(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】建物の給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/04 20060101AFI20241025BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
H02J9/04
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2020174817
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】坂尾 英樹
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158084(JP,A)
【文献】特開2013-229991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 -11/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物において給電ケーブルを介して外部電源装置と接続される接続部と、
その接続部と前記建物内に設けられた所定の電気機器とをつなぐ第1外部給電経路と、を備え、
前記接続部に前記外部電源装置が前記給電ケーブルを介して接続された接続状態で、前記外部電源装置より前記所定の電気機器に前記給電ケーブル及び前記第1外部給電経路を通じて給電が可能となっている建物の給電システムであって、
前記建物には、出入口を開閉する開閉体を電気的に施解錠する施錠装置が設けられており、前記施錠装置は、前記所定の電気機器には含まれておらず、
前記接続部と前記施錠装置とをつなぐ第2外部給電経路を備え、
前記接続部に対する前記外部電源装置の前記接続状態で、前記外部電源装置より前記施錠装置に前記給電ケーブル及び前記第2外部給電経路を通じて給電が可能となって
おり、
前記外部電源装置から前記施錠装置への給電を許可するか禁止するかを切り替える切替部を備え、
前記施錠装置は、ユーザが携帯する電子キーにより施解錠されるとともに、前記開閉体が閉まると自動施錠する自動施錠機能を有しており、
前記切替部は、屋外から前記切り替える操作を行うことが可能となっていることを特徴とする、建物の給電システム。
【請求項2】
建物において給電ケーブルを介して外部電源装置と接続される接続部と、
その接続部と前記建物内に設けられた所定の電気機器とをつなぐ第1外部給電経路と、を備え、
前記接続部に前記外部電源装置が前記給電ケーブルを介して接続された接続状態で、前記外部電源装置より前記所定の電気機器に前記給電ケーブル及び前記第1外部給電経路を通じて給電が可能となっている建物の給電システムであって、
前記建物には、出入口を開閉する開閉体を電気的に施解錠する施錠装置が設けられており、前記施錠装置は、前記所定の電気機器には含まれておらず、
前記接続部と前記施錠装置とをつなぐ第2外部給電経路を備え、
前記接続部に対する前記外部電源装置の前記接続状態で、前記外部電源装置より前記施錠装置に前記給電ケーブル及び前記第2外部給電経路を通じて給電が可能となって
おり、
前記施錠装置は、ユーザが携帯する電子キーにより施解錠されるとともに、前記開閉体が閉まると自動施錠する自動施錠機能を有しており、
前記施錠装置に前記外部電源装置から給電が行われている場合に、前記自動施錠機能を無効化する自動施錠無効手段を備えることを特徴とする、建物の給電システム。
【請求項3】
前記外部電源装置から前記施錠装置への給電を許可するか禁止するかを切り替える切替部を備えることを特徴とする、請求項
2に記載の建物の給電システム。
【請求項4】
前記切替部は、屋外から前記切り替える操作を行うことが可能となっていることを特徴とする、請求項
3に記載の建物の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車やハイブリッド自動車が実用化されており、それらの自動車に搭載された車載バッテリを用いて、自動車側から建物側に電力を供給する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる技術によれば、災害等に伴い、建物で停電が発生した場合に、自動車側から建物側に電力を供給することで、建物内の電気機器を作動させることが可能となる。
【0003】
自動車側から建物側に電力を供給する際には、自動車側と建物側とを給電ケーブルを介して接続し、その接続状態で自動車側から建物側に給電ケーブルを通じて電力を供給することになる。そのため、こうした給電が可能な建物には、給電ケーブルの一端側を接続する接続部(給電用のインレット)と、その接続部と電気機器とをつなぐ外部給電経路とが設けられる。また、自動車の給電能力は商用電源の給電能力と比べると小さいため、自動車から建物側に給電を行う際には、給電先を、例えばリビングに設けられた電気機器に限定する等、一部に絞るのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物の施錠装置として、電気的に施解錠を行う電子錠が用いられている場合、建物で停電が起こると、施錠装置に電力が供給されなくなって施錠装置が動作しなくなる。そのため、停電時に住人が外出先から帰宅して施錠装置を解錠しようとしても解錠することができず、住人が屋外に締め出されてしまうおそれがある。
【0006】
また、自動車と建物側の接続部とを給電ケーブルによりつないで自動車から建物側へ給電を行うようにしても、建物側の給電先は一部の電気機器に限られているため、施錠装置には給電されない。そのため、この場合にも、住人はやはり屋外に締め出されてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物で停電が生じた場合に、屋外に締め出されてしまうのを回避することができる建物の給電システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の給電システムは、建物において給電ケーブルを介して外部電源装置と接続される接続部と、
その接続部と前記建物内に設けられた所定の電気機器とをつなぐ第1外部給電経路と、
を備え、
前記接続部に前記外部電源装置が前記給電ケーブルを介して接続された接続状態で、前記外部電源装置より前記所定の電気機器に前記給電ケーブル及び前記第1外部給電経路を通じて給電が可能となっている建物の給電システムであって、
前記建物には、出入口を開閉する開閉体を電気的に施解錠する施錠装置が設けられており、前記施錠装置は、前記所定の電気機器には含まれておらず、
前記接続部と前記施錠装置とをつなぐ第2外部給電経路を備え、
前記接続部に対する前記外部電源装置の前記接続状態で、前記外部電源装置より前記施錠装置に前記給電ケーブル及び前記第2外部給電経路を通じて給電が可能となっていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、外部電源装置と、建物に設けられた接続部とを給電ケーブルで接続することで、外部電源装置より施錠装置に給電ケーブルと第2外部給電経路とを通じて給電を行うことが可能となっている。これにより、建物で停電が発生した場合であっても、外部電源装置からの給電によって施錠装置を作動させることができるため、帰宅したユーザは施錠装置を解錠して建物内に入ることができる。そのため、停電時に屋外に締め出されてしまうことを回避できる。
【0010】
第2の発明の建物の給電システムは、第1の発明において、前記外部電源装置から前記施錠装置への給電を許可するか禁止するかを切り替える切替部を備えることを特徴とする。
【0011】
ユーザが建物内に入り、外部電源装置から所定の電気機器への給電が開始された後は施錠装置への給電が不要となる。その点、第2の発明によれば、切替部による切替操作により施錠装置への電力供給を停止させることができるため、限られた外部電源装置の電力を無駄に消費してしまうことを回避できる。
【0012】
第3の発明の建物の給電システムは、第2の発明において、前記施錠装置は、ユーザが携帯する電子キーにより施解錠されるとともに、前記開閉体が閉まると自動施錠する自動施錠機能を有しており、
前記切替部は、屋外から前記切り替える操作を行うことが可能となっていることを特徴とする。
【0013】
ユーザが建物内にいるときに停電が生じた場合、ユーザは屋外に出て給電ケーブルの接続作業を行うことになる。給電ケーブルの接続が完了すると、外部電源装置より施錠装置へ電力が供給され、施錠装置が作動することになるが、この場合、施錠装置がオートロック機能(自動施錠機能)を有するものであると、電力が供給された途端に施錠装置が施錠状態になってしまう可能性がある。このため、ユーザが屋外に電子キーを携帯せずに出てしまった場合(非常時には十分想定される)には、屋外に締め出されてしまうおそれがある。
【0014】
その点、第3の発明によれば、第2の発明における切替部が設けられている。この場合、通常時は施錠装置への給電を禁止する状態に切り替えておくことで、給電ケーブルの接続完了と同時に施錠装置への給電が行われることを回避でき、ひいては給電により施錠装置が自動施錠されるのを回避できる。このため、ユーザが屋外に締め出されることを回避できる。
【0015】
また、切替部は屋外から切替操作可能に設けられているため、停電時にユーザが帰宅した場合には、給電ケーブルの接続作業を行った上で、切替部を操作して施錠装置への給電を許可することで、外部電源装置から施錠装置に電力を供給することができる。これにより、ユーザは施錠装置を解錠して建物内に入ることができるため、屋外に締め出されることを回避できる。
【0016】
第4の発明の建物の給電システムは、第1~第3のいずれかの発明において、前記施錠装置は、ユーザが携帯する電子キーにより施解錠されるとともに、前記開閉体が閉まると自動施錠する自動施錠機能を有しており、
前記施錠装置に前記外部電源装置から給電が行われている場合に、前記自動施錠機能を無効化する自動施錠無効手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、施錠装置に外部電源装置から電力が供給される場合には、オートロック機能が無効とされる。この場合、停電時にユーザが屋外に出て給電ケーブルの接続を行った途端、施錠装置に外部電源装置から電力が供給されても、施錠装置が自動施錠することがない。そのため、停電時にユーザが屋外に電子キーを携帯せず出てしまった場合でも、屋外に締め出されてしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態における給電システムの概略を示す全体構成図。
【
図2】第2実施形態における給電システムの概略を示す全体構成図。
【
図3】他の実施形態における給電システムの概略を示す全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の給電システムは、建物の出入口を開閉する開閉体と、開閉体を電気的に施解錠する施錠装置とを有する建物に適用されるものである。そこでまず、建物の出入口付近の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、建物10には、出入口としての玄関口15が設けられており、この玄関口15を通じて建物10への出入りが可能となっている。また、玄関口15には、開閉体としての玄関ドア16が設けられている。玄関ドア16は、例えば回動式の開き戸からなり、取っ手としてのドアハンドル17が設けられている。建物10の居住者は、ドアハンドル17をつかんで玄関ドア16を開け閉めすることにより、玄関口15の開閉を行う。
【0022】
玄関ドア16には、施錠装置21が設けられている。施錠装置21は、玄関ドア16を電気的に施解錠する電子錠からなる。施錠装置21は、施錠部22と、制御部23とを有する。
【0023】
施錠部22は、デッドボルトやそれを駆動する駆動部等を有して構成されている。施錠部22では、デッドボルトが駆動部により駆動されることで玄関ドア16の施解錠が行われる。なお、施錠部22は、屋内側から施解錠操作が可能なサムターン部(図示略)を有している。
【0024】
制御部23は、施錠部22の施解錠を制御するものであり、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。制御部23は、建物10の居住者が携帯する電子キー81と無線通信する通信機能を有している。また、制御部23には、電子キー認証のためのIDコード情報(識別情報)が記憶されている。
【0025】
電子キー81には、当該電子キー81に固有のIDコードが予め記憶されている。このIDコードは制御部23に記憶されたIDコード情報に対応したものとなっている。電子キー81には、解錠操作可能な操作部(図示略)が設けられている。制御部23と無線通信可能な範囲内で操作部により解錠操作がなされると、電子キー81よりIDコード信号が制御部23に送信される。そして、このIDコード信号が制御部23により受信されると、制御部23は、IDコードの認証を行った上で施錠部22を解錠状態へと制御する。
【0026】
施錠装置21は、玄関ドア16が閉まると玄関ドア16を自動で施錠するオートロック機能を有する。例えば、施錠装置21には、玄関ドア16の開閉状態を検知する開閉検知センサが設けられ、その開閉検知センサにより玄関ドア16が閉まったことが検知されると、制御部23が施錠部22を施錠状態とする。
【0027】
次に、給電システムの全体構成について説明する。
【0028】
建物10には分電盤31が設けられている。分電盤31には、商用電源(系統電源)から送られる商用電力が引き込み線32を介して供給される。引き込み線32は、電柱に設けられた柱上トランス(図示略)から建物10側に引き込まれている。柱上トランスでは、配電線を流れるAC6600Vの高圧電力(商用電力)がAC100/200Vの低圧電圧に変換される。そして、その変換された低圧電力が引き込み線32を介して分電盤31に供給されるようになっている。なお、柱上トランスの二次側は接地(アース)されている。
【0029】
分電盤31に供給されるAC100/200Vの商用電力は、分電盤31から建物10内の複数の回路(分岐回路)に分配供給される。これら複数の回路には、リビング用の回路であるリビング回路35と、施錠装置21用の回路である施錠装置回路45とが含まれている。また、
図1では便宜上、建物10内の各回路のうち、リビング回路35及び施錠装置回路45以外の回路については図示を省略している。
【0030】
リビング回路35は、照明36、照明SW37及びコンセント38等の電気機器と、これらの電気機器36~38に接続されたユニットケーブル39とを有している。分電盤31とリビング回路35とはリビング給電経路42を介して接続され、そのリビング給電経路42を通じて分電盤31からリビング回路35に商用電力が供給される。なお、リビング回路35の各電気機器(照明36、照明SW37及びコンセント38等)が所定の電気機器に相当する。また、リビング給電経路42は第1商用給電経路に相当する。
【0031】
施錠装置回路45は、施錠装置21を有している。分電盤31と施錠装置回路45(つまり施錠装置21)とは、施錠用給電経路52を介して接続され、施錠用給電経路52を通じて分電盤31から施錠装置回路45に商用電力が供給される。なお、施錠用給電経路52は第2商用給電経路に相当する。
【0032】
また、建物10には、リビング回路35及び施錠装置回路45に外部電源装置からの給電を可能とする外部給電系統が設けられている。これにより、本建物10では、災害等により建物10に停電が発生した場合(すなわち商用電力の供給が停止された場合)に、建物10に外部電源装置を接続し、その接続状態で外部電源装置からリビング回路35及び施錠装置回路45に電力を供給することが可能となっている。このため、停電発生時においても、リビングの電気機器36~38及び玄関ドア16の施錠装置21を使用することが可能となっている。
【0033】
続いて、外部電源装置からリビング回路35及び施錠装置回路45に給電を行うための構成について説明する。
【0034】
本実施形態では、外部電源装置として、外部給電機能を有する自動車61を想定している。自動車61は、例えば車載バッテリ62を搭載したプラグインハイブリッド自動車(PHV)となっている。自動車61には、その車内にコンセント63が設けられている。コンセント63は車載バッテリ62に電気的に接続され、車載バッテリ62に蓄えられた電力をコンセント63から取り出し可能となっている。コンセント63は、建物に設けられているコンセントと同じAC100V用のコンセントとなっている。そのため、コンセント63には、ドライヤ等の電気機器(家電機器)を接続可能となっている。
【0035】
自動車61は、給電ケーブル64を介して建物10に接続可能となっている。給電ケーブル64は、その両端部に一対のコネクタ64a,64bを有している。これら各コネクタ64a,64bのうち、一方のコネクタ64aは自動車61のコンセント63に接続可能とされ、他方のコネクタ64bは建物10の外壁65に設けられたインレット71に接続可能とされている。これにより、給電ケーブル64のコネクタ64aが自動車61のコンセント63に接続され、かつ、コネクタ64bが建物10のインレット71に接続されることで、自動車61と建物10とが給電ケーブル64を介して電気的に接続されるようになっている。なお、屋外には建物10に隣接して自動車61の駐車スペース72が設けられ、その駐車スペース72に面した外壁65aにインレット71が設けられている。また、インレット71が接続部に相当する。
【0036】
また、
図1では、駐車スペース72が玄関口15が設けられた外壁65bとは反対側の外壁65aに面しているが、駐車スペース72は玄関口15側の外壁65bに面していてもよい。その場合、インレット71は外壁65bに設けられることになる。
【0037】
建物10には、インレット71とリビング給電経路42とを接続するリビング接続経路43が設けられている。リビング接続経路43はリビング給電経路42の中間部に接続され、そのリビング給電経路42とリビング接続経路43との接続部分には、切替スイッチ41が設けられている。この場合、切替スイッチ41とインレット71とがリビング接続経路43を介して接続されている。
【0038】
切替スイッチ41は、手動操作により、分電盤31とリビング回路35とを接続する第1位置と、インレット71(換言するとリビング接続経路43)とリビング回路35とを接続する第2位置との間で位置切替可能となっている。切替スイッチ41が第1位置にある場合には、分電盤31からリビング回路35にリビング給電経路42を介して商用電力が供給される。切替スイッチ41は通常、第1位置に設定され、
図1では、切替スイッチ41が第1位置に設定された状態を示している。
【0039】
一方、自動車61(詳しくはコンセント63)が給電ケーブル64を介して建物10側のインレット71に接続された状態で、切替スイッチ41が第1位置から第2位置に切り替えられると、自動車61とリビング回路35とが給電ケーブル64とリビング接続経路43とリビング給電経路42の一部(詳しくは、リビング給電経路42のうち、切替スイッチ41とリビング回路35とをつなぐ経路部分)とを介して電気的に接続される。この場合、自動車61側からAC100Vの電力が給電ケーブル64を介してインレット71に供給され、その供給された電力が、インレット71からリビング接続経路43とリビング給電経路42の上記一部とを介してリビング回路35に供給される。なお、この場合、リビング接続経路43とリビング給電経路42の上記一部とを含んで第1外部給電経路が構成されている。
【0040】
また、本実施形態では、建物10に、インレット71と施錠装置回路45とを接続する施錠装置接続経路53が設けられている。施錠装置接続経路53は、切替スイッチ41を介さずにインレット71と施錠装置回路45とを接続する経路である。施錠装置接続経路53には、切替部としての切替スイッチ51が設けられている。切替スイッチ51は、建物10の玄関口15付近の外壁65bに設けられており、屋外側から操作可能となっている。なお、施錠装置接続経路53が第2外部給電経路に相当する。
【0041】
切替スイッチ51は、手動操作により、施錠装置接続経路53への電力の供給を遮断(禁止)する第1位置と、施錠装置接続経路53への電力の供給を実施(許可)する第2位置との間で位置切替可能となっている。このため、切替スイッチ51が第1位置にある場合には、自動車61(詳しくはコンセント63)が給電ケーブル64を介して建物10側のインレット71に接続された状態であっても、自動車61から施錠装置回路45に給電ケーブル64及び施錠装置接続経路53を介して電力が供給されることはない。一方、切替スイッチ51が第1位置から第2位置に切り替えられると、自動車61から施錠装置回路45に給電ケーブル64及び施錠装置接続経路53を介して電力が供給されるようになる。また、切替スイッチ51は通常、第1位置に設定され、
図1では、切替スイッチ51が第1位置に設定された状態を示している。
【0042】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0043】
停電時に居住者が帰宅した場合、施錠装置21に商用電力が供給されていないため、このままでは、居住者は施錠装置21を解錠することができない。本実施形態では、帰宅した居住者は、まず自動車61と、建物10に設けられたインレット71とを給電ケーブル64で接続する。そして、切替スイッチ51(通常時は第1位置に設定されている)を第1位置から第2位置に切り替えることで、自動車61より施錠装置21に給電ケーブル64と施錠装置接続経路53とを通じて給電を行うことが可能となっている。これにより、建物10で停電が発生した場合であっても、自動車61からの給電によって施錠装置21を作動させることができるため、帰宅した居住者は施錠装置21を解錠して建物10内に入ることができる。そのため、停電時に屋外に締め出されてしまうことを回避できる。
【0044】
自動車61から建物10側への給電を行う際には、自動車61とインレット71とを給電ケーブル64により接続する作業に加え、切替スイッチ51を車両給電側に切り替える作業を行う必要がある。しかしながら、施錠装置21が動作しない場合、屋内に入れないためかかる切り替え作業が行えず、結果として給電を行えないという問題もある。その点、本実施形態では、建物10で停電が発生した場合であっても、自動車61からの給電によって施錠装置21を作動させることができるため、居住者は施錠装置21を解錠して建物10内に入ることができる。そのため、屋内に入れず、切り替え作業が行えないという上述の問題を回避することができる。
【0045】
居住者が建物10内に入り、自動車61から電気機器36~38への給電が開始された後は施錠装置21への給電が不要となる。その点、本実施形態では、切替スイッチ51による切替操作により施錠装置21への電力供給を停止させることができるため、限られた施錠装置21の電力を無駄に消費してしまうことを回避できる。
【0046】
居住者が建物10内にいるときに停電が生じた場合、居住者は屋外に出て給電ケーブル64の接続作業を行うことになる。給電ケーブル64の接続が完了すると、自動車61より施錠装置21へ電力が供給され、施錠装置21が作動することになるが、この場合、施錠装置21がオートロック機能(自動施錠機能)を有するものであると、電力が供給された途端に施錠装置21が施錠状態になってしまう可能性がある。このため、居住者が屋外に電子キー81を携帯せずに出てしまった場合には、屋外に締め出されてしまうおそれがある。その点、本実施形態では、切替スイッチ51が設けられている。この場合、通常時は施錠装置21への給電を禁止する状態に切り替えておくことで、給電ケーブル64の接続完了と同時に施錠装置21への給電が行われることを回避でき、ひいては給電により施錠装置21が自動施錠されるのを回避できる。このため、居住者が屋外に締め出されることを回避できる。
【0047】
また、切替スイッチ51は屋外から切替操作可能に設けられているため、停電時に居住者が帰宅した場合には、給電ケーブル64の接続作業を行った上で、切替スイッチ51を操作して施錠装置21への給電を許可することで、自動車61から施錠装置21に電力を供給することができる。これにより、居住者は施錠装置21を解錠して建物10内に入ることができるため、屋外に締め出されることを回避できる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図2に基づき説明する。以下、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0049】
第2実施形態では、施錠装置接続経路53に、切替スイッチ51に代えて、通電センサ55が設けられている。通電センサ55は、施錠装置接続経路53における通電を検知するセンサである。通電センサ55により通電が検知された場合、自動車61から給電ケーブル64及び施錠装置接続経路53を介して施錠装置回路45(施錠装置21)に電力が供給されていることになる。通電センサ55は、施錠装置21の制御部23と接続されており、検知結果を制御部23に逐次出力する。
【0050】
制御部23は、通電センサ55により施錠装置接続経路53が通電状態であることを検知している場合には、施錠装置21のオートロック機能を無効化する(自動施錠無効手段に相当)。これにより、自動車61から施錠装置回路45に給電されている場合には、玄関ドア16が閉められていても、施錠装置21(施錠部22)が施錠状態になることがないようになっている。このため、停電時において、建物10内の電気機器36~38に給電するために、給電ケーブル64を接続すべく屋外に出た居住者が、オートロックにより屋外に締め出されてしまうことを回避できる。
【0051】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0052】
(1)上記第1及び第2実施形態では、施錠装置21を、電子キー81によるユーザ認証に基づいて解錠されるものとしたが、電子キー81によるユーザ認証と、玄関ドア16に設けられたタッチセンサにより人(居住者)が玄関ドア16に触れたことが検知されたこととに基づき解錠されるものであってもよい。
【0053】
また、電子キー81は、信号の送受信を行うものに限らず、カードキー等の読取り式のものであってもよい。施錠装置21は、必ずしも電子キー81により解錠されるものである必要はなく、例えば玄関ドア16に設けられたテンキーにより暗証番号を入力することで解錠されるものであってもよい。要するに、電力が供給されることで作動する電気式の施錠装置であれば、本発明を適用することが可能である。
【0054】
なお、施錠装置21は、オートロック機能を有さないものとしてもよい。この場合、例えば第2の実施形態において、通電センサ55を不具備とすることができる。
【0055】
(2)上記第1及び第2実施形態では、外部電源装置として、外部給電機能を有する自動車61を想定したが、必ずしも自動車である必要はなく、例えば発電機を用いてもよい。その場合、発電機と建物10とを給電ケーブル64を介して接続し、その接続状態で発電機による発電電力を、給電ケーブル64を介して建物10側に供給するようにする。
【0056】
(3)上記第1及び第2実施形態では、切替スイッチ51は、玄関口15付近の外壁65bに設けられているが、例えば、駐車スペース72に面した外壁65aに設けられていてもよい。この場合、居住者は、駐車スペース72において給電ケーブル64の接続作業を行った後、そのまま駐車スペース72において切替スイッチ51の切り替え作業を行うことになる。
【0057】
(4)上記第1実施形態では、切替スイッチ51を建物10の屋外に設けたが、屋内に設けてもよい。この場合、外部電源装置の電力を効率的に使用すべく施錠装置21への給電を停止させたい場合、切替操作を屋外に出ることなく行うことができる。なお、この場合、切替スイッチ51は、屋外から操作できないため、停電時に帰宅した居住者が締め出されないようにするために、切替スイッチ51の通常時の位置を第2位置とする。このようにすることで、帰宅した居住者は、給電ケーブル64の接続のみで施錠装置21を作動させられるため、電子キー81で施錠装置21を解錠して建物10内に入ることが可能となる。
【0058】
(5)上記第2実施形態では、通電センサ55は、施錠装置接続経路53の通電を検知するものとしたが、施錠用給電経路52の通電を検知するようにしてもよい。この場合、制御部23は、施錠用給電経路52の通電が検知されない場合には、施錠装置21のオートロック機能を無効化するようにする。つまり、施錠用給電経路52の通電が検知されない場合(換言すると、施錠装置21に商用電力が供給されていない場合)には、施錠装置21に自動車61から電力が供給されていると判断して、オートロック機構を無効化するようにする。このようにしても、停電時に自動車61からの給電により施錠装置21が作動した際、オートロックがかからないようにすることができる。このため、第2実施形態と同様、オートロック機能に起因する屋外への締め出しを回避できる。
【0059】
(6)上記第2実施形態では、切替スイッチ51に代えて通電センサ55を設ける構成としたが、切替スイッチ51と通電センサ55との両方を設けてもよい。この場合、オートロック機能に起因する締め出しを回避できることに加えて、限られた自動車61の電力を無駄に消費してしまうことも回避できるようになる。
【0060】
(7)上記第1実施形態では、切替スイッチ51(切替部に相当)により自動車61から施錠装置21への給電の許可及び禁止の切り替えを行うようにしたが、かかる切り替えを行う切替部の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、
図3に示すように、切替部として、分電盤31から施錠装置21に商用電力を供給するか、それとも自動車61から施錠装置21に電力を供給するかを切り替える切替スイッチ91を設けてもよい。この場合、切替スイッチ91が第1位置(
図3に示す位置)にある場合には、分電盤31と施錠装置21とが施錠用給電経路52を介して接続され、分電盤31から施錠装置21に施錠用給電経路52を通じて商用電力が供給される。一方、切替スイッチ91が第2位置にある場合には、自動車61(インレット71)と施錠装置21とが施錠装置接続経路53を介して接続され、自動車61から施錠装置21に施錠装置接続経路53を介して電力が供給される。したがって、この場合にも、切替スイッチ91を第1位置と第2位置とに切替操作することにより、自動車61から施錠装置21への給電の許可及び禁止の切り替えを行うことができる。また、かかる構成では、自動車61から施錠装置21への給電時に、停電が復帰しても分電盤31から施錠装置21に商用電力が供給されることがない。そのため、停電復帰時に施錠装置21に自動車61の電力と商用電力とが共に供給される事態を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
10…建物、15…出入口としての玄関口、16…開閉体としての玄関ドア、21…施錠装置、23…制御部、36…所定の電気機器としての照明、37…所定の電気機器としての照明SW、38…所定の電気機器としてのコンセント、43…第1外部給電経路を構成するリビング接続経路、51…切替部としての切替スイッチ、52…施錠用給電経路、53…第2外部給電経路としての施錠装置接続経路、61…外部電源装置としての自動車、64…給電ケーブル、71…接続部としてのインレット、81…電子キー。