可能な画像となる。
【0034】
このように、好ましい実施形態では、差分画像の分析のために、連続する画像において同じ位置に存在する対象物を差分画像から消去可能である。
【0035】
これにより、検査の精度を向上させることができる。なぜなら、システム全体における障害を低減できるかまたは完全に消去できるからである。このようにすれば、検査の際に、システムに起因する欠陥率を最小化し、光学検査を行う方法の効率を著しく改善することができる。
【0036】
本発明の方法によれば、従来の検査方法では識別不能なエラーまたは高い不確実性をもってしか識別できないエラー、例えばきわめて限定された角度からしか観察できない断裂も、確実に識別することができる。特に、システムに起因するエラーを、ボディの領域に存在するエラーから区別することができる。
【0037】
評価のために、有利には、撮像装置に対して相対的なボディの回転速度が用いられる。ボディの回転速度およびボディの幾何学寸法から、ボディの領域におけるエラーの正確な位置に関する情報を求めることができる。
【0038】
つまり、例えば、連続する2つの像におけるボディの外套面上のエラーは、作成された画像において横方向変位を有しうるものであり、すなわち、このエラーは画像において同じ位置には表示されない。横方向変位と2つの像間の時間とから、ボディの回転に起因するエラー速度を計算により求めることができ、このエラー速度は、ボディの対応する位置でのエラーの軌道速度に近似的に一致する。ここから、ボディの対称軸線までの距離、ひいてはエラー位置の軌道曲線を求めることができる。エラー位置の軌道曲線またはボディの対称軸線までの径方向距離に基づき、格納されている幾何学データとボディとの関連において、当該エラー位置が例えば外套面上に特定されるかまたはボリューム内もしくはボディの内側表面上に特定されるかを求めることができる。
【0039】
したがって、有利には、連続して撮像されるボディについての個別像は重なり合う。上述したエラーを可能なかぎり良好に識別するために好都合にも大きな重なりを形成でき、これにより連続する画像におけるエラーの横方向変位は相当に小さくなる。
【0040】
このようにすることで、エラーの寸法を良好に識別できる。なぜならこの場合、例えばエラーの長さを、連続する差分画像での横方向変位から計算により導出できるからである。
【0041】
ここで、好ましい実施形態では、ボディは、少なくとも部分的に回転対称に形成される。この場合、ボディの回転は対称軸線を中心として行うことができるので、照明装置および/または撮像装置までの距離を回転中同一に保持することができる。回転対称なボディまたは少なくとも部分的に回転対称なボディでは、回転軸線が対称軸線上にある、つまり対称軸線に整列すると好都合である。
【0042】
このように、きわめて簡単にボディ表面の回転速度を求めて評価において考慮することができるので、画像の撮像および画像の評価を簡単化することができる。この場合、エラーの運動速度は、ボディの回転速度に対して相対的な横方向変位に基づいて評価可能である。
【0043】
ボディは、プラスチック、ガラス、特にボロシリケートガラスまたはガラスセラミックを含む透明材料から製造可能である。本方法は、不透明な材料においても適用可能であり、この場合にはまた有利に反射において動作可能である。
【0044】
適切なボディは、中実材料、例えばロッドまたはロッド部分としても、また中空状、例えばチューブもしくはチューブ部分としても形成可能である。本方法は、不純物に関してきわめて高い要求を課されるパッケージ材、コンテナおよび容器の検査に特に適する。この場合、同時にまた、パッケージ材の材料そのものも高い品質を有するべきである。
【0045】
このことは、例えば、薬剤パッケージ、例えば注射器、カートリッジ、小瓶またはアンプル、ならびに例えば香水製品用の容器にも関する。ガラス製、特にボロシリケートガラス製の薬剤パッケージ材は、本発明の方法によりきわめて良好に検査可能である。また同様に、プラスチック製もしくはガラスセラミック製の他のボディ、例えば容器、チューブまたはロッドも、本方法により検査可能である。
【0046】
中空室を有するボディは、検査の際、付加的に生じうるエラー源が検査に影響してこれを困難にすることがないよう、好ましくは空にされる。当該エラー源は、例えばボリューム内に導入された物質に生じた気泡でありうる。
【0047】
光学撮像装置は、結像光学系として構成される。撮像装置は、対象物空間内の1つの面の2次元結像を撮像するように構成される。結像は、レンズを用いた光学結像と類似に機能する。ここで、基礎となる動作方式は、電磁スペクトルの他の波長領域または他の波形、例えば音波にも移行可能である。
【0048】
この点で、本発明における透明なボディには、撮像装置の波長に関して透明であるボディまたは高い透過率を有するボディも該当しうる。
【0049】
撮像装置は、典型的には、イメージセンサおよび結像素子を含む。イメージセンサは、対象物空間内の面を2次元で検出し、入射する放射を電気信号へ変換することができる。鮮鋭に結像される面は焦点面とも称される。
【0050】
大抵の場合、ディジタルの結像は、個々の画素(ピクセル)に分割される。特定の実施形態では、例えば座標における位置依存性に関する情報が省略可能である場合、イメージセンサを1次元でラインカメラとして形成できる。ここでは、2次元で動作するイメージセンサが有意である。
【0051】
イメージセンサは、例えば、CCDもしくはCMOSのチップ技術をベースとしたマトリクスカメラを含むことができる。これにより、上流に接続される変換器(例えばシンチレータプレート、蛍光層、アップコンバージョン材料など)を介して、使用されているチップそのものでは感知できない波長領域または他の放射を検出することもできる。さらに、イメージセンサは、赤外線カメラ、ボロメータ、InGaAsカメラまたはHgCdTeカメラを含んでもよい。
【0052】
結像は、以下で対物レンズと称する素子によって行われる。電磁放射が紫外放射から赤外放射までの波長領域にある場合、対物レンズは典型的には1つのレンズまたはレンズの組み合わせから形成される。また、同等の結像機能は、別の素子、例えばゾーンプレートまたはフレネルレンズによっても達成可能である。特別なケースでは、2次元画像をスキャナ技術によって作成することもできる。
【0053】
評価のために、画像データは電子計算ユニットへ伝送され、この計算ユニット内で、撮像装置から伝送された情報の記憶を行うことができる。また、画像情報が、付加的に、ボディから撮像装置までの距離と鮮鋭度とに基づいて求められうる位置依存性の深度情報を含んでもよい。
【0054】
この場合、イメージセンサで形成された信号のディジタル化は、従来技術によれば、撮像装置そのものの内部でも評価ユニット内でも行うことができる。これにより、必要な画像分析アルゴリズムは、固定のソフトウェアまたは任意にプログラミング可能なソフトウェアの形態で実装可能である。
【0055】
ここで、ボディは、欠陥を鮮鋭に検出できるよう、検査すべき領域が可能なかぎり撮像装置の焦点面内すなわち検出領域内に位置するように配置される。
【0056】
撮像装置の焦点深度を選定することにより、本発明の装置の好ましい実施形態では、ボディ全体を鮮鋭に結像するか、またはボディの一部のみ、例えば撮像装置に面する側のボディの前面もしくは壁のみを結像するかを、所期のように設定することができる。
【0057】
第1の実施形態では、ボディにフォーカシングされる撮像装置の焦点深度は、少なくとも1cm、好ましくは少なくとも3cm、特に好ましくは少なくとも10cmである。相対的に大きな焦点深度を選定することにより、一般に、撮像装置に面する側のボディ前面の欠陥と撮像装置とは反対側のボディ後面の欠陥との双方を同時に鮮鋭に結像し、分析することができる。ただし、得られる画像の計算による評価には、評価ユニットの相対的に高い計算能力が必要である。なぜなら、全体として多数の欠陥が画像上に存在しており、前面の欠陥と後面の欠陥とを区別しなければならないからである。前面の欠陥と後面の欠陥との区別は、ボディを回転させる際の運動方向に基づいて行うことができる。
【0058】
また、ボディの、設定された壁厚さを有する中空体では、ボディにフォーカシングされる撮像装置の焦点深度は、別の実施形態において、好ましくは、ボディの壁厚さに対する焦点深度の比が5未満、好ましくは2未満、特に好ましくは1.5未満となるように選定可能である。焦点深度がこのように設定される場合、中空のボディの前側の壁のみを鮮鋭に結像可能となり、後側の壁は光学的に除去される。これにより、評価に必要となる計算コストを著しく低減でき、さらに前面のエラーと後面のエラーとの区別をせずに済む。また、きわめて大きな焦点深度のもとで所定の回転角度において生じうる、前面のエラーと後面のエラーとの重畳がなくなる。よって、ボディの前面を別個に観察可能である。
【0059】
代替的に、観察装置の別の実施形態では、ボディにフォーカシングされる撮像装置の焦点深度は、1cm未満、好ましくは0.5cm未満、特に好ましくは2mm未満である。
【0060】
したがって、分析すべきボディを基準とした、小さな焦点深度の選定および大きな焦点深度の選定の双方ともそれぞれの利点を有し、評価ユニットの利用可能な計算能力と所望の分析範囲とに依存して、どちらを優先させてもよい。
【0061】
また、壁の厚い要素では、周方向での複数の一連の画像を、ボディから撮像装置までの距離を変化させて、または光軸の方向で焦点面を種々の位置に置いて取得し、これによりボディの種々の深度領域を鮮鋭に結像することができる。
【0062】
好ましい実施形態では、ボディは、検査中、回転される。このために、適切な回転装置、例えば回転台を設け、ボディを検査中に連続して回転させることができる。これにより、撮像装置および/または照明装置を一貫して定置に保持できる。このことは、一般に、より簡単な構造を意味する。
【0063】
ただし、撮像装置を回転させることによる回転、または所定の角度刻みで複数の撮像装置を配置することによる仮想の回転も実現可能である。
【0064】
この場合、回転速度は、焦点面における鮮鋭なボディ画像の撮像が可能となるように選定され、撮像装置のトリガパラメータに対応づけられる。したがって、ボディの回転速度は、撮像装置の撮像レートに一致する。別の基準には、トリガ時間、すなわち連続する2つの画像間に経過する時間がある。当該時間は、しばしば光学系のシステムに基づいて設定される。
【0065】
したがって、撮像レート、すなわち時間単位当たりで撮像される画像の数は、ボディの回転速度に依存して、一方ではボディが焦点面内で可能なかぎり鮮鋭に現れるように、また他方では検査時間が過度に長く持続しないように、選定される。これについては、一般に、充分に高い回転速度を可能にするため、1秒当たり約10個の画像以上の撮像レートを有する撮像装置が好都合であると判明している。
【0066】
充分な重なりを有する差分画像によるボディの完全な結像を得るには、ボディの完全な1回転に際して所定数の連続像を撮像すると有意である。したがって、5mm以上の直径のボディが360°回転される場合に、少なくとも36個の画像が撮像されるのであれば、これは、第1の回転位置と次の回転位置とが10°異なることを意味する。よって、撮像装置に対して相対的なボディの回転角度は1回の撮像当たり10°ずつ変化し、第1の個別像が0°の位置、第2の個別像は10°の位置で行われることになる。第1の撮像から次の撮像までのボディの回転角度が5°を超えない、好ましくは2°を超えない、特に好ましくは1°を超えない変化である場合、より精細な情報を得ることができる。このことは、特に約20mm以上の直径を有する大きなボディで、好都合である。
【0067】
回転速度に依存して、画像の撮像中のボディの連続回転のために、運動による不鮮鋭性、いわゆる「モーションブラー」効果が生じることがある。差分画像の作成に対し、こうした効果を適切なアルゴリズムを用いた計算により除去して評価を改善することができる。ここで、画像の運動による不鮮鋭性がエラー分析の際に計算により除去されると有利である。
【0068】
さらに、適切な光源を含む照明装置を設けることができる。当該照明装置は、可視波長領域および/または近赤外領域および/または近紫外領域の電磁放射を放出することができる。本発明においては、イメージセンサの検出可能波長は光源の波長に一致する。
【0069】
この場合、光源は、落射照明または透過照明での検査が可能となるように配置可能である。このために複数の光源を使用してもよい。つまり例えば、光源は、透過照明でボディを撮像するため、ボディが光源と撮像装置との間に位置するように配置可能である。この場合、落射照明でボディを撮像するために別の光源を例えば撮像装置の領域に配置することもできる。各光源は、検査の際に、個々にオンまたはオフできるように構成可能である。
【0070】
このようにすれば、光源は、例えば計算ユニットにより、個別像ごとにスイッチオンおよびその後のスイッチオフを行うことができる。例えば周方向での一連の第1の画像の撮像を、例えば落射照明での撮像のための第1の照明設定において行い、周方向での一連の第2の画像の撮像を、例えば透過照明での撮像のための第2の照明設定において行う、交互の動作も可能である。
【0071】
好ましくは、差分画像を分析するために、連続する画像において、ボディの回転速度に対して相対的な対象物の横方向変位が評価される。
【0072】
本方法の特に好ましい実施形態では、連続する2つの回転位置間のボディの回転角度は、20°を超えず、10°を超えず、好ましくは5°を超えず、好ましくは2°を超えず、特に好ましくは1゜を超えない。
【0073】
本願特許請求の範囲の一請求項による光学検査を行う方法は、撮像中、ボディの回転を連続的に行うことを特徴とする。
【0074】
好ましくは、照明装置に含まれる光源は単色放射を放射し、これにより、撮像された画像においては、暗く見えるエラー、例えば粒子が充分なコントラストで識別可能となる。このために、照明は、拡散するように形成可能である。また光源が白色光を放出または放射してもよい。
【0075】
本発明の一発展形態では、また、ボディに種々の放射を印加し、例えばグレー値画像またはカラー画像に加えて赤外線画像も撮像できるよう、種々の波長で検査を行うこともできる。
【0076】
撮像された画像ごとに、同時に、撮像時点に関する情報を計算ユニット内に記憶できる。この場合、イメージセンサが画像を撮像する時点ごとに、回転位置とボディから撮像装置までの距離とに関する情報が計算により格納される。
【0077】
欠陥、例えば掻き傷または断裂などの表面損傷も、またボリューム内に存在するエラー、例えばガラスボディまたはガラスセラミックボディに包有されている気泡も、撮像された画像に明/暗の偏差を生じさせる。ディジタルの画像または作成された差分画像では、これらは隣接のピクセルまたはピクセル領域と相違し、この相違が適切なアルゴリズムを用いた計算により分析可能となる。
【0078】
このようにして、ボディ表面での欠陥も、設定された目標輪郭からの偏差も検査することができる。つまり、例えば掻き傷または断裂などの欠陥の空間的広がりに関する情報、すなわち例えば位置、長さ、幅および/または深さも求めることができる。
【0079】
ボディの表面下方の欠陥、例えば材料ボリュームに包有されているシュリーレン、閉じ込められている気泡または包有されている外部粒子を識別することもできる。評価により、ボディの表面または内部の欠陥位置とその空間的広がりとについての情報を計算できる。
【0080】
したがって、本発明は、別の態様として、ボディ、好ましくは透明なボディの光学検査を行う観察装置も含み、当該観察装置は、光学検査を上述したように行う、光学撮像装置と計算ユニットとを含む。さらに、ボディを照明する少なくとも1つの照明装置を設けることができる。また、検査すべきボディを位置決めおよび支持する撮像手段を設けると好都合であり、この撮像手段は回転装置として構成可能である。これは、例えば、ボディを載置可能でありかつ回転運動を行う回転台であってよい。
【0081】
上述した光学検査を行う観察装置は、好ましい実施形態では、
a)ボディについての第1の個別像を作成し、基準画像として用いられるディジタルの画像として計算ユニットへ伝送するステップ、
b)予め定められた回転角度だけ、予め定められた次の回転位置に達するまで、ボディを回転させるステップ、
c)当該回転位置で、ボディについての続く別の個別像を作成し、第2の個別像をディジタルの別の画像として計算ユニットへ伝送するステップ、
d)基準画像と別の画像とを、各画像の減算から差分画像を形成する計算により比較するステップ、
e)差分画像を、展開の計算により処理するステップ、
f)展開された差分画像を、計算ユニットによって分析するステップ、
g)それぞれ別の画像を基準画像として用い、ボディが少なくとも1回完全に回転するまで、ステップb)~f)を反復するステップ
を実行するように構成される。
【0082】
本発明を添付図に即して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】光学検査を行う観察装置の一部を概略的に示す斜視図である。
図2】ガラス製の薬剤パッケージ材を示す斜視図である。
図3】回転中の撮像装置によるエラーの撮像を概略的に示す平面図である。
図4】種々のエラーを有する、ガラス製の薬剤パッケージ材の検査方法のフローを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
好ましい実施形態を以下に詳細に説明するが、明瞭性のため、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の参照番号を付してある。ただし、本発明の良好な理解のために、図示の好ましい実施形態は、必ずしも縮尺通りには示していない。
【0085】
図1には、全体として参照番号1を付された、ボディの光学検査および観察を行う観察装置の断面が概略的に示されている。
【0086】
本発明は、好ましくは回転対称に構成された透明なボディの品質監視のための観察方法および観察装置を提供する。本発明は、中実および中空のどちらに形成されていてもよい透明なプラスチックボディ、ガラスボディまたはガラスセラミックボディの検査に特に適する。
【0087】
好ましくは、ボディは、容器、いわゆるコンテナ、または薬剤用のパッケージ、例えばガラス注射器もしくはガラスアンプルであってよい。観察中、検査すべきボディは回転軸線を中心として回転され、撮像装置によって、ボディの表面全体が、ボディの種々の角度刻みごとに、画像を形成するシステムの連続する複数の個別像により検出される。
【0088】
ここで、角度刻み当たりの個別像の数、または回転軸線を中心としたボディの完全な一回転当たりの個別像の全数は、連続する個別像が重なり合って重なり情報が取得されるように選定される。
【0089】
この場合、重なり情報は、評価のための付加情報を形成するために、特には障害背景情報、例えばノイズ、反射もしくは不純物をディジタルで抑圧できるようにするために用いられる。回転に関連して生じるエラーと、回転に関連しないエラーと、を区別することができる。
【0090】
こうした手段により、観察装置の不純物とガラスボディのエラーとを区別することができる。また、回転方向により、エラーがボディの前面に生じているかまたは後面に生じているかを区別することもできる。したがって、二重評価を回避することができる。さらに、ボディの回転速度の分析から、広がりまたはエラータイプを分析するための、エラーに関するさらなる情報を取得することもできる。
【0091】
観察装置1により、検査すべきボディを、画像を形成するシステムによって光学的に検出し、これによりボディに生じうるエラーまたは欠陥を検査することができる。
【0092】
図1に示されている例では、検査すべきボディはガラスチューブ20の一部である。ボディは、対称軸線13に関して回転対称に形成されており、この対称軸線13は、回転中、同時に回転軸線として用いられる。回転は「Z」で表されている回転方向において行われるが、もちろん反対方向に行われてもよい。
【0093】
観察装置1は、撮像装置、好ましくはボディを回転させる回転装置、この例ではボディ20を支持および位置決めする回転台12を含み、この回転台12上に、ボディ20の対称軸線と撮像装置の回転軸線とが相互に一致するように、観察すべきボディ20が配置される。
【0094】
さらに、装置は、この例では回転の際にボディの外套面の一部を撮像可能なように配置された少なくとも1つの光学撮像装置14を備える。撮像装置14の配置は、ここでは、ボディ20の検査すべき領域が撮像装置14の検出領域内に位置するように行われる。この例では、当該領域は、ボディ20の外套面の部分領域である。もちろん、撮像装置14は、例えば底部または底部から側壁への移行領域を検査するため、別の位置に配置されてもよい。また、異なって配置された複数の撮像装置14を並行使用し、ボディのそれぞれ1つずつの所定領域を撮像することもでき、この場合、続く分析は、各撮像装置が作成した画像に対して行うことができる。
【0095】
撮像装置14は、マトリクスカメラまたはマルチラインカメラを有するイメージセンサを含む。撮像装置14の光学系は、見取りやすさのために図示していない別の光学装置、例えばレンズを含む。
【0096】
回転対称のボディは、対称軸線13を中心とした回転の際に、ボディ表面から撮像装置14までの距離を一定に保持できるという大きな利点を生じるので、撮像装置がボディ20の外套面に対する相応の静止位置にある場合、これを像全体において等しい鮮鋭度で撮像することができる。
【0097】
さらに、好ましくは、検査中、この例では単色光をボディへ放射してボディを照明する照明装置11が設けられる。照明装置11の光源は、ここでは、ボディ20から見て撮像装置14と同じ位置に配置される。このようにすれば、落射照明の画像を撮像することができる。
【0098】
もちろん、照明装置の他の配置も可能である。上方へ向かって開放された中空のボディでは、例えば、上方から開口部を通してボディ内へ突入されてボディの中空室内に配置された照明部が可能である。また、ボディの、撮像装置14とは反対側に配置されてこれにより撮像装置の方向へ放射を放出する照明部も可能である。後者の場合、透過照明の分析が可能となる。
【0099】
個別画像の撮像中、ボディ20は回転軸線13を中心として連続的に回転する。当該ボディは、ここでは、撮像装置を基準として、撮像装置の焦点面がボディの外套面に少なくとも接触するようにまたは交差するように離間して配置される。
【0100】
図1に示されている例では、ボディは側壁を有する中空体である。
【0101】
ボディのボリューム内のエラーとボディの内側表面のエラーとを撮像装置によって充分に明瞭に撮像できるよう、この例では、大きな焦点深度を有する撮像装置を使用することができる。理想的には、この場合、焦点深度は、ボディの検査すべきボリュームまたは中空のボディにおける側壁の厚さに依存して、可能なかぎりボディのボリューム領域全体が撮像領域内で鮮鋭に結像可能となるように選定される。
【0102】
ただし、別の実施形態では、例えば計算時間を節約するために、またはボディの部分領域のみ、例えば外側のみを分析するケースにおいて、小さな焦点深度を有する撮像装置を使用可能である。
【0103】
図2には、透明な薬剤パッケージ材、この例では、容器、特にボロシリケートガラス製の小瓶30が斜視図で例示されている。小瓶30は、この例では小瓶30の外套面上に存在するエラー31を有する。ここでのエラーは表面に載着した粒子である。同様に、ガラスボディのボリューム内にも欠陥、例えばガラス内に包有された外部物体またはボリューム内に包有された気泡が存在しうる。
【0104】
図3には、連続する3つの画像を撮像するための、ボディ30および撮像装置14の相互に相対的な3つ異なる配置が概略的に平面図で示されている。相互の相対配置は、当該配置においてボディ30が「Z」で表された方向に回転することにより区別され、これにより、撮像装置に対して相対的なボディ配向はそれぞれ異なる。
【0105】
撮像装置14は、ボディ30の検査すべき外套領域が定置の撮像装置14の検出領域32内に位置するように配置される。見取りやすさのために、照明装置は図示されていない。
【0106】
回転中、撮像装置は、ボディ30の画像を撮像し、ここで、回転位置、すなわち撮像装置14を基準としたボディ30の配向がそれぞれ変化する。図示の例では、3つの異なる回転位置が記号「A」「B」「C」で表されている。
【0107】
「A」で表されている回転位置では、撮像方向において光軸に沿って見て右側の、撮像装置14の検出領域32内、ひいては右側の画像領域内に、エラー31が存在している。当該回転位置で、第1の画像が撮像装置14によって作成される。ボディ30が約30°回転された後には、外套面上のエラー31も回転し、「B」に表されている画像領域のほぼ中央の回転位置に位置する。さらなる約30°の回転の後には、エラー31は例えば左側の画像領域に位置する。
【0108】
本発明によれば、3つの回転位置「A」「B」「C」でそれぞれ1つずつ画像が撮像される。このように、連続して撮像された2つの画像、すなわち回転位置「A」「B」で撮像された画像および回転位置「B」「C」で撮像された画像のそれぞれを比較することにより、2つの差分画像を作成することができる。エラー31はボディ30に対応づけられるので、作成された各画像上のエラー位置はボディ30の回転のために異なってくる。
【0109】
差分画像の作成にはそれぞれ連続する画像上で異なる情報のみが用いられるので、当該エラー31は対応する2つの差分画像上に同様に結像され、適切な分析法によって求めることができる。
【0110】
図示の例では、約60゜の角度領域(それぞれ回転位置「A」「B」間の約30゜と、回転位置「B」「C」間の約30゜)に対して、全部で3つの画像を作成するだけでよく、このことによって実質的に見取りやすい表示が得られる。
【0111】
連続する2つの回転位置間の小さな回転角度での、著しく短い画像シーケンスにより、高い評価精度を有するきわめて良好な検査結果が得られることが判明している。なぜなら、エラーに関する幾何学情報、例えば断裂の正確な長さを精細に求めることができるからである。充分な重なりは、一般的に、30゜を超えない回転角度、20゜を超えない回転角度、10゜を超えない回転角度、好ましくは5゜を超えない回転角度、好ましくは2゜を超えない回転角度、特に好ましくは1゜を超えない回転角度において得ることができる。
【0112】
図4には、さらに、内部ボリュームを有するように形成された、ガラス20製の薬剤パッケージ材であって、種々のエラーを有するものを連続して撮像した3つの画像に基づく、例示の検査フローが概略的に示されている。当該エラーは、一部は検査すべきボディ20に対応づけられ、別の一部は光学系または周囲に対応づけられる。
【0113】
ここで、ガラスボディ20により、図3に示されている例に即して説明したように、例として、連続する3つの回転位置で3つの個別像40’,40’’,40’’’が撮像される。良好な見取りやすさのために、各回転位置間の角度は約30゜であり、実用上は典型的には著しく小さい回転位置間の角度が存在する。
【0114】
この例では、検出領域におけるボディ全体が鮮鋭に結像されるように、撮像装置の焦点深度が所期のように調整される。この例では、撮像装置の検出領域のうち、ボディの対称軸線と撮像装置との間の検出領域に位置する部分全体を鮮鋭に表示できるようにするための焦点深度は、3cmである。
【0115】
ガラスボディ20の回転速度は、ここでは、複数の個別像上、すなわち連続する複数の画像上にエラーが現れるように、選定される。つまり連続する個別像は重なりを有する。当該重なりを、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%とすると有利であると判明している。図示の例では、例示のエラーが、種々に異なって、連続して撮像された3つの個別像40’,40’’,40’’’上に表示される。
【0116】
この場合の例では、ガラスボディ40’,40’’,40’’’の3つの結像は、種々の原因を有するため種々のクラスに属する欠陥45a,45b,45c,45dを有する。ここで、欠陥45aは、ガラスボディ20の表面または内部のエラーに関する。これはまた、載着したまたはボリューム内に包有された外部粒子でもありうる。
【0117】
欠陥45bは、影および/またはガラスボディ(破線)を通した反射を原因として各個別像40’,40’’,40’’’上に現れた欠陥を表している。こうしたエラーは、例えば、ガラスボディ20の壁厚さおよび/または照明に関連する反射によって生じうる。
【0118】
エラー45cは、周囲のエラーを示唆している。これは、例えば空気中の糸屑でありうる。
【0119】
さらに、エラー45dにより、光学系に起因する欠陥、すなわち撮像装置14の内部または表面に存在する欠陥が表される。これは、例えば、撮像装置14のレンズ上に載着した糸屑でありうる。
【0120】
本発明の方法は、それぞれ連続する2つの個別像の画像を減算により計算するように構成される。この場合、2つの画像から、同一でない情報のみがさらなる評価のために取得される。つまりしたがって、連続して撮像された2つの個別像から取得されるディジタルの画像を相互に比較し、2つの画像上に同一に存在する情報を消去することにより、差分画像が取得される。
【0121】
よって、図示の例では、個別像40’,40’’の画像から差分画像42’を作成する第1の減算41’が行われる。別の差分画像42’’を取得するための別の減算41’’も行われる。こうした動作方式は全ての個別像に対して行われ、これによりガラスボディ20の周方向での検査が可能となる。
【0122】
差分画像42’,42’’の作成により、システムに起因するエラー、すなわち撮像装置14に関連するエラーまたは撮像もしくは照明に起因するエラーが低減および消去される。
【0123】
このために、ボディの回転速度およびそれぞれの個別画像の撮像時点が用いられる。ついで、計算により、撮像装置14に対するボディ表面の速度が求められ、この速度が当該表面に対応する軌道曲線の1点の軌道速度に近似的に一致されて、ここから、検査すべきボディの表面または内部にエラーが生じている連続する2つの画像における横方向変位が求められる。
【0124】
こうした距離‐時間分析により、画像上での、ボディの回転速度にしたがって運動をしている対象物を識別することができる。ここで、当該対象物の存在は、検査すべきボディ内に理由づけられるが、これに対して、ボディの回転速度に相関せずに運動している対象物は、他の理由を有する。
【0125】
さらなる分析のため、こうした速度比例運動を有する対象物は、適切なフィルタアルゴリズムを通過させられる。これに対して、さらなる分析のために、異なる速度を有する対象物または個別像上で定置の対象物は、画像から消去される。
【0126】
図示の例では、差分画像42’上にエラー45a,45cのみが示されている。この場合、エラー45aは2回表示されている。なぜなら、エラー45aは、ガラスボディ20の回転に基づき、対応する個別像40’,40’’の異なる2つの位置に表示されるからである。差分画像42’’においても、同様に個別像40’’,40’’’間でガラスボディ20の回転が行われているため、エラー45aは2回表示される。これに対して、エラー45cは個別像40’’,40’’’のいずれにも存在していないので、これは表示されない。これに対して、エラー45b,45dは、対応する個別像40’,40’’,40’’’上のそれぞれ同じ位置に現れる。したがって、計算上、当該エラー45b,45dは、差分画像42’,42’’には引き継がれない。
【0127】
差分画像42’,42’’は、続いて計算により円筒状に展開され、これに応じて、計算ユニットにおいて適切なアルゴリズムにより対象物分析が行われる。展開された当該回転像において、続いてエラーが分析される。
【0128】
こうした手段によれば、いわゆる擬似エラー、すなわち検査すべきボディの内部または表面に原因を有するエラーを、消去することができる。当該擬似エラーは、ディジタルの画像において、距離‐時間分析による横方向変位を有さず、このため1つの個別像から次の個別像までの間の位置に関して、増大もしくは減少する側方変位を有するかまたは側方変位を有さないピクセルもしくはピクセル領域である。
【0129】
これにより、エラー分析に対して、直接にボディに関連するエラーのみが残留する。当該手段により、迅速かつ信頼性の高いボディの検査が実現可能となり、検査されるボディが欠陥を有するか否かに関する情報が得られる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4