(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241025BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020190499
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-09-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月20~21日 2019年竹中技術研究所公開にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳村 朋子
(72)【発明者】
【氏名】和田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 規敏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 勇志
(72)【発明者】
【氏名】畑中 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-155431(JP,A)
【文献】特開2018-032294(JP,A)
【文献】特開2011-165122(JP,A)
【文献】特開2020-129201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録する記録部と、
前記記憶部に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を提示する提示部と、
前記分析部による分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案するレイアウト提案部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録する記録部と、
前記記憶部に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を提示する提示部と、
前記分析部による分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案する組織改編提案部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項3】
前記執務者の属性は、性別、年齢、職種、職位、部署、及び性格の少なくとも1つである、
請求項1
又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記着座位置の傾向の分析結果を用いて、前記執務者の属性毎の選好を更に分析する、
請求項1
~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、
検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、
前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、
分析結果を提示
し、
前記分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項6】
任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、
検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、
前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、
分析結果を提示し、
前記分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革の推進に伴い、執務者の固定席を決めず、その日の執務内容や個人の好みに合わせて効率的に執務が進められる座席を選んで働くワークスタイルであるフリーアドレスや、ABW(Activity Based Working)等が進展している。
【0003】
従来、このようなフリーアドレスが採用された執務室等の管理者や執務者にとっての利便性を向上させるために適用することのできる技術として、以下の技術があった。
【0004】
即ち、特許文献1には、利用者にフリーアドレスオフィスの席を割り当てるフリーアドレスオフィス管理システムが開示されている。
【0005】
このフリーアドレスオフィス管理システムは、情報処理装置を備え、前記情報処理装置は、前記フリーアドレスオフィスの管理者の操作に基づいて、前記席の割り当てに関する優先順位条件を設定する。また、このフリーアドレスオフィス管理システムは、前記フリーアドレスオフィスの複数の席が設置されているエリアへ前記利用者が入る際には、前記優先順位条件に従って、前記複数の席から席を選択して前記利用者に割り当て、前記選択した席を含む席割当情報を、前記利用者に通知する。また、このフリーアドレスオフィス管理システムは、前記エリアから前記利用者が出る際には、前記利用者に割り当てた席を解除する。そして、このフリーアドレスオフィス管理システムでは、前記優先順位条件が、前記利用者の属性情報の項目と、前記利用者の前記エリアの入退履歴または前記席の利用履歴の情報の項目とを用いて、優先順位を持つ1つ以上の条件によって構成される。
【0006】
また、特許文献2には、運用中におけるオフィスのレイアウト変更を補助するオフィスレイアウト補助システムが開示されている。
【0007】
このオフィスレイアウト補助システムは、オフィスの各部門に対する入退室を管理し、通行履歴を記録する入退室管理部と、入退室管理部に記録された通行履歴に基づいて部門間の密接度を算出する密接度算出部と、を備えている。また、このオフィスレイアウト補助システムは、密接度算出部により算出された密接度に基づいてレイアウトプランを立案するレイアウトプラン立案部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2020-038552号公報
【文献】特開2012-194891号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したようなフリーアドレス等が採用された執務室を、企業や団体等の組織によって利用する場合には、執務室を利用することによって当該組織が活性化されることが望まれている。そして、組織を活性化させるためには、執務者の着座位置の傾向を把握することは極めて重要である。執務者の着座位置の傾向を把握することができれば、より効果的に組織を活性化することのできる執務室を実現することができる。例えば、組織に属する執務者の多くが利用しやすい座席のレイアウトとすれば、当該組織の活性化を効果的に促すことができる。なお、ここでいう「組織」には、複数の企業や団体等の所属員も含む。
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、執務者の着座位置の傾向については考慮されていないため、必ずしも組織を効果的に活性化することができるとは限らない、という問題点があった。
【0011】
本開示は、以上の事情に鑑みて成されたものであり、組織を効果的に活性化することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置は、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する検出部と、前記検出部によって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録する記録部と、前記記憶部に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析する分析部と、前記分析部による分析結果を提示する提示部と、前記分析部による分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案するレイアウト提案部と、を備える。
【0013】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示することで、組織を効果的に活性化することができる。
また、請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、前記分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案することで、より効果的に組織を活性化することができる。
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置は、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する検出部と、前記検出部によって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録する記録部と、前記記憶部に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析する分析部と、前記分析部による分析結果を提示する提示部と、前記分析部による分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案する組織改編提案部と、を備える。
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示することで、組織を効果的に活性化することができる。
また、請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、前記分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案することで、より効果的に組織を活性化することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置であって、前記執務者の属性が、性別、年齢、職種、職位、部署、及び性格の少なくとも1つであるものである。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、前記執務者の属性を、性別、年齢、職種、職位、部署、及び性格の少なくとも1つとすることで、適用した属性に応じた好適な着座位置の傾向の分析を行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記分析部が、前記着座位置の傾向の分析結果を用いて、前記執務者の属性毎の選好を更に分析するものである。
【0017】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、前記着座位置の傾向の分析結果を用いて、前記執務者の属性毎の選好を更に分析することで、執務者の属性に応じた着座位置に関する選好を把握することができる。
【0022】
請求項5に記載の本発明に係る情報処理プログラムは、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示し、前記分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案する、処理をコンピュータに実行させる。
【0023】
請求項5に記載の本発明に係る情報処理プログラムによれば、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示することで、組織を効果的に活性化することができる。
また、請求項5に記載の本発明に係る情報処理プログラムによれば、前記分析結果を用いて、前記複数の座席のレイアウトを提案することで、より効果的に組織を活性化することができる。
請求項6に記載の本発明に係る情報処理プログラムは、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示し、前記分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案する、処理をコンピュータに実行させる。
請求項6に記載の本発明に係る情報処理プログラムによれば、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出し、検出した各執務者の位置を示す位置情報を記憶部に記録し、前記記憶部に記録した位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、分析結果を提示することで、組織を効果的に活性化することができる。
また、請求項6に記載の本発明に係る情報処理プログラムによれば、前記分析結果を用いて、前記執務者が属する組織の改編を提案することで、より効果的に組織を活性化することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、組織を効果的に活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置、端末、及び情報蓄積装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る執務室の構成の一例を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る執務者属性情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る環境状況情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図6】実施形態に係る座席情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る属性別選好情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係る着座記録プログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る座席選択画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図10】実施形態に係る着座傾向分析プログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る着座傾向分析結果画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図12】実施形態に係る選好分析結果画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図13】実施形態に係るレイアウト提案プログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態に係るレイアウト提案画面の構成の一例を示す正面図である。
【
図15】実施形態に係る組織改編提案プログラムの一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施形態に係る組織改編提案画面の構成の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明を、企業に所属する複数の執務者が、当該企業が入居する建物内の執務室に設けられた複数の座席の何れかを自由に選択して執務を行う形態に適用した場合について説明する。
【0027】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90の構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム90は、ネットワーク80に各々アクセス可能とされた、情報処理装置10と、複数の端末20と、情報蓄積装置30と、表示装置45と、執務室に設けられた複数の座席50と、を含む。なお、情報処理装置10及び情報蓄積装置30の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。また、端末20の例としては、ノートブック型のパーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末が挙げられる。
【0028】
本実施形態に係る端末20は、情報処理システム90が対象としている複数の執務者に各々割り当てられた端末である。端末20は、CPU(Central Processing Unit)21、一時記憶領域としてのメモリ22、不揮発性の記憶部23、タッチパネル等の入力部24、液晶ディスプレイ等の表示部25及び媒体読み書き装置(R/W)26を備えている。また、端末20は、無線通信部27、カメラ28及び近距離通信部29を備えている。更に、端末20は、位置特定部40及びスピーカ41を備えている。CPU21、メモリ22、記憶部23、入力部24、表示部25、媒体読み書き装置26、無線通信部27、カメラ28、近距離通信部29、位置特定部40及びスピーカ41はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置26は、記録媒体96に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体96への情報の書き込みを行う。
【0029】
本実施形態では、位置特定部40として、ビーコンを用いた形態を適用しているが、これに限るものではなく、例えば、GPS(Global Positioning Systems)を利用する形態、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いる形態、Wi-Fi(登録商標)を用いる形態、UWB(Ultra Wide Band)を用いる形態、GPS以外の衛星測位システムを適用する形態、複数の測位方式を組み合わせたセンサフュージョン型の形態等としてもよい。
【0030】
また、近距離通信部29は、後述する執務室に配置された複数の座席50に設けられた操作部52との間で、予め定められた距離(本実施形態では、10cm)の範囲内で通信を行う。なお、本実施形態では、近距離通信部29と操作部52との間で行う通信方式としてNFC(Near Field Communication)による通信方式を適用しているが、これに限るものではない。例えば、各座席50にRFIDリーダを設置しておき、執務者が持つRFIDタグと通信を行う形態としてもよいし、Bluetooth(登録商標)による方法、Wi-Fi(登録商標)による方法等の他の方法を適用する形態としてもよい。
【0031】
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部23には、各種アプリケーション・プログラムが記憶されている。各種アプリケーション・プログラムは、当該プログラムが書き込まれた記録媒体96が媒体読み書き装置26にセットされ、媒体読み書き装置26が記録媒体96からの当該プログラムの読み出しを行うことで、記憶部23へ記憶される。CPU21は、指定されたアプリケーション・プログラムを記憶部23から読み出してメモリ22に展開し、当該プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0032】
一方、情報処理装置10は、情報処理システム90において中核的な役割を有する装置である。情報処理装置10は、CPU11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置16及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16及び通信I/F部18はバスB2を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0033】
記憶部13はHDD、SSD、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、着座記録プログラム13A、着座傾向分析プログラム13B、レイアウト提案プログラム13C、及び組織改編提案プログラム13Dが記憶されている。着座記録プログラム13A及び着座傾向分析プログラム13Bの各プログラムは、当該各プログラムが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの当該各プログラムの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。また、レイアウト提案プログラム13C及び組織改編提案プログラム13Dの各プログラムも、当該各プログラムが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの当該各プログラムの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、着座記録プログラム13A、着座傾向分析プログラム13B、レイアウト提案プログラム13C、及び組織改編提案プログラム13Dを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、各プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0034】
一方、情報蓄積装置30は、情報処理システム90で取り扱う各種情報を統括的に保管して管理する装置である。情報蓄積装置30は、CPU31、一時記憶領域としてのメモリ32、不揮発性の記憶部33、キーボードとマウス等の入力部34、液晶ディスプレイ等の表示部35、媒体読み書き装置36及び通信I/F部38を備えている。CPU31、メモリ32、記憶部33、入力部34、表示部35、媒体読み書き装置36及び通信I/F部38はバスB3を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置36は、記録媒体37に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体37への情報の書き込みを行う。
【0035】
記憶部33はHDD、SSD、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部33には、執務者属性情報データベース33A、環境状況情報データベース33B、座席情報データベース33C、及び属性別選好情報データベース33Dが記憶される。これらの各データベースについては、詳細を後述する。
【0036】
一方、表示装置45は、本実施形態に係る執務室の入退出口の近傍で、かつ、各執務者によって参照可能な位置に設けられており、情報処理装置10により、ネットワーク80を介して制御されるものである。
【0037】
更に、本実施形態に係る執務室に設けられた複数の座席50の各々には、上述したように、端末20の近距離通信部29との間で通信が可能とされた操作部52が設けられている。また、本実施形態に係る座席50の各々には、執務者によって用いられるパーソナルコンピュータ(PC)54、座席50の上面を照明するデスクライト56、及び座席50の上面側に送風するデスクファン58が各々設けられている。
【0038】
なお、本実施形態に係る操作部52は、端末20との間で通信が行われた場合に、当該端末20を所持する執務者を特定することのできる情報(以下、「執務者特定情報」という。)を、自身が設けられた座席50を特定可能な情報(以下、「座席特定情報」という。)と共に、ネットワーク80を介して情報処理装置10に送信する。本実施形態では、上記執務者特定情報として、対応する執務者の氏名を適用しているが、これに限るものではない。例えば、執務者特定情報として、対応する執務者に予め個別に割り振られた、後述する執務者ID(Identification)や、当該執務者が所持している端末20のIPアドレス等を適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、上記座席特定情報として、対応する座席50に予め個別に割り振られた、後述する座席IDを適用しているが、これに限るものではない。例えば、座席特定情報として、対応する座席50の製造番号等を適用する形態としてもよい。
【0039】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10、端末20、及び情報蓄積装置30の機能的な構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、検出部11A、記録部11B、分析部11C、提示部11D、レイアウト提案部11E、及び組織改編提案部11Fを含む。情報処理装置10のCPU11が着座記録プログラム13Aを実行することで、検出部11A及び記録部11Bとして機能する。また、情報処理装置10のCPU11が着座傾向分析プログラム13Bを実行することで、分析部11C及び提示部11Dとして機能する。また、情報処理装置10のCPU11がレイアウト提案プログラム13Cを実行することで、レイアウト提案部11Eとして機能する。更に、情報処理装置10のCPU11が組織改編提案プログラム13Dを実行することで、組織改編提案部11Fとして機能する。
【0040】
本実施形態に係る検出部11Aは、任意の執務者によって確保される座席50が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の座席50のうちの何れかの座席50を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する。
【0041】
また、本実施形態に係る記録部11Bは、検出部11Aによって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部13に記録する。
【0042】
そして、本実施形態に係る分析部11Cは、記憶部13に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析し、本実施形態に係る提示部11Dは、分析部11Cによる分析結果を提示する。なお、本実施形態に係る提示部11Dは、上記分析結果の提示を、表示部による表示により行っているが、これに限るものではない。例えば、スピーカ41等を用いた音声による提示や、画像形成装置を用いた印刷による提示を、上記分析結果の提示方法として適用する形態としてもよい。
【0043】
また、本実施形態に係る分析部11Cは、上記着座位置の傾向の分析結果を用いて、執務者の属性毎の選好を更に分析する。また、本実施形態に係るレイアウト提案部11Eは、分析部11Cによる分析結果を用いて、上記複数の座席50のレイアウトを提案し、本実施形態に係る組織改編提案部11Fは、分析部11Cによる分析結果を用いて、執務者が属する組織の改編を提案する。なお、本実施形態では、上記執務者の属性を、性別、年齢、職種、職位、部署、協調性、及び性格を含むものとしているが、これに限るものではない。例えば、これらの属性に加えて、入社年度、出身地、趣味等の他の属性を含めて、何れか1つの属性、又は複数の属性の組み合わせを上記執務者の属性として適用する形態としてもよい。
【0044】
一方、本実施形態に係る端末20は、制御部21Aを含む。端末20のCPU21が、近距離通信部29を介した操作部52との通信の制御や、位置特定部40によって特定された執務者の位置を示す位置情報を、無線通信部27を介して情報処理装置10に送信する制御、各種情報を表示部25に表示する制御等を行う不図示のプログラムを実行することで、制御部21Aとして機能する。
【0045】
更に、本実施形態に係る情報蓄積装置30は、制御部31Aを含む。情報蓄積装置30のCPU31が、情報処理装置10及び端末20との間で各種情報の授受を行う一方、記憶部33に対するアクセス等を制御する不図示のプログラムを実行することで、制御部31Aとして機能する。
【0046】
ここで、
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90が対応する執務室60について説明する。
図3は、本実施形態に係る執務室60の構成の一例を示す平面図である。
【0047】
図3に示すように、本実施形態に係る執務室60は、1つの入退出口62が設けられており、執務者は入退出口62を介して執務室60への入室及び執務室60からの退室を行う。なお、執務室60の入退出口62の数は1つに限らず、複数設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0048】
本実施形態に係る執務室60は、複数のエリア(
図3に示す例では、エリアA~エリアFの6つのエリア)に分かれており、各エリアには複数の座席50が配置されている。本実施形態に係る座席50は、一対の椅子50A及び机50Bを含んで構成されている。
図3では図示を省略するが、机50Bの各々の上面に、上述した操作部52、パーソナルコンピュータ54、デスクライト56、及びデスクファン58が設けられている。
【0049】
このように、本実施形態に係る座席50は一対の椅子50A及び机50Bを含んで構成されているが、これに限るものではない。例えば、座席50として机50Bがなく、椅子50Aのみを含む形態としてもよく、逆に、座席50として椅子50Aがなく、机50Bのみを含む形態としてもよい。
【0050】
本実施形態において、各執務者は、以上のように構成された執務室60における何れかの座席50を確保し、主に当該座席50に着座した状態で執務を行い、執務が終了すると、当該座席50の確保を解除する。なお、各執務者は、執務を行っている間に、執務室60の内外を自由に移動することができることは言うまでもない。
【0051】
次に、
図4~
図7を参照して、本実施形態に係る各種データベースについて説明する。まず、
図4を参照して、本実施形態に係る執務者属性情報データベース33Aについて説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る執務者属性情報データベース33Aは、上述した執務者IDと、当該執務者IDに対応する執務者の属性と、の各情報が関連付けられて記憶される。
【0052】
上記属性は、対応する執務者の属性を示す情報であり、上述したように、本実施形態では、当該属性に、対応する執務者の外向性、協調性、年齢、職位、性別、職種、及び部署を含むものとしている。なお、一般に「外向性」や「協調性」は「性格」に包含されるものであるが、本発明は、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析することを主眼としており、当該着座位置の傾向に対して執務者の「外向性」や「協調性」が相関性を有することが多いことから、本実施形態では、「外向性」と「協調性」を、「性格」に関する属性の代表例として扱っている。
【0053】
図4に示すように、本実施形態では、上記外向性の高さを、標準的な高さより高い「高」と、標準的な高さより低い「低」と、の2段階のレベルで表しているが、これに限るものではない。3段階以上の段階数で上記外向性の高さを表す形態としてもよい。また、
図4に示すように、本実施形態では、上記協調性の高さを、標準的な高さである「中」と、標準的な高さより高い「高」と、標準的な高さより低い「低」と、の3段階のレベルで表しているが、これに限るものではない。2段階や4段階以上の段階数で上記協調性の高さを表す形態としてもよい。また、
図4に示すように、本実施形態では、上記年齢の高さを、執務者の年齢として中央的な年齢である「中」と、中央的な年齢より高齢の「高」と、中央的な年齢より低年齢の「低」と、の3段階のレベルで表している。本実施形態では、上記中央的な年齢として35歳から45歳までの年齢を適用し、上記高齢として45歳を超える年齢を適用し、上記低年齢として35歳未満を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。また、年齢の高さの段階数も3段階に限るものではなく、2段階や4段階以上の段階数で年齢の高さを表す形態としてもよい。
【0054】
図4に示す例では、執務者IDとして「S001」が割り振られた執務者は、外向性が標準より高い性格で、協調性が標準より高い、45歳超の部長の男性であり、営業職で、営業部に所属していることを示している。
【0055】
なお、本実施形態では、情報処理システム90が対応する全ての執務者について、各執務者の直属の上長が各属性に関する評価を行い、当該評価の結果を登録することで執務者属性情報データベース33Aを構築するものとしているが、これに限るものではない。例えば、各執務者が自己評価によって自身の属性を示す情報を登録することで執務者属性情報データベース33Aを構築する形態としてもよい。
【0056】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る環境状況情報データベース33Bについて説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る環境状況情報データベース33Bは、上述した座席ID、及び環境状況の各情報が関連付けられて記憶される。
【0057】
上記環境状況は、対応する座席50の位置における人員密度(混雑の度合いであり、座席50の周囲にいる他の執務者の数)、開放度(座席50がどの程度オープンであるか)、照度(座席50の机50Bの上面側の明るさ)、及び動線距離(座席50の移動する人の流れからの距離)を含む複数種類の環境状態を示す情報である。
【0058】
本実施形態では、上記人員密度として、対応する座席50が設けられているエリア内で座席50を確保している執務者の数を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する座席50に隣接する座席50を確保している執務者の数を上記人員密度として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、上記開放度として、対応する座席50から最も近い壁面までの距離を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する座席50から複数の方向に対して存在する壁面までの距離の平均値を上記開放度として適用する形態としてもよい。更に、本実施形態では、上記動線距離として、対応する座席50から最も近い通路までの距離を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する座席50から複数の方向に対して存在する通路までの距離の平均値を上記動線距離として適用する形態としてもよい。
【0059】
図5に示す例では、座席IDとして「C001」が割り振られた座席50の位置では、人員密度が2(人/エリア)であり、開放度が1.4(m)であり、照度が800(lx)であり、動線距離が2.5(m)であることを示している。
【0060】
なお、図示は省略するが、本実施形態に係る情報処理システム90では、執務室60に配置された座席50の各々に、上記照度を計測するためのセンサ(以下、「環境センサ」という。)が設けられている。そして、本実施形態に係る情報処理システム90では、情報処理装置10が、上記環境センサから照度を示す物理量を随時取得し、環境状況情報データベース33Bに登録されている照度を随時更新する。但し、この形態に限るものではなく、日時毎に平均的な照度を固定的に記憶しておく形態としてもよく、当該固定的な照度に対して、対応する日時の天気等の気象条件を加味して微調整しつつ適用する形態等としてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る情報処理システム90では、情報処理装置10が、各執務者が所持する端末20から位置特定部40により特定される位置を示す位置情報を受信し、受信した位置情報を用いて人員密度を導出する。そして、本実施形態に係る情報処理装置10では、導出した人員密度に、環境状況情報データベース33Bに登録されている人員密度を随時更新する。但し、この形態に限るものではなく、座席50に設けられた操作部52に対する操作に応じて当該操作部52から受信した座席特定情報を用いて、人員密度を導出する形態としてもよい。
【0062】
更に、本実施形態に係る情報処理システム90では、開放度及び動線距離を、対応する座席50の位置及び執務室60のレイアウトに応じた固定値として環境状況情報データベース33Bに予め登録しておくものとしているが、これに限るものではない。例えば、開放度及び動線距離の少なくとも一方について、情報処理装置10の管理者等に対して実態に即した値を適宜入力させ、環境状況情報データベース33Bに登録されている情報を更新する形態としてもよい。
【0063】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る座席情報データベース33Cについて説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る座席情報データベース33Cは、上述した座席IDと、位置、利用日時、執務者ID、及び環境状況との各情報が関連付けられて記憶される。
【0064】
上記位置は、対応する座席50の配置位置を示す情報であり、本実施形態では、当該座席50の平面視中央部の位置を示す情報を適用している。なお、本実施形態では、上記位置を示す情報として、緯度及び経度等の2次元の位置を適用しているが、これに限るものではない。例えば、緯度及び経度等を示す情報に加えて、高度等を示す情報を適用して、3次元の位置を適用する形態としてもよい。
【0065】
また、上記利用日時は、対応する座席50に対して何れかの執務者が確保した日時及び当該確保を解除した日時を示す情報であり、上記執務者IDは、対応する座席50を、対応する時間帯に確保していた執務者を示す情報である。
【0066】
更に、上記環境状況は、対応する座席50を、対応する執務者が確保している期間における、当該座席50に関する、環境状況情報データベース33Bの環境状況と同様の情報である。なお、本実施形態では、座席情報データベース33Cの環境状況として、環境状況情報データベース33Bの環境状況における、時間の経過に伴って変化する環境状況のみの情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、座席情報データベース33Cの環境状況として、環境状況情報データベース33Bの環境状況の全ての情報を適用する形態としてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、座席情報データベース33Cの環境状況として、対応する利用日時の確保から解除までの期間における、対応する環境状況の平均値を適用しているが、これに限るものではない。例えば、対応する利用日時の確保から解除までの期間において、対応する執務者が、対応する座席50に着座している期間のみの、対応する環境状況の平均値を、座席情報データベース33Cの環境状況として適用する形態としてもよい。
【0068】
図6に示す例では、座席IDとして「C001」が割り振られた座席50は(X1,Y1)の位置に配置されており、執務者IDとして「S001」が割り振られた執務者によって2020年4月24日の8時2分から11時45分まで確保されていたことを表している。また、
図6に示す例では、座席IDとして「C001」が割り振られた座席50の2020年4月24日の8時2分から11時45分までの期間における人員密度が、2.5(人/エリア)であったことを表している。
【0069】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る属性別選好情報データベース33Dについて説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る属性別選好情報データベース33Dは、属性、状態、及び環境選好傾向の各情報が関連付けられて記憶される。
【0070】
上記属性は、執務者属性情報データベース33Aの属性と同様の情報であり、上記状態は、対応する属性の状態を示す情報であり、上記環境選好傾向は、対応する属性の状態である執務者が選好する傾向が高い、座席50の環境上の選好条件を示す情報である。なお、
図7に示すように、本実施形態に係る属性別選好情報データベース33Dでは、「職位」との属性については、当該職位が「ライン長」に該当するか否かを示す属性に纏めているが、これに限るものではない。例えば、属性別選好情報データベース33Dにおける「職位」に対応する属性として、執務者属性情報データベース33Aの属性と同様の属性、即ち、部長、課長等といった個別の職位そのものを適用する形態としてもよい。
【0071】
図7に示すように、本実施形態では、「外向性」に関する環境選好傾向として、人員密度の複数の段階別の高さを適用し、「協調性」に関する環境選好傾向として、開放度の複数の段階別の高さを適用している。また、本実施形態では、「年齢」に関する環境選好傾向として、照度の複数の段階別の高さを適用し、「ライン長」に関する環境選好傾向として、動線距離の複数の段階別の近接度、及び開放度の複数の段階別の高さを適用している。
【0072】
但し、上記環境選好傾向は、これらに限られるものではない。例えば、これらの環境選好傾向に加えて、視環境(視界内の景色、室全体の見通し、室内からの眺望等)、音環境(室内外の騒音等)等に関する選好傾向等の他の選好傾向を含めて、何れか1つの選好傾向、又は複数の選好傾向の組み合わせを上記環境選好傾向として適用する形態としてもよい。
【0073】
図7に示す例では、例えば、外向性が高い執務者が選好する傾向が高い座席50は、人員密度が高い座席であることを示し、協調性が高い執務者が選好する傾向が高い座席50は、開放度が低い座席であることを示している。
【0074】
本実施形態では、情報処理装置10が、後述する着座傾向分析プログラム13Bを実行することで、属性別選好情報データベース33Dを構築するものとしている。
【0075】
次に、
図8~
図16を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90の作用を説明する。まず、
図8及び
図9を参照して、着座記録処理を実行する場合の情報処理装置10の作用を説明する。本実施形態に係る情報処理装置10では、執務室60の利用が可能とされた日(本実施形態では、平日であり、以下、「利用可能日」という。)毎における、執務室60が利用可能となる時刻(本実施形態では、午前6時)となった場合に、情報処理装置10のCPU11が着座記録プログラム13Aを実行することにより、
図8に示す着座記録処理が実行される。なお、以下では、執務室60が
図3に示されるものである場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、執務者属性情報データベース33A及び環境状況情報データベース33Bが、
図4及び
図5に示すものとして構築済みである場合について説明する。
【0076】
図8のステップ200で、CPU11は、当日、執務室60に初めて入室する執務者が来訪したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ214に移行し、肯定判定となった場合はステップ202に移行する。なお、本実施形態では、上記執務者の来訪の検出を、当該執務者が所持する端末20から受信される、当該端末20の位置特定部40によって特定された位置が執務室60の入退出口62の付近に当日初めて位置したことを検出することで行っている。但し、この形態に限定されるものではなく、例えば、執務者自身に対して、当日初めて執務室60に入室する際に、自身が所持する端末20等を介して当該入室する旨を入力させ、当該入力を検出することで、上記来訪を検出する形態としてもよい。なお、以下では、ステップ200の処理で来訪が検出された執務者を「来訪執務者」という。
【0077】
ところで、本実施形態に係る情報処理システム90では、何れかの座席50において、操作部52に対する第1操作(本実施形態では、端末20を操作部52に近接させる操作)が行われたことをもって、当該座席50が確保されたものとしている。また、本実施形態に係る情報処理システム90では、確保されている何れかの座席50において、操作部52に対する第2操作(本実施形態では、端末20を操作部52に再び近接させる操作)が行われたことをもって、当該座席50の確保が解除されたものとしている。
【0078】
そこで、ステップ202で、検出部11Aは、上記第1操作が行われ、かつ、第2操作が行われていない座席50が、何れかの執務者によって使用されている座席50であるものとして、執務室60に設けられている座席50の使用状況を特定する。この際、検出部11Aは、上記第1操作が行われたことに伴って操作部52から受信された執務者特定情報及び座席特定情報を用いて、座席50を使用している執務者及び当該座席50を特定する。以下では、ここで特定した座席50を「使用中座席」という。
【0079】
なお、使用中座席、及び当該使用中座席を使用している執務者の特定方法は、この方法には限らない。例えば、座席50を使用している執務者が所持する端末20の位置特定部40により特定された位置及び当該端末20を特定することのできるIPアドレス等の特定情報を用いて、使用中座席を使用している執務者及び当該使用中座席を特定する形態としてもよい。
【0080】
ステップ204で、CPU11は、予め定められた座席使用不可化処理を実行する。本実施形態では、上記座席使用不可化処理として、使用中座席を除く全ての座席50に設けられたパーソナルコンピュータ54、デスクライト56、及びデスクファン58の各機器を使用できないように設定する処理を適用している。本実施形態では、上記各機器への通電を遮断することで、当該各機器を使用できないように設定しているが、これに限るものではない。
【0081】
ステップ206で、提示部11Dは、ステップ202の処理によって特定した使用中座席の情報を用いて、予め定められたフォーマットとされた座席選択画面を表示するように表示部15、来訪執務者が所持する端末20、及び表示装置45を制御し、ステップ208で、提示部11Dは、所定情報が入力されるまで待機する。
【0082】
図9には、既に座席50を確保した執務者が複数人(
図9に示す例では、7人)である場合における、ステップ206の処理によって各装置の表示部により表示された座席選択画面の一例が示されている。
【0083】
図9に示すように、本実施形態に係る座席選択画面では、確保したい座席の指定を促すメッセージが表示されると共に、執務室60の平面図が表示され、かつ、この時点の各エリア別の座席50の確保数が表示される。また、本実施形態に係る座席選択画面では、確保されている座席50の位置に確保した執務者を特定可能な特定情報(本実施形態では、氏名)も表示される。来訪執務者は、表示装置45や、端末20の表示部25に表示された座席選択画面を参照することで、執務室60の座席50の空き状況や、誰がどの座席50を確保しているかを把握することができる。
【0084】
一例として
図9に示すような座席選択画面が表示装置45や、端末20の表示部25によって表示されると、来訪執務者は、空いている座席から所望の1つの座席50を選択して指定する。これに応じて、ステップ208が肯定判定となってステップ210に移行する。なお、本実施形態では、所望の座席の指定を、自身が所持する端末20の表示部25によって表示されている座席選択画面に対し、入力部24を介して所望の座席を指定することにより行うが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0085】
ステップ210で、CPU11は、予め定められた選択座席使用可能化処理を実行する。本実施形態では、上記選択座席使用可能化処理として、来訪執務者によって選択された座席50に設けられたパーソナルコンピュータ54、デスクライト56、及びデスクファン58の各機器を使用できるように設定する処理(本実施形態では、当該各機器に通電する処理。)を適用しているが、これに限るものではない。
【0086】
ステップ212で、記録部11Bは、来訪執務者によって選択された座席50の操作部52に対する第1操作に伴って操作部52から受信された執務者特定情報及び座席特定情報を用いて、座席情報データベース33Cの登録内容を更新する。即ち、この際、記録部11Bは、座席情報データベース33Cに対して、上記座席特定情報が示す座席に対応する利用日時の確保の記憶領域に、この時点の時刻を記録する。また、この際、記録部11Bは、座席情報データベース33Cに対して、上記座席特定情報が示す座席に対応する執務者IDの記憶領域に、上記執務者特定情報に対応する執務者IDを記録する。
【0087】
ステップ214で、CPU11は、何れかの使用中座席の操作部52に対して上記第2操作が行われたか否かを判定することにより、何れかの来訪執務者が使用中座席から離脱したか否かを判定する。ここで、否定判定となった場合はステップ220に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ216に移行する。
【0088】
ステップ216で、CPU11は、来訪執務者が離脱した座席50に対して、上述した座席使用不可化処理と同様の処理を実行する。ステップ218で、記録部11Bは、来訪執務者が離脱した座席50の操作部52に対する第2操作に伴って操作部52から受信された座席特定情報を用いて、座席情報データベース33Cの登録内容を更新する。即ち、この際、記録部11Bは、座席情報データベース33Cに対して、上記座席特定情報が示す座席に対応する、直近の利用日時の解除の記憶領域に、この時点の時刻を記録し、かつ、対応する環境状況の記憶領域に、当該座席に関する、上述した環境状況を記録する。このように、本実施形態では、来訪執務者が離脱した座席50に関して座席情報データベース33Cに行う登録内容の更新を、第2操作に伴って受信した座席特定情報を用いて行っているが、これに限るものではない。例えば、第2操作に伴って受信した執務者特定情報を用いて上記登録内容の更新を行う形態としてもよい。この場合、記録部11Bは、座席情報データベース33Cに対して、上記執務者特定情報に対応する執務者IDに対応する、直近の利用日時の解除の記憶領域に、この時点の時刻を記録し、かつ、対応する環境状況の記憶領域に、当該座席に関する、上述した環境状況を記録する。
【0089】
ステップ220で、CPU11は、予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ200に戻る一方、肯定判定となった場合は本着座記録処理を終了する。なお、本実施形態では、上記終了タイミングとして、執務室60の利用が可能とされた日(本実施形態では、平日)毎における、執務室60が利用できなくなる時刻(本実施形態では、午後9時)となったタイミングを適用している。但し、この形態に限るものではなく、執務室60の座席50を確保していた執務者の全てが当該確保を解除したタイミング、情報処理装置10の管理者によって着座記録処理の終了を指示する指示情報が入力部14等を介して入力されたタイミング等を上記終了タイミングとして適用する形態としてもよい。
【0090】
本着座記録処理により、座席情報データベース33Cの記憶内容が、リアルタイムで、執務室60の最新の状況を示す情報に更新される。
【0091】
次に、
図10~
図13を参照して、着座傾向分析処理を実行する場合の情報処理装置10の作用を説明する。本実施形態に係る情報処理装置10では、情報処理装置10の管理者により、着座傾向分析処理の実行を開始する旨の指示が行われた場合に、情報処理装置10のCPU11が着座傾向分析プログラム13Bを実行することにより、
図10に示す着座傾向分析処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、執務者属性情報データベース33A、環境状況情報データベース33B、及び座席情報データベース33Cが、
図4~
図6に示すものとして構築済みである場合について説明する。
【0092】
図10のステップ300で、分析部11Cは、執務者属性情報データベース33Aから全ての情報(以下、「執務者属性情報」という。)を読み出す。ステップ302で、分析部11Cは、環境状況情報データベース33Bから全ての情報(以下、「環境状況情報」という。)を読み出す。ステップ304で、分析部11Cは、座席情報データベース33Cから全ての情報(以下、「座席情報」という。)を読み出す。
【0093】
ステップ306で、分析部11Cは、読み出した執務者属性情報、環境状況情報、及び座席情報を用いて、各執務者の属性毎の座席50に対する着座位置の傾向を分析する。以下、当該着座位置の傾向の分析方法について説明する。
【0094】
まず、分析部11Cは、執務者属性情報に含まれる属性を、種類毎で、かつ、状態毎に分類(以下「属性分類」という。)する。この属性分類により、属性が、「外向性」、「協調性」、「年齢」、「職位」、「性別」等の種類別に分類され、例えば、「外向性」については「高」及び「低」の2つの状態に分類され、「性別」については「男性」及び「女性」の2つの状態に分類される。
【0095】
次いで、分析部11Cは、座席情報から環境状況(以下、「流動的環境状況」という。)を示す情報を抽出し、かつ、環境状況情報から、流動的環境状況を除く環境状況(以下、「固定的環境状況」という。)を示す情報を抽出する。この環境状況の抽出により、流動的環境状況としては、例えば、人員密度、照度等が抽出され、固定的環境状況としては、例えば、開放度、動線距離等が抽出される。
【0096】
そして、分析部11Cは、座席情報に含まれる全ての執務者(以下、「分析対象執務者」という。)を対象として、座席情報が示す各分析対象執務者が着座した座席50における、流動的環境状況及び固定的環境状況の複数の段階別で、かつ、属性分類毎の人数のヒストグラムを導出する。これにより、流動的環境状況及び固定的環境状況の各環境状況別の各段階別に、当該環境状況下の座席50に着座した分析対象執務者の数が得られる。
【0097】
ステップ308で、提示部11Dは、ステップ306の処理によって得られたヒストグラムを用いて、予め定められたフォーマットとされた着座傾向分析結果画面を表示部15に表示させるように制御する。ステップ310で、提示部11Dは、所定情報が入力されるまで待機する。
【0098】
図11に示すように、本実施形態に係る着座傾向分析結果画面では、属性分類の各々毎に、流動的環境状況及び固定的環境状況の各環境状況の各段階における分析対象執務者の数を示すヒストグラムが表示される。従って、情報処理装置10の管理者は、着座傾向分析結果画面を参照することにより、実際に執務室60を利用する執務者による、執務室60に設けられた座席50に対する、属性分類毎の着座の傾向を把握することができる。なお、
図11に示す例では、属性分類として「性別」の2種類の分類、及び「年齢」の3種類の分類の計5種類のみの分類を適用し、環境状況として「人員密度」及び「開放度」のみを表示した場合を例示している。
【0099】
なお、執務室に設けられた座席に対する着座位置の傾向を提示する方法は、以上のヒストグラムによる方法に限るものではない。例えば、上記着座位置の傾向の提示方法として、3次元棒グラフ、円グラフ等の他のグラフによる提示の他、表形式による提示を適用する形態としてもよい。
【0100】
一例として
図11に示す着座傾向分析結果画面が表示されると、情報処理装置10の管理者は、表示内容を確認した後、着座傾向分析結果画面に表示されている終了ボタン15Aを、入力部14を介して指定する。この指定に応じてステップ310が肯定判定となってステップ312に移行する。
【0101】
ステップ312で、分析部11Cは、ステップ306の処理で得られたヒストグラムを用いて、属性分類が共通の分析対象執務者の数が予め定められた人数以上となっている環境状況を、当該属性分類が示す属性の執務者が選好する環境状況であるとして特定する。なお、本実施形態では、上記予め定められた人数として、分析対象執務者の総数に対する予め定められた割合(本実施形態では、20%)の人数としているが、これに限るものではない。例えば、分析対象執務者を予め定められた年齢層別に分類し、重視する年齢層ほど重み値を大きくした各年齢層の人数の加重平均値に対する上記予め定められた割合の人数を、上記予め定められた人数として適用する形態としてもよい。
【0102】
この分析部11Cによる分析により、どの属性に属する執務者が、どういった環境状況の座席50を選好する傾向があるのかを分析することができる。
【0103】
ステップ314で、提示部11Dは、ステップ312の処理による分析結果を用いて、予め定められたフォーマットとされた選好分析結果画面を表示部15に表示させるように制御する。ステップ316で、提示部11Dは、所定情報が入力されるまで待機する。
【0104】
図12に示すように、本実施形態に係る選好分析結果画面では、属性分類毎に、各執務者が選好する環境の傾向を示す情報が表示される。従って、情報処理装置10の管理者は、当該選好分析結果画面を参照することにより、実際に執務室60を利用する執務者による、執務室60に設けられた座席50に対する選好の傾向を把握することができる。
【0105】
なお、執務室に設けられた座席に対する選好傾向を分析する方法は、以上の方法に限るものではない。例えば、上記選好傾向の分析方法として、クラスター分析、主成分分析等の従来既知の統計的手法により上記選好傾向を分析する方法を適用する形態としてもよい。
【0106】
一例として
図12に示す選好分析結果画面が表示されると、情報処理装置10の管理者は、表示内容を確認した後、選好分析結果画面に表示されている終了ボタン15Aを、入力部14を介して指定する。この指定に応じてステップ316が肯定判定となってステップ318に移行する。
【0107】
ステップ318で、記録部11Bは、以上の処理によって得られた選好傾向の分析結果を示す情報を属性別選好情報データベース33Dに記録し、その後に本着座傾向分析処理を終了する。ステップ318の処理により、一例として
図7に示す属性別選好情報データベース33Dが構築される。
【0108】
次に、
図13及び
図14を参照して、レイアウト提案処理を実行する場合の情報処理装置10の作用を説明する。本実施形態に係る情報処理装置10では、情報処理装置10の管理者により、レイアウト提案処理の実行を開始する旨の指示が行われた場合に、情報処理装置10のCPU11がレイアウト提案プログラム13Cを実行することにより、
図13に示すレイアウト提案処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、執務者属性情報データベース33A及び属性別選好情報データベース33Dが、
図4及び
図7に示すものとして構築済みである場合について説明する。
【0109】
図13のステップ400で、レイアウト提案部11Eは、執務者属性情報データベース33Aから全ての情報(上述した「執務者属性情報」)を読み出す。ステップ402で、レイアウト提案部11Eは、属性別選好情報データベース33Dから全ての情報(以下、「属性別選好情報」という。)を読み出す。
【0110】
ステップ404で、レイアウト提案部11Eは、読み出した執務者属性情報及び属性別選好情報を用いて、執務室60における座席50のレイアウトを策定する。以下、当該レイアウトの策定方法について説明する。
【0111】
まず、レイアウト提案部11Eは、執務者属性情報に含まれる属性を、種類毎で、かつ、状態毎に分類(上述した「属性分類」)する。
【0112】
次いで、レイアウト提案部11Eは、執務者属性情報に含まれる全ての執務者(以下、「レイアウト策定用執務者」という。)を対象として、各レイアウト策定用執務者の属性分類が合致する、属性別選好情報により示される属性分類毎の人数のヒストグラムを導出する。これにより、属性別選好情報により示される属性分類毎に、属性分類が合致するレイアウト策定用執務者の人数が導出される。
【0113】
そこで、レイアウト提案部11Eは、属性分類が合致するレイアウト策定用執務者の人数が多いほど高い優先順位を、全ての属性分類に付与する。
【0114】
そして、レイアウト提案部11Eは、予め定められた順位以上の優先順位の属性分類を適用して、執務室60の座席50のレイアウトを策定する。ここで、レイアウト提案部11Eは、例えば、優先順位が高い属性分類ほど、当該属性分類に属する執務者が選好する環境状況の座席を多くするように、レイアウトを策定する。なお、本実施形態では、上記予め定められた順位として、属性分類の総数に対する予め定められた割合(本実施形態では、30%)の順位としているが、これに限るものではない。例えば、情報処理装置10の管理者に対して、上記予め定められた順位を、入力部14等を介して入力させる形態としてもよい。
【0115】
ステップ406で、提示部11Dは、ステップ404の処理によって得られたレイアウトの策定結果を示す情報を用いて、予め定められたフォーマットとされたレイアウト提案画面を表示部15に表示させるように制御する。ステップ408で、提示部11Dは、所定情報が入力されるまで待機する。
【0116】
図14に示すように、本実施形態に係るレイアウト提案画面では、策定したレイアウトを平面図として示す情報が表示される。従って、情報処理装置10の管理者は、当該レイアウト提案画面を参照することにより、実際に執務室60を利用する執務者による、執務室60に設けられた座席50に対する選好の傾向が反映されたレイアウトを参考とすることができる。
【0117】
一例として
図14に示すレイアウト提案画面が表示されると、情報処理装置10の管理者は、表示内容を確認した後、レイアウト提案画面に表示されている終了ボタン15Aを、入力部14を介して指定する。この指定に応じてステップ408が肯定判定となって本レイアウト提案処理が終了する。
【0118】
次に、
図15及び
図16を参照して、組織改編提案処理を実行する場合の情報処理装置10の作用を説明する。本実施形態に係る情報処理装置10では、情報処理装置10の管理者により、組織改編提案処理の実行を開始する旨の指示が行われた場合に、情報処理装置10のCPU11が組織改編提案プログラム13Dを実行することにより、
図15に示す組織改編提案処理が実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、執務者属性情報データベース33A及び属性別選好情報データベース33Dが、
図4及び
図7に示すものとして構築済みである場合について説明する。
【0119】
図15のステップ500で、組織改編提案部11Fは、執務者属性情報データベース33Aから全ての情報(上述した「執務者属性情報」)を読み出す。ステップ502で、組織改編提案部11Fは、属性別選好情報データベース33Dから全ての情報(上述した「属性別選好情報」)を読み出す。
【0120】
ステップ504で、組織改編提案部11Fは、読み出した執務者属性情報及び属性別選好情報を用いて、執務室60を利用する組織の改編案を策定する。以下、当該組織の改編案の策定方法について説明する。
【0121】
まず、組織改編提案部11Fは、執務者属性情報に含まれる属性を、種類毎で、かつ、状態毎に分類(上述した「属性分類」)する。
【0122】
次いで、組織改編提案部11Fは、執務者属性情報に含まれる全ての執務者(以下、「組織改編策定用執務者」という。)の各々が、属性別選好情報により示される環境選好傾向の何れに属するのかを特定する。
【0123】
そして、組織改編提案部11Fは、以上の処理によって得られた、各環境選好傾向に対する組織改編策定用執務者の分類結果を用いて、予め定められた基準により、組織改編策定用執務者を複数の部署毎に振り分ける。
【0124】
本実施形態では、上記予め定められた基準を、共通の環境選好傾向に分類された、当該環境選好傾向の数が多い組織改編策定用執務者同士ほど同一の部署となるように振り分ける基準とすることで、組織の改編案を策定する。
【0125】
即ち、組織を活性化するためには、業務に取り組む姿勢や、業務に対する考え方等が類似する執務者同士を同一部署とする形態(以下、「第1組織形態」という。)の方が好ましい場合がある。一方で、これとは逆に、業務に取り組む姿勢や、業務に対する考え方等が異なる執務者同士を同一部署とする形態(以下、「第2組織形態」という。)の方が、組織を活性化するためには好ましい場合もある。
【0126】
本実施形態では、上記第1組織形態を採用して、類似する執務者同士を同一部署とするように組織の改編案を作成している。従って、組織の改編案の策定方法としては、第1組織形態を採用する形態には限らず、第2組織形態を採用する形態や、これらの2種類の組織形態を双方とも加味して、組織の改編案を策定する形態としてもよい。
【0127】
なお、組織の改編案の策定方法は以上の方法に限らず、従来既知のクラスター分析の手法を適用して組織の改編案を策定する形態としてもよい。
【0128】
ステップ506で、提示部11Dは、ステップ504の処理によって得られた、組織の改編案の策定結果を示す情報を用いて、予め定められたフォーマットとされた組織改編提案画面を表示部15に表示させるように制御する。ステップ508で、提示部11Dは、所定情報が入力されるまで待機する。
【0129】
図16に示すように、本実施形態に係る組織改編提案画面では、策定した組織の改編案の内容を示す情報が模式的に表示される。従って、情報処理装置10の管理者は、当該組織改編提案画面を参照することにより、実際に執務室60を利用する執務者による、執務室60に設けられた座席50に対する選好の傾向が反映された組織の改編案を参考とすることができる。
【0130】
一例として
図16に示す組織改編提案画面が表示されると、情報処理装置10の管理者は、表示内容を確認した後、組織改編提案画面に表示されている終了ボタン15Aを、入力部14を介して指定する。この指定に応じてステップ508が肯定判定となって本組織改編提案処理が終了する。
【0131】
以上説明したように、本実施形態によれば、情報処理装置10が、任意の執務者によって確保される座席が複数設けられた執務室において、複数の執務者が、複数の前記座席のうちの何れかの座席を確保した状態で執務を行っている場合の各執務者の位置を検出する検出部11Aと、検出部11Aによって検出された各執務者の位置を示す位置情報を記憶部13に記録する記録部11Bと、記憶部13に記録された位置情報を用いて、各執務者の属性毎の着座位置の傾向を分析する分析部11Cと、分析部11Cによる分析結果を提示する提示部11Dと、を備えている。従って、執務者の属性毎の着座位置の傾向を、組織の改編や執務室のレイアウトの策定等に反映したり、各執務者に対する指導内容に反映したりすること等ができる結果、組織を効果的に活性化することができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、執務者の属性として、性別、年齢、職種、職位、部署、及び性格を適用している。従って、適用した属性に応じた好適な着座位置の傾向の分析を行うことができる。
【0133】
また、本実施形態によれば、着座位置の傾向の分析結果を用いて、執務者の属性毎の選好を更に分析している。従って、執務者の属性に応じた着座位置に関する選好を把握することができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、上記分析結果を用いて、複数の座席のレイアウトを提案している。従って、より効果的に組織を活性化することができる。
【0135】
更に、本実施形態によれば、上記分析結果を用いて、執務者が属する組織の改編を提案している。従って、より効果的に組織を活性化することができる。
【0136】
なお、上記実施形態では、座席50の確保の検出を、執務者による操作部52に対する操作に基づいて行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、執務者により端末20を用いて所望の座席50の予約が行われたことを検出することで、座席50の確保を検出する形態としてもよい。また、QR(Quick Response)コード(登録商標)の読み取りによる方法、顔認証、指紋認証等の生体認証による方法等を座席50の確保の検出に適用してもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、各執務者が執務室60に来訪したタイミングで、当該執務者が所持する端末20に座席選択画面の表示を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、各執務者が執務室60に来訪する以前に当該執務者が所持する端末20で座席選択画面の表示を行う形態としてもよく、特に表示するタイミングを規定することなく、座席選択画面を常時、各執務者の端末20に表示する形態としてもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、操作部52を座席50に設けた場合について説明したが、これに限定されない。例えば、操作部52を当該座席50の近傍に設ける形態としてもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、各種データベースを情報処理装置10とは別体構成とされた情報蓄積装置30に記録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、情報処理装置10に各種データベースを記録する形態としてもよい。この場合、情報蓄積装置30は不要となる。
【0140】
また、上記実施形態で適用した各種データベースの構成は一例であり、例示したものに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0141】
また、上記実施形態において、例えば、検出部11A、記録部11B、分析部11C、提示部11D、レイアウト提案部11E、及び組織改編提案部11Fの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0142】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0143】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0144】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0145】
10 情報処理装置
11 CPU
11A 検出部
11B 記録部
11C 分析部
11D 提示部
11E レイアウト提案部
11F 組織改編提案部
12 メモリ
13 記憶部
13A 着座記録プログラム
13B 着座傾向分析プログラム
13C レイアウト提案プログラム
13D 組織改編提案プログラム
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
20 端末
21 CPU
21A 制御部
22 メモリ
23 記憶部
24 入力部
25 表示部
26 媒体読み書き装置
27 無線通信部
28 カメラ
29 近距離通信部
30 情報蓄積装置
31 CPU
31A 制御部
32 メモリ
33 記憶部
33A 執務者属性情報データベース
33B 環境状況情報データベース
33C 座席情報データベース
33D 属性別選好情報データベース
34 入力部
35 表示部
36 媒体読み書き装置
37 記録媒体
38 通信I/F部
40 位置特定部
41 スピーカ
45 表示装置
50 座席
50A 椅子
50B 机
52 操作部
54 パーソナルコンピュータ
56 デスクライト
58 デスクファン
60 執務室
62 入退出口
80 ネットワーク
90 情報処理システム
96 記録媒体