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特許7577122電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20241025BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20241025BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/531
H01M50/559
H01M50/586
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022543174
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2020119688
(87)【国際公開番号】W WO2022067777
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-07-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】曽▲ウィ▼群
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼承友
(72)【発明者】
【氏名】康文竜
(72)【発明者】
【氏名】蘇華聖
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-099699(JP,A)
【文献】特開2018-006113(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、電極組立体と、エンドカバー組立体とを備える電池セルであって、
前記ケースは、開口を有し、
前記電極組立体は、主体部及びタブを備え、且つ、前記ケース内に設置され、
前記タブは前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸しており、前記電極組立体は第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを有し、前記第1の極シート及び前記第2の極シートはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、前記電極組立体における前記第1の極シート及び前記第2の極シートの塗布領域に対応する部分は前記主体部であり、前記第1の極シート又は前記第2の極シートの未塗布領域は前記タブを形成し、前記セパレータは前記第1の極シート及び前記第2の極シートを隔離するために用いられ、
前記エンドカバー組立体は、エンドカバー及び第1の絶縁部材を備え、且つ、前記開口を閉鎖することに用いられ、
前記エンドカバーは前記開口をカバーしかつ前記ケースに接続されるように配置され、前記第1の絶縁部材は前記エンドカバーの前記ケース内部に近い側に設置され且つ凹部を有し、前記タブは前記凹部内に収容されており、前記凹部の少なくとも一部の内壁は前記タブの外周を囲んで設置され、
前記電極組立体は、第2の絶縁部材をさらに備え、
前記第2の絶縁部材は、前記セパレータが前記主体部を超えかつ前記タブの外周に位置する一部である、
電池セル。
【請求項2】
前記第1の絶縁部材は、前記タブの外周面に押圧するように配置された、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1の絶縁部材は、互いに接続された本体及び延伸部を備え、
前記本体は、前記エンドカバーに接続されるように配置され、
前記延伸部は、前記本体から前記電極組立体に向かって延伸し突出して前記凹部を形成し、前記タブの外周に設置され且つ前記タブの外周面に押圧されている、
請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記延伸部は、前記タブの外周面を取り囲み、
前記延伸部は、連続的に延伸する閉環構造又は切欠を有する環状構造である、
請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記外周面は、連続的な第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有し、
前記第1の領域は前記第2の領域よりも前記主体部に近く、前記第2の領域は前記第1の領域及び前記第3の領域を接続させ、前記第1の領域の最小径方向寸法は前記第3の領域の最大径方向寸法よりも大きく、前記凹部の少なくとも一部の前記内壁は前記第3の領域を取り囲む、
請求項2~4のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1の絶縁部材は、前記第2の領域に押圧するように配置された、請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第2の絶縁部材は、前記第1の絶縁部材と前記タブの押圧領域と前記ケースとを隔離するように、前記押圧領域を囲んで設置されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第2の絶縁部材は、前記第1の絶縁部材の前記ケースに向かう外側面に押圧されている、請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記外側面は、ガイド斜面を有し、
前記ガイド斜面は、前記エンドカバーから離れる方向に沿って前記凹部に向かって傾斜している、
請求項8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第2の絶縁部材は、前記外側面に接着されている、請求項8又は9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記電池セルは、第3の絶縁部材をさらに備え、
前記第3の絶縁部材は、前記第2の絶縁部材を囲んで設置されかつ前記第2の絶縁部材と前記外側面との遷移領域を覆う、
請求項8~10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池セルを備える、電池。
【請求項13】
電気エネルギーを供給するために用いられる請求項1~11のいずれか一項に記載の電池セルを備える、電力消費装置。
【請求項14】
電極組立体を提供し、且つ、前記電極組立体は第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを備え、前記第1の極シート及び前記第2の極シートはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、前記電極組立体における前記第1の極シート及び前記第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部であり、前記第1の極シート又は前記第2の極シートの未塗布領域はタブを形成し、前記セパレータは前記第1の極シート及び前記第2の極シートを隔離するために用いられることと、
前記電極組立体を開口を有するケース内に入れ、ここで、前記タブは前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸していることと、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体を前記ケースに組み立て、前記ケースに接続されるように前記エンドカバーを前記開口にカバーし、かつ、前記第1の絶縁部材を前記エンドカバーの前記ケース内部に近い側に位置させ、ここで、前記第1の絶縁部材は凹部を有し、前記タブは前記凹部内に収容されており、前記凹部の少なくとも一部の内壁は前記タブの外周を囲んで設置され、前記電極組立体は、第2の絶縁部材をさらに備え、前記第2の絶縁部材は、前記セパレータが前記主体部を超えかつ前記タブの外周に位置する一部であることと、
を含む、電池セルの製造方法。
【請求項15】
前記第1の絶縁部材を前記タブの外周面に押圧させる、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項16】
電極組立体を提供するように配置され、且つ、前記電極組立体は第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを備え、前記第1の極シート及び前記第2の極シートはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、前記電極組立体における前記第1の極シート及び前記第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部であり、前記第1の極シート又は前記第2の極シートの未塗布領域はタブを形成し、前記セパレータは前記第1の極シート及び前記第2の極シートを隔離するために用いられる、第1の組立装置と、
主体部及びタブを備える電極組立体を開口を有するケース内に入れるように配置され、ここで、前記タブが前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸している、第2の組立装置と、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体を前記ケースに組み立て、前記ケースに接続されるように前記エンドカバーを前記開口をカバーし、かつ、前記第1の絶縁部材を前記エンドカバーの前記ケース内部に近い側に位置させるように配置され、ここで、前記第1の絶縁部材は凹部を有し、前記タブは前記凹部内に収容されており、前記凹部の少なくとも一部の内壁は前記タブの外周を囲んで設置され、前記電極組立体は、第2の絶縁部材をさらに備え、前記第2の絶縁部材は、前記セパレータが前記主体部を超えかつ前記タブの外周に位置する一部である、第3の組立装置と、
を備える、電池セルの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池は、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、循環使用回数が多くかつ貯蔵時間が長いなどの利点を有するため、電気自動車、モバイル機器又は電動工具に広く応用されている。電池は、電池セルを含む。しかしながら、電池セルの使用過程において、短絡の問題が存在するため、電池セルの使用安全性に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願の実施例は、電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステムであり、電池セルに短絡が存在して使用安全性に影響を与えるという問題を解決することを目的とする。
【0004】
本願の実施例は、ケース、電極組立体及びエンドカバー組立体を備える電池セルを提供する。
【0005】
ケースは、開口を有する。電極組立体は、ケース内に設けられている。電極組立体は、主体部と、セパレータと、タブとを備える。タブは、主体部の端部から開口に向かって延伸している。電極組立体は、第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを含む。第1の極シート及び第2の極シートは、いずれも塗布領域及び未塗布領域を有する。電極組立体における第1の極シートと第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部である。第1の極シート又は第2の極シートの未塗布領域はタブを形成する。セパレータは、第1の極シートと第2の極シートを隔離するために用いられる。エンドカバー組立体は、開口を閉鎖するために用いられる。エンドカバー組立体は、エンドカバー及び第1の絶縁部材を含む。エンドカバーは、開口をカバーしてケースに接続されるように配置される。第1の絶縁部材は、エンドカバーのケース内部に近い側に設けられている。第1の絶縁部材は、凹部を有する。タブは、凹部内に収容される。凹部の少なくとも一部の内壁は、タブの外周を囲んで設けられる。
【0006】
本願の一つの実施例において、第1の絶縁部材はタブの外周面に押圧するように配置される。
【0007】
本願の一つの実施例において、第1の絶縁部材は互いに接続された本体及び延伸部を備える。本体は、エンドカバーに接続されるように配置される。延伸部は、本体から電極組立体に向かって延伸し突出して凹部を形成し、タブの外周に設置され且つ外周面に押圧されている。第1の絶縁部材が延伸部を有するため、組立を行う時に、第1の絶縁部材の延伸部はタブとケースとの間の隙間に挿入することができ、それにより延伸部はタブを第1の絶縁部材の凹部内に正確に挿入させるようにガイドすることができ、組立過程において、第1の絶縁部材がタブに押出応力を印加することによりタブが変形する可能性を低下させ、同時に延伸部が組立過程においてタブに対して保護及び制限を早めに形成することができる。
【0008】
本願の一つの実施例において、延伸部は、タブの外周面を取り囲むことにより、タブに対して防護や隔離を形成することができる。
【0009】
本願の一つの実施例において、延伸部は連続的に延伸する閉環構造である。延伸部は、エンドカバーから離れる端面が閉環構造を呈するため、タブに対して防護や隔離を形成することができ、隔離の効果をさらに向上させることに役立つ。又は、延伸部は切欠を有する環状構造である。延伸部の切欠は待避空間を提供することができる。
【0010】
本願の一つの実施例において、外周面は連続的な第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有する。第1の領域は第2の領域よりも主体部に近く、第2の領域は第1の領域及び第3の領域を接続させ、第1の領域の最小径方向寸法は第3の領域の最大径方向寸法より大きく、凹部の少なくとも一部の内壁は第3の領域を取り囲む。このように、タブの一部は第1の絶縁部材の凹部内に位置することができ、同じ容量の電池セルに対して電池セルの電極組立体の軸方向での全体寸法を低減することに役立ち、それにより電池セルのエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0011】
本願の一つの実施例において、第1の絶縁部材は第2の領域に押圧するように配置され、それにより電極組立体がエンドカバーに接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減することができる。
【0012】
本願の一つの実施例において、電極組立体は第2の絶縁部材をさらに備える。第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材とタブとの押圧領域を囲んで設置されることにより、押圧領域とケースを隔離する。延伸部及び第2の絶縁部材はタブに対して二重隔離及び保護構造を形成することができ、タブとケースが接触して短絡する可能性をさらに低減することに役立つ。
【0013】
本願の一つの実施例において、第2の絶縁部材はセパレータが主体部を超えかつタブの外周に位置する一部である。このように、特に第2の絶縁部材を単独に設置する必要がなく、部品の使用数量及び組立の難しさを減少させることに役立つ。また、セパレータは、一体構造であるため、形成された第2の絶縁部材が脱落しにくい。
【0014】
本願の一つの実施例において、第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材のケースに向かう外側面に押圧され、それにより第2の絶縁部材と第1の絶縁部材との間に接触領域を形成することができ、さらに導電性不純物を遮断することができる。
【0015】
本願の一つの実施例において、外側面はガイド斜面を有する。ガイド斜面は、エンドカバーから離れる方向に沿って、凹部に向かって傾斜している。第2の絶縁部材付きの電極組立体をケースに入れた後にエンドカバー組立体を組み立てる時、ガイド斜面のガイド作用で、第1の絶縁部材におけるガイド斜面に対応する部分は第2の絶縁部材に限定された空間内に容易に入ることができる。
【0016】
本願の一つの実施例において、第2の絶縁部材は外側面に接着されており、第2の絶縁部材と第1の絶縁部材との接続信頼性及び安定性を向上させることに役立つ。
【0017】
本願の一つの実施例において、電池セルはさらに第3の絶縁部材を備える。第3の絶縁部材は、第2の絶縁部材の周りに設置されかつ第2の絶縁部材と外側面との遷移領域を覆い、それにより導電性不純物が第2の絶縁部材と外側面との遷移領域に入ることを阻止することができる。
【0018】
本発明の電池セルは、ケースと、電極組立体と、エンドカバー組立体とを備える。電極組立体は、ケース内に取り付けられてもよい。電極組立体はタブを備える。エンドカバー組立体は、ケースと接続するために用いられる。エンドカバー組立体の第1の絶縁部材は凹部を有する。タブは、凹部内に収容される。凹部の少なくとも一部の内壁は、タブの外周を囲んで設けられる。第1の絶縁部材は、タブの周辺に隔離構造を形成し、それによりタブとケースを隔離する。このように、一方では、電池セルの使用過程において、タブは、自身の弾性復元力を解放して変形する場合に第1の絶縁部材に接触すると、第1の絶縁部材に遮断され、それによりタブがケースにラップ接触して短絡する可能性を効果的に低減する。他方では、第1の絶縁部材がタブの外周にタブをカバーしてタブが第1の絶縁部材の凹部内に収容されるため、タブが第1の絶縁部材に保護され、それにより外部の導電性不純物がタブに接触しにくく、導電性不純物がタブとケースを導通して短絡する可能性を低減する。
【0019】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルを備える電池をさらに提供する。
【0020】
本願の実施例は、電気エネルギーを提供するために用いられる上記実施例に記載の電池セルを備える電力消費装置をさらに提供する。
【0021】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルの製造方法であって、
電極組立体を提供することであって、電極組立体は第1の極シート、第2の極シート及びセパレータ備え、第1の極シートと第2の極シートはいずれも塗布領域と未塗布領域を有し、電極組立体における第1の極シートと第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部であり、第1の極シート又は第2の極シートの未塗布領域はタブを形成し、セパレータは第1の極シートと第2の極シートを隔離するために用いられ、
電極組立体を開口を有するケース内に入れることであって、ここで、タブは主体部の端部から開口に向かって延伸し、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体をケースに組み立て、ケースに接続されるようにエンドカバーを開口にカバーし、かつ、第1の絶縁部材をエンドカバーのケース内部に近接する側に位置させ、ここで、第1の絶縁部材は凹部を有し、タブは凹部内に収容されており、凹部の少なくとも一部の内壁はタブの外周を囲んで設置されること、
を含む、電池セルの製造方法をさらに提供する。
【0022】
本願の一つの実施例において、第1の絶縁部材をタブの外周面に押圧させる。
【0023】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルの製造システムであって、
電極組立体を提供するように構成され、且つ、電極組立体は第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを含み、第1の極シートと第2の極シートはいずれも塗布領域と未塗布領域を有し、電極組立体における第1の極シートと第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部であり、第1の極シート又は第2の極シートの未塗布領域はタブを形成し、セパレータは第1の極シートと第2の極シートを隔離するために用いられる、第1の組立装置と、
主体部及びタブを備える電極組立体を開口を有するケース内に入れるように配置され、ここで、タブが主体部の端部から開口に向かって延伸している、第2の組立装置と、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体をケースに組み立て、ケースに接続されるようにエンドカバーを開口にカバーし、かつ、第1の絶縁部材をエンドカバーのケース内部に近接する側に位置させるように配置され、ここで、第1の絶縁部材が凹部を有し、タブが凹部内に収容されており、凹部の少なくとも一部の内壁がタブの外周を囲んで設置されている、第3の組立装置と、
を備える、電池セルの製造システムをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に記載の図面は本願のいくつかの実施例に過ぎない。当業者であれば、創造的労働をしない前提で、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
図1】本願の一つの実施例に開示された車両の構造概略図である。
図2】本願の一つの実施例に開示された電池の構造概略図である。
図3】本願の一つの実施例に開示された電池モジュールの構造概略図である。
図4】本願の一つの実施例に開示された電池モジュールの分解構造概略図である。
図5】本願の一つの実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図6】本願の一つの実施例に開示された電極組立体の構造概略図である。
図7】本願の一つの実施例に開示された電池セルの平面構造概略図である。
図8図7におけるA-A箇所に沿う断面構造概略図である。
図9図8におけるB箇所の拡大図である。
図10】本願の一つの実施例に開示されたエンドカバー組立体の構造概略図である。
図11】本願の他の実施例に開示されたエンドカバー組立体の構造概略図である。
図12】本願の他の実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図13図12に示す実施例の電池セルの断面構造概略図である。
図14図13におけるC箇所の拡大図である。
図15】本願の別の実施例に開示された電池セルの部分断面構造概略図である。
図16】本願のさらなる実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図17図16に示す実施例の電池セルの部分断面構造概略図である。
図18】本願の一つの実施例の電池セルの製造方法のフローチャートである。
図19】本願の一つの実施例の電池セルの製造システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面及び実施例を参照して本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明された実施例に限定されるものではない。
【0026】
本願の説明において、説明すべきこととして、他の説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上である。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の指示された方位又は位置関係は本願を説明しやすく、説明を簡略化するためのものに過ぎず、指定された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを指示するか又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は単に目的を説明するために用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示すると理解されるべきではない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。
【0027】
下記説明に現れた方位用語はいずれも図に示された方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明すべきこととして、他の明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」を広義に理解すべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0028】
出願人は、従来の電池セルに短絡の問題が存在することに留意した後、電池セルの構造を研究して分析する。電池セルは、ケースと、電極組立体と、エンドカバーと、電極端子と、アダプタシートとを備える。電極組立体は、ケース内に設けられている。エンドカバーは、ケースに接続されている。電極端子は、エンドカバーに設けられている。電極組立体は、主体部およびタブを備える。タブは、主体部から主体部から離れる方向に延伸している。アダプタシートは電極端子と電極組立体のタブとを接続する。出願人は、電池セルのタブとケースとがラップ接触して電池セルが短絡することを発見した。出願人がさらに研究した結果、電極組立体のタブは、折り曲げ工程又はフラット工程を経て変形して組立要件を満たすため、タブ自体は弾性復元力を蓄積する。電池セルの組み立てを完了した時に、タブは、ケースにラップ接触して短絡する状況が発生しない。しかし、一定の使用時間後、タブは、自身に蓄積された弾性復元力を解放してスプリングバックが発生し、他の構造の制限がない場合、スプリングバック後のタブとケースがラップ接触して短絡が発生するという問題が存在する。
【0029】
出願人は、発見された上記問題に基づいて、電池セルの構造を改善し、エンドカバー組立体の絶縁部材とタブの外周面を押圧嵌合することにより、タブとケースがラップ接触する可能性を低減する。以下に本願の実施例をさらに説明する。
【0030】
本願をよりよく理解するために、以下に図1図19を参照して本願の実施例を説明する。
【0031】
本願の実施例は電池10を電源として使用する電力消費装置を提供する。当該電力消費装置は車両、船舶又は航空機等であってもよいが、これに限定されない。図1に示すように、本願の一つの実施例は車両1を提供する。車両1は、燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってよい。新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型自動車等であってもよい。本願の一つの実施例において、車両1はモータ1a、コントローラ1b及び電池10を備えることができる。制御装置1bは、電池10を制御してモータ1aに電力を供給する。モータ1aは、伝動機構により車輪に接続され、それにより車両1が走行するように駆動する。電池10は、車両1の駆動電源として燃料油又は天然ガスを代替するか又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。いくつかの例において、車両1の底部、車頭又は車尾に電池10を設置することができる。電池10は、車両1への電力供給に用いられてもよい。いくつかの例において、電池10は、車両1の操作電源として車両1の回路システムに用いられることができる。例示的には、電池10は、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の動作電力消費需要に用いられることができる。
【0032】
図2及び図3に示すように、電池10は筐体を備える。筐体の種類は限定されない。筐体は、枠状筐体、盤状筐体又は箱状筐体等であってもよい。例示的には、筐体は、第1の部分11及び第1の部分11にカバーされる第2の部分12を備え、第1の部分11と第2の部分12ととのカバーリングによって収容部が形成される。電池10は、複数の電池セル40を有する。複数の電池セル40は、電池10を直接構成してもよく、まず電池モジュール20を構成してさらに電池10を構成してもよい。図3は、一つの実施例の電池モジュール20を概略的に示し、当該電池モジュール20は筐体の収容部内に設置されている。
【0033】
いくつかの実施例において、異なる電力消費需要を満たすために、電池10は複数の電池セル40を有することができる。ここで、複数の電池セル40の間は、直列、並列又は混合であってもよく、混合が直列及び並列の混合を指す。すなわち、複数の電池セル40は、筐体の収容部内に直接設置されて電池10を構成することができる。電池セル40は、円筒形構造であってもよく、六面を有する方形構造であってもよく、ここで電池セル40の外形構造を限定しない。本願の実施例において、電池セル40が円筒形構造であることを例として説明する。
【0034】
図3及び図4に示すように、電池モジュール20はハウジング30及びハウジング30内に設置された電池セル40を有する。いくつかの例において、ハウジング30は筒体31、第1の蓋体32及び第2の蓋体33を備える。第1の蓋体32及び第2の蓋体33は、筒体31の両端にそれぞれ設けられている。第1の蓋体32及び第2カバー33は、それぞれ筒体31に取り外し可能に接続される。例えば、第1の蓋体32と第2の蓋体33は、それぞれ筒体31に係止されるか又はネジで接続されることができる。筒体31、第1の蓋体32及び第2の蓋体33の組み立てから収容空間が形成される。電池セル40は、ハウジング30の収容空間内に設けられている。
【0035】
図5に示すように、本願の実施例の電池セル40はケース41及びケース41内に設置された電極組立体42を備える。本願の実施例のケース41は、筒状構造である。ケース41は、電極組立体42および電解液を収容する内部空間と、内部空間に連通する開口411とを有する。電極組立体42は、ケース41の開口411からケース41内に入れることができる。ケース41は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチック等の材料から製造されることができる。電極組立体42は、主体部421およびタブ422を含む。主体部421は、端部421aを有する。電極組立体42は、ケース41内に設置され、主体部421の端部421aはケース41の開口411に向き、タブ422は主体部421の端部421aからケース41の開口411に延伸している。
【0036】
図5に示すように、本願の実施例の電池セル40は、エンドカバー組立体43及びアダプタシート44をさらに備える。エンドカバー組立体43は、ケース41の開口411を閉鎖するために用いられる。エンドカバー組立体43はエンドカバー431、第1の絶縁部材432及び電極端子433を備える。エンドカバー431は、ケース41の開口411をカバーするように配置され且つケース41に接続されている。例えば、エンドカバー431は、ケース41に溶接接続されてもよい。第1の絶縁部材432および電極端子433は、いずれもエンドカバー431上に設けられている。第1の絶縁部材432は、エンドカバー431のケース41の内部に近い側に設けられている。第1の絶縁部材432は、凹部432aを有する。凹部432aは、第1の絶縁部材432のエンドカバー431から離れる表面からエンドカバー431に向かって凹んでおり、それにより凹部の開口を電極組立体42に向く。電極端子433は、アダプタシート44により電極組立体42と電気的に接続されている。いくつかの例において、エンドカバー組立体43の数量及びアダプタシート44の数量はいずれも二つである。電極組立体42の対向する両端の各端部にエンドカバー組立体43及びアダプタシート44が対応して設置される。
【0037】
図6に示すように、本願の実施例の電極組立体42は、第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを共に巻回することにより形成されることができる。ここで、セパレータ42cは、第1の極シート42aと第2の極シート42bとの間に介在する絶縁体である。セパレータ42cは、第1の極シート42aと第2の極シート42bを絶縁隔離して第1の極シート42aと第2の極シート42bとの接触を回避することに用いられる。第1の極シート42a及び第2の極シート42bは、いずれも塗布領域及び未塗布領域を有する。第1の極シート42aの活物質は第1の極シート42aの塗布領域に塗布され、第2の極シート42bの活物質は第2の極シート42bの塗布領域に塗布された。活物質は、塗布領域に金属薄板で形成された集電体に塗布されており、未塗布領域に塗布されていない。電極組立体42において第1の極シート42a及び第2の極シート42bの塗布領域に対応する部分は主体部421である。第1極シート42aの未塗布領域又は第2極シート42bの未塗布領域は、タブ422を形成した。主体部421は、対向して設けられた二つの端部421aを有する。タブ422は、主体部421の一方の端部421aから延伸している。タブ422は、多層構造である。例示的には、第1の極シート42aの未塗布領域が積層されて正極タブを形成し、第2の極シート42bの未塗布領域が積層されて負極タブを形成した。主体部421の一方の端部421aからは、正極タブおよび負極タブがそれぞれ延伸している。
【0038】
第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを共に巻回する時に、巻回工程の最後に、セパレータ42cを単独で所定の回数にさらに巻回し、それにより第1の極シート42a及び第2の極シート42bを超えるセパレータ42cは第1の極シート42a及び第2の極シート42bを包むことができる。電極組立体42の巻回軸線の方向に沿って、セパレータ42cの寸法は第1の極シート42aの塗布領域の寸法よりも大きく、第2の極シート42bの塗布領域の寸法よりも大きい。したがって、電極組立体42の巻回軸線の方向に沿って、セパレータ42cの一部は主体部421を超え、かつ主体部421を超えるセパレータ42cの一部はタブ422の外周に位置している。
【0039】
図7及び図8に示すように、エンドカバー431は、ケース41に接続されて電極組立体42をケース41内に閉鎖させる。第1の絶縁部材432は、電極組立体42とエンドカバー431を隔離することができる。例示的には、ケース41は対向する二つの開口411を有する。二つのエンドカバー431はそれぞれ二つの開口411をカバーするかついずれもケース41に接続されている。電極組立体42は、対向する二つのタブ422を有する。二つのタブ422は、主体部421の二つの端部421aからそれぞれ延伸している。二つのタブ422の極性は逆である。二つの電極端子433は、それぞれ二つのタブ422に接続されている。二つの第1の絶縁部材432はそれぞれ二つのエンドカバー431に接続されている。
【0040】
図8及び図9に示すように、本願の実施例の第1の絶縁部材432は凹部432aを有する。凹部432aの少なくとも一部の内壁は、タブ422の外周を囲むように設けられている。タブ422は、凹部432a内に向かって延伸している。タブ422は第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容され、それにより第1の絶縁部材432はタブ422の外周にカバーして設けられる。タブ422の凹部432a内に位置した部分の第1の絶縁部材432での正投影は凹部432a内に位置し、すなわちタブ422の凹部432a内に位置した部分の外周面は第1の絶縁部材432の凹部432aの内壁を超えない。タブ422の外周面とは、ケース41と対向する面である。第1の絶縁部材432はタブ422の周辺に隔離構造を形成することにより、タブ422とケース41を隔離する。そのため、タブ422が弾性復元力を解放して変形する時に第1の絶縁部材432によって遮断され、それによりタブ422が弾性復元力を解放し変形してケース41と接触する可能性を低減する。
【0041】
いくつかの実施例において、図9に示すように、タブ422全体はいずれも凹部432a内に位置しており、それにより第1の絶縁部材432はタブ422全体に対して保護することができる。
【0042】
いくつかの実施例において、図9に示すように、第1の絶縁部材432はタブ422の外周面に押圧するように配置されることにより、タブ422とケース41を隔離する。タブ422の外周面は、ケース41に向く。第1の絶縁部材432とタブ422の外周面は押圧嵌合されて押圧領域を形成する。このように、第1の絶縁部材432は、タブ422の外周面に押圧することにより、タブ422の外周に隔離構造を形成し、それによりタブ422とケース41を隔離する。このように、一方では、電池セル40の使用過程において、タブ422は、自身の弾性復元力を解放して変形する時に、第1の絶縁部材432に接触すると、第1の絶縁部材432に遮断され、それによりケース41とラップ接触して短絡が発生する可能性が効果的に低減される。他方では、第1の絶縁部材432がタブ422の外周面に押圧され、タブ422が第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容されるため、タブ422は第1の絶縁部材432に保護され、それにより外部の導電性不純物とタブ422との接触可能な面が減少し、導電性不純物がタブ422とケース41とを導通して短絡することが発生する可能性を低減する。
【0043】
いくつかの実施例において、図9に示すように、タブ422全体はフラット工程によりフラット化されて丈夫になる。
【0044】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材432はタブ422の外周面に直接押圧されており、すなわち、第1の絶縁部材432とタブ422の外周面とは直接接触しており、両者の間に他の構造部材が設置されない。
【0045】
いくつかの実施例において、セパレータ42cの一部は第1の絶縁部材432とタブ422との間に位置している。第1の絶縁部材432はセパレータ42cに押圧されており、かつセパレータ42cによりタブ422の外周面に押圧されている。
【0046】
いくつかの実施例において、図9に示すように、第1の絶縁部材432は互いに接続された本体4321及び延伸部4322を備える。第1の絶縁部材432は本体4321によりエンドカバー431に接続されている。例示的には、電極端子433がエンドカバー431に接続して固定された後、電極端子433の一部が本体4321のエンドカバー431から離れる側に位置しかつ当該部分がエンドカバー431に向かって本体4321に押圧力を印加し、それにより第1の絶縁部材432とエンドカバー431との接続を実現する。延伸部4322は、本体4321から電極組立体42に向かって延伸している。本体4321と延伸部4322とは、交差して設けられている。本体4321と延伸部4322とは、凹部432aを形成した。延伸部4322は、タブ422の外周に設けられている。延伸部4322は、タブ422の外周面を取り囲んでいる。延伸部4322は、タブ422の周側に沿って延伸している。第1の絶縁部材432は、延伸部4322によって、タブ422の外周面に押圧られている。第1の絶縁部材432は本体4321によりエンドカバー431に予め接続して固定され、次に第1の絶縁部材432付きのエンドカバー431とケース41を組み立てることができる。第1の絶縁部材432が延伸部4322を有するため、組立を行う時、第1の絶縁部材432の延伸部4322はタブ422とケース41との間の隙間に挿入されることができ、それにより延伸部4322はタブ422を第1の絶縁部材432の凹部432a内に正確に挿入させるようにガイドすることができ、組立過程において、第1の絶縁部材432がタブ422に押し出し応力を印加することによりタブ422が変形する可能性を低下させ、同時に延伸部4322は組立過程においてタブ422に対して保護及び制限を早めに形成することができる。
【0047】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材432は球形構造のカバーであってもよい。第1の絶縁部材432の凹部432aが形成される面は、球面である。
【0048】
いくつかの実施例において、図9及び図10に示すように、アダプタシート44は第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442を備える。第1のアダプタ部441と第2のアダプタ部442とは接続されている。アダプタシート44は第1のアダプタ部441により電極組立体42のタブ422に接続される。例えば、第1のアダプタ部441とタブ422は溶接接続される。アダプタシート44は、第2のアダプタ部442により電極端子433に接続されている。例えば、第2のアダプタ部442と電極端子433はリベットにより接続される。図9に示すように、電池セル40の組立が完了した後、第1のアダプタ部441は、第2のアダプタ部442に対して折り曲げ状態にある。第1のアダプタ部441は第1の絶縁部材432と電極組立体42との間に位置しかつ凹部432a内に位置している。第1の絶縁部材432と電極組立体42は共に第1のアダプタ部441を押し出し、それにより第1のアダプタ部441は電極組立体42に対して変位しにくく、第1のアダプタ部441が電極組立体42に対して移動することにより第1のアダプタ部441とタブ422が接続から離脱する可能性を低減することに役立つ。いくつかの例において、第1の絶縁部材432の本体4321と電極組立体42は共に第1のアダプタ部441を押し出す。
【0049】
いくつかの実施例において、図10は、アダプタシート44が折り曲げられない状態でアダプタシート44が電極端子433に接続されることを概略的に示す。図10に示すように、延伸部4322は切欠43221を有する環状構造であり、延伸部4322がエンドカバー431の端面から離れて開環構造を呈する。延伸部4322の切欠43221は、第2のアダプタ部442を待避することができる。アダプタシート44の第2のアダプタ部442は当該切欠43221から通過することができ、それによりアダプタシート44の加工製造過程において、アダプタシート44の第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442は平坦状態を保持し、アダプタシート44の加工工程を減少させることができる。延伸部4322における切欠43221以外の部分は、いずれもタブ422の外周面に押圧されてもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、図11は、アダプタシート44が折り曲げられない状態でアダプタシート44が電極端子433に接続されることを概略的に示す。図11に示すように、延伸部4322は連続的に延伸する閉環構造であり、延伸部4322がエンドカバー431の端面から離れて閉環構造を呈する。アダプタシート44の第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442を加工製造する時に折り曲げる必要があり、それにより第2のアダプタ部442が電極端子433に接続された後、アダプタシート44は延伸部4322を待避することができる。延伸部4322はタブ422の外周面に押圧されることができ、かつ延伸部4322がエンドカバー431の端面から離れて閉環構造を呈するため、延伸部4322はタブ422に対して防護や隔離を形成することができ、それによりタブ422の周方向の各位置でタブ422とケース41とを隔離し、隔離効果をさらに向上させることに役立つ。
【0051】
いくつかの実施例において、図12図14に示すように、タブ422は段差部422aを有する。タブ422の外周面は連続的な第1の領域4221、第2の領域4222及び第3の領域4223を有し、すなわち、タブ422の外周面は連続的に延伸する表面である。タブ422は、第1の領域4221に対応する第1の延伸セグメントと、第3の領域4223に対応する第2の延伸セグメントとを有する。第1の領域4221は第2の領域4222よりも主体部421に近く、第3の領域4223は第2の領域4222よりもエンドカバー431に近い。第2の領域4222は、第1の領域4221と第3の領域4223とを接続している。第2の領域4222は、エンドカバー431に向けて設けられている。第1の領域4221の最小径方向寸法は第3の領域4223の最大径方向寸法よりも大きく、すなわち、第1の延伸セグメントの最小径方向寸法は第2の延伸セグメントの最大径方向寸法よりも大きい。凹部432aの少なくとも一部の内壁は、第3の領域4223の外周を囲むように設けられている。タブ422における第3の領域4223に対応する部分は凹部432a内に位置しており、すなわちタブ422の第2の延伸セグメントは凹部432a内に位置している。このように、タブ422の一部は第1の絶縁部材432の凹部432a内に位置することができ、同じ容量の電池セル40に対して電池セル40の電極組立体42の軸方向での全体寸法を短縮することに役立ち、それにより電池セル40のエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0052】
いくつかの例において、図14に示すように、タブ422全体はフラット工程によりフラット化されて段差部422aを形成する。
【0053】
いくつかの例において、第1の絶縁部材432は第2の領域4222に押圧される。延伸部4322の端面は第2の領域4222に対向し、かつ第2の領域4222に押圧され、それにより電極組立体42がエンドカバー431に接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減することができる。
【0054】
いくつかの実施例において、図15に示すように、電極組立体42は第2の絶縁部材423をさらに備える。第2の絶縁部材423は、第1の絶縁部材432とタブ422の押圧領域を囲んで設置されることにより、ケース41を第1の絶縁部材432とタブ422との押圧領域から隔離する。いくつかの例において、第2の絶縁部材423は第1の絶縁部材432の延伸部4322の外側に隔離構造を形成し、それにより導電性不純物が延伸部4322とタブ422との押圧領域に入る可能性を低減することができ、タブ422に対して隔離や保護を形成し、延伸部4322とタブ422が意外に押圧状態から離脱した時にタブ422がケース41に接触される可能性を低減することもできる。このように、延伸部4322及び第2の絶縁部材423は、タブ422に対して二重隔離及び保護構造を形成することができ、タブ422とケース41が接触して短絡する可能性をさらに低減することに役立つ。いくつかの例において、第2の絶縁部材423は環状構造である。第2の絶縁部材423は延伸部4322の周側に沿って連続的に延伸しており、それにより延伸部4322の周方向全体に保護を形成することができる。
【0055】
いくつかの例において、第2の絶縁部材423は個別の構造部材であってもよい。二つの第2の絶縁部材423はそれぞれ二つのタブ422に対応して設置される。組立工程において、第2の絶縁部材423をタブ422の外周に予め組み立てる必要がある。次に、第2の絶縁部材423付きの電極組立体42をケース41内に入れる。エンドカバー組立体43とケース41の組立が完了した後、第1の絶縁部材423は第2の絶縁部材423内に挿入される。いくつかの例において、第2の絶縁部材423はセパレータ42cが主体部421を超えかつタブ422の外周に位置する一部であってもよく、それにより特に第2の絶縁部材423を単独に設置する必要がなく、部品の使用数量及び組立の難しさを減少させることに役立つ。また、セパレータ42cが一体構造であるため、形成された第2の絶縁部材423は脱落しにくい。この時、セパレータ42cは第1の絶縁部材432の外周に位置しており、第1の絶縁部材432はタブ422の外周面に直接押圧される。
【0056】
いくつかの実施例において、図15に示すように、第1の絶縁部材432はケース41に向かう外側面432bを有する。第2の絶縁部材423は、外側面432bに押圧され、それにより第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との間に接触領域が形成されることができる。さらに、第2の絶縁部材423は、導電性不純物を遮断することができ、導電性不純物が第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との間から第2の絶縁部材423と延伸部4322との間に入り、その後に延伸部4322とタブ422の押圧領域に入る可能性をさらに低減することに役立つ。
【0057】
いくつかの例において、第1の絶縁部材432の外側面432bはガイド斜面を有する。ガイド斜面は、エンドカバー431から離れる方向に沿って、凹部432aに向かって傾斜している。このように、第2の絶縁部材423付きの電極組立体42をケース41に取り付けた後にエンドカバー組立体43を組み立てる時、ガイド斜面のガイド作用で、第1の絶縁部材432におけるガイド斜面に対応する部分は、第2の絶縁部材423に限定された空間内に入りやすく、第1の絶縁部材432が第2の絶縁部材423を直接押圧されることにより第2の絶縁部材423が陥没して隔離機能を失う可能性を低減することに役立つ。第1の絶縁部材432が本体4321及び延伸部4322を備える実施例において、第1の絶縁部材432に設置されたガイド斜面により、延伸部4322の外周面は円錐形を呈する。
【0058】
いくつかの例において、第2の絶縁部材423は第1の絶縁部材432の外側面432bに接着され、第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432との接続の信頼性及び安定性を向上させることに役立つ。そして、電池セル40の使用過程において、第2の絶縁部材423と第1の絶縁部材432とが衝撃、振動等の動作状況によって接触状態から離脱する可能性を低下させる。例示的には、第2の絶縁部材423はテープ又は接着剤により第1の絶縁部材432の外側面432bに接着されることができる。
【0059】
いくつかの実施例において、図16及び図17に示すように、電池セル40は第3の絶縁部材424をさらに備える。第3の絶縁部材424は、第2の絶縁部材423を囲んで配置され、第2の絶縁部材423と外側面432bとの遷移領域を覆う。遷移領域とは、第2の絶縁部材423と外側面432bとがラップする領域である。第3の絶縁部材424は、第2の絶縁部材423及び外側面432bの遷移領域を保護することができる。第3の絶縁部材424は、導電性不純物が第2の絶縁部材423及び外側面432bの遷移領域に入ることを阻止することができ、導電性不純物が延伸部4322及びタブ422の押圧領域に入る可能性をさらに低減することに役立つ。
【0060】
いくつかの例において、第3の絶縁部材424は単独な構造部材であってもよい。二つの第3の絶縁部材424は、それぞれ二つのタブ422に対応して設けられる。第3の絶縁部材424は、筒状構造を呈す。第3の絶縁部材424はシート状構造又はテープであってもよい。
【0061】
いくつかの例において、第3の絶縁部材424は第1の絶縁部材432の外側面432bに接着され、第3の絶縁部材424と第1の絶縁部材432との接続の信頼性及び安定性を向上させることに役立ち、電池セル40の使用過程において、第3の絶縁部材424と第1の絶縁部材432が衝撃、振動等の動作状況によって接触状態から離脱する可能性を低下させる。例示的には、第3の絶縁部材424はテープ又は接着剤により第1の絶縁部材432の外側面432bに接着されることができる。
【0062】
本願の実施例の電池セル40は、タブ422を備える電極組立体42と、凹部432aを有する第1の絶縁部材432とを備える。電池セル40の組立が完了した後、タブ422は凹部432a内に収容され、第1の絶縁部材432はタブ422の外周面に押圧し、それにより第1の絶縁部材432はタブ422とケース41を隔離することができる。このように、電池セル40の使用過程において、タブ422は、自身に蓄積された弾性復元力を解放して変形する場合、第1の絶縁部材432の制限を受けるため、スプリングバックしてケース41と接触することが発生しにくく、タブ422とケース41との接触により電池セル40が短絡する可能性を低減する。
【0063】
上記実施例の電池セル40に基づいて、本願の実施例は、
電極組立体42を提し、電極組立体42は第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを有し、第1の極シート42a及び第2の極シート42bはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、電極組立体42における第1の極シート42a及び第2の極シート42bの塗布領域に対応する部分は主体部であり、第1の極シート42a又は第2の極シート42bの未塗布領域はタブを形成し、セパレータ42cは第1の極シート42a及び第2の極シート42bを隔離するために用いられることと、
電極組立体42を開口411を有するケース41内に入れ、ここで、タブ422は主体部421の端部421aから開口411に向かって延伸していることと、
エンドカバー431及び第1の絶縁部材432を備えるエンドカバー組立体43をケース41と組み立て、ケース41に接続されるようにエンドカバー431を開口411にカバーし、かつ、第1の絶縁部材432をエンドカバー431のケース41の内部に近接する側に位置させ、ここで、第1の絶縁部材432は凹部432aを有し、タブ422は凹部432a内に収容されており、凹部の少なくとも一部の内壁はタブの外周を囲んで設置されることと、
を含む、電池セル40の製造方法をさらに提供する。
【0064】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材432がタブ422の外周面に押圧される。
【0065】
図18に示すように、本願の実施例の電池セル40の製造方法で製造された電池セル40は、主体部421及びタブ422を有する電極組立体42をケース41内に入れ、かつタブ422をケース41の開口411に向ける。凹部432aを有する第1の絶縁部材432のエンドカバー組立体43及びエンドカバー431をケース41と組み立てる。タブ422は、第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容されている。凹部432aの少なくとも一部の内壁は、タブ422の外周を囲むように設けられている。第1の絶縁部材432がタブ422とケース41とを隔離する構造設計により、電池セル40の使用過程において、タブ422は、自身に蓄積された弾性復元力を解放して変形する場合、第1の絶縁部材432の制限を受けてケース41と接触しにくく、タブ422とケース41との接触により電池セル40が短絡する可能性を低減する。
【0066】
図19に示すように、上記実施例の電池セル40に基づいて、本願の実施例は、
電極組立体42を提供するように配置され、且つ、電極組立体42は第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを含み、第1の極シート42a及び第2の極シート42bはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、電極組立体42における第1の極シート42a及び第2の極シート42bの塗布領域に対応する部分は主体部であり、第1の極シート42a又は第2の極シート42bの未塗布領域はタブを形成し、セパレータ42cは第1の極シート42a及び第2の極シート42bを隔離するために用いられる、第1の組立装置51と、
電極組立体42を開口411を有するケース41内に入れるように配置され、ここで、タブ422が主体部421の端部421aから開口411に向かって延伸している、第2の組立装置52と、
エンドカバー431及び第1の絶縁部材432を備えるエンドカバー組立体43をケース41と組み立て、ケース41に接続されるようにエンドカバー431を開口411にカバーし、かつ、第1の絶縁部材432をエンドカバー431のケース41の内部に近い側に位置させるように配置され、ここで、第1の絶縁部材432が凹部432aを有し、タブ422が凹部432a内に収容されており、凹部432aの少なくとも一部の内壁がタブ422の外周を囲んで設置される、第3の組立装置53と、
を備える、電池セル40の製造システム50をさらに提供する。
【0067】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない場合、それに様々な改良を行うことができ、かつ等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内にある全ての技術案を含む。
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