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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
G05F1/56 310X
G05F1/56 310E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020178869
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069919
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 友和
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0109435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの回路ブロックに対して電源電圧を供給するための電源回路であって、
前記少なくとも1つの回路ブロックに共通のメイン電源ラインと、
前記回路ブロック毎に設けられた電源ラインと、
前記回路ブロックの少なくとも一部に対応して配置される第1導電型の第1トランジスタとを備え、
前記第1トランジスタは、
前記メイン電源ラインと接続されるドレインと、
対応する前記電源ラインと接続されるソースと、
基準電圧が入力されるゲートとを有し、
前記回路ブロック及び前記電源ラインは複数個ずつ配置され、
前記電源回路は、
前記複数個の回路ブロックのうちの第1回路ブロックに対応して設けられる第1電源ラインの電圧をフィードバック制御するレギュレータを更に備え、
前記第1トランジスタのソースは、前記複数個の回路ブロックのうちの第2回路ブロックに対応して設けられる第2電源ラインと接続され、
前記基準電圧は、前記第1電源ラインから分岐された経路によって、前記レギュレータから前記第1トランジスタの前記ゲートに入力され、
前記第1回路ブロックの消費電流は、前記第2回路ブロックの消費電流よりも大きい、電源回路。
【請求項2】
前記第1電源ライン上で前記経路が分岐される分岐ノードと、前記第1電源ラインに対する前記レギュレータの出力ノードとの間の配線長は、前記第1電源ライン及び前記第1回路ブロックが接続されるノードと前記分岐ノードとの間の前記配線長よりも短い、請求項記載の電源回路。
【請求項3】
前記第1トランジスタの前記ソースと前記電源ラインとの間に接続された、前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型の第2トランジスタと、
接地電圧ラインと前記電源ラインとの間に接続された抵抗素子とを更に備え、
前記第2トランジスタのゲートには、前記電源回路の停止時には当該第2トランジスタをオフする一方で、前記電源回路のオン時には当該第2トランジスタをオンするための電圧レベルを有する制御信号が入力される、請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記基準電圧を増減補正して前記第1トランジスタの前記ゲートに入力するための電圧補正回路を更に備え、
前記電圧補正回路は、前記電圧補正回路に対する設定入力に応じた正又は負の電圧差を付与することによって前記基準電圧を補正する、請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項5】
少なくとも1つの回路ブロックに対して電源電圧を供給するための電源回路であって、
前記少なくとも1つの回路ブロックに共通のメイン電源ラインと、
前記回路ブロック毎に設けられた電源ラインと、
前記回路ブロックの少なくとも一部に対応して配置される第1導電型の第1トランジスタとを備え、
前記第1トランジスタは、
前記メイン電源ラインと接続されるドレインと、
対応する前記電源ラインと接続されるソースと、
基準電圧が入力されるゲートとを有し、
前記電源回路は、
前記第1トランジスタの前記ソースと前記電源ラインとの間に接続された、前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型の第2トランジスタと、
接地電圧ラインと前記電源ラインとの間に接続された抵抗素子とを更に備え、
前記第2トランジスタのゲートには、前記電源回路の停止時には当該第2トランジスタをオフする一方で、前記電源回路のオン時には当該第2トランジスタをオンするための電圧レベルを有する制御信号が入力される、電源回路。
【請求項6】
少なくとも1つの回路ブロックに対して電源電圧を供給するための電源回路であって、
前記少なくとも1つの回路ブロックに共通のメイン電源ラインと、
前記回路ブロック毎に設けられた電源ラインと、
前記回路ブロックの少なくとも一部に対応して配置される第1導電型の第1トランジスタとを備え、
前記第1トランジスタは、
前記メイン電源ラインと接続されるドレインと、
対応する前記電源ラインと接続されるソースと、
基準電圧が入力されるゲートとを有し、
前記電源回路は、
前記基準電圧を増減補正して前記第1トランジスタの前記ゲートに入力するための電圧補正回路を更に備え、
前記電圧補正回路は、前記電圧補正回路に対する設定入力に応じた正又は負の電圧差を付与することによって前記基準電圧を補正する、電源回路。
【請求項7】
前記電圧補正回路は、
前記基準電圧が伝達される基準ノードと接続される第1ノードに第1電流を供給する第1電流源と、
前記第1トランジスタの前記ゲートと接続される第2ノードに第2電流を供給する第2電流源と、
前記第1ノードと接続されたソースを有し、前記第1電流に応じた電圧を当該ソースとゲートとの間に生じさせる第3トランジスタと、
前記第2ノードと接続されたソースを有し、前記第2電流に応じた電圧を当該ソースとゲートとの間に生じさせる第4トランジスタと、
第1設定入力及び第2設定入力にそれぞれ従って前記第1電流及び前記第2電流を個別に調整する調整回路とを含み、
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの前記ゲートは互いに接続される、請求項4または6に記載の電源回路。
【請求項8】
前記電圧補正回路は、
第1ノードに第1電流を供給する第1電流源と、
前記第1電流と同等の第2電流を第2ノードに供給する第2電流源と、
前記第1ノードと接続されたソースを有し、前記第1電流に応じた電圧を当該ソースとゲートとの間に生じさせる第3トランジスタと、
前記第2ノードと接続されたソースを有し、前記第2電流に応じた電圧を当該ソースとゲートとの間に生じさせる第4トランジスタとを含み、
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの前記ゲートは互いに接続され、
前記電圧補正回路は、
前記基準電圧が伝達される基準ノードと前記第1ノードとの間に、第1設定入力に従って設定された第1電圧差を付与する第1電圧差設定回路と、
前記第1トランジスタの前記ゲートと接続されたノード及び前記第2ノードの間に、第2設定入力に従って設定された第2電圧差を付与する第2電圧差設定回路とを更に含む、請求項4または6に記載の電源回路。
【請求項9】
前記メイン電源ラインの電圧を受けて一定電圧を生成する一定電圧発生回路を更に備え、
前記第1トランジスタの前記ゲートは、前記一定電圧発生回路からの前記一定電圧を前記基準電圧として受ける、請求項5~8のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項10】
前記電源回路の外部から前記基準電圧を入力するための端子を更に備え、
前記第1トランジスタの前記ゲートは、前記端子と電気的に接続されることで前記基準電圧を受ける、請求項5~8のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項11】
前記第1トランジスタは、ネイティブトランジスタによって構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項12】
前記電源電圧及び前記基準電圧は正電圧であり、
前記第1導電型はN型である、請求項1~11のいずれか1項に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)及びAI(Artificial Intelligence)技術等の進展に伴って、アナログ回路及びデジタル回路を含むミクスドシグナル回路の技術ニーズが高まってきている。ミクスドシグナル回路では、多機能化のための大規模なデジタル回路と、高性能化のためのアナログ回路とが、シリコン上で共存する。
【0003】
又、最近のIoTデバイス小型化要求の観点からは、外付け部品が少ないことが望まれている結果、デバイスに対する電源供給ピン数を削減するために、デバイス内部で、アナログ及びデジタルのそれぞれのブロックに対して好適な電源電圧を生成する電源構成が一般的に用いられている。
【0004】
一方で、この様な電源構成では、電源ラインを共有する回路ブロック間で電源変動による干渉が生じることが懸念される。例えば、動作電流が大きい回路ブロックでの消費電流によって電源ライン上での電圧降下(IRドロップ)の発生、或いは、当該回路ブロックから発生されたノイズの電源ラインへの伝播による電源電圧の変動が、他の回路ブロックの動作に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
この様なデバイス内部での電源電圧変動に対処するための技術として、近年、POL(Point of Load)の適用が多くなってきている。POLでは、複数の電源を複数の回路ブロックの直近にそれぞれ配置することで、回路ブロック間で独立した電源供給が実現される。これにより、動作電流が大きい特定の回路ブロックで生じる、IRドロップ及びノイズによる電源電圧変動が、直接、他の回路ブロックの電源電圧に影響することを回避できる。
【0006】
特表2018-531469号公報(特許文献1)には、POLが適用されたプロセッサシステムが開示される。特許文献1のプロセッサシステムでは、プロセッサコア毎に、2つのレギュレータ及び制御ループを有する電圧調整ブロックが配置された電源構成により、各プロセッサコアに電源電圧が供給される。この構成によれば、プロセッサコア毎に、動作状態に応じて電源電圧を制御するとともに、更には、動作状態に応じてパワーダウンを適用することも可能である。この結果、各プロセッサコアの性能向上及び低消費電力化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2018-531469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の電源構成では、各プロセッサタイルに対応して、フィードバック制御を行うレギュレータを有する電圧調整部が配置される。一般的に、フィードバック制御によって電源電圧を制御する電圧調整部には、複雑な回路構成が必要とされる。特に、負荷電流の変動幅が大きいと、位相補償及びロードレギュレーションを良好に維持して、電源電圧の変動を抑制するためには、大規模かつ複雑な回路が必要になる傾向にある。
【0009】
このため、特許文献1では、電源供給の安定化及び高性能化の面では有利である反面、デバイス全体では回路規模が大きくなることが懸念される。更には、当該電圧調整部での消費電力を考慮すると、デバイス全体では、必ずしも低消費電力化できるとは限らない点も懸念される。
【0010】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、簡易な構成により回路ブロックに安定的に電源電圧を供給することが可能な電源の構成回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある局面によれば、少なくとも1つの回路ブロックに対して電源電圧を供給するための電源回路であって、メイン電源ラインと、電源ラインと、第1導電型の第1トランジスタとを備える。メイン電源ラインは、少なくとも1つの回路ブロックに共通に設けられる。電源ラインは、回路ブロック毎に設けられる。第1トランジスタは、回路ブロックの少なくとも一部に対応して配置される。第1トランジスタは、メイン電源ラインと接続されるドレインと、対応する電源ラインと接続されるソースと、基準電圧が入力されるゲートとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電源ラインに対してソースフォロワ接続された第1トランジスタにより、当該電源ラインから電源を供給される回路ブロックに対して、基準電圧に従った電源電圧を簡易な構成によって安定的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る電源回路の構成例を説明するブロック図である。
図2図1に示されたメインレギュレータ及びサブレギュレータの具体的な構成例を示す回路図である。
図3】サブレギュレータの他の構成例を示す回路図である。
図4】実施の形態1の変形例に係るサブレギュレータの回路構成を説明する回路図である。
図5】実施の形態2に係る電源回路の構成例を説明するブロック図である。
図6図5に示された電圧調整回路の第1の構成例を説明する回路図である。
図7図5に示された電圧調整回路の第2の構成例を説明する回路図である。
図8図7に示されたスイッチの配置を詳細に説明する第1の回路図である。
図9図7に示されたスイッチの配置を詳細に説明する第2の回路図である。
図10】実施の形態3に係る電源回路の第1の構成例を説明するブロック図である。
図11】実施の形態3に係る電源回路の第2の構成例を説明するブロック図である。
図12】実施の形態3に係る電源回路の第3の構成例を説明するブロック図である。
図13】実施の形態3に係る電源回路の第4の構成例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電源回路の構成例を説明するブロック図である。
【0016】
図1に示される様に、実施の形態1に係る電源回路100Aは、デジタル回路で構成される負荷回路110に対して電源電圧を供給する。負荷回路110は、デジタル回路ブロック(以下、単に「回路ブロック」と称する)120~123を有する。本実施の形態では、各回路ブロックは、消費電流で分類されており、回路ブロック120は、比較的大電流を消費する回路群、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含んで構成される。これに対して、回路ブロック121及び122の各々は、中電流を消費する回路群(例えば、画像処理回路等)で構成され、回路ブロック123は、小電流を消費する回路群で構成される。
【0017】
電源回路100Aは、メインレギュレータ200と、一定電圧発生回路210と、サブレギュレータ220-1~220-3と、メイン電源ラインMPLと、電源ラインSPL0,SPL1~SPL3とを備える。
【0018】
メイン電源ラインMPLは、端子101に入力された電源電圧AVDDを供給する。一定電圧発生回路210は、メイン電源ラインMPLから電源電圧AVDDを受けて、固定された一定電圧VREFを生成する。尚、以下では、電源電圧AVDD及び後述の基準電圧Vrが正電圧の場合を想定する。
【0019】
メインレギュレータ200は、メイン電源ラインMPL及び電源ラインSPL0との間に接続されて、一定電圧VREFに従って、電源ラインSPL0への出力電圧VOUT0を制御する。大電流の回路ブロック120は、メインレギュレータ200によって制御された、電源ラインSPL0上の出力電圧VOUT0を電源電圧として動作する。
【0020】
サブレギュレータ220-1~220-3は、基準ノードNrの基準電圧Vrに従って、電源ラインSPL1~SPL3に対して出力電圧VOUT1~VOUT3を出力する。尚、以下では、サブレギュレータ220-1~220-3を包括的に記載する場合には、単に、サブレギュレータ220とも表記する。
【0021】
中電流の回路ブロック121は、電源ラインSPL1上の、サブレギュレータ220-1からの出力電圧VOUT1を電源電圧として動作する。同様に、中電流の回路ブロック122は、電源ラインSPL2上の、サブレギュレータ220-2の出力電圧VOUT2を電源電圧として動作する。低電流の回路ブロック123は、電源ラインSPL3上の、サブレギュレータ220-3の出力電圧VOUT3を電源電圧として動作する。
【0022】
メインレギュレータ200は、スイッチングレギュレータ又はリニアレギュレータ等のフィードバック制御機能を有するレギュレータによって構成される。回路ブロック120の消費電流が大きいと、電源ラインSPL0上の電圧(VOUT0)の変動幅が大きくなり易いが、メインレギュレータ200によって出力電圧VOUT0をフィードバック制御することによって、回路ブロック120の電源電圧を安定化することができる。
【0023】
これに対して、回路ブロック120よりも消費電流が小さい回路ブロック121~123に対しては、サブレギュレータ220-1~220-3によって電源電圧が供給される。サブレギュレータ220-1~220-3は、共通の基準電圧Vrに従って、出力電圧VOUT1~VOUT3を生成する。
【0024】
基準電圧Vrは、電源ラインSPL0から分岐された基準ノードNr上の電圧として、サブレギュレータ220-1~220-3へ伝達される。電源ラインSPL0上における、基準ノードNrへの分岐ノードN0は、メインレギュレータ200及び電源ラインSPL0が接続される、メインレギュレータ200の出力ノードNoの直近に設けられる。
【0025】
尚、電源ラインSPL0上において、分岐ノードN0とメインレギュレータ200の出力ノードNoとの間の配線長(ライン長)は、少なくとも、当該分岐ノードN0と、回路ブロック120との接続ノードNbと間の配線長(ライン長)よりも短い。このようにすると、基準電圧Vrは、回路ブロック120の消費電流に応じた電圧変動(IRドロップ及び/又はノイズ重畳)の影響を抑制して、メインレギュレータ200からの出力電圧と同等の電圧に設定することができる。
【0026】
又、小電流の回路ブロック123に対しては、1個のサブレギュレータ220-3によって電源電圧が供給される一方で、回路ブロック121,122に属する中電流の回路群に対しては、2個のサブレギュレータ220-1,220-2によって電源電圧が供給される。後述する様に、サブレギュレータ220-1~220-3は、簡素化された回路構成を有するためにフィードバック制御機能をおらず、中電流の回路群に対しては、小電流の回路群よりも多くのサブレギュレータを配置することが好ましいためである。
【0027】
次に、図2及び図3を用いて、図1に示されたメインレギュレータ及びサブレギュレータの具体的な構成例を説明する。
【0028】
図2に示される様に、メインレギュレータ200は、リニアレギュレータの一種であるLDO(Low Dropout)レギュレータによって構成することができる。メインレギュレータ200は、差動増幅器201と、出力電圧VOUT0をフィードバックするための抵抗素子R1,R2と、出力トランジスタMP0と、キャパシタCoutとを含む。
【0029】
抵抗素子R1,R2は、電源ラインSPL0と、接地電圧AGNDを供給する接地ラインGLとの間に接続される。抵抗素子R1,R2の電気抵抗値についてもR1,R2で示すこととする。抵抗素子R1,R2の接続ノードには、電源ラインSPL0の電圧(出力電圧VOUT0)を分圧したフィードバック電圧VINPが生成される。フィードバック電圧VINP及び出力電圧VOUT0の間には、分圧比Kr(Kr=R1/(R1+R2))を用いて下記の式(1)の関係が成立する。
【0030】
VINP=Kr・VOUT0 …(1)
差動増幅器201には、一定電圧発生回路210からの一定電圧VREFと、式(1)のフィードバック電圧VINPとが入力される。差動増幅器201は、VREF及びVINPの電圧差に従う差動増幅電圧を出力する。
【0031】
出力トランジスタMP0は、P型の電界効果トランジスタで構成される。電界効果トランジスタとしては、MOS(Mmetal Oxide Semiconductor)トランジスタが代表的に用いられる。
【0032】
出力トランジスタMP0は、メイン電源ラインMPLと電源ラインSPL0との間に接続される。出力トランジスタMP0のゲートには、差動増幅器201からの差動増幅電圧が入力される。この結果、VINP<VREFのときには、出力トランジスタMP0のゲート電圧が低下することにより、メイン電源ラインMPLから電源ラインSPL0に、フィードバック電圧VINP(即ち、出力電圧VOUT0)を上昇させるために、出力トランジスタMP0によって電流が供給される。
【0033】
これに対して、VINP≧VREFでのときには、出力トランジスタMP0のゲート電圧が上昇することにより、メイン電源ラインMPLから電源ラインSPL0への電流供給が出力トランジスタMP0により遮断される。この結果、フィードバック電圧VINPが一定電圧VREFに制御されることにより、出力電圧VOUT0は、一定電圧VREFに基づく目標電圧VREF♯(VREF♯=VREF/Kr)にフィードバック制御されることになる。電源ラインSPL0上の電圧(出力電圧VOUT0)は、電源ラインSPL0及び接地ラインGLの間に接続されたキャパシタCoutによって平滑化される。
【0034】
尚、メインレギュレータ200は、フィードバック機能を有するものであれば、例示した回路構成以外にも任意のレギュレータを適用することができる。一例として、リアクトル、キャパシタ、及び、スイッチング素子を含むスイッチングレギュレータによって、メインレギュレータ200を構成することも可能である。
【0035】
サブレギュレータ220-1は、メイン電源ラインMPL及び電源ラインSPL1の間に接続されたトランジスタMN11を含む。電源電圧AVDD及び基準電圧Vrが正電圧の場合には、トランジスタMN11は、N型の電界効果トランジスタ(例えば、NMOSトランジスタ)によって構成される。即ち、N型のトランジスタMN11は、メイン電源ラインMPLと接続されたドレインと、電源ラインSPL1と接続されたソースとを有する。
【0036】
同様に、サブレギュレータ220-2は、メイン電源ラインMPL及び電源ラインSPL2の間に接続された、N型のトランジスタMN12を含む。N型のトランジスタMN12についても、メイン電源ラインMPLと接続されたドレインと、電源ラインSPL2と接続されたソースとを有する。
【0037】
サブレギュレータ220-3は、メイン電源ラインMPL及び電源ラインSPL3の間に接続された、N型のトランジスタMN13を含む。N型のトランジスタMN13についても、メイン電源ラインMPLと接続されたドレインと、電源ラインSPL3と接続されたソースとを有する。以下では、N型のトランジスタMN11~MN13について、NMOSトランジスタMN11~MN13とも称する。
【0038】
NMOSトランジスタMN11~MN13のゲートは、基準ノードNrと電気的に接続される。図1でも述べた様に、基準ノードNrは、電源ラインSPL0から分岐されて、メインレギュレータ200の出力ノードの直近に設けられる。従って、基準ノードNrの基準電圧Vrは、メインレギュレータ200によって制御された出力電圧VOUT0と同等であり、目標電圧VREF♯に制御される(Vr=VREF♯)。即ち、基準電圧Vrは、メインレギュレータ200によってフィードバック制御された、一定電圧VREFに従うVREF♯相当の電圧とすることができる。
【0039】
サブレギュレータ220-1~220-3は、回路ブロック121~123の近傍に配置されている。これにより、回路ブロック121~123に対して、電圧降下を抑制して、出力電圧VOUT1~VOUT3を電源電圧として供給することができる。
【0040】
例えば、電源ラインSPL1~SPL3上において、サブレギュレータ220-1~220-3及び回路ブロック121~123の間のライン長(配線長)は、基準ノードNrからNMOSトランジスタMN11~MN13のゲートまでの基準電圧Vrの伝達経路の長さよりも短い。尚、当該基準電圧Vrの伝達経路には、ゲート容量の充放電電流が流れるのみである。このため、当該伝達経路が長くなっても、電源ラインSPL0(SPL1~SPL3)での様な電圧降下(IRドロップ)を生じることなく、NMOSトランジスタMN11~MN13のゲートに対して、メインレギュレータ200からの基準電圧Vrを伝達することができる。
【0041】
NMOSトランジスタMN11~MN13の各々は、ソースフォロワ接続されており、電源ラインSPL1~SPL3には、基準電圧Vrに従った出力電圧VOUT1~VOUT3が生成される。具体的には、出力電圧VOUT1~VOUT3は、トランジスタMN11~MN13のしきい値電圧Vtを用いて、VOUT1=VOUT2=VOUT3=Vr-Vtに設定される。
【0042】
この様に、サブレギュレータ220-1~220-3は、1段のソースフォロワ回路による簡易な構成を有しており、フィードバック機能を有していない反面、原理的に出力電圧が発振する懸念が無い。
【0043】
尚、NMOSトランジスタMN11~MN13の各々には、図2に示される様に、ネイティブNMOSトランジスタを用いることができる。ネイティブNMOSトランジスタは、エンハンスメント型のNMOSトランジスタがVt=1.0(V)前後であるのに対して、Vt=0(V)程度である点が特徴である。このため、NMOSトランジスタMN11~MN13をネイティブNMOSトランジスタで構成すると、出力電圧VOUT1~VOUT3を基準電圧Vrと同等に設定することができる。即ち、回路ブロック121~123と、回路ブロック120との電源電圧が同じである場合には、ネイティブNMOSトランジスタによるトランジスタMN11~MN13の構成が好適である。
【0044】
図3には、サブレギュレータの他の構成例を示す回路図が示される。
図3の構成例では、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するトランジスタMN11~MN13が、ネイティブNMOSトランジスタ(Vt=0)では無く、Vt>0のNMOSトランジスタで構成される点が、図2の構成例と異なる。図3のその他部分の構成は図2と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0045】
この様に、Vt>0のNMOSトランジスタをトランジスタMN11~MN13とすることで、メインレギュレータ200の出力電圧(VOUT0)に対して、しきい値電圧Vt分の電圧差を持たせるように、電源ラインSPL1~SPL3への出力電圧VOUT1~VOUT3を設定することも可能である(VOIT1=VOUT2=VOUT3=Vr-Vt)。
【0046】
以上説明した様に、実施の形態1に係る電源回路によれば、大電流の回路ブロック120の電源ラインSPL0に対してはメインレギュレータ200によってフィードバック制御された出力電圧VOUT0を電源電圧として供給する一方で、中電流及び小電流の回路ブロック121~123に対しては、電源ラインSPL0とは別個の電源ラインSPL1~SPL3によって、サブレギュレータ220-1~220-3によって電源電圧を供給することができる。
【0047】
この様な構成とすることにより、駆動能力が高く、かつ、高速な応答である単一のメインレギュレータのみで、全ての回路に電源電圧を供給する構成と比較すると、メインレギュレータから離して配置される傾向にある消費電流の小さい回路の電源電圧について、IRドロップやノイズ回り込みによって変動することを回避して、安定化することができる。
【0048】
更に、サブレギュレータ220が、ソースフォロワ回路によって簡易に構成されるので、回路規模の増加を抑制することができる。ソースフォロワ回路では、出力電圧のフィードバック制御を行うことはできないため、負荷変動が高速であり、かつ、消費電力が大きい回路群に適用すると、電源電圧の変動が大きくなることが懸念される。
【0049】
これに対して、本実施の形態では、消費電流が大きくない回路群(回路ブロック)に対応してソースフォロワ回路によるサブレギュレータを適用することで、サブレギュレータによって供給される電源電圧が不安定になることを防止できる。この結果、比較的消費電流が小さい回路ブロックに対して、ソースフォロワ回路によって構成されたサブレギュレータを用いることにより、基準電圧Vrに従った電源電圧を簡易な構成により安定的に供給することが可能な電源回路の構成を実現することができる。
【0050】
又、消費電流に応じてサブレギュレータの配置個数を調整すること、例えば、各サブレギュレータから対応の回路ブロックに供給される電流が均衡する様に、サブレギュレータの配置個数を調整することで、電源電圧の安定化を更に図ることができる。
【0051】
尚、図2及び図3では、サブレギュレータ220-1~220-3で共通して、ネイティブNMOSトランジスタ、又は、Vt>0のNMOSトランジスタを使用する例を説明したが、サブレギュレータ毎に、NMOSトランジスタのしきい値電圧Vtは個別に設計されてもよい。即ち、しきい値電圧Vtを適切に選定することで、共通の基準電圧Vrを用いて、電源電圧が異なる回路ブロックに対してサブレギュレータから電源を供給することも可能である。
【0052】
尚、図1図3の構成例において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各々は「第1トランジスタ」の一実施例に対応する。又、電源電圧AVDD及び基準電圧Vrが正電圧である場合には、N型が「第1導電型」の一実施例に対応する。更に、メインレギュレータ200は「レギュレータ」の一実施例に相当し、回路ブロック120は「第1回路ブロック」の一実施例に対応し、回路ブロック121~123の各々は「第2回路ブロック」の一実施例に対応する。これに対応して、電源ラインSPL0は「第1電源ライン」の一実施例に対応し、電源ラインSPL1~SPL3の各々は「第2電源ライン」の一実施例に対応する。
【0053】
実施の形態1の変形例.
実施の形態1の変形例では、実施の形態1で説明したサブレギュレータを構成するNMOSトランジスタMN11~MN13でのパンチスルーに対処するための回路構成を説明する。
【0054】
図4には、実施の形態1の変形例に係るサブレギュレータの回路構成が示される。
図4に示される様に、実施の形態1の変形例に係る構成では、サブレギュレータ220-1~220-3は、実施の形態1の構成(図2)に加えて、PMOSトランジスタMP11~MP13、及び、抵抗素子R11~R13を更に含む点で異なる。
【0055】
サブレギュレータ220-1において、PMOSトランジスタMP11は、NMOSトランジスタMN11のソースと、電源ラインSPL1との間に接続される。抵抗素子R11は、電源ラインSPL1及び接地ラインGLの間に接続されて、プルダウン抵抗として機能する。PMOSトランジスタMP11のゲートには、電源オフ信号SPOFFが入力される。電源オフ信号SPOFFは、電源回路100Aの停止時に論理ハイレベル(以下、Hレベル)に設定される電源回路100Aの動作時には論理ローレベル(以下、Lレベル)に設定される。
【0056】
通常、NMOSトランジスタは、ゲート・ソース間電圧Vgsとしきい値電圧Vtとの関係に応じてオンオフが制御されるので、Vt=0のときにはオフされる。一方で、パンチスルーとは、ゲート・ソース間電圧Vgsに依らずトランジスタがオンして、ドレイン電圧及びソース電圧が同等となる現象である。図2(実施の形態1)の回路構成において、NMOSトランジスタMN11にパンチスルーが発生すると、電源電圧VOUT1が、基準電圧Vrでは無く電源電圧AVDDと同等に設定されてしまい、回路ブロック121の電源電圧が過上昇してしまう。特に、ネイティブNMOSトランジスタによってNMOSトランジスタMN11を構成する場合には、パンチスルーが起こり易くなることが懸念される。
【0057】
これに対して、図4の回路構成では、サブレギュレータ220-1において、電源回路100Aの停止時(パワーオフ時)には、電源オフ信号SPOFFによってPMOSトランジスタMP11がオフされており、かつ、電源ラインSPL1は、抵抗素子R11によってプルダウンされている。即ち、VOUT1=AGNDに固定されるので、仮に、NMOSトランジスタMN11にパンチスルーが発生しても、電源ラインSPL1(回路ブロック121)に電源電圧AVDDが伝達されることが防止される。
【0058】
電源回路100Aのパワーオフが解除された動作開始時には、電源オフ信号SPOFFに応じてPMOSトランジスタMP11がオフからオンに変化することで、PMOSトランジスタMP11のゲート・ソース間に、PMOSトランジスタMP11のしきい値電圧Vt(P)の絶対値分の電圧差が生じる。通常、Vt(P)=-1.0(V)程度である。
【0059】
このため、動作開始時において、NMOSトランジスタMN11では、ドレイン電圧がAVDDである一方で、ソース電圧をAGND+|Vt(P)|とすることができる。この様に、NMOSトランジスタMN11のドレイン及びソース間に電圧差が設けられることで、パンチスルーが回避できる。この結果、出力電圧VOUT1は、オンされたPMOSトランジスタMP11及びパンチスルーが回避されたNMOSトランジスタMN11による電流によって、NMOSトランジスタMN11のゲート電圧(基準電圧Vr)まで上昇する。
【0060】
更に、電源回路100Aの動作時を通じて、PMOSトランジスタMP11に電流が発生するため、電源ラインSPL1に電源電圧AVDDがそのまま伝達されることを防止できる。
【0061】
サブレギュレータ220-2,220-3においても、サブレギュレータ220-1でのPMOSトランジスタMP11と同様に、PMOSトランジスタMP12,MP13が動作することにより、NMOSトランジスタMN11~MN13のパンチスルーを防止することができる。
【0062】
この結果、実施の形態1の変形例に係るサブレギュレータの構成によれば、ソースフォロワ回路を構成するNMOSトランジスタのパンチスルーを回避して、回路ブロックへの出力電圧VOUT1~VOUT3が、電源電圧AVDDまで過上昇することを防止できる。
【0063】
尚、図4の構成例において、PMOSトランジスタMP11~MP13の各々は「第2トランジスタ」の一実施例に対応し、電源オフ信号SPOFFは「制御信号」の一実施例に対応する。又、電源電圧AVDD及び基準電圧Vrが正電圧である場合には、P型が「第2導電型」の一実施例に対応する。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態2では、サブレギュレータのソースフォロワ回路を構成するNMOSトランジスタのゲートに入力される基準電圧を調整することにより、サブレギュレータの出力電圧を調整可能とする回路構成について説明する。
【0065】
図5は、実施の形態2に係る電源回路の構成例を説明するブロック図である。
図5に示される様に、実施の形態2に係る電源回路100Bは、実施の形態1に係る電源回路100A(図1)と比較して、電圧補正回路250を更に備える点で異なる。
【0066】
電圧補正回路250は、基準電圧を増減補正して、サブレギュレータ220(NMOSトランジスタMN11~MN13のゲート)のゲートに伝達するように構成される。例えば、電圧補正回路250は、実施の形態1での基準電圧Vrと、サブレギュレータ220に伝達される基準電圧Vr♯との間に、意図的な電圧差ΔVrを付与することによって、基準電圧を増減補正する。当該電圧差ΔVr(ΔVr=Vr♯ーVr)は、電圧補正回路250への設定入力によって可変に調整される。
【0067】
電源回路100Bでは、図2及び図3において、基準ノードNrは、サブレギュレータ220-1~220-3から切り離されて、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯がサブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに伝達されることになる。
【0068】
これにより、メインレギュレータ200から電源供給される回路ブロック120の電源電圧と、サブレギュレータ220-1~220-3から電源供給される回路ブロック121~123の電源電圧が異なるケースへの対応性が向上する。
【0069】
又、サブレギュレータ220-1~220-3から電源が供給される回路ブロック121~123のデジタル回路の特性に合わせて、電源電圧(VOUT1~VOUT3)を微調整することで、回路ブロック121~123の動作を好適化することも可能である。
【0070】
一般的に、デジタル回路の動作速度は、電源電圧及び寄生容量の積を電流で除算した値に依存するので、電源電圧を上げれば、動作速度を向上することができる。一方で、デジタル回路の消費電力は、当該デジタル回路の動作周波数と、寄生容量と、電源電圧の二乗の積に依存するので、電源電圧を変化させるとその二乗に比例して、消費電力が変化する。この様に、デジタル回路では、電源電圧の変化に対して、動作速度及び消費電力がトレードオフの関係を有する。従って、回路ブロック121~123に属するデジタル回路の動作速度及び特性に合わせて、電圧補正回路250を用いて各サブレギュレータ220-1~220-3の出力電圧(電源電圧)を微調整することで、負荷回路110全体を好適に動作できることが分かる。
【0071】
図6には、電圧補正回路250の第1の構成例を説明する回路図が示される。
図6に示される様に、電圧補正回路250は、電流源251a,251b,252a,252bと、PMOSトランジスタMPB1,MPB2と、調整回路255,265とを含む。
【0072】
電流源251a,251bと、PMOSトランジスタMPB1とは、メイン電源ラインMPL及び接地ラインGLの間に、基準ノードNrと接続されるノードN1とノードN3とを介して、直列に接続される。PMOSトランジスタMPB1のドレイン及びゲートは、ノードN3と接続され、PMOSトランジスタMPB1のソースは、ノードN1と接続されている。
【0073】
電流源252a,252bと、PMOSトランジスタMPB2とは、メイン電源ラインMPL及び接地ラインGLの間に、ノードNgtと接続されるノードN2とノードN4とを介して、直列に接続される。ノードNgtは、図2及び図3に示されたNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートと接続される。ノードNgtには、電圧補正回路250によって補正された基準電圧Vr♯が、ノードN2を経由して伝達される。これにより、基準電圧Vrに対して電圧差ΔVを付与された基準電圧Vr♯が、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに入力される。
【0074】
PMOSトランジスタMPB2のソース及びドレインは、ノードN2及びノードN4とそれぞれ接続されている。又、PMOSトランジスタMPB2のゲートは、ノードN3と接続されており、PMOSトランジスタMPB1のゲートと同電位である。
【0075】
調整回路255は、トリミング素子群256を有し、トリミング素子群256の状態に応じた、調整信号Str1を生成する。同様に、調整回路265は、トリミング素子群266を有し、トリミング素子群266の状態に応じた、調整信号Str2を生成する。
【0076】
トリミング素子群256,266は、レーザ照射に代表されるトリミング入力によって不可逆的に破壊可能なヒューズ素子によって構成することができる。即ち、調整信号Str1,Str2は、これらのヒューズ素子による電気経路の導通(非破壊状態)及び遮断(破壊状態)によって定められる複数ビットのデジタル信号とすることができる。
【0077】
調整信号Str1によって、電流源251a及び251bがそれぞれ生成する電流I1a,I1bが、可変の電流I1に調整される(I1a=I1b=I1)。同様に、調整信号Str2によって、電流源252a及び252bがそれぞれ生成する電流I2a,I2bが、可変の電流I2に調整される(I2a=I2b=I2)。
【0078】
ここで、PMOSトランジスタMPB1,MPB2の各々について、ドレイン・ソース間電流Idsは、ゲート・ソース間電圧Vgs、しきい値電圧Vt、及び、利得定数βを用いて、下記の式(2)で示されることが知られている。ここで、利得係数βは、ゲート幅W、ゲート長L、キャリアの平均表面移動度μ、及び、単位面積当たりのゲート容量Coxを用いて、下記の式(3)で示される。
【0079】
Ids=(β/2)・(Vgs-Vt)2 …(2)
β=(W/L)・μ・Cox …(3)
式(2),(3)を変形すると、ゲート・ソース間電圧Vgsについての式(4)が得られる。
【0080】
Vgs=Vt-√(2・Ids/β) …(4)
図6から理解される様に、トランジスタMPB1及びMPB2のゲート電位は等しいので、基準ノードNr及びノードNgtの間の電圧差は、トランジスタMPB1及びMPB2の間での、ゲート・ソース間電圧Vgsの差となる。トランジスタMPB1ではIds=I1であり、トランジスタMPB2ではIds=I2であることから、基準ノードNrの基準電圧Vrと、補正された基準電圧Vr♯(ノードNgt)との間には、下記の式(5)が成立することが理解される。
【0081】
Vr♯=Vr-√(2・I1/β)+√(2・I2/β) …(5)
Vr♯=Vr+ΔVとすると、電圧補正回路250によって付与される電圧差ΔVは、調整回路255によって調整される電流I1(電流源251a,251b)と、調整回路265によって調整される電流I2(電流源252a,252b)によって可変であることが理解される。
【0082】
具体的には、I1>I2となる様に、調整回路255,265へのトリミング入力を設定すると、Vr♯<Vr、即ち、ΔVr<0とすることができる。一方で、I1<I2となる様に上記トリミング入力を設定すると、Vr♯>Vr、即ち、ΔV>0とすることができる。又、I1=I2のとき、Vr♯=Vr、即ち、ΔV=0とすることができる。
【0083】
ΔV>0、又は、ΔV<0とするときの|ΔV|は、電流I1及びI2の電流差の大きさ|I1-I2|によって可変に調整することが可能である。
【0084】
この結果、図6に示された電圧調整回路によれば、基準電圧Vrに対して、調整可能な電圧差ΔVが付与された基準電圧Vr♯をサブレギュレータ220に伝達することが可能となる。これにより、基準電圧Vr(例えば、メインレギュレータ200の出力電圧)に対して電圧差ΔVを有する電源電圧を、サブレギュレータ220から供給することが可能となり、かつ、この電圧差ΔVは、図5での設定入力に相当するトリミング入力によって微調整することが可能である。又、ΔV=0となる様な設定入力も可能であり、電圧補正回路250は、補正を停止してVr=Vr♯とする動作も可能である。
【0085】
図6の構成例において、ノードN1及びN2は「第1ノード」及び「第2ノード」の実施例にそれぞれ対応し、電流源251a,251bは「第1電流源」の一実施例に対応し、電流源252a,252bは「第2電流源」の一実施例に対応する。又、電流I1(I1=I1a=I1b)、及び、電流I2(I2=I2a=I2b)は「第1電流」及び「第2電流」の一実施例にそれぞれ対応する。更に、PMOSトランジスタMPB1及びMPB2は「第3トランジスタ」及び「第4トランジスタ」の一実施例にそれぞれ対応する。又、調整回路255へのトリミング入力は「第1設定入力」の一実施例に対応し、調整回路265へのトリミング入力は「第2設定入力」の一実施例に対応する。
【0086】
図7には、電圧補正回路250の第2の構成例を説明する回路図が示される。
図7に示される第2の例の電圧補正回路250は、図6の電圧補正回路250の構成に加えて、スイッチSWCI0,SWCI1及び抵抗素子RV1と、スイッチSWCO0,SWCO1及び抵抗素子RV2を更に含む。スイッチSWCI0,SWCI1のオンオフは、調整回路255からの調整信号Str1によって制御される。同様に、スイッチSWCO0,SWCO1のオンオフは、調整回路265からの調整信号Str2によって制御される。
【0087】
抵抗素子RV1は、電流源251aと、PMOSトランジスタMPB1のソースに相当するノードN1との間に接続される。スイッチSWCI0は、基準ノードNrと、ノードN1との間に接続される。スイッチSWCI1は、基準ノードNrと、抵抗素子RV1上のノードN1xとの間に接続される。
【0088】
図8には、基準ノードNrに対応して配置されるスイッチSWCI0,SWCI1の配置を詳細に説明するための回路図が示される。
【0089】
図8に示される様に、スイッチSWCI1(図7)は、k個(k:自然数)のスイッチSWCI11~SWCI1kを有する。スイッチSWCI11~SWCI1kは、第1端が基準ノードNrと共通に接続される一方で、第2端は、抵抗素子RV1によるノードN1との間の電気抵抗が異なるノードN1xとそれぞれ接続される。従って、スイッチSWCI11~SWCI1kのいずれがオンされるかによって、いずれのノードN1xに基準電圧Vrが伝達されるかが変わる。
【0090】
スイッチSWCI11のオン時には、ノードN1と、基準電圧Vrが伝達されたノードN1xの間の電気抵抗は、抵抗素子RV1の全抵抗値となる。一方で、図8の様にk≧2のときには、スイッチSWCI12~SWCI1kのオン時には、ノードN1と、基準電圧Vrが伝達されたノードN1xの間の電気抵抗は、抵抗素子RV1の全抵抗値中の一部とされる。
【0091】
スイッチSWCI0及びSWCI11~SWI1kのうちのいずれか1個が、図6の調整回路255からの調整信号Str1によって選択的にオンされ、残りのスイッチはオフされる。この結果、図7の電流源251a,251bの電流I1(I1=I1a=I1b)によって、ノードN1の電圧と、スイッチSWCI0,SWCI11~SWI1kのうちの1個によって伝達される基準電圧Vrとの間の電圧差ΔV1を、調整回路255(図6)へのトリミング入力によって切り替えることができる。
【0092】
スイッチSWCI0のオン時には、基準電圧VrがノードN1に伝達されるので、ΔV1=0である。一方で、スイッチSWCI11~SWI1kのうちの1つのオン時には、ノードN1との間に電気抵抗が存在するノードN1xに基準電圧が伝達されるので、ΔV1>0となる。又、k≧2のとき、電圧差ΔV1の大きさは、スイッチSWCI11~SWCI1kの選択によって調整することができる。
【0093】
再び図6を参照して、ノードNgtに対応して配置されるスイッチSWCO0,SWCO1について説明する。抵抗素子RV2は、電流源252aと、PMOSトランジスタMPB2のソースに相当するノードN2との間に接続される。スイッチSWCO0は、ノードNgtとノードN2との間に接続される。スイッチSWCO1は、ノードN2と、抵抗素子RV2上のノードN2xとの間に接続される。
【0094】
図9を用いて、スイッチSWCO0,SWCO1の配置を更に詳細に説明する。
図9に示される様に、スイッチSWCO1(図7)は、k個(k:自然数)のスイッチSWCO11~SWCO1kを有する。スイッチSWCO11~SWCO1kは、第1端がノードNgtと共通に接続される一方で、第2端は、抵抗素子RV2によるノードN2との間の電気抵抗が異なるノードN2xとそれぞれ接続される。従って、スイッチSWCO11~SWCO1kのいずれがオンされるかによって、いずれのノードN2xとノードN2とが接続されるかが変わる。
【0095】
スイッチSWCO11のオン時には、ノードN2と、ノードNgtと接続されたノードN2xとの間の電気抵抗は、抵抗素子RV2の全抵抗値となる。一方で、図9の様にk≧2のときには、スイッチSWCO12~SWCO1kのオン時には、ノードN2と、ノードNgtと接続されたノードN2xの間の電気抵抗は、抵抗素子RV2の全抵抗値中の一部とされる。
【0096】
スイッチSWCO0,SWCO11~SWO1kのうちのいずれか1個が、図6の調整回路265からの調整信号Str2によって選択的にオンされ、残りのスイッチはオフされる。この結果、図7の電流源252a,252bの電流I2(I2=I2a=I2b)によって、ノードN2の電圧と、ノードNgtから出力される基準電圧Vr♯との間の電圧差ΔV2を、調整回路265(図6)へのトリミング入力によって切り替えることができる。
【0097】
スイッチSWCO0のオン時には、ノードN2の電圧が基準電圧Vr♯としてノードNgtに伝達されるので、ΔV2=0である。一方で、スイッチSWCO11~SWO1kのうちの1つのオン時には、ノードN2との間に電気抵抗が存在するノードN2xの電圧が基準電圧Vr♯としてノードNgtに伝達されるので、ΔV2>0となる。又、k≧2のとき、電圧差ΔV2の大きさは、スイッチSWCO11~SWCO1kの選択によって調整することができる。
【0098】
図7の電圧補正回路250では、電流源251a,251b,252a,252bの電流は同等に設計される(I1a=I1b(=I1)=I2a=I2b=(I2))。このため、ノードN1(PMOSトランジスタMPB1のソース)及びノードN2(PMOSトランジスタMPB2のソース)は同等の電位である。従って、ΔV1>ΔV2となる様に、代表的には、ΔV1>0、かつ、ΔV2=0となる様に、スイッチSWCI11~SWCI1kのいずれかと、スイッチSWCO0をオンすると、Vr♯=Vr-ΔV1とすることができる。即ち、補正電圧ΔV<0(Vr♯<Vr)として、基準電圧Vrよりも低い基準電圧Vr♯を、電圧補正回路250からサブレギュレータ220に伝達することができる。
【0099】
反対に、ΔV2>ΔV1となる様に、代表的には、ΔV2>0、かつ、ΔV1=0となる様に、スイッチSWCO11~SWCO1kのいずれかと、スイッチSWCI0をオンすると、Vr♯=Vr+ΔV2とすることができる。即ち、補正電圧ΔV>0(Vr♯>Vr)として、基準電圧Vrよりも高い基準電圧Vr♯を、電圧補正回路250からサブレギュレータ220に伝達することができる。
【0100】
又、基準ノードNr側でスイッチSWCI0をオン(ΔV1=0)し、かつ、ノードNgt側でスイッチSWCO0をオン(ΔV2=0)とすると、Vr♯=Vr、即ち、電圧補正回路250での補正電圧ΔV=0とすることが可能である。即ち、ΔV=0となる様な設定入力も可能である。
【0101】
この様に、図7に示された第2の例の電圧調整回路によっても、基準電圧Vrに対して、調整可能な電圧差ΔVが付与された基準電圧Vr♯をサブレギュレータ220に伝達することが可能となる。これにより、基準電圧Vr(例えば、メインレギュレータ200の出力電圧)との電圧差ΔVを有する電源電圧を、サブレギュレータ220から供給することが可能となり、かつ、この電圧差ΔVは、図5での設定入力に相当するトリミング入力によって微調整することが可能である。又、電圧補正回路250は、補正を停止してVr=Vr♯とする動作も可能である。
【0102】
図7~9の構成例においても、ノードN1及びN2は「第1ノード」及び「第2ノード」の実施例にそれぞれ対応し、電流源251a,251bは「第1電流源」の一実施例に対応し、電流源252a,252bは「第2電流源」の一実施例に対応する。又、PMOSトランジスタMPB1及びMPB2は「第3トランジスタ」及び「第4トランジスタ」の一実施例にそれぞれ対応する。調整回路255へのトリミング入力は「第1設定入力」の一実施例に対応し、調整回路265へのトリミング入力は「第2設定入力」の一実施例に対応する。
【0103】
更に、図8に示された、スイッチSWCI0,SWCI11~SWCI1k及び抵抗素子RV1によって「第1電圧差設定回路」の一実施例を構成することが可能であり、ノードN1及びノードN1xの間の電圧差ΔV1が「第1電圧差」の一実施例に対応する。同様に、図9に示された、スイッチSWCO0,SWCO11~SWCO1k及び抵抗素子RV2によって「第2電圧差設定回路」の一実施例を構成することが可能であり、ノードN2及びノードN2xの間の電圧差ΔV2が「第2電圧差」の一実施例に対応する。
【0104】
尚、図7の電圧調整回路では、抵抗値の調整によって補正電圧ΔVを比較的容易に調整することが可能である一方で、抵抗素子RV1,RV2での電力損失が生じる。これに対して、図6の電圧調整回路では、抵抗素子RV1,RV2による電力損失を生じることなく補正電圧ΔVを設定することができる。
【0105】
尚、実施の形態2に係る電圧補正回路250は、実施の形態1の変形例(図4)に係る構成を有するサブレギュレータ220-1~220-3に対して適用することも可能である。即ち、図4に示された回路構成において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各ゲートに、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯を入力することも可能である。
【0106】
又、実施の形態2では、全てのサブレギュレータ220-1~220-3に対して共通の電圧補正回路250を配置する例を説明したが、異なる電圧差(補正電圧)ΔVを付与するために、サブレギュレータ毎に電圧補正回路250を個別に配置することも可能である。或いは、一部のサブレギュレータのみに対応して電圧補正回路250を配置することも可能である。
【0107】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、メインレギュレータ200の出力電圧(VOUT0)を用いてサブレギュレータ220へ伝達される基準電圧Vrが発生される構成例を説明した。実施の形態3では、基準電圧Vrの発生についての変形例を説明する。
【0108】
図10は、実施の形態3に係る電源回路の第1の構成例を説明するブロック図である。
図10に示される、実施の形態3の第1の構成例に係る電源回路101Aは、図1に示された電源回路100Aと比較して、基準ノードNrに対して、一定電圧発生回路210から基準電圧Vrが入力される点で異なる。例えば、基準電圧Vrは、実施の形態1での目標電圧VREF♯と同等の一定電圧として発生される。電源回路101Aのその他の構成は、実施の形態1に係る電源回路100Aと同様である。
【0109】
電源回路101Aでは、図2及び図3において、基準ノードNrは、サブレギュレータ220-1~220-3から切り離されて、一定電圧発生回路210からの一定電圧が、基準電圧Vrとして、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに伝達されることになる。
【0110】
電源回路101Aによっても、実施の形態1で説明した電源回路100Aと同様に、ソースフォロワ回路によって簡易に構成されるサブレギュレータ220により、比較的消費電流が小さい回路群に対して電源電圧を供給することができる。この結果、メインレギュレータから離して配置される傾向にある消費電流の小さい回路群の電源電圧について、回路規模の増加を抑制した上で安定化することができる。
【0111】
尚、電源回路101Aにおいても、サブレギュレータ220に対して、実施の形態1の変形例(図4)に係る構成を適用することが可能である。即ち、図4に示された回路構成において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各ゲートに、一定電圧発生回路210からの基準電圧Vrを入力することも可能である。
【0112】
図11には、実施の形態3に係る電源回路の第2の構成例を説明するブロック図が示される。
【0113】
図11に示される、実施の形態3の第2の構成例に係る電源回路101Bは、図10に示された電源回路101Aと比較して、実施の形態2で説明した電圧補正回路250を更に備える点で異なる。
【0114】
電源回路101Bにおいても、基準ノードNrに対しては、図10で説明したのと同様に、一定電圧発生回路210から基準電圧Vrが入力される。更に、電圧補正回路250は、実施の形態2で説明したのと同様に、補正された基準電圧Vr♯を出力する(Vr♯=Vr+ΔV)。
【0115】
電源回路101Bでは、図2及び図3において、基準ノードNrは、サブレギュレータ220-1~220-3から切り離されて、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯がサブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに伝達されることになる。
【0116】
従って、電源回路101Bによれば、電源回路101Aによる効果に加えて、電圧補正回路250の配置により、一定電圧発生回路210から入力された基準電圧Vrに対して調整可能な電圧差(補正電圧)ΔVが付与された電源電圧を、サブレギュレータ220-1~220-3から供給することが可能である。尚、電圧補正回路250は、実施の形態2で説明した様に、複数個のサブレギュレータ220に対しては、任意の態様で配置することができる。
【0117】
尚、電源回路101Bにおいても、サブレギュレータ220に対して、実施の形態1の変形例(図4)に係る構成を適用することが可能である。即ち、図4に示された回路構成において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各ゲートに、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯を入力することも可能である。
【0118】
図12には、実施の形態3に係る電源回路の第3の構成例を説明するブロック図が示される。
【0119】
図12に示される様に、実施の形態3の第3の構成例に係る電源回路102Aは、図1に示された電源回路100Aと比較して、端子102によって、電源回路102Aの外部から基準電圧Vrが入力される点で異なる。端子102に入力された基準電圧Vrは、基準ノードNrに伝達される。電源回路102Aのその他の構成は、実施の形態1に係る電源回路100Aと同様である。
【0120】
電源回路102Aでは、図2及び図3において、基準ノードNrは、サブレギュレータ220-1~220-3から切り離されて、端子102と電気的に接続される。そして、端子102への入力電圧が、基準電圧Vrとして、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに伝達されることになる。
【0121】
電源回路102Aによっても、実施の形態1で説明した電源回路100Aと同様に、ソースフォロワ回路によって簡易に構成されるサブレギュレータ220により、比較的消費電流が小さい回路群に対して電源電圧を供給することができる。この結果、メインレギュレータから離して配置される傾向にある消費電流の小さい回路群の電源電圧について、回路規模の増加を抑制した上で安定化することができる。
【0122】
尚、電源回路102Aにおいても、サブレギュレータ220に対して、実施の形態1の変形例(図4)に係る構成を適用することが可能である。即ち、図4に示された回路構成において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各ゲートに、電源回路102Aの外部からの基準電圧Vrを入力することも可能である。
【0123】
図13には、実施の形態3に係る電源回路の第4の構成例を説明するブロック図が示される。
【0124】
図13に示される、実施の形態3の第4の構成例に係る電源回路102Bは、図12に示された電源回路102Aと比較して、実施の形態2で説明した電圧補正回路250を更に備える点で異なる。
【0125】
電源回路102Bにおいても、基準ノードNrに対しては、図12で説明したのと同様に、端子102への入力電圧が、基準電圧Vrとして伝達される。更に、電圧補正回路250は、実施の形態2で説明したのと同様に、補正された基準電圧Vr♯を出力する(Vr♯=Vr+ΔV)。
【0126】
電源回路102Bでは、図2及び図3において、基準ノードNrは、サブレギュレータ220-1~220-3から切り離されて、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯が、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するNMOSトランジスタMN11~MN13の各々のゲートに伝達されることになる。
【0127】
従って、電源回路102Bによれば、電源回路102Aによる効果に加えて、電圧補正回路250の配置により、電源回路102Bの外部から入力された基準電圧Vrに対して調整可能な電圧差(補正電圧)ΔVを付与した電源電圧を、サブレギュレータ220から供給することが可能となる。尚、電圧補正回路250は、実施の形態2で説明した様に、複数個のサブレギュレータ220に対しては、任意の態様で配置することができる。
【0128】
又、電源回路102Bにおいても、サブレギュレータ220に対して、実施の形態1の変形例(図4)に係る構成を適用することが可能である。即ち、図4に示された回路構成において、NMOSトランジスタMN11~MN13の各ゲートに、電圧補正回路250からの基準電圧Vr♯を入力することも可能である。
【0129】
尚、実施の形態1~3では、3個のサブレギュレータ220-1~220-3が配置される構成を例示したが、言うまでもなく、サブレギュレータ220の配置個数は1個を含んで任意である。更に、サブレギュレータ220による電源電圧が供給先として、デジタル回路ブロックを例示したが、当該供給先は、フィードバック制御が必要となる様な電源電圧の変動が大きい負荷(回路)を除いて、任意の負荷(回路)とすることができる。同様に、メインレギュレータ200の配置個数についても任意である。即ち、複数のメインレギュレータ200及び複数のサブレギュレータ220の組み合わせによって、複数の回路ブロックにそれぞれ供給される電源電圧を詳細に調整して、全体の電源回路を構築することが可能である。
【0130】
或いは、実施の形態3に係る電源回路101A,101B,102A,102Bについては、比較的消費電流が小さい回路のみで負荷回路110が構成される場合には、メインレギュレータ200の配置を省略して、1個又は複数個のサブジェネレータのみを用いて、1個又は複数個の回路ブロックに対して電源電圧を供給する構成とすることも可能である。
【0131】
尚、実施の形態1~3では、電源電圧AVDD及び基準電圧Vrが正電圧の場合の構成例を説明したが、実施の形態1~3で説明した電源回路の構成は、電源電圧AVDD及び基準電圧Vrが負電圧の場合にも適用することができる。但し、この場合には、サブレギュレータ220-1~220-3を構成するトランジスタMN11~MN13は、P型の電界効果トランジスタに置換されるので、P型が「第1導電型」の一実施例に対応する。更に、図4において、パンチスルーを防止するためにサブレギュレータ220に配置されたトランジスタ(MP11~MP13)はN型の電界効果トランジスタで構成されることが必要である。即ち、N型が「第2導電型」の一実施例に対応する。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示による技術的範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
100A,100B,101A,101B,102A,102B 電源回路、101,102 端子、110 負荷回路、120~123 回路ブロック、200 メインレギュレータ、201 差動増幅器、210 一定電圧発生回路、220-1~220-3 サブレギュレータ、250 電圧補正回路、251a,251b,252a,252b 電流源、255,265 調整回路、256,266 トリミング素子群、AGND 接地電圧、AVDD 電源電圧、GL 接地ライン、MPL メイン電源ライン、MN11~MN13 NMOSトランジスタ、MP11~MP13,MPB1,MPB2 PMOSトランジスタ、MP0 出力トランジスタ、N0 分岐ノード、Nb 接続ノード、No 出力ノード、Nr 基準ノード、R1,R2,R11~R13,RV1,RV2 抵抗素子、SPP0~SPL3 電源ライン、SPOFF 電源オフ信号、SWCI0,SWCI1,SWCI11~SWCI1k,SWCO0,SWCO1,SWCO11~SWCO1k スイッチ、Str1,Str2 調整信号、VINP フィードバック電圧、VOUT0~VOUT3 出力電圧、VREF 一定電圧、VREF♯ 目標電圧、Vr 基準電圧、Vt しきい値電圧。
図1
図2
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