(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】自動二輪車バッグの支持および傾斜キット
(51)【国際特許分類】
B62J 9/23 20200101AFI20241025BHJP
A45C 11/34 20060101ALN20241025BHJP
【FI】
B62J9/23
A45C11/34 E
(21)【出願番号】P 2021563399
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2020055219
(87)【国際公開番号】W WO2020245732
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102019000008382
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519154416
【氏名又は名称】ジビ エス ピー エイ
【氏名又は名称原語表記】GIVI S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ ヴィセンツィ
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530306(JP,A)
【文献】特表2018-531837(JP,A)
【文献】特開2012-197008(JP,A)
【文献】中国実用新案第201325517(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車の少なくとも1つのバッグ(100、101、102)用の支持および傾斜キット(10)であって、
前記自動二輪車のフレーム(200)に取り付けられるように構成された支持フレーム(20)を備え、前記支持フレーム(20)は、第1部分(21)および第2部分(22)を含む少なくとも2つの部分(21~24)を備え、前記第1部分(21)は前記第2部分(22)から離間して配置され、前記第1部分(21)は第1幾何学的軸線(U)に沿って配置され、前記第2部分(22)は第2幾何学的軸線(L)に沿って配置され、前記第1幾何学的軸線(U)は前記第2幾何学的軸線(L)に平行し、
前記支持フレーム(20)と、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)とを分離可能に係合するように構成された支持手段(40、50)を備え、前記支持手段(40、50)は、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)と、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)に対応する前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の第1部分と、を係合するように構成された少なくとも1つの第1支持手段(50)と、前記支持フレーム(20)の前記第2部分(22)と、前記支持フレーム(20)の前記第2部分(22)に対応する前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の第2部分と、を係合するように構成された少なくとも1つの第2支持手段(40)と、を備え、
支持ベース(31)と、少なくとも1つのフック付き要素(32)と、を備える少なくとも1つの傾斜装置(30)を備え、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)は少なくとも1つのスペーサアーム(321)を備え、前記少なくとも1つのスペーサアーム(321)は、前記支持ベース(31)で枢動される第1端部(323)と、第2端部と、を備え、前記第2端部は、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)と前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分とを係合するように構成されたフック部分(322)を備え、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)は、旋回回転されて、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)からの係合解除位置から、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)との係合位置へ移行するように構成され、
前記少なくとも1つのフック付き要素(32)が前記係合解除位置にあるとき、前記フック部分(322)は、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)を、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分から解放し、
前記少なくとも1つのフック付き要素(32)が前記係合位置にあるとき、前記フック部分(322)は、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)を、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分と係合し、
前記支持および傾斜キット(10)は、走行状態から傾斜状態に切り替わるように構成され、
前記支持および傾斜キット(10)が前記走行状態であるとき、前記少なくとも1つの第1支持手段(50)および前記少なくとも1つの第2支持手段(40)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)を前記支持フレーム(20)と係合し、前記傾斜装置(30)の前記フック付き要素(32)は前記係合解除位置にあり、
前記支持および傾斜キット(10)が前記傾斜状態であるとき、前記少なくとも1つの第1支持手段(50)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分を前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)から係合解除し、前記少なくとも1つの第2支持手段(40)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第2部分を前記支持フレーム(20)の前記第2部分(22)と係合し、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)が第3幾何学的軸線(V)に対して傾斜し、前記フック付き要素(32)が前記係合位置にあり、前記第3幾何学的軸線(V)は、前記第1幾何学的軸線(U)および前記第2幾何学的軸線(L)を通る幾何学的平面と同一平面上にあり、前記第3幾何学的軸線(V)は、前記第1幾何学的軸線(U)および前記第2幾何学的軸線(L)に対して垂直である、支持および傾斜キット(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持手段(40、50)は前記支持フレーム(20)に取り付けられ、前記少なくとも1つの第1支持手段(50)は前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)に取り付けられ、前記少なくとも1つの第2支持手段(40)は前記支持フレーム(20)の前記第2部分(22)に取り付けられていることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持手段(40、50)は前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)に取り付けられ、前記少なくとも1つの第1支持手段(50)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分に取り付けられ、前記少なくとも1つの第2支持手段(40)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第2部分に取り付けられていることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記少なくとも1つの傾斜装置(30)の前記支持ベース(31)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)に取り付けられ、前記フック部分(322)は、前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)と係合するように構成されていることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記スペーサアーム(321)の前記フック部分(322)は、少なくとも一部分が前記支持フレーム(20)の前記第1部分(21)と密着するような形状の壁を備えることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記スペーサアーム(321)の前記フック部分(322)は、前記壁の端部から第4幾何学的軸線H側に突出するフィン(324)を備えることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項7】
請求項1~3の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記少なくとも1つの傾斜装置(30)の前記支持ベース(31)は、前記支持フレーム(20)に取り付けられており、前記フック部分(322)は、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分と係合するように構成されていることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記少なくとも1つの傾斜装置(30)の前記少なくとも1つのスペーサアーム(321)の前記第1端部(323)は、ピン(34)を用いて前記支持ベース(31)で枢動され、
前記ピン(34)は、第4幾何学的軸線(H)に沿って配置され、前記第4幾何学的軸線(H)は、前記第1幾何学的軸線(U)と平行であることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記ピン(34)はねじりばね(33)を取り付け、
前記ねじりばね(33)は、ねじりの量がより多い位置から、ねじりの量がより少ない位置に切り替わり、
前記ねじりばね(33)の前記ねじりの量がより多い位置は、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)の前記係合解除位置に対応し、
前記ねじりばね(33)の前記ねじりの量がより少ない位置は、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)の前記係合位置に対応することを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持ベース(31)は、前記支持ベース(31)に取り付けられた少なくとも1つのスライダ(35)を備え、前記少なくとも1つのスライダ(35)は、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)との係合位置から、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)からの係合解除位置に切り替わるように構成され、
前記少なくとも1つのスライダ(35)の前記係合位置は、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)の前記係合解除位置に対応し、前記少なくとも1つのスライダ(35)の少なくとも一部分は前記少なくとも1つのフック付き要素(32)の少なくとも一部分と係合し、前記フック付き要素(32)の旋回回転をロックし、
前記少なくとも1つのスライダ(35)の前記係合解除位置は、前記少なくとも1つのフック付き要素(32)の前記係合位置に対応し、前記少なくとも1つのスライダ(35)は前記少なくとも1つのフック付き要素(32)から係合解除されて、前記フック付き要素(32)の旋回回転が可能となることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持および傾斜キット(10)が前記傾斜状態であるとき、前記第3幾何学的軸線(V)と前記スペーサアーム(321)との間の第2角度φは、10度と170度との間であることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項12】
請求項11に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記第2角度φは、90度よりも大きいことを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)に取り付けられた係合手段(140、150)を備え、前記係合手段(140、150)は、前記少なくとも1つの第1支持手段(50)と係合するように構成された少なくとも1つの第1係合手段(150)と、前記少なくとも1つの第2支持手段(40)と係合するように構成された少なくとも1つの第2係合手段(140)と、を備えることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項14】
請求項13に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記第1係合手段(150)は前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分に取り付けられ、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第1部分は前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の上部分であり、前記第2係合手段(140)は前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第2部分に取り付けられ、前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の前記第2部分は前記少なくとも1つのバッグ(100、101、102)の下部分であり、前記第1部分(21)は前記支持フレーム(20)の上部分であり、前記第2部分(22)は、前記支持フレーム(20)の下部分であることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項15】
請求項1~
14の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持フレーム(20)の前記少なくとも2つの部分は、少なくとも2つの管状要素(21~24)であり、前記第1部分(21)は第1管状要素であり、前記第2部分は、第2管状要素(22)であり、前記第1管状要素(21)は前記第1幾何学的軸線(U)に沿って配置され、前記第2管状要素(22)は、前記第2幾何学的軸線(L)に沿って配置されていることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【請求項16】
請求項1~
15の何れか一項に記載の支持および傾斜キット(10)であって、前記支持フレーム(20)は前記自動二輪車の前記フレーム(200)と一体であることを特徴とする、支持および傾斜キット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持および傾斜キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、自動二輪車バッグ用の支持フレームとして、バッグを傾けることが不可能な状態でバッグをフレームに固定する支持フレームが既知である。
【0003】
自動二輪車が、任意の上部バッグ用の上部支持フレームと、少なくとも1つの側部バッグ用の少なくとも1つの側部支持フレームと、を取り付ける場合、上部支持フレームが取り付けられた上部バッグが存在することによって開口部が制約されるため、側部バッグの蓋を完全に開くことができない。側部バッグを完全に開くためには、側部バッグを側部支持フレームからから取り外す、または上部バッグを上部支持フレームから取り外す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上部支持フレームが取り付けられたバッグが存在しても、側部バッグの蓋を完全に開けることができるように、側部バッグごとの支持および傾斜キットを実現することである。このキットは、バッグが傾斜している場合でもバッグの安全な支持を保証する。このキットによって、傾斜位置でも、バッグを支持フレームと係合したままに留めることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、このような課題は、請求項1に記載の支持および傾斜キットによって達成される。
【0006】
他の特徴は、従属請求項に想定されている。
【0007】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の説明からより明らかになる。図面は、例示するものであって限定するものではないと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による、傾斜構成で配置された、自動二輪車の横方向に配置されたバッグごとの2つの支持および傾斜キットを取り付けた自動二輪車の後方からの平面図である。各キットは、各々がバッグを取り付ける側部支持フレームを備える。自動二輪車には、別のバッグを取り付ける上部支持フレームも取り付けられている。
【
図2】支持および傾斜キットの走行構成の斜視図である。この支持および傾斜キットは、4つの管状要素を備える上記支持フレームを備える。第1上部管状要素は、バッグの上部分と係合する第1上部支持手段を取り付ける。第2下部管状要素は、2つの第2下部支持手段を取り付ける。第2下部支持手段は、それぞれ、バックに取り付けられたそれぞれの下部係合手段と係合する。傾斜装置は、バッグに取り付けられた支持ベースと、支持ベースで係合解除位置に枢動されるフック付き要素と、を備える。支持ベースは、フック付き要素との係合位置にスライド可能に取り付けられたスライダを備える。
【
図4】支持フレームから取り外されたバッグの斜視図である。バッグは、スライダがフック付き要素と係合する位置にある状態で、傾斜装置を取り付ける。バッグは、2つの第2下部係合手段を取り付ける下部分を備える。
【
図5】
図4の拡大図であり、第2下部係合手段を示す。第2下部係合手段は、第1部分および第2部分を有する開口部を備える。第2部分は、第1開口部よりも寸法が大きい。
【
図6】傾斜構成の支持および傾斜キットの斜視図である。第1上部支持手段は、バッグから係合解除され、2つの第2支持手段は、バッグの下部分に取り付けられたそれぞれの第2下部係合手段と係合したままである。バッグは、垂直の幾何学的軸線に対してある角度で傾斜している。傾斜および支持装置のフック付き要素は、第1上部管状要素と係合位置にある。バッグは開いている。
【
図7】
図6の側面図である。しかしながら、バッグは閉じられている。
【
図8】支持フレームから取り外されたバッグの斜視図である。バッグは、スライダが係合解除位置にあり、フック付き要素が、第1上部管状要素にフックするように適合された位置においてピン上で上方に回転された状態で、傾斜装置を取り付ける。
【
図9】フック付き要素が係合解除位置にあり、スライダが支持ベースと係合位置にある、傾斜および支持装置の下からの斜視図である。
【
図12】フック付き要素が係合位置にあり、スライダが支持ベースからの係合解除位置にある、傾斜および支持装置の下からの斜視図である。
【
図15】傾斜および支持装置の分解図であり、ピンおよびねじりばねを示す。
【
図16】第1上部支持手段および2つの第2の下部支持手段を取り付ける支持フレームの斜視図である。第2下部支持手段は各々、ステムを備える。ステムは、ステムの横方向の寸法に対してより大きな横方向寸法のヘッドを備える。
【
図17】
図16に示したものに対して代替的な支持フレームの斜視図である。この支持フレームは、2つの第1上部支持手段を取り付ける。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述の図および特に
図1を参照すると、自動二輪車上に横方向に配置されたバッグ100、101用の2つの支持および傾斜キット10を取り付けた自動二輪車が示されている。2つのキット10は各々、傾斜構成にある。各キット10は、側部支持フレーム20を備える。側部支持フレーム20は各々、側部ケース101を取り付けている。自動二輪車はまた、別の上部バッグ100、102を取り付ける上部支持フレーム20も取り付けている。
【0010】
自動二輪車の少なくとも1つのバッグ100、101用の支持および傾斜キット10は、図において横方向に取り付けられている。
【0011】
支持フレーム20は、上記自動二輪車のフレーム200に関連付けられるように適合されている。
【0012】
上記支持フレーム20は、少なくとも2つの管状要素21~24、第1管状要素21と、第2管状要素22と、を備える。
【0013】
特に
図1~
図3、
図6、
図7および
図16に示すように、上記第1管状要素21は、上記支持フレーム20の上部分であり、上記第2管状要素22は、上記支持フレーム20の下部分である。
【0014】
図示の支持フレーム20は、4つの管状要素21~24を備える。
【0015】
上記第1管状要素21は、上記第2管状要素22から離間している。上記第1管状要素21は、第1上部幾何学的軸線Uに沿って配置されている。また、上記第2管状要素22は、第2下部幾何学的軸線Lに沿って配置されている。上記第1幾何学的軸線Uは、上記幾何学的軸線Lに平行である。
【0016】
支持および傾斜キット10は、支持手段40、50を備える。支持手段40、50は、上記支持フレーム20に取り付けられ、上記少なくとも1つのバッグ100、101と分離可能に係合するように適合されている。
【0017】
上記支持手段40、50は、上記第1上部管状要素21に取り付けられた少なくとも1つの第1上部支持手段50と、上記第2下部管状要素22に取り付けられた少なくとも1つの第2下部支持手段40と、を備える。
【0018】
キット10は、上記少なくとも1つのバッグ100、101に取り付けられた係合手段150、140を備える。
【0019】
図示の上記係合手段140、150は、上記少なくとも1つの第1上部支持手段50と係合するように適合された第1上部係合手段150と、2つの第2下部係合手段140と、を備える。第2下部係合手段140は各々、上記少なくとも1つの第2支持手段40と係合するように適合されている。
【0020】
上部係合手段150は、バッグ100の内部に含まれている。上部支持手段50は、バッグ100の上部貫通開口部を通過し、第1上部係合手段150によって係合されるように適合されている。
【0021】
特に
図1~
図8に示されるように、上記第1係合手段150は、上記少なくとも1つのバッグ100、101の上部分に取り付けられている。上記第2係合手段140は、上記少なくとも1つのバッグ100、101の下部分に取り付けられている。
【0022】
特に
図1~
図8、
図16、
図17、
図18に示すように、上記第2下部管状要素22に取り付けられた上記少なくとも1つの第2支持手段40は、上記第2管状要素22から長手方向軸線Wに沿って延びるステム41を備える。上記ステム41は、ヘッド42を備える。上記ヘッド42は、上記ステム41の横方向の寸法に対して、より大きな横方向寸法である。横方向の寸法は、ステム41がそれに沿って延びる上記長手方向軸線Wに垂直な横方向の幾何学的平面上で測定される。
【0023】
図示のように、上記ヘッド42は、第2下部係合手段140の相補的な開口部60に迅速に接続されるように適合されたキノコ形状を有する。
【0024】
特に
図18に示すように、第2下部支持手段40は支持クランプを備える。支持クランプは、第2下部管状要素22の第1部分を抱き込むように適合された第1顎部43を備える。第1顎部43は、第1貫通穴を備える。第2支持手段40の支持クランプは、第2顎部44を備える。第2顎部44は、上記第2管状要素22の第2部分を抱き込む。第2顎部44はまた、第2貫通穴を備える。
【0025】
第2支持手段は、ガイドねじ45を備える。ガイドねじ45は、ヘッド42と、少なくともねじ部分を構成する円筒体形状のステム41と、からなる。
【0026】
上記ガイドねじ45は、上記第1顎部43の上記第1貫通穴を通り、上記第2管状要素22の貫通穴を通り、上記第2顎部44の上記第2貫通穴を通って取り付けられる。
【0027】
特に
図5に示すように、上記少なくとも1つの第2係合手段140は、上記開口部60を備える。上記開口部60は、第1部分61と、第2部分62と、を備える。第1部分61は、上記第2支持手段40の上記ステム41の挿入を可能にするように適合されている。第2部分62は、上記第1部分61よりも大きな寸法であり、上記第2支持手段40の上記ヘッド42の挿入を可能にするように適合されている。
【0028】
上記第2支持手段40は、上記第2係合手段140との係合構成から上記第2係合手段140の係合解除位置まで通過するように適合されている。
【0029】
上記第2支持手段40の上記係合構成によって、上記ステム41は上記開口部60の上記第1部分61に挿入され、上記ヘッド42は上記開口部60の上記第1部分61の端壁と同一平面にあり、第2支持手段40が第2係合手段140の上記開口部60から係合解除されることを防止する。
【0030】
有利には、第2支持手段40のヘッド42は、バッグ100、101が傾斜することを可能にし、第2支持手段40を上記第2係合手段140と係合した状態に維持する。
【0031】
上記第2支持手段40の上記係合解除構成によって、上記ステム41は上記開口部60の上記第1部分61から係合解除され、上記ヘッド42は上記開口部60の上記第2部分62を通過できる。
【0032】
特に
図9~
図15に示されるように、キット10は、上記少なくとも1つのバッグ100、101に取り付けられた支持ベース31と、少なくとも1つのフック付き要素32とを有する傾斜装置30を備える。
【0033】
上記フック付き要素32は、2つのスペーサアーム321を備える。スペーサアーム321は各々、上記支持ベース31で枢動される第1端部323を備える。2つのスペーサアーム321の第2端部は、上記第1管状要素21と係合するように適合されたフック部分322を備える。
【0034】
上記フック付き要素32は、旋回されて係合解除位置から係合位置へ回転するように適合されている。
【0035】
上記フック付き要素32の上記係合解除位置によって、上記フック部分322は、
図2~
図4に示すように、上記第1管状要素21から係合解除される。
【0036】
上記少なくとも1つのフック付き要素32の上記係合位置によって、上記フック部分322は、
図1、
図6~
図8に示すように、上記第1管状要素21に係合される。
【0037】
上記支持および傾斜キット10は、走行構成から傾斜構成に切り替えるように適合されている。
【0038】
図2および
図3に示すように、上記支持および傾斜キット10の上記走行構成によって、上記少なくとも1つの第1支持手段50および上記少なくとも1つの第2支持手段40は、上記少なくとも1つのバッグ100、101と係合し、上記傾斜装置30の上記フック付き要素32は上記係合解除位置にある。
【0039】
図1、
図6および
図7に示すように、上記支持および傾斜キット10の上記傾斜構成によって、上記第1支持手段50が上記バッグ100、101から係合解除され、上記第2支持手段40が上記バッグ100、101と係合され、上記バッグ100、101が第3幾何学的軸線Vに対して角度θで傾斜し、また上記フック付き要素32が上記係合位置にある。
【0040】
上記第3幾何学的軸線Vは、上記第1幾何学的軸線Uを通り上記第2幾何学的軸線Lを通る幾何学的平面に対して同一平面上にある。上記第3幾何学的軸線Vは、上記第1幾何学的軸線Uおよび上記第2幾何学的軸線Lに対して垂直である。
【0041】
支持および傾斜キット10が自動二輪車のフレーム200に横方向に取り付けられている場合、
図1に示すように、第3幾何学的軸線Vは、地面と直角をなす垂直軸線である。
【0042】
角度θは、60進法の0度と60度との間である。
【0043】
角度θの延長に対する制約は、傾斜装置30のフック付き要素32のスペーサアーム321の長さに依存する。
【0044】
角度θの延長に対する別の制約は、ステム41の長さ、および第2支持手段40のヘッド42の横方向の寸法に依存する。ステム41およびヘッド42の寸法によって、第2支持手段40と第2係合手段140との間の最大係合角度が制限されるためである。この最大係合角度を超えて、バッグ100、101は、少なくとも底部において、支持フレーム20から係合解除される。
【0045】
特に
図9~
図15に示されるように、上記傾斜装置30の上記スペーサアーム321の上記第1端部323は、ねじりばね33を取り付けるピン34を用いて、上記支持ベース31で枢動される。
【0046】
上記ピン34は、第4幾何学的軸線Hに沿って配置されている。上記第4幾何学的軸線Hは、上記第1幾何学的軸線Uに平行であり、その結果、上記第2幾何学的軸線Lに平行である。
【0047】
上記ねじりばね33は、より高いねじりの位置から、より低いねじりの位置に切り替わり、上記フック付き要素32を、上記ピン34を中心に回転させる。
【0048】
上記ねじりばね33のより高いねじりの上記位置は、上記少なくとも1つのフック付き要素32の上記係合解除位置に対応する。
【0049】
上記ねじりばね33のより低いねじりの上記位置は、上記少なくとも1つのフック付き要素32の上記係合位置に対応する。
【0050】
上記支持ベース31は、上記支持ベース31に摺動可能に取り付けられたスライダ35を備える。上記スライダ35は、上記フック付き要素32との係合位置から、上記フック付き要素32からの係合解除位置まで通過するように適合されている。係合解除位置においてフック付き要素32は自由であり、旋回されて第4幾何学的軸線Hを中心に回転する。
【0051】
特に
図9~
図11に示されるように、上記少なくとも1つのスライダ35の上記係合位置は、上記少なくとも1つのフック付き要素32の上記係合解除位置に対応し、上記少なくとも1つのスライダ35の少なくとも一部分は上記少なくとも1つのフック付き要素32の少なくとも一部分と係合し、その旋回回転をロックする。
【0052】
特に
図12~
図14に示されるように、上記少なくとも1つのスライダ35の上記係合解除位置は、上記少なくとも1つのフック付き要素32の上記係合位置に対応し、上記少なくとも1つのスライダ35は上記少なくとも1つのフック付き要素32から係合解除されて、旋回回転を可能とする。
【0053】
スライダ35は、支持ベース31のシート36に摺動可能に取り付けられている。上記シート36は、スライダ35の少なくとも一部分の係合位置にあるスライダ35が2つのスペーサアーム321の少なくとも1つの外面の上方にあるように外側に延び、フック付き要素32を係合解除位置にロックする。
【0054】
シート36は、スライダの上部分が突出する上部貫通開口部を備える。この上部貫通開口部は、スライダからバッグ100、101への外部方向に延びるレバー351である。このレバー351は、スライダ35をフック付き要素32との係合位置から係合解除位置まで、またその逆に、手動でスライドさせるために使用される。
【0055】
また、レバー351は、スライダ35が一方の位置から他方の位置へ偶発的に移動するのを防止する安全キャッチを備える。
【0056】
特に
図9~
図15に示されるように、上記スペーサアーム321の上記フック部分322は、上記支持フレーム20の上記第1管状要素21の形状と相補的な形状の壁を備える。上記フック部分322が上記第1管状要素21と係合すると、相補的な形状の壁は、少なくとも一部分が、上記第1管状要素21の外面と密着する。
【0057】
上記スペーサアーム321の上記フック部分322は、上記第4幾何学的軸線Hの方向に、相補的な形状の上記壁の端部から突出するフィン324を備える。このフィン324によって、有利にも、第1管状要素21をより確実に抱き込むことが可能である。
【0058】
上記支持ベース31で枢動されるフック付き要素32の第1端部323は、バッグ100、101の上部分に配置されることが想定されている。そのため、いったんスライダ35が、係合位置からフック付き要素32からの係合解除位置まで通過すると、ねじりばね33によって、フック付き要素32が旋回されて上記係合解除位置から押されて回転することができる。フック付き要素32は、バッグ100、101の裏面120に、上記フック付き要素32の上記第1管状要素21との係合位置まで密着している。フック付き要素32の上記フック部分322は、下から第1管状要素21と係合する。フック部分322およびフィン324の相補的な壁は、第1管状要素21の直径の少なくとも一部分について、第1管状要素21を抱き込む。
【0059】
特に
図7に示すように、キット10の傾斜構成において、第3幾何学的軸線Vとスペーサアーム321との間の第2角度φは、好適には、60進法の90度よりも大きい角度である。そのため、スペーサアーム90は、上から下方に垂下する。上記支持ベース31で枢動される第1端部323は、上記第1管状要素21と係合されるフック部分322の第2端部よりも上の高さに配置されている。この高さは、第2幾何学的軸線Lから始まり第1幾何学的軸線Uに向かう第3幾何学的軸線Vを基準に測定される。
【0060】
傾斜装置30の上記支持ベース31は、バッグ100、101の裏面120を支持フレーム20に対向させて取り付けられている。上記係合手段140および150は、バッグ100、101の裏面120に取り付けられている。
【0061】
有利には、バッグ100用の支持および傾斜キット10によって、キット10が走行構成にあるときに、蓋が開くことをロックするように取り付けられたバッグが存在していても、バッグ100の蓋を完全に開くことができる。
【0062】
有利には、キット10によって、バッグ100が傾斜されている場合でも、バッグ100のための確実な支持が保証される。
【0063】
有利には、キット10によって、バッグ100は、傾斜位置においても支持フレーム20との係合を維持することができる。
【0064】
代替的に、支持フレーム20が第1管状要素21および第2管状要素22のみを備えるようにすることも可能である。
【0065】
代替的に、バッグ100が2つ以上の傾斜装置30を取り付けることができるようにすることも可能である。
【0066】
代替的に、上部バッグ102を支持フレーム20によって画定される幾何学的平面に対して傾斜させることができるように、自動二輪車の少なくともバッグ100、101ごとの支持および傾斜キット10を、上部支持フレーム20の代わりに自動二輪車の上に取り付けることができる。この代替例では、第1管状要素21は前方にあり、一方、第2管状要素22は後方にある。上部バッグ100、102は、角度θだけ上方に傾斜する。また代替的に、バッグをどのように傾斜させたいかに応じて、第1管状要素21が後方にあり、第2管状要素22が前方にある。
【0067】
代替的に、側部バッグ101を前方または後方に向けて傾斜させることができる。この場合、第1管状要素21および第2管状要素22は、支持フレーム20の側部管状要素である。
【0068】
代替的に、バッグ100、101、102を、例えば、タンクもしくはサドルバッグ、またはバッグと同等の寸法の他のアクセサリのような、同等の寸法の物体によって置き換えることができる。
【0069】
代替的に、支持手段40、50を、係合手段150、140と係合させることなく、バッグ100と直接的に係合させることもできる。この代替例では、第2支持手段40と係合するための開口部60をバッグ100に設けることができる。
【0070】
代替的に、
図17に示すように、バッグ100に形成された、それぞれのねじ切りがされた貫通穴に係合する係合ねじである第1代替上部係合手段150を提供する、2つの第1支持手段50がある。
【0071】
代替的に、第3幾何学的軸線Vとスペーサアーム321との間の第2角度φは、60進法の10度と170度との間である。
【0072】
代替的に、支持フレーム20を、上記自動二輪車のフレーム200に関連付けられるように適合されたシートまたはプレートとすることができる。上記代替支持フレーム20は、少なくとも2つの部分21~24、第1部分21、および第2部分22を備える。上記第1部分21は、上記第2部分22から離間されている。上記第1部分21は支持フレーム20の上部分であり、上記第2部分22は支持フレーム20の下部分である。上記第1部分21は第1幾何学的軸線Uに沿って配置され、上記第2部分22は第2幾何学的軸線Lに沿って配置され、上記第1幾何学的軸線Uは上記第2幾何学的軸線Lに平行である。
【0073】
また代替的に、支持手段40、50が自動二輪車の上記フレーム200に取り付けられるように、上記支持フレーム20が上記自動二輪車の上記フレーム200と一体とされる。
【0074】
代替的に、ねじりばね33を、別の同等の弾性要素で置き換えてもよい。または、ピン34およびばね33システムを、ばねのないカウンタウェイトで置き換えてもよい。
【0075】
代替的に、上記少なくとも1つのスライダ35は、上記支持ベース31に回転可能に取り付けられ、上記少なくとも1つのフック付き要素32との上記係合位置から、上記少なくとも1つのフック付き要素32からの上記係合解除位置まで通過するように適合されている。
【0076】
代替的に、上記支持手段40、50は上記少なくとも1つのバッグ100、101、102に取り付けられている。この場合、上記少なくとも第1支持手段50は、上記少なくとも1つのバッグ100、101、102の上記第1部分に取り付けられている。上記少なくとも1つの第2支持手段40は、上記少なくとも1つのバッグ100、101、102の上記第2部分に取り付けられている。
【0077】
代替的に、上記少なくとも1つの傾斜装置30の上記支持ベース31は、上記支持フレーム20に取り付けられている。この場合、上記フック部分322は、上記少なくとも1つのバッグ100、101、102の上記第1部分と係合するように適合されている。
【0078】
このように考案された本発明は、多くの修正および変形が可能である。これらは、すべてが同じ発明の概念内にある。さらに、すべての詳細は、同等の技術的要素によって置き換えることができる。実際には、使用される材料、およびその寸法は、技術的要件に応じて任意の種類のものとすることができる。