(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】自動車両用の照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/74 20170101AFI20241025BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20241025BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20241025BHJP
B60Q 3/283 20170101ALI20241025BHJP
【FI】
B60Q3/74
B60Q3/64
B60Q3/217
B60Q3/283
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016642
(22)【出願日】2022-02-04
(62)【分割の表示】P 2017032375の分割
【原出願日】2017-02-23
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム、ルコール
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-ルイ、タシィー
(72)【発明者】
【氏名】ビラネ、ガイエ
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー、フロランス
(72)【発明者】
【氏名】アイメリク、コニク
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0174499(US,A1)
【文献】米国特許第06527411(US,B1)
【文献】特開2014-227013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/74
B60Q 3/64
B60Q 3/217
B60Q 3/283
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の客室用の照明システムであって、光ビームのビーム成形装置(1)と、前記光ビームを出力ビームへと変換するように構成された投射光学素子(2)とを含んだ照明システムにおいて、前記ビーム成形装置(1)が、複数のサブビームで形成されるピクセル化された光ビームを放出するように構成されており、
前記ビーム成形装置(1)は、
前記ピクセル化された光ビームに関与し得るサブビームをそれぞれが放出することのできる複数の光源(4)と、
前記複数の光源(4)とそれぞれ関連付けられた複数の導波路(6)であって、各導波路(6)が、前記関連付けられた光源(4)によって放出される光のための入光面を含む、前記複数の導波路(6)と、
を含み、
前記投射光学素子(2)は、前記複数の導波路(6)から伝達される光を受ける共通の1つのレンズ(7)を含み、前記レンズは、単一の凸面として形成された出光面を有しており、
前記複数の導波路(6)が前記レンズ(7)に接触しているか、あるいは前記複数の導波路(6)が前記レンズ(7)と一体に形成されている、照明システム。
【請求項2】
前記共通の1つのレンズ(7)は、平凸レンズの形状を有し、前記平凸レンズの平らな面に前記複数の導波路(6)が接触している、請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記共通の1つのレンズ(7)および前記複数の導波路(6)が一体の単一部品として形成されている、請求項
1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記光源(4)のうち少なくとも1つは、少なくとも2つの基本発光体(5)を含んでいる、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項5】
少なくとも1つの発光体が半導体発光体である、請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記少なくとも2つの基本発光体(5)のうち少なくとも2つ同士が、互いに異なる色の光ビームを放出するように構成されている、請求項4または5に記載の照明システム。
【請求項7】
少なくとも2つの基本発光体(5)を含む前記少なくとも1つの光源(4)は、少なくとも2個のチップを伴った発光ダイオードである、請求項4から6のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記導波路(6)は、前記入光面(61)から前記共通の1つのレンズ(7)に向かって寸法の増大する多角形断面を有している、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記投射光学素子(2)は、前記レンズ(7)から出る光の経路上に付加レンズ(8)を含んでいる、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記投射光学素子(2)は、前記出力ビームの出光反射器(3)を含んでいる、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の照明システムを少なくとも1つ装備した車両。
【請求項12】
前記客室の天井の縁におけるコンフォートハンドルの高さの所に照明システムを含んでいる、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記客室の天井に照明システムを含んでいる、請求項11または12に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一つの好適な用途は、自動車工業に関し、車両の装備のため、特に車両の客室内で(照明機能としても知られる)光ビームを放出し得るべき装置の製造のためのものである。照明という用語は、客室の一部分における合図や、あり得る装飾的な照明効果を含むものとして理解されたい。
【0003】
車両の客室には従来、複数の照明装置が設けられている。例えば、オーバーヘッドライト(頭上灯)やリーディングライト(読書灯)がしばしば存在している。オーバーヘッドライトの場合には、概して、運転席側の方へ光を向ける照明システムと、別個に助手席側の方へ光を向ける照明システムとを作動させることの可能なのが一般的である。これは、必要な照明形式があるのと同数のシステムを要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、自動車両の客室における室内照明ビームの精細度を向上させようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動車両の客室用の照明システムに関するものである。そのシステムは、光ビーム成形装置と、光ビームを出力ビームへと変換するように構成された投射光学素子とを含んでいる。ビーム成形装置は、複数のサブビームで形成されるピクセル化された光ビームを放出するように構成される有利さを有している。
【0006】
このタイプの照明システムは、作り出されるべき照明形態を変更することを可能とする。それは、ビームの形状がピクセル化されることで、制御手段によってビームを容易に変更することができるからである。これらの変更は、投射光学素子の変更を必要とはしない。例えば、本発明による単一のシステムは、運転者の方へ光を向ける機能、助手席の乗客の方へ光を向ける機能、後席の乗客の方へ光を向ける機能、および全体照明の機能を持ったオーバーヘッドライトとして役立つことができる。これらの異なる機能同士の間では、ビームの各ピクセルがどのように制御されるかということだけが変更される、という有利さがある。この原理は、窓の上縁付近に位置するコンフォートハンドル(アシストグリップ)の高さの所や、座席の基部における足の高さの所や、ルーフピラーの高さの所にも、同様に申し分なく適用され得る。
【0007】
従って、ピクセル化されたビームの使用が複雑なものであって客室を照明するには不適当であると演繹的に考えられてきたかもしれないのに対して、本発明は、照明素子類の機能を増大させながら同時にそれらの素子類を限定することによって、客室の設備を合理化することを可能としている。
【0008】
本システムは、作動されるサブビーム同士の異なる組合せにそれぞれ対応する複数のビーム形態から、光ビームが選択されるように構成されるのが有利である。各サブビームの作動は、それらを点灯したり消灯したりすることであっても、また光度その他の光のパラメータを変化させることであってもよい。サブビーム同士の組合せのそれぞれが、必要な照明機能に対応し得るのである。
【0009】
一つの可能性によれば、ビーム成形装置は、ピクセル化された光ビームに関与し得るサブビームをそれぞれが放出することのできる複数の光源を含む。
【0010】
従って、各サブビームは、それが点灯したり消灯したりするように、および/または、その光度が制御されるように、制御することができる。例えば、光源のうち少なくとも1つは、少なくとも2つの基本発光体を含んでいる。その結果、対応するサブビームを変更するように各発光体を個々に制御することが可能となる。
【0011】
一つの可能性によれば、少なくとも2つの発光体のうち少なくとも2つ同士が、互いに異なる色の光ビームを放出するように構成される。関係する光源からのサブビームに対するそれらの発光体の寄与は、従って補足的なものとなり得るが、これにより、各発光体、ないしは一部の発光体を互いに異なるように制御することによって、実行可能な(例えば色の)変化を生じさせることができる。随意に、少なくとも2つの基本発光体を含む少なくとも1つの光源は、少なくとも2個のチップ、例えば少なくとも10個のチップを伴った発光ダイオードである。発光ダイオードのチップとは、電気的に励起されたときに光子を放出することのできる半導体素子を意味する。そのチップはまた、それ自体によって、或いは当該チップによって放出された光の波長を変換する発光団と共同してのいずれかで、発光体を形成する。これは例えば、2×30チップのマトリックス、より一般的には、複数の行および列で構成されたマトリックスであって、各行が少なくとも5個の基本発光体(即ち、選択的に作動可能な最小の照明単位)、好ましくは少なくとも10個の基本発光体を含んでいるものを意味している。
【0012】
いずれにしても、当該システムは、2つの発光体、特に互いに異なる色を発する発光体を備えた光源を有していてよく、当該光源が、行と列のマトリックス、例えば2個のチップを伴った(バイチップLEDとも称される)発光ダイオードの5行6列のマトリックスに従って基板上に配置されていてもよい。或いは、当該システムは、同じ光源ハウジングの内部に行と列に従って(有利には、互いに異なる色を発する発光体の対ごとに)配置される多数の発光体を備えた、唯一の光源を有していてもよい。
【0013】
本発明はまた、本発明による照明システムを少なくとも1つ装備した車両にも関する。
【0014】
その車両は、客室の天井の縁(例えばドア付近)におけるコンフォートハンドルの高さの所にある、この種の照明システム、および/または客室のオーバーヘッド(頭上)照明システムを含んでいてもよい。
【0015】
本発明はまた、車両の客室を照明する方法にも関する。
【0016】
その方法は従って、同じシステムで、特に唯一の光学的な部分でもって、諸要件の関数として照明を適合させることを可能とする。制御電子機器によって、本発明により許される自由度の全てを完全に利用することを可能とすることが好ましい。
【0017】
本発明のその他の特徴や利点は、本発明の例示的実施形態を示す説明および図面に照らして、より良好に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】自動車両の客室内における本発明のシステムの可能な設置を示す図。
【
図4】客室内に取り付けることのできるモジュール内への本発明の統合における一可能性の分解図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明において、本発明の異なる実施形態同士に渡って、同じ参照符号は同様の概念を表すのに用いられることとなる。
【0020】
特にそれとは反対に指示されない限り、所与の実施形態について詳細に説明される技術的な諸特徴は、非限定的な例として表される他の実施形態の文脈において説明される技術的な諸特徴と組み合わされてもよい。
【0021】
ピクセル化されたビームという用語およびその同義語は、光ビームを放出する装置について、当該光ビームが複数のサブビームで形成され、各サブビームが他のサブビームから独立して制御可能である、ということを表す。それぞれの独立して(個々に)制御可能なサブビームが、ピクセル化された光線を形成する。
【0022】
本発明の実施形態を(特に図面を参照して)詳細に説明する前に、本発明を(個別に、或いはあらゆる組合せにおいて)特徴付け得る可能な選択肢を、以下に簡潔に紹介する。
- ビーム成形装置は、ピクセル化された光ビームに関与し得るサブビームをそれぞれが放出することのできる複数の光源を含んでいる。
- 光源のうち少なくとも1つは、少なくとも2つの基本発光体を含んでいる。
- 少なくとも2つの発光体のうち少なくとも2つ同士が、互いに異なる色の光ビームを放出するように構成されている。
- 少なくとも2つの基本発光体を含む少なくとも1つの光源は、少なくとも2個のチップを伴った発光ダイオードである。
- ビーム成形装置は、各光源と関連付けられた導波路を含み、各導波路は、関連付けられた光源によって放出される光のための入光屈折面と、投射光学素子の方へ伝達される光のための出光屈折面とを含んでいる。
- 導波路は、入光屈折面から出光屈折面に向かって寸法の増大する多角形断面を有している。
- 投射光学素子はレンズを含み、そのレンズの入光屈折面が、導波路の出光屈折面によって伝達される光の少なくとも一部を受けるように構成されている。
- 導波路の出光屈折面は、レンズの入光屈折面と接している。
- 投射光学素子は、レンズから出る光の経路上に付加レンズを含んでいる。
- 付加レンズは集束レンズである。
- 投射光学素子は、出力ビームの出光反射器を含んでいる。
- 反射器は平面型である。
- 反射器は集束型であり、
- 当該システムは、各サブビームを個々に制御するための手段を含んでいる。
【0023】
ここで、以下に述べる各図によって非限定的な例として図解される、本発明の特有の一実施形態を説明することとする。
【0024】
図1は、本発明のシステムの一実施形態を図式的に示している。そこにあるシステムは、当該システムによって作り出される光線の経路に沿った上流側区域から下流側区域に向かって、ビーム成形装置1と投射光学素子2とを含んでいる。ビーム成形装置1はそれ自体の中に、光線を発生させる部分と、適切なピクセル化された光線を投射光学素子2へ送り出すことを可能とする光学的部分とを含んでいる。その光線を発生させる部分は、複数の光源4を含んでいる。
【0025】
一般的には、本発明は発光ダイオード(LED)タイプの光源を用いてよい。特に、これらのLEDは、実施すべき照明機能に従って、光度を調節可能であることが有利である光を放出するように適合された、少なくとも1つのチップを含んでいてよい。それらのチップは、LEDの平均発光方向に対して垂直に並置されていてよい。以降でより詳細に説明するように、複数の光源が存在していてもよい。さらに、光源という用語は、本発明のシステムの出光部において、少なくとも1つの必要な機能に関与する少なくとも1つの出光サブビームの発生に繋がる光束を作り出すことのできる、少なくとも1つのLEDなどの基本発光体の組合せを表すものと理解されたい。本発明の文脈内において他のタイプの光源も考えられ得る。LEDという用語は、OLED(有機発光ダイオード)類をも包含するものである。
【0026】
図1の場合、各光源4は、光の発生における優れた順応性を可能とするように、2つの基本発光体5(即ち、チップ)を含んでいる。実際に、光源の一部ないし全部が、発光体5を個々に制御することによって、照明パラメータ(例えば、各発光体5の光度や光源4の色など)が可変な状態で、制御可能な個々のサブビームを(かくして、全体的なビームのうちの1つのピクセルを)作り出し得る有利さがある。発光体5同士が互いに異なる色を発することが好ましい。2色同士の間での連続的な変化を可能とするために、例えば光導波路に面した光源4同士が互いに異なる色(例えば白色と琥珀色)となっている。
【0027】
従って、各光源4および各発光体の制御は、それを点灯したり消灯したりすることだけでなく、放出される光のパラメータを変化させることをも意味するものと理解されたい。
【0028】
図1は、各光源が(
図1では垂直な)一平面内に位置しているのが好ましいことを示している。各光源4は、そのような平面内でアレイに編成されていてよい。各光源4は例えば、主方向に整列されるか、或いは2方向に(例えば、行と列で構成されたアレイに)編成される。各光源4の如何なる他の設置形態も可能である。それらの光源同士が、設置平面内で規則的に等距離で間隔を置かれているのが好ましい。その平面は典型的には、例えばプリント回路基板(PCB)などのLED支持基板の表面である。この種の基板15は、
図4に見ることができる。その基板は、各光源4へ選択的に電力を供給することによって、少なくとも部分的に、それらの光源を制御するのに役立ち得る。この基板15上で、或いは別個に、各光源が(例えば、プロセッサと、1つないし複数の異なる照明機能をプログラムするための手段とによって)制御され得る。この可能性は、制御基板16を伴った
図4の例に示されている。一つの可能性によれば、制御基板16は、任意の手段(押ボタンの押し込み、ダッシュボードから到来する指令、オンボードコンピュータ・インターフェイスによって発せられる信号、(例えばドア開放の)センサなど)から、照明機能を作動させる命令を受ける。基板16は、この命令を、次のことによって処理する。即ち、対応する各光源の制御構成を確認して、各光源の電力供給構成の指示を基板15へ送信すること、特に各光源4の各発光体5に対して電力供給設定値を適用することによってである。
【0029】
各光源4によって放出された光線を光学的に処理することが有利である。この目的のために、装置1は光学的部分を含んでいてよく、その光学的部分には複数の導波路6(有利には、各光源4につき1つの導波路6)が設けられていることが好ましい。
図1の場合には、各導波路6が、当該導波路の基端部から当該導波路の先端部へ向かって広がった外側エンベロープを有している。これは、円錐形その他のエンベロープであってよい。導波路は例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはシリコーンで作られていてよい。導波路の断面は、多角形であることが好ましいが、円形であってもよい。基端部の所は入光屈折面61となっており、その屈折面61を通じて、光源4によって放出された光線が導波路へ進入する。これは、導波路のエンベロープを横切っている、その導波路の面であってよい。導波路6は、その内部で光線を、自らの先端部における出光屈折面62へと、内部反射によって伝播させるように構成されている。この屈折面は、導波路のエンベロープを横切っている、その導波路の面であってよい。
【0030】
装置を出て行く光線を受ける投射光学素子2は、用途によって変化することのできる構成を有していてよい。それは、光線の偏向の機能、および/または、集束ないし発散および/または拡散および/または回折および/または(例えば、着色面その他による)濾光の機能を含んでいてよい。
【0031】
投射光学素子2は、それぞれが1つないし複数の光学的機能を与えるように適合された複数の構成要素を含んでいてよい。図示しない状況において、投射光学素子2は、少なくとも部分的に透明ないし半透明なキャップ(これは、光学的に中性の(波長選択性の無い)ものとすることができる)を含んでいるか、或いは、そのようなキャップに本質があってもよい。
【0032】
図1にあるように、その光学素子は、(少なくとも)1つのレンズ7を更に含んでいてもよい。そのレンズ7は、全ての作動光源によって作り出される光線同士を結び付けるように、全ての導波路の出光屈折面62同士に共通のものであることが好ましい。
図1の場合には、コンパクトな装置1を作り出すように、レンズの入光屈折面が出光屈折面62と接している。レンズ7は、導波路6と一体構成になっていてもよい。
図1において、各光線はレンズ7の出光屈折面を通じて装置1から出て行く。レンズ7は、集束レンズであることが好ましく、例えば平凸形状を有していてよい。その平坦な屈折面は、各導波路の(これらも平坦であり得る)出光屈折面62との良好な協働を可能とすることができる。レンズ7内での光線の経路11aと、その光線の退出11bとが、図式的に示されている。
【0033】
一選択肢によれば、装置1の光軸は、システム全体を出る光線に必要とされるものではない。この目的のために投射光学素子2は、
図1の場合のように偏向機能をもたらし得る。実際に、装置1の光軸の方向へ比較的長く伸びた全体的な外形でシステムを製造し、そのシステムを客室の壁と平行に配置して、所要の出力方向へ各光線を逸らすことが可能である。それゆえ
図1は、各光線が出て行く前にそれらの光線を偏向させるのに役立つ反射器3を示している。従って、光線11dの方向は、反射器3の受けた光線11cに対して偏向させられている。反射器3は特に、平面鏡や、凹面ないし凸面鏡であってよい。本発明を限定することなく、偏向は90°±30°であってよい。
【0034】
図1の例によれば、投射光学素子はまた、ビームを集中させる役目をするのが好ましい付加レンズ8を含んでいる。そのレンズは、例えば両凸レンズである。
【0035】
図1において、そのレンズは、レンズ7と反射器3との間に配置され、レンズ7の光軸に沿った向きにされている。
【0036】
提案されたシステムは、コンパクトで容易に設置することができる。
図2および
図3は、ドアの上部外周に(例えば、コンフォートハンドル9の高さの所に)備え付けられるように客室内に固定されたシステムによって、このことを例示している。本発明のシステムは、そのハンドル上にあったり、そのハンドルに統合されていたりしてもよい。照らすことのできる区域10の一例が、図式的に示されている。本発明のおかげで、この区域が、例えば3つの区域へと分割され得る。それらの区域は、それぞれが予め定められた1つの照明機能に対応していて、それぞれが光源4同士の異なる作動、従って当該機能の照明ビームを構成するための様々なサブビーム同士の異なる作動を含意している。照らされる容積は、必ずしも連続してはおらず、互いに分離した複数の空間の部分を含んでいてもよい。時間の経過によって変化し得るビーム、そして例えば、定期的に(光度および/または照明区域が周期的に変化)、および/または、増大および/または減少する光度の段階を伴って変化し得るビームを発生させるように構成された照明機能を何ら除外するものではない。
【0037】
これの具体例が、
図4に示されている。そこではモジュール12が、上述した構成要素、即ち装置1、(ここではレンズ7,8および反射器3を伴った)投射光学素子を、(特にLEDの形態の)各光源を支持する基板15、および制御基板16と共に含んでいる。
これらの構成要素を、装置1の光軸に対応したシステムの縦方向に順次、案内面が受け入れることができる。この例において各光線は、区域17を通じてシステムの縦軸線に対して90°で出て行く。区域17は例えば、モジュール12における窓である。その窓には、それ自体に保護ガラス14が備え付けられていてよい。最後に、各構成要素が取り付けられてしまったならば、キャップ13がモジュール12を閉じてよい。案内面が各構成要素の縦方向の並進における移動を防止し、キャップ13がモジュールの対向した底部と協働して如何なる残りの横方向移動をも防止する。反射器3の外周部が枠に取り付けられてもよい。支持リブ18が、その後面を介して反射器3を固定するように、キャップの内面から突き出ていることが好ましい。
【0038】
図5は、本発明のシステムの一代替実施形態を図式的に示している。この実施形態において、システムは2つの分岐部B1,B2を集めている。
【0039】
各分岐部は、
図1について上述したような諸要素によって構成されている。同一要素の参照符号は、分岐部B1の各要素について100だけ増やされ、分岐部B2の各要素について200だけ増やされている。
【0040】
分岐部B1およびB2は、破線で示された正中面Pの両側に配置されている。
【0041】
分岐部B1およびB2は、正中面Pに対して鏡像対称に配置されていることが有利である。
【0042】
図5に示す代替案においては、反射器103および203同士が連結されている。それらの反射器は、V字形のプロファイルを有した組立体を形成している。2つの反射器同士の接合縁Jは、P平面内に位置している。或いは、分岐部同士が互いに対して非対称である場合や、反射器103,203が湾曲している場合には、接合縁が平面Pの外部に位置する可能性がある。
【0043】
或いは、反射器103および203は、互いに分離して配置された2つの部品である。
【0044】
分岐部B1およびB2を構成する各要素は、それらの要素を回転させるだけで分岐部B1およびB2の両者で当該要素を用いることができるように対称軸線を有しているのが有利である。従って、製造せねばならぬ要素の種類数を減らして、システム全体を経済的に生産することが可能である。
【0045】
或いは、各要素を、一方の分岐部ともう一方の分岐部とで異ならせることができる。例として、光源104の数や関連した導波路の数が、光源204の数や関連した導波路の数と異なっていてもよい。同様に、投射光学素子102,202を構成する光学部品類の性質や形態が、一方の分岐部と他方の分岐部とで変わっていてもよい。
【0046】
この代替実施形態は、
図4で提示されたように、客室内に取り付けることのできるモジュールに統合することができる。その場合、反射器103および203は、2つの分岐部B1およびB2によって共有される窓17の前方に定置される。或いは、ハウジング12は、各分岐部B1,B2につき1つずつの、2つの窓を集めることができる。
【0047】
この代替実施形態は、
図1で説明した実施形態に比べて、各光源の平面に平行な方向においてシステムのフットプリント(設置面積)を減少させる利点を有している。それにより、そのようなシステムの、客室内への、特に小さな高さおよび/または奥行きしか利用できない場所への、最も容易な統合が可能となる。
【0048】
各光源を遠く離れた幾つかの支持体上に分散させることによって与えられる、もう一つの利点は、当該光源の加熱や熱の管理を制限するということである。
【0049】
もう一つの利点は、各光源の駆動をより容易にすることである。実際に、多数の光源を駆動するための電子基板よりも、減らされた数の光源を駆動するための電子基板を提供する方が容易である。従って、各光源を遠く離れた幾つかの支持体上に分散させることによって、所与の1つの電子基板によって駆動されるべき光源の数が、
図1で説明した実施形態に比べて減少する。そうして、システムの全体的な電子的駆動が簡素化される。
【0050】
本発明は、説明した諸実施形態に限定されるものではなく、その趣旨と一致する如何なる実施形態をも包含するものである。