(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】火災検知装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241025BHJP
G08B 17/12 20060101ALI20241025BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
G08B17/00 K
G08B17/12 B
G08B17/00 C
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2020164763
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】横田 博之
(72)【発明者】
【氏名】岩藤 那留
(72)【発明者】
【氏名】林 嵯隼
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-521193(JP,A)
【文献】特開平11-224389(JP,A)
【文献】特開2018-055151(JP,A)
【文献】韓国登録特許第1931558(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第101783062(CN,A)
【文献】中国実用新案第203338503(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0179095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
H04N 7/18
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、
前記監視カメラにより撮像された前記監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置と
を備えた火災検知装置であって、
模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記監視カメラにより撮像された前記全体画像と、前記模擬試験装置で生成された前記火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行
い、
前記模擬試験装置は、前面および背面が透過窓で覆われた密閉空間を有し、前記密閉空間内で煙を発生させ、前面の前記透過窓を通して視認可能な前記煙を前記火災画像として生成し、前記監視カメラの前方に設置可能な透過式模擬試験装置であり、
前記監視カメラは、前記透過窓を撮像することで、前記全体画像および前記火災画像を含む前記火災検知試験画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記火災検知機能の動作確認を行う
火災検知装置。
【請求項2】
火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、
前記監視カメラにより撮像された前記監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置と
を備えた火災検知装置であって、
模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記監視カメラにより撮像された前記全体画像と、前記模擬試験装置で生成された前記火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行
い、
前記模擬試験装置は、
前記監視空間外に設置され、前記火災画像を生成する投影装置と、
前記監視空間内に設置され、前記投影装置で生成された前記火災画像を前記監視カメラに反射させるとともに、前記監視カメラにより前記全体画像の撮像を可能とするハーフミラーと
を含んで構成され、
前記監視カメラは、前記ハーフミラーが設置された前記監視空間を撮像することで、前記全体画像および前記火災画像を含む前記火災検知試験画像を取得し、
前記画像処理装置は、前記火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記火災検知機能の動作確認を行う
火災検知装置。
【請求項3】
火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、
前記監視カメラにより撮像された前記監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置と
を備えた火災検知装置であって、
模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記監視カメラにより撮像された前記全体画像と、前記模擬試験装置で生成された前記火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行
い、
前記模擬試験装置は、前記監視カメラにより撮像された前記全体画像を取得するとともに前記火災画像を生成し、前記全体画像と前記火災画像とからなる合成画像を生成し、
前記画像処理装置は、前記模擬試験装置で生成された前記合成画像を前記火災検知試験画像として取得し、前記火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記火災検知機能の動作確認を行う
火災検知装置。
【請求項4】
火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、
前記監視カメラにより撮像された前記監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置と
を備えた火災検知装置であって、
模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記監視カメラにより撮像された前記全体画像と、前記模擬試験装置で生成された前記火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行
い、
前記模擬試験装置は、カメラおよびモニターを有し、前記カメラにより撮像された前記全体画像を取得するとともに前記火災画像を生成し、前記全体画像と前記火災画像とからなる合成画像を生成し、前記モニターに表示し、
前記画像処理装置は、前記監視カメラにより撮像された前記模擬試験装置で生成された前記合成画像を前記火災検知試験画像として取得し、前記火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、前記火災検知機能の動作確認を行う
火災検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、火災要因である煙および炎を検出する火災検知装置に関し、特に、設置現場における動作試験に適した火災検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理を用いた火災検知装置が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような画像処理を用いた火災検知装置の動作試験を、装置の設置現場で行う場合には、実際に現場で、火災要因である煙あるいは炎を発生させる、あるいはモニターを設置して煙あるいは炎を表示させるといった方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下のような問題がある。
監視空間に支障が無ければ、例えば発煙装置によって火災による煙を模擬することができる。しかしながら、一般的には、現場で実際に煙あるいは炎を発生させる場合には、汚損および危険の問題を伴うこととなる。
【0005】
また、監視視野内へのアクセスが簡単な場合には、モニターを設置して煙あるいは炎の映像を流すことで、火災検知装置の動作確認を行うことができる。しかしながら、モニターを設置する場合には、実際の現場における監視状態とは異なる状態での動作確認になってしまうとともに、監視視野全体を包含した画像処理を実施することができない。
【0006】
一例として、車両が通行するトンネル内を監視空間とした場合には、監視空間の運用が開始され、車両が通行している実際の監視状態において、煙あるいは炎を発生させて動作確認を行うこと、あるいはモニターを設置して動作確認を行うことは困難である。
【0007】
従って、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置が強く望まれる。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る火災検知装置は、火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、監視カメラにより撮像された監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置とを備えた火災検知装置であって、模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、画像処理装置は、監視カメラにより撮像された全体画像と、模擬試験装置で生成された火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行い、模擬試験装置は、前面および背面が透過窓で覆われた密閉空間を有し、密閉空間内で煙を発生させ、前面の透過窓を通して視認可能な煙を火災画像として生成し、監視カメラの前方に設置可能な透過式模擬試験装置であり、監視カメラは、透過窓を撮像することで、全体画像および火災画像を含む火災検知試験画像を取得し、画像処理装置は、火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、火災検知機能の動作確認を行うものである。
また、本発明に係る火災検知装置は、火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、監視カメラにより撮像された監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置とを備えた火災検知装置であって、模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、画像処理装置は、監視カメラにより撮像された全体画像と、模擬試験装置で生成された火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行い、模擬試験装置は、監視空間外に設置され、火災画像を生成する投影装置と、監視空間内に設置され、投影装置で生成された火災画像を監視カメラに反射させるとともに、監視カメラにより全体画像の撮像を可能とするハーフミラーとを含んで構成され、監視カメラは、ハーフミラーが設置された監視空間を撮像することで、全体画像および火災画像を含む火災検知試験画像を取得し、画像処理装置は、火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、火災検知機能の動作確認を行うものである。
また、本発明に係る火災検知装置は、火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、監視カメラにより撮像された監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置とを備えた火災検知装置であって、模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、画像処理装置は、監視カメラにより撮像された全体画像と、模擬試験装置で生成された火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行い、模擬試験装置は、監視カメラにより撮像された全体画像を取得するとともに火災画像を生成し、全体画像と火災画像とからなる合成画像を生成し、画像処理装置は、模擬試験装置で生成された合成画像を火災検知試験画像として取得し、火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、火災検知機能の動作確認を行うものである。
また、本発明に係る火災検知装置は、火災検知対象である監視空間を撮像する監視カメラと、監視カメラにより撮像された監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより火災を検知する画像処理装置とを備えた火災検知装置であって、模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置をさらに備え、画像処理装置は、監視カメラにより撮像された全体画像と、模擬試験装置で生成された火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行い、模擬試験装置は、カメラおよびモニターを有し、カメラにより撮像された全体画像を取得するとともに火災画像を生成し、全体画像と火災画像とからなる合成画像を生成し、モニターに表示し、画像処理装置は、監視カメラにより撮像された模擬試験装置で生成された合成画像を火災検知試験画像として取得し、火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、火災検知機能の動作確認を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る火災検知装置の全体構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態1における火災検知装置に用いられる透過式模擬試験装置の構成を示した説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る監視カメラおよび透過式模擬試験装置を、実際の監視空間であるトンネル内に設置した場合を示した例示図である。
【
図4】本発明の実施の形態1において、透過式模擬試験装置を用いて監視カメラにより取得された火災検知試験画像の一例を示した図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る火災検知装置の全体構成図である。
【
図6】本発明の実施の形態2において、投影装置およびハーフミラーを用いて監視カメラにより取得された火災検知試験画像の一例を示した図である。
【
図7】本発明の実施の形態3に係る火災検知装置の全体構成図である。
【
図8】本発明の実施の形態3において、投影装置を用いて生成された合成画像としての火災検知試験画像の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の火災検知装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本発明に係る火災検知装置は、模擬的な火災画像を生成する模擬試験装置を備え、監視カメラにより撮像された監視空間の全体画像と、模擬試験装置で生成された火災画像とを含む火災検知試験画像に対して画像処理を施すことにより、監視空間内で火災が発生したことを想定した火災検知機能の動作確認を行う点を技術的特徴としている。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る火災検知装置の全体構成図である。本実施の形態1に係る火災検知装置は、監視カメラ10、画像処理装置20、および透過式模擬試験装置30を備えて構成されている。
【0014】
監視カメラ10は、火災検知対象である監視空間を撮像する撮像装置である。画像処理装置20は、監視カメラ10により撮像された監視空間の全体画像に対して画像処理を施すことにより、火災を検知する。
【0015】
本発明は、模擬的な火災画像を生成し、画像処理装置20に対して火災画像を提供することができる模擬試験装置をさらに備えている。本実施の形態1では、模擬試験装置として、透過式模擬試験装置30が用いられている。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1における火災検知装置に用いられる透過式模擬試験装置30の構成を示した説明図である。
図2に示した透過式模擬試験装置30は、透過窓31、消煙フィルター32、循環ファン33、および発煙部34を備えている。より具体的には、透過式模擬試験装置30は、前面および背面が透過窓31で覆われた密閉空間としての水槽状のケースとして構成されている。
【0017】
発煙部34で生成された煙を、循環ファン33により密閉空間内で循環させ、消煙フィルター32で煙を回収している。消煙フィルター32により煙を回収することで、ケース内での煙による汚れの付着を抑えることができる。さらに、循環ファン33の速度調整により、消煙速度を変化させて、透過窓31を通して見せる煙量を調整することが可能である。
【0018】
なお、発煙部34による煙の発生方法としては、電子タバコ等のように加熱して発煙する方法、超音波加湿器による霧を発生させる方法、などが考えられる。
【0019】
透過式模擬試験装置30は、監視カメラの前方に設置可能なハンディタイプの1つのユニットとして構成されている。従って、透過式模擬試験装置30は、監視空間内において監視カメラ10の前方に設置されることで、前面の透過窓を通して視認可能な煙を火災画像として生成することができる。
【0020】
監視カメラ10は、透過式模擬試験装置30の透過窓31を撮像することで、前面の透過窓31を介して火災画像を取得できるとともに、前面および背面の透過窓31を介して全体画像を取得することができ、結果的に、全体画像および火災画像を含む火災検知試験画像を取得できる。換言すると、監視カメラ10は、実際の監視空間上に煙を重ねて見せることができる1枚の火災検知試験画像を撮像することができる。
【0021】
従って、画像処理装置20は、監視カメラ10で撮像された火災検知試験画像に対して画像処理を施すことができ、透過式模擬試験装置30で生成された煙が検知できるか否かの動作試験を容易に行うことができる。すなわち、監視カメラの設置現場における実際の監視空間の画像を背景として、煙が検出できるか否かの動作試験を容易に実施することができる。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態1に係る監視カメラ10および透過式模擬試験装置30を、実際の監視空間であるトンネル内に設置した場合を示した例示図である。
図3では、実際の監視空間であるトンネル内に設置された監視カメラ10の前方に、透過式模擬試験装置30が設置された状態が示されている。
【0023】
このように、透過式模擬試験装置30を設置することで、トンネル内を車両が通過している運用状態においても、全体画像に対して、模擬的に生成された火災画像を重ね合わせた火災検知試験画像を容易に取得することができる。
【0024】
図4は、本発明の実施の形態1において、透過式模擬試験装置30を用いて監視カメラ10により取得された火災検知試験画像の一例を示した図である。画像処理装置20は、
図4に示したような火災検知試験画像に基づいて、火災検知機能の動作確認を容易に実行することができる。
【0025】
なお、透過式模擬試験装置30を手持ちで監視カメラ10の前に設置する場合には、センサによって検出された加速度等に基づいて手ぶれ補正を行うことで、最適な画像を見ることができる。
【0026】
以上のように、実施の形態1によれば、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置を実現することができる。
【0027】
実施の形態2.
本実施の形態2では、先の実施の形態1における構成とは異なる模擬試験装置を備えた火災検知装置について説明する。
【0028】
図5は、本発明の実施の形態2に係る火災検知装置の全体構成図である。本実施の形態2に係る火災検知装置は、監視カメラ10、画像処理装置20、投影装置40、およびハーフミラー50を備えて構成されている。本実施の形態2では、投影装置40およびハーフミラー50からなる模擬試験装置が用いられている。
【0029】
投影装置40は、火災検知対象である監視空間外に設置され、火災画像を生成する装置である。より具体的には、投影装置40は、
図5に示したように、模擬的な炎の画像を火災画像として生成することができる。
【0030】
ハーフミラー50は、火災検知対象である監視空間内に設置され、投影装置40で生成された火災画像を監視カメラに反射させる一方で、監視カメラ10により監視空間の全体画像の撮像を可能としている。
【0031】
このように、投影装置40およびハーフミラー50による模擬試験装置を用いることで、例えば、トンネル内を車両が通過している運用状態においても、全体画像に対して、模擬的に生成された火災画像を重ね合わせた火災検知試験画像を容易に取得することができる。換言すると、監視カメラ10は、実際の監視空間上に炎を重ねて見せることができる1枚の火災検知試験画像を撮像することができる。
【0032】
図6は、本発明の実施の形態2において、投影装置40およびハーフミラー50を用いて監視カメラ10で撮像された火災検知試験画像の一例を示した図である。画像処理装置20は、
図6に示したような火災検知試験画像に基づいて、火災検知機能の動作確認を容易に実行することができる。特に、投影装置40を活用することで、種々のパターンの炎の画像を火災画像とした火災検知試験画像による火災検知機能の動作確認を容易に実行することができる。
【0033】
以上のように、実施の形態2によれば、先の実施の形態1と同様に、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置を実現することができる。
【0034】
なお、投影装置40がカメラ光軸から傾いてしまっても、校正用画像を投影した際の監視モニター上の形状から、火災画像を補正することにより、最適な火災検知試験画像を得ることができる。
【0035】
実施の形態3.
本実施の形態3では、先の実施の形態1、2における構成とは異なる模擬試験装置を備えた火災検知装置について説明する。
【0036】
図7は、本発明の実施の形態3に係る火災検知装置の全体構成図である。本実施の形態3に係る火災検知装置は、監視カメラ10、画像処理装置20、および画像合成装置41を備えて構成されている。本実施の形態3では、画像合成装置41からなる模擬試験装置が用いられている。
【0037】
画像合成装置41は、監視カメラ10により撮像された全体画像を取得するとともに、火災画像を生成する装置である。より具体的には、画像合成装置41は、一例として
図7に示したように、模擬的な炎の画像を火災画像として生成することができる。
【0038】
このように、画像合成装置41による模擬試験装置を用いることで、例えば、トンネル内を車両が通過している運用状態においても、全体画像に対して、模擬的に生成された火災画像を重ね合わせた合成画像としての火災検知試験画像を容易に取得することができる。換言すると、画像合成装置41は、実際の監視空間上に炎を重ねて見せることができる火災検知試験画像を生成することができる。
【0039】
図8は、本発明の実施の形態3において、画像合成装置41を用いて生成された合成画像としての火災検知試験画像の一例を示した図である。画像処理装置20は、
図8に示したような火災検知試験画像に基づいて、火災検知機能の動作確認を容易に実行することができる。特に、画像合成装置41を活用することで、種々のパターンの炎の画像を火災画像とした火災検知試験画像による火災検知機能の動作確認を容易に実行することができる。
【0040】
以上のように、実施の形態3によれば、先の実施の形態1と同様に、装置の設置現場における動作試験に適した火災検知装置を実現することができる。
【0041】
なお、実施の形態2では投影装置を用いて、実施の形態3では画像合成装置を用いて、種々の炎の画像を火災画像として用いる場合について説明したが、煙の画像あるいは誤検出要因の画像を火災画像として用いることも可能である。この結果、画像処理装置20が有する種々の画像処理機能について、実際の監視空間内で火災が発生したこと、あるいは誤検出要因が発生したことを想定した画像処理機能の動作確認を行うことができる。換言すると、検出アルゴリズムに応じて適切な火災画像を選択することで、煙の検出、炎の検出、カメラのオートアイリスの動作確認、後検出の有無等の様々な試験を選択できる。
【0042】
また、実施の形態3では、画像合成装置41が監視カメラ10により撮像された全体画像を取得したが、画像合成装置41にカメラおよびモニターを備え、画像合成装置41が全体画像を撮像し、全体画像に対して模擬的に生成された火災画像を重ね合わせた合成画像としての火災検知試験画像を作成し、モニターに表示させ、監視カメラ10に火災検知試験画像を撮像させてもよい。
【0043】
また、現場では、監視カメラ10は、高いところに設置されることが一般的である。このため、例えば、実施の形態1で説明した透過式模擬試験装置30、あるいは実施の形態2で説明した投影装置40を、ドローンに搭載し、遠隔操作を行うことで、監視カメラ10が所望の火災検知試験画像を撮像できるようにすることも考えられる。
【0044】
また、実施の形態1で説明した透過式模擬試験装置30は、監視カメラ10に対して比較的近い位置にかざすため、監視カメラ10の被写界深度によってはピントが合わず、ぼやけた像となり、煙の濃淡を認識しにくい可能性がある。また、煙の挙動は、毎回異なるので、検出時間にばらつきが出ることが考えられる。
【0045】
これに対して、実施の形態2で説明したような投影装置、あるいは実施の形態3で説明したような画像合成装置を用いて、あらかじめ設定した種々の画像を組み合わせることで、実際の監視空間による背景に対して、所望の火災画像を重ねた火災検知試験画像を容易に生成することができ、装置の設置現場における動作試験を高精度に実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 監視カメラ、20 画像処理装置、30 透過式模擬試験装置(模擬試験装置)、31 透過窓、32 消煙フィルター、33 循環ファン、34 発煙部、40 投影装置、41 画像合成装置、50 ハーフミラー。