IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社牧野フライス製作所の特許一覧

特許7576964マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース
<>
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図1
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図2
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図3
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図4
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図5
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図6
  • 特許-マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】マニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベース
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/50 20220101AFI20241025BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20241025BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241025BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20241025BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
H04L67/50
G06K19/06 112
G06K7/10 464
G06Q10/20
G05B23/02 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020192486
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081136
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】永友 朝史
(72)【発明者】
【氏名】市村 佳代子
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053899(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104063779(CN,A)
【文献】特許第6687801(JP,B1)
【文献】特開2014-089529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00-67/75
G06K 19/06
G06K 7/10
G06Q 10/20
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して閲覧する工作機械の電子マニュアルシステムにおいて、
工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを格納したサーバーと、
前記サーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索用情報と、少なくとも電子マニュアルの系統または版数の情報を含む工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを生成するコード生成部と、
前記コードを表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記コードを読み取り、前記リンク情報を前記サーバーに送信する携帯端末とを具備し、
前記サーバーは、前記携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成することを特徴とした電子マニュアルシステム。
【請求項2】
前記工作機械に関連した検索用情報は、工作機械の機種および号機、版数を含む請求項1に記載の電子マニュアルシステム。
【請求項3】
前記工作機械に関連した検索用情報は、工作機械において不具合を生じた構成部品またはユニットや、点検、交換が必要な構成部品または消耗品に関連した予防保全IDを含む請求項1に記載の電子マニュアルシステム。
【請求項4】
前記工作機械に関連した情報のセキュリティは、認証情報、時限コードを更に含む請求項1に記載の電子マニュアルシステム。
【請求項5】
工作機械の制御装置において、
工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを格納したサーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索情報と、少なくとも電子マニュアルの系統または版数の情報を含む工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを生成するコード生成部と、
携帯端末で読み取り可能に前記コードを表示する表示部とを具備し、
前記表示部に表示された前記コードを携帯端末で読み取り、前記リンク情報を前記サーバーに送信し、前記携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記サーバーが前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成することを特徴とした工作機械の制御装置。
【請求項6】
工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを格納したサーバーにおいて、
工作機械の制御装置の表示部に表示され、前記サーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索情報と、少なくとも電子マニュアルの系統または版数の情報を含む工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを読み取った携帯端末から前記リンク情報を受け取り、
該携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成することを特徴とした電子マニュアルを格納したサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータの必要に応じて工作機械の操作や保守、点検に関連した電子マニュアルを表示するマニュアル表示システム、工作機械の制御装置および該電子マニュアルを格納したサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、仕様や機構、機能、ターゲットグループが多岐に渡りかつ複雑であるため、マニュアルが膨大なものとなる。膨大なマニュアルの中から必要な情報を探し出すためには習熟度が必要であり、マニュアルを所持しながら必要な情報を得ることのできないユーザもいる。また、工作機械は一般的に長期にわたって使用されるものであり、その間、製造者側において部品が改良されたり、消耗品である潤滑油やクーラントも新製品が用いられるようになったりする。
【0003】
特許文献1には、オペレータが工作機械上で検索することによって、或いは、工作機械の状況に応じて工作機械からオペレータに提供される少なくとも1つの項目を選択することによって、それに対応した工作機械の操作や保守、点検に関連した情報を表示する工作機械の電子マニュアルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/047313号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電子マニュアルによれば、オペレータがマニュアル(操作マニュアル、ハードウェアマニュアル、メンテナンスマニュアル等)内を探す作業に習熟していない場合であっても、必要な情報を簡単に探し出すことが可能なり、また、工作機械の状況に応じて工作機械から提供される項目を選択することによって、工作機械の状況に応じた情報を確実にオペレータに提供可能となる。然しながら、工作機械に生じた不具合の解消作業や点検作業を実施すべき工作機械の部位は、電子マニュアルが表示される工作機械の表示装置から離れた場所にあるので、オペレータは、電子マニュアルを見ながら不具合の解消作業や点検作業を行うことができない。
【0006】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、工作機械に生じた不具合の解消作業や点検作業を実施すべき場所で電子マニュアルを見ながら作業を行うことが可能となるマニュアル表示システム、工作機械の制御装置およびマニュアルデータベースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、ネットワークを介して閲覧する工作機械の電子マニュアルシステムにおいて、工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを格納したサーバーと、前記サーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索用情報と、少なくとも電子マニュアルの系統または版数の情報を含む工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを生成するコード生成部と、前記コードを表示する表示部と、前記表示部に表示された前記コードを読み取り、前記リンク情報を前記サーバーに送信する携帯端末とを具備し、前記サーバーは、前記携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成する電子マニュアルシステムが提供される。
【0008】
本発明によれば、更に、工作機械の制御装置において、工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを格納したサーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索情報と、少なくとも電子マニュアルの系統または版数の情報を含む工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを生成するコード生成部と、携帯端末で読み取り可能に前記コードを表示する表示部とを具備し、
前記表示部に表示された前記コードを携帯端末で読み取り、前記リンク情報を前記サーバーに送信し、前記携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記サーバーが前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械または該工作機械の周辺装置のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成する工作機械の制御装置が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、ネットワークを介して閲覧する工作機械または該工作機械の周辺装置の電子マニュアルを格納したサーバーにおいて、工作機械の制御装置の表示部に表示され、前記サーバーにアクセスするためのURLに工作機械に関連した検索情報と工作機械に関連した情報のセキュリティとを付加したリンク情報を表すコードを読み取った携帯端末から前記リンク情報を受け取り、該携帯端末から受け取ったリンク情報に基づき、前記携帯端末により閲覧可能に、かつ前記電子マニュアルの系統または版数の情報に対応して記憶された前記工作機械を設置した地域の規制に抵触しない内容で前記工作機械のための電子マニュアルを掲載したウェブページを生成する電子マニュアルを格納したサーバーが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末で工作機械の電子マニュアルを格納したサーバーにアクセスして、携帯端末上に工作機械のマニュアルを表示するようにしたので、オペレータは、工作機械に生じた不具合の解消作業や点検作業を実施すべき場所で電子マニュアルを見ながら作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による工作機械の側面図である。
図2】インターネット経由でサーバーに接続した電子マニュアルを示すブロック図である。
図3】本発明の好ましい実施形態による制御装置を示すブロック図である。
図4】本発明の好ましい実施形態による電子マニュアルを格納したサーバーを示すブロック図である。
図5】表示部に表示されるアラームウィンドウの一例を示す図である。
図6】表示部に表示される定期点検ウィンドウの一例を示す図である。
図7】2次元コードと共に示す図5の定期点検ウィンドウの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1を参照すると、本発明を適用する工作機械の一例が示されている。図1において、本発明の好ましい実施の形態による工作機械100は、回転工具とワークとを相対移動させて該ワークを加工するマシニングセンタ、特に立形マシニングセンタである。工作機械100は、回転するワークと工具とを相対移動させて該ワークを加工する旋盤、電極とワークとの間に加工電圧を印加しつつ、電極とワークとを相対移動させて該ワークを加工する放電加工機、或いは、レーザヘッドからワークに対してレーザ光を照射しつつ、レーザヘッドとワークとを相対移動させて該ワークを加工するレーザ加工機であってもよい。また、本発明は、1台の工作機械だけで適用するだけなく、ワーク搬送ロボットや工程管理を行うコンピュータなどの周辺装置を複数の工作機械と組み合わせた加工システムに適用してもよい。
【0013】
本実施形態では、工作機械100は、制御装置130によって制御され、工場の床面に固定された基台としてのベッド102、ベッド102の前方部分(図1では左側)の上面で前後方向またはY軸方向(図1では左右方向)に移動可能に設けられワークWが固定されるテーブル106、ベッド102の後端側(図1では右側)で同ベッド102の上面に立設、固定されたコラム104、該コラム104の前面で左右方向またはX軸方向(図1では紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられたX軸スライダ108、X軸スライダ108の前面で上下方向またはZ軸方向に移動可能に取り付けられ主軸112を回転可能に支持する主軸頭110を具備している。主軸112の先端には、テーブル106に固定されたワークWを加工する工具114が装着される。工作機械100は、X軸スライダ108、テーブル106および主軸頭110をX軸、Y軸、Z軸方向に駆動する送り軸装置を備えている。
【0014】
工作機械100は、また、オペレータが工作機械100を操作するための種々のスイッチ類(図示せず)を備えた操作盤120を備えている。操作盤120は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネル122を表示部として有している。操作盤120には制御装置130が組み込まれている。また、図2に示すように、制御装置130は、HTMファイル等から成る電子マニュアルを格納したサーバー150に工場等の構内ネットワーク(LAN)またはインターネットのような通信ネットワーク140経由で接続される。
【0015】
図3を参照すると、制御装置130は、アラーム生成部131、コード生成部132、認証処理部133、記憶部134、計時部135および入出力ポート136を含む。制御装置130は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。
【0016】
入出力ポート136は、USB(Universal Serial Bus)ポート、有線または無線LAN(Local Area Network)ポート、シリアルまたはパラレルポート等を含むことができる。操作盤120のタッチパネル122およびスイッチ類は入出力ポート136に接続されている。
【0017】
制御装置130は、工作機械100の機械制御装置の一部としてソフトウェア的に構成することができる。機械制御装置は、工作機械100がマシニングセンタの場合には、工具マガジン(図示せず)や自動工具交換装置(図示せず)のような周辺機器を制御し、旋盤の場合には、ワーク(棒材)供給装置のような周辺機器を制御し、放電加工機の場合には、電極マガジン(図示せず)や電極交換装置(図示せず)のような周辺機器を制御し、レーザ加工機の場合には、レーザ加工機に供給する純粋を生成する純水装置(図示せず)や高圧ポンプ(図示せず)のような周辺機器を制御する。制御装置130は、工作機械100の送り軸装置の駆動モータ(図示せず)および主軸112の駆動モータ(図示せず)を制御するNC装置(図示せず)を含んでいてもよい。
【0018】
制御装置130は、時計機能を実装した集積回路より成るRTC(Real-Time-Clock、図示せず)を計時部135として含んでいてもよい。計時部135は、通信ネットワーク140を介してNPT(Network Time Protocol)サーバーに接続して協定世界時を受け取るようにしてもよい。
【0019】
記憶部134は、メンテナンス記憶部134aおよびコード記憶部134bを含む。メンテナンス記憶部134aは、工作機械100のメンテナンスに関連した情報、例えば、工作機械100で用いる全ての消耗品、各消耗品の点検、交換日時および使用可能時間を記憶している。メンテナンスに関連した情報は、工作機械100のメンテナンスに際して、メンテナンスを行った作業者によって入力するようにできる。
【0020】
コード記憶部134bは、後述するコード、特に2次元コードを生成するために必要な情報を格納している。コードを生成するために必要な情報は、通信ネットワーク140を介してサーバー150へアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)に加えて、引数を含む。引数としては、オペレータが必要とする情報に的確にたどり着くための情報である検索用情報として、工作機械100の機種および号機、操作盤120のタッチパネル122に表示する言語に関する情報を含む。更に、引数としては、工作機械メーカが安全にオペレータに情報を提供するためのセキュリティとして、認証文字列、工作機械100のマニュアルの系統、版数(バージョン)、引数のバージョン情報を含む。例えば、工作機械のうち高精度な機種や5軸制御を行う機種は、輸出規制の法律の制限を受ける商品であり、その工作機械のマニュアルも輸出規制を受けるため、輸出規制上問題のある地域に設置された工作機械には、系統、版数の引数により、規制に抵触しない安全なマニュアルを提供することができる。
【0021】
また、工作機械100の各部に不具合が生じた場合や、特定の構成部品または消耗品につき、交換予定日または点検予定日が近づいている場合には、コードは、工作機械100において不具合を生じた構成部品またはユニットや、当該構成部品または消耗品に関連した予防保全IDを含んでいてもよい。予防保全IDもコード記憶部134bに格納しておくことができる。予防保全IDは、オペレータが必要とする情報に的確にたどり着くための情報であるので検索用情報である。
【0022】
図4を参照すると、電子マニュアルを格納したサーバー150は、リンク情報読取解釈部151、ウェブページ生成部152、認証処理部153、計時部155、記憶部154を含む。サーバー150は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。入出力ポート156は、USB(Universal Serial Bus)ポート、有線または無線LAN(Local Area Network)ポート、シリアルまたはパラレルポート等を含むことができる。
【0023】
リンク情報読取解釈部151は、携帯端末124から送信されたリンク情報を読み取り解釈する。読み取り解釈されたリンク情報(引数)に含まれている認証情報に基づき、認証処理部153は、認証情報記憶部154bを参照しつつ、アクセスしてきた携帯端末124の認証を行い、不正なアクセスを排除する。リンク情報は暗号化されており、リンク情報の解読・改ざんによる不正なアクセスを排除する。また、例えば、リンク情報が、セキュリティとしてオペレータの権限に対する制限を含んでいる場合には、要求される電子マニュアルの一部を表示しないようにできる。権限を制限することで、権限のない操作をオペレータが行うことを抑止できる。
【0024】
ウェブページ生成部152は、読み取り解釈されたリンク情報に基づいて、電子マニュアルを表示するウェブページを生成する。上述のように、生成されたコードに示されるリンク情報は、検索用情報の工作機械100の機種、号機およびタッチパネル122に表示する言語に関する情報を含んでおり、セキュリティとして、工作機械100のマニュアルの系統、版数(バージョン)の情報を含んでいる。ウェブページ生成部152は、これらの情報に基づき、マニュアル記憶部154aに格納されている電子マニュアルの該当ページを表示するウェブページを生成する。特に、リンク情報が予防保全IDを含んでいる場合には、当該構成部品または消耗品のメンテナンスや交換、補充に関連したページを表示するウェブページが生成される。
【0025】
計時部155は、リンク情報を含むコードが生成された時刻(時限コード)から所定の時間が経過したときに、ウェブページ生成部152に向けて生成したウェブページを閉じるよう指示するようにできる。こうして、制御装置130のコード生成部132が生成したコードの有効期限が予め設定されるようにできる。表示されたリンク情報を含むコードを取得できるのは、通常は工作機械のユーザであるが、一時的にコードをカメラ等で撮影し記録した第三者が、撮影した過去に生成されたコードの画像を用いてサーバー150にある電子マニュアルを閲覧することを試みようとした場合に、有効期限を設けることで閲覧を防ぐことができる。 時限コードは、閲覧の有効期間を設定できるものであればよく、コードを生成された時刻以外にも、閲覧不可にする時刻をコードに含めてもよい。
【0026】
以下、本実施形態の作用を説明する。
図5図12において、操作盤120のタッチパネル122には、工作機械100に関する情報を表示するメインウィンドウ10が表示される。メインウィンドウ10は、後述するアラームウィンドウ20、定期点検ウィンドウ30、検索ウィンドウ50などを表示する領域18と、決定ボタン12、コード生成ボタン14および検索ボタン16を含んでいる。
【0027】
工作機械100の制御装置130のアラーム生成部131は、工作機械100に電源が投入されている間、常に工作機械100の各部を監視しており、工作機械100の各部に不具合が生じた場合に、アラームを発する。なお、工作機械100の各部を監視するセンサのような監視装置(図示せず)は、入出力ポート136に接続することができる。特に、本実施形態では、図5に示すように、タッチパネル122内のメインウィンドウ10内にアラームウィンドウ20が表示され、工作機械100に不具合が生じたことをオペレータに知らせるようになっている。
【0028】
図5を参照すると、アラームウィンドウ20は、このウィンドウがアラームウィンドウであることを表示する領域22と、アラームコードを表示する領域24と、不具合項目を表示する領域26とを含んでいる。表1に不具合項目の一例をアラームコードと共に示す。図5では、不具合項目は1つだけ表示されているが、複数の不具合項目を表示することもできる。
【表1】
【0029】
また、図6は、オペレータに定期点検を促すために、アラーム生成部131からオペレータに向けて発せられるメッセージとして操作盤120のタッチパネル122に表示される定期点検ウィンドウを示している。定期点検は、6カ月点検、1年点検、2年点検のように機械の稼働時間に関係なく実施される項目と、160時間点検、500時間点検、1000時間点検など機械の稼働時間によって実施されるものがある。表2に定期点検の一例を示す。
【表2】
【0030】
制御装置130の計時部135は、各点検項目に関連して、稼働時間に無関係に実施される項目については、前回点検または点検に伴う保守作業を行ってからの経過時間を単純にカウントし、機械の稼働時間によって実施される項目については機械の稼働時間を考慮して経過時間をカウントする。カウントした経過時間が、各点検項目に規定されている値になると、制御装置130のアラーム生成部131は、操作盤120のタッチパネル122に定期点検ウィンドウ30を表示する。定期点検ウィンドウ30は、このウィンドウが定期点検ウィンドウであることを表示する領域32と、点検項目34~38を表示する領域とを含んでいる。
【0031】
アラームウィンドウ20または定期点検ウィンドウ30が開いたとき、オペレータが不具合項目26または点検項目34~38から1つの項目または複数の項目をアクティブにした状態で決定ボタン12をタップして選択し、コード生成ボタン14をタップすると、図7に示すように、コード生成部132により生成されたコード、特に2次元コード40がタッチパネル122に表示される。
【0032】
このとき、コード生成部132は、計時部135から現在時刻を受け取り、コードを生成した時刻を引数(時限コード)としてリンク情報に加入する。計時部135は、通信ネットワーク140を介してNPTサーバーから協定世界時を受け取り、これを現在時刻としてコード生成部132に出力するようにしてもよい。
【0033】
このコード40を携帯端末124で読み込むことによって、上述のように、通信ネットワーク140経由でサーバー150にアクセスして、該携帯端末124上に電子マニュアルを表示させることができる。コード40は、電子マニュアルを格納したサーバーへ該携帯端末でアクセスするために必要なURLや認証情報、工作機械100の機種、号機、工作機械100のマニュアルの系統、版数(バージョン)に加えて、上記不具合項目、定期点検項目を示す予防保全ID含むことができる。なお、該携帯端末124は工作機械100の製造者が提供する特別な機器ではなく、市販されているスマートフォンやタブレット、ラップトップパソコンとしてもよい。
【0034】
このように、工作機械100の各部に不具合が生じた場合や、前回の定期点検から経過時間が各点検項目に規定されている値になったときに、操作盤120のタッチパネル122にアラームウィンドウ20または定期点検ウィンドウ30を表示することによって、工作機械100からオペレータに不具合の解消作業や定期点検を促すことができる。
【0035】
タッチパネル122にアラームウィンドウ20または定期点検ウィンドウ30が表示されたとき、アラームウィンドウ20や定期点検ウィンドウ30のコード生成ボタン14をタップしてコードを生成し、これを携帯端末124で読み取ることによってサーバー150にアクセスし、不具合の解消作業や点検作業を実施すべき工作機械100の部位へのアクセス方法や、消耗品の交換、補充方法といった作業に関連したマニュアルを簡単に携帯端末124上に表示することができ、オペレータは、タッチパネル122から離れた場所でマニュアルを見ながら作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
10 メインウィンドウ
12 決定ボタン
14 コード生成ボタン
16 検索ボタン
20 アラームウィンドウ
30 定期点検ウィンドウ
100 工作機械
120 操作盤
122 タッチパネル
124 携帯端末
130 制御装置
130 制御装置
131 アラーム生成部
132 コード生成部
133 認証処理部
134 記憶部
134a メンテナンス記憶部
134b コード記憶部
135 計時部
136 入出力ポート
140 インターネット
150 サーバー
151 リンク情報読取解釈部
152 ウェブページ生成部
153 認証処理部
154 記憶部
154a マニュアル記憶部
154b 認証情報記憶部
155 計時部
156 入出力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7