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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】壁受け部材および外断熱壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20241025BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
E04B2/56 631Z
E04B2/56 631C
E04B2/56 644F
E04B2/56 645A
E04B1/64 C
E04B1/64 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020176148
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067440
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 研治
(72)【発明者】
【氏名】北川 大輔
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-009570(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059961(JP,U)
【文献】特開2012-246702(JP,A)
【文献】特開2009-215864(JP,A)
【文献】特開2008-106557(JP,A)
【文献】特開2002-146930(JP,A)
【文献】特開2001-317131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04B 2/56-2/70
E04B 2/88-2/96
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する水平部と、
前記水平部の幅方向の一端に接続され、前記上面に垂直に起立する第1起立部と、
前記水平部の前記下面に起立する第2起立部と、
を備え
前記第2起立部が前記水平部の他端に接続されて前記第1起立部側に傾斜しており、
前記水平部の前記上面上に壁を配置し、前記水平部と前記第1起立部とで前記壁を受けることを特徴とする壁受け部材。
【請求項2】
前記第1起立部に貫通孔が設けられている、請求項1に記載の壁受け部材。
【請求項3】
前記第2起立部に排水孔が設けられている、請求項1または2に記載の壁受け部材。
【請求項4】
前記第2起立部は耐候性の材料で構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【請求項5】
前記第2起立部は耐熱性且つ耐低温性の材料で構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【請求項6】
前記第1起立部は前記水平部とは反対側の面から突出する突出部をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【請求項7】
前記突出部が前記第2起立部側に傾斜している、請求項に記載の壁受け部材。
【請求項8】
建物の躯体の室外側に配置された断熱材と、
前記建物の躯体の基礎上に配置された水切り部材と、
請求項1~のいずれか一項に記載の壁受け部材と、
を備え、
前記断熱材が前記壁受け部材の前記水平部の前記上面上に配置されており、
前記壁受け部材の前記第2起立部の一端が前記水切り部材に接するように構成されていることを特徴とする外断熱壁構造。
【請求項9】
建物の躯体の室外側に配置された断熱材と、
前記断熱材の室外側に配置された外装材と、
前記建物の躯体の基礎上に配置された水切り部材と、
請求項またはに記載の壁受け部材と、
を備え、
前記断熱材が前記壁受け部材の前記水平部の前記上面上に配置されており、
前記外装材が前記壁受け部材の前記突出部上に配置されており、
前記壁受け部材の前記第2起立部の一端が前記水切り部材に接するように構成されていることを特徴とする外断熱壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁受け部材および外断熱壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨造や木造などの建物の外壁の断熱方法として、充填断熱工法および外張断熱工法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。充填断熱工法は、建物の躯体の間や室内側に断熱材を配置するものであり、グラスウールなどの断熱材が躯体間に充填されることが多い。この充填断熱工法は、断熱材の価格が安いため、断熱材のコストは低減できるものの、建物の躯体が熱橋となり、断熱性能があまり高くない問題がある。
【0003】
一方、外張断熱工法は、構造躯体の室外側に断熱材を配置するものであり、発泡プラスチックなどのプラスチック系の断熱材が躯体の室外側に張設される。外張断熱工法では、建物全体が断熱材で覆われるため、熱橋がなく、断熱性能が高い。そのため、近年では、より断熱性能が高い外張断熱工法が用いられるようになっている。
【0004】
図1は、外断熱壁構造の一例を示している。図1に示した外断熱壁構造100においては、基礎111の室外側側面に基礎断熱材112が配置されており、基礎111および基礎断熱材112の上部に水切り部材131が配置されている。
【0005】
また、基礎111の上部には土台121が固定されており、土台121に連結された柱および間柱(図示せず)に、耐力合板などで構成された構造用面材122が固定されている。構造用面材122の室外側表面には、透湿防水シート123が貼設されており、その表面に断熱材124が配置され、ビスVにより構造用面材122に固定されている。そして、断熱材124の表面には、ベースコート層125aとトップコート層125bとで構成された外装材125が左官仕上げされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-166379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示した外断熱壁構造100においては、水切り部材131と断熱材124および外装材125との間には隙間が設けられており、雨天の際などに上記隙間から雨水などの水が浸入し、断熱材124の小口面から水が浸水して断熱材124が劣化する問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱材の小口面から水が浸入して断熱材が劣化するのを防止することができる壁受け部材および外断熱壁構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
【0010】
[1]上面および下面を有する水平部と、
前記水平部の幅方向の一端に接続され、前記上面に垂直に起立する第1起立部と、
前記水平部の前記下面に起立する第2起立部と、
を備えることを特徴とする壁受け部材。
【0011】
[2]前記第1起立部に貫通孔が設けられている、前記[1]に記載の壁受け部材。
【0012】
[3]前記第2起立部に排水孔が設けられている、前記[1]または[2]のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【0013】
[4]前記第2起立部が前記水平部の他端に接続されて前記第1起立部側に傾斜している、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【0014】
[5]前記第2起立部は耐候性の材料で構成されている、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【0015】
[6]前記第2起立部は耐熱性且つ耐低温性の材料で構成されている、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【0016】
[7]前記第1起立部は、前記水平部とは反対側の面から突出する突出部をさらに備える、前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の壁受け部材。
【0017】
[8]前記突出部が前記第2起立部側に傾斜している、前記[7]に記載の壁受け部材。
【0018】
[9]建物の躯体の室外側に配置された断熱材と、
前記建物の躯体の基礎上に配置された水切り部材と、
前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の壁受け部材と、
を備え、
前記断熱材が前記壁受け部材の前記水平部の前記上面上に配置されており、
前記壁受け部材の前記第2起立部の一端が前記水切り部材に接するように構成されていることを特徴とする外断熱壁構造。
【0019】
[10]建物の躯体の室外側に配置された断熱材と、
前記断熱材の室外側に配置された外装材と、
前記建物の躯体の基礎上に配置された水切り部材と、
前記[7]または[8]に記載の壁受け部材と、
を備え、
前記断熱材が前記壁受け部材の前記水平部の前記上面上に配置されており、
前記外装材が前記壁受け部材の前記突出部上に配置されており、
前記壁受け部材の前記第2起立部の一端が前記水切り部材に接するように構成されていることを特徴とする外断熱壁構造。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、断熱材の小口面から水が浸入して断熱材が劣化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の外断熱壁構造の一例を示す図である。
図2】本発明による壁受け部材の好適な一例を示す図である。
図3】異なる構成の第2起立部を備える壁受け部材の例を示す図である。
図4】本発明による壁受け部材の実施例を示す図である。
図5】本発明による外断熱壁構造の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(壁受け部材)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明による壁受け部材は、上面および下面を有する水平部と、水平部の幅方向の一端に接続され、上記上面に垂直に起立する第1起立部と、水平部の下面に起立する第2起立部とを備えることを特徴とする。
【0023】
図2は、本発明による壁受け部材の好適な一例を示している。図2に示した壁受け部材1は、水平部11と、第1起立部12と、第2起立部13と、突出部14とを備える。
【0024】
水平部11は、壁受け部材1の基材となる部材である。水平部11は、上面11aおよび下面11bを有しており、壁受け部材1が図1に示した外断熱壁構造100に適用され、水切り部材131と断熱材124および外装材125との間に配置されると、上面11aにて断熱材124を支持するとともに、断熱材124の小口面を覆う。これにより、水切り部材131と断熱材124および外装材125との隙間に雨水などの水が浸入しても、断熱材124の小口面から水が浸入するのを防止することができる。
【0025】
水平部11の幅(短手方向の長さ)は、必ずしも断熱材124の厚みと同じにする必要はなく、断熱材124の厚みよりも短くしてもよいが、断熱材124を安定に保持する点では、断熱材124の厚みと同程度にすることが好ましい。
【0026】
第1起立部12は、水平部11の幅方向の一端11cに接続され、上面11aに垂直に起立するように構成されている。第1起立部12は、壁受け部材1が図1に示した外断熱壁構造100に適用され、断熱材124と外装材125との間に配置されると、断熱材124の室外側の表面下部を支持する。
【0027】
なお、本発明において、「上面に垂直に起立する第1起立部」とは、第1起立部12が、上面11aに対して85°以上90°以下の角度で起立することを意味している。
【0028】
第1起立部12には、図2に示すように、貫通孔12aが設けられていることが好ましい。外装材125が左官により設けられる場合、断熱材124の表面にベースコート材を薄く塗布した後、壁受け部材1を配置し、壁受け部材1の第1起立部12の表面にベースコート材を塗布する。そのため、断熱材124の表面に塗布したベースコート材と第1起立部12の表面に塗布したベースコート材とが貫通孔12aを介して接続され、第1起立部12ひいては壁受け部材1を断熱材124により強固に固定することができる。貫通孔12aは、壁受け部材1を断熱材124に強固に固定する点では、第1起立部12の長手方向全体に亘って設けられていることが好ましい。
【0029】
貫通孔12aの形状は特に限定されず、図2に示した円形や楕円形、三角形、四角形などの多角形などとすることができる。貫通孔12aの寸法は、例えば3~7mmとすることができる。なお、貫通孔12aの形状が円形以外の場合、貫通孔12aの寸法は、その貫通孔12aを内包する円の最小の直径を意味する。また、貫通孔12aの合計面積は、例えば第1起立部12の面積の10~30%程度とすることができる。
【0030】
第2起立部13は、水平部11の下面11bに起立するように構成されている。第2起立部13は、壁受け部材1が図1に示した外断熱壁構造100に適用され、水切り部材131と断熱材124および外装材125との間に配置された際に、室外側から雨水などの水が浸入するのを遮断する機能を有する。そのため、第2起立部13は、壁受け部材1が図1に示した外断熱壁構造100に適用された際に、その一端13aが水切り部材131に接するように幅(短手方向の長さ)や水平部11に対する角度などが構成される。
【0031】
図2に例示した壁受け部材1では、第2起立部13は、水平部11の他端11dに接続されており、水平部11の下面11bの垂直方向に対して第1起立部12側に45°傾斜している。第2起立部13の奥行寸法(水平部の他端11dから第2起立部の一端13aまでの水平方向の距離)は、水平部11の奥行寸法(水平部11の一端11cから他端11dまでの距離)より短くすることが好ましい。第2起立部13の奥行寸法を水平部11の寸法より短くし傾斜させることによって、外部から第2起立部13が見えづらく意匠的に優れているため、好ましい。ただし、傾斜を過度に大きくすると、第2起立部13が断熱材124と水切り部材131との隙間に挿入しづらくなる。また、第2起立部13の奥行寸法を過度に短くすると、第2起立部13の一端13aが水切り部材131に接しなくなり雨水の侵入を遮断できなくなるため、第2起立部13の一端13aが水切り部材131に接するように適切な寸法にする。なお、図2に示した壁受け部材1では、第2起立部13は、第1起立部12側に傾斜しているが、構造用面材122側(室内側)に傾斜させてもよい。
【0032】
本発明において、第2起立部13に排水孔が設けられていることが好ましい。外断熱壁構造100には、何らかの要因によって上部から雨水などの水が浸入する場合があるが、浸入した水は構造用面材122の室外側に配置された透湿防水シート123と断熱材124との間を伝って壁受け部材1まで降りてくる。第2起立部13に排水孔が設けられていれば、上述のように降りてきた水を室外に排出することができる。排水孔は、第2起立部13の長手方向に適切な個数だけ設けることができる。
【0033】
上記排水孔は、例えば、第2起立部13の一端13aに沿って設けられた欠きこみで構成することができる。欠きこみの形状は、特に限定されず、半円形、半楕円形、三角形、四角形、あるいはこれらを組み合わせたものなどとすることができる。また、排水孔は、貫通孔で構成することができる。貫通孔の形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形、あるいはこれらを組み合わせたものなどとすることができる。排水孔の寸法は、例えば2~10mmとすることができる。なお、排水孔が円形の貫通孔以外の場合、排水孔の寸法は、その排水孔を内包する円の最小の直径を意味する。
【0034】
なお、第2起立部13は、図1に示した外断熱壁構造100に適用された際に、その一端13aが水切り部材131に接するように構成されていれば、第2起立部13の形状や、水平部11に接続される位置などは、図2に示したものに限定されない。
【0035】
図3は、異なる構成の第2起立部13を備える壁受け部材の例を示している。第2起立部13の形状は、図3(a)に示した壁受け部材2のような上凸状や、図3(b)に示した壁受け部材3のような下凸状とすることができる。また、第2起立部13は、図3(c)に示した壁受け部材4のように、水平部11の中央付近に接続し、壁受け部材1を幅方向側面から見た場合にT字状となるように構成することもできる。
【0036】
さらに、図3(d)に示した壁受け部材5のように、図2に示した水平部11と第2起立部13との接続部にジョイントJを設け、第2起立部13がジョイントJの周りを回動可能に構成することができる。これにより、本発明による壁受け部材1を適用した外断熱壁構造100を施工する際に、水切り部材131と断熱材124および外装材125との間の隙間に誤差が生じた場合にも、実際の隙間の大きさに合わせてジョイントJの周りで第2起立部13を回動させて、第2起立部13の一端13aを水切り部材131に接触させ、第2起立部13の水の遮断機能を確保することができる。
【0037】
なお、図3(d)に示した壁受け部材5の効果は、図3(e)に示した壁受け部材6のように、第2起立部13を2つの部材で構成し、それらをジョイントJで接続したり、図3(f)に示した壁受け部材7のように、図3(c)に示した壁受け部材4の水平部11と第2起立部13の接続位置にジョイントJを設けたりすることによっても得ることができる。
【0038】
突出部14は、第1起立部12の水平部11とは反対側の面から突出するように構成されており、外装材125を支持する。
【0039】
突出部14は、図2に示すように、第2起立部13側に傾斜、すなわち、壁受け部材1を外断熱壁構造100に適用した際に下方に傾斜していることが好ましい。これにより、雨天の際などに外装材125の表面を伝って上方から降りてきた雨水などを水切りすることができ、また、水切り部材131と断熱材124および外装材125との隙間が外部から見えづらくなるため、意匠性を高めることができる。
【0040】
図2に例示した壁受け部材1では、突出部14は45°下方に傾斜している(すなわち、水平部11の下面11bに対して、第2起立部側に45°傾斜している)が、これに限定されず、水切りの点では、傾斜角度は30°以上60°以下とすることが好ましい。
【0041】
以上のような構成を有する本発明による壁受け部材1~7を構成する材料は、断熱材124および外装材125を支持する十分な強度を有するものであれば、特に限定されず、金属や樹脂などで構成することができる。中でも、本発明による壁受け部材1を適用した外断熱壁構造100を施工する際に、水切り部材131と断熱材124および外装材125との間の隙間に誤差があった場合に、壁受け部材1を加工して対応することができることから、樹脂で構成することが好ましい。こうした樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂やABS樹脂などを用いることができる。
【0042】
ただし、第2起立部13、水平部11および突出部14は、第1起立部12とは異なり、風雨に晒される環境に置かれる。そのため、第2起立部13は、耐候性の材料で構成されていることが好ましい。こうした耐候性の材料としては、例えば耐候性の樹脂、具体的には、AES樹脂やASA樹脂などが挙げられる。
【0043】
また、第2起立部13が接触する水切り部材131は、夏場などではかなりの高温(例えば、80℃)に達する場合があり、寒冷地ではかなりの低温(例えば-20℃)に達する場合がある。そのため、第2起立部13は、こうした高温や低温に耐えうる耐熱性且つ耐低温性の材料で構成されていることが好ましい。こうした耐熱性且つ耐低温性の材料としては、例えば、上述の樹脂などに、耐熱性を向上させる添加剤である酸化防止剤を添加し、耐低温性を向上させる添加剤である可塑剤を添加したものなどが挙げられる。
【0044】
図4(a)および(b)は、本発明による壁受け部材の実施例を示している。図4(a)に示した壁受け部材8においては、水平部11の幅は40mm、第1起立部12の幅は40mm、第2起立部13の幅は25mmであり、第2起立部13の傾斜角度は45°である。突出部14の傾斜角度は45°であり、外装材の厚み方向に2mmとなるように幅は2.8mmである。
【0045】
第1起立部12には、φ5mmの貫通孔12aが10mm間隔にて3列千鳥配列で設けられている。また、第2起立部13には、その一端13aに沿って欠きこみで構成された排水孔13bが40mm間隔で設けられている。欠きこみは、半円形(φ5mm)と四角形(5mm×3mm)とが組み合わされた形状を有している。
【0046】
一方、図4(b)に示した壁受け部材9は、図4(a)に示した壁受け部材8とは排水孔13bの構成が異なっており、排水孔13bがφ5mmの貫通孔で構成されている。
【0047】
(外断熱壁構造)
本発明による外断熱壁構造は、建物の躯体の室外側に配置された断熱材と、建物の躯体の基礎上に配置された水切り部材と、上述した本発明による壁受け部材とを備え、断熱材が壁受け部材の水平部の上面上に配置されており、壁受け部材の第2起立部の一端が水切り部材に接するように構成されていることを特徴とする。
【0048】
上述のように、本発明による壁受け部材1~9の水平部11は、その上面11aにて断熱材124を支持するとともに、断熱材124の小口面を覆う。これにより、水切り部材131と断熱材124および外装材125との隙間に雨水などの水が浸入しても、断熱材124の小口面から水が浸入するのを防止することができる。また、第2起立部13が水切り部材131と断熱材124および外装材125との隙間に浸入した雨水などの水を遮断して、室内に雨水が浸入するのを防止することができる。
【0049】
図5は、本発明による外断熱壁構造の実施例を示している。図5に示した外断熱壁構造200は、具体的には、図4(a)に示した本発明による壁受け部材8を図1に示した外断熱壁構造100に適用した湿式外断熱壁構造である。図5において、図1および図2に示した構成と同じ構成には、同じ符号が付されている。
【0050】
外断熱壁構造200においては、壁受け部材8の水平部11が、その上面11aにて断熱材124を支持するとともに、断熱材124の小口面を覆っている。そして、壁受け部材8の第2起立部13の一端13aが水切り部材131に接するように構成されている。
【0051】
また、壁受け部材8の第1起立部12は、断熱材124の室外側表面の第1起立部12を取り付ける部分に、左官により外装材125のベースコート材が薄く塗布された後、断熱材124と接触するように配置されている。そして、その後、第1起立部12の室外側表面にベースコート材が塗布されてベースコート層125aが形成されている。そのため、断熱材124の室外側表面に塗布したベースコート材と第1起立部12の室外側表面に塗布したベースコート材とが、第1起立部12に設けられた貫通孔12aを介して接続されて一体化しており、第1起立部12ひいては壁受け部材8が断熱材124に強固に固定されている。
【0052】
ここで、図5に示した外断熱壁構造200の施工方法について説明する。まず、土台121に連結された柱および間柱(図示せず)に構造用面材122を固定し、その上に水切り部材131を取り付ける。次に、構造用面材122の表面に透湿防水シート123を貼り付けた後、断熱材124を断熱材124と水切り部材131との間に所定の隙間が設けられるように順次配置し、ビスVで断熱材124を構造用面材122に固定する。
【0053】
続いて、断熱材124の室外側表面の壁受け部材8の第1起立部12を取り付ける位置に、左官により外装材125のベースコート材を薄く塗布し、壁受け部材8の第2起立部13を上記隙間に挿入して、断熱材124と第2起立部13とをベースコート材を介して接触させる。
【0054】
その後、断熱材124および壁受け部材8の全面に左官によりベースコート材を塗布してベースコート層125aを形成する。最後に、ベースコート層125aの表面に左官によりトップコート材を塗布してトップコート層125bを形成し、外装材125を形成する。こうして、本発明による外断熱壁構造200を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、断熱材の小口面から水が浸入して断熱材が劣化するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4,5,6,7,8,9 壁受け部材
11 水平部
11a 水平部の上面
11b 水平部の下面
11c 水平部の一端
11d 水平部の他端
12 第1起立部
12a 貫通孔
13 第2起立部
13a 第2起立部の一端
13b 排水孔
14 突出部
100,200 外断熱壁構造
111 基礎
112 基礎断熱材
121 土台
122 構造用面材
123 透湿防水シート
124 断熱材
125 外装材
125a ベースコート層
125b トップコート層
131 水切り部材
J ジョイント
図1
図2
図3
図4
図5