(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】歩行器、及び、歩容情報表示装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
A61H3/04
(21)【出願番号】P 2021149666
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 英一
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0236022(US,A1)
【文献】特開2011-177334(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013043(WO,A1)
【文献】特開2002-345994(JP,A)
【文献】国際公開第2016/081994(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体と、器体に設けられた移動手段と、器体に設けられた撮影手段と、器体に設けられた記録手段とを備えた歩行器であって、
撮影手段は、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動や、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を撮影可能なように器体に設けられ、
記録手段は、歩行器を使用中に撮影手段により撮影された映像を記録するように構成され
、
撮影手段は、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動を撮影する1つ又は複数の撮影手段、及び、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を撮影する1つ又は複数の撮影手段であるか、あるいは、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動、及び、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を、同時に撮影可能な広角レンズを有した1つの撮影手段であることを特徴とする歩行器。
【請求項2】
器体の上部に設けられて使用中の歩行器に加わる加速度を検出する加速度検出手段を備え、
記録手段は、歩行器を使用中に加速度検出手段により検出された加速度の値を記録するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の歩行器。
【請求項3】
器体に設けられて歩行器を使用中の使用者の血圧を測定する血圧測定手段を備え、
記録手段は、歩行器を使用中に血圧測定手段により測定された使用者の血圧値を記録するように構成されたこと特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行器。
【請求項4】
請求項1に記載の歩行器の記録手段に記録された歩容情報を表示手段の表示画面に表示する歩容情報表示装置であって、
撮影手段により撮影されて記録手段に記録された歩容情報としての映像を表示画面に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする歩容情報表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の歩行器の記録手段に記録された歩容情報を表示手段の表示画面に表示する歩容情報表示装置であって、
撮影手段により撮影されて記録手段に記録された歩容情報としての映像と、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された歩容情報としての加速度の値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする歩容情報表示装置。
【請求項6】
表示制御手段は、
加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の加速度の値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させることを特徴とする請求項5に記載の歩容情報表示装置。
【請求項7】
請求項3に記載の歩行器の記録手段に記録された歩容情報を表示手段の表示画面に表示する歩容情報表示装置であって、
撮影手段により撮影されて記録手段に記録された映像と、血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段、
あるいは、
撮影手段により撮影されて記録手段に記録された映像と、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値と、血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする歩容情報表示装置。
【請求項8】
表示制御手段は、
血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させるか、
あるいは、
加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値の時系列変動及び血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の加速度の値及び血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させることを特徴とする請求項7に記載の歩容情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行器、及び、当該歩行器を使用した使用者及び歩行器の情報(以下、「歩容情報」という)を表示する歩容情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足の挙動を撮影する撮影手段としてのテレビカメラを備え、荷重測定や足の挙動測定を可能として、歩行の現状を認識するとともに、足腰の回復度を確認しながら歩行訓練を行うことができる歩行器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行器の使用者は、足腰の弱った人が多く、歩行器を使用中に転倒する場合がある。
上述した特許文献1に開示された歩行器は、使用者が自身の歩行状態を認識するために使用者の足の挙動を撮影することを目的としているため、使用者が当該歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者の歩行状態に基づくもの、例えば、使用者の躓きや使用者の体勢が崩れたりしたことが原因である場合には、撮影された映像に基づいて、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断することが可能であると思われる。
しかしながら、特許文献1の歩行器では、使用者が当該歩行器を使用中に、歩行器が障害物に衝突したことが原因で、転倒したり転倒しそうになった場合には、撮影された映像に基づいて、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断できない。
即ち、特許文献1の歩行器では、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を判断できない場合があるので、歩行器を使用する使用者に対して適切な転倒防止対策を図ることができないという課題があった。
本発明は、上述した課題に鑑みて、歩行器を使用する使用者に対して適切な転倒防止対策を図ることができるようにするため、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を特定するために必要な使用者及び歩行器の歩容情報を記録できるようにした歩行器、及び、当該歩行器に記録された歩容情報を表示する歩容情報表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る歩行器は、器体と、器体に設けられた移動手段と、器体に設けられた撮影手段と、器体に設けられた記録手段とを備えた歩行器であって、撮影手段は、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動や、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を撮影可能なように器体に設けられ、記録手段は、歩行器を使用中に撮影手段により撮影された映像を記録するように構成され、撮影手段は、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動を撮影する1つ又は複数の撮影手段、及び、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を撮影する1つ又は複数の撮影手段であるか、あるいは、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動、及び、使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の当該移動手段及び障害物を、同時に撮影可能な広角レンズを有した1つの撮影手段であるので、歩行器を使用中の使用者の足元の挙動を示す映像や、歩行器が障害物に衝突した際の映像を、第三者が目視にて容易に確認できるようになり、第三者は、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになるので、歩行器を使用した使用者に対する歩行訓練計画の作成、障害物への注意喚起を促す助言等、適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
また、器体の上部に設けられて使用中の歩行器に加わる加速度を検出する加速度検出手段を備え、記録手段は、歩行器を使用中に加速度検出手段により検出された加速度の値を記録するように構成されたので、歩行器に加わる加速度をより正確に検出できるようになり、当該加速度検出手段で検出された加速度の値に基づいて、使用者が転倒したり転倒しそうになったことを判断しやすくなる。さらには、撮影手段により撮影された映像と加速度検出手段で検出された加速度の値とに基づいて、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を、より正確に判断できるようになる。
また、器体に設けられて歩行器を使用中の使用者の血圧を測定する血圧測定手段を備え、記録手段は、歩行器を使用中に血圧測定手段により測定された使用者の血圧値を記録するように構成されたので、撮影手段により撮影された映像だけでは、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断し難いような場合であっても、映像と血圧値とに基づいて、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになる。
また、本発明に係る歩容情報表示装置は、撮影手段により撮影されて記録手段に記録された歩容情報としての映像を表示画面に表示する表示制御手段を備えたので、第三者が、表示画面に表示された歩容情報としての映像を見て、上述したように、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになり、使用者に対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
また、本発明に係る歩容情報表示装置は、撮影手段により撮影されて記録手段に記録された歩容情報としての映像と、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された歩容情報としての加速度の値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段を備えたので、第三者が、表示画面に表示された歩容情報としての映像や加速度の値を見て、上述したように、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになり、使用者に対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
また、表示制御手段は、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の加速度の値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させるので、同時刻での、加速度の値及び映像を、容易に確認できるようになり、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
また、本発明に係る歩容情報表示装置は、撮影手段により撮影されて記録手段に記録された映像と、血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段、あるいは、撮影手段により撮影されて記録手段に記録された映像と、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値と、血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値と、を時系列で関連付けて表示画面に表示する表示制御手段を備えたので、第三者が、表示画面に表示された歩容情報を見て、上述したように、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになり、使用者に対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
また、表示制御手段は、血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させるか、あるいは、加速度検出手段により検出されて記録手段に記録された加速度の値の時系列変動及び血圧測定手段により測定されて記録手段に記録された血圧値の時系列変動を表示画面に表示させるとともに、表示画面上で指示した過去の加速度の値及び血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面に表示させるので、同時刻での、血圧値及び映像、あるいは、同時刻での、加速度の値、血圧値、映像を、容易に確認できるようになり、使用者が歩行器を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】使用者が歩行器を使用中に移動手段が障害物に衝突した際の状態を示す図(実施形態1)。
【
図3】歩容情報表示装置による表示例を示す図(実施形態2)。
【
図4】歩容情報表示装置による表示例を示す図(実施形態3)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る歩行器1は、使用者が歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を特定するために必要な使用者及び歩行器1の歩容情報を取得するための取得手段と、当該取得手段により取得された歩容情報を記録するための記録手段8とを備えた歩行器1である。
即ち、当該歩行器1は、器体2と、器体2に設けられた移動手段3と、取得手段としての撮影手段4と、取得手段としての加速度検出手段5と、取得手段としての血圧測定手段6と、コントロールボックス7とを備え、当該コントロールボックス7に記録手段8を備える。
【0008】
器体2は、例えば、フレーム21と、フレーム21の上端側に設けられたアームレスト22とを備えて構成される。
フレーム21は、例えば、平面視がU字状に形成されたベースフレーム23と、ベースフレーム23から上下方向に延長するように設けられた複数の支柱フレーム24,24…とを備える。
アームレスト22は、例えば、平面視がU字状に形成された載せ板25と、載せ板の下面から突出する複数の高さ調整柱26,26…とを備える。各高さ調整柱26,26…は、例えば、対応する各支柱フレーム24,24…の上端のパイプ開口を介して各支柱フレーム24,24…内に下端側から挿入され、位置決め部材27,27…により、任意の高さ位置で固定される。位置決め部材27は、例えば、支柱フレーム24の上端に形成されたねじ孔に螺着されて、先端側が、高さ調整柱26の表面に形成された複数の位置決め溝や孔に係合するねじ部材により構成される。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、
図1に示した方向と定義して説明する。即ち、フレーム21及びアームレスト22のU字の底側を歩行器1の前側と定義して説明する。
【0009】
移動手段3は、例えば複数のキャスターの車輪31,31…等により構成される。当該移動手段3を構成する各車輪31,31…は、例えば支柱フレーム24,24…の下端にそれぞれ設けられている。
【0010】
撮影手段4は、歩行器1を使用する使用者A(
図2参照)の歩行状況を撮影できる位置に、1つ以上設けられる。
撮影手段4としては、例えばCCD(撮像素子)を備えたスマートフォンやアクションカメラやドライブレコーダ等のデジタルカメラを用いればよい。
撮影手段4は、器体2の何処に設けられていても構わないが、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の挙動や、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3が障害物15(
図2参照)に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15を撮影可能なように器体2に設けられる。
例えば、
図1に示すように、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の挙動を撮影する1つ又は複数の撮影手段4、及び、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15を撮影する1つ又は複数の撮影手段4を、それぞれ個別に器体2に設けるようにしても良い。あるいは、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の挙動や、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15を、同時に撮影可能な広角レンズ等を有した1つの撮影手段4を器体2に設けるようにしてもよい。
また、撮影手段4は、取付部材41を介して、器体2への取付位置や撮影範囲等を自由に選択可能な構成とすることが好ましい。
尚、使用者Aとは、当該歩行器1を実際に使用する者であり、例えば、当該歩行器1を実際に使用して、歩行能力の改善/維持を図る者等である。
【0011】
即ち、実施形態1の歩行器1は、例えば
図2に示すように、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3の前側の車輪31,31が出入口の障害物15としての下レールに衝突した際に、衝突した際の当該の歩行器1の前側の車輪31,31及び障害物15や、歩行器1を使用中の使用者Aの足元を、撮影手段4で撮影可能なように、当該撮影手段4が器体2に設けられた構成となっている。
例えば、
図4に示すように、使用者Aが歩行器1を使用中に前側の車輪31,31が障害物15に衝突した際の当該車輪31,31、障害物15、これら近辺に位置される歩行器1の器体2や使用者Aの足元等が、撮影されるように、撮影手段4が器体2の適切な位置に設けられている。
【0012】
換言すれば、実施形態1に係る歩行器1は、使用者Aの歩行状態に基づくもの、例えば、使用者Aの躓きや使用者Aの体勢が崩れたりしたことが原因で使用者Aが転倒したり転倒しそうになった場合の映像を撮影できるとともに、歩行器1が障害物15に衝突したことが原因で使用者Aが転倒したり転倒しそうになった状況の映像を撮影できるように、撮影手段4が器体2に設けられた構成としたものである。
【0013】
加速度検出手段5は、使用者Aが歩行器1を使用中に、歩行器1に加わる加速度を検出するための例えば加速度センサである。
当該加速度検出手段5は、歩行器1の移動手段3を構成する車輪31,31…から離れた器体2の上部側、例えば
図1に示すように、歩行器1の後側に位置される支柱フレーム24の上端側に、取付手段51を介して設置される。
即ち、歩行器1の移動手段3を構成するキャスター等の車輪31,31…に近い位置、例えば器体2の前方の下部であるベースフレーム23の前方に加速度検出手段5を設置した場合、当該加速度検出手段5が、歩行器1の車輪31の回転時の振動を検出しやすくなるため、加速度検出手段5により検出された加速度の値が、歩行器1の転倒に基づくものであるのか、あるいは、車輪31の振動に基づくものであるのかを、判別し難くなり、加速度検出手段5で検出された加速度の値に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことを判断し難くなる。
一方、実施形態1に係る歩行器1では、移動手段3を構成する車輪31,31…から離れた器体2の上部に加速度検出手段5を設けた構成としたので、車輪31の振動の影響を受け難くなることから、例えば、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことに基づいて歩行器1に加わる加速度や、歩行器1の移動手段3と障害物15とが衝突した場合に歩行器1に加わる加速度の検出精度が向上するので、当該加速度検出手段5で検出された加速度の値に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことを判断しやすくなる。
【0014】
血圧測定手段6は、歩行器1を使用中に使用者Aの血圧値を測定する血圧計である。
血圧測定手段6としては、例えば24時間自由行動下血圧測定(ABPM(Ambulatory Blood Pressure Monitoring)を行うことが可能な血圧計を用いることが好ましい。
当該血圧計は、所定時間毎に(例えば30分毎)に自動で血圧を測定する血圧計であり、腕式、手首式(ウオッチ式)のいずれであっても良い。
当該血圧測定手段6は、腕式の場合は、例えば
図1に示すように、アームレスト22の載せ板25の上面25tに取付手段61を介して設置されたり、あるいは、使用者Aの衣服に収納したり装着するようにしてもよい。また、手首式(ウオッチ式)の場合は、使用者Aの手首に装着する。
例えば、上述した映像だけでは、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者Aの躓きに基づくものなのか、使用者Aの体調不良に基づくものなのかを判断しずらい場合がある。
一方、実施形態1に係る歩行器1では、血圧測定手段6を備えた構成としたので、歩行器1を使用中に血圧測定手段6により測定された使用者Aの血圧値に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者Aの体調不良に基づくものであることを判断しやすくなる。
【0015】
コントロールボックス7は、歩行器1を使用中に撮影手段4により撮影された映像、歩行器1を使用中に加速度検出手段5により検出された加速度の値、歩行器1を使用中に血圧測定手段6で計測された血圧値及び脈拍値を記録する、例えばデータロガーのような記録手段8と、当該記録手段8、撮影手段4、加速度検出手段5、血圧測定手段6の電源9と、当該電源9をオンオフするための電源スイッチ91とを備えた制御ボックスである。
当該コントロールボックス7は、例えば
図1に示すように、アームレスト22の前側の下面に設けられている。
尚、コントロールボックス7を備えずに、記録手段8、電源9、当該電源スイッチ91を、それぞれ、別々の位置に設けても構わない。
【0016】
実施形態1に係る歩行器1によれば、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の映像や、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15の映像を撮影可能なように器体2に設けられた撮影手段4と、器体2の上部に設けられて使用中の歩行器1に加わる加速度を検出する加速度検出手段5と、歩行器1を使用中に使用者Aの血圧値を測定する血圧測定手段6と、これら取得手段としての撮影手段4、加速度検出手段5、血圧測定手段6により取得された歩容情報を記録するための記録手段8とを備えたので、使用者Aが歩行器1を使用中に記録手段8に記録された使用者A及び歩行器1の歩容情報に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を特定できるようになるため、歩行器1を使用する使用者Aに対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
即ち、使用者Aや介護者等の人が電源スイッチ91をオンにした後、使用者Aが歩行器1を使用して歩行した際に、撮影手段4により撮影された映像、加速度検出手段5により検出された加速度の値、血圧測定手段6で計測された血圧値が、使用者A及び歩行器1の歩容情報として記録手段8に記録される。従って、後々、記録手段8から読み出した当該歩容情報を、第三者B(
図3参照)が、検証することにより、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を判断して、歩行器1を使用した使用者Aに対して適切な転倒防止対策を練ることができるようになる。
尚、第三者Bとは、例えば、介助者、指導者等である。尚、介助者は、使用者Aが当該歩行器1を使用することを補助する者であり、例えば、老人ホームに勤務する介護職員などである。また、指導者は、使用者Aが当該歩行器1で得た歩容情報を分析/評価/指導する者であり、例えば、リハビリ施設/病院に勤務する作業療法士などである。
【0017】
また、実施形態1に係る歩行器1によれば、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の挙動や、使用者Aが歩行器1を使用中に移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15を撮影可能なように器体2に設けられた撮影手段4を備えているので、撮影手段4により撮影された、歩行器1を使用中の使用者Aの足元の挙動を示す動画や静止画等の映像や、歩行器1が障害物15に衝突した際の動画や静止画等の映像を、第三者Bが例えば後述する歩容情報表示装置10等を用いて、目視にて容易に確認できるようになる。
従って、第三者Bは、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者Aの歩行状態に基づくもの、例えば、使用者Aの躓きや使用者Aの体勢が崩れたことにあるのか、あるいは、歩行器1が障害物15に衝突したことにあるのかを、映像を見て、容易に判断できるようになるので、歩行器1を使用した使用者Aに対する歩行訓練計画の作成、障害物15への注意喚起を促す助言等、適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0018】
また、実施形態1に係る歩行器1によれば、加速度検出手段5を、移動手段3を構成する車輪31,31…から離れた器体2の上部に設置したので、歩行器1に加わる加速度の検出精度を向上できる。例えば、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことに基づいて歩行器1に加わる加速度や、歩行器1の移動手段3と障害物15とが衝突した場合に歩行器1に加わる加速度の検出精度が向上するため、当該加速度検出手段5で検出された加速度の値に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことを判断しやすくなる。
換言すれば、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった際の歩行器1の挙動に基づく加速度検出手段5の出力と、歩行器1での通常の歩行時の移動手段3の振動に基づく加速度検出手段5の出力との違いがより明確になるように、加速度検出手段5を移動手段3から離れた器体2の上部に設置したので、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった際の歩行器1の挙動を加速度検出手段5で検出された加速度の値に基づいてより正確に判断できるようになる。即ち、加速度検出手段5で検出された加速度の値に基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになったことを判断しやすくなる。
さらには、撮影手段4により撮影された映像と加速度検出手段5で検出された加速度の値とに基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を、より正確に判断できるようになる。
【0019】
さらに、実施形態1に係る歩行器1によれば、血圧測定手段6として、24時間自由行動下血圧測定を行うことが可能な血圧計を備えたので、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者Aの体調不良に基づくものであることを、歩行器1を使用中に血圧測定手段6により測定された使用者Aの血圧値に基づいて、判断しやすくなる。
つまり、撮影手段4により撮影された映像だけでは、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を判断し難い場合であっても、当該映像と血圧値とに基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになる。
例えば、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因が、使用者Aの躓きに基づくものなのか、使用者Aの体調不良に基づくものなのかを、映像だけでは判断し難いような場合であっても、その映像が撮影された時刻に近い時刻に測定された使用者Aの血圧値が高ければ、使用者Aの体調不良に基づくものであると判断でき、逆に、その映像が撮影された時刻に近い時刻に測定された使用者Aの血圧値が低ければ、使用者Aの躓きに基づくものであると判断できるようになる。
【0020】
特に、実施形態1に係る歩行器1によれば、撮影手段4により撮影された映像と加速度検出手段5で検出された加速度の値と血圧測定手段6で計測された血圧値とに基づいて、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになるため、歩容情報としての映像と加速度の値と血圧値とが、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を特定するために役立つ、互いに補完する歩容情報となって、使用者Aが転倒したり転倒しそうになった原因を、より正確かつ確実に判断できるようになる。
【0021】
実施形態2
次に、
図3及び
図4に基づいて、実施形態1に係る歩行器1の歩容情報記録手段8に記録された歩容情報を表示する歩容情報表示装置10について説明する。
図3に示すように、歩容情報表示装置10は、記録手段8に記録された歩容情報、即ち、記録手段8に記録された、映像と、加速度と、血圧値とを、図外の記録媒体や有線媒体や無線LAN等を介して入力する入力端子等の入力手段と、表示画面12を有した表示手段と、入力した映像、加速度の値、血圧値を、時系列で関連付けて表示画面12に表示する表示制御手段11とを備えた構成とした。
【0022】
表示制御手段11は、表示処理プログラムと、当該処理プログラムによる情報処理を実現するコンピュータ等のハードウエア資源とにより構成される。
表示処理プログラムは、表示制御手段11が実行する処理の手順を示すプログラムである。
換言すれば、表示処理プログラムは、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等のコンピュータを、表示制御手段11として機能させるプログラムである。
また、表示手段は、例えばコンピュータのディスプレイである。
【0023】
表示制御手段11は、表示処理プログラムの処理手順に従って、歩行器1を使用した使用者Aの歩容情報(記録手段8に記録された歩容情報)である、映像の履歴、加速度の値の履歴、血圧値の履歴を、表示手段の表示画面12に、時系列で関連付けて表示させる。
即ち、表示画面12には、歩行器1の電源スイッチ91が投入されている間に記録手段8に記録された歩容情報、即ち、撮影手段4で撮影された映像の履歴としての動画や静止画となる映像、加速度検出手段5で検出された歩行器1に加わった加速度の値の履歴としての加速度の値の時系列変化、血圧測定手段6により測定された使用者Aの血圧値の履歴としての血圧値の時系列変化を表示する。
【0024】
表示制御手段11は、例えば
図3に示すように、表示画面12の上部に映像表示欄12jを設定して、当該映像表示欄12jに、撮影された映像12Eを表示させるとともに、映像12Eとしての動画の時間経過表示欄12mを設定する。当該時間経過表示欄12mには、映像表示欄12jに表示される動画の最初の時刻からの経過時間が表示される。また、映像表示欄12jの下部には、シークバー12kを表示するとともに、動画再生/動画停止アイコン12rを設定する。即ち、動画再生アイコンをクリックすることで、映像表示欄12jには、撮影された映像12Eに基づく動画が再生され、動画停止アイコンをクリックすることにより、映像表示欄12jには、撮影された映像12Eに基づく任意の時刻での静止画が表示される。
即ち、映像表示欄12jには、例えば、
図3に示すような、歩行器1を使用中に撮影された、使用者Aの足元の挙動を示す動画や静止画となる映像、あるいは、
図4に示すような、歩行器1を使用中に撮影された、移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15を示す動画や静止画となる映像が表示される。
また、表示画面12の上下の中央部には、血圧値の時系列変化を示す折れ線グラフ12hが表示されるとともに、血圧値の数値表示欄12iが設定される。
また、表示画面12の下部には、加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12aが表示されるとともに、加速度の数値表示欄12bが設定される。
【0025】
また、加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12a上にポインタ12cが設定され、かつ、血圧値の時系列変化を示す折れ線グラフ12h上にポインタ12pが設定されるとともに、シークバー12kの位置ポインタ12nを上端として下方に延長してポインタ12p及びポインタ12cを通過するスライダ12sが設定される。
そして、表示画面12上でスライダ12sの操作アイコン12yを左右に移動させることで、位置ポインタ12n、ポインタ12p、ポインタ12cが、スライダ12sと一緒に左右に移動する。この際、位置ポインタ12nはシークバー12k上を左右に移動し、ポインタ12pは血圧値の時系列変化を示す折れ線グラフ12h上を左右に移動し、ポインタ12cは加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12a上を左右に移動するように、表示制御される。
そして、映像表示欄12j、血圧値の数値表示欄12i、加速度の数値表示欄12bには、位置ポインタ12n、ポインタ12p、ポインタ12cが示す同時刻での、映像、血圧値、加速度の値が表示されるように、表示制御される。
従って、同時刻での、映像、血圧値、加速度の値を容易に確認できるようになり、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
即ち、表示制御手段11は、加速度検出手段5により検出されて記録手段8に記録された加速度の値の時系列変動、及び、血圧測定手段6により測定されて記録手段8に記録された血圧値の時系列変動を表示画面12に表示させるとともに、表示画面12上で指示した過去の加速度の値及び過去の血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面12に表示させる手段として機能するので、同時刻での、加速度の値、血圧値、映像を、容易に確認できるようになり、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
【0026】
実施形態2に係る歩容情報表示装置10によれば、例えば使用者Aに対して歩行指導、助言、歩行介助等を行う作業療法士、介護者等の第三者Bが、表示画面12に表示された歩容情報を見て、上述したように、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を正確に判断できるようになり、使用者Aに対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0027】
実施形態3
歩容情報表示装置10は、実施形態1に係る歩行器1の歩容情報記録手段8に記録された歩容情報を選択的に表示する表示制御手段11を備えた構成であってもよい。
【0028】
即ち、当該表示制御手段11は、表示処理プログラムの処理手順に従って、表示画面12に、例えば、
図4(a)に示すような、加速度履歴表示モード、あるいは、
図4(b)に示すような、加速度及び映像履歴表示モードを、変更可能に設定するものであってもよい。
【0029】
図4(a)に示すように、加速度履歴表示モードでは、表示画面12に、歩行器1の電源スイッチ91が投入されている間に使用者Aが使用した歩行器1の加速度検出手段5で検出された加速度の値の履歴、即ち、歩行器1を使用中に検出された加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12aが時刻12tと共に表示されるとともに、加速度の値の数値表示欄12bが設定され、かつ、加速度及び映像履歴表示モードへの変更を指示するモード変更アイコン12dが設定される。
そして、上述したように、折れ線グラフ12a上にポインタ12cが設定され、ポインタ12cを左右に移動させることにより、ポインタ12cは加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12a上を左右に移動するように、表示制御される。
【0030】
図4(b)に示すように、加速度及び映像履歴表示モードでは、表示画面12に、加速度の値の時系列変化を示す折れ線グラフ12aが時刻12tと共に表示されて、加速度の値の数値表示欄12bが設定されるとともに、撮影手段4で撮影された映像12Eを表示するための映像表示欄12eが設定される。また、映像表示欄12eには、動画再生開始アイコン12fが設定され、映像表示欄12eの欄外には、動画一時停止アイコン12gが設定される。
加速度及び映像履歴表示モードでは、ポインタ12cが左右に移動された場合、ポインタ12cが位置する時刻での加速度の値の数値が数値表示欄12bに表示されるとともに、ポインタ12cの移動に連動して、映像12Eが早送り、早戻しされるように制御される。つまり、ポインタ12cを右に移動させた場合には、映像12Eが早送りされてポインタ12cが位置する時刻からの映像12Eに基づく動画が再生され、逆に、ポインタ12cを左に移動させた場合には、映像12Eが早戻しされてポインタ12cが位置する時刻からの映像12Eに基づく動画が再生されるように、表示制御される。
即ち、実施形態3の加速度及び映像履歴表示モードにおいては、表示制御手段11は、加速度検出手段5により検出されて記録手段8に記録された加速度の値の時系列変動を表示画面12に表示させるとともに、表示画面12上で指示した過去の加速度の値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面12に表示させる手段として機能するので、同時刻での、加速度の値及び映像を、容易に確認できるようになり、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
【0031】
従って、実施形態3の加速度及び映像履歴表示モードにおいては、折れ線グラフ12aの加速度の値が大きい時刻の少し前の時刻の位置までポインタ12cを移動させることにより、当該時刻から映像12Eに基づく動画が再生されるので、第三者Bは、大きな加速度の値が検出された原因、例えば、歩行器1と障害物15との衝突を突き止めることができ、その後、使用者が転倒したか否かなどを確認できるようになるため、使用者Aに対して適切な助言、指導を行えるようになる。
例えば、第三者Bは、まず、加速度履歴表示モードで、加速度の値が大きい時点があるか否かを見て、加速度の値が大きい時点がある場合には、加速度履歴表示モードから加速度及び映像履歴表示モードに変更することにより、加速度の値が大きい時点での映像を確認できるようになる。即ち、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を、加速度の値、及び、映像に基づいて、的確に判断できるようになり、使用者Aに対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0032】
尚、実施形態3では、表示画面12に、加速度履歴を表示するようにしたが、表示画面12に、加速度履歴の代わりに、血圧値履歴を表示するようにしてもよい。
この場合、例えば、第三者Bは、まず、血圧値履歴表示モードで、血圧値の値が大きい時点があるか否かを見て、血圧値の値が大きい時点がある場合には、血圧値及び映像履歴表示モードで、血圧値が大きい時点での映像を確認することにより、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因を的確に判断できるようになり、使用者Aに対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
尚、この場合、表示制御手段11は、血圧測定手段6により測定されて記録手段8に記録された血圧値の時系列変動を表示画面12に表示させるとともに、表示画面12上で指示した過去の血圧値が記録された時刻と同時刻の映像を表示画面12に表示させる手段として機能するので、同時刻での、血圧値及び映像を、容易に確認できるようになり、使用者Aが歩行器1を使用中に転倒したり転倒しそうになった原因をより正確に判断できるようになる。
【0033】
また、表示制御手段11は、表示処理プログラムの処理手順に従って、表示画面12に、加速度及び血圧値の履歴表示モード、あるいは、
図3に示すような、加速度、血圧値、映像の履歴表示モードを、互いに変更可能に設定するものであっても構わない。
【0034】
また、上述した歩行器1や歩容情報表示装置10では、歩行器1を使用した使用者Aの歩容情報である、映像、加速度の値、血圧値を、記録手段8に記録したり表示画面12に表示する例を示したが、さらに、血圧測定手段6としての血圧計で測定された脈拍値を、記録手段8に記録したり表示画面12に表示するようにしてもよい。
【0035】
また、歩容情報を記録するための記録手段として、器体2に取付けられた撮影手段4に搭載された記録手段、器体2に取付けられた加速度検出手段5に搭載された記録手段、器体2に取付けられた血圧測定手段6に搭載された記録手段を利用してもよい。
この場合、撮影手段4に搭載された記録手段、加速度検出手段5に搭載された記録手段、血圧測定手段6に搭載された記録手段である、各記録手段に記録された歩容情報を、記録媒体や有線媒体や無線LAN等を介して、各記録手段から取り出して、例えば、上述した歩容情報表示装置10を構成するコンピュータの記録装置に記録させるようにすればよい。
例えば、本発明に係る歩行器は、器体2に、撮影手段4として撮影手段4の機能を備えたスマートフォン等のモバイル端末を取付けた構成の歩行器であってもよい。この場合、当該モバイル端末の記録手段に、使用者Aが当該歩行器を使用した際の、映像、加速度検出手段5で検出された加速度の値、血圧測定手段6で測定された血圧値を記録させるとともに、当該モバイル端末を、当該モバイル端末の記録手段に記録された歩容情報としての映像、加速度の値、血圧値を表示させるための歩容情報表示装置10として機能させればよい。
【0036】
尚、歩行器は、上述した血圧測定手段6を備えずに撮影手段4及び加速度検出手段5を備えて、上述した映像及び加速度の値を上述した記録手段に記録する構成、あるいは、上述した加速度検出手段5を備えずに撮影手段4及び血圧測定手段6を備えて、上述した映像及び血圧値を上述した記録手段に記録する構成、あるいは、上述した加速度検出手段5及び血圧測定手段6を備えずに撮影手段4を備えて、上述した映像を上述した記録手段に記録する構成としてもよい。尚、ここで、上述した映像とは、歩行器の器体2に設けられた撮影手段4より撮影された、歩行器を使用中の使用者Aの足元の挙動の映像や、使用者Aが歩行器を使用中に移動手段3が障害物15に衝突した際の当該移動手段3及び障害物15の映像のことである。
このような構成の歩行器であっても、少なくとも、歩行器を使用中の使用者Aの足元の挙動を示す映像や、歩行器が障害物15に衝突した際の映像を、第三者Bが目視にて容易に確認できるようになるので、当該第三者は、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになり、適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0037】
また、歩容情報表示装置10は、表示画面12に上述した映像及び加速度の値のみを表示する構成、あるいは、表示画面12に上述した映像及び血圧値のみを表示する構成、あるいは、表示画面12に上述した映像のみを表示する構成としてもよい。
このような構成の歩容情報表示装置10であっても、少なくとも、歩行器を使用中の使用者Aの足元の挙動を示す映像や、歩行器が障害物15に衝突した際の映像を、表示画面12に表示でき、第三者Bが目視にて容易に確認できるようになるので、当該第三者は、使用者が転倒したり転倒しそうになった原因を判断できるようになり、適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0038】
尚、本発明の歩行器及び歩容情報表示装置は、例えば、歩行器1の記録手段8に記録された歩容情報、あるいは、撮影手段4に搭載された記録手段、加速度検出手段5に搭載された記録手段、血圧測定手段6に搭載された記録手段の、各記録手段に記録された歩容情報を、無線LANを介して、使用者A以外の第三者Bが歩容情報表示装置で確認できるように構成した場合、以下のような場面において、有効に活用できる。
例えば介護施設や病院等において、使用者Aが、歩行器を用いて歩行したり、歩行器を用いて歩行訓練を行う場合、使用者Aが歩行中、歩行訓練中、あるいは、歩行後、歩行訓練後において、第三者Bとしての例えば介助者や指導者が、歩容情報表示装置を介して使用者Aの歩容情報をリアルタイム又は事後に確認できるようになる。
この場合、介助者は、使用者Aの歩容情報を事後に確認できるし、また、使用者Aが歩行中、歩行訓練中に、転倒したり、転倒しそうになったことをリアルタイムに確認できるようになるため、介助者が使用者Aに付き添っていなくても、介助者が使用者Aのもとへ直ぐに駆けつけることができるようになる。このため、介助者が使用者Aに終始付き添っていなくてもよくなり、介助者の負担を軽減できるようになる。
また、指導者は、使用者Aが転倒したり、転倒しそうになった原因を容易に特定できるようになる。従って、指導者は、使用者Aや介助者に対して適切な転倒防止対策を図ることができるようになる。
【0039】
また、上述したように、歩行器の器体2に、スマートフォン等のモバイル端末を取付けて、当該モバイル端末を歩容情報表示装置10として機能させれば、使用者A自身が、歩行器を使用した際の歩容情報を確認できるようになる。
【符号の説明】
【0040】
1 歩行器、2 器体、3 移動手段、4 撮影手段、5 加速度検出手段、
6 血圧測定手段、10 歩容情報表示装置、11 表示制御手段、12 表示画面。