(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】セルロース基材用バリア層
(51)【国際特許分類】
D21H 19/82 20060101AFI20241025BHJP
D21H 11/18 20060101ALI20241025BHJP
D21H 19/34 20060101ALI20241025BHJP
D21H 19/10 20060101ALI20241025BHJP
D21H 19/18 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
D21H19/82
D21H11/18
D21H19/34
D21H19/10 B
D21H19/18
(21)【出願番号】P 2021562156
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020061009
(87)【国際公開番号】W WO2020216719
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】102019110593.5
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019131233.7
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521456999
【氏名又は名称】パパックス・セールス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】PAPACKS SALES GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ダグ,タフシン
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-527710(JP,A)
【文献】米国特許第02290633(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102017202887(DE,A1)
【文献】米国特許第01957369(US,A)
【文献】特表2019-509403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/00-65/46
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材がパルプを用いてセルロース繊維から形成され、ガスタイト性を増加させる流動性および生分解性の第1のコーティングを前記基材に塗布し、これを固化してコーティングを形成する、コーティングされた基材を製造する方法において、前記第1のコーティングがセルロース繊維およびカゼインを含有し、これらのセルロース繊維およびカゼインが水に溶解されており、前記カゼインが水酸化カルシウムを用いて変成されており、前記第1のコーティングを乾燥した後に、動物性および/もしくは植物性のワックスならびに/または脂質で主に構成される第2の防水コーティングを前記第1のコーティングに塗布することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の防水コーティングが、
・亜麻仁油、
・カルナウバワックス、および/または
・ビーズワックス
の成分の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の防水コーティングが、
・20~30重量%の亜麻仁油、
・40~
50重量%のカルナウバワックス、および
・
25~40重量%のビーズワックス
を含有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流動性の第1のコーティングが、水と、
・乳清、
・寒天、
・オオバコ殻
の成分の少なくとも1つとを
更に含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコーティングが、30~100nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースフィブリルおよび/または5~20nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースフィブリルが水に溶解したナノセルロースを有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のコーティングのセルロース含有量が、2~10重量%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のコーティングを、2つ以上の別々の塗布プロセスで塗布することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記塗布プロセスにおいて、異なる組成物を塗布することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
セルロースから形成され、コーティングされた基材であって、この基材の生分解性の第1のコーティングがガスタイト性を増加させるものであり、前記第1のコーティングがセルロース繊維およびカゼインを含み、前記カゼインが水酸化カルシウムを用いて変成されており、主に動物性および/もしくは植物性のワックスならびに/または脂質の第2の防水コーティングが、乾燥した前記第1のコーティング上に配置されていることを特徴とする基材。
【請求項10】
前記第2の防水コーティングが、
・亜麻仁油、
・カルナウバワックス、
・ビーズワックス
の成分の少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項9に記載の基材。
【請求項11】
前記第2の防水コーティングが、
・20~30重量%の亜麻仁油、
・40~
50重量%のカルナウバワックス、および
・
25~40重量%のビーズワックス
を含有することを特徴とする請求項10に記載の基材。
【請求項12】
前記第1のコーティングが
、
・乳清、
・寒天、
・オオバコ殻
の成分の少なくとも1つを
更に含有し、
前記第1のコーティングが、前記セルロース繊維として、30~100nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースフィブリルおよび/または5~20nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースフィブリルを有することを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の基材。
【請求項13】
前記基材がセルロース繊維を主に含有することを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の基材。
【請求項14】
・容器、
・ナイフ、
・フォーク、
・スプーン、
の物品の少なくとも1つの形状を有することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の基材。
【請求項15】
・カップ、
・ポット、
・皿、
・コーヒーポッド
の物品の少なくとも1つの形状を有することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタイト性(gas-tightness)を増加させる流動性および生分解性の第1のコーティングをセルロース含有基材に塗布して、コーティングされた基材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースで作製された包装、特に成型パルプ(molded pulp)、段ボール、および紙で作製された包装は、次第に需要が高まっている。セルロース繊維は、リサイクルが極めて容易な使用頻度の高い材料である。リサイクルされた原材料(木、紙等)もまた、セルロース包装の製造に理想的である。セルロースは、例えば、パルプ成型プロセスにおいて加工される。セルロース繊維を有する水性パルプが製造され、そこから繊維が成型される。単純な掬い取りプロセスを使用して、水が吸引型を通して吸引されて、セルロース繊維は吸引型の多孔質表面上に堆積される。トランスファープロセスにおいて、吸引型により形成された成型体は、トランスファー型に運ばれて、両側から成型される。追加の熱加工法およびプレス法が使用されてもよく、これは成型体の表面品質を向上させる。あるいは、セルロースは紙または段ボールに加工され、包装材料として使用することができる。
【0003】
コーティングを用いてセルロース含有基材を実質的にガスタイト性にすることが先行技術から知られている。この目的のために、セルロース繊維、特に例えばセルロース製のミクロフィブリルおよび/またはナノフィブリルで、基材をコーティングすることができる。
【0004】
そのようなコーティング法は、欧州特許出願公開第3444399号明細書、特開2015-227517号公報、特開2012-011651号公報、国際公開第2017/144009号、欧州特許第2529942号明細書、および国際公開第2017/072124号といった刊行物によって知られている。セルロースフィブリルでコーティングされた基材は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリマーだけでなく、ポリ乳酸またはポリビニルアルコール等の生分解性ポリマーによっても、さらにコーティングされる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、天然原材料で主に作製された、食品包装用のほぼガスタイト性およびウォータータイト性の包装を製造することである。
【0006】
本発明によれば、この目的は、動物性および/もしくは植物性のワックスならびに/または脂質で主に構成された第2の防水コーティングが第1のコーティングに塗布されることで達成される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第2のコーティングは、例えば、少なくとも90重量%の動物性および/もしくは植物性のワックスならびに/または脂質を含有してもよい。第2のコーティングは、少なくとも70重量%の動物性および/または植物性のワックスを含有してもよい。
【0008】
第1のコーティングおよび/または第2のコーティングは、スプレー法により塗布されてもよい。
【0009】
換言すれば、セルロース基材に塗布されるシール層は、天然ワックスおよび/または油脂の層を塗布することにより耐水性および耐湿性とすることができる。天然ワックスおよび/または脂質は、主に脂肪酸のエステルからなり、試験法CEC-L-33-A-93によれば、油溶性生成物として、易生分解性である。よって、このコーティングされた包装全体は、セルロース繊維、場合により他の天然成分、および天然脂質またはワックスから主に構成されることから、環境に優しい様式で廃棄することができ、またリサイクルすることができる。
【0010】
具体的には、第2のコーティングは、
・亜麻仁油、
・カルナウバワックス、および/または
・ビーズワックス
の成分の少なくとも1つを含有してもよい。
【0011】
亜麻仁油は、第2のコーティングを形成する油-ワックス混合物の展性(malleability)を改善するために、および乾燥後の脆性を最小化するために使用される。医薬用の、すなわち完全に浄化された純粋亜麻仁油が使用されるべきである。亜麻仁油は、硬化しにくい油の1つであり、何世紀にもわたり木材への含浸に使用されてきたものである。亜麻仁油だけの層は開放細孔を有し、すなわち僅かながら水および空気が通過することができ、恒久的に密封する食品包装には適していない。
【0012】
カルナウバワックスは熱帯産の非常に硬いワックスであり、高い融点(約85~89℃)を有する。それ自体は臭いまたは味はほとんどなく、防水性である。乾燥すると非常に脆く、数秒以内に硬化する。その硬さにより、非常に耐摩耗性でもある。このワックスは食品の包装に認可されており、例えばマンゴー、菓子等の保存可能期間を長くするためのコーティングとして長い間にわたり使用されてきたものである。
【0013】
ビーズワックスは、ヨーロッパをはじめ、他の場所で生産されているワックスであり、カルナウバワックスより硬くはない。カルナウバワックスに混合することで、ビーズワックスはその脆性を低減するのに役立つ。固有の臭気または味はほとんどなく、また食品に関連した使用にも認可されている。その融点は約65℃である。
【0014】
特に、第2のコーティングは、
・20~30重量%の亜麻仁油、
・40~60重量%のカルナウバワックス、および
・30~40重量%のビーズワックス
の成分を含有してもよい。
【0015】
この混合物は、3つの成分のプラスの特性、すなわち高い不透過性および耐摩耗性、無臭または無味、ならびに周囲温度での高い柔軟性(flexibility)を有する。セルロースミクロフィブリルまたはセルロースナノフィブリルの下地層と組み合わされたこの混合物のコーティング特性は、食品包装に必要な耐水性およびガスタイト性の要件を満たすのに極めて好適である。
【0016】
実際に、第1のコートを生成するための流動性の第1のコーティング溶液は、水に溶解したセルロースナノフィブリルまたはミクロフィブリルを有し得る。ナノセルロースは、30~100nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースミクロフィブリル、および/または5~20nmの範囲内のメジアン径を有するセルロースナノフィブリルを有する。産業的に流通しているセルロースフィブリルは、しばしばミクロフィブリルとナノフィブリルの混合物である。実験から、2重量%のナノセルロースと98重量%の水との混合物が、第1のコーティングとして有用であることが実証された。より高いセルロース含有量が選択されると、湿気に起因する繊維含有基材の変形を低減または回避することができ、乾燥時間を短縮することができる。実際に、セルロース含有量は第1のコーティング溶液の2~10重量%が適していた。
【0017】
しかしながら、コーティング中には、ガスの浸透に対するセルロース基材の不透過性を増加させる他の有機材料が存在する。例えば、カゼイン粉末に水を混合して、水酸化カルシウムで変性してもよい。カゼインは、基材の不透過性および機械的強度を増加させる。水酸化カルシウムで変性されたカゼインもまた、ある程度撥水性となる。また、カゼインを重曹で変性することも可能であるが、これはカゼインを撥水性にしない。カゼインによるコーティングは、乳製品や、カゼインを生成し得る製造に特に適している。カゼインコーティングの強度増加効果により、基材は、使い捨てのカトラリーの製造等においてプラスチックの代替品等として使用することができる。使い捨てのカトラリーはまた、防水性の第2の層を有するセルロースコーティング基材から作製することができる。一方、カゼインコーティングは、強度を著しく増加させることができることから、強度が重要な、例えば、ナイフを形成するために基材を使用できる。
【0018】
実際に、30gのカゼイン粉末を100mlの水に約8~10時間浸漬し、30gの水酸化カルシウムを添加して撹拌した。さらに50mlの水を添加した後、溶液を漉してコーティングに使用した。このコーティングは、セルロース繊維によるコーティング後に、またはセルロース繊維によるコーティングの代わりに塗布してもよい。第1のコーティングはまた、セルロース繊維およびカゼインの両方を含有してもよい。
【0019】
乳清もまた、第1のコーティングの成分として適している。乳清は、熱(90~100℃)により変性され得る。第1のコーティングの一部としての乳清はまた、コーティングされた基材の強度を増加させる。乳清コーティング自体は撥水性ではなく、したがって第2のコーティングで防水性にしなければならない。
【0020】
最後に、寒天(藻類からのゼラチン)またはオオバコ殻(オオバコ種であるプランタゴ・インディカ(Plantago indica)、プランタゴ・アフラ(Plantago afra)の種子殻)等のゲル形成成分が、第1のコーティングへの添加に適している。この目的のために、寒天粉末を水と混合し、100℃で1分間変性させる。これを冷却すると固まって、ゲル化する。ゲルを基材に塗布してもよく、基材の細孔を塞ぎ、その強度を増加させ、水をはじく薄層を形成する。
【0021】
粉砕されたオオバコ殻を水に浸漬し、約20分間膨潤した後に基材に塗布すると、同様の効果が達成される。
【0022】
上述したように、第1のコーティングの成分は、水に溶解され、同時に塗布され得る。しかしながら、第1の非防水コーティングの様々な成分をいくつかの塗布プロセスにおいて基材に塗布することもまた可能である。
【0023】
第1のコーティングは、天然ワックスおよび脂質の第2のコーティングが塗布される前にまず乾燥され得る。水を含有する第1のコーティングは、油およびワックスの第2のコーティングとは混合せず、したがって第2のコーティングが塗布される前に完全に乾燥させることが望ましい。
【0024】
最初に言及したように、基材自体はセルロース繊維から形成される。特に、基材は、その後のプレスまたは熱成型を伴うまたは伴わないパルプ成型プロセスを使用して、薄肉製品として製造することができる。
【0025】
基材は、多くの異なる形状、例えば
・カップ、
・ポット、
・容器、
・ナイフ、
・フォーク、
・スプーン、
・皿
の形状を有してもよい。
【0026】
基材は、食品包装または使い捨ての食器もしくはカトラリーとして機能し得る。特に使い捨てのカトラリーとして使用される場合、第1のコーティングの様々な成分により達成され得る強度の増加は、極めて重要である。
【0027】
さらに、飲み物を調製するための粉末、特に挽いたコーヒー豆が充填されるカプセルの製造が想定され得る。コーヒーの個別包装された1回使用分の容器の需要が高まっている。このために様々な包装技術が使用される。純粋なアルミニウム包装は、高レベルの密閉性を提供し、それに包装されたコーヒーは長期間保存され得る。しかしながら、これはまた包装の製造において多くのエネルギーおよび高い材料費を必要とし、大量の廃棄物をもたらす。いわゆるコーヒーポッドは、セルロースフリース内にラップされたコーヒーの分量である。この包装は、アルミニウム包装よりも重量が少なく、またより容易に生分解することができる。しかしながら、パッドは密閉性に欠き、したがってそれに包装されたコーヒーはそれほど長くは保存できず、またはその香りを失う。
【0028】
本明細書に記載の基材からなるカプセルで作製された1回使用分のコーヒー容器は、高度の密閉性を有し、これはコーティングされていないセルロース繊維で作製されたパッドの密閉性よりもはるかに高い。その結果、コーヒーをはるかに長期間保存することができる。カプセルは、例えば上述のコーティングを有する紙層からなるカバー層でシールしてもよい。このカプセルは、天然原材料、すなわちセルロースならびに天然ワックスおよび脂質のみからなり、容易に廃棄またはリサイクルすることができる。
【0029】
カプセルを製造するために、パルプ成型プロセスを使用して、トレイ、すなわちいくつかの陥凹部を有する単層体をまず製造することができる。このトレイおよび陥凹部には、まずナノセルロースを含む懸濁液が噴霧される。この第1のコーティングが乾燥した後に、ワックスおよび油、特に25重量%の亜麻仁油、50重量%のカルナウバワックスおよび25重量%のビーズワックスの混合物が、第2のコーティングとして塗布される。この第2のコーティングは噴霧してもよく、または第1のコーティングを有する基材をこの混合物に浸漬してもよく、次いでワックス/油混合物が、加熱により第1のコーティングを有するセルロース基材の細孔内に深く浸透し、均一に分布する。このようにして、最終製品のタイト性が増加する。
【0030】
トレイはまた、第1のコーティングが噴霧された後に、特に加熱された型を用いて再プレスされてもよい。これは乾燥プロセスを加速させる。
【0031】
第2のコーティングのワックスおよび脂質は、塗布のために液体状態を維持するように、例えば90℃の温度まで加熱される。第2のコーティングの材料のための加熱された貯蔵部は、第1のコーティング用の乾燥チャネルのすぐ近くに配置してもよい。第2のコーティングを塗布するためのノズルもまた加熱してよい。第2のコーティングは、プロセスにおいて短時間(数秒)で冷却されて硬化する。そして食品包装として使用することができる。
【0032】
トレイの陥凹部により形成されるカプセルは、次いで意図される量のコーヒーで充填され、シールで密封される。シールは、ガスタイト性および耐水性とするために、同じくナノセルロースの第1のコーティングと、動物性および/もしくは植物性のワックスならびに/または脂質との第2のコーティングが施された紙層から構成されてもよい。
【0033】
密封作業は、トレイの形状に合わせて精密に設計されたツールを使用して行われ、このツールは、トレイの成型されたパルプウェブ上のコーヒーで充填されたトラフの間を密封する。ツールは、トレイの陥凹部の間のウェブ上に設置され得る幅約5mmの金属ウェブを有する。ツールは、加熱され、圧力をもってトレイ上に押し付けられてもよく、これは必要な場合には対向型(counter-mold)内で行ってもよい。対向型は、トレイのウェブに必要な圧力を印加することを可能にし、密封作業を行うことができるようにトレイを正確に所定位置に保持する。
【0034】
密封作業の後、トレイは個々のカプセルに切断してもよい。しかしながら、いくつかのカプセルを有するより大きなセクションに切断することも可能であり、これは次いでハサミによって、またはトレイの2つの中空部の間の密封されたウェブに付けられたミシン目に沿った分離によって、分離してもよい。
【0035】
このようにコーティングされた基材はまた、他の物品、特に鮮度を保つためにほぼガスタイト様式で包装する必要がある食料品の包装にも適していることが分かる。特に、スープの混合のための調味料ミックスまたは粉末等の乾燥食品が、そのようなコーティングを有するビーカー内に包装されてもよい。このようにしてコーティングされた基材はまた、短時間に水と接触する食事用の皿または飲料用のカップとしても使用することができる。