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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021208902
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023093827
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
(72)【発明者】
【氏名】根岸 和善
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善行
(72)【発明者】
【氏名】町井 健太
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240504(JP,A)
【文献】特開2017-153669(JP,A)
【文献】特開2020-120931(JP,A)
【文献】特開2012-5558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した内釜と、前記内釜を加熱する加熱手段及び前記内釜を収容する内釜収納部とを有する本体と、前記本体にヒンジ接続され前記本体の上方を覆う蓋体と、を備えた炊飯器であって、
前記蓋体は、前記本体の上面を覆う外蓋と、前記外蓋の前記本体側となる下面に着脱自在に取り付けられ前記内釜の上面の開口を覆う位置に設置された内蓋と、を備え、
前記外蓋は、前記外蓋の前記本体側に形成された窪んだ形状である蒸気経路部と、前記蒸気経路部の上側壁面で且つ前記本体の後方側に形成され前記蓋体の上面と連通する開口を形成する蒸気排出口と、を有し、
前記内蓋は、前記蒸気経路部と対向する位置に設けられ前記内釜側に突出した底面部を有する凹み形状であるおねば溜め部と、前記内釜内と連通する開口を形成する蒸気流入口と、を有し、
前記おねば溜め部は、前記蒸気排出口に対し上方から見て前記内釜の中心側にずれた位置の前記底面部に前記内釜内と連通する開口を形成するおねば戻し穴を備えた
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記蒸気流入口は、前記蒸気排出口に対し上方から見て前記内釜の中心側にずれた位置で、且つ前記蒸気排出口を形成する壁面から対面する位置の面に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記蒸気流入口は、前記おねば戻し穴よりも前記内釜の中心側の位置に備えられていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蒸気流入口は、前記おねば溜め部の前記底面部よりも前記内釜の中心側に備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項5】
前記蒸気経路部は、前記おねば戻し穴と前記蒸気排出口とに挟まれた位置に、上面の壁面から前記内釜側となる下方に向けて突出した遮蔽壁を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項6】
前記遮蔽壁は、前記おねば溜め部の凹みの中までその先端を突出させたことを特徴とする請求項5に記載の炊飯器
【請求項7】
前記遮蔽壁は、前記蒸気流入口よりも前記内釜側までその先端を突出させたことを特徴とする請求項5もしくは請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記蒸気経路部は、前記遮蔽壁の前記蒸気排出口側に弁体を備えたことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項9】
前記蒸気流入口は、前記おねば溜め部の斜面部に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項10】
前記蒸気流入口は、前記遮蔽壁側に向かって傾斜した斜面部に形成されていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項11】
前記内釜は、底部と、前記底部から連続する筒状の外周部と、前記外周部の上端部分から外側に段状になった上部外周部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おねば等のふきこぼれを抑制する構造を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、炊飯器として、炊飯中に内釜で発生した蒸気とおねばを分離し、蒸気を外部に放出させるとともにおねばを内釜内に戻すことは、一般的になされている。例えば、特許文献1では、上板と下板とで内蓋を構成してその間に空間部を形成し、内釜内のおねば蒸気が下板の蒸気導入穴から空間部に導入され、この空間でおねばと蒸気が分離されて、蒸気は上板の蒸気排出穴、外蓋の蒸気排出部から外部に排出され、空間部のくぼみ部に溜まったおねばは、炊飯が終了して内釜内の圧力が下がり下板の開閉弁が開くことで、内釜内に戻される炊飯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6448372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の炊飯器において、複数の内蓋によっておねばを分離する空間を形成すると、上板と下板とをヒンジで接続するなどが必要なため部品点数が多く且つ構成が複雑になるという課題があった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、シンプルな内蓋の構成でありながら蒸気とおねばとの分離を十分に行う事ができ、且つ外気の影響による内釜内部の温度低下を抑制することができる炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる炊飯器は、上面が開口した内釜と、内釜を加熱する加熱手段及び内釜を収容する内釜収納部とを有する本体と、本体にヒンジ接続され本体の上方を覆う蓋体と、を備えた炊飯器であって、蓋体は、本体の上面を覆う外蓋と、外蓋の本体側となる下面に着脱自在に取り付けられ内釜の上面の開口を覆う位置に設置された内蓋と、を備え、外蓋は、外蓋の本体側に形成された窪んだ形状である蒸気経路部と、蒸気経路部の上側壁面で且つ本体の後方側に形成され蓋体の上面と連通する開口を形成する蒸気排出口と、を有し、内蓋は、蒸気経路部と対向する位置に設けられ内釜側に突出した底面部を有する凹み形状であるおねば溜め部と、内釜内と連通する開口を形成する蒸気流入口と、を有し、おねば溜め部は、蒸気排出口に対し上方から見て内釜の中心側にずれた位置の底面部に内釜内と連通する開口を形成するおねば戻し穴を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る炊飯器によれば、蒸気排出口に対し上方から見て内釜の中心側にずれた位置の底面部に内釜内と連通する開口を形成するおねば戻し穴を備えたことにより、シンプルな内蓋の構成でありながらおねばの回収を十分に行う事ができ且つ外気による内釜内部の被加熱物の温度低下を抑制することができる炊飯器を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る炊飯器の蓋体を閉じた状態での外観斜視図である。
図2】実施の形態1に係る炊飯器の蓋体を開いた状態での外観斜視図である。
図3】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋を取り外した状態で外観斜視図である。
図4】実施の形態1に係る炊飯器の縦断面概略図である。
図5】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋を下面側から見た外観斜視図である。
図6】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の下面図である。
図7】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の下面の一部拡大図である。
図8】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の横断面図である。
図9】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図10】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気経路でのおねばと蒸気の流れを示す図である。
図11】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気流入口を通過するおねば泡の変化を示である。
図12】実施の形態2に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図13】実施の形態3に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図14】実施の形態3に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図であり、弁体が開いた状態を示す図である。
図15】実施の形態4に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の技術を有する実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、その一例であり、実施の形態に説明した構成によって発明が限定されるものではない。また、以下の図面は、本開示の技術を有する構成の一例であり、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、炊飯器の蓋体を閉じた状態での外観斜視図である。図2は、蓋体を開いた状態での外観斜視図である。図3は、図2で内蓋を取り外した状態での外観斜視図である。図4は、炊飯器の縦断面概略図である。図5は、内蓋を下面側から見た外観斜視図である。図6は、内蓋の下面図である。図7は、内蓋の下面の一部拡大図である。図8は、内蓋の縦断面図である。図9は、蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
なお、説明の便宜上、図1にて記載した点線矢印での方向を前・後(背)方向、実線矢印での方向を右・左方向、又は横方向、そして太線矢印での方向を上・下方向とする。
【0011】
炊飯器100は、図1図4に示すように、本体1と蓋体2とで主に構成される。
【0012】
本体1は、内部に内釜3を収納する構造となっており、内釜3を内部に収納する収納空間を形成する内釜収納部11を備えている。また、本体1は、内釜3を誘導加熱する加熱手段として、内釜収納部11の底面下に設けられた加熱コイル12と、内釜収納部11の側面に設けられた胴ヒータ13と、を備える。更に、本体1は、内釜収納部11の底面の中央に設けられ内釜3の温度を検出する底サーミスタ15と、本体1の内部の後側に設けられ加熱コイル12や胴ヒータ13に商用電源を高周波電力に変換した電力を供給する回路が実装された電源基板17と、を備えている。また、本体1の前面には、蓋体2を本体1の上面を閉じる状態で固定している支持構造の固定を解除するさいに使用される蓋開ボタン16が設けられている。
【0013】
蓋体2は、本体1の上面全体を覆う外蓋20と、外蓋20の本体1側となる下面に着脱自在に取り付けられた内蓋30と、を備えている。外蓋20は、本体1の後方と回転自在に接続され、蓋体2全体を本体1から回転自在に接続させ、本体1の上面を覆った状態で本体1に固定することが出来る支持構造を備えている。また、内蓋30は、蓋体2が本体1の上面を閉じる位置に固定された際、内釜3の上面の開口を覆う位置に設置されている。
【0014】
内釜3は、米などの調理物である被加熱物を保持するものであり、有底筒状である。具体的な形状としては、内釜3は、中央部分がやや上側に凸状となる底部3aと、底部3aと連続する筒状となる外周部3bと、外周部3bの上端部分から外側に広がる段状となる上部外周部3cとからなり、上面側が開口する形状となっている。外周部3bは、底部3a側及び上部外周部3c側より中央の方が円筒の内壁直径が大きくなる構造となっている。また、上部外周部3cは、その円筒の内壁直径が、外周部3bの円筒の内壁直径よりも大きくなるように構成されている。具体的には、上部外周部3cを水平に切った円の内側直径Rbは、外周部3bを水平に切った円の内側直径をRaの1.1Raとなるよう構成されている。つまり、内釜3は、上側から見ると、外周部3bの上側よりも上部外周部3cの開口の方が大きくなる構造となっている。
【0015】
加熱コイル12及び胴ヒータ13は、内釜3を誘導加熱する加熱手段であり、それぞれ円環状に形成されたコイルである。加熱コイル12及び胴ヒータ13は、電源基板17から商用電源を高周波電力に変換した電力の供給を受けて発熱し、内釜3を加熱する。
【0016】
底サーミスタ15は、内釜3の底面に接触する温度センサである。底サーミスタ15は、検出した内釜3の温度に関する情報を、電力信号として電源基板17に伝達する。
【0017】
蓋開ボタン16は、使用者に押されることにより外蓋20と本体1とを係止が解除する。使用者は、これにより、蓋体2を開けることができ、本体1に収納された内釜3を取り出したり、内釜3内のご飯を取り出すことが出来る。
【0018】
電源基板17は、インバーター回路を構成するスイッチング素子などの部品で構成されており、商用電源から加熱コイル12や胴ヒータ13に供給する高周波電力を生成する。また、電源基板17は、炊飯工程において、底サーミスタ15で検知した内釜3の温度が所定の温度になるように、加熱コイル12や胴ヒータ13の加熱量を調節し、内釜3内の被加熱物に対する加熱量を制御する。具体的には、電源基板17は、加熱コイル12への電力供給のONとOFFを切り替える回数や間隔を調整することで、底サーミスタ15で検知した内釜3の温度が所定の温度を維持するように制御する。
【0019】
次に、外蓋20の構造について更に詳細に説明する。
【0020】
外蓋20は、外蓋20の本体1の後方側に接続部26を備えており、当該接続部26と本体1の後上方にあるヒンジ部14とが回転自在に接続している。外蓋20は、このような構造を備えることで、蓋体2全体を本体1と回転自在に接続している。これにより、本体1は、蓋体2が本体1の上面を覆う位置で固定されることで、その内部にある内釜3の密閉性を高めることが出来る。また、本体1は、蓋体2が本体1の上面を覆わない位置に回動することで、内釜3を収納したり、内釜3内のご飯を利用者が取り出すことが出来るようにしたり、することが出来る。
【0021】
外蓋20は、その上面の前側に、炊飯ボタンなどの各種操作ボタンを備えた操作パネル21を設けている。また、外蓋20の内部には、各種操作ボタンに対応した各種入力スイッチが実装された操作基板22を設けている。
操作基板22は、各種入力スイッチからの入力に基づいた制御信号を電源基板17に出力する。操作基板22を構成する回路は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPU、マイコンなどの演算装置とその動作を規定するソフトウェアで構成することもできる。
【0022】
また、外蓋20の下面には、内釜3内の温度を検知する蓋センサー23を設けている。蓋センサー23は、検知した信号を電源基板17に出力する。
【0023】
外蓋20は、本体1側となる内側下面に、炊飯器100の上方から見て内釜3の中心付近からヒンジ部14と接続する接続部26のある炊飯器100の後方向に向かって外蓋20の上面側に大きく窪んだ形状の壁面となる蒸気経路部27を形成している。外蓋20の本体1側は、内蓋30との間に、この蒸気経路部27によって大きな空間を形成する構成となっている。また、蒸気経路部27は、蒸気経路部27の上側壁面で且つ本体1の後方側に、炊飯器100の外と連通する開口となる蒸気排出口28を形成している。つまり、蒸気排出口28は、蒸気経路部27と内蓋30との間に形成された大きな空間と、炊飯器100の外と、を連通させる開口となっている。
他には、外蓋20は、内側側面の前面側に内蓋解除レバー24が設けられ、内側側面の後面側に2つの支持部25が間隔を開けて設けられている。内蓋解除レバー24は、利用者が当該レバーを押し込むことで、内蓋30の外蓋20への係止を解除する。
【0024】
次に、内蓋30について、更に図5図8図12を用いて詳細に説明する。
【0025】
内蓋30は、外蓋20の本体1側となる下面に、着脱自在に取り付けられている。内蓋30は、蓋体2で本体1の上面を閉じた際、内釜3の上部開口を閉塞する位置に設けている。内蓋30は、アルミニウム、ステンレス等の円盤状の板材である板金で主に構成されており、当該板金の周囲に樹脂材料で形成されて取り付けられた第1の凸部31と、第1の凸部31と反対の位置に設けられた第2の凸部32とを有している。内蓋30は、この第1の凸部31を外蓋20の支持部25に差し込み、第2の凸部32を外蓋20の凹部24に止めることで、外蓋20に固定することができる。
【0026】
また、内蓋30の板金部分には、内釜3側に突出した凹み形状のおねば溜め部33と、おねば溜め部33の周囲で平板状の平板部34と、が形成されている。
【0027】
おねば溜め部33は、内釜3の中央付近から炊飯器100の後方にあたる第1の凸部31側の範囲に形成し、板金を外蓋20とは逆側の本体1側となる下方に突出した凹み形状となっている。おねば溜め部33の凹み形状は、板状の板金材に、金属プレスによる絞り加工を行うことで形成する。おねば溜め部33は、内釜3側に突出した平面となる底面部38と、平板部34から底面部38に向かって傾斜した面となる傾斜部39と、を有した構造となっている。おねば溜め部33は、内蓋30を外蓋20に取り付けた状態において、外蓋20の蒸気経路部27と対向する位置となるように構成されており、蒸気経路部27とおねば溜め部33によって、外蓋20と内蓋30との間に大きな空間を形成している。
【0028】
平板部34は、平板状のままを維持したおねば溜め部33周囲にある周辺部34aと、複数の小さな凹凸を形成した平部34bと、を有した構造となっている。
周辺部34aは、内蓋30を外蓋20に取り付けた状態において、蒸気経路部27の内蓋30側の端面27aと対向する位置に設けられ、外蓋20と内蓋30との間の大きな空間を形成する壁面の一部となる。周辺部34aは、外蓋20と内蓋30との間の大きな空間を形成する壁面となる範囲で、且つ内釜3の中央側に、板状の両面側を連通させる貫通穴となる蒸気流入口37を形成する。
平部34bには、外蓋20と内釜3とを連通する穴であるセンサー穴部34cを形成する。蓋センサー23は、内蓋30を外蓋20に取り付けた際、センサー穴部34cから内釜3内の温度を検知できる位置に設けている。
【0029】
なお、本実施の形態では、周辺部34aと端面27aの間に隙間を設けて内蓋30の熱が外蓋20に伝わるのを抑制する構成となっている。なお、上記構成は熱伝導を抑制しつつ大きな空間の外に蒸気が漏れることを抑制できれば、この構造に限定するものではない。例えば、蒸気経路部27を断熱性の高い素材で形成して周辺部34aと端面27aの間の一部もしくは全部を接続するように構成したり、端面27aの先に断熱性がある材質を設けてその材質を介して接触するように構成したり、しても良い。
【0030】
このように、蓋体2には、外蓋20の蒸気経路部27と、蒸気経路部27と対向する位置に設けられた内蓋30のおねば溜め部33と、によって、内蓋30と外蓋20の間に大きな空間を形成している。そして、当該空間は、内蓋30の蒸気流入口37から内釜3内のおねばを含む蒸気を取り込み、当該空間にておねばの蒸気からの分離を促し、外蓋20の蒸気経路部27に設けられた蒸気排出口28から蒸気を炊飯器100の外に排出するものである。つまり、当該空間は、内釜3と炊飯器100の外を空間的に連通させるためのダクトであり、取り込んだ蒸気からおねばを回収して内釜3へ戻すおねば回収構造である。そこで、以降の本開示では、当該空間のことを、おねば回収空間と称して説明する。
【0031】
ここで、本実施の形態は、おねば回収空間を、蒸気経路部27とおねば溜め部33だけでなく内蓋30の周辺部34aを含めて形成している。しかしながら、周辺部34aは、おねば回収空間を形成するために必須の構成ではない。例えば、蒸気経路部27の端面27aをおねば溜め部33の形状に合わせて形成したり、蒸気経路部27の端面27aをおねば溜め部33の窪んだ空間まで突出する位置まで延設する構成にしたり、することで、周辺部34aを含めずにおねば回収空間を形成することができる。
【0032】
おねば溜め部33は、内釜3側に最も突出した平面となる底面部38に、内釜3内とおねば回収空間を連通させる穴となるおねば戻し穴35を形成する。おねば戻し穴35には、内釜3内の蒸気圧に応じて上下に移動しておねば戻し穴35を開閉する開閉弁36を備えている。開閉弁36は、内釜3内の圧力が大気圧に近い値の時に開き、内釜3内の圧力が大気圧より高い任意の値のときに閉じる、という構造となっている。なお、本実施の形態では、開閉弁36は、耐熱性を有するシリコンゴムで形成しているが、例えば耐加水分解性の高い材料であるシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)などで形成してもよい。
【0033】
おねば戻し穴35は、蒸気排出口28に対し炊飯器100の上面から重ならない位置で且つ蒸気排出口28とはおねば回収空間を介して逆側の壁面となる面に設けている。具体的には、おねば戻し穴35は、蒸気排出口28よりも内釜3の中心側となるおねば溜め部33の底面部38に設けている。ここで、内釜3の中心とは、例えば内釜が円筒形状であるならばその中心軸がこれに該当する。ここで、本開示では、このようなおねば戻し穴35と蒸気排出口28との位置関係を「はす向かいの位置」と称し、説明を行う。
【0034】
このように、おねば戻し穴35を、蒸気排出口28に対しておねば回収空間におけるはす向かいの位置に設けることで、おねば回収空間という限られた空間内において蒸気排出口28とおねば戻し穴35との間の距離を大きくすることが出来る。これにより、例えば一時的に内釜3内部の圧力が開閉弁36が開く程度まで下がった状態で蒸気排出口28から外気が侵入したとしても、先におねば回収空間内の気体が内釜3内部に流入する形になるので、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0035】
また、蒸気流入口37は、平板部34における周辺部34aの中でも、おねば溜め部33の傾斜部38との接続部分から近い位置に2つ設けられている。このように、蒸気流入口37をおねば溜め部33の近くに形成することで、蒸気流入口37を通過する際に分離したおねばを効率よくおねば溜め部33内に回収することが出来る。なお、おねば回収空間の壁面として周辺部34aを含まない構造の場合は、おねば溜め部33の傾斜部38の底面部39とは離れた側に設ける。このように構成することで、同様に、蒸気流入口37を通過する際に分離したおねばを効率よくおねば溜め部33内に回収することが出来る。
なお、蒸気流入口37は、短径が1.5mm、長径が4mmの楕円形状をしている。
また、蒸気流入口37は、蒸気排出口28に対し炊飯器100の上面から重ならない位置で且つ蒸気排出口28とはおねば回収空間を介して逆側の壁面となる面となるはす向かいの位置に設けている。加えて、蒸気流入口37は、おねば戻し穴35と同様に、蒸気排出口28よりも内釜3の中心側となる位置に設けている。
【0036】
このように、蓋体2の内蓋30と外蓋20の間に形成されたおねば回収空間は、内蓋30の内釜3の中心側となる位置に形成した蒸気流入口37及びおねば戻し穴35によって、内釜3内と連通する。一方、おねば回収空間は、外蓋20の蒸気経路部27のおねば溜め部33と対向する面となる上面で、炊飯器100の上方から見て蒸気流入口37及びおねば戻し穴35とは重ならない位置且つ外蓋20の後方側の位置に設けられた蒸気排出口28によって、炊飯器100の外と連通する。
また、おねば戻し穴35は、蒸気流入口37の位置と比較し、前後方向では後方である蒸気流出口37側で、上下方向では下方である内釜3側に形成する。
【0037】
このように、蒸気流入口37を、蒸気排出口28に対しておねば回収空間におけるはす向かいの位置に設けることで、おねば回収空間という限られた空間内において蒸気排出口28と蒸気流入口37との間の距離を大きくすることが出来る。これにより、例えば一時的に内釜3内部の圧力が下がって蒸気排出口28から外気が侵入したとしても、先におねば回収空間内の気体が内釜3内部に流入する形になるので、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0038】
また、おねば戻し穴35を蒸気流入口37より低い位置に設けることによって、蒸気から回収したおねばを効率よく内釜3内へ戻すことが出来る。なお、平板部34が無い構成の場合は、蒸気流入口37をおねば溜め部33の凸部を形成する斜面部39に形成することで、同様の効果を得ることが出来る。
また、蒸気流入口37をおねば戻し穴35より蒸気排出口37から離れた側となる内釜3の中心側に設けることによって、常時開口している蒸気流入口37と蒸気排出口37との距離をより離すことが出来るので、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下をより抑制することが出来る。
【0039】
加えて、おねば回収空間は、その壁面の一部が高温にあっためられた内蓋30で形成しているので、侵入した外気がおねば回収空間内を通過する際に内蓋30の熱で加熱されるため、その後さらに外気が内釜3内部に侵入したとしても内釜3内の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0040】
次に、炊飯器100における炊飯処理について説明する。
利用者は、最初に内釜3内に米と水とを収容した後、炊飯ボタンを押す。すると炊飯器100は、加熱コイル12、胴ヒータ13を用いて内釜3を加熱してご飯を炊き上げる炊飯工程を開始する。
【0041】
炊飯工程では、加熱手段によって内釜3内の米と水が加熱され、米に保持された成分の一部が熱によって水に溶け込む。その後、更に加熱されて水の蒸発温度以上になると、内釜3内の水が蒸気に変わっていく。その際、水に溶け込んだ米の成分が粘り気を生み、この成分が蒸気を包み込んだおねば泡が内釜3内に発生する。
【0042】
炊飯工程では、蒸気を継続して生成するように加熱を行うので、おねば泡も併せて継続して発生して内釜3内の上部空間を満たすよう内釜3上方に向けて盛り上がっていく。そして、おねば泡は、内釜3の外周部3bの上側部分が外側に段状になった上部外周部3cに至ると内釜3付近の泡の一部が割られ、中央部分が少し盛り上がったような分布状況になる。
【0043】
そして、内蓋30の中央付近まで到達したおねば泡は、内蓋30に形成された蒸気流入口37を通って、内蓋30の上面と蓋体2の間にあるおねば回収空間に侵入する。おねば泡は、蒸気流入口37を通過する際に割られて液化され、おねばとしておねば回収空間の下方にあるおねば溜め部33に溜められる。また、おねばと分離した蒸気は、蒸気排出口28から外部に排出される。
【0044】
その後、炊飯工程が終了すると、内釜3内の圧力が下がり、開閉弁36は自重とおねばの重さにより下がり、連結口35が開いてそこからおねば溜め部33に溜め込まれたおねばが内釜3内に戻される。おねばにはお米のうまみ成分が含まれているため、このおねばを内釜3内に戻すことにより、美味しいご飯を炊き上げることができる。
【0045】
ここで、、おねば戻し穴35は、おねば溜め部33の最も下方にある底面部38に設けているので、液化したおねばを内釜3内に効率的に戻すことができる構造となっている。また、底面部38は、おねば戻し穴35に向かって内釜3側への凹み量が増えるように傾斜させると、更におねばを内釜3内に効率的に戻すことが出来る。
【0046】
次に、おねば回収空間において、おねばを回収する現象について図10図11に基づいて説明する。図10は蒸気経路でのおねばと蒸気の流れを示す図、図11は蒸気流入口37を通過するおねば泡の変化を示す図である。
【0047】
内釜3内の被加熱物が加熱されると、図11に示すように、内釜3内のおねば泡が内部の圧力で内釜3内の上部空間を満たしていき(a)、内蓋30に達した後に蒸気流入口37から内蓋30に侵入(b)する。
【0048】
ここで、内釜3内で発生するおねば泡は、状況に応じて変わるが、直径4~5mm以上のものがほとんどであり、大きい場合には数cmというものもある。これに対し、蒸気流入口37は、短径が1.5mmとおねば泡の直径に対して非常に小さい。この大きさの違いにより、おねば泡は、蒸気流入口37を通過する際に上方に押し上げられていくに従っておねば泡の液膜が引き伸ばされて薄化し、やがておねば泡が破れる。おねば泡は、泡が敗れると、内部の蒸気と液状のおねばとが分離される。
【0049】
分離された液状のおねばは、図10に示すように、自重にておねば溜め部33に流れこみ、側面部39を経由して底面部38に溜まっていく。一方、おねばと分離した蒸気は、後ろ方向に流れて蒸気排出口28から外部に放出される。
【0050】
このように、おねば回収空間を1枚の板状からなる内蓋30と外蓋20とで形成する炊飯器100であっても、おねば回収空間の蒸気排出口28からはす向かいの位置に蒸気流入口37やおねば戻し穴35を設けた構成にすることにより、おねばを蒸気から分離して回収し内釜3内に戻すことが出来る。これにより、内蓋30が1枚の板状から形成されていても、おねばを回収して内釜3内に戻すことが出来るので、利用者に美味しいご飯を提供することが出来る。
【0051】
また、おねば戻し穴35は、炊飯器100の上面から見て蒸気排出口28と離れた内釜3の中心側となるはす向かいの位置に設けることで、おねば回収空間という限られた空間内において蒸気排出口28とおねば戻し穴35との間の距離を大きくすることが出来る。これにより、例えば一時的に内釜3内部の圧力が開閉弁36が開く程度まで下がった状態で蒸気排出口28から外気が侵入したとしても、先におねば回収空間内の気体が内釜3内部に流入する形になるので、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0052】
また、蒸気流入口37は、炊飯器100の上面から見て蒸気排出口28と離れた内釜3の中心側となるはす向かいの位置に設けることで、おねば回収空間という限られた空間内において蒸気排出口28と蒸気流入口37との間の距離を大きくすることが出来る。これにより、例えば一時的に内釜3内部の圧力が下がって蒸気排出口28から外気が侵入したとしても、先におねば回収空間内の気体が内釜3内部に流入する形になるので、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0053】
また、蒸気流入口37は、開閉弁36を有するおねば戻し穴35よりも蒸気排出口28から離れた位置に設けられているので、内釜3内部への外気流入をより抑制することが出来る。
【0054】
このように、外気の内部への進入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することにより、利用者に美味しいご飯を提供することが出来る。
【0055】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2における炊飯器のおねば回収空間周辺の縦断面概略図である。
実施の形態2は、実施の形態1の炊飯器100の蓋体2のおねば溜め部33と蒸気経路部27によって形成されている内蓋30と外蓋20の間のおねば回収空間に、遮蔽壁29を追加したものである。
【0056】
遮蔽壁29は、おねば回収空間のうち、蒸気流入口37及びおねば戻し穴35と蒸気排出口28とにはさまれた位置に配置されている。具体的には、遮蔽壁29は、蒸気流入口37及びおねば戻し穴35と蒸気排出口28との間にある蒸気経路部27の上面の壁面から、おねば溜め部33に向かって突出するよう設けられている。また、遮蔽壁29は、少なくとも内蓋30との間に、蒸気が通過するための隙間を設けている。加えて、遮蔽壁29の先端は、上下方向において、蒸気流入口37よりも内釜3側となる下方の位置まで突出する構造となっている。
また、周辺部34aと端面27aの間に隙間は、蒸気経路部27に設けられた断熱性を有する弾性体27bによって通気が遮断されており、当該隙間から大きな空間の外へ蒸気が逃げることを防止している。
【0057】
このように、おねば回収空間の蒸気流入口37及びおねば戻し穴35と蒸気排出口28とに挟まれる位置に遮蔽壁29を設けることにより、蒸気排出口28から蒸気流入口37及びおねば戻し穴35までの経路を長くすることができる。これにより、蒸気排出口28から外気が流入しても、蒸気流入口37及びおねば戻し穴35から内釜3内に流入しにくくなる。よって、遮蔽壁29を設けることにより、蒸気排出口28から流入した外気が内釜3内に流入することを抑制でき、外気流入による内釜3内部の被加熱物の温度低下を抑制することが出来る。
【0058】
また、遮蔽壁29は、蒸気経路部27からおねば溜め部3に向かって突出する構造にすることにより、遮蔽壁29よりも蒸気排出口28側のおねば回収空間でおねばが液化しても、おねば溜め部33に回収することが出来る。
【0059】
加えて、遮蔽壁29は、その先端を蒸気流入口37よりも内釜3側まで突出させているので、常時開口している蒸気流入口37と蒸気排出口28との距離をより離すことが出来る。これにより、蒸気排出口28から侵入した外気による内釜3内の被加熱物の温度低下への影響を、更に抑制することが出来る。また、蒸気排出口28から侵入した外気が遮蔽壁29の先端付近を通過する際、内蓋30の近くを通過することになるので、より内蓋30によって外気をあっためることが出来る。これによっても、蒸気排出口28から侵入した外気による内釜3内の被加熱物の温度低下への影響を、更に抑制することが出来る。
【0060】
このように、外気の影響による内釜3内部の温度低下を抑制することにより、利用者に美味しいご飯を提供することが出来る。
【0061】
実施の形態3.
図13は、実施の形態3における炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
実施の形態3は、実施の形態2のおねば回収空間において、遮蔽壁29より蒸気排出口28側に、弾性を有する弁体40を備えている。なお、本実施の形態の弁体40は、シリコン樹脂で形成されているが、例えば弾性を有するゴムなどの素材を用いても良い。
【0062】
実施の形態3における弁体40は、炊飯などを行っていない状態において、蒸気流入口37及びおねば戻し穴35と、蒸気排出口28と、の間の通気を抑制するように設けられている。
なお、弁体40は、その一部に穴を設けて通気可能に構成し、完全に通気を遮断しない構造となっている。このような構造にすることにより、内釜3内の圧力低下によって弁体40に強い圧力がかかることを抑制している。なお、本開示は、弁体40で通気を完全に遮断するものを除くものではない。
【0063】
弁体40は、蒸気排出口28から流れ込んだ外気が内蓋30に接触するのを抑制するよう、遮蔽壁29より蒸気排出口28側のうち、炊飯器100の上面から見た時に内蓋30の少なくとも一部を覆う位置に配置する。本実施の形態の弁体40は、遮蔽壁29に一端を固定し、他端を変形可能なように構成している。また、弁体40の固定されていない他端側の先端は、内釜3内の圧力が高くない状態では、重力により内蓋30の平板部34に載置される。また、この状態では、弁体40は、炊飯器100の上方からみて蒸気排出口28に対抗する内蓋30を覆い隠すような位置に配置する。
【0064】
次に、図14を用いて、弁体40の働きについて説明する。
図14は、実施の形態3における炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図であり、炊飯工程時のように内釜3内の圧力が上昇して弁体40が開いた状態を示している。
【0065】
炊飯器100は、炊飯を行う際、加熱手段により内釜3が加熱されて蒸気が発生し、内釜3内の圧力が上昇する。発生した蒸気は、内釜3内部から蒸気流入口37を通過しておねば回収空間に流入し、蒸気排出口28から炊飯器100の外へ排出される。その際、弁体40は、内釜3内部の圧力が所定以上に高くなった時点で開放方向に変位する。これにより、蒸気の発生量が少ないときは蒸気経路を閉塞することで、余分な蒸気の排出を抑えている。
【0066】
また、弁体40は、内釜3内の圧力が高くないときには、蒸気排出口28と蒸気流入口37及びおねば戻し穴35との間の気流の流れを抑制する構成となっている。これにより、運転時全般において内釜3内の温度低下を抑制できるので、加熱に必要な電力を抑制することが出来る。また、保温時であれば、内釜内への外気流入を抑制することにより黄ばみを抑制することが出来る。
【0067】
また、弁体40は、瞬間的に内釜3内の圧力が下がったときに、蒸気排出口28と蒸気流入口37及びおねば戻し穴35との間の気流の流れを抑制する構成となっている。これにより、炊飯処理時に内釜3内の圧力が急に下がっても、外気流入による温度低下の影響を抑制して沸騰を維持することが出来る。
【0068】
このように実施の形態3の構成を備えることにより、外気の流入による内釜3内の温度低下を抑制し、省エネやご飯の劣化抑制を行うことが出来る。
【0069】
なお、実施の形態3では、弁体40は、弾性体にて構成するものであったが、例えばこれに限らず、例えば重りの自重により塞ぐ構成や、ソレノイドなどの外部動力を用いて開閉を操作する構成であってもよい。
【0070】
実施の形態4
図15は、実施の形態4における炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
【0071】
実施の形態4におけるおねば貯め部33は、蒸気流入口37を炊飯器100の上方からみた前後方向における内釜3の中心側の傾斜部39の上方側に設けている。また、おねば回収空間には、実施の形態2に記載された蒸気流入口37と蒸気排出口28の気流の流れを抑制する遮蔽壁29を備えている。
【0072】
蒸気流入口37は、おねば貯め部33の斜面部39に設けると、蒸気流入口37通過時に液化したおねばがそのまま斜面部39に沿って底面部38に向かって流れる。これにより、蒸気流入口37周囲におねばが残留することが減少し、蒸気流入口37を通過したおねば泡が割れやすくなり、おねば泡と蒸気の分離性能が向上する。また、蒸気流入口37が斜面に形成されているので、蒸気流入口37を通過したおねば泡に斜め方向の重力がかかることになり、おねば泡が割れやすくなり、おねば泡と蒸気の分離性能が向上する。
【0073】
加えて、蒸気流入口37を遮蔽壁29側に向いた斜面に形成すること、蒸気流入口37から見た垂直の方向に遮蔽壁29を配置することができるので、蒸気流入口37からおねば泡や蒸気の噴出があっても、直接蒸気排出口28から飛び出すことがない。また、噴出したおねば泡や蒸気を遮蔽壁29に衝突させることで、おねば泡や蒸気の液化を促進することが出来る。
【0074】
このようにすることで、よりおねば泡の分離性能が向上し、高い火力で沸騰させてもふきこぼれにくい炊飯器100を提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 本体、
2 蓋体、
3 内釜、
3a 底部、
3b 外周部、
3c 上部外周部、
11 内釜収納部、
12 加熱コイル、
13 胴ヒータ、
14 ヒンジ部、
15 底サーミスタ、
16 蓋開ボタン、
17 電源基板、
20 外蓋、
21 操作パネル、
22 操作基板、
23 蓋センサー、
24 内蓋解除レバー、
25 支持部、
26 接続部、
27 蒸気経路部、
27a 端面、
27b 弾性体、
28 蒸気排出口、
29 遮蔽壁、
30 内蓋、
31 第1の凸部、
32 第2の凸部、
33 おねば溜め部、
34、平板部
34a 周辺部、
34b 平部
34c センサー穴部、
35 おねば戻し穴、
36 開閉弁、
37、37a 蒸気流入口、
38 底面部
39 斜面部
40、40a 弁体、
100 炊飯器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15