(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
B60R 19/38 20060101AFI20241025BHJP
B60P 1/30 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
B60R19/38 D
B60R19/38 B
B60P1/30 Z
(21)【出願番号】P 2021045076
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 真
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176432(JP,A)
【文献】実開平06-069021(JP,U)
【文献】実開昭58-178047(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00-19/56
B60P 1/00- 1/64
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部と、リフトフレームと、当該リフトフレームの角度を変化させる傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能な荷役車両において、
バンパー装置を有し、
当該バンパー装置は、前記車両部に直接的又は間接的に固定された固定部と、当該固定部に支持されていて前記車両部の前後方向に移動可能なバンパー本体とを有し、
前記バンパー装置の前記固定部以外の部位
であって、前記固定部より前記車両部の後方の部位に設けられた係合部と、前記車両部に直接的又は間接的に支持された被係合部を有し、
前記被係合部は、前記バンパー本体を後方側に移動させた際に前記係合部と係合可能な位置にあり、
前記バンパー本体を後方側に移動させた状態で、前記係合部を前記被係合部と係合させることによって、バンパー装置の一部を支持することが可能であ
り、さらに、
前記バンパー本体は、後方側に移動させた状態においては、少なくとも前記車両部に対して前後方向の移動が規制され、さらに前記係合部を前記被係合部と係合させることによって前記バンパー本体の近傍が前記車両部で支持され、前記バンパー本体の垂直荷重が、少なくとも前記固定部と、前記係合部の二か所で支持されることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
車両部と、リフトフレームと、当該リフトフレームの角度を変化させる傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能な荷役車両において、
バンパー装置を有し、
当該バンパー装置は、前記車両部に直接的又は間接的に固定された固定部と、当該固定部に支持されていて前記車両部の前後方向に移動可能なバンパー本体とを有し、
前記バンパー装置の前記固定部以外の部位に設けられた係合部と、前記車両部に直接的又は間接的に支持された被係合部を有し、
前記被係合部は、前記バンパー本体を後方側に移動させた際に前記係合部と係合可能な位置にあり、
前記バンパー本体を後方側に移動させた状態で、前記係合部を前記被係合部と係合させることによって、バンパー装置の一部を支持することが可能であ
り、さらに、
前記係合部と、前記被係合部は、特定の係脱方向に相対移動することによって係合・離脱させることができるものであり、前記係脱方向と、前記バンパー本体の移動方向が略一致することを特徴とする荷役車両。
【請求項3】
前記バンパー装置は、動力によっての車両の前後方向に直線的に移動するものであり、前記バンパー本体を後方に移動させることによって前記係合部が前記被係合部と係合し、前記
バンパー本体を前方に移動させることによって、前記係合部と前記被係合部の係合が解除されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運搬車の様に、荷台部を地上に降ろすことができる荷役車両に関するものであり、特に可動式のバンパーを備えた荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボディ積み降ろし車両が開示されている。特許文献1に開示されたボディ積み降ろし車両は、車両運搬車であり、乗用車や土木機械等の車両を運搬する際に使用されるものである。特許文献1に記載の車両運搬車は、リフトフレームとスライド可能なスライドボディが搭載されている。そして特許文献1に開示された車両では、リフトフレームを傾斜させ、スライドボディ(荷台)を下方にスライドさせてボディを地上に降下させることができる。
【0003】
荷役車両には、後部バンパーの装着が義務づけられている。歩行者や他の車両が衝突した際の安全を確保するため、後部バンパーは、車両本体からある程度後方に突出していなければならない。
ところで前記した車両運搬車等は、機能上、荷台部分の姿勢を後方に傾斜させたり、荷台部分を後方から地上に降下させたりするものであり、後部バンパーは車両の後方に突き出した状態で取り付けられているから、荷台を傾斜させる等の際に後部バンパーが邪魔になる。
そこで積み下ろし等の作業を行う際に、後部バンパーを退避させる構造が提案されている(特許文献2)。
【0004】
特許文献2に開示されたバンパー装置は、平行に配置されたガイド筒と、平行に配された支持杆を有し、当該支持杆にバンパーが取り付けられている。またガイド筒に支持杆が挿入されている。バンパー装置では、バンパーにシリンダが取り付けられており、シリンダを伸縮することにより、支持杆がガイド筒に案内されてガイド筒から出没し、パンパーが、車両部の前後方向に移動する。
【0005】
特許文献2に開示されたバンパー装置は、2本のガイド筒及びガイド筒内の支持杆を貫通する貫通ロック孔がある。
特許文献2に開示されたバンパー装置では、バンパーが車両の後方に張り出した状態で、貫通ロック孔にロック部材を挿通し、バンパーの移動を阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-108768号公報
【文献】特許第4633917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示された構造によると、バンパーの水平且つ前後方向の強度を確保することができる。
しかしながら、特許文献2に開示された構造では、バンパーの天地方向の強度を確保することは困難である。
即ち特許文献2に開示された構造は、バンパーが、支持杆およびガイド筒によって、片持ち状に支持されており、バンパーの自重によって、支持杆等が撓む懸念がある。
またバンパーが片持ち状に支持されているので、走行中に振動する懸念がある。
要するに、従来技術のバンパーは、水平方向の強度を確保する工夫がなされているけれども、鉛直方向の荷重に対する対処がなされていない。
本発明は、従来技術の上記した問題に注目し、撓みにくい構造のバンパーを備えた荷役車両を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、車両部と、リフトフレームと、当該リフトフレームの角度を変化させる傾斜手段と、前記リフトフレームに沿って直線移動するスライドボディとを有し、前記スライドボディの少なくとも一部を地面に着地させることが可能な荷役車両において、バンパー装置を有し、当該バンパー装置は、前記車両部に直接的又は間接的に固定された固定部と、当該固定部に支持されていて前記車両部の前後方向に移動可能なバンパー本体とを有し、前記バンパー装置の前記固定部以外の部位に設けられた係合部と、前記車両部に直接的又は間接的に支持された被係合部を有し、前記被係合部は、前記バンパー本体を後方側に移動させた際に前記係合部と係合可能な位置にあり、前記バンパー本体を後方側に移動させた状態で、前記係合部を前記被係合部と係合させることによって、バンパー装置の一部を支持することが可能であることを特徴とする荷役車両である。
【0009】
リフトフレームを傾斜させる工程と、スライドボディを直線移動させる工程を有することが望ましい。これの工程は、いずれが先でもよく、同時でもよい。
本態様の荷役車両によると、バンパー本体を後方側に移動させた状態で、係合部を被係合部と係合させることによって、バンパー装置の一部を支持することが可能である。本態様の荷役車両では、係合部を被係合部と係合させることによって、バンパー装置は、固定部と係合部の2か所で車両部側に支持される。
その結果、バンパーは、両支持状態となり、垂直方向の荷重に抗することができる。
【0010】
上記した態様において、前記バンパー本体は、後方側に移動させた状態においては、少なくとも前記車両部に対して前後方向の移動が規制され、さらに前記係合部を前記被係合部と係合させることによって前記バンパー本体の近傍が前記車両部で支持され、前記バンパー本体の垂直荷重が、少なくとも前記固定部と、前記係合部の二か所で支持されることが望ましい。
【0011】
本態様による、バンパー本体は、すくなくとも車両部の前後方向と、垂直方向の二方向で固定される。そのため本態様によると、走行時におけるバンパー本体の姿勢が安定する。
【0012】
上記した態様において、前記係合部と、前記被係合部は、特定の係脱方向に相対移動することによって係合・離脱させることができるものであり、前記係脱方向と、前記バンパー本体の移動方向が略一致することが望ましい。
【0013】
本態様によると、係合部と被係合部の係合及び離脱が容易である。
【0014】
上記した各態様において、前記バンパー装置は、動力によっての車両の前後方向に直線的に移動するものであり、前記バンパー本体を後方に移動させることによって前記係合部が前記被係合部と係合し、前記パンパー本体を前方に移動させることによって、前記係合部と前記被係合部の係合が解除されることが望ましい。
【0015】
本態様によると、人力によらずに、バンパー本体の移動と、係合部と被係合部の係合・離脱を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の荷役車両の側面図である。
【
図2】
図1の荷役車両におけるバンパー装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示す荷役車両であり、(a)(b)(c)(d)は、積み込み動作における各部の動作を示す側面図である。
【
図4】
図1に示す荷役車両であり、(e)(f)(g)は、積み込み動作における
図3に続く各部の動作を示す側面図である。
【
図5】バンパー装置の動作を示す説明図であり、(a)は
図4(f)のバンパー装置近傍を示し、(b)は
図4(g)のバンパー装置近傍を示す。
【
図6】(a)(b)は、本発明の他の実施形態のバンパー装置の動作を示す説明図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態のバンパー装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下の説明において、前後の関係は、荷役車両1の前後を基準とする。即ち前側とは、運転席100側を意味し、後側はその反対側を意味する。
本実施形態の荷役車両1は、ボディ積み車両と称されるものである。本実施形態の荷役車両1は、具体的には車両運搬車であり、車両部5上にあったスライドボディ32を地上に降ろして自動車等を載せ、この状態でスライドボディ32を車両部5上に引き上げて搬送するものである。
荷役車両1は、
図1の様に、車両部5と積載装置18を有している。積載装置18は、積み降ろし装置26を有している。積み降ろし装置26は、大きく分けてリフトフレーム30と、チルト機構(傾斜手段)31及びスライドボディ32によって構成されている。積み降ろし装置26は、図示しないスライド機構を有している。
【0018】
また積載装置18には、制御装置6と、油圧装置7及びバンパー装置50が含まれている。
車両部5は、公知のトラックの車体であり、エンジンを有し、車輪を回転させて道路上を走行するものである。
リフトフレーム30は、平行に配された二本のバーを有している。二本のバーは、車両部5の長手方向に沿う方向にのびている。二本のバーは、チルト機構(傾斜手段)31を跨ぐ様に配置されている。
リフトフレーム30は、車両部5のサブフレーム33に設置されており、車両部5の後端側に設けられたピン(図示せず)を中心として揺動する。即ち
図1、
図3の様に傾斜姿勢をとることができる。
また図示しない油圧シリンダの作用によって、リフトフレーム30自体が車両部5に対して前後方向に相対的に移動する。
【0019】
チルト機構(傾斜手段)31は、油圧シリンダ35及びリンク機構36によって構成され、前記したリフトフレーム30を後方側が下となる傾斜姿勢にするためのものである。チルト機構31は、リフトフレーム30の角度を変化させる傾斜動作を実施する傾斜手段であり、リフトフレーム30の二本のバーに接続されている。
【0020】
スライドボディ32は、前記したリフトフレーム30に対しスライド機構を介してスライド可能に取り付けられており、図示しないチェーン等が懸架されていてリフトフレーム30に沿って直線移動する。
リフトフレーム32は、前記した様に、図示しない油圧シリンダの作用によって、リフトフレーム30自体が車両部5に対して前後方向に相対的に移動する。
スライドボディ32は、リフトフレーム30に搭載されており、リフトフレーム30の前後方向の移動に伴って、車両部5に対して前後方向に移動する。
スライドボディ32は、チルト機構31がリフトフレーム30を傾斜することでも、車両部5に対して前後方向に相対的に移動する。
またリフトフレーム30を水平姿勢に維持したままの状態でスライド機構を駆動し、スライドボディ32を車両部5に対して前後方向に相対的に移動させる機種もある。
スライドボディ32の後端には踏み板37が設けられている。
踏み板37はスライドボディ32の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能である。
【0021】
バンパー装置50は、
図2の様に、バンパー本体10と、固定部51と、伸縮部52を有している。
バンパー本体10は、車両部5の幅方向にのびるバー状や板状の部材である。バンパー本体10は、公知のそれと同様、衝突に対する衝撃を緩和したり、他の車両が車両部5の下に潜り込んだりすることを防ぐものである。
【0022】
固定部51は、車両部5に取り付けられ、車両部5の幅方向に延びるバー状の部材である。
伸縮部52は、一対のガイド部材55、56と、油圧シリンダ53によって構成されている。
ガイド部材55、56は、それぞれ直線ガイド57と、ガイド棒58が組み合わされたものである。直線ガイド57は、貫通孔を有し、当該貫通孔に図示しないスリーブが装着されたものである。ガイド棒58は、直線ガイド57の貫通孔に挿入されている。
【0023】
ガイド部材55、56は、間隔をあけて平行に配され、固定部51と、バンパー本体10とを繋いでいる。
即ち、直線ガイド57は、いずれも固定部51に取り付けられている。そしてガイド棒58の先端に、バンパー本体10が取り付けられている。
そして、ガイド部材55、56の間に、油圧シリンダ53が配されている。油圧シリンダ53のシリンダ側は、固定部51に固定されている。油圧シリンダ53のロッドは、バンパー本体10に接続されている。
従って、油圧シリンダ53を伸縮することにより、バンパー本体10が直線的に移動する。
本実施形態では、バンパー本体10の上部にフック(係合部)65が取り付けられている。
【0024】
バンパー装置50は、車両部5の後端近傍であって、当該車両部5のシャシフレームの底面側に取り付けられている。
詳細には、バンパー装置50の固定部51が、車両部5のシャシフレームに直接的に固定されている。
【0025】
また本実施形態では、リフトフレーム30の後端近傍であって、当該リフトフレーム30の底面に、被係合部60が設けられている。リフトフレーム30は、車両部5に取り付けられているので、被係合部60は、リフトフレーム30を介して間接的に車両部5に固定されている。前記した様に、チルト機構(傾斜手段)31を跨ぐ位置に、リフトフレーム30の二本のバーがあり、当該二本のバーに被係合部60が設けられている。
【0026】
被係合部60は、水平に配されたピン61を有する部材である。即ち、被係合部60は、一対の垂下部材62によってピン61が中空に支持されたものである。一対の垂下部材62とピン61によって囲まれた空間が、フック挿入部63となる。
フック挿入部63は、車両部5の前後方向に開口している。
【0027】
前記したバンパー本体10に設けられたフック(係合部)65は、フック挿入部63と対向する位置にある。
即ち、フック(係合部)65の高さは、フック挿入部63と同じ高さである。
フック(係合部)65の水平方向の位置は、フック挿入部63の中心を通る軸線上にある。フック(係合部)65の先端66は、被係合部60側に向いている。
【0028】
フック(係合部)65と被係合部60は、フック(係合部)65の先端66を、被係合部60のフック挿入部63側に向けた姿勢とし、フック(係合部)65を被係合部60に向かって直線的に移動することにより係合させることができるものである。また、フック(係合部)65を逆方向に直線移動させることによって、フック(係合部)65と被係合部60の係合が解除される。
本実施形態では、フック(係合部)65は、先端66が、被係合部60のフック挿入部63側に向いた姿勢に固定されている。またバンパー本体10の移動方向は、フック(係合部)65を係脱させる方向と一致する。
【0029】
バンパー装置50の油圧シリンダ53は、図示しない電磁弁を介して油圧装置7に接続されている。
油圧シリンダ53は、電磁弁を切り替えることにより、伸長、収縮、停止状態となる。
即ち油圧シリンダ53の基端側に作動油を供給し、ロッド側から作動油を排出すると、油圧シリンダ53が伸長する。逆に油圧シリンダ53のロッド側から作動油を供給し、基端側から作動油を排出すると、油圧シリンダ53が収縮する。電磁弁を切り替えて、油圧シリンダ53の基端側及びロッド側からの作動油の出入りを阻止すると、油圧シリンダ53は停止して固定状態となる。
【0030】
バンパー装置50は、油圧シリンダ53を伸縮することにより、バンパー本体10を走行時に適した走行時位置と、車両部5側に退避した格納位置に位置変更することが可能である。
本実施形態では油圧シリンダ53を伸ばして、バンパー本体10を後方に張り出した位置が走行時位置であり、油圧シリンダ53を縮めてバンパー本体10を前方に配置した位置が格納位置である。
バンパー本体10が走行時位置に達すると、電磁弁が買切り替えられ、油圧シリンダ53の基端側及びロッド側からの作動油の出入りを阻止され、油圧シリンダ53は停止して固定状態となる。
【0031】
また本実施形態では、被係合部60は、バンパー本体10を後方側に移動させて、走行時位置に到達した際にバンパー本体10側のフック(係合部)65と係合可能な位置にある。
バンパー本体10が格納位置にあるときは、フック(係合部)65と被係合部60とが離れており、両者を係合させることはできない。
【0032】
次に、スライドボディ32を積み込む際の積み降ろし装置26等の動作について説明する。
積み込み動作は、次の工程を順次実行することにより行われる。なおバンパー本体10は、
図3の様に前方に移動しており、格納位置にある。
(1)第一傾斜戻し工程(最初の傾斜動作)
(2)スライドボディ上昇工程
(3)第二傾斜戻し工程
(4)リフトフレーム前進工程
またその後に、バンパー本体10を後方に移動させて、バンパー本体10を走行時位置に至らせる。
【0033】
(1)第一傾斜戻し工程
第一傾斜工程は、積み込み動作における最初の傾斜動作である。第一傾斜戻し工程は、
図3(a)の様なスライドボディ32の底面全体を地上に着地した状態から、
図3(b)の様に、リフトフレーム30の傾斜角度を低下させ、リフトフレーム30の後端を地面から離す工程である。
【0034】
(2)スライドボディ上昇工程
スライドボディ上昇工程は、
図3(c)の様に、スライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両前方側に移動させ、
図3(d)の様に、スライドボディ32の全部をリフトフレーム30に載せる工程である。
【0035】
(3)第二傾斜戻し工程
第二傾斜戻し工程は、
図4(e)の様に、リフトフレーム30の角度をさらに低下させて水平姿勢に復帰させる工程である。
【0036】
(4)リフトフレーム前進工程
リフトフレーム前進工程は、リフトフレーム30を前進させ、
図4(f)の様に、リフトフレーム30を初期位置に戻す工程である。
【0037】
その後、
図4(g)の様に、バンパー本体10を後方に移動させる。
バンパー装置50の動きに注目すると、移動前のバンパー本体10は、
図5(a)の様に、前端側にあり、バンパー本体10のフック(係合部)65は、車両部5側の被係合部60から離れている。
ただし、フック(係合部)65の先端66は、被係合部60側に向いている。
【0038】
油圧シリンダ53を延ばすと、バンパー本体10は、後方に移動し、フック(係合部)65が被係合部60に近づいていく。そして、
図5(b)の様に、バンパー本体10のフック(係合部)65が、車両部5側の被係合部60と係合する。
即ち、バンパー本体10が、油圧シリンダ53によって、水平且つ直線的に移動することにより、バンパー本体10のフック(係合部)65が、車両部5側の被係合部60と係合する。
【0039】
前記した様にバンパー本体10が走行時位置に達すると、電磁弁が買切り替えられ、油圧シリンダ53は固定状態となる。即ち油圧シリンダ53は、伸縮することができない状態となり、引っ張り荷重と圧縮荷重に抗する状態となる。
【0040】
ここで、バンパー装置50の固定部51は、車両部5のシャシフレームに直接的に固定されており、且つ油圧シリンダ53は固定状態であって、引っ張り荷重と圧縮荷重に抗する状態となっているから、バンパー本体10は、車両部5の軸方向に固定された状態となっている。
またバンパー本体10と伸縮部52は、固定部51と、フック(係合部)65の2か所で、車両部5に支持されている。そのためバンパー本体10は、車両部5に対して前後方向の移動が規制され、さらにフック(係合部)65が、車両部5側の被係合部60と係合しているので、バンパー本体10の近傍が車両部5に支持されている。そのためバンパー本体10の垂直荷重が、固定部51、フック(係合部)65の二か所で支持されている。即ちバンパー本体10は、水平方向と、垂直方向の二方向に固定させた状態となっている。
バンパー本体10は、固定部51から延びた伸縮部52、油圧シリンダ53でバンパー本体10を固定するため、水平方向と、車両部5のボディから下方に延びるピン61と係合するフック(係合部)65を固定する垂直方向の2方向からバンパー本体10を支持する。
【0041】
この状態で、荷役車両1が走行する。本実施形態では、バンパー本体10は、固定部51と、フック(係合部)65の2か所で、車両部5に支持されているから、あたかも両端支持梁の様な支持構造となっている。
そのため、従来の様な片持ち支持状態に比べて格段に支持強度が高く、自重による撓みが小さい。
また走行時の振動に基づく、バンパー本体10の揺れも小さい。
【0042】
荷役車両1から積載物を降ろす際の工程は、前記した工程と概ね逆であり、最初に、バンパー本体10を格納位置へ退避させる。
具体的には、油圧シリンダ53を収縮させ、バンパー本体10を前方に移動する。その結果、フック(係合部)65が被係合部60から離れ、係合が解除される。
その後、リフトフレーム30を後退させ、当該リフトフレーム30と共に、スライドボディを前進させる。そしてリフトフレーム30を傾斜させる。さらにスライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両後方側に移動させ、スライドボディ32を地上に降ろす。
【0043】
以上説明した一連の積み込み動作及び一連の降ろし動作は、自動的に実施される様な制御を採用することが望ましい。例えば、特定の積み込みスイッチを操作することにより、前記した一連の積み込み動作が実施され、さらにバンパー本体10を移動させる動作が自動的に実施されることが望ましい。
また積載装置18を個別に動作させるスイッチや、バンパー装置50を個別に動作させるスイッチを設け、作業者が所定の手順に則ってスイッチを操作し、積み降ろしやバンパー本体10の移動を行ってもよい。
【0044】
以上説明した実施形態では、バンパー本体10に係合部を設けたが、係合部の取付位置は任意であり、固定部51以外であればよい。
以上説明した実施形態では、バンパー本体10に設けた係合部の例としてフック(係合部)65をあげ、被係合部の例としてピン61をあげたが、両者は逆であってもよい。即ち、バンパー本体10側にピンがあり、車両部5側にフック(係合部)65があってもよい。
係合部と被係合部は、両者が係合できるものであれば形状にこだわるものではなく、Uボルトやアイボルトを使用することもできる。
被係合部60は、車両部5に直接的に取り付けられていてもよい。
【0045】
以上説明した実施形態では、係合部及び被係合部は、いずれも一体的に他の部材に固定されていたが、何らかの自由度をもつものであってもよい。
図6に示す係合部70は、ピン71を介して取り付けられており、ピン71を介して揺動する。
本実施形態の係合部を採用する場合には、被係合部72と係合させる際や、係合を解除する際に、人力による補助が必要である。
【0046】
また
図7に示すように、孔75を有する係合部と、孔76を有する被係合部を採用し、両者を重ねた状態で、孔75、76にピン77を挿通してもよい。
図7に示す実施は形態では、ピン77を直線移動させるシリンダ78があり、当該シリンダ78によって、孔75、76にピン77を出し入れする。
【0047】
以上説明した実施形態では、バンパー本体10を油圧シリンダ53等の動力で駆動させたが、バンパー本体10は、人力で動かすものであってもよい。
【0048】
バンパー本体10を移動させる機構は限定するものではなく、リンク機構を採用したものや、モータによってバンパー本体10を移動させるものであってもよい。
また単にバンパー本体10を水平方向に移動するだけでなく、高さ方向にも変位させることができるものであってもよい。
【0049】
以上説明した荷役車両1は、スライドボディ32を地面に完全に降ろし、スライドボディ32を水平に直地させて車両の積み下ろしを行うものであるが、スライドボディ32が傾斜した状態で、車両の積み下ろしを行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 荷役車両
5 車両部
10 バンパー本体
18 積載装置
26 積み降ろし装置
30 リフトフレーム
31 チルト機構(傾斜手段)
32 スライドボディ
33 サブフレーム
50 バンパー装置
51 固定部
52 伸縮部
53 油圧シリンダ
60 被係合部
63 フック挿入部
65 フック(係合部)
66 先端
70 係合部
72 被係合部