(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】車両コーナーモジュール及びそれを搭載した車両
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20241025BHJP
B62D 63/02 20060101ALI20241025BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20241025BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20241025BHJP
B60L 15/20 20060101ALN20241025BHJP
B60K 17/14 20060101ALN20241025BHJP
【FI】
B60W50/00
B62D63/02
B60K1/02
B60K8/00
B60L15/20 J
B60K17/14
(21)【出願番号】P 2022506910
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 IB2020062598
(87)【国際公開番号】W WO2021137194
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-26
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522046036
【氏名又は名称】リー オートモーティブ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】REE Automotive Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】サルデス,アヒシャイ
(72)【発明者】
【氏名】セゲフ,トーマー
(72)【発明者】
【氏名】デケル,ラン
(72)【発明者】
【氏名】チオクレア,シュムエル
(72)【発明者】
【氏名】ドロン,ネタ
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0083508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291797(US,A1)
【文献】国際公開第2018/222375(WO,A1)
【文献】特開2013-169946(JP,A)
【文献】国際公開第2020/005136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/00
B62D 63/02
B60K 1/02
B60K 8/00
B60L 15/20
B60K 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト車両プラットフォームの動作を調整するための車両コーナーモジュール(VCM)であって、
前記車両は、車両に搭載された車両コントローラを備え、
前記VCMは、
(a)ホスト車両プラットフォームの基準フレームに取り付け可能なサブフレームと、
(b)車輪ハブを備える車輪ハブアセンブリと、
(c)前記サブフレームと前記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステム、およびブレーキサブシステムから選択される複数のサブシステムと、
(d)1以上のプロセッサと、前記1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに以下のステップ(i)、(ii)、(iii)を実行させるプログラム命令を格納するコンピュータ可読媒体とを有するVCM搭載用VCMコントローラと、
を備える車両コーナーモジュール(VCM)。
(i)前記車両コントローラとの通信リンクを確立するステップであって、前記確立は、前記VCMに関する情報を前記VCMコントローラから前記車両コントローラに電気的に転送するステップ。
(ii)前記車両コントローラから受信したデータに基づいて、前記駆動サブシステム、前記ステアリングサブシステム、前記サスペンションサブシステム、および前記ブレーキサブシステムのうちの少なくとも2つのVCM動作プロファイルを設定するステップ。
(iii)前記VCM動作プロファイルを使用して動作可能に前記VCMを作動させるステップ。
【請求項2】
転送される前記VCMに関する情報は、前記VCMの動作履歴を含む、
請求項1に記載のVCM。
【請求項3】
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサによって実行されると、さらに、前記1以上のプロセッサに、前記VCMに関する情報を外部コンピュータの許可システムに送信させるステップを実行させる、
請求項1に記載のVCM。
【請求項4】
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記車両プラットフォームの動作プロファイルと一致するように前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項1に記載のVCM。
【請求項5】
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記車両プラットフォームに取り付けられた1以上の他のVCMの動作プロファイルと一致するように前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項1に記載のVCM。
【請求項6】
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサによって実行されると、前記1以上のプロセッサに、前記VCMに対して定義された動作計画を
設定させ、
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記動作計画に応じて前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項1に記載のVCM。
【請求項7】
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサによって実行されると、さらに前記1以上のプロセッサに、前記VCMの動作データを記録させ、前記VCMの外部のコンピュータシステムに動作データを出力させる、
請求項1に記載のVCM。
【請求項8】
前記プログラム命令は、前記1以上のプロセッサによって実行されると、さらに前記1以上のプロセッサに、第1のVCMを第2のVCMに代替させることに応じて、前記第2のVCMに搭載されたそれぞれのVCMコントローラにより前記車両コントローラから受信された情報に基づく前記第2のVCMのVCM動作プロファイルを設定させる、
請求項1に記載のVCM。
【請求項9】
車両コーナーモジュール(VCM)を作動させる方法であって、
前記VCMは、
車両プラットフォームに取り付け可能なサブフレームと、
車輪ハブアセンブリと、
前記VCMに搭載されたVCMコントローラと、
前記サブフレームと前記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステム、およびブレーキサブシステムのうちの少なくとも2つを有する複数のサブシステムと、
を備え、
前記方法は、
(a)前記VCMコントローラと前記車両プラットフォームに搭載された車両コントローラとの間に電子通信リンクを確立するステップであって、前記確立は、前記VCMに関する情報を前記VCMコントローラから前記車両コントローラに転送することを含むステップと、
(b)前記駆動サブシステム、前記ステアリングサブシステム、前記サスペンションサブシステム、および前記ブレーキサブシステムのうちの少なくとも2つのVCM動作プロファイルを設定するステップと、
(c)設定された前記VCM動作プロファイルを使用して動作可能に前記VCMを作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記VCMを前記車両プラットフォームに取り付けるステップをさらに含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
転送される前記VCMに関する情報は、前記VCMの動作履歴を含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記VCMに関する情報を外部コンピュータの許可システムに送信するステップをさらに含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記車両プラットフォームの動作プロファイルと一致するように前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記車両プラットフォームに取り付けられた1以上の他のVCMの動作プロファイルと一致するように前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、車両性能パラメータに適合する、
請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、運転者のプロフィールに適合する、
請求項
9に記載の方法。
【請求項17】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、前記VCMに格納されたVCM動作プロファイルのデータベースから選択される、
請求項
9に記載の方法。
【請求項18】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、前記車両プラットフォームに格納されたVCM動作プロファイルのデータベースから選択される、
請求項
9に記載の方法。
【請求項19】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、リモートに格納されたVCM動作プロファイルのデータベースから選択される、
請求項
9に記載の方法。
【請求項20】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、前記車両プラットフォームを構成する車両のステアリング、ブレーキ、および運転の1以上に関連するシステムの作動および停止のうちの1つを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項21】
設定された前記VCM動作プロファイルの少なくとも1つは、前記車両プラットフォームを構成する車両の計画された動作に応じた予測動作パラメータを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項22】
前記VCMに対して定義された動作計画を受信するステップをさらに含み、
前記VCM動作プロファイルを設定するステップは、前記動作計画に応じて前記VCM動作プロファイルを設定することを含む、
請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト車両の動作を調整するための車両コーナーモジュール(VCM)、特に機械的および電気的サブシステムを搭載したVCMに関する。
【背景技術】
【0002】
車載システムは、1世紀以上にわたって開発および改善され、さまざまな機械的および電気的サブシステムの管理を統合および一元化する洗練された設計をもたらしている。利用可能な制御システムは、個々の機能の管理に限定されており、複数のサブシステムの管理を統合または組み合わせることはされていない。
【0003】
電気推進用に設計された新発想の車両プラットフォームには、個々の車輪(ホイール)に取り付けられた独立懸架、駆動列、ブレーキ、およびステアリングサブシステムを必要とするモジュラーアクスルレス車輪アセンブリ(車両コーナーモジュールまたはVCM)を含めることができる。これらの設計には、ローカルサブシステムに関して外部で生成された操作命令を各車輪で実行するための新しい機械的および電子的ソリューションが必要である。統合された車輪システムの通常の操作だけでなく、サービス、試験および管理機能も管理するには、新しい制御モデルが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態によれば、ホスト車両の動作を調整するための車両コーナーモジュール(VCM)であって、上記車両は、車両搭載用車両コントローラを備え、上記VCMは、(a)ホスト車両の基準フレームに取り付け可能なサブフレームと、(b)車輪ハブを有する車輪ハブアセンブリと、(c)上記サブフレームと上記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステムおよびブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択される複数のサブシステムと、(d)1以上のプロセッサと、上記1以上のプロセッサによって実行されると、上記1以上のプロセッサに以下のステップ(i)、(ii)を実行させるプログラム命令を格納するコンピュータ可読媒体とを有するVCM搭載用VCMコントローラとを備え、(i)車両コントローラとの通信リンクを確立し、上記確立は、上記VCMに関する情報を上記VCMコントローラから上記車両コントローラに電気的に転送することを含み、(ii)車両への上記VCMの取り付けに応じて、取り付け後の検証プロセスを実行し、上記検証プロセスは、上記複数のサブシステムの検証と、上記検証の結果の上記車両コントローラへの伝達とを含む、車両コーナーモジュール(VCM)が開示される。
【0005】
いくつかの実施形態では、上記車両コントローラとの通信リンクの確立は、上記VCMの取り付け前である。
【0006】
いくつかの実施形態では、上記VCMの取り付け後における上記車両の動作は、肯定的な検証プロセスの結果を受け取ることを条件とする。
【0007】
いくつかの実施形態では、上記コンピュータ可読媒体は、上記1以上のプロセッサによって実行されると、上記VCMの外部から受信した電気信号入力に応答して、上記1以上のプロセッサに、上記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つのサブシステムの作動を調整させるプログラム命令をさらに格納する。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記VCMコントローラから上記車両コントローラに転送された上記VCMに関する情報は、上記複数のサブシステムのうち少なくとも1つに関する情報を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記車両コントローラとの通信リンクは、双方向リンクであり、および/または、上記通信リンクの確立は、上記車両、および/または、上記車両に取り付けられた別のVCMに関する情報を受信することをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記コンピュータ可読媒体は、上記1以上のプロセッサによって実行されると、上記1以上のプロセッサに、上記車両に取り付けられた別のVCMの搭載コントローラと情報を交換させるプログラム命令をさらに格納する。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記VCMに関する情報は、上記VCMの取り付け前に実行された自己診断試験の結果を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記VCMに関する情報は、上記VCMの動作履歴および保守履歴のうち少なくとも1つを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記複数のサブシステムの検証は、上記VCMに搭載された1以上のセンサからの情報を受信することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記コンピュータ可読媒体は、上記1以上のプロセッサによって実行されると、上記1以上のプロセッサに、上記車両コントローラから受信したデータに基づいて上記VCMの動作プロファイルを決定させるプログラム命令をさらに格納する。
【0015】
いくつかの実施形態では、選択された上記複数のサブシステムは、少なくとも3つのサブシステムを含む。いくつかの実施形態では、選択された上記複数のサブシステムは、4つのサブシステムを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、車両は、(a)上記のVCMの何れか1つにおける1以上の対向するVCMのペアと、(b)車両コントローラと、および/または、(c)上記車両コントローラとそれぞれのVCMのVCMコントローラとの間における電子通信用の通信バスとを備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、車両は、(a)上記のVCMの何れか1つにおける1以上の対向するVCMのペアと、(b)車両コントローラと、(c)対向するVCMの1以上のペアのうち、少なくとも1つのペアのそれぞれのVCMコントローラ間における電子通信用の通信バスとを備えることができる。いくつかの実施形態では、上記通信バスは、対向するVCMの1以上のペアのうち、少なくとも1つのペアのそれぞれのVCMコントローラ間の電子通信用である。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記VCMが任意の車両から機械的に切り離されている場合に、VCMのオフライン試験で使用する装置は、(a)上記サブフレームの重量を少なくとも部分的に支持し、上記サブフレームの動作を制限する支持要素と、(b)上記複数のサブシステムのうち少なくとも1つの動作データを測定する少なくとも1つの診断装置と、(c)上記VCMコントローラと通信し、上記VCMコントローラから上記オフライン試験に関連する診断情報を受信するように構成された計算装置とを備えることができる。上記オフライン試験は、上記複数のサブシステムのうち少なくとも1つの機能試験を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記実施形態の何れか1つによる車両を操作する方法は、VCMコントローラによって、上記VCMの外部から入力した電気入力に応答して、VCMの上記複数のサブシステムの1以上のサブシステムの作動を制御する。
【0020】
実施形態によれば、第1の車両コーナーモジュール(VCM)を第2のVCMと交換する方法であって、上記第1および第2のVCMのそれぞれは、車両の基準フレームに取り付け可能なサブフレームと、車輪ハブアセンブリと、VCMに搭載されるVCMコントローラと、上記サブフレームと上記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステムおよびブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択される複数のサブシステムとを備える、方法が開示される。上記方法は、(a)上記第2のVCMのそれぞれのVCMコントローラと車載車両コントローラとの間に電子通信リンクを確立するステップであって、上記確立は、上記第2のVCMに関する情報をそれぞれの上記VCMコントローラから上記車両コントローラに転送することを含むステップと、(b)上記車両への上記第2のVCMの取り付けに応じ、かつその条件として、上記第2のVCMの上記複数のサブシステムのそれぞれを検証し、上記検証の結果を上記車両コントローラに伝達することを含む、取り付け後の検証を完了するステップと、(c)伝達された検証結果を使用して、上記VCMの取り付け後の上記車両の操作を有効または無効にするステップとを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記第1のVCMと上記第2のVCMとを交換することに関する情報を、外部コンピュータの許可システムに送信するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、上記方法は、上記許可システムから、サービスサブスクリプションに基づく許可を受信するステップをさらに含むことができる、および/または、上記許可システムから、トランザクションに基づく許可を受信するステップをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記許可システムに送信される情報は、上記第1および第2のVCMのそれぞれの識別情報、上記第1のVCMの上記複数のサブシステムののうちの1以上の使用情報、上記第1のVCMの上記複数のサブシステムののうちの1以上の保守情報のうち、少なくとも2つを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記第1のVCMの上記複数のサブシステムのうちの1以上の使用情報、上記第2のVCMの上記複数のサブシステムのうちの1以上の使用情報、上記第1のVCMの上記複数のサブシステムのうちの1以上の保守情報、上記第2のVCMの上記複数のサブシステムのうちの1以上の保守情報、の少なくとも1つに基づいて、上記交換に値が割り当てられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記車両コントローラから受信した情報に基づいて、上記第2のVCMの動作プロファイルを決定するステップを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記第2のVCMのそれぞれのVCMコントローラと上記車載車両コントローラとの間の電子通信リンクは、上記第2のVCMの取り付け前に確立される。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記車両コントローラとの電子通信リンクは、双方向リンクであり、および/または、上記電子通信リンクの確立は、上記車両、および/または、上記車両に取り付けられた別のVCMに関する情報を受信することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、それぞれの上記VCMコントローラから上記車両コントローラに転送された上記第2のVCMに関する情報の少なくとも一部は、クエリへの応答を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記第2のVCMに関する情報は、上記第2のVCMの取り付け前に実行された自己診断試験の結果を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記第2のVCMに関する情報は、上記第2のVCMの動作履歴および保守履歴のうち少なくとも1つを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記複数のサブシステムの検証は、上記第2のVCMに搭載された1以上のセンサからの情報を受信することを含む。
【0031】
本発明の実施形態によれば、ホスト車両の動作を調整するための車載可能な車両コーナーモジュール(VCM)は、(a)サブフレームと車輪ハブアセンブリとの間を仲介するために上記VCMに完全に搭載された複数の機械的サブシステムであって、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステム、ブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択されたサブシステムと、(b)上記VCMの外部から受信した電気信号入力に応答して、上記複数の機械的サブシステムを作動させるためのVCMに搭載されるVCMコントローラであって、上記VCMが上記ホスト車両に取り付けられた後、それらの間で情報を交換するために、車載車両コントローラとの通信リンクを確立するように構成された通信モジュールを有するVCMコントローラとを備える。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記通信モジュールはさらに、上記VCMが上記ホスト車両に取り付けられる前にそれらの間で情報を交換するために、上記車載車両コントローラとの通信リンクを確立するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記情報は、上記VCMコントローラによって上記複数のサブシステムを検証した結果を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記VCMの取り付け後における上記車両の動作は、上記VCMコントローラから肯定的な検証プロセス結果を受け取ることを条件とする。
【0035】
実施形態では、ホスト車両の第1の車両コーナーモジュール(VCM)を第2のVCMと交換する方法であって、上記第1および第2のVCMのそれぞれは、(i)サブフレームと車輪ハブアセンブリとの間を仲介するために上記VCMに完全に搭載された複数の機械的サブシステムであって、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステムおよびブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択されるサブシステムと、(ii)上記VCMの外部から受信した電気信号入力に応答して、上記複数の機械的サブシステムを作動させるためのVCMに搭載されるVCMコントローラとを備え、(a)上記第2のVCMのそれぞれのVCMコントローラと上記ホスト車両に搭載された車両コントローラとの間に電子通信リンクを確立するステップと、(b)上記第2のVCMに関する情報を、それぞれの上記VCMコントローラから上記車両コントローラに転送するステップとを含む、方法が開示される。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記VCMが上記ホスト車両に取り付けられる前に、上記通信リンクは確立される。
【0037】
いくつかの実施形態では、上記転送される情報は、上記VCMコントローラによって上記複数のサブシステムを検証した結果を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記VCMの取り付け後における上記車両の動作は、上記VCMコントローラから肯定的な検証プロセスの結果を受け取ることを条件とする。
【0039】
本発明の実施形態では、車両コーナーモジュール(VCM)が任意の車両から機械的に切り離されている場合に、上記VCMのオフライン試験で使用する装置であって、上記VCMは、車両の基準フレームに取り付け可能なサブフレームと、車輪ハブアセンブリと、VCMに搭載されるVCMコントローラと、上記サブフレームと上記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、上記VCMに搭載された複数のサブシステムであって、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステム、ブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択されたサブシステムとを有する、装置が開示される。上記装置は、(a)上記サブフレームの重量を少なくとも部分的に支持し、上記サブフレームの動きを制限する支持要素と、(b)上記複数のサブシステムのうちの少なくとも1つの動作データを測定する少なくとも1つの診断装置と、(c)上記VCMコントローラと通信し、上記VCMコントローラからオフライン試験に関連する診断情報を受信するように構成された計算装置とを備え、上記オフライン試験は、上記複数のサブシステムのうち少なくとも1つの機能試験を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、上記計算装置は、(i)少なくとも1つの診断装置から上記試験に関連する診断情報を受信し、および/または、(ii)上記少なくとも1つの診断装置から受信した診断情報を、上記VCMコントローラから受信した診断情報と組み合わせるように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、上記試験の少なくとも1つのパラメータは、上記VCMコントローラによって選択される.
【0042】
いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの診断装置は、シャシーダイナモメータを有する。
【0043】
本発明の実施形態では、車両は、(a)車載車両コントローラと、(b)1以上の対向する車両コーナーモジュール(VCM)のペアであって、上記VCMは、上記車両の基準フレームに取り付けられたサブフレームと、車輪ハブアセンブリと、VCMに搭載されるVCMコントローラと、上記サブフレームと上記車輪ハブアセンブリとの間を仲介し、駆動サブシステム、ステアリングサブシステム、サスペンションサブシステムおよびブレーキサブシステムからなるサブシステムのグループから選択される複数のサブシステムとを有する、ペアと、(c)上記1以上の対向するVCMのペアのうち少なくとも1つのペアのそれぞれのVCMコントローラ間のピアツーピアデータ通信を可能にする通信構成であって、それぞれの上記VCMコントローラは、それらの間で情報を交換するように構成されている、通信構成とを備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、上記交換される情報は、新規または交換されるVCMの動作履歴および動作プロファイルのうち少なくとも1つを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、上記VCMコントローラは、上記車両コントローラの計算負荷を単独でまたは組み合わせて低減するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、上記VCMコントローラは、別のVCMコントローラに対して、単独でまたは組み合わせて、動作バックアップ機能を提供するように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記VCMコントローラは、上記車両コントローラに対して、単独でまたは組み合わせて、動作バックアップ機能を提供するように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、上記通信構成は、上記車両の全ての上記VCMのそれぞれのVCMコントローラ間におけるピアツーピアデータ通信を可能にする。
【0049】
いくつかの実施形態では、対向するVCMの第1のペアの各VCMにおいてそれぞれ選択された複数のサブシステムは、対向するVCMの第2のペアの各VCMにおいてそれぞれ選択された複数のサブシステムと同じではない。
【0050】
いくつかの実施形態では、対向するVCMの所与のペアの各VCMにおいてそれぞれ選択された複数のサブシステムは、少なくとも3つのサブシステムを含む。いくつかの実施形態では、対向するVCMの所与のペアの各VCMにおいてそれぞれ選択された複数のサブシステムは、4つのサブシステムを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、上記車両は、正確に4つのVCMを含む。いくつかの実施形態では、上記車両は、正確に2つのVCMを含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
次に、本発明を、例として、添付の図面を参照してさらに説明する。ここで、図に示される構成要素および特徴の寸法は、表示の便宜および明確さのために選択され、必ずしも縮尺どおりではない。
【
図1A】本発明の実施形態による車両コーナーモジュール(VCM)を備えた車両に関連する構成要素間の様々な通信方式を模式的に示す図である。
【
図1B】本発明の実施形態による車両コーナーモジュール(VCM)を備えた車両に関連する構成要素間の様々な通信方式を模式的に示す図である。
【
図1C】本発明の実施形態による車両コーナーモジュール(VCM)を備えた車両に関連する構成要素間の様々な通信方式を模式的に示す図である。
【
図1D】本発明の実施形態による車両コーナーモジュール(VCM)を備えた車両に関連する構成要素間の様々な通信方式を模式的に示す図である。
【
図2A】本発明の実施形態による車両プラットフォームと1つ以上のVCMとの間の通信の様々な実施形態を示す図である。
【
図2B】本発明の実施形態による車両プラットフォームと1つ以上のVCMとの間の通信の様々な実施形態を示す図である。
【
図2C】本発明の実施形態による車両プラットフォームと1つ以上のVCMとの間の通信の様々な実施形態を示す図である。
【
図2D】本発明の実施形態によるVCMベースの車両における制御ユニットのハイレベルトポロジーを示す概略ブロック図である。
【
図2E】本発明の実施形態によるソフトウェアの概略的なハイレベルブロック図である。
【
図3A】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3B】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3C】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3D】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3E】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3F】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図3G】本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態によるVCMの模式的な3D図である。
【
図4B】本発明の実施形態によるVCMの模式的な3D図である。
【
図4C】本発明の実施形態によるVCMを格納する格納装置の概略ブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態による新しいVCMを車両プラットフォームにプラグインする際に関与するステップを示す概略フロー図である。
【
図6】本発明の実施形態による1つ以上のVCMからなるシステムのどの要素が、VCMを有する車両の運転および保守中に行われ得る特定の操作の各々の実行に関与するかを詳細に示すチャートである。
【
図7A】本発明の実施形態による新たに取り付けられたVCMを車両プラットフォームおよび別のVCMと照合する処理、およびオプションの追加処理を示す概略フロー図である。
【
図7B】本発明の実施形態による新たに取り付けられたVCMを車両プラットフォームおよび別のVCMと照合する処理、およびオプションの追加処理を示す概略フロー図である。
【
図8】本発明の実施形態による新たに取り付けられたVCMを較正する処理を示す概略フロー図である。
【
図9】本発明の実施形態による新たに取り付けられたVCMの動作パラメータを計算する処理を示す概略フロー図である。
【
図10】本発明の実施形態による予測動作パラメータに基づいて実際の動作パラメータを適合させるための処理を示す概略フロー図である。
【
図11】本発明の実施形態による誤動作しているVCMを交換するための処理を示す流れ図である。
【
図12A】本発明の実施形態によるいくつかの例示的な状況における車両のユニット間の通信および制御フローを示す概略ブロック図である。
【
図12B】本発明の実施形態によるいくつかの例示的な状況における車両のユニット間の通信および制御フローを示す概略ブロック図である。
【
図12C】本発明の実施形態によるいくつかの例示的な状況における車両のユニット間の通信および制御フローを示す概略ブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態によるVCMを動作させ、動作データを通信するための処理を示す概略フロー図である。
【
図14A】本発明の実施形態による通信バスおよび複数のVCMを含む車両の概略図である。
【
図14B】本発明の実施形態による通信バスおよび複数のVCMを含む車両の概略図である。
【
図14C】本発明の実施形態による、対向する1対のVCMからなる車両の模式図である。
【
図14D】本発明の実施形態による、対向する1対のVCMからなる車両の模式図である。
【
図15】本発明の実施形態による複数のサブシステムからなるVCMを示す概略図である。
【
図16A】本発明の実施形態による複数のサブシステムからなるVCMを示す概略図である。
【
図16B】本発明の実施形態による複数のサブシステムからなるVCMを示す概略図である。
【
図17A】本発明の実施形態によるVCMコントローラの概略構成図である。
【
図17B】本発明の実施形態によるVCMコントローラの概略構成図である。
【
図17C】本発明の実施形態によるVCMコントローラの概略構成図である。
【
図18】本発明の実施形態による車両の動作方法を示すフローチャートである。
【
図19A】本発明の実施形態による車両のVCMを交換するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図19B】本発明の実施形態による車両のVCMを交換するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図19C】本発明の実施形態による車両のVCMを交換するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図20】本発明の実施形態による車両のVCMを交換するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図21】本発明の実施形態によるVCM試験装置の概略構成図である。
【0053】
図解の簡略化および明確化のため、図に示された要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解される。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために、他の要素に対して誇張される場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、参照番号は、対応するまたは類似の要素を示すために、図間で繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して、本発明を例示的にのみ説明する。ここで図面を詳細に参照すると、示された特定事項は、例として、本発明の好ましい実施形態の説明のためのみであり、本発明の原理および概念的側面の最も有用かつ容易に理解できる説明であると考えられるものを提供するという理由で提示されていることが強調される。この点で、本発明の基本的な理解に必要な以上に詳細に本発明の構造的な詳細を示そうとする試みはなされておらず、図面と共に取られた説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにするものである。図面を通して、同系列の文字は、一般に、同様の要素を指定するために使用される。
【0055】
注:本開示を通じて、下付き参照番号(例えば、101または10A)は、図面中であるかどうかにかかわらず、単一種の要素の複数の別々の外観を指定するために使用される。例えば101は、要素10の(複数の外観のうちの)単一の外観である。同じ要素は、複数の外観のうち特定のものを指していない場合、すなわち種全般を指している場合、代替的に添え字なしで言及することができる(例えば、10であり101ではない)。
【0056】
本明細書では、便宜上、様々な用語が提示される。本願のここまたは他の場所で明示的または暗黙的に定義が提供される限り、かかる定義は、関連する技術分野の当業者による定義された用語の使用と一致するものと理解される。さらに、そのような定義は、そのような使用法と一致する最も広い意味で解釈されるものとする。
【0057】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される「車両コーナーモジュール」または「VCM」は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに従って、車両の車輪(ホイール)を支持し、車両の動作を調整するためのアセンブリを意味する。VCMアセンブリは、ステアリングシステム、サスペンションシステム、油圧サブシステムを含むブレーキシステム、歯車アセンブリ、駆動モータ、ドライブシャフト、車輪ハブアセンブリ、コントローラ、通信配置および電気配線のような構成要素を含む(網羅的ではない)。いくつかの実施形態では、VCMは、車輪およびタイヤを含む。VCMは、車両の「基準フレーム」、例えば、シャシーまたは同様の車両フレームまたはプラットフォームに取り付けることができるが、取り付けは必ずしも「ユニットとして」行われる必要はない。VCMが車両に取り付けられると説明される場合、VCMは、基準フレームに取り付けられる。VCMは、VCM構成要素の一部または全部が取り付けられるか又はその他の方法で取り付けられる「サブフレーム」を含み、サブフレームが基準フレームと様々なVCM構成要素との間を仲介するようにしても良い。「サブフレーム」という用語は、固定された組み合わせの任意の剛性フレーム又は1つ以上の構造要素を意味すると理解されるべきである。「サブ」という接頭語は、サブフレームを車両のメインフレーム又は基準フレームと区別することを意図している。VCMは、1以上の電気モータおよび/または車輪自体(およびタイヤ)を含んでも含まなくてもよい。
【0058】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、「車両」という用語は、1つ以上の車輪を有する電動車両を指すものとして理解される。この定義に従った車両の非限定的な例は、搭載されたエンジンによって提供される動力を有する車両、および、走行時に、1つ以上の電気モータおよび搭載されたバッテリまたは他のエネルギー貯蔵デバイスによって動力を与えられる「電気車両」である。バッテリは、車両が動いている場合を除いて、車両に付属したり、車両に取り付けたりする必要はない。また、「車両」という用語は、少なくともシャシー(またはVCMを取り付けることができる他の「基準フレーム」)および1つ以上の車輪からなる「車両プラットフォーム」を包含するものとして理解されるべきである。「車両プラットフォーム」は、車両プラットフォームを提供する時点では、車体構成要素や内装品など、乗客および/または貨物の輸送に必要な付属品の全てを必ずしも含んでいる必要はない。
【0059】
本明細書で使用される「通信配置」または「通信方式」などの類似の用語は、データ通信が行われることができる任意の有線接続または無線接続を意味する。通信配置を提供するための適切な技術の非限定的かつ非網羅的な例としては、IrDA、RFID(Radio Frequency Identification)、TransferJet、ワイヤレスUSB、DSRC(Dedicated Short Range Communications)などの短距離ポイントツーポイント通信システム、ZigBee(登録商標)、EnOcean、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、TransferJet、Ultra-widebandなどの近距離無線通信:無線ネットワーク(センサネットワークを含む)、および、CAN(Controller Area Network)バス、フィールドバス、FireWire(登録商標)、HyperTransport、InfiniBandなどの有線通信バス技術が挙げられる。本明細書で使用される「通信リンクを確立する」とは、2つ以上の通信ノードによってサポートされる通信プロトコルのいずれかに従って、2つ以上の処理ユニット(例えば、コントローラ、コンピュータ、プロセッサなど)間のデータ通信を開始および/または維持することを意味する。
【0060】
本開示および添付の特許請求の範囲を通して使用される場合、「電気信号」または「電気入力」などの同様の用語は、電気および/または電子を意味し、直流または交流のいずれかの電流、電子情報、または電気および電子信号と情報の任意の組み合わせの伝送を含む。
【0061】
本明細書で使用する「コントローラ」という用語は、1つ以上のコンポーネント、システムまたはサブシステムを監視、制御、調整および/または作動させるように構成された計算デバイスを意味する。コントローラは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のコンピュータ可読媒体、例えば、一過性および/または非一過性の記憶媒体、通信配置、電源および/または電源への接続、ならびにファームウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかまたは全てを含む(網羅的ではない)ものと理解される。本明細書において、車両-コントローラまたはVCM-コントローラなどのハイフン表現で使用される場合、この用語は、それぞれ、車両および/または車両のコンポーネントおよび/またはサブシステムを制御するためのコントローラ、またはVCMおよび/またはVCMのコンポーネントおよび/またはサブシステムを制御するためのコントローラを意味している。特に断りのない限り、コントローラは被制御要素(車両、VCMなど)に設置され、「制御ユニット」はコントローラと同様であるが被制御要素に設置されていない。例えば、VCM-コントローラはVCM内またはVCM上に設置されているが、VCM制御ユニットはそうではなく、車両上の他の場所、例えばシャシーユニット上に設置されていても良い。コントローラ(および制御ユニット)は、例えば、コントローラの1つ以上のプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に格納されたプログラム命令を有することによって、予めプログラムすることができる。したがって、ある機能を実行するように「構成された」コントローラは、本明細書では、コントローラが、当該機能を実行するようにプログラムされている、すなわち、実行するための、格納されたプログラム命令にアクセスできることと等価である。
【0062】
以下の詳細な説明では、本発明を十分に理解するために、多数の具体的な詳細を記載している。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には理解される。他の例では、周知の方法、ステップおよび構成要素は、本発明を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0063】
VCMと車両プラットフォームとの間のインターフェースのためのサブフレームと、車輪をVCMに結合するための車輪インターフェースと、車両に組み立てられたときに車輪を操縦するための機械的アセンブリおよび電気ユニットを含む1以上のVCMモジュールと、VCMモジュールと車両プラットフォームとの間で信号およびデータを交換するための1以上の電気インターフェースと、を備える車両コーナーモジュール(VCM)システムが開示される。
【0064】
いくつかの実施形態では、VCMは、1つ以上のVCMモジュールの動作データを測定するための1つ以上のセンサと、VCMモジュールの1つ以上の電気インターフェース及び1つ以上の電気ユニットと電気的に接続されたVCMコントローラとをさらに備える。
【0065】
いくつかの実施形態では、VCMは、サスペンションモジュール、車輪駆動モジュール、ステアリングモジュール及び制御モジュールのうちの1つ以上をさらに備え、車輪駆動モジュールは、電気モータユニット、トランスミッションユニット及びブレーキユニットのうちの1つ以上を備える。
【0066】
いくつかの実施形態では、1以上のVCMモジュールは、車輪インターフェースとサブフレームとの間に配置される。
【0067】
いくつかの実施形態では、1以上の電気ユニットは、VCMモジュールコントローラを備え、VCMモジュールコントローラは、2以上のVCMモジュールを制御するハードウェアおよびソフトウェアを有する集積回路を備える。
【0068】
上述した車両コーナーモジュールを1つ以上備える車両が開示される。
【0069】
いくつかの実施形態では、車両は、VCM制御ユニット(CSCU)と、VCMに配置された1以上の電気回路と車両との間で通信を行うためのプラットフォーム-VCMバスとを備える。
【0070】
車両のいくつかの実施形態では、VCMは、直接電気通信を行っており、VCM制御ユニット(CSCU)を介さずにVCM間でデータを交換することができる。
【0071】
車両コーナーモジュール(VCM)を作動させる方法は、車両プラットフォームにVCMを取り付けることと、VCM動作プロファイルを設定することと、VCM動作プロファイルでVCMを作動させることとを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、上記方法は、VCMの動作プロファイルと車両プラットフォームとの間で調和させることをさらに含み、VCM動作プロファイルの設定は、VCMの動作プロファイルを調和させることである。
【0073】
いくつかの実施形態では、上記方法は、VCMの動作プロファイルと車両プラットフォームに結合された別のVCMの動作プロファイルとの間で調和させることと、1以上のVCMの動作プロファイルの調和に従って車両プラットフォームに結合された1以上のVCMの動作プロファイルを設定することとをさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、上記方法は、VCMのために定義された動作計画を受信することと、その動作計画に従ってVCM動作プロファイルを設定することとをさらに含む。
【0075】
1以上の車両コーナーモジュール(VCM)を備える車両の保守点検方法は、VCMに配置されたシステムの保守点検が必要であるという指示を受けること、車両の運転を停止すること、車両からVCMを切り離すこと、代替のVCMを車両に取り付けること、車両の運転を再開することを含んで開示される。
【0076】
本発明の実施形態に係る車両コーナーモジュール(VCM)が開示される。VCMは、回転力、ブレーキ、ステアリング及びサスペンションのうちの1つ以上の機能を車輪に提供するために、車両の車輪を車両のプラットフォームに接続するように適合される。
【0077】
VCMは、VCMに配置された駆動システムに関する動作データをVCMと車両プラットフォームとの間で通信することにより、車両の駆動システムを動作させることができる。VCMは、VCMと車両プラットフォームとを連結するためのサブフレームを含んでも良い。VCMに車両の車輪を取り付けるための車輪インターフェース、車両プラットフォームを駆動するための機械的及び電気的駆動システム、VCMの動作データを測定し、その動作データをVCMコントローラ及びオプションとして車両コントローラに反映するセンサ、車両コントローラとデータの交換を可能にする送受信ユニットなどである。
【0078】
VCMの駆動システムの制御は、1つ以上の駆動システムに接続された制御ユニットによって実施されても良い。制御ユニットは、各駆動システムに関連付けることができる。いくつかの実施形態では、VCMシステムのうちの2つ以上の制御ユニットは、共通の制御ユニットに具現化されても良く、当該制御ユニットは、複数の駆動システムに関連付けられる。したがって、単一のコントローラは、複数のVCMに関連付けることができ、それによって、分散型ユニットとは対照的に、統合型ユニットとなる。
【0079】
VCMは、サスペンションモジュール、車輪駆動モジュール、ステアリングモジュール及び制御モジュールからなるリストの中の1つ以上のモジュールで構成されても良い。駆動モジュールは、電気モータユニット、トランスミッションユニット及びブレーキユニットから選ばれた1つ以上のユニットで構成されても良い。ステアリングユニットは、VCMの外部からステアリング制御を受けるように適合されたローカルステアリングアクチュエータまたは機械式ステアリングコネクタ、およびオプションとしてのステアリングトランスミッションユニットから構成されても良い。制御モジュールは、車輪の動力化パラメータ(モーメント、速度、方向など)、サスペンションの減衰ダイナミクス、ブレーキ動作、ステアリング動作など、VCMの全ての動作側面を制御するように適合されて良い。
【0080】
本発明の実施形態によれば、VCMは、車両と機械的及び電気的にインターフェース接続し、車両の制御信号とインターフェース接続するように適合させることができる。例えば、VCMは、車両のプラットフォームに接続され、オプションとして、車両のプラットフォーム上のモジュールによって提供されるステアリング制御と機械的にインターフェース接続するように適合されても良い。いくつかの実施形態によれば、VCMは、車両のプラットフォーム上のモジュールによって提供される回転動力とさらに機械的に結合されても良い。
【0081】
いくつかの実施形態では、VCMは、車両のプラットフォーム上の電気モジュールによって提供される電力を受け取り、その電力を、例えばVCMに構成される電気モータによって車輪に提供される回転動力に変換するように適合されることができる。提供された電力はさらに、例えば電気モータ、ステアリング変速機付き又はなしの電気リニアモータなどの電気ステアリングモジュールを使用して、VCMへのステアリング制御を生成するために利用されても良い。
【0082】
いくつかの実施形態では、VCMは、車輪の回転、ブレーキ、ステアリングおよび/またはサスペンションを制御するためのデータおよび制御コマンドを交換するために、車両のプラットフォーム上に配置された車両の制御モジュールと連動するように適合されても良い。いくつかの実施形態では、VCMは、少なくとも瞬時要求駆動力、ブレーキプロファイル、減衰プロファイル等の制御に関して、車両コントローラとVCMコントローラとの間のデータ相互作用によって、単に所定の種類の車両に接続するように構成可能であっても良い。いくつかの実施形態によれば、車両へのVCMのプラグインまたは車両からのVCMのプラグアウトは、外部制御ユニットに伝達されても良い。
【0083】
VCMモジュールは、機械的手段、電力手段および制御手段によって車両のプラットフォームに結合されても良い。その結合は、VCMユニットの迅速かつ正確な取り付け/取り外しを可能にするために、プラグイン/プラグアウト手段によって動作するように構成されても良い。VCMユニットを車両に取り付けると、車両プラットフォームに車輪トランスミッションを結合すること、車両プラットフォームにブレーキシステムを結合すること、車両プラットフォームにサスペンションシステムを結合すること、車両プラットフォームにステアリングシステムを結合すること、車両プラットフォームに車輪モータを結合することのうち1つ以上の結果がもたらされる。
【0084】
本発明の実施形態によれば、車両プラットフォームへのVCMの取り付けは、車両およびVCMを機械的および電気的な動作状態にすることをもたらし、必要な調整および適応、例えば、ちょうど取り付けられたVCMのダイナミクス(瞬間駆動モーメント、アライメントステアリング、協調サスペンションなど)を車両の別のVCMおよび車両プラットフォームへ適合させることを含む。いくつかの実施形態では、取り付けられたVCMを車両の別のシステムと完全に協調させることを可能にするために、VCM自身の性能パラメータが車両プラットフォームに送信されても良い。
【0085】
車両へのVCMの取り付けの際、VCMは、車両プラットフォームのコントローラと応答確認処理を行っても良い。いくつかの実施形態では、応答確認処理は、車両の別のVCMとのデータ交換を含む。いくつかの実施形態では、応答確認は、車両から離れた場所にある外部計算ユニット(例えば、外部コンピュータ、クラウドサービスを介したリモート計算ユニットへの接続など)との通信を含んでも良い。
【0086】
VCMの取り付けが完了すると、車両プラットフォームの制御システムは、接続されたコーナーモジュールと通信し、ステアバイワイヤ、トルクベクタリング、ブレーキバイワイヤ、ヨー安定性制御システム(ESPシステムなど)などのシステムによってコーナーモジュールを動作させるために、コーナーモジュールとデータおよび/または電源を通信することができる。
【0087】
車両プラットフォーム上の計算ユニットとVCMとの間で交換されるデータには、稼働状況監視を代表するデータや予防保守に関連するデータを含めることができる。
【0088】
車両プラットフォーム上の計算ユニットとVCMとの間で交換されるデータには、VCM、VCMモデル、VCMシステムおよびVCM能力/仕様を一意に識別するためのVCMモジュール識別番号(ID)を含めることができる。交換されるデータはさらに、重要なセンサの読み取り値(エラーや、ベアリング、シール、オイルレベル、ブレーキパッド、空気圧などのコンポーネントの現在の寿命状態)を含んでも良い。
【0089】
本発明の一態様は、VCMのキャリブレーション(較正)に関する。較正は、VCMを車両プラットフォームに取り付けた後に行うことができる。較正は、予定された処理として実行することができる。較正は、さらに、車両および/またはVCMにおいて更新された動作パラメータに従って実行されても良い。較正は、VCMに取り付けられた車輪の向き(キャバー、キャスター、トー角)、所定のブレーキ入力値に応じたブレーキ性能、及びVCMの1以上の組立品の振動のうち1以上のパラメータを測定、診断および更新することを含んでも良い。
【0090】
本発明の実施形態によれば、VCMの動作は、VCMのライフサイクル、VCMから受信したデータ、及びオペレータの設定に基づいて適応的に実行されても良い。
【0091】
いくつかの実施形態では、VCMに含まれるアクチュエータは、電気式および/または油圧式のアクチュエータであってもよい。車輪の駆動システムに電力を供給する1以上の電気モータは、VCMに配置されても良い。動力源は、VCM内に配置されても良いし、VCMの外部に配置されても良い。油圧源がVCMの外部にある場合、VCMは、駆動システムおよび/またはステアリングシステムを運転するための油圧制御/パワーアクチュエータ/トランスミッションを含んでも良い。油圧動力源が車輪の内側に位置するVCMの内部にある場合、駆動トランスミッションはより小さくても良いし、全く必要でなくても良い。
【0092】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのVCMを搭載した車両に関連する演算負荷は、場合により、車両プラットフォームの計算ユニットとVCMユニット(VCMが計算ユニット(複数)を搭載した場合)に含まれる計算ユニットとの間で分離されても良く、集合演算能力が十分になることを保証するようにされても良い。VCMの計算ユニットの最小限の計算任務は、VCMの様々なセンサからセンサデータを収集し、前処理したデータを車両プラットフォームの計算ユニットに提供し、さらに車両プラットフォームの計算ユニットが提供する制御信号のフローを受け取り、その制御信号を様々なアクチュエータに分配することでも良い。
【0093】
いくつかの実施形態では、車両プラットフォームへのVCMの接続(または組み立て)に続いて、当事者間でデータ接続が確立され、人間の関与を必要とせずに自律的に、新たに取り付けられたVCMが認識され、動作状態に置かれても良い。VCM側で比較的高い計算能力を伴う実施形態は、車両プラットフォームの計算ユニットに過負荷をかけることなく、VCMの動作機能をアップグレードする高い能力を可能にする。いくつかの実施形態では、車両の動作プロファイルは、VCMの計算ユニットによって管理されても良い。さらに、VCMの計算ユニットの高い計算能力は、車両プラットフォームの生産に影響を与えることなく、VCMの生産を可能にする。
【0094】
いくつかの実施形態では、VCMは、車両プラットフォームだけでなく、少なくとも1つの別のVCMとアクティブに通信しても良い。このような状態は、相互接続されたVCMと呼ばれる。車両のVCMは、全て同じタイプであっても良いし、車両の前部に同じタイプを有し、後部に異なるタイプを有しても良い。他の実施形態では、片側のVCMが同じタイプで、反対側のVCMが異なるタイプであっても良い。例えば、特定タイプの車両において、前部のVCMは操舵可能かつモータリング可能であり、後部のVCMは操舵およびモータリング機能を有しなくても良い。別の例では、VCMは、それらが備えるセンサによって互いに異なっても良い。そのような実施形態では、より多くのセンサを有するVCMは、これらのセンサを欠くVCMに関連データを通信しても良い。
【0095】
いくつかの実施形態では、車両は、車両動作の全ての側面を通じて完全に制御され、全ての計算作業はVCMの1以上の計算ユニットによって実行され、車両プラットフォームには計算ユニットがなくても良い。いくつかの実施形態では、車両は、例えば空気自律車両など、完全にまたは部分的に遠隔で制御されても良い。
【0096】
VCMを搭載した車両は、サブモジュール(ブレーキ、ステアリングなど)のメンテナンスを含む従来のメンテナンスルーチンを、1つ(または複数)の機能が誤作動しているVCMを完全に機能するVCMの交換に置き換えることによって、定期点検や故障点検の時間およびコストの削減も可能にする。完全に機能するVCMは、車両のタイプに機械的に適合するように選択され、その動作の他のすべての側面は、新しく取り付けられたVCMと車両全体およびそれらのVCMとの間のデータ交換を使用して車両に適合するように調整されても良い。この作業は数秒から数分かかる場合があり、車両の車庫内停止時間を最小限に抑え、車両が車庫を出た後も誤動作しているVCMが維持される場合がある。VCMを車両プラットフォームから分解/VCMを車両プラットフォームに組み立てることに関連する単純性は、作業を実行するためのロボット装置の使用を可能にし、それによってプロセスをさらに迅速化し、労働時間を減少させることができる。本実施形態によれば、メンテナンスは、トレーニングや熟練を必要とせず、車両のオペレータが自宅のガレージで実施することも可能である。さらに、車両プラットフォームを変更することなく、VCMをアップグレードすることによって、車両をアップグレードすることができる。さらに、車両の保険は、全車両モデルからVCMベースの保険モデルに変更することができる。
【0097】
このタイプの実施形態では、VCMの交換は、車両プラットフォームからVCMを固定解除し、電気/通信接続があればそれを切断し、交換用VCMを配置して車両プラットフォームに固定し、電気/通信接続を再接続し、新たに取り付けられたVCMが別のVCMおよび/または車両プラットフォームの計算ユニットに接続して実施する装着プロセスを自律的に完了する処理を含んでも良い。この交換作業は、整備士、訓練を受けていないオペレータ、またはロボットシステムの何れか1つによって実施されても良い。
【0098】
車両で使用されるのを待って棚に保管されているVCMは、定期的に又は要求に応じて、適切な動作状態を試験されても良い。保管されているVCMは、試験されるVCMの動作中の車両への完全な接続を多く模した試験設備に接続され、試験されるVCMに試験信号を注入し、VCM内のセンサまたは試験設備の一部である外部センサの何れかから受け取った受信信号を監視しても良い。試験ステップは、試験されるVCMの実行/中止で終了しても良いし、オペレータに提供され、試験されるVCMの計算ユニットに保存されることによって車両に搭載した後のVCMのチューニングをより早く、より正確に行うことができるようになる試験概要を追加しても良い。
【0099】
試験ステップは、VCMの単一システムの試験、VCMの複数のシステムの試験、システムの複合動作(例えば、速度変更中の操舵)を含む動作シナリオにおけるVCMシステムの2つ以上の試験、何度も、及び/又は変化する速度で繰り返される試験、および所定の運転プロファイルによるVCMの試験という、1以上の試験ステップを行うよう適合されてもよい。
【0100】
VCMの使用料は、車両のレンタル、コーナーモジュールのレンタル、サービスプラン、サブスクリプションサービスなどのビジネス取引に利用しても良い。動作パラメータの例としては、走行距離、使用時間、加速度(最大、頻度)などがあり、VCMの摩耗率と関連付けることができるデータである。動作データは、動作計画値と比較しても良い。計画値は、例えばVCMの購入時、VCMのレンタル時、VCMのサービスプランの購入/加入時など、VCMおよび/または車両について定められたビジネスプランの一部であっても良い。財務データは、保険プランに使用される情報に関連しても良い。保険プランは、コーナーモジュールおよび/または車両に関するものであっても良い。保険プランのコストは、VCMの履歴データに基づいても良い。いくつかの実施形態によれば、VCMの動作は、財務データに従って制御されても良い。いくつかの実施形態では、VCMの性能(動作プロファイル)は、選択されたプランの依存関係として選択される。いくつかの実施形態では、VCMの性能(動作プロファイル)は、先行するプランに対する実際のVCMデータの依存関係として選択される。動作プロファイルは、減少する/増加するように設定されても良い。
【0101】
VCM、VCMの用途、車両の一部としてのVCMなどのいくつかの実施形態が、以下の図面に関して本明細書で説明される。
【0102】
次に、本発明の実施形態によるVCMを備えた車両に関連する構成要素間の様々な通信方式を模式的に示す
図1A~1Dを参照する。
図1Aは、VCM150と車両プラットフォーム102との間の基本的な通信方式を示しており、当該通信方式は、VCMモータ、ステアリング、ブレーキ、サスペンション及びVCM計算ユニットの動作に関連する電力および信号を交換することを可能にする。信号は、制御信号およびデータ信号から構成される。
図1Bは、VCM150と、車両プラットフォーム102と、外部計算ユニット106との間の基本的な通信方式を示す。車両プラットフォーム102とVCM150との間で交換される信号及び電力は、
図1Aに関して上述したものと同様であって良い。さらにVCM150および車両プラットフォーム102は、例えば、後で使用するためにデータを保存するため、または保存されたデータを受信するため、または追加された計算能力を享受するために、外部計算ユニット106とデータを交換しても良い。
【0103】
図1Cは、VCM150、車両プラットフォーム102、外部計算ユニット106、および1以上の追加のVCM108の間の基本的な通信方式を示す図である。車両プラットフォーム102、VCM150および外部計算ユニット106の間で交換される信号および電力は、
図1Bに関して上述したものと同じであって良い。さらに、VCM150と同様に車両プラットフォーム102とアクティブに通信している1以上の別のVCM108は、任意(オプション)にVCM150と通信(すなわち、VCM間通信)および/または外部計算ユニット106と通信しても良い。
【0104】
図1Dは、VCM150、車両プラットフォーム102、外部計算ユニット106、およびサービスステーション110の間の基本的な通信方式を示す図である。車両プラットフォーム102とVCM150との間で交換される信号および電力は、
図1Aに関して上述したものと同様であって良い。さらに、サービスステーション110は、車両プラットフォーム102、VCM150および/または外部計算ユニット106のうちの何れか1つとアクティブ通信を確立しても良い。サービスステーション110と、車両プラットフォーム102、VCM150、および外部計算ユニット106の何れか1つとの間で交換される信号は、VCM関連データ、車両関連データ、および車両プラットフォーム、ならびにVCMに関連する他のタイプのデータから構成されても良い。このようなデータは、故障したVCMを修理するため、修理されたVCMの稼働状況記録を更新するため、特定車両にVCMを効率的にチューニングするため、などに有用であっても良い。
【0105】
図2A~2Cは、本発明の実施形態による車両プラットフォームと1以上のVCMとの間の通信の様々な実施形態を示す。
【0106】
車両プラットフォーム202上のユニットとVCM150との間の接続を示す概略電気図である
図2Aを参照する。電源202Aは、車両プラットフォーム202上の消費部に電力を供給するように適合された車両プラットフォーム202上および/またはVCM150内に配置されても良い。VCM制御ユニット(CSCU)202Bは、車両プラットフォーム202上に配置されても良く、VCMデータプロセッサ202B1およびVCMシステムコントローラ202B2から構成されても良い。VCM150は、サスペンション制御ユニット(SCU)204A1、ブレーキ制御ユニット(BCU)204A2、トランスミッション制御ユニット(TCU)204A3およびステアリング制御ユニット(STU)204A4からなるグループ204Aからの1以上の制御ユニットで構成されても良い。VCM150は、別の全てのVCMサブシステム制御ユニットと、VCMセンサ204Bと通信するように適合されたVCMコントローラ50を更に含んでも良い。VCMコントローラ50は、VCMシステム制御ユニット202Bとアクティブに通信しても良い。この方式は、車両プラットフォーム202とVCM150との間の制御およびデータの流れを可能にする。
【0107】
いくつかの実施形態では、1以上の制御ユニット204Aは、マージされたコンポーネントおよび機能を有するように設計されている。いくつかの実施形態では、制御ユニットの併合は、共有された動作パラメータ(例えば、回転速度)を有する処理アルゴリズムの共有によるものである。いくつかの実施形態では、併合された制御ユニットは、電源を共有する。いくつかの実施形態では、併合された制御ユニットは、共通のセンサセット(例えば、204Bに含まれるセンサ)から入力を受け取る。いくつかの実施形態では、併合された制御ユニットは、共通の機械的コンパートメント内に収容される。いくつかの実施形態では、制御ユニットを併合することで、VCM150内に配置される制御ユニットのサイズを縮小する。
【0108】
いくつかの実施形態では、制御ユニット204Aの1つ以上は、VCM150上のシステムの機械的構造で支持される以外に、制御ユニットが外部ハウジングを必要としないように、ポッティング技術を使用してVCM150に位置決めされる。
【0109】
車両プラットフォーム202上のユニットと2以上のVCM150との間の接続の概略電気図を示す
図2Bを参照する。車両プラットフォーム202の電源202Aは、
図2Aのものと同一または類似していても良い。VCM制御ユニット(CSCU)212Bは、
図2Aのプロセッサ202B1と同一であっても良いプロセッサ212B1に加えて、I/Oユニット212B3およびデータストレージ212B4を備えて構成されて良い。I/Oユニット212B3は、プラットフォーム-VCMバス213を介して通信するように適合されても良い。VCMユニット150の各々はさらに、
図2Aのコントローラ50およびセンサユニット204Bと同様に機能しても良いコントローラ(CCU)50およびセンサユニット204Bを備えても良い。さらに、VCM150は、データストレージ204Dを備えても良い。この方式は、車両プラットフォーム202と2以上のVCM150との間の制御およびデータの流れを可能にし、さらに、VCM間の制御およびデータの流れを直接可能にする。いくつかの実施形態では、各VCM150の制御ユニットのうちの2つ以上は、単一の計算ユニットで具現化されても良い。
【0110】
車両プラットフォーム202上のユニットと、分離した通信バス213、223を使用する複数のVCM150との間の接続の概略電気図を示す
図2Cを参照する。車両プラットフォーム202上の制御ユニットは、
図2Bの対応するユニットと同一であっても良く、各VCM150の制御ユニットは、
図2BのVCM150のそれぞれの制御ユニットと同一であってもよい。
図2Bの通信方式とは対照的に、ここでは、プラットフォームのVCM制御ユニット(CSCU)212Bの関与なしに2以上のVCM間の直接通信を可能にする別の通信バス:VCM-VCMバス223が使用されている。VCMの各々は、コネクタ214Eを介してプラットフォーム-VCMバス213とVCM-VCMバス223と接続されても良い。この方式により、車両プラットフォーム202と2以上のVCM150との間の制御およびデータの流れが可能となり、さらにVCM150間の制御およびデータの流れが直接可能となる。
【0111】
次に、本発明の実施形態によるVCMベースの車両100における制御ユニットのハイレベルトポロジーを示す概略ブロック図である
図2Dを参照する。車両100は、その車両プラットフォームに取り付けられた4つのVCM、すなわち左側のVCM150
L1、150
L2と右側のVCM150
R1、150
R2とから構成されても良い。各VCM150のそれぞれのコントローラ50は、別個のユニットとして、または追加/統合された機能として、VCM制御ユニット(CSCU)を含む車両コントローラ115とアクティブに通信することができる。VCMの各々と車両コントローラ115との間の通信は、データ、制御信号を交換し、VCMの動作フェーズ中に発生したエラーおよびVCMの状態を反映するように適合されても良い。
【0112】
いくつかの実施形態では、
図2Dの車両は、自律型車両であっても良い。この実施形態では、主自律コンピュータ233は、車両に設置され、制御、エラーおよびステータス信号を交換するように適合された車両コントローラ115とアクティブに通信する。いくつかの実施形態では、車両は人間が運転しても良く、主自律コンピュータ233は運転支援システムとして含まれても良い。
【0113】
図2Dに示す構成では、VCM間の直接的な通信は見られない。互いに通信しないVCMを持つことの潜在的な利点は、制御が車両コントローラ115を経由して行われることである。場合によっては、これは、例えば相反するステアリング角のような、相反する信号の送信を防止することを単純化する。
【0114】
しかし、いくつかの実施形態では、VCM間バス(
図2CのVCM-VCMバス223など)が提供され、より高速なデータ交換、冗長性のレベル改善、および/またはプロセッサ間における計算の過負荷の分散を可能にすることができる。
【0115】
次に、本発明の実施形態によるソフトウェア(SW)高位スキームの概略ブロック図である
図2Eを参照する。SWスキームは、1以上の物理モジュールを備える車両のSWモジュール間のSW割り当ての分割を示し、これらの物理モジュールの少なくとも1つが専用のSWモジュールによって制御される。
図2EのSWスキームでは、物理モジュール:ステアリングモジュール、パワーモジュール、パワートレインモジュール、熱冷却モジュールおよびブレーキモジュールの各々は、関連する物理モジュールの動作を制御するために制御信号を提供し、物理モジュールの動作を監視するセンサの読み取りをモジュールから受信するように適合された関連するSWモジュールを有する。したがって、ステアリングSWモジュール241、パワーSWモジュール242、パワートレインSWモジュール243、サスペンションSWモジュール244、熱冷却SWモジュール245およびブレーキSWモジュール246はそれぞれ、それぞれの物理モジュールに制御信号を提供し、それぞれの物理モジュールから関連の物理モジュールの動作を反映したセンサ信号を受信するよう適合される。
【0116】
SWモジュールの各々は、中央SWモジュール248とアクティブに通信しても良く、中央SWモジュール248は、SWモジュールの各々から制御、ステータスおよびエラーデータを受信し、それを記憶し、任意に不揮発性メモリ(図示せず)に記憶されたプログラムラインに従って受信データを処理するよう適合されている。中央SWモジュール248は例えば、本明細書の他の箇所に記載された1以上の制御スキームに従って、車両制御ユニット(図示せず)とアクティブに通信しても良い。中央SWモジュール248は、自律制御ユニット(図示せず)などの外部制御エンティティ(図示せず)から制御信号を受信するように適合されている。いくつかの実施形態では、SWモジュールの各々は、それが制御するように適合されている物理モジュール上またはその近傍に配置される専用の計算デバイス(図示せず)上で動作しても良い。このようにして、それぞれのHW/SWモジュールは、関連するモジュールを取り外し、別のそのようなモジュールと交換するだけで、完全な交換が可能である。他の実施形態では、2以上のSWモジュールは、例えば車両プラットフォーム上に配置される単一のHWプラットフォーム上に具現化されても良い。いくつかの実施形態では、物理モジュールのHWモジュールは、互いに同一であって良く、HWモジュールに読み込まれたSWパッケージによってのみ異なっても良い。このような配置は、コストを節約し、既製品の予備モジュールの数を低下させ、取り外し、取り付け、およびSW読み込み・調整に必要な時間を短縮することができる。
【0117】
図3A~3Gは、本発明の実施形態によるVCMの様々な機械的・電気的構成を示す図である。以下の例では、VCMのユニットの様々な部分的な組み合わせを示している。
【0118】
車輪VCM150を装着した状態の等角図を模式的に示す
図3Aを参照する。VCM150は、サスペンションユニットを駆動する電気モータ304Aを備え、サスペンションユニットは、車輪を回転させるように適合されている駆動系ユニット304Bを有する。さらに、この実施形態では、車輪の回転速度を反映するために、車輪軸受に回転センサ306が設置されても良い。電気モータ304Aは、電力接続304A1を介して電力源に接続されても良い。
【0119】
車輪内に設置されたVCM150の等角図を模式的に示す
図3Bを参照する。VCM150は、車輪のリム内に少なくとも部分的に囲まれたステアリングアセンブリ310A、サスペンションアセンブリ310Bおよびブレーキアセンブリ310Cを備える。本実施形態によれば、ステアリングアセンブリ310Aは、ステアリングロッド310A1、ステアリングモータ310A2、およびステアリング制御ユニット310A3を備えても良い。ステアリングアセンブリ310Aは、ステアリング制御ユニット310A3からステアリング制御信号を受信するように適合されている。いくつかの実施形態では、ステアリング制御ユニット310A3は、車両プラットフォーム上の中央制御装置、またはVCMからステアリング制御信号を受信する。サスペンションアセンブリ310Bは、車両プラットフォームに対する車輪の移動を可能にするシステムとして表現されている。サスペンションアセンブリ310Bは、レール310B1が移動可能であるサブフレーム310B2を備えても良い。サスペンションアセンブリ310Bは、サスペンションの膨張/圧縮を測定するように適合されているセンサ(図示せず)をさらに備えても良い。
【0120】
図3Cおよび
図3Dはそれぞれ、
図3Bの実施形態におけるVCMの正面図および側断面図である。
図3Cでは、ブレーキアクチュエータ310C1およびブレーキ制御インターフェース310C2を備えるブレーキアセンブリ310Cの詳細を示し、
図3Dは、サスペンションアセンブリ310Bのサブフレーム310B2およびレール310B1の別の図を示している。
【0121】
本発明の実施形態による車輪のリム内に少なくとも部分的に取り付けられたVCM150の頂部断面図を示す
図3Eを参照する。VCM150は、制御ユニット320A1を有するモータ320Aと、車両プラットフォームから電力供給を受けるためのモータ電気接続320A2とを備えても良い。VCM150は、車輪インターフェース320Cおよびステアリングアセンブリ320Bに回転駆動を提供する動力トランスミッション320Dをさらに備える。車輪インターフェース320Cは、回転速度を示すデータを提供する回転センサ(図示せず)を備えても良い。電気および通信ケーブル320A2は、車両プラットフォームおよび/または別のVCMへの必要な接続を提供しても良い。いくつかの実施形態では、VCMコントローラ50は、VCM150システムの一部として設置されても良い。ステアリングアセンブリ320Bの電気および制御接続は、VCMコントローラ50に接続されても良い。
【0122】
本発明の実施形態による車輪のリム内に少なくとも部分的に取り付けられたVCM150の概略側断面図を示す
図3Fを参照する。
図3Fは、駆動軸330B1を介して車輪を回転させるように適合された複合駆動トレインおよびサスペンション330Bを備えるVCM150の実施形態を示す。電気および通信ケーブル330Dは、車両プラットフォームおよび/または別のVCMへの必要な接続を提供しても良い。いくつかの実施形態では、VCMコントローラ50は、VCM150システムの一部として設置されても良い。上記実施形態においてステアリング機能(図示せず)を備える場合、その電気ケーブル及び制御ケーブルは、VCMコントローラ50に接続されても良い。本発明の実施形態による車輪のリム内に少なくとも部分的に取り付けられたVCM150の概略側面図を示す
図3Gを参照する。VCM150は、モータ340A、サスペンションアセンブリ340B、VCMコントローラ50、VCMコントローラ50に接続340D1を介して接続されたブレーキアクチュエータ340D、および車輪ベアリングに配置されても良い回転センサ340Eを備え、インターフェースモジュール342を介して車両プラットフォームと機械的に接続されても良い。モータ340A、回転センサ340E、ブレーキアクチュエータ340Dおよびサスペンションアセンブリ340Bのうちの何れか1つは、VCMコントローラ50に接続され、制御されても良い。いくつかの実施形態では、モータ340A、回転センサ340E、ブレーキアクチュエータ340D、およびサスペンションアセンブリ340Bの何れか1つは、VCMコントローラ50に接続および制御される所定の制御ユニットに接続される。
【0123】
本発明の実施形態によるVCM150の一実施形態の概略3D図を示す
図4Aを参照する。VCM150は、モータ及びモータ制御ユニット400A、パワートレイン400B、サスペンションアセンブリ400C、ステアリング制御ユニット及びステアリングアクチュエータをまとめた400D、ブレーキユニット400Eおよび車輪インターフェース400Fを備え、VCM150の少なくとも一部は、車輪インターフェース400Fに取り付けられたとき車両のリムの中に構成されるよう適合される。モータ及びモータ制御ユニット400A、センサ(図示せず)、ブレーキユニット400Eおよびサスペンションアセンブリ400Cのうちの何れか1つは、VCM制御ユニット(図示せず)に接続および制御されても良い。いくつかの実施形態では、モータ、ブレーキおよびサスペンションアセンブリの何れか1つは、VCMコントローラ(図示せず)に接続され制御されても良い指定制御ユニットに接続されても良い。
【0124】
本発明の実施形態によるVCM150の概略3D図である
図4Bを参照すると、VCM150は、2つの車輪に取り付けるためのインホイールユニットを示している。VCM150は、駆動トレイン410Cを介して2つの車輪インターフェース410Dを駆動するように適合されたモータおよびモータ電気接続410Aを備える。VCM150は、サスペンション制御ユニット410B1、サスペンション動作センサ410B2およびサスペンションばねダンパー410B3から構成されるサスペンションアセンブリ410Bをさらに備える。VCM150は、車輪インターフェース410Dを介して車輪に接続されても良く、インターフェース412を介して車両プラットフォームに機械的に接続されても良い。VCM150は、VCMコントローラ50によって制御されても良い。モータ410Aおよびサスペンションアセンブリ410Bの何れか1つは、VCMコントローラ50に接続および制御されても良い。いくつかの実施形態では、モータ410Aおよびサスペンションアセンブリ410Bの何れか1つは、VCMコントローラ50に接続され制御される指定制御ユニット(サスペンション制御ユニット410B1など)に接続されている。
【0125】
本発明の実施形態によるVCM454を格納する格納ユニット452の概略ブロック図である
図4Cを参照する。VCM454は、上述したVCMの何れか1つ、例えば
図2Aで説明したVCM150と同様であってよく、センサユニット454Aと、以下のアクティブシステム:サスペンション制御ユニット(SCU)454B1、ブレーキ制御ユニット(BCU)454B2、ステアリング制御ユニット(STU)454B3および車輪駆動制御ユニット454B4とアクティブ通信するVCMコントローラ50とを備える。
【0126】
VCM454は、1以上の機械的マウント452Aおよび少なくとも1つの電気および制御コネクタ452Bを介して格納ユニット452に取り付けられるように適合されても良い。マウント452Aのうちの任意の1つは、格納ユニット452内のVCM454の重量を支持するように適合されても良く、いくつかの実施形態では、マウント452Aのうちの1つ又は複数は電気回路を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、格納ユニット452は、本明細書で上に説明したように、格納ユニット452内に格納されたVCM454に対して稼働状況試験を行うように適合されたコントローラおよび制御プログラム(図示せず)を備えても良い。格納ユニット452は、VCM試験結果を提供し、試験パラメータの制御が可能なローカル出力装置452C(例えば、ディスプレイ、無線送信機/受信機など)をさらに備えても良い。1以上のマウント452Aは、振動センサ、機械的荷重センサ、機械的モーメントセンサなどの1以上の形態のセンサを含むか、またはそれらで構成されても良い。試験は、試験スキームに従って1以上のVCMシステムを起動することによって実行されても良い。試験結果は、VCMセンサ454Aおよび/またはマウント452Aに含まれるセンサによって記録されても良い。
【0128】
格納ユニット452は、複数の壁450a、450b、450c、450dを有する容器であっても良い。格納ユニット452は、VCM454に適合する形状であっても良いし、複数のVCMタイプに適合するように(例えば、調整可能なマウント452Aによって)調整可能に設計されても良い。格納ユニット452は、複数のVCM454を一度に格納できるような形状およびサイズであっても良い。格納ユニット452は、静止していても良いし、移動可能に適合されていても良い。
【0129】
本発明の実施形態による車両プラットフォームへのVCMのプラグインに関与するステップを示す概略フロー図である
図5を参照する。ステップ502において、VCMは、車両プラットフォームにプラグインされる。いくつかの実施形態では、ステップ502でプラグインされるVCMは、車両プラットフォームに先に取り付けられていない、新しいVCMである。いくつかの実施形態では、ステップ502でプラグインされるVCMは、過去に車両プラットフォームに取り付けられたことのあるVCMである。いくつかの実施形態によれば、VCMのプラグインは人間のオペレータ(例えば、技術者、運転手、職業軍隊)によるものであり、いくつかの実施形態では、VCMのプラグインはロボットシステムによるものである。ステップ504において、VCM動作プロファイルデータは、プラットフォームによって受信される。
【0130】
ステップ506では、VCMのバージョンがチェックされる。VCMの検証が失敗した場合、ステップ504aにおいて通知(失敗通知)が発行される。失敗通知は、オペレータに提供されても良く、視覚的または音によるものであっても良い。失敗通知は、他のデバイスに送信される出力であっても良い。失敗通知は、VCMおよび/または車両プラットフォームおよび/またはVCMに接続されたデバイスによって提供されても良い。いくつかの実施形態では、VCMのバージョンを更新する必要がある場合、当該更新はステップ506aで行われる。
【0131】
VCMプロファイルとプラットフォームプロファイルはステップ508で照合(マッチング)され、照合に失敗した場合はステップ508aで報告される。いくつかの実施形態では、ステップ508a(報告)は、VCMのアンプラギングと、車両プラットフォームへのVCMのプラグイン処理の終了とに続く。ステップ508a(報告)は、オペレータに対するものであっても良く、視覚的であっても音によるものであっても良い。ステップ508a(報告)は、他のデバイスに送信される出力であっても良い。ステップ508a(報告)は、VCMおよび/または車両プラットフォームおよび/またはVCMに接続されたデバイスによって提供されても良い。
【0132】
ステップ510において、新たに取り付けられたVCMは、車両のプロファイルに一致するプロファイルを使用して起動される。いくつかの実施形態によれば、プロファイルは、VCMに格納されたプロファイルデータベースから選択される。いくつかの実施形態では、プロファイルデータベースは、車両プラットフォームに格納される。いくつかの実施形態では、プロファイルデータベースは、リモート記憶装置(デバイス、コンピュータ、クラウド)に格納される。いくつかの実施形態によれば、選択された動作プロファイルは、VCMのステアリングおよび/またはブレーキおよび/または駆動に関連するシステムの作動/非作動化を含む。いくつかの実施形態によれば、プロファイルは、車両の性能に適合する動作パラメータを含む。いくつかの実施形態では、プロファイルは、運転者のプロファイルに適合する動作パラメータを含む。いくつかの実施形態では、プロファイルは、車両の計画的な運転(例えば、時間、距離、速度、天候、道路状況)に応じた予測的な動作パラメータを含む。
【0133】
VCM履歴データは、オプションとして、ステップ512で読み込まれても良い。いくつかの実施形態では、履歴データは、車両プラットフォームの動作データであっても良い。いくつかの実施形態では、履歴データは、VCMの動作データであっても良い。いくつかの実施形態では、履歴データは、車両の計画された動作であっても良い。いくつかの実施形態では、履歴データの読み込み(ステップ512)に続いて、履歴データの分析が行われる(ステップ513)。
いくつかの実施形態では、分析(ステップ513)の結果、VCMおよび/または車両プラットフォームで予測される動作と矛盾する場合(例えば、予測される動作を可能にするためにメンテナンスする時間が短い場合)、警告が提供される。
【0134】
VCMが起動された後、ステップ514において、そのプロファイルが車両の別のVCMのプロファイルと照合(マッチング)される。いくつかの実施形態によれば、不一致(ミスマッチ)が見つかった場合、それはステップ514aにおいて報告される(報告方法は、上に挙げたものと同様とすることができる)。
【0135】
ステップ516において、新しいVCMのプロファイルは、車両の別のVCMのプロファイルに調整される。
【0136】
ステップ518において、別のVCMのプロファイルは新しいVCMのプロファイルに調整され、必要な調整が終了するまで当該調整の閉ループが生成される。全てのVCMの調整が正常に終了すると、ステップ520において、新たに取り付けられたVCMの作動が可能になる。
【0137】
次に、本発明の実施形態による1以上のVCMからなるシステムのどの要素が、VCMを有する車両の運転および保守中に行われる特定操作それぞれの実行に関連するかについて詳細に示すチャートである
図6を参照する。
【0138】
本発明の実施形態による新たに取り付けられたVCMを車両プラットフォームおよび別のVCMとマッチングさせる処理、ならびにオプションの追加処理をそれぞれ示す概略フロー図である
図7Aおよび
図7Bを参照する。新しいVCMは、ステップ702において車両プラットフォームに接続され、ステップ704においてVCMにおける制御ユニットが起動される。ステップ706において、VCMは、リモート/外部コンピュータ、車両プラットフォームコントローラ、またはリモート、インクラウドサービスの何れかによって検証される。ステップ708においてVCMの情報は車両プラットフォームコントローラに送信され、その後、ステップ710において車両の別のVCMに送信されて処理が完了する。
【0139】
以下のステップ712~716は、オプション処理である。ステップ712では別のVCMからデータを受信し、ステップ714では、別のVCMからのデータに基づいて、新たに取り付けられたVCMの動作プロファイルを設定する。ステップ714で達成される結果(設定)を最適化するために、新しいVCMの履歴情報が必要な場合、ステップ714aで当該履歴情報を読み込んでも良い。最後にステップ716において、VCMの動作パラメータは、車両システムと動作が一致するように較正される。
【0140】
次に、本発明の実施形態による車両プラットフォームに取り付けられた運用型VCMを更新する処理を示す概略フロー図である
図8を参照する。VCMが取り付けられ起動されると、車両の動作パラメータが更新される(ステップ802)。ステップ802における更新は、車両の運転中、例えば、速度およびまたはステアリングの変更中に実行されても良い。更新は、保守点検処理の一部であっても良い。
【0141】
更新(ステップ802)に続いて、更新が必要な車両の動作パラメータをサポートする1以上のVCMの1以上のシステムが特定される(ステップ804)。
【0142】
更新対象のパラメータは、特定されたVCMシステムに対して計算される(ステップ806)。この計算は、場合により、車両プラットフォーム上またはVCMの計算ユニットによって行われても良い。計算処理(ステップ806)に続いて、1以上のVCM内の1以上のシステムを作動させるために動作パラメータが更新される(ステップ808)。更新処理(ステップ808)の後、VCMシステムが作動され(ステップ810)、VCMシステムの正常な作動の承認が、車両プラットフォームおよび/または別のVCMに提供される(ステップ812)。
【0143】
特定処理(804)、更新処理(808)、作動処理(810)および承認処理(812)のステップの1つ以上は、VCMとVCMシステム制御ユニットとの間のデータ交換を含んでも良く、上記とは別の箇所で説明される。
【0144】
次に、本発明の実施形態による、取り付けられたVCMの動作パラメータを更新するプロセスを示す概略フロー図である
図9を参照する。
【0145】
目標動作プロファイルの設定が車両運転者から受信される(ステップ902)。目標動作プロファイルは、車両の動作、保守点検処理および初期起動のうちの1以上の間に提供されても良い。
【0146】
目標プロファイルの設定(ステップ902)に続いて、車両プラットフォームコントローラおよび/または1以上のVCMの1以上の制御ユニットから、車両の現在の動作プロファイルを受信する(ステップ904)。
【0147】
上記の目標VCM動作パラメータと現在の動作プロファイルとに基づいて、目標動作プロファイルパラメータは計算される(ステップ906)。計算処理(ステップ906)は、車両プラットフォーム、VCMに配置された計算ユニット、および/または、リモート計算ユニットにより行われても良い。
【0148】
計算された動作パラメータは、1以上のVCMの1以上の制御ユニットに分配される(ステップ908)。制御ユニットは、目標パラメータ値に従って、更新された作動信号をVCMのシステムに送信しても良い。
【0149】
次に、本発明の実施形態において、予測動作パラメータに基づいて実際の動作パラメータを適合させるプロセスを示す概略フロー図である
図10を参照する。上記プロセスは、VCM要求性能を示すデータを受信する処理(ステップ1002)によって開始し、VCMの予測動作性能の推定処理(ステップ1004)に続く。
【0150】
次に、これまでのステップに基づき、VCMが予測された性能を実現可能かどうかが判断される(ステップ1006)。このステップでは、予測データを実現するために、更新対象の動作パラメータが計算されても良く(ステップ1006a)、オプション処理として予測データがそれに応じて更新される(ステップ1006b)。
【0151】
計算された更新対象の予測データに基づく起動命令は、1以上のVCMに送信され(ステップ1008)、ステップ1006において、閉ループで再度、VCMが予測された性能を実現可能かどうかが判断される。ステップ1006aで動作パラメータを計算した結果、更新対象の動作パラメータを提供することに失敗した場合、失敗が提供される。判断処理(ステップ1006)および計算処理(ステップ1006a)のステップのうちの1つ以上は、車両プラットフォーム、VCMおよび/またはリモート計算ユニットのうちの1つ以上に配置される計算ユニットによって実行されても良い。
【0152】
次に、本発明の実施形態によるVCMを交換するためのプロセスを示すフロー図である
図11を参照する。
【0153】
VCMは、例えば、VCMの目標動作パラメータと実際の動作パラメータとの間に、予め定められた閾値を超える不一致(ミスマッチ)が検出された場合(ステップ1102A)、VCMの有効期限が切れたこと(満期)が検出された場合(ステップ1102B)、計画サービスプログラムの変更が検出された場合(ステップ1102C)の何れかにおいて、交換が必要と認定される。
【0154】
VCMの交換が必要と判断された場合、「交換が必要である(要交換)」を示す信号が発行され(ステップ1104)、車両の動作モードがサービスモードに設定される(ステップ1106)。
【0155】
機能しないVCMは車両プラットフォームから取り外され(ステップ1108)、その実際の状態に応じて、廃棄されるか(ステップ1110A)または保守点検される(ステップ1110B)。
【0156】
取り外されたVCMの実際の状態にかかわらず、交換用のVCMが車両プラットフォームに取り付けられ、起動され(ステップ1112)、車両の動作が再開される(ステップ1114)。
【0157】
次に、本発明の実施形態によるいくつかの例示的な状況における車両のユニット間の通信および制御フローを示す概略ブロック図である
図12A~12Cを参照する。3つの例すべてにおいて、車両プラットフォームは、少なくとも電源およびVCMシステムコントローラを備えても良く、ここで、システムコントローラは、以下の例のように、他のユニットから切り離されても良い。以下の実施例における各VCMモジュールは、モータユニット、ステアリングユニット、ブレーキユニット、サスペンションユニットおよびVCMコントローラからなるリストからの1つ以上を少なくとも備えても良い。以下のすべての実施例において、車両プラットフォームコントローラとVCM制御ユニットとの間の通信は切断されても良い。他の通信回線も切断されても良い。以下の例では、切断された通信回線にバツ印が付されている。
【0158】
図12Aは、車両プラットフォームが外部またはリモートコンピュータを介してVCMと通信し、両者間の切断された直通回線を迂回する基本的な通信配置を示す。
【0159】
図12Bは、複数のVCMと外部/遠隔コンピュータとを有する車両プラットフォームを含む構成を示し、単一のVCMとプラットフォーム間、プラットフォームと複数のVCM間の直接通信線が切断されている。この構成は、全てのVCMとプラットフォームとの通信がリモート/外部コンピュータを介してどのように実行されるかを例示し、VCM間の通信はそれを強化する可能性がある。
【0160】
図12Cは、車両プラットフォームがVCMとの直接通信から切り離されているが、リモート/外部コンピュータおよびサービスステーションとの通信回線を有しているシナリオを示す図である。通信回線は、リモート/外部コンピュータとサービスステーションとの間でも有効である。このように、プラットフォームとVCMとの間の通信は、サービスステーション経由とリモート/外部コンピュータ経由の2つの経路で行われる。
【0161】
次に、本発明の実施形態において、VCMを動作させ、他のシステムとVCMデータを通信するためのプロセスを示す
図13を参照する。
【0162】
VCMの動作は、動作パラメータや動作プロファイルの選択に寄与するシステムやプロセスに関連する場合がある。また、VCMの動作は、財務目的およびビジネストランザクションに使用されるシステムおよびデータベースと関連する場合がある。使用コストは、車両のレンタル、VCMのレンタル、サービスプラン、サブスクリプションサービスなどのビジネストランザクションのために役立つ場合がある。他のシステムと通信可能な動作パラメータの例としては、走行距離、運転時間、加速度(最大、頻度)などがあり、これらはすべてVCMの摩耗率と関連付けることができるデータである。動作データは、計画値と比較することができる。計画値は、VCMおよび/または車両について定められた事業計画の一部であってよく、例えば、VCMの購入時、VCMのレンタル時、VCMのサービスプラン(例えば、サービスとしてのVCM)に対する購入/加入、および使用計画の購入時などである。財務データは、保険プランで使用される情報に関連する場合がある。保険プランは、VCMおよび/または車両に関するものであることができる。保険プランのコストは、VCMの履歴データに基づいても良い。いくつかの実施形態によれば、VCMの動作は、財務データおよび財務考慮事項に従って制御されてもよい。いくつかの実施形態では、VCMの性能(運用プロファイル)は、選択されたプランの依存関係として選択される。いくつかの実施形態では、VCMの性能(動作プロファイル)は、先行する計画に対する実際のVCMデータの依存関係として選択される。
図13に示すように、VCMの動作は、車両プラットフォーム、オペレータプロファイルなどのために設定された計画に従って行われる車両コーナーモジュールの受け取り(ステップ1302)を含んでも良い。上記の他の箇所で説明したように、VCMは、車両プラットフォームに結合(プラグイン)される(ステップ1304)。VCMの起動(1308)に先立って、VCMのために設定された動作計画に関する情報を受信する(1306)ステップがあっても良い。VCMプロファイルの設定(1310)は、動作計画に従っていても良い。
【0163】
VCMの動作データは、他のシステムで利用するために記録(ステップ1312)された後、出力(ステップ1314)されても良い。金融システムであってもよい他のシステムは、動作データを受信(ステップ1316)しても良い。受信したデータは、VCMのデータの使用状況を分析(ステップ1318)し、分析したデータに従って金融費用を計算(ステップ1320)するために使用することができる。金融費用は、VCM保有者に出力(ステップ1322)される。いくつかの実施形態では、分析されたデータは、VCMの動作計画を更新する(ステップ1324)ために出力される。
【0164】
ステップ1330~1336に示すように、VCMに設定された事業計画に基づいてVCMの動作計画を立てることができる。VCMの動作計画を設定(ステップ1332)し、データベースに格納し(ステップ1334)、必要に応じて他の装置(例えば、外部コンピュータ、クラウド、車両プラットフォーム計算装置、およびコーナーモジュール計算装置)に出力(ステップ1336)することができる。
【0165】
次に、実施形態による車輪付き車両100の例を示す
図14A~14Dを参照する。 四輪車のみが図示されているが、本発明の実施形態は、より少ない数の車輪またはより多くの数の車輪を有する車両において実施することができる。
図14A、14Bは、4つのVCM150が取り付けられ、すなわち各コーナーにVCMが1つずつ取り付けられ、各VCM150がそれぞれの搭載(すなわちVCMに搭載された)VCMコントローラ50を含む車両100を示す。
図14Aの車両100は、車載車両コントローラ115と4つのVCMコントローラ50のそれぞれとの間の電子通信を可能にする通信バス153を含む。したがって、通信の配置は、車両コントローラとそれぞれのVCMコントローラとの間の通信が可能になる
図2Dに示されるものと同様であるが、VCMコントローラ間の直接通信は、
図14Aに示される通信バスによって可能にならない。
いくつかの実施形態では、通信バス153は、VCM-VCM通信を含むように拡張することができる。
【0166】
図14Bに示される車両100は、VCMコントローラ50を互いに接続する通信バス154を含む。いくつかの実施形態では、
図14Bに示されているように、通信バス154はさらに、車両コントローラ115とVCMコントローラ50の何れか1つ以上(又は全て)との間の通信を可能にすることができる。通信バス153又は154の一例は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスとして構成されたマルチマスターシリアルバスである。いくつかの実施形態(図示せず)では、物理的に分離および/または割り当てられた、例えば恒久的または一時的に割り当てられた、通信チャネルを、通信バスと並んでまたは通信バスの拡張として特定のエンドポイント間で実装することができる。例えば、VCMコントローラは、それぞれのVCM内に配置されたセンサとそのような直接チャネル通信を行うことができる。
【0167】
図14A、14Bの例に示すように、車両100は、複数対の対向するVCM150、すなわち対向する車輪を含むことができる。
図14C、14Dに示されるような他の例では、車両100は、対向するVCM150の単一ペアだけを含むことができ、一方、車両100の他の車輪がもしあれば、他の様式で、例えばステアリング、駆動、ブレーキおよび/またはサスペンションシステムに関する従来の配置を用いて実装される。
【0168】
ここで、
図15を参照する。実施形態によるVCM150は、それぞれが機械的および/または電気的な構成要素からなる複数のサブシステムを含む。サブシステムの各々は、サブフレーム161と接触しているか、または、接続されており、車輪インターフェース175と接触している。各VCM150の複数のサブシステムは、以下の4つのサブシステムのうちから選択される。
【0169】
a.ステアリングサブシステム200は、ステアリング、すなわちステアリング軸の周りに車両の車輪を枢動させるために必要な機械的および/または電気的構成要素の何れか又は全てを含むことができ、これには、網羅的ではないが、ステアリングモータ、ステアリングアクチュエータ、ステアリングロッド、ステアリングシステムコントローラまたは制御ユニット、ステアリングインバータおよび車輪角センサが含まれる。ステアリングサブシステムのいくつかのコンポーネントは、
図3Bおよび
図4Aに示されている。実施形態において、VCM150のVCMコントローラ50は、車両、例えば、運転者が操作するステアリング機構または自律ステアリングユニットからの電気(電子を含む)入力としてステアリング指示を受け取り、例えば、ステアリングアクチュエータに伝達される電流および電圧を調節することによって、および/またはステアリングシステム制御装置に高レベルの指示を伝達することによって、上記指示に応答して、例えばステアリングアクチュエータを介してステアリングロッドの動きを引き起こして車輪の回転をもたらすことにより上記指示を実行する。ステアリングモータ、アクチュエータ、および/またはインバータは、車両のシャシーに設置されたバッテリパックなどの外部電源(「外部」とはVCMの外部という意味)、または試験セットアップ、例えば
図21の試験装置に関連する電源から電力を受け取ることができる。ステアリングシステムコントローラは、該当する場合、VCMコントローラ50の電源59(
図17Aに示す)または上記の外部電源の何れかから電力を受けることができる。
【0170】
b.駆動システム180は、車両を駆動するために車両の車輪を回転させる駆動軸を作動させるために必要な機械的および/または電気的構成要素の何れか又は全てを含むことができ、これには、電気駆動モータ、モータによって回転する駆動軸、および任意にシングルギアまたはマルチギアのトランスミッションを含み、回転を車輪に伝達するギアアセンブリ、ならびに車輪速度センサ(非限定例では、ロータリーエンコーダ)等のセンサが含まれ、網羅的にではあるが、これらに限られない。駆動システムのいくつかの構成要素は、
図3A、3E、3F、4Aおよび4Bに示されている。いくつかの実施形態では、駆動モータはVCMに含まれ、いくつかの実施形態では、駆動モータは車両上にあり、例えばシャシーに設置されている。実施形態において、VCM150のVCMコントローラ50は、車両、例えば、運転者が操作する駆動機構(例えば、アクセルペダル)または自律走行装置からの電気入力を介して受け取った指示に応答して、モータの出力および/または車輪の回転速度および/または伝達ギアの選択を調節するよう構成される。実施形態において、上記指示は、例えば、電気駆動モータを作動させるための電流および電圧を含む。実施形態において、駆動サブシステム180は、車両が減速したときに駆動モータが電気の発電機として機能する回生ブレーキ方式で使用することができる。回生された電気の貯蔵は、車載エネルギー貯蔵装置で行うことができる。一例として、運転者がアクセルペダルから足を離す(または自律駆動システムが駆動輪への動力を停止する)と、その時点から回生ブレーキ方式は、車両の減速によって、すなわち駆動系を介して機械的抵抗力に変換される発電機の回転として発生する電気エネルギーの回収を開始する。別の実施例では、回生制動は、運転者がブレーキペダルを踏む(または自律駆動コンピュータからブレーキ作動命令を受ける)ことに応じて、摩擦制動、すなわち、ブレーキシステム176の通常の作動によって後押しされる。このような例では、車両を制動するために使用されるエネルギーの一部は、「通常の」摩擦ブレーキ装置において熱に失われ、そのエネルギーの少なくとも一部は、蓄積される電気エネルギーとして再獲得される。実施形態において、回生ブレーキを摩擦ブレーキと組み合わせる際の駆動システム180およびブレーキサブシステム176の「協力」は、VCMコントローラ50によって制御される。VCMコントローラが複数のサブシステムを互いに協力して制御するように構成(例えば、プログラム)されているさらに別の例では、ステアリングサブシステム200は、例えば、対向する車輪がタンデムに同じ方向に回転することによって対称的にステアリングするか、対向する車輪がタンデムに回転しない非対称的にステアリングするかどうかにかかわらず、路面との摩擦を高めるように車輪を回転させてブレーキ、すなわちブレーキシステムとの協力の補助に使用することが可能である。同様の例において、VCMコントローラは、ステアリングによって引き起こされるブレーキ引きの影響(「ブレーキステア」または「ステアリングドリフト」としても知られる現象)を緩和するために、ブレーキシステムと協働してステアリングサブシステム200を制御する。さらに別の例では、VCMコントローラは、駆動システム(回生ブレーキに関して)、ブレーキシステム(摩擦ブレーキに関して)およびステアリングシステム(ブレーキバイステアリングに関して)を協調して制御して、所望のブレーキ効果を実現する。
【0171】
c. ブレーキシステム176は、任意選択で、VCM搭載油圧システム、VCM搭載真空ブーストシステム、または加圧ガスアキュムレータおよびブレーキアクチュエータを組み込んだハイブリッドブレーキアシストシステムのうちの1つ以上を含むブレーキアセンブリ(例えば、ブレーキディスク、ブレーキキャリパなど)を作動させる機械的および電気的コンポーネントのうちのいくつか又はすべてを含むことができる。ブレーキシステムのいくつかの構成要素を
図3C、
図3Gおよび
図4Cに示す。
実施形態では、VCM150のVCMコントローラ50は、車両からの電気入力、例えば、運転者が操作するブレーキ機構(例えば、ブレーキペダル)または自律ブレーキ装置から受信した指示に応答して、ブレーキシステムの出力を調整し、例えば、ブレーキ動作を引き起こすよう構成される。
【0172】
d. サスペンションシステム240は任意に、VCM150のVCMコントローラ50によって(例えば、サスペンションシステム制御ユニットを介して)制御可能なアクティブサスペンションシステムを含むことができる。ばねダンパー、移動センサおよび制御ユニットを含むアクティブサスペンションシステムのいくつかの構成要素は、
図4Bに示されている。
【0173】
いくつかの実施形態では、任意のVCM150における複数のVCMサブシステムは、上記a.~d.の4つのサブシステムのすべてを含む。他の実施形態では、所定のVCM150における、または所定の対向するVCM150のペアの各VCM150における複数のVCMサブシステムは、選択された2つまたは3つのサブシステムを含むことができる。例えば
図16Aにおいて、車両の右前方のVCM150として設置するための例示的なVCM150
RFは、ステアリングサブシステム200と、ブレーキサブシステム176と、アクティブサスペンションシステム240とを含む。例えば
図16Bにおいて、車両の右後方のVCM150として設置するための例示的なVCM150
RRは、駆動サブシステム180およびブレーキサブシステム176を含む。両方の例において、含まれるサブシステムは、それぞれの機能に必要な機械的および電気的構成要素の全てがVCM150に搭載され、車両からVCMコントローラおよび/またはそれぞれのサブシステム(例えば、それらのコントローラ、モータおよび/またはアクチュエータ)に電気伝送および通信配置が渡され、それらが完全にVCM内に/VCM上に含まれるように配置することが可能である。電気伝送および通信配置の受け渡しは、「ホスト」車両に搭載されるサブフレーム161を経由することができる。
【0174】
ここで
図17Aを参照すると、実施形態によるVCMコントローラ50が、選択された構成要素を示すために模式的に図示されている。
図17Aの例示的なVCMコントローラ50は、1以上のコンピュータプロセッサ55と、コンピュータ可読記憶媒体58(ストレージ)と、通信モジュール57と、電源59とを含む。コンピュータ可読記憶媒体58は、所望の機能性および設計の選択に従って、過渡的および/または一時的な記憶装置を含むことができ、1以上の記憶装置を含むことができる。実施形態において、記憶媒体58は、VCMコントローラ50の1以上のプロセッサ55により実行されるファームウェアおよび/またはソフトウェアでのプログラム命令の格納、ならびに、VCMおよび/またはそのサブシステムおよびそれらの構成要素のいずれか1つ以上に関連する履歴動作データおよび/または保守データおよび/または所有権データの何れか1つ以上に使用することができる。通信モジュール59は、通信配置71を介して車載車両コントローラ115と、通信配置72を介して別のVCMコントローラ50、例えば同じ車両100のVCM150のVCMコントローラ50と、通信配置74を介してVCMサブシステム200、180、176、240と(通信配置70を介してそれぞれのサブシステム制御ユニットとを含む)、通信ア配置73を介して例えばVCM150内/VCM150上に位置するセンサ155と、通信リンクを確立するように構成される。実施形態において、VCMコントローラ50は、
図17Aに示される構成要素の全てを含むわけではない。
【0175】
外部コンピュータ75は、例えば
図21に示す試験用コンピュータ13や、許可システムまたは財務・管理システムを務める外部コンピュータとすることができる。外部コンピュータ75における「許可システム」は、例えば、網羅的にではなく、以下のように設けることができる。VCMと別のVCMとの交換を承認するため、VCMの保守点検または交換に関連する金融操作(費用の記録または支払いの処理など)を開始または実行するため、VCMの動作データおよびメンテナンスデータ(動作履歴およびメンテナンス履歴など)を記録するため、および/または、保守点検または取り決めの一部、または追加料金として、例えば保守点検または取り決めに関連して設定された料金表または割引に従って提供される金融業務および/または加入タイプのサービスまたはリース手配に基づいてVCMの保守点検または交換を許可するために設けることができる。
【0176】
例示的なVCMコントローラ50の記憶媒体58は、
図17Bにおいて、車両100にVCM150を取り付けることに関連するプログラム命令60を含むことが示されており、例えばサービスステーション、例えば
図1Dのサービスステーション110または
図12Cのサービスステーションにおいて、VCMを別のものと交換することができる。
図17Bに図示された例では、プログラム命令60は、VCMコントローラ50の1以上のプロセッサ55により実行されるプログラム命令の2つのグループGPI01、GPI02を含む。
【0177】
プログラム命令GPI01は、車両コントローラ115との通信リンクを(VCMコントローラ50によって)確立するためのものである。通信リンクを確立することは、VCM150に関する情報をVCMコントローラから車両コントローラに電子的に転送することを含む。いくつかの実施形態では、車両コントローラ115との通信リンクは双方向リンクであり、通信リンクの確立は、車両100に関する情報、および/または車両100に取り付けられた別のVCM150に関する情報を受信することを追加的に含む。車両100に関する情報、および/または車両100に取り付けられた別のVCM150に関する情報は、例えば、車両100および/または別のVCM150の動作および保守データおよび/または履歴を含むことができる。いくつかの実施形態では、VCMコントローラ50から車両コントローラ115に転送されるVCM150に関する情報は、複数のサブシステムのうちの少なくとも1つに関する情報を含み、および/または取り付け前に実施された自己診断試験の結果を含む。複数のサブシステムは、VCMサブシステム200、180、176、240から選択される2つ、3つまたは4つのサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、車両コントローラ115との通信リンクの確立は、車両100への交換用VCMの取り付け前であり、言い換えれば、交換用VCM(または、いくつかの実施形態では、交換用VCM候補)が車両に接続または取り付けられていない間に通信リンクが確立される。車両コントローラとのこのような通信リンクは、例えば、交換用VCMがサービスステーションの保管場所にまだある場合、または、車両と共に使用するために既に選択されて保管場所から取り外されている場合、確立されてもよい。いくつかの実施形態では、通信リンクの確立に失敗したことは、車両に取り付ける所定のVCMを不適格とする理由とすることができ、または、少なくとも、通信リンクの確立に失敗した理由を確認できるまで取り付けを遅延させることができる。同様に、通信リンクが正常に確立されていても、VCMコントローラから車両コントローラに(またはその逆に)転送される情報は、車両への所定のVCMの取り付けをキャンセルまたは遅延させる可能性がある。一例として、VCMコントローラは、部品の仕様、動作履歴または保守履歴に関する情報を転送し、車両コントローラが所定のVCMを取り付けるべきではないと判断する。実施形態において、取り付け前の情報交換は、車両に既に取り付けられている別のVCMとの互換性のチェック、例えば、交換するVCMの所定のサブシステム、またはハードウェアまたはソフトウェアの所定の項目について種類およびバージョンが同じかどうかのチェックを含むことができる。別の例では、多数の異なる交換用VCMは、車両コントローラとのそれぞれの通信リンクを確立し、車両コントローラは、サービスステーションの場所に保管されている最も互換性のあるVCMを「選択」でき、あるいは、取り付けるために最も好ましい経済的条件(例えば、あるVCMがサブスクリプションサービスまたはリース契約に加入しているかどうか、またはVCMの所有者またはプロバイダに多くのお金を支払うプレミアム顧客向けに設定されているかどうかを判断することも含まれる)を有するVCMを「買いに行く」ことができる。
【0178】
プログラム命令GPI02は、車両へのVCM150の取り付けに応答して、複数のサブシステム(VCMサブシステム200、180、176、240から選択される)を検証し、検証の結果を車両コントローラ115に伝達する取り付け後検証プロセスを実行するためのものである。いくつかの実施形態では、複数のサブシステムを検証することは、VCM150に搭載された1以上のセンサ155から情報を受信することを含む。いくつかの実施形態では、取り付け後の車両100の動作は、肯定的な検証プロセスの結果を受け取ることを条件とし、検証プロセスの完了に失敗すると、その失敗が解決されるまで車両が走行不能になることを意味することができる。
【0179】
様々な実施形態において、
図17Cに示されるように、例示的なVCMコントローラ50の記憶媒体58に記憶されたプログラム命令60は、VCMコントローラ50の1以上のプロセッサ55により実行されるプログラム命令GPI11、GPI12、GPI13の追加グループの何れか1つ以上、またはすべてを追加的に含むことができる。
【0180】
プログラム命令GPI11は、VCMの外部から受信する電気信号に応答して、複数のサブシステムのうちの少なくとも1つのサブシステムの作動を調節する、すなわち制御するためのものである。
【0181】
プログラム命令GPI12は、車両100に搭載された別のVCM150のVCM搭載VCMコントローラ50と(VCMコントローラ50によって)情報を交換するためのものである。
【0182】
プログラム命令GPI13は、車両コントローラ115から受信したデータに基づいてVCM150の動作プロファイルを決定するためのものである。動作プロファイルは、第2のVCMのVCMサブシステム200、180、176、240の何れか1つ以上のプロファイル、すなわち物理的データ、機械的データ、電気的データおよび/または動作データを含むことができる。非限定的な例では、動作プロファイルは、第2のVCM150のブレーキサブシステム176の設計および/または動作履歴に基づくブレーキプロファイル、第2のVCM150の駆動サブシステム180の設計および/または動作履歴に基づくモータおよび伝送の動的応答プロファイル、第2のVCM150のステアリングサブシステム200の設計および/または動作履歴に基づくステアリングプロファイル、第2のVCM150のサスペンションサブシステム240の設計および/または動作履歴に基づくサスペンション減衰プロファイルを含むことができる。
【0183】
次に
図18を参照すると、本明細書に開示された実施形態のうちの何れか1つ以上に従って、例えば、本明細書に図示され説明された車両100の何れかであって、通信バス(例えば、
図14Aの通信バス153または
図14Bの通信バス154)と、それぞれのVCMコントローラ50を有する少なくとも1対の対向するVCM150を組み込んだ車両100を動作させるための方法が開示されている。
図18のフローチャートによって示されるように、本方法は、以下のように構成される。
【0184】
ステップS01では、VCMコントローラ150によって、VCMの複数のVCMサブシステム(VCMサブシステム200、180、176、240から選択される)の1以上のサブシステムの作動を、VCM150の外部からの電気入力に応答して制御する。
【0185】
ここで
図19Aを参照すると、第1の車両コーナーモジュール(VCM)を第2のVCMと交換する方法が開示されている。当業者は、VCMを第2のVCMと交換する方法が、例えば保守点検のために車両から取り外されたVCMを再装着することに準用可能であることを理解することができる。したがって、本明細書およびそれに添付された特許請求の範囲の両方における「第2のVCMによって交換する」という概念は、第1のVCMおよび第2のVCMが同一のVCMである例を含むと理解すべきであり、そのような例は、完全に本発明の範囲内である。
【0186】
図19Aに示される方法によれば、少なくとも第2のVCM(および任意に第1のVCM/交換されたVCM)は、本明細書に開示される実施形態の何れか1つ以上によるVCM150であり、車両100の基準フレームに取り付け可能なサブフレーム161と、車輪ハブアセンブリ174(
図16A~16Bに図示)と、VCM搭載VCMコントローラと、サブフレーム161と車輪ハブアセンブリ174との間を仲介しVCMサブシステム200、180、176、240から選ばれる複数のサブシステムとを備える。
図19Aのフローチャートに示されるように、本方法は、以下のように構成される。
【0187】
ステップS11では、第2のVCM150のそれぞれのVCMコントローラ50と車載車両コントローラ115との間に電子通信リンクを確立し、(第2のVCM150の)それぞれのVCMコントローラ50から車両コントローラ115に第2のVCM150に関する情報を伝達することを含む。いくつかの実施形態では、車両コントローラ115との電子通信リンクは双方向リンクであり、電子通信リンクの確立は、車両100に関する情報、および/または車両に搭載された別のVCM150に関する情報を受信することを追加的に含む。いくつかの実施形態では、車両コントローラ115は、第2のVCM150のVCMコントローラ50にクエリを送信することができ、それぞれのVCMコントローラ50から車両コントローラ115に転送される第2のVCM150に関する情報の少なくとも一部は、車両コントローラ115から受信したクエリに対する応答を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のVCM150に関する情報は、例えば、第2のVCM150自体によって、または、
図21の試験装置10のような試験装置によって、取り付け前に実施された自己診断試験の結果を含む。いくつかの実施形態において、第2のVCM150に関する情報は、第2のVCM150の動作履歴および保守履歴の少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態では、第2のVCM150のそれぞれのVCMコントローラ50と車載車両コントローラ115との間の電子通信リンクは、第2のVCM150の取り付け前に確立される。言い換えれば、通信リンクは、交換用VCM(または、いくつかの実施形態では、潜在的な交換用VCM)が車両に接続されていない、または車両に取り付けられていない間に確立される。いくつかの実施形態では、通信リンクの確立に失敗したことは、車両に取り付ける所定のVCMを不適格とする理由とすることができ、または、少なくとも、通信リンクの確立に失敗した理由を確認できるまで取り付けを遅延させることができる。同様に、通信リンクが正常に確立されていても、VCMコントローラから車両コントローラに(またはその逆に)転送される情報は、車両への所定のVCMの取り付けをキャンセルまたは遅延させる可能性がある。一例として、VCMコントローラは、部品の仕様、動作履歴または保守履歴に関する情報を転送し、車両コントローラが所定のVCMを設置すべきではないと判断する。実施形態において、取り付け前の情報交換は、車両に既に取り付けられている別のVCMとの互換性のチェック、例えば、交換するVCMの所定のサブシステム、またはハードウェアまたはソフトウェアの所定の項目について種類およびバージョンが同じかどうかのチェックを含むことができる。別の例では、多数の異なる交換用VCMは、車両コントローラとのそれぞれの通信リンクを確立し、車両コントローラは、サービスステーションの場所に保管されている最も互換性のあるVCMを「選択」でき、あるいは、取り付けるために最も好ましい経済的条件(例えば、あるVCMがサブスクリプションサービスまたはリース契約に加入しているかどうか、またはVCMの所有者またはプロバイダに多くのお金を支払うプレミアム顧客向けに設定されているかどうかを判断することも含まれる)を有するVCMを「買いに行く」ことができる。
【0188】
ステップS12では、車両100への第2のVCM150の取り付けに応答して、かつそれを条件として、取り付け後の検証(第2のVCM150のそれぞれの複数のサブシステムを検証し、検証の結果を車両コントローラ115に伝達することを含む)を完了させる。
【0189】
ステップS13では、ステップS12で車両コントローラに伝達された検証結果を用いて、第2のVCM150の取り付け後の車両100の動作を有効化または無効化する。いくつかの実施形態では、複数のサブシステムの検証は、限定的でなく網羅的に、サスペンショントラベルセンサ、車輪角センサ、車輪速度センサ、または圧力センサやレベルセンサなどの油圧ブレーキシステムのセンサなど、第2のVCM150に搭載された1つ以上のセンサ155から情報を受信することを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、本方法は、
図19Bのフローチャートに示されるように追加のステップS14を含む。
【0191】
ステップS14では、外部コンピュータ内の許可システムに、第1のVCMを第2のVCMに交換することに関する情報を送信する。実施形態において、許可システムに送信される情報は、第1および第2のVCMのそれぞれの識別情報、第1のVCMの複数のサブシステムのうちの1つ以上の使用情報、および、第1のVCMの複数のサブシステムのうちの1つ以上の保守情報のうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態において、第1のVCMの複数のサブシステムの1つ以上の使用情報、第2のVCMの複数のサブシステムの1つ以上の使用情報、第1のVCMの複数のサブシステムの1つ以上の保守情報、および第2のVCMの複数のサブシステムの1つ以上の保守情報の少なくとも1つに基づいて、交換または等価的に保守点検に値が割り当てられる。
【0192】
図19Bのフローチャートにさらに示されるように、方法がステップS14を含むいくつかの実施形態において、本方法は、ステップS15aまたはS15bの何れかを追加的に含む。
【0193】
ステップS15aでは、許可システムから、非限定的な例では、リース契約または年間サービス契約などのサービス加入に基づく許可を受信する。
【0194】
ステップS15bでは、許可システムから、非限定的な例では、支払いまたは信用調査などの取引に基づく許可を受信する。
【0195】
いくつかの実施形態では、ステップS15aおよびS15bの両方が本方法に含まれる。例示的な例では、リース契約は、所定の関税価格または割引価格、例えばパーセント割引に基づいて、VCMの保守点検および/または交換を提供する。
【0196】
いくつかの実施形態では、本方法は、
図19Cのフローチャートに示されるように追加のステップS16を含む。
【0197】
ステップS16では、車両コントローラから受信した情報に基づいて、第2のVCMの動作プロファイルを決定する。動作プロファイルは、第2のVCMのVCMサブシステム200、180、176、240の何れか1つ以上のプロファイル、すなわち物理的データ、機械的データ、電気的データおよび/または動作データを含むことができる。非限定的な例では、動作プロファイルは、第2のVCM150のブレーキサブシステム176の設計および/または動作履歴に基づくブレーキプロファイル、第2のVCM150の駆動サブシステム180の設計および/または動作履歴に基づくモータおよび伝送の動的応答プロファイル、第2のVCM150のステアリングサブシステム200の設計および/または動作履歴に基づくステアリングプロファイル、第2のVCM150のサスペンションサブシステム240の設計および/または動作履歴に基づくサスペンション減衰プロファイルを含むことができる。
【0198】
次に
図20を参照すると、第1の車両コーナーモジュール(VCM)を第2のVCMと交換する(または等価的に、例えば保守点検のために車両から取り外されたVCMを再び取り付ける)ための第2の方法が開示されている。
図20に示される方法によれば、少なくとも第2のVCM(および任意に第1のVCM/交換されたVCM)は、本明細書に開示される実施形態の何れか1つ以上によるVCM150であり、車両100の基準フレームに取り付け可能なサブフレーム161と、車輪ハブアセンブリ174(
図16A~16Bに図示)と、VCM搭載VCMコントローラと、およびサブフレーム161と車輪ハブアセンブリ174との間を仲介しVCMサブシステム200、180、176、240から選ばれる複数のサブシステムとを備える。
図20のフローチャートに示されるように、本方法は、以下のように構成される。
【0199】
ステップS21では、第2のVCM150のそれぞれのVCMコントローラ50と、ホスト車両100に搭載された車両コントローラ115との間に電子通信リンクを確立する。いくつかの実施形態では、通信リンクは、交換/保守点検されるVCM150がホスト車両100に取り付けられる前に確立される。
【0200】
ステップS22では、第2のVCM150のそれぞれのVCMコントローラ50から車両コントローラ115に第2のVCM150に関する情報を転送する。いくつかの実施形態において、転送される情報は、VCMコントローラ50によって複数のサブシステムを検証した結果を含む。いくつかの実施形態では、交換/保守点検されたVCM150が取り付けられた後のホスト車両100の動作は、VCMコントローラ50から肯定的な検証プロセスの結果を受け取ることを条件とする。
【0201】
ここで、取り外されたVCM150のための支持要素15を含む試験装置10の模式図である
図21を参照する。支持要素15は、VCMの重量の一部または全部、サブフレーム161の重量の一部または全部、VCMサブシステム200、180、176、240の一部または全部、またはそれらの構成要素を支持するように設計することができる。いくつかの実施形態では、例えば、異なる構成要素またはサブシステムを支持するために、複数の支持要素15が存在する。いくつかの例では、試験装置10は、取り外された(または、場合によっては取り付けられた)VCM150が試験される固定設置部を備えることができ、他の例では、試験装置10は、VCM150を保管および/または運搬するための保管容器を備えることができる。試験装置は、試験用センサ14と、診断装置12と、試験用コンピュータ13とを含むことができる。固定設置型の試験装置における診断装置12の一例は、シャシーダイナモメータである。実施形態において、VCMコントローラ50は、車両100へのVCM150の取り付け前または取り付け中に、試験装置10を用いて実施された自己診断試験の結果を車両コントローラ115に送信する。別の例では、このような試験は、例えば、VCMが試験装置10の上記構成要素の一部または全部を備えていない施設または容器に保管されている場合、試験装置10を用いずに実行することができる。別の例では、VCMコントローラ50は、試験装置10を用いて実施された自己診断試験の結果を試験装置10から受信した後、その結果を送信する。いくつかの実施形態では、車両コントローラ115は、試験が実施された試験装置10から、VCM150の自己診断試験の結果を直接受信することができる。
【0202】
発明概念の追加議論
【0203】
発明概念1:VCMと車両プラットフォームとの間のインターフェースであるサブフレームと、車輪をVCMに結合するための車輪インターフェースと、車両に組付けられたときに車輪を操縦するための機械組立品および電気ユニットを含む1以上のVCMモジュールと、VCMモジュールと車両プラットフォームとの間で信号およびデータを交換するための1以上の電気インターフェースとを備える含む車両コーナーモジュール(VCM)システム。
【0204】
発明概念2:発明概念1に記載の車両コーナーモジュール(VCM)システムであって、1つ以上のVCMモジュールの動作データを測定するための1つ以上のセンサと、VCMモジュールの1つ以上の電気インターフェースおよび1つ以上の電気ユニットと電気的に接続されたVCMコントローラとを備える。
【0205】
発明概念3:発明概念1または2の何れか1つに記載の車両コーナーモジュール(VCM)システムであって、VCMモジュールは、サスペンションモジュール、車輪駆動モジュール、ステアリングモジュールおよび制御モジュールのうちの1つ以上を備え、車輪駆動モジュールは、電気モータユニット、トランスミッションユニットおよびブレーキユニットのうちの1つ以上を備える。
【0206】
発明概念4:発明概念1から3の何れか1つに記載のVCMシステムであって、1つ以上のVCMモジュールは、車輪インターフェースとサブフレームとの間に配置されている。
【0207】
発明概念5:発明概念1から4の何れか1つに記載のVCMシステムであって、1つ以上の電気ユニットは、VCMモジュールコントローラを備え、VCMモジュールコントローラは、2つ以上のVCMモジュールを制御するハードウェアおよびソフトウェアを有する集積回路を備える。
【0208】
発明概念6:発明概念1~5に記載のVCMを1つ以上有する車両。
【0209】
発明概念7:発明概念6に記載の車両であって、VCM制御ユニット(CSCU)と、車両とVCMに配置された1つ以上の電気回路との間の通信のためのプラットフォームVCMバスとを備える。
【0210】
発明概念8:発明概念7に記載の車両であって、VCMは、CSCUを迂回してVCM間でデータを交換できるように直接電気通信している。
【0211】
発明概念9:VCMを作動させる方法であって、車両プラットフォームにVCMを搭載するステップと、VCM動作プロファイルを設定するステップと、VCM動作プロファイルで作動するようにVCMを起動するステップとを含む。
【0212】
発明概念10:発明概念9に記載の方法であって、車両プラットフォームとVCMの動作プロファイルとの間で照合するステップを含み、VCMの動作プロファイルの設定は、VCMと動作プロファイルとを一致させることである。
【0213】
発明概念11:発明概念9または10の何れか1つに記載の方法であって、VCMの動作プロファイルと車両プラットフォームに結合された別のVCMの動作プロファイルとの間で照合するステップと、1以上のVCMの動作プロファイルの間の照合に従って、車両プラットフォームに結合された1以上のVCMの動作プロファイルを設定するステップとを含む。
【0214】
発明概念12:発明概念9から11の何れかいずれか1つに記載の方法であって、VCMのために定義された動作計画を受信するステップと、動作計画に従ってVCM動作プロファイルを設定するステップとを含む。
【0215】
発明概念13:発明概念9から12の何れか1つに記載の方法であって、VCMの動作データを記録するステップと、動作データをVCMの外部の計算システムに出力するステップとを含む。
【0216】
発明概念14:1つ以上の車両コーナーモジュール(VCM)を有する車両の保守点検方法であって、VCMに位置するシステムの整備が必要であるという指示を受信するステップと、車両の動作を停止するステップと、VCMを車両から切り離すステップと、代替のVCMを車両に取り付けるステップと、車両の動作を再開するステップとを含む。
【0217】
本発明は、その実施形態の詳細な説明を用いて説明されているが、これらは例示として提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。説明された実施形態は、異なる特徴からなり、そのすべてが本発明のすべての実施形態で必要とされるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、特徴の一部または特徴の可能な組み合わせのみを利用する。説明される本発明の実施形態のバリエーションと 説明された実施形態で指摘された特徴の異なる組み合わせからなる本発明の実施形態は、本発明が属する技術分野の当業者には浮かぶであろう。
【0218】
本明細書の説明および特許請求の範囲において、動詞の各「comprise」、「include」および「have」、ならびにそれらの活用語は、動詞の目的または対象が、動詞の主語または対象の部材、構成要素、要素または部品の完全なリストであるとは限らないことを示すために使用されている。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数形の参照を含む。例えば、「マーキング」または「少なくとも1つのマーキング」という用語は、複数のマーキングを含むことができる。
【0219】
関連出願の相互参照
【0220】
本出願は、2020年1月2日に出願された米国仮特許出願第62/956358号の優先権を主張するものであり、該仮特許出願全体が参照により本明細書に組み込まれる。