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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】浴室乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20241025BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241025BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20241025BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F24F13/02 D
F24F13/02 Z
F24F13/20 205
F26B9/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022084675
(22)【出願日】2022-05-24
(65)【公開番号】P2023172698
(43)【公開日】2023-12-06
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】山内 裕允
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 史吉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 洋司
(72)【発明者】
【氏名】竹居 寿剛
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113834131(CN,A)
【文献】実開昭50-102155(JP,U)
【文献】特開2009-216272(JP,A)
【文献】実開昭54-005965(JP,U)
【文献】特開2004-069161(JP,A)
【文献】特開2009-079866(JP,A)
【文献】特開2005-090879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/02
F24F 13/20
F26B 9/02
F24D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室から空気を吸い込む吸込口と、前記浴室に空気を吹き出す循環吹出口と、屋外に排気する換気排気口とを有し、前記浴室内に空気を循環させるための循環風路と屋外に排気を行うための換気風路とが設けられた箱形のボディと、
前記ボディに収容され気流を形成する送風機と、
前記送風機が形成する気流を前記循環風路及び前記換気風路のどちらに送るかを変更するダンパと、
前記ダンパを駆動するステッピングモータとを備え、
前記ボディの側面を形成する側面板には、少なくとも1箇所で途切れてつなぎ目が形成されたスリットで周囲が囲まれており前記側面板から切除可能なノックアウトパネルが、前記ステッピングモータと対向して設けられていることを特徴とする浴室乾燥機。
【請求項2】
前記ノックアウトパネルは、上下左右が前記スリットで囲まれた長方形状であり、
前記つなぎ目は、前記ノックアウトパネルの上及び左右に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室乾燥機。
【請求項3】
前記ノックアウトパネルの上及び左右のうち一方向を除き、前記つなぎ目を挟む前記スリットの端部は、前記スリットの中間部よりも幅広であることを特徴とする請求項2に記載の浴室乾燥機。
【請求項4】
前記つなぎ目を挟む前記スリットの端部は、前記スリットの中間部よりも幅広であることを特徴とする請求項2に記載の浴室乾燥機。
【請求項5】
前記送風機の接続用の電源端子台を備え、
前記電源端子台は、前記ボディのうち前記側面板に対向して設置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の浴室乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風路の切替構造を備えた浴室乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
風路の切替構造を持つ浴室乾燥機に関しては、多くの提案がなされている。風路の切替には、ダンパと、ダンパを駆動するステッピングモータとを使用する構造が多く用いられている。浴室乾燥機において、ステッピングモータは、外郭である板金ケースで覆うことが一般的であり、多くの部品は板金ケースを取り外さなければ、交換できない構造となっている。
【0003】
特許文献1には、乾燥機本体をケースで覆った構造の浴室乾燥機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4247635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される浴室乾燥機は、ダンパ駆動用のステッピングモータなどの部品が故障した場合に、部品交換を行うには、外郭の板金ケースを取り外す必要があり、狭い浴室天井裏においては交換作業を行うことが困難であった。また、浴室乾燥機を天井から取り外して部品交換を行う場合は、作業に時間と手間がかかっていた。
【0006】
対策として、最初からメンテナンスホールを設けて別部品でふさぐ構造が考えられるが、ステッピングモータの寿命は製品の使用頻度、使用方法及び使用環境によって左右されるため、必ずしも部品交換が必要となるわけではない。最初からメンテナンスホールを設けて別部品でふさぐ構造では、製造時に打抜きによる廃材が発生することが問題となる。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、メンテナンスホールの形成が容易であり、製造時の廃材の増大を抑制した浴室乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る浴室乾燥機は、浴室から空気を吸い込む吸込口と、浴室に空気を吹き出す循環吹出口と、屋外に排気する換気排気口とを有し、浴室内に空気を循環させるための循環風路と屋外に排気を行うための換気風路とが設けられた箱形のボディと、ボディに収容され気流を形成する送風機と、送風機が形成する気流を循環風路及び換気風路のどちらに送るかを変更するダンパと、ダンパを駆動するステッピングモータとを備える。ボディの側面を形成する側面板には、少なくとも1箇所で途切れてつなぎ目が形成されたスリットで周囲が囲まれており側面板から切除可能なノックアウトパネルが、ステッピングモータと対向して設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、メンテナンスホールの形成が容易であり、製造時の廃材の増大を抑制した浴室乾燥機を得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る浴室乾燥機の断面図
図2】実施の形態1に係る浴室乾燥機の上面図
図3】実施の形態1に係る浴室乾燥機の側面図
図4】実施の形態1に係る浴室乾燥機のボディの内部のステッピングモータの周辺の拡大図
図5】実施の形態1に係る浴室乾燥機のダンパの拡大図
図6】実施の形態1に係る浴室乾燥機のカバーでメンテナンスホールを塞いだ状態での側面拡大図
図7】実施の形態1に係る浴室乾燥機のノックアウトパネルの形状を示す図
図8】実施の形態1に係る浴室乾燥機の換気排気口側から見た断面図
図9】実施の形態2に係る浴室乾燥機のノックアウトパネルの形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態に係る浴室乾燥機を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る浴室乾燥機の断面図である。浴室乾燥機1は、送風機5を収容する箱形のボディ3を備える。送風機5を駆動するモータM1は、ボディ3の外に設置されている。ボディ3には、浴室から空気を吸い込む吸込口4と、浴室に循環空気を吹き出す循環吹出口8と、屋外に排気する排気空気を吹き出す換気接続口9とが設けられている。換気接続口9には、屋外に通じる不図示のダクトが接続される換気ダクト接続部11が設置されている。換気ダクト接続部11には、不図示のダクトに排気を吹き出す換気排気口12が設けられている。
【0013】
ボディ3の下面は、意匠パネル14で覆われている。意匠パネル14とボディ3との間には、隙間空間16が形成されている。意匠パネル14は、ボディ3の下面よりも一回り大きくなっており、意匠パネル14の周縁部とボディ3との間には、換気吸込口10が形成されている。換気吸込口10は隙間空間16を通じて吸込口4に繋がっている。
【0014】
吸込口4には、異物を除去するフィルタ19が設置されている。また、吸込口4には、送風機5に流入する気流を導くオリフィス13が設けられている。
【0015】
ボディ3の内部には、浴室内に空気を循環させるための循環風路2aと、屋外に排気を行うための換気風路2bとが形成されている。循環風路2aには、循環吹出口8から浴室に吹き出す循環空気を加熱するヒータ7が設置されている。
【0016】
吸込口4と循環吹出口8との間には、ショートサーキットの発生を抑制する仕切板18が設置されている。
【0017】
送風機5が形成する気流を循環風路2a及び換気風路2bのどちらに送るかは、ダンパ6によって変更される。ダンパ6の姿勢は、制御部15によって制御される。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る浴室乾燥機の上面図である。図3は、実施の形態1に係る浴室乾燥機の側面図である。ボディ3の内部には、ダンパ6を駆動するステッピングモータ30が設置されている。制御部15は、ステッピングモータ30を制御することによってダンパ6の姿勢を変更する。図3に示すように、ボディ3の側面を形成する側面板3aには、少なくとも1箇所で途切れてつなぎ目52が形成されたスリット51で周囲が囲まれており側面板3aから切除可能なノックアウトパネル31が形成されている。ノックアウトパネル31は、ボディ3の側面板3aのうち、スリット51によって囲まれた部分であり、つなぎ目52を切断して側面板3aからノックアウトパネル31を側面板3aから切除することにより、保守作業者が現地でボディ3にメンテナンスホールを容易に加工することができる。
【0019】
ステッピングモータ30は、ノックアウトパネル31と対向する位置に設置されている。電源端子台29は、ボディ3のうちノックアウトパネル31が設けられた側面板3aに対向して設置されている。電源端子台29は、端子台カバー35で覆われている。電源端子台29及びステッピングモータ30は、ノックアウトパネル31及び端子台カバー35を外したときに、同一方向から目視及びメンテナンスが可能に配置されている。
【0020】
図4は、実施の形態1に係る浴室乾燥機のボディの内部のステッピングモータの周辺の拡大図である。ステッピングモータ30は、ステッピングモータ固定ねじ33でボディ3の内部に固定されている。ステッピングモータ30は、コネクタ34により制御部15に接続される。
【0021】
図5は、実施の形態1に係る浴室乾燥機のダンパの拡大図である。ステッピングモータ30及びステッピングモータ30に取り付けられたダンパ駆動用の小歯車28は、ボディ3の外側から取り付けられており、ステッピングモータ30の不図示の出力軸、不図示の取付ねじ、コネクタ34は水平方向に挿抜可能に設けられている。さらに、ステッピングモータ30は外郭板金の内側に配置されており、ステッピングモータ30専用のカバー及び他の部品で覆われていない構造である。
【0022】
ステッピングモータ30の出力軸に取り付けられた小歯車28から、ダンパ回転軸26に取り付けられた扇型歯車27へ回転を伝え、ダンパ6を駆動する。ダンパ6及び扇型歯車27は、ボディ3の内側から取り付けられており、小歯車28及びステッピングモータ30は、ボディ3の外側から取り付けられている。小歯車28及びステッピングモータ30は、側面板3aからノックアウトパネル31を切除することによってボディ3に形成されるメンテナンスホールから交換作業が可能である。
【0023】
ステッピングモータ30、ステッピングモータ固定ねじ33、コネクタ34及び小歯車28は、挿抜方向がすべて同じであり、側面板3aからノックアウトパネル31を切除することによってボディ3に形成されるメンテナンスホールから容易に交換作業が行える。
【0024】
図6は、実施の形態1に係る浴室乾燥機のカバーでメンテナンスホールを塞いだ状態での側面拡大図である。カバー36は、ボディ3に固定されているねじボス32にねじ37をねじ止めすることによって固定される。ねじボス32が設けられていることにより、電源端子台29及びステッピングモータ30のメンテナンスのためにノックアウトパネル31を切除してメンテナンスホールを形成した場合でも、メンテナンスの終了後にカバー36でメンテナンスホールを容易に塞ぐことができる。
【0025】
図7は、実施の形態1に係る浴室乾燥機のノックアウトパネルの形状を示す図である。ノックアウトパネル31は長方形状であり、上下左右がスリット51で囲まれている。ノックアウトパネル31は、4箇所のつなぎ目52でボディ3の側面板3aと接続されている。スリット51の長手方向と直交する方向をスリット51の幅方向とする場合、つなぎ目52を挟むスリット51の端部53,54は、スリット51の中間部55よりも幅が広くなっている。
【0026】
板金の板厚をT1、つなぎ目52のスリット51の長手方向の長さをH2、スリット51の端部53,54の長さをH3,H4、スリット51の中間部55の幅をW1、つなぎ目52のスリット51と直交する方向の幅をW3、ボディ3上端からスリット51までの距離をL1として、H2=T1、H3=H4=2×T1、W1=T1、W3=3×T1、L1=3×T1、L2≧L1程度とすることが望ましい。上記条件を満たすことにより、つなぎ目52の強度が高すぎて切断しにくかったり、つなぎ目52の強度が低すぎて意図せずにつなぎ目52が破断してしまったりすることを防ぐことができる。また、スリット51がボディ3上端に近すぎてスリット51を形成する加工作業性が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0027】
図8は、実施の形態1に係る浴室乾燥機の換気排気口側から見た断面図である。浴室天井材62の裏側に、浴室乾燥機1を固定するための野縁61が設けられている。浴室天井材62および野縁61の開口部に下側から浴室乾燥機1のボディ3が挿入され、下面に設けられたフランジ64でねじ63により野縁61に固定される。
【0028】
スリット51の端部53,54がスリット51の中間部55よりも幅が広くなっていることにより、ノックアウトパネル31のつなぎ目52をニッパーなどの工具で切断する際に、容易に工具をスリット51の端部53,54に挿入できる。
【0029】
ノックアウトパネル31は、浴室乾燥機1の施工状態において野縁61及び浴室天井材62と干渉しない高さに設けられている。
【0030】
実施の形態1に係る浴室乾燥機1は、側面板3aからノックアウトパネル31を切除するだけで容易にメンテナンスホールを形成できる。また、製造時には、スリット51を打ち抜くことによる廃材しか発生しないため、最初からメンテナンスホールを設けて別部品でふさぐ構造と比較すると、製造時の廃材の増大を抑制することができる。
【0031】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る浴室乾燥機のノックアウトパネルの形状を示す図である。ノックアウトパネル31は長方形状であり、上下左右がスリット51で囲まれている。ノックアウトパネル31は、左右のスリット51に設けられたつなぎ目52及び上のスリット51に設けられたつなぎ目72でボディ3の側面板3aと接続されている。左右のスリット51は、つなぎ目52を挟むスリット51の端部53,54が、スリット51の中間部55よりも幅が広くなっている。上のスリット51は、つなぎ目72を挟むスリット51の端部56,57の幅が、スリット51の中間部55と同じになっている。すなわち、実施の形態2に係る浴室乾燥機1は、ノックアウトパネル31の上及び左右のうち一方向を除き、つなぎ目52を挟むスリット51の端部53,54は、スリット51の中間部55よりも幅広である。
【0032】
ボディ3にメンテナンスホールを形成する際には、上のスリット51のつなぎ目72は切除せずに残しておき、つなぎ目72でノックアウトパネル31を折り返す。部品交換後、つなぎ目72の位置の折り曲げを元に戻してノックアウトパネル31でメンテナンスホールを塞ぐ。
【0033】
実施の形態2に係る浴室乾燥機1は、ノックアウトパネル31を囲むスリット51に設けられたつなぎ目52,72のうちの一部であるつなぎ目72を切断せずに残して、ヒンジとして使用する。このため、部品交換の際にはつなぎ目72の塑性変形を利用してノックアウトパネル31を開けて作業を行い、部品交換完了後はメンテナンスホールを閉じることができる。したがって、実施の形態2に係る浴室乾燥機1は、天井裏で狭いスペースであっても、ステッピングモータ30などの交換が容易に行える。
【0034】
また、実施の形態2に係る浴室乾燥機1は、ステッピングモータ30の交換後にメンテナンスホールを塞ぐカバー36が不要である。このため、浴室乾燥機1の廃却時に、リサイクルのための部品の分別の手間が増加することを抑えることができる。
【0035】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 浴室乾燥機、2a 循環風路、2b 換気風路、3 ボディ、3a 側面板、4 吸込口、5 送風機、6 ダンパ、7 ヒータ、8 循環吹出口、9 換気接続口、10 換気吸込口、11 換気ダクト接続部、12 換気排気口、13 オリフィス、14 意匠パネル、15 制御部、16 隙間空間、18 仕切板、19 フィルタ、26 ダンパ回転軸、27 扇型歯車、28 小歯車、29 電源端子台、30 ステッピングモータ、31 ノックアウトパネル、32 ねじボス、33 ステッピングモータ固定ねじ、34 コネクタ、35 端子台カバー、36 カバー、37,63 ねじ、51 スリット、52,72 つなぎ目、53,54,56,57 端部、55 中間部、61 野縁、62 浴室天井材、64 フランジ、M1 モータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9