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  • 特許-加工機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】加工機
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20241025BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
B23Q7/00 C
B23Q7/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021048004
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022146957
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橘 温希
(72)【発明者】
【氏名】秋山 朝子
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-501875(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102019214081(DE,A1)
【文献】特表2018-530490(JP,A)
【文献】特開平11-222121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00- 7/18
B25J 1/00-21/02
B65G 1/00- 1/133
B65G 1/14- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材を加工する加工部と、
前記加工部を支持すると共に、前記素材が取り付けられる取付面を有する基台と、
前記基台に設けられ、前記素材が載置される載置面を有し、かつ、移動可能な自走台車を昇降させるレール部材とを備え
前記レール部材は、前記取付面の高さと前記載置面の高さとが一致するまで、前記自走台車を上昇させる
ことを特徴とする加工機。
【請求項2】
前記自走台車との間で、前記素材の受け渡しを行うロボットを備える
ことを特徴とする請求項1記載の加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、素材の受け渡しを可能とするローディング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010‐92926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、加工機に対して、搬送物となる素材を、自走台車を用いて搬送する技術が提供されている。このとき、加工機と自走台車との間においては、素材の受け渡しが行われるが、加工機に素材を取り付けるための取付面と、自走台車に素材を載せ置くための載置面との間には、高低差が生じることが多い。
【0005】
そこで、加工機の取付面と自走台車の載置面との間における高さ合わせにおいて、特許文献1に開示されるローディング装置のような、特別な装置を余計に設けることは、得策ではないと考えられる。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、特別な装置を用いることなく、取付面の高さに対して、自走台車の載置面の高さを合わせることができる加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る加工機は、素材を加工する加工部と、加工部を支持すると共に、素材が取り付けられる取付面を有する基台と、基台に設けられ、素材が載置される載置面を有し、かつ、移動可能な自走台車を昇降させるレール部材とを備え、レール部材は、取付面の高さと載置面の高さとが一致するまで、自走台車を上昇させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、特別な装置を用いることなく、取付面の高さに対して、自走台車の載置面の高さを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る加工機を備える搬送システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る加工機10について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る加工機10を備える搬送システムの構成を示す図である。
【0012】
図1に示す搬送システムは、加工機10、自走台車20、及び、アーム型ロボット30から構成されている。この搬送システムは、加工機10に対して、未加工の素材40を、自走台車20を用いて搬送するシステムである。また、搬送システムは、加工済みの素材40を、加工機10から自走台車20を用いて搬送するシステムである。
【0013】
具体的には、自走台車20は、未加工の素材40を、所定の未加工品置き場から、予め決められた加工機10に搬送する。また、自走台車20は、加工済みの素材40を、加工機10から、所定の加工済み品置き場又は別の加工機10に搬送する。このとき、搬送システムは、加工機10と自走台車20との間における素材40の受け渡しを、アーム型ロボット30によって、自動で行うことが可能となっている。
【0014】
自走台車20は、床面Fを自走する。この自走台車20は、例えば、自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot;AMR)である。また、自走台車20は、台車部21及び摺動部22を有している。
【0015】
台車部21は、板状をなしている。台車部21には、床面Fを移動するための複数の車輪(図示省略)が回転可能に支持されている。また、台車部21の上面は、素材40を載せるための載置面21aを構成している。そして、台車部21の4つの側面のうち、1つの側面21bには、一対の摺動部22が設けられている。この摺動部22は、側面21bから外側に突出するように形成されている。
【0016】
アーム型ロボット30は、素材40を把持可能となっている。また、アーム型ロボット30は、自走台車20における台車部21の載置面21aに支持されている。このため、アーム型ロボット30は、後述する加工機10と、当該加工機10によって所定高さに昇降された自走台車20との間において、素材40の受け渡しを行うことができる。なお、アーム型ロボット30は、加工機10に設けられても構わない。
【0017】
加工機10は、床面Fに設置されている。また、加工機10は、素材40を加工するものである。このような加工機10は、基台11、加工部12、加工槽13、及び、一対のレール部材14を備えている。
【0018】
基台11は、床面Fに固定されている。この基台11は、取付面11aを有している。取付面11aは、加工槽13又は素材40を取り付けるための面である。この取付面11aは、床面Fと略平行な面である。
【0019】
図1は、加工機10の取付面11aに加工槽13を取り付けた例である。加工槽13には、水又は油の液体が入っている。素材40を液体中で加工する必要がある場合、取付面11aに取り付けられた加工槽13に所定の液体を注入し、その液体が注入された加工槽13の中に、素材40を沈ませる。
【0020】
加工部12は、取付面11aに取り付けられた加工槽13内の素材40、又は、取付面11aに取り付けられた素材40に対して、所定の加工を行うものである。この加工部12は、取付面11aの上方に配置されており、基台11に支持されている。このような加工部12には、素材40を加工するための工具(図示省略)が着脱可能に支持されている。
【0021】
レール部材14は、基台11における左右の側面11cに設けられている。このレール部材14は、長手方向が上下方向に沿うように配置されている。また、レール部材14は、溝14aを有している。この溝14aは、上下方向に延びるように形成されている。このような溝14aには、自走台車20の摺動部22がそれぞれ挿入可能となっている。溝14a内に挿入された摺動部22は、当該溝14a内を摺動可能となっている。
【0022】
ここで、加工機10は、昇降駆動源(図示省略)を有している。この昇降駆動源は、自走台車20の摺動部22がレール部材14の溝14a内に挿入されると、その溝14a内に挿入された摺動部22を、当該溝14aに沿って昇降させることができる。即ち、自走台車20は、摺動部22がレール部材14に沿って摺動することにより、加工機10に対して昇降する。このとき、レール部材14は、自走台車20の載置面21aの高さと、加工機10の取付面11aの高さとが一致するまで、自走台車20を上昇させる。
【0023】
なお、レール部材14は、基台11の前面11bに設けても構わない。また、レール部材14の数は、1本又は3本以上であっても構わない。
【0024】
従って、加工機10が、自走台車20に載せられた未加工の素材40を、当該自走台車20から受け取る場合には、先ず、自走台車20が、未加工の素材40を載置面21aに載せて、加工機10の正面まで床面F上を移動する。
【0025】
次いで、自走台車20は、摺動部22がレール部材14の溝14aに挿入されるように、移動する。
【0026】
次いで、加工機10は、自走台車20をレール部材14の溝14aに沿って上昇させる。即ち、加工機10は、載置面21aの高さが取付面11aの高さと一致するように、自走台車20を上昇させる。このため、取付面11aと載置面21aとは、面一となる。
【0027】
そして、アーム型ロボット30は、載置面21aに載せられた未加工の素材40を把持して、加工槽13の内部又は取付面11aに移送する。その後、未加工の素材40は、加工槽13の内面又は取付面11aに固定される。
【0028】
これに対して、加工機10が、加工済みの素材40を、当該加工機10から自走台車20に渡す場合には、先ず、アーム型ロボット30が、加工槽13又は取付面11aに置かれた加工済みの素材40を把持して、自走台車20の載置面21aに移送する。このとき、取付面11aの高さと載置面21aの高さとは、一致している。
【0029】
次いで、加工機10は、自走台車20をレール部材14の溝14aに沿って下降させる。このため、自走台車20は、床面Fに到着する。
【0030】
次いで、自走台車20は、摺動部22がレール部材14の溝14aから抜けるように、移動する。
【0031】
そして、自走台車20は、加工済みの素材40を載置面21aに載せて、所定の置き場又は別の加工機10に移送する。
【0032】
以上、実施の形態1に係る加工機10は、素材40を加工する加工部12と、加工部12を支持する基台11と、基台11に設けられ、素材40を載せて移動可能な自走台車20を昇降させるレール部材14とを備える。このため、加工機10は、特別な装置を用いることなく、取付面11aの高さに対して、自走台車20の載置面21aの高さを合わせることができる。
【0033】
また、加工機10は、自走台車20との間で、素材40の受け渡しを行うアーム型ロボット30を備える。このため、加工機10は、自走台車20との間における素材40の受け渡しを容易に行うことができる。
【0034】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 加工機、11 基台、11a 取付面、11b 前面、11c 側面、12 加工部、13 加工槽、14 レール部材、14a 溝、20 自走台車、21 台車部、21a 載置面、21b 側面、22 摺動部、30 アーム型ロボット、40 素材、F 床面。
図1