(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】建築用パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
E04F15/02 F
(21)【出願番号】P 2022517279
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2020076573
(87)【国際公開番号】W WO2021058568
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-22
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/050442
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー、ユリカンガス
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】カール、クビスト
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119429(US,A1)
【文献】特表2007-518004(JP,A)
【文献】特表2013-514473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0008118(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0266555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
類似または本質的に同一の床パネルまたは壁パネルとしての建築用パネルのセットであって、
各建築用パネルは、
前記
建築用パネルの長縁部である平行かつ対向するそれぞれの第3縁部(13)および第4縁部(14)における第1機械的係止システムであって、
2つの隣接する建築用パネル(10、20)を水平方向および垂直方向に係止するために協働するように構成された第1機械的係止システムと、
平行かつ対向するそれぞれの第1縁部(11)および第2縁部(12)における第2機械的係止システムであって、
2つの隣接する建築用パネル(10、30)を水平方向および垂直方向に係止するために協働するように構成された第2機械的係止システムと、
を備えるセットにおいて、
前記第3縁部(13)または前記第4縁部(14)のうちの一方の上縁部分が、第1下リップ部分(139)を備え、前記第3縁部(13)および前記第4縁部(14)が係止状態に組み付けられる際、前記第1下リップ部分(139)は、隣接する建築用パネル(20)の前記第3縁部(13)および前記第4縁部(14)のうちの他方の上縁部分の第1上リップ部分(149)と協働するように構成され、
前記第1縁部
(11)または前記第2縁部
(12)のうちの一方の上縁部分が、第2下リップ部分(119)を備え、前記第1縁部
(11)および前記第2縁部
(12)が係止状態に組み付けられる際、前記第2下リップ部分(119)は、隣接する
建築用パネル(30)の前記第1縁部
(13)および前記第2縁部
(14)のうちの他方の上縁部分の第2上リップ部分(129)と協働するように構成され、
前記第1下リップ部分(139)は、第1平面(H1)に配置され、前記第2下リップ部分(119)は、
前記建築用パネルの厚さ方向で前記第1平面(H1)から離れる第2平面(H2)に配置さ
れ、
前記第1下リップ部分(139)または前記第2下リップ部分(119)のうち、上方に位置する一方から、下方に位置する他方へ流体が流れる、
セット。
【請求項2】
前記第1平面(H1)
と前記第2平面(H2)
との厚さ方向での差は、0.2~0.5mm、
又は約0.3mm、
又は0.3mmである、
請求項
1に記載のセット。
【請求項3】
前記
建築用パネルの厚さが、4~6mmの範囲である、
請求項
2に記載のセット。
【請求項4】
前記第1平面(H1)は、前記第2平面(H2)の
2mm以下の範囲で下方に、又は1mm以下の範囲で下方に、又は0.6mm以下の範囲で下方に配置される、
請求項
1に記載のセット。
【請求項5】
前記
建築用パネルの厚さが少なくとも7mmである、
請求項
4に記載のセット。
【請求項6】
前記第
1下リップ部分
、前記第1上リップ部分、前記第2下リップ部分及び前記第2上リップ部分(119、129、139、149)は、平面状の水平表面を各々備える、
請求項
1から5のいずれか一項に記載のセット。
【請求項7】
隣接するパネルが前記第1機械的係止システムにより係止状態に組み付けられる際、前記第1上リップ部分(149)は、前記第1下リップ部分(139)に当接するように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のセット。
【請求項8】
隣接する建築用パネルが前記第2機械的係止システムにより係止状態に組み付けられる際、前記第2上リップ部分(129)は、前記第2下リップ部分(119)に当接するように構成される、
請求項
1~7のいずれか一項に記載のセット。
【請求項9】
前記第1機械的係止システムは、係止舌部(11i、12h、14h)、および舌部溝部(11j、12j、13j)を各々備え、
前記
第1下リップ部分
、前記第1上リップ部分、前記第2下リップ部分及び前記第2上リップ部分(119、129、139、149)は、前記係止舌部または前記舌部溝部のそれぞれと前記
建築用パネルの
前面(15)との間に配置される、
請求項
1~8のいずれか一項に記載のセット。
【請求項10】
前記第2縁部(12)および/または前記第4縁部(14)の前記上縁部分は、
前面(15)から延びる垂直方向延在縁部分を各々備え、
前記垂直方向延在縁部分の後に、前記
建築用パネルの中央に向かって内側に向く接触する屈曲部が続き、
前記屈曲部の後に、前記第1上リップ部分(149)の水平方向平面状表面および/または前記第2上リップ部分(129)の平面状表面が続く、
請求項
1~9のいずれか一項に記載のセット。
【請求項11】
前記第1縁部(11)および/または前記第3縁部(13)の前記上縁部分は、
前面(15)から延びる垂直方向延在縁部分を各々備え、
前記垂直方向延在縁部分の後に、前記
建築用パネルの中央から離れるように外側に向く接触する屈曲部が続き、
前記屈曲部の後に、前記第1下リップ部分(139)の水平方向平面状表面および/または前記第2下リップ部分(119)の平面状表面が続く、
請求項
1~10のいずれか一項に記載のセット。
【請求項12】
前記屈曲部は、直角屈曲部を備える、
請求項
10または11に記載のセット。
【請求項13】
前記
建築用パネルは、表面層(15a)を備え、
前記表面層は、熱硬化性樹脂の
バインダーを含む、
請求項
1~12のいずれか一項に記載のセット。
【請求項14】
前記バインダー(18)は、
前面(15)を横断する方向において、前記パネルのコア(17)内への浸透深さを有する、
請求項
13に記載のセット。
【請求項15】
前記浸透深さは、前記リップ部分
(119,129,139,149)の少なくとも一部まで延びるとともに、これを含む、請求項
14に記載のセット。
【請求項16】
前記
建築用パネル同士が組み付け状態になされる際、少なくとも1つのポケット(111、112、113、114、115、116、116’)が、第1下リップ部分(139)および/または第2下リップ部分(119)に隣接して、
建築用パネルの前記第3縁部(13)と隣接する
建築用パネルの前記第4縁部(14)との間に、または
建築用パネルの前記第1縁部(11)と隣接する
建築用パネルの前記第2縁部(12)との間に形成され、
前記ポケットは、
ろうのシーラントを受容するように構成され、
前記ポケットは、前記建築用パネル同士の前記組み付けに応じて、前記第3縁部(13)と前記第4縁部(14)との間、または前記第1縁部(11)と前記第2縁部(12)との間に、前記シーラントを分散させる、
請求項
1~15のいずれか一項に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建築用パネルの分野に概して関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネート床材は、一般的に、6~12mmのファイバーボードのコアと、0.2~0.8mm厚さの上方ラミネート装飾表面層と、プラスチック、紙等の材料からなる0.1~0.6mm厚さの下方ラミネートバランシング層と、を備えている。ラミネート面は、メラミン含侵紙を備えている。最も一般的なコア材は、一般的にHDF(High Density Fibreboard)と称される高密度で良好な安定性を有するファイバーボードである。また、MDF(Medium Density Fibreboard)がコアとして使用されることもある。
【0003】
このタイプのラミネート床パネルは、いわゆる機械的係止システムにより機械的に接合されてきた。これらのシステムは、パネル同士を水平方向および垂直方向に係止する係止手段を備えている。機械的係止システムは、一般的に、パネルのコアを機械加工することにより形成される。あるいは、床パネルと一体化される、すなわち、床パネルにその製造に関して接合される係止システムの部品が、アルミニウムやHDF等の別の材料から形成され得る。
【0004】
機械的係止システムを有する浮き床の主な利点とは、設置が簡単であるということである。また、再び簡単に取り外して別の場所で再度使用することができる。しかしながら、既知のシステムは、例えば湿気の制御について問題を有している。このため、本技術分野において改善の余地がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の全体的な目的は、水分等の湿気の制御の向上を促進する建築用パネルを提供することである。湿気の制御の向上とは、組み立てられた建築用パネル同士のシール性の向上、組み立てられた建築用パネルから構成される表面を通過する水分の浸透に対する耐性の向上を含み得るが、これらに限定されない。
【0006】
組み立てられたこのような建築用パネルの整列を容易にする建築用パネルを提供することが、さらなる目的である。
【0007】
したがって、本発明のさらなる目的は、浮き床等の建築用パネルの積層体の湿気の制御の向上を促進する建築用パネルを提供することである。特に、湿気の制御を向上させる建築用パネルを提供すること、および/または、少なくともこのような床積層体のT型接合部で想定される水分浸透を低減することが目的である。
【0008】
本発明の実施形態の上述の目的は、本開示による係止システムおよび床パネルにより、その全部または一部が達成され得る。本発明の実施形態は、詳細な説明および図面から明らかである。
【0009】
以下の説明において、設置された床パネルの見える面(表面)を「前面」と称し、下張り床に面する反対側を「後面」と称する。「水平平面」とは、前面側に対して平行な平面を指す。2つの接合された床パネル2つの隣接する接合縁部の直接接する上部は、水平面に対して垂直な「垂直方向平面」を互いに規定する。前面と後面との間の床パネルの縁部における床パネルの外側部分を、「接合縁部」と称する。原則として、接合縁部は、垂直方向の接合面、水平方向の接合面、角度を付けた接合面、丸みを帯びた接合面、傾斜した接合面等の複数の「接合面」を有する。これらの接合面は、例えばラミネート、ファイバーボード、木材、プラスチック、金属(特にアルミニウム)、またはシール材等の種々の材料に存在する。
【0010】
「垂直方向の係止」とは、垂直方向平面に対して平行な係止を意味する。「水平方向の係止」とは、水平平面に対して平行な係止を意味する。
【0011】
「上/上方」とは、前面に向くことを意味する。「下/下方」とは、後面に向くことを意味する。「内側」とは、主にパネルの内方の中央部分に水平方向に向くことを意味する。「外側」とは、主にパネルの中央部分から水平方向に離れることを意味する。
【0012】
「係止」または「係止システム」とは、床パネルを垂直方向および/または水平方向に相互接続する協働接続手段を意味する。「機械的係止システム」とは、接着剤を使用せずに係止が可能であることを意味する。また、機械的係止システムは、多くの場合、接着剤によっても接合され得る。
【0013】
「装飾表面層」とは、床に装飾的な外観を付与することが主に意図された表面層を意味する。「耐摩耗性表面層」とは、前面側の耐久性の向上に主に適合された高研磨性表面層に関する。これにより、「装飾耐摩耗性表面」とは、床に装飾的な外観を付与するとともに、前面側の耐久性を向上させることが意図された層ということになる。
【0014】
本発明の実施形態は、床パネルと一体化された、すなわち工場で装着された係止システムにより機械的に接合された床パネルから形成された浮き床であって、木材または木材ベニヤ、装飾ラミネート、粉末ベースの表面、または装飾プラスチック材料製の単数または複数の上方層と、木質ファイバーベースの材料またはプラスチック材料製の中間コアと、好適にはコアの後面側の下方バランシング層と、から構成される浮き床での使用に、特に適している。無垢材の床パネル、または、コルク、リノリウム、ゴム、または軟質摩耗層、例えば、ボードに接着されたニードルフェルト、印刷され好適にはワニス加工された表面を有する床パネル、および、石、タイルおよび類似の材料からなる硬質表面を有する床が含まれる。
【0015】
したがって、既知の技術、既知のシステムの問題点、および本発明の目的および特徴に関する以下の説明は、とりわけ本応用分野における、特に、長縁部と短縁部とを有する矩形の床パネルであって、長縁部および短縁部の両方において互いに機械的に接合されることが意図された床パネルとして形成されたパネルを対象とする、非制限的な例としてのものである。
【0016】
長縁部および短縁部は、本発明の実施形態の説明を簡単にするために主に使用される。パネルは正方形であってもよい。本発明の実施形態は、パネルを少なくとも2つの隣接する縁部において水平方向および/または垂直方向に接続する機械的係止システムを使用して床パネルを接合することが意図される限り、あらゆる床パネルにおいて使用され得ること、またパネルは既知のあらゆるタイプの係止システムと組み合わせられ得ることが強調されるべきである。
【0017】
本発明の一態様において、類似または本質的に同一の床パネルまたは壁パネル等の建築用パネルのセットが提供される。前記パネルは、当該パネルの長縁部である平行かつ対向するそれぞれの第3縁部および第4縁部における第1機械的係止システムを備える。第1機械的係止システムは、第3縁部に係止溝部を備える。係止溝部は、隣接するパネルの第4縁部の第1係止舌部を、2つの隣接する建築用パネルの垂直方向係止のために隣接するパネルを折り変位させることにより、受容するように構成される。第2係止システムが、パネルの短縁部等の平行かつ対向するそれぞれの第1縁部および第2縁部にある。第2係止システムは、好適には垂直方向の動作、例えば垂直方向に折る動作により2つの隣接する建築用パネルを水平方向および垂直方向に係止するために協働するように構成される。前記第3縁部または前記第4縁部のうちの一方、好適には前記第3縁部の上縁部分が、第1下リップ部分を備える。前記第3縁部および前記4縁部が係止状態に組み付けられる際、前記第1下リップ部分は、隣接するパネルの前記第3縁部および前記第4縁部のうちの他方の上縁部分の第1上リップ部分と協働するように構成される。前記折り変位に応答して第1下リップ部分が第1上リップ部分の下に受容された場合、第4縁部の第1上リップ部分は、第1下リップ部分の周囲にぴったりとした嵌合を形成するように構成される。さらなる利点および実施形態は、添付の従属請求項および詳細な説明に記載される。
【0018】
本開示を、添付の概略図面を参照しつつ例示的な実施形態に関してより詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、既知の技術による係止システムを備える床ボードを概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、隣接する建築用パネルを有する、係止された状態にある
図1の床ボードを概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、垂直方向の動作(垂直方向に折る動作)により
図2の床ボードに組み付けられているさらなる床ボードを概略的に示す図である。
【
図4A】
図4Aは、既知の技術による係止システムの断面図を概略的に示す図である。
【
図4B】
図4Bは、既知の技術による係止システムの断面図を概略的に示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明による係止システムを概略的に示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明による係止システムを概略的に示す図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明による係止システムを概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、
図5Aの断面A-Aにおける第1係止システムの概略断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による、
図5Cの断面B-Bにおける第2係止システムの概略断面図である。
【
図8】
図8は、壁として組み立てられた実施形態による、
図12の断面C-Cにおける第1係止システムの概略断面図である。
【
図9】
図9は、壁として組み立てられた実施形態による、
図12の断面D-Dにおける第1係止システムの概略断面図である。
【
図10】
図10は、垂直方向の動作により組み立てられている実施形態による第2係止システムを概略的に示す図である。
【
図11】
図11は、垂直方向の動作により組み立てられている
図10の第2係止システムを概略的にさらに示す図である。
【
図12】
図12は、壁として組み立てられた例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、床として組み立てられた例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図14A】
図14Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図14B】
図14Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図15A】
図15Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図15B】
図15Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図16B】
図16Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図17B】
図17Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図18A】
図18Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図18B】
図18Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図19A】
図19Aは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図19B】
図19Bは、一実施形態によるポケットを備えるパネルの断面(クロスカット)を示す図である。
【
図20A】
図20Aは、変位面に設けられたそれぞれの下リップ部分を備える実施形態によるパネルを示す図である。
【
図20B】
図20Bは、
図20Aの実施形態による2つの組み付けられたパネルの第1縁部および第2縁部の断面(クロスカット)を示す図である。
【
図20C】
図20Cは、
図20Aの実施形態による2つの組み付けられたパネルの第3縁部および第4縁部の断面(クロスカット)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本開示の実施形態を、添付の概略図面を参照しつつ説明する。実施形態を組み合わせて使用することでより良好な機能または異なる機能が達成され得ることが強調されるべきである。
【0021】
全ての実施形態は、別個に、または組み合わせて使用され得る。角度、寸法、丸みを帯びた部分、面と面との間のスペース等は、単なる例であり、本発明の基本原理の範囲内で調整され得る。
【0022】
図1に、機械的係止システムを備える既知の建築用パネルを示す。
【0023】
機械的係止システムは、典型的に、垂直方向の係止用の舌部および舌部溝部、ならびに水平方向の係止用の係止要素および係止溝を備えている。典型的には、機械的係止システムは、垂直方向係止用の2対と水平方向係止用の2対の少なくとも4対の能動的な協働係止面を有する。係止システムは、一般的に互いに接触しない複数の他の面を備えているため、協働係止面に比べて非常に大きな公差を以て作製することができる。
【0024】
ラミネート床材は、一般的に、6~9mmのファイバーボードからなるコアと、0.20mm厚さの上表面層と、下方バランシング層と、から構成されている。表面層は、床パネルに外観および耐久性を付与する。コアは安定性をもたらし、バランシング層は、年間を通じて相対湿度(RH)が変化してもボードを水平に保つ。
【0025】
図4Aは、既知の技術に従う典型的な第1機械的係止システム(ストリップ係止)を示す。この第1機械的係止システムは、角度を付けた動作により係止可能であり(
図3参照)、パネルのそれぞれの長縁部を互いに組み付けるために市場で広く使用されている。
図4Aは、床パネルの垂直断面図を示し、床パネル20’の長辺13’の一部、ならびに床パネル10’の長辺14’の一部が示されている。床パネル10’、20’の本体は、ファイバーボードまたはコアから構成され得る。ここでは、ファイバーボードまたはコアは、その前面側において耐摩耗装飾表面層を、そしてその後面側(下面側)においてバランシング層を支持している。係止システムは、舌部14h’と舌部溝部13j’とを有している。係止システムは、上方舌部溝面43および下方舌部溝面46と協働する上方舌部面53および下方舌部面56により、パネル同士を垂直方向Vに係止する。係止ストリップ13a’が本体から形成されて、係止要素13b’を支持している。したがって、係止ストリップ13a’および係止要素13b’は、ある意味で、舌部溝部13j’の下部の延長部を構成している。ストリップ13a’に形成された係止要素13b’は、作動係止要素面13m’を有している。作動係止要素面13m’は、床パネル10’反対側の係止溝部にある係止溝14g’における作動係止溝面14m’と協働する。水平方向の作動係止面13m’と作動係止面14m’との係合により、接合縁部の横断方向における床パネル10’と床パネル20’との水平方向の係止が、パネルが引き離された場合に得られる。
【0026】
図4Bに示す既知の第2係止システムも、
図4Bに示すように典型的には短縁部11’、12’で使用される、係止中に変位可能な可撓性舌部11i’(折り係止)を有して形成され得る。このような係止システムは、
図3に示すように垂直方向の移動により係止され得る。
図3において、パネル10’の第1縁部11が、垂直方向の動作により、パネル30’の第2縁部12に組み付けられている。
【0027】
変位可能な舌部11i’は、垂直方向の係止のために第2舌部溝部12j’と協働するように構成されている。変位可能な舌部11i’は、別個の部品であり、例えばプラスチックから構成されて、第1パネル10’の第1縁部11’における変位溝11k’に挿入される。第1パネルおよび第2パネルの第1縁部と第2縁部とを垂直方向に組み付ける際に、舌部11i’は変位溝11k’に押し込まれる。パネルが係止状態になると、変位可能な舌部11i’は、跳ね返って第2舌部溝部12j’に入る。
【0028】
それぞれのパネルの第3縁部13’および第4縁部14’には、第1係止システムが設けられている。第1係止システムは、
図3に示すように、角度を付けた移動により隣接するパネル20’への組み付けを可能とする。これにより、第1縁部11’および第2縁部12’、ならびに第3縁部13’および第4縁部14’の同時の組み付けが得られる。
【0029】
図4Aおよび
図4Bは、第1パネル10’と第2パネル20’とを組み付ける際の、既知の係止システムの別の実施形態の断面図を示す。
【0030】
【0031】
図5A~
図5C、
図6および
図7を参照すると、
図6に示す第1機械的係止システムは、舌部14hおよび溝部13jを有して形成され、角度を付けた移動により組み付けられるように構成されている。第4縁部14は、係止舌部の形状にある第1係止凸部14eであって、第1下縁部面14fを有する第1係止凸部14eを備え得る。第2係止システムの実施形態を
図7に示す。第2縁部12は、係止舌部12hであり得る第2係止凸部12eであって、第2下縁部面12fを有する第2係止凸部12eを有する。好適には、第1下縁部表面14fおよび第2下縁部表面12fは、
図6に示す第2パネル20および例えば
図7に示す第3パネル30のような隣接するパネルの第1係止ストリップ13aおよび第2係止ストリップ11aの第1上面13cおよび第1上面11cのそれぞれと協働するように構成されている。
【0032】
第1機械的係止システムは、第1舌部溝部13jを、第3縁部13または第4縁部14のうちの一方に、例えば第3縁部13に備えるとともに、第1係止舌部14hを、第3縁部または第4縁部のうちの他方に、例えば第4縁部14に備え得る。第1係止舌部14hおよび第1舌部溝部13jは、第3縁部13と第4縁部14とを垂直方向Vにおいて係止するために協働するように構成されている。第1機械的係止システムは、典型的には、垂直方向に突出する第1係止要素13bを有する第1係止ストリップ13aを第3縁部13に、第1係止溝部14gを第4縁部14にさらに備え得る。第1係止要素13bは、第3縁部13と第4縁部14とを水平方向において、特に互いから離れて第3縁部13および第4縁部14に垂直に係止するために第1係止溝部14gと協働するように構成されている。
【0033】
第2機械的係止システムは、好適には、類似の、好適には本質的に同一のパネル10、20、30、40、50の第1短縁部11または第2短縁部12のうちの一方に、例えば第1縁部に形成される。第2機械的係止システムは、第1パネル10の第1縁部11を、隣接するパネル30の第2縁部に、平面において、および前記第1縁部および第2縁部に垂直な垂直方向および/または水平方向おいて、に互いに向かっておよび離れるように係止するように構成され得る。第2機械的係止システムの実施形態により、隣接するパネル30の第2縁部を第1パネル10の第1縁部11に対して垂直方向に動作させることにより、第1パネルと第2パネルとを組み付けることができる。このような垂直方向の動作を、例えば
図10および
図11に示す。第1および第2機械的係止システムは、好適には、パネルの縁部のフライス加工、穿孔および鋸引き等の機械的切断により形成される。第2機械的係止システムには、好適にはプラスチック製の変位可能な舌部11iが設けられ得る。変位可能な舌部は、WO2006/043893およびWO2007/015669に開示された変位可能な舌部のように、屈曲可能であるとともに、突出する屈曲可能部品を設けられ得る。また、変位可能な舌部は、WO2009/116926及びWO200/8004960に開示された変位可能な舌部のように、第1縁部および第2縁部に沿った移動により係止されるように構成され得る。
【0034】
図7を参照されたい。第2係止システムの実施形態は、変位可能な舌部11iの形状において提供され得る第2係止舌部であって、例えば第1パネル10の第1縁部11における変位溝部11kに配置された第2係止舌部を備え得る。変位可能な舌部11iは、第1縁部11と第2縁部12とを垂直方向Vにおいて係止するために、第1縁部または第2縁部のうちの他方に形成された第1舌部溝部12jと協働するように構成される。
【0035】
第1係止システムと組み合わせ可能な一体型の解決策の形状にある第2係止システムのさらなる実施形態を、
図10および
図11に示す。
【0036】
図6から導出可能なように、対向する平行な縁部であり得る第3縁部13または第4縁部14のうちの一方、例えば第3縁部13の上縁部分は、第1下リップ部分139の形状において提供され得る第1平面部分を備え得る。第1下リップ部分139は、隣接するパネルの第3縁部または第4縁部のうちの他方の上縁部分の、第1上リップ部分149の形状において提供され得る相補的な平面部分と協働してこれを受容する、または嵌合するように構成されることを含むがこれに限定されない。
【0037】
図7から導出可能なように、対向する平行な縁部であり得る第1縁部11または第2縁部12のうちの一方、例えば第1縁部11の上縁部分は、第2下リップ部分119の形状にあり得る平面部分を備え得る。第2下リップ部分119は、隣接するパネルの第1縁部または第2縁部のうちの他方の上縁部分の、第2上リップ部分129の形状において提供され得る相補的な平面部分と協働してこれを受容する、または嵌合するように構成されることを含むがこれに限定されない。
【0038】
図6に示すように、第1上リップ部分149の最外部分は、第1係止舌部14hの最外部分の内側に配置され得る。
【0039】
図6に示すように、第1下リップ部分139の最外部分は、第1係止ストリップ13aの最外部分の内側に配置され得る。
【0040】
図6に示すように、第1下リップ部分139の最外部分は、第1舌部溝部13jの最内部分の外側に配置され得る。
【0041】
好適には長縁部である第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分を備え得る。垂直方向延在縁部分の後に、屈曲部、好適には内側を向く直角屈曲部が続く。前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。そして、前記第1上リップ部分149が、前記水平方向平面状表面を備え得る。垂直方向延在縁部分と第1上リップ部分とは互いに垂直であり得る一方で、2つの部分を接続する隅部は丸みを帯びていてもよいし、傾斜していてもよい。選択的に、水平方向平面状表面は基準面をさらに形成し得る。基準面は、係止状態において隣接するパネルに接触する表面であって、パネル同士の整列のベースまたはガイドとして機能する表面であり得る。
【0042】
好適には長縁部である第3縁部13の上縁部分は、前面から延びる垂直方向延在縁部分を備え得る。垂直方向延在縁部分の後に、屈曲部、好適には外側を向く直角屈曲部が続く。前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。そして、前記第1下リップ部分139が、前記水平方向平面状表面を備え得る。垂直方向延在縁部分と第1下リップ部分とは互いに垂直であり得る一方で、2つの部分を接続する隅部は丸みを帯びていてもよい。選択的に、水平方向平面状表面は基準面をさらに形成し得る。
【0043】
好適には短縁部である第2縁部12の上縁部分は、前面15から延びる垂直方向延在縁部分を備え得る。垂直方向延在縁部分の後に、屈曲部、好適には内側を向く直角屈曲部が続く。前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。そして、前記第2上リップ部分129が、前記水平方向平面状表面を備え得る。垂直方向延在縁部分と第2上リップ部分とは互いに垂直であり得る一方で、2つの部分を接続する隅部は丸みを帯びていてもよいし、傾斜していてもよい。選択的に、水平方向平面状表面は基準面をさらに形成し得る。
【0044】
好適には短縁部である第1縁部11の上縁部分は、前面15から延びる垂直方向延在縁部分を備え得る。垂直方向延在縁部分の後に、屈曲部、好適には外側を向く直角屈曲部が続く。前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。そして、前記第2下リップ部分119が、前記水平方向平面状表面を備え得る。垂直方向延在縁部分と第2下リップ部分とは互いに垂直であり得る一方で、2つの部分を接続する隅部は丸みを帯びていてもよい。選択的に、水平方向平面状表面は基準面をさらに形成し得る。
【0045】
図7に示すように、第2下リップ部分119の最外部分は、第2係止ストリップ11aの最外部分の内側に配置され得る。
【0046】
図11に示すように、第2下リップ部分119は、第2舌部溝部11jの最内部分の内側に延長部を有し得る。
【0047】
図11に示すように、第2上リップ部分129は、第2係止舌部12hの最外部分の外側に延長部を有し得る。
【0048】
図7に示すように、第2下リップ部分119の最外部分は、第2係止舌部11iの最外部分の内側に配置され得る。
【0049】
図7に示すように、第2下リップ部分119の最外部分は、第2変位溝部11kの開口の少なくとも部分的に内側に配置され得る。
【0050】
内側とは、パネルの中央に向く方向において内方と同義であり得る。外側とは、パネルの中央から離れる方向において外方と同義であり得る。
【0051】
上リップおよび下リップは、基準面を各々備え得る。基準面は、係止状態に組み付けた際、パネルの前面15を隣接するパネルのそれぞれの前面15に整列させて互いに面一とするように構成されている。
【0052】
上リップおよび下リップは、平面状であり得る。特に、リップ部分は、平面状であり得るとともに平行に延び得る。リップ部分は、好適には、パネルの前面15に平行な平面において延び得る。しかしながら、前面15に対して傾斜している等の他の構成も想定可能である。
【0053】
隣接するパネルが係止係合状態に組み付けられる際、パネルの第1上リップ部分149は、第1下リップ部分139に当接および/または載置されるように構成され得る。これにより、パネルが第1係止システムにより単数または複数のさらなるパネルに係止状態に組み付けられるとき、シール機能の向上が促進される。
【0054】
隣接するパネルが係止係合状態に組み付けられる際、パネルの第2上リップ部分129は、第2下リップ部分119に当接および/または載置されるように構成され得る。これにより、パネルが第2係止システムにより単数または複数のさらなるパネルに係止状態に組み付けられるとき、シール機能の向上が促進される。
【0055】
第1下リップ部分139および第2下リップ部分119は、互いに連続した直角を形成し得る。第1上リップ部分149および第2上リップ部分129は、互いに連続した直角の形状を形成し得る。連続した直角は、パネルの対角的に対向するそれぞれの隅部の周囲に延びてもよい。第1下リップ部分、第2下リップ部分、第1上リップ部分、第2上リップ部分は、連続した矩形の形状を形成し得る。
図5Aに示すように、矩形は、パネルの外周に沿って延び得る。
【0056】
第1下リップ部分139および第2下リップ部分119は、それぞれの上リップ部分149および上リップ部分129と係合する際、下になるように構成され得る。第1上リップ部分149および第2上リップ部分129は、それぞれの下リップ部分139および下リップ部分119と係合する際、上になるように構成され得る。
【0057】
したがって、下リップ部分119、139の少なくとも一部が、上方向を向き得る。また、上リップ部分129、149の少なくとも一部が、下方向を向き得る。
【0058】
第1縁部11および第3縁部13は、パネルの前面15から延びる垂直方向延在面を各々備え得る。下リップ部分119、139は、それぞれの垂直方向延在面との組み合わせにおいて、内側に凹む形状、例えば内側に凹む直角面を形成し得る。
【0059】
第2縁部12および第4縁部14は、パネルの前面15から延びる垂直方向延在面を各々備え得る。上リップ部分129、149は、それぞれの垂直方向延在面との組み合わせにおいて、外側に凹む形状、例えば、
図6~
図11に示すようにそれぞれ内側に凹む下リップ部分を補完する直角面を形成し得る。
【0060】
それぞれの上リップ部分および/または下リップ部分は、シールを容易にする材料から構成され得る。材料には、ポリマー、ゴム、シリコーン、接着剤、バックス等が含まれるがこれらに限定されない。
【0061】
好適な実施形態において、例えば
図6、
図7、
図10および
図11に示すように、それぞれの第1下リップ部分139および第2下リップ部分119は、パネル10の短い第1縁部11および長い第3縁部13に設けられる。また、それぞれの第1上リップ部分149および第2上リップ部分129は、短い第2縁部12および長い第4縁部14に設けられる。
【0062】
したがって、それぞれの第1上リップ部分149および第2上リップ部分129が、それぞれの第1下リップ部分139および第2下リップ部分119と当接を含む協働をし得ることにより、本構成は、パネルの重量でそれぞれの第1上リップ部分149および第2上リップ部分129がそれぞれの第1下リップ部分139および第2下リップ部分119に押し付けられることで、パネルの重量がシール機能に寄与するという技術的利点をもたらし得る。これにより、シールの向上が促進され得る。
【0063】
これにより、一部の実施形態において、2つの隣接するパネルを係止状態に組み付ける際、2つの隣接するパネルの第1下縁部面14fと第1上面13cとが、一部の実施形態において、互いに接触しなくなり得る。したがって、2つの隣接するパネルが係止状態に組み付けられる際、それらの第1下縁部面14fと第1上面13cとの間の少なくとも一部に間隙が延び得る。
【0064】
これに対し、一部の実施形態において、第1係止システムによって2つの隣接するパネルが係止状態に組み付けられる際、2つの隣接するパネルの第1下縁部面14fと第1上面13cとは、互いに隣接し得る。
【0065】
図6を参照すると、それぞれの第3縁部13および第4縁部14が係止状態に組み付けられる際、第1係止舌部14h、第1舌部溝13j、および第1リップ部分139、149は、第1上リップ部分149を第1下リップ部分139に向けて付勢するように構成され得る。この構成により、単数または複数のパネルが係止状態に組み付けられる際、第1上リップ部分149が常に第1下リップ部分139に向けて付勢されることが容易にされ得る。
【0066】
第1係止システムは、第1係止舌部14hおよび第1舌部溝部13jを備え得る。第1下リップ部分139は、好適には、第1舌部溝部13jとパネルの前面15との間に配置される。第1上リップ部分149は、好適には第1係止舌部14hとパネルの前面15との間に配置され得る。
【0067】
図7を参照すると、第1縁部11または第2縁部12のうちの一方、例えば第1縁部11は、一部の実施形態において、垂直方向の折り動作によりパネルの組み付けを可能とするように構成された変位可能な、好適には可撓性の舌部11iを備え得る。変位可能な舌部11iは、第2舌部溝部12jと協働して第2上リップ部分129を第2下リップ部分119に対して付勢することにより、シール機能の向上を促進するように構成され得る。
【0068】
第2係止システムは、第2係止舌部11i、12h、および第2舌部溝部12j、11jを備え得る。第2下リップ部分119は、好適には、第2舌部溝部12j、11jとパネルの前面15との間に配置される。第2上リップ部分129は、好適には、第2係止舌部11j、12hとパネルの前面15との間に配置される。
【0069】
例えば
図6~
図11から導出可能なように、第1下リップ部分139および第1上リップ部分149、および/または第2下リップ部分119および第2上リップ部分129等の一対のリップ部分を設けることにより、各対119、129;139、149は、機械的ラビリンスシールをそれぞれ形成し得る。したがって、この構成は、縁部11と縁部12との間、および/または、縁部13と縁部14との間、例えば、前面15から係止舌部11i、12hまたは14h、または舌部溝部11j、12j1、3jへの、または前面15から後面16への水分浸透を防止するのに特に有利であり得る。
【0070】
パネルが壁として組み立てられる、すなわちパネルが壁パネルとして利用されている例示的な実施形態を示す
図8および
図12を参照する。係止舌部11i、12h、14hおよび/または係止溝部11j、12j、13jと前面15との間にリップ部分119、129 139、149を設けることにより、一対以上のリップ部分、すなわち119、129;139、149が、水等の流体に対する機械的障害物となり得ることが容易とされ得る。これにより、前面15に沿って垂直方向下方に流れる水等の流体は、重力の作用を受けると、第1下リップ部分139等のリップ部分を通過して、前面15から後面16の方向において流れることが妨げられ得る。
【0071】
特に、第1下リップ部分139は、例えば水等の流体に対する、重力の方向に対抗する方向に延びる機械的障害物となり得る。これにより、前面15に沿って垂直方向下方に流れる水等の流体は、重力の作用を受けたとき、上方に流れて第1下リップ部分139を超えて流れることが妨げられ得る。
【0072】
図10に示すように、第1下リップ部分139および第1上リップ部分149は、基準平面Dpを相互に規定し得る。
【0073】
図7に示すように、第2下リップ部分119および第2上リップ部分129は、基準平面Dpをそれぞれ規定し得る。
【0074】
第1、第2、第3および第4リップ部分119、129、139、149は、基準平面Dpを規定するように構成され得る。
【0075】
第1、第2、第3および第4リップ部分119、129、139、149は、基準平面Dpであり得る共通の平面において本質的に延び得る。
【0076】
隣接するパネルのそれぞれの前面15をそれらが互いに面一に配置されるように係止状態に組み付ける際、基準平面Dpは、隣接するパネルのそれぞれの前面15の整列を容易とし得る。
【0077】
第1下リップ部分139は、好適には、第1舌部溝部13jとパネルの前面15との間に配置され得る。第1上リップ部分149は、好適には、第1係止舌部14hとパネルの前面15との間に配置され得る。
【0078】
上述のように、
図7に示すように、実施形態による第1縁部または第2縁部のうちの一方は、第2係止舌部11i、例えば、変位溝11kにおいて直線的に並進移動するように構成された変位可能な係止舌部を備え得る。また、第1縁部および第2縁部のうちの他方は、前記第2係止舌部を受容するための第2舌部溝部12jを備える。
【0079】
第2下リップ部分119は、好適には、第2係止舌部11iとパネルの前面15との間における垂直方向Vの位置に配置され得る。第2上リップ部分129は、好適には、第2舌部溝部12jとパネルの前面15との間における垂直方向Vの位置に配置され得る。
【0080】
あるいは、
図10および
図11に示すように、第2下リップ部分119は、第1縁部11の第2舌部溝部11jとパネルの前面15との間における垂直方向Vの位置に配置され得る。第2上リップ部分129は、第2縁部12の第2舌部12hとパネルの前面15との間における垂直方向Vの位置に配置され得る。
【0081】
第1下リップ部分139は、第2下リップ部分119と近接していてもよい。
【0082】
第1上リップ部分149は、第2上リップ部分129と近接、好適には連続していてもよい。
【0083】
リップ部分110、129、139、149は、第1縁部、第2縁部、第3縁部および第4縁部に沿って連続的に延びるように、互いに接触し得る。
【0084】
リップ部分119、129、139、149が相補的な態様でそれぞれ上下となることにより、パネルが全ての縁部11、12、13、14に沿って同様のパネルと係止状態に組み付けられる際、これらのリップ部分は、第1縁部、第2縁部、第3縁部および第4縁部に沿って基準面Dpを連続的に規定し得る。これにより、シール性の向上が促進され得る。
【0085】
したがって、リップ部分の機能は、パネルの4つ全ての縁部においてパネルが係止状態に組み立てられる際、パネルのそれぞれの前面を整列させる機能、および/または隣接するパネルのそれぞれの対となるリップ部分とともにパネルの外周に沿って連続的なシールを提供する機能という2つであり得る。
【0086】
リップ部分は、パネルの外周に沿って基準面Dpを連続的に規定するように互いに接触して形成され得る。したがって、パネルがさらなる本質的に同様のパネルに4つ全ての縁部に沿って係止状態に組み付けられる際、対となるまたは閉鎖した下リップ部分119、129;139、149により、パネルの本質的に外周全体または外周全体に沿った連続的な接触が得られることが達成される。したがって、パネルの外周に沿った連続的なシールが促進され得る。
【0087】
図7を参照すると、好適には、係止ストリップを備えるパネルの縁部、すなわち第1縁部11および第3縁部13が、それぞれの下リップ部分を備え得る。
【0088】
図6、
図7、
図10、および
図11を参照すると、好適には、係止ストリップを備えるパネルの縁部、すなわち第1縁部11および第3縁部13が、それぞれの下リップ部分を備え得る。
【0089】
パネル10は、前面15に設けられた表面層15a、および好適には後面16に設けられた裏面層16aを備え得る。典型的には、表面層は、パネルが床に組み付けられた場合に見えるように構成された装飾層を備える。このような装飾層は、当該技術分野において周知であり、印刷紙、粉末、印刷粉末、または木材ベニヤ等のベニヤを含むがこれらに限定されない種々の形状で提供され得る。保護層ともなり得る表面層は、典型的には熱硬化性樹脂等のバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂は、装飾層とパネルのコアとの結合、すなわち接着を促進する。また、バインダーは、表面層に種々の特性を付与するための表面硬化粒子および/または顔料等の単数または複数の添加物の結合を促進し得る。バインダーは、例えば、メラミンホルムアルデヒドを含み得る。バインダーは、パネルの製造中に、パネルのコアに浸透し得る。典型的には、バインダーは、熱への暴露に反応して液状になる粉末形状で提供される。したがって、バインダーは、建築用パネルのコアに浸透し得る。コアは、例えば、MDF、HDF、木材、石材、セラミック、PVC、プラスチック、その他の材料のうちの1つを含み得ることが考えられる。
【0090】
バインダーは、厚さ方向Zにおいてパネルの前面15からコア内への、パネルのコア内への浸透深さを有し得る。この特徴により、それぞれの上リップ部分と下リップ部分とのシール性が向上する。
【0091】
浸透深さは、少なくとも第1下リップ部分139および第1上リップ部分149内であり得る。これにより、より水密性の高い第1係止システムが提供される。
【0092】
浸透深さは、少なくとも第2下リップ部分119および第2上リップ部分129内であり得る。これにより、より水密性の高い第2係止システムが提供される。
【0093】
この結果、本開示の態様は、浴室、台所等の湿度の高い空間での使用に特に適し得る。
【0094】
【0095】
この結果、本開示の態様は、例えば、
図8、
図9、および
図12に示す壁パネルとしての使用に適し得る。
【0096】
本明細書に記載の、特にパネルの全ての縁部に連続的に沿う上リップ部分および下リップ部分119、129、139、149の提供および構成は、特定の係止システムと組み合わせた使用に限定されず、むしろ、実質的にあらゆる機械的係止システムと組み合わせたあらゆる材料の建築用パネルにて実施され得ることを理解されたい。上述の係止システムは、想定可能な実施形状の単なる例示としての実施形態としての機能を果たす。
【0097】
図12および
図13を参照すると、第1パネル10等のパネルが、隣接する第2パネル20に、その長い第4縁部14に沿って、第1係止システムにより、例えば、角度を付けた動作により組み付けられて、長辺対長辺接合部が形成され得る。パネル10は、さらに、その短縁部11が隣接する第3パネル30に、第2係止システムにより、例えば、垂直方向折り動作により組み付けられて、短辺対短辺接合部が形成され得るとともに、さらにまた、その長い第3縁部13が、さらなる第4パネル40に、第1係止システムにより、例えば角度を付けた動作により組み付けられて、長辺対長辺接合部が形成され得る。2つのさらなるパネル20、40は、短辺接合部の両側に配置される。結果として得られるパネルの構成は、
図13に示す浮き床、または
図12に示す壁を組み立てる場合、典型的な床状態である。導出されるように、この構成は、2つのT型接合部を備える。各T型接合部は、(第3縁部13と第4縁部との)長辺対長辺接合部、および(第1縁部11と第2縁部12との)短辺対短辺接合部を備える。したがって、類似または本質的に同一のパネルのセットは、係止状態に組み立てられて、例えば
図13に示すように、第1T型接合部T1および第2T型接合部T2を備え得る。
【0098】
床積層体(
図13参照)のように、全ての4つの辺、すなわち全ての4つの縁部で係止した状態に組み立てられたパネル状態を含む組み立てられたパネルの積層体間のシール性を向上させるためには、両T型接合部の防水性を向上させることが望ましいであろう。
【0099】
本明細書、および添付の請求項に記載された特徴を有する建築用パネルにより、T型接合部T1およびT2の両方のシール性を向上させることが容易になり得る。
【0100】
図14A、
図14B、
図15A、
図15B、
図16A、
図16B、
図17A、
図17B、
図18A、
図18B、
図19A、および
図19Bは、本明細書に開示する実施形態のうちのいずれかの1つと組み合わせられ得るポケットの種々の実施形態を示す。ポケットは、流体やろう等の封止材を受容するように構成され得る。単数または複数のポケットを提供することにより、隣接するパネルが組み付け状態にされた際のパネル間のシール性を向上させることが促進され得る。ろうポケットは、隣接するパネルが組み付けられる際の封止材の接合部を通過する流れを、例えばポケットから接合部を通過して前面15および/または後面16に向かう流れを制御するように協働し得る。
【0101】
図14Aおよび
図14Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、
図14A及び
図14Bに示すように面取りされた直角屈曲部であり得る。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0102】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。ポケット111が、第3縁部13において、垂直方向延在縁部分182と平面状表面との間に提供される。ポケット11は、垂直方向において下方に、後面16に向かって延びる。ポケット111は、水平方向平面状表面の下方で延びる。ポケット111は、前面15に向く方向において上方に開口する。
【0103】
図15Aおよび
図15Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり得る。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0104】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。ポケット112が、第3縁部13において、垂直方向延在縁部分182と水平方向平面状表面との間に提供される。ポケット112は、水平方向において横向きに、第3縁部13を備えるパネル20の中央に向かって延びる。ポケット112は、好適には、水平方向平面状表面の下方で延びない。ポケット112は、第3縁部13から離れる方向において横向きに開口する。
【0105】
図16Aおよび
図16Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり得る。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0106】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。ポケット113が、第3縁部13において、垂直方向延在縁部分182と水平方向平面状表面との間に提供される。ポケット113は、垂直方向延在縁部分182に対して一定の角度を有する方向において、例えば15~75度の角度、例えば45度の角度を有する方向において、第3縁部内に延びる。ポケット113は、水平方向平面状表面の下方で延び得る。ポケット113は、第3縁部13から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する。ポケット113は、面取り部の(
図16Bの側面図における)長さに一致する開口を有し得る。
【0107】
図17Aおよび
図17Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適には第4縁部14を備えるパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり得る。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0108】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、第3縁部13の内側に向く近接する第1屈曲部、例えば10~20度の屈曲部が続く。第1屈曲部の後に、パネルの中央からの方向において外側に向く接触する第2屈曲部、例えば鋭角の屈曲部が続く。第2屈曲部の後に、接触する水平方向平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。これにより、ポケット114が、第3縁部13において、垂直方向延在縁部分182と水平方向平面状表面との間に提供される。ポケット114は、第3縁部内に延びる。ポケット114は、好適には、水平方向平面状表面の下方で延びない。ポケット114は、第3縁部13から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する。ポケット114は、面取り部の(
図17Bの側面図における)長さよりも大きい開口を有し得る。
【0109】
図18Aおよび
図18Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適には第4縁部14を備えるパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり得る。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0110】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、パネルの中央からの方向において外方に屈曲する接触鋭角屈曲部が続く。屈曲部の後に、近接する平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。平面は、水平平面Hに対して角度を形成し得る。これにより、ポケット115が、第3縁部13において、接触する平面と第1上リップ部分149との間に提供される。ポケット115は、第3縁部13から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する。ポケット115は、面取り部の(
図18Bの側面図における)長さよりも大きい開口を有し得る。
【0111】
図19Aおよび
図19Bにおいて、長縁部等の第4縁部14の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備えている。垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部は、垂直方向延在縁部分184と第1上リップ部分149との間の面取りされた縁部である。面取りされた縁部により、第1ポケット116が、第3縁13と第4縁部14との間に提供される。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1上リップ部分149は、前記水平方向平面状表面を備え得る。
【0112】
長縁部等の第3縁部13の上縁部分が、前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え得る。垂直方向延在縁部分182の後に、屈曲部、好適にはパネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続く。屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く。第1下リップ部分139は、前記水平方向平面状表面を備え得る。第2ポケット116’が、垂直方向延在縁部分182に提供される。そして、第2ポケット116’は、水平方向において横向きに、第3縁部13を備えるパネル20の中央に向かって延びる。第2ポケット116’は、水平方向平面状表面の下方で延びなくてもよい。第2ポケット116’は、第3縁部から離れる方向において横向きに開口する。第3縁部13が第4縁部14に対して組み付け状態になされた場合、第2ポケット116’は、第1ポケット116に少なくとも部分的に開口するため、第1ポケット116と少なくとも部分的に直接的に流体的に接続する。
【0113】
ポケット111、112、113、114、115、116、116’を、長縁部等のパネルの第3縁部13および第4縁部に関して説明したが、短縁部等のパネルの第1縁部11および第2縁部との間に対応するポケットが形成され得ることを理解されたい。
【0114】
図20Aは、第1下リップ部分139が第1平面H1に配置され(
図20C参照)、第2下リップ部分119が、第1平面H1から変位した第2平面H2(
図20B参照)に配置された実施形態を示す。
【0115】
好ましい実施形態では、第1平面H1は、第2平面H2の0~0.5mm、好ましくは第2平面H2の0.2~0.5mm、より好ましくは約0.3mm、さらに好ましくは0.3mm下方に配置される。H1とH2との間の距離の範囲は、4~6mmの間で、厚さ方向Tにおいて全厚さを有するパネルに有利に含まれてもよい。したがって、第2下リップ部分119は、第1下リップ部分139の上方に配置されるとともに、第1下リップ部分139よりも前面15に近い。この実施形態は、
図14A-14B,15A-15B、16A-16B、17A-17B、18A-18Bまたは19A-19Bとの関係で、ポケット111、112,113、114の実施形態のいずれかと有利に結合され得る。
【0116】
さらに好ましい実施形態では、第1平面H1は、第2平面H2の0~1mm、好ましくは約0~1mm、より好ましくは0.6mm下方に配置される。H1とH2との間の距離の範囲は、7mmと20mmとの範囲内のような少なくとも7mmで、厚さ方向Tにおいて全厚さを有するパネルに有利に含まれてもよい。したがって、第2下リップ部分119は、第1下リップ部分139の上方に配置されるとともに、第1下リップ部分139よりも前面15に近い。この実施形態は、
図14A-14B,15A-15B、16A-16B、17A-17B、18A-18Bまたは19A-19Bとの関係で、ポケット111、112,113、114の実施形態のいずれかと有利に結合され得る。
【0117】
第2平面H2における第2下リップ部分119を第1下リップ部分139の平面の上方に配置するように構成することにより、水等の流体が第2下リップ部分119から第1下リップ部分139に向かって流れることが促進され得る。流体は、重力の作用を受けて流れ得る。
【0118】
第2平面H2における第2下リップ部分119を第1下リップ部分139の平面の上方に配置するように構成することにより、組み付け状態になされた実施形態による複数のパネルを備える床において、水の浸透に対する抵抗の向上が促進され得る。
【0119】
図20Bは、パネルが組み付け状態になされた際、例えば、第1縁部11が第2縁部12に対して組み付け状態になされた際に、第2上リップ部分129および第2下リップ部分119が第2平面H2に配置される実施形態を示す。
【0120】
図20Cは、パネルが組み付け状態になされた際、例えば、第3縁部13が第4縁部14に対して組み付け状態になされた際に、第1上リップ部分149および第2下リップ部分119が第1平面H1に配置される実施形態を示す。
【0121】
項目1.
平行かつ対向するそれぞれの第3縁部13および第4縁部、例えば長縁部における第1機械的係止システムであって、好適には折る動作により2つの隣接する建築用パネル10、20を係止するために協働するように構成された第1機械的係止システムと、
平行かつ対向する第1縁部11および第2縁部12、例えば短縁部における第2機械的係止システムであって、2つの隣接する建築用パネル10、30を係止するために協働するように構成された第2機械的係止システムと、
を備える、類似または本質的に同一の床パネルまたは壁パネル等の建築用パネルのセットにおいて、
前記パネルの前記長縁部のうちの一方、例えば第3縁部13または第4縁部、好適には前記第3縁部13の上縁部分が、第1下リップ部分139を備え、
前記第3縁部および前記第4縁部が係止状態に組み付けられる際、前記第1下リップ部分139は、隣接するパネル20の前記第3縁部および前記第4縁部のうちの他方の上縁部分の第1上リップ部分149と協働するように構成される、
セット。
【0122】
項目2.
前記第1係止システムは、好適には折る動作により、2つの隣接する建築用パネル10、20の水平方向および垂直方向の係止のために協働するように構成される、
項目1に記載のセット。
【0123】
項目3.
前記第2機械的係止システムは、好適には垂直方向の動作、例えば垂直方向に折る動作により、2つの隣接する建築用パネル10、30の水平方向および/または垂直方向係止のために協働するように構成される、
項目1または2に記載のセット。
【0124】
項目4.
前記パネルの前記短縁部、例えば前記第1縁部または前記第2縁部のうちの一方の上縁部分が、第2下リップ部分119を備え、
前記第2下リップ部分119は、前記第1縁部および前記第2縁部が係止状態に組み付けられる際に、隣接するパネル30の前記第1縁部および前記第2縁部のうちの他方の上縁部分の第2上リップ部分129と協働するように構成される、
項目1~3のいずれか一項に記載のセット。
【0125】
項目5.
前記リップ部分119、129、139、149は、平面状の水平表面を各々備える、
項目4に記載のセット。
【0126】
項目6.
前記第1下リップ部分139は、前記第2下リップ部分119と連続し、
好適には、前記第1上リップ部分149は、前記第2上リップ部分129と連続する、
項目4~5のいずれか一項に記載のセット。
【0127】
項目7.
パネルが類似のパネルに全ての縁部11、12、13、14に沿って係止状態に組み付けられる際、前記リップ部分119、129、139、149は、好適には前記第1縁部、前記第2縁部、前記第3縁部および前記第4縁部に沿って、基準平面Dpを連続的に規定する、
項目4~6のいずれか一項に記載のセット。
【0128】
項目8.
前記リップ部分119、129、139、149は、前記第1縁部、前記第2縁部、前記第3縁部および前記第4縁部に沿って連続的に延びるように、互いに接触する、
項目4~7のいずれか一項に記載のセット。
【0129】
項目9.
隣接するパネルが前記第1係止システムにより係止状態に組み付けられる際、前記第1上リップ部分149は、前記第1下リップ部分139に当接するように構成される、
項目4~8のいずれか一項に記載のセット。
【0130】
項目10.
隣接するパネルが前記第2係止システムにより係止状態に組み付けられる際、前記第2上リップ部分129は、前記第2下リップ部分119に当接するように構成される、
項目4~9のいずれか一項に記載のセット。
【0131】
項目11.
前記第1および係止システムは、係止舌部11i、12h、14h、および舌部溝部11j、12j、13jを各々備え、
前記リップ部分119、129、139、149は、前記係止舌部または前記舌部溝部のそれぞれと前記パネルの前記前面15との間に配置される、
項目4~10のいずれか一項に記載のセット。
【0132】
項目12.
前記第2縁部12および/または前記第4縁部14の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分を備え、
前記垂直方向延在縁部分の後に、前記パネルの中央に向かって内側に向く接触する屈曲部が続き、
好適には、前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く、
項目4~11のいずれか一項に記載のセット。
【0133】
項目13.
前記第1縁部11および/または前記第3縁部13の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分を備え、
前記垂直方向延在縁部分の後に、前記パネルの中央から離れるように外側に向く近接する屈曲部が続き、
好適には、前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続く、
項目4~12のいずれか一項に記載のセット。
【0134】
項目14.
前記屈曲部は、直角屈曲部を備える、
項目12または13のいずれか一項に記載のセット。
【0135】
項目15.
前記第1下リップ部分139は、前記第2下リップ部分119に連続している、
項目4~14のいずれか一項に記載のセット。
【0136】
項目16.
前記第1上リップ部分149は、前記第2上リップ部分129に連続している、
項目4~15のいずれか一項に記載のセット。
【0137】
項目17.
前記第2下リップ部分119は、前記第1上リップ部分149に近接している、
項目4~16のいずれか一項に記載のセット。
【0138】
項目18.
前記第2上リップ部分129は、前記第1下リップ部分139に近接している、
項目4~17のいずれか一項に記載のセット。
【0139】
項目19.
前記第1上リップ部分149、前記第2上リップ部分129、前記第1下リップ部分139、および前記第2下リップ部分119は、前記建築用パネルの前記前面15を隣接する建築用パネルの前面(15)に対して整列させるための基準平面Dpを規定する、
項目4~18のいずれか一項に記載のセット。
【0140】
項目20.
前記第1縁部または前記第2縁部のうちの一方は、第2係止舌部11j、例えば、変位溝部11kにおいて直線的に並進移動するように構成された変位可能な係止舌部を備え、
前記第1縁部および前記第2縁部のうちの他方は、前記第2係止舌部を受容するための第2舌部溝部12jを備え、
前記リップ部分(119、129、139、149は、第1舌部溝と前記パネル前記前面15との間に配置される、
項目4~19のいずれか一項に記載のセット。
【0141】
項目21.
パネルが全ての縁部11、12、13、14に沿って類似のパネルと係止状態に組み付けられる際、前記リップ部分119、129、139、149は、互いに近接し、好適には前記第1縁部、前記第2縁部、前記第3縁部および前記第4縁部に沿って連続的に延びる、および/または前記第1縁部、前記第2縁部、前記第3縁部および前記第4縁部に沿って前記基準平面Dpを規定する、
項目4~20のいずれか一項に記載のセット。
【0142】
項目22.
前記第1リップ部分、前記第2リップ部分、前記第3リップ部分、および前記第4リップ部分は、共通平面において本質的に延びる、
項目4~21のいずれか一項に記載のセット。
【0143】
項目23.
前記パネルは、表面層15aを備え、
前記表面層は、熱硬化性樹脂等のバインダーを含む、
項目1~22のいずれか一項に記載のセット。
【0144】
項目24.
前記バインダー18は、前記前面15を横断する方向において、前記パネルのコア17内への浸透深さを有する、
項目23に記載のセット。
【0145】
項目25.
前記浸透深さは、前記リップ部分の少なくとも一部まで延びるとともに、これを含む、
項目24に記載のセット。
【0146】
項目26.
前記表面層15aは、保護表面層および/または装飾表面層である、
請求項23~25のいずれか一項に記載のセット。
【0147】
項目27.
前記表面層15aは、ベニヤ、顔料、セルロース繊維のうちの単数または複数を含む、
項目23~26のいずれか一項に記載のセット。
【0148】
項目28.
前記バインダーは、メラミンホルムアルデヒド等の熱硬化性を含む、
項目23~27のいずれか一項に記載のセット。
【0149】
項目29.
前記コア17は、MDF、HDF、木材、石材、セラミックス、PVC、プラスチックのうちの単数または複数を含む、
項目24~28のいずれか一項に記載のセット。
【0150】
項目30.
前記第1下リップ部分139は、第1平面H1に配置され、
前記第2下リップ部分119は、前記第1平面H1から変位した第2平面H2に配置される、
項目1~5,9~14、20,24~29のいずれか一項に記載のセット。
【0151】
項目31.
前記第1平面H1は、前記第2平面H2と本質的に面一である、
項目1~30のいずれか一項に記載のセット。
【0152】
項目32.
前記第1平面H1は、第2平面H2の0.2~0.5mm下方に、好ましくは約0.3mm下方、より好ましくは0.6mm下方に配置される、
項目30に記載のセット。
【0153】
項目33.
パネル厚さが、4~6mmの範囲である、
項目1~32のいずれか一項に記載のセット。
【0154】
項目34.
前記第1平面H1は、第2平面H2の0~2mm下方、好ましくは0~1mm、より好ましくは0.6mm下方に配置される、
項目30に記載のセット。
【0155】
項目35.
パネルの厚さが少なくとも7mmである、
項目1~34のいずれか一項に記載のセット。
【0156】
項目36.
長縁部等の前記第2縁部12および/または前記第4縁部14の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備え、前記垂直方向延在縁部分184の後に、第1屈曲部、好適には前記パネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続き、好適には、前記屈曲部は、前記垂直方向延在縁部分184と前記第1上リップ部分149、139との間に面取りされた縁部を備え、前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、好適には前記第1上リップ部分149、129は、前記水平方向平面状表面を備え、
長縁部等の第3縁部13および/または前記第1縁部11の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え、前記垂直方向延在縁部分182の後に、第2屈曲部、好適には前記パネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続き、前記第2屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、好適には、前記第1下リップ部分139、119は、前記水平方向平面状表面を備え、ポケット111、112、113が、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11において、前記垂直方向延在縁部分182と前記平面との間に提供される、
項目1~35のいずれか一項に記載のセット。
【0157】
項目37.
前記ポケット111は、垂直方向において下方に、前記後面16に向かって延びる、
好適には、前記ポケット111は、前記水平方向平面状表面の下方で延びる、
前記ポケット111は、前記前面15に向く方向において上方に開口する。
項目36に記載のセット。
【0158】
項目38.
前記ポケット112は、水平方向において前記第3縁部13および/または前記第1縁部11を備える前記パネル20の中央に向かって横向きに延びる、
好適には、前記第2ポケット112は、前記水平方向平面状表面の下方で延びない、
前記ポケット112は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11から離れる方向において横向きに開口する、
項目36に記載のセット。
【0159】
項目39.
前記ポケット113は、前記垂直方向延在縁部分182に対して一定の角度を有する方向において、例えば15~75度の角度、例えば45度の角度を有する方向において、前記第3縁部内に延び、
前記ポケット113は、前記水平方向平面状表面の下方で延び、
前記ポケット113は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する、
項目36に記載のセット。
【0160】
項目40.
長縁部等の前記第4縁部14および/または前記第2縁部12の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備え、前記垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適には前記パネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続き、前記屈曲部は、好適には、前記垂直方向延在縁部分184と前記第1上リップ部分149、129との間の面取りされた直角縁部であり、前記面取りされた縁部は、前記第3縁部13と前記第4縁部との間、および/または前記第1縁部11と前記第2縁部12との間に第1ポケット116を形成し、前記第1屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、前記第1上リップ部分149、129は、前記水平方向平面状表面を備え、
長縁部等の前記第3縁部13および/または前記第1縁部11の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え、前記垂直方向延在縁部分182の後に、第2屈曲部、好適には前記パネルの中央からの方向において外側に向く直角屈曲部が続き、前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、前記第1下リップ部分139、119は、前記水平方向平面状表面を備え、第2ポケット116’が、前記垂直方向延在縁部分182に提供され、前記第2ポケット116’は、水平方向において前記第3縁部13および/または前記第1縁部11を備える前記パネル20の中央に向かって横向きに延び、好適には、前記第2ポケット116’は、前記水平方向平面状表面の下方で延びず、好適には、前記第2ポケット116’は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部から離れる方向において横向きに開口し、好適には、前記第3縁部13が前記第4縁部14に対して組み付け状態になされた際、および/または前記第1縁部11が前記第2縁部12に対して組み付け状態になされた際、前記第2ポケット116’は、前記第1ポケット116に少なくとも部分的に開口するとともに、前記第1ポケット116’と少なくとも部分的に直接流体連通する、
項目39のいずれか一項に記載のセット。
【0161】
項目41.
長縁部等の前記第4縁部14および/または前記第2縁部12の上縁部部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備え、前記垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適には、前記第4縁部14および/または前記第2縁部12を備える前記パネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続き、好適には、前記屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり、前記第1屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、前記第1上リップ部分149、129は、前記水平方向平面状表面を備え、
長縁部等の前記第3縁部13および/または前記第1縁部11の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え、前記垂直方向延在縁部分182の後に、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11内に内側に向く近接する第1屈曲部、例えば10~20度の屈曲部が続き、前記第1屈曲部の後に、前記パネルの中央からの方向において外側に向く近接する第2屈曲部、例えば鋭角の屈曲部が続き、前記第2屈曲部の後に、近接する水平方向平面状表面が続き、前記第1下リップ部分139、119は前記水平方向平面状表面を備え、これにより、ポケット114が、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11において、前記垂直方向延在縁部分182と前記水平方向平面状表面との間に提供され、前記ポケット114は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11内に延び、前記ポケット114は、好適には、前記水平方向平面状表面の下方で延びず、前記ポケット114は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する、
項目40のいずれか一項に記載のセット。
【0162】
項目42.
長縁部等の前記第4縁部14および/または前記第2縁部12の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分184を備え、前記垂直方向延在縁部分184の後に、屈曲部、好適には前記第4縁部14および/または前記第2縁部12を備える前記パネルの中央に向かって内側に向く直角屈曲部が続き、好適には、前記屈曲部は、面取りされた直角屈曲部であり、前記屈曲部の後に、水平方向平面状表面が続き、前記第1上リップ部分149、129は、前記水平方向平面状表面を備え、
長縁部等の前記第3縁部13および/または前記第1縁部11の上縁部分が、前記前面15から延びる垂直方向延在縁部分182を備え、前記垂直方向延在縁部分182の後に、前記パネルの中央からの方向において外側に向く近接する鋭角の屈曲部が続き、前記屈曲部の後に、近接する平面が続き、前記第1下リップ部分139、119は、前記水平方向平面状表面を備え、前記近接する平面は、前面15に対して角度を形成し、これにより、ポケット115が、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11において、前記平面と前記第1上リップ部分149、129との間に提供され、前記ポケット115は、前記第3縁部13および/または前記第1縁部11から離れる方向において少なくとも部分的に横向きに開口する、
項目1~40のいずれか一項に記載のセット。