(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
F25B1/00 101Z
(21)【出願番号】P 2023510020
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013849
(87)【国際公開番号】W WO2022208727
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 皓亮
(72)【発明者】
【氏名】水野 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】池田 宗史
(72)【発明者】
【氏名】西尾 淳
(72)【発明者】
【氏名】本村 祐治
(72)【発明者】
【氏名】古谷 幸二
(72)【発明者】
【氏名】鷲山 博紀
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/125252(WO,A1)
【文献】特開2014-119220(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140887(WO,A1)
【文献】特開2011-257038(JP,A)
【文献】国際公開第2020/245982(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れるように配管接続された主回路と、
前記冷媒が流れるように配管接続され、前記主回路から分岐し前記主回路に合流するバイパス回路と、
を備え、
前記主回路は、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる前記冷媒同士を熱交換させ、前記高温側流路を前記主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、
前記冷媒を減圧する第1絞り装置と、
前記第1冷媒間熱交換器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、
前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1蒸発器から前記圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、
前記第3分岐部から前記圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、
を有し、
前記バイパス回路は、
前記第1分岐部から前記第3分岐部及び前記第4分岐部までの冷媒流路を構成し、
前記第1分岐部と前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、前記冷媒を減圧する第2絞り装置と、
前記低温側流路を前記バイパス回路の一部とする前記第1冷媒間熱交換器と、
前記低温側流路と前記第3分岐部及び前記第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路から流出する前記冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、
を有し、
前記第2分岐部は、
液流出管と、
ガス流出管と、
を有し、
前記液流出管は、
前記ガス流出管よりも下側に位置する前記冷媒の出口を形成し、
前記ガス流出管は、
前記冷媒の他の出口を形成し、前記液流出管よりも上側に配置されており、
前記第2分岐部の前記液流出管が形成された一方の前記出口は、前記第3分岐部と連通し、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が形成された他方の前記出口は、前記第4分岐部と連通しており、
前記第1冷媒間熱交換器は、
積層したプレートによって前記高温側流路と前記低温側流路とが交互に形成された本体部を有し、
前記本体部には、
前記高温側流路における
前記冷媒の入口である高温側流路入口と、
前記高温側流路における
前記冷媒の出口であって、前記第1分岐部に向かう
前記冷媒が流出する高温側流路出口と、
前記低温側流路における
前記冷媒の入口であって、前記第1分岐部から分岐され前記第2絞り装置を通過した
前記冷媒が流入する低温側流路入口と、
前記低温側流路における
前記冷媒の出口であって、前記第2分岐部に向かう
前記冷媒が流出する低温側流路出口と、
が形成されており、
前記高温側流路出口及び前記低温側流路入口は、
前記低温側流路出口よりも下側に形成されている冷凍サイクル装置。
【請求項2】
冷媒が流れるように配管接続された主回路と、
前記冷媒が流れるように配管接続され、前記主回路から分岐し前記主回路に合流するバイパス回路と、
を備え、
前記主回路は、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる前記冷媒同士を熱交換させ、前記高温側流路を前記主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、
前記冷媒を減圧する第1絞り装置と、
前記第1冷媒間熱交換器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、
前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1蒸発器から前記圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、
前記第3分岐部から前記圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、
を有し、
前記バイパス回路は、
前記第1分岐部から前記第3分岐部及び前記第4分岐部までの冷媒流路を構成し、
前記第1分岐部と前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、前記冷媒を減圧する第2絞り装置と、
前記低温側流路を前記バイパス回路の一部とする前記第1冷媒間熱交換器と、
前記低温側流路と前記第3分岐部及び前記第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路から流出する前記冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、
を有し、
前記第2分岐部は、
液流出管と、
ガス流出管と、
を有し、
前記液流出管は、
前記ガス流出管よりも下側に位置する前記冷媒の出口を形成し、
前記ガス流出管は、
前記冷媒の他の出口を形成し、前記液流出管よりも上側に配置されており、
前記第2分岐部の前記液流出管が形成された一方の前記出口は、前記第3分岐部と連通し、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が形成された他方の前記出口は、前記第4分岐部と連通しており、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が前記第4分岐部と接続され、前記第2分岐部の前記液流出管が前記第3分岐部と接続されている冷凍サイクル装置。
【請求項3】
冷媒が流れるように配管接続された主回路と、
前記冷媒が流れるように配管接続され、前記主回路から分岐し前記主回路に合流するバイパス回路と、
を備え、
前記主回路は、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる前記冷媒同士を熱交換させ、前記高温側流路を前記主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、
前記冷媒を減圧する第1絞り装置と、
前記第1冷媒間熱交換器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、
前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1蒸発器から前記圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、
前記第3分岐部から前記圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、
を有し、
前記バイパス回路は、
前記第1分岐部から前記第3分岐部及び前記第4分岐部までの冷媒流路を構成し、
前記第1分岐部と前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、前記冷媒を減圧する第2絞り装置と、
前記低温側流路を前記バイパス回路の一部とする前記第1冷媒間熱交換器と、
前記低温側流路と前記第3分岐部及び前記第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路から流出する前記冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、
を有し、
前記第2分岐部は、
液流出管と、
ガス流出管と、
を有し、
前記液流出管は、
前記ガス流出管よりも下側に位置する前記冷媒の出口を形成し、
前記ガス流出管は、
前記冷媒の他の出口を形成し、前記液流出管よりも上側に配置されており、
前記第2分岐部の前記液流出管が形成された一方の前記出口は、前記第3分岐部と連通し、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が形成された他方の前記出口は、前記第4分岐部と連通しており、
前記主回路において、前記第1絞り装置と前記第1蒸発器との間に設けられた第2凝縮器を更に有し、
前記主回路及び前記バイパス回路は、
冷房運転と暖房運転との混在運転が行われる冷媒回路として構成されており、冷房能力が暖房能力に対して大きい冷房主体運転が行われる場合に、
前記第1凝縮器は、室外熱交換器を構成し、
前記第2凝縮器は、暖房運転を行う室内熱交換器を構成し、
前記第1冷媒間熱交換器は、
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器との間に配置されている冷凍サイクル装置。
【請求項4】
冷媒が流れるように配管接続された主回路と、
前記冷媒が流れるように配管接続され、前記主回路から分岐し前記主回路に合流するバイパス回路と、
を備え、
前記主回路は、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる前記冷媒同士を熱交換させ、前記高温側流路を前記主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、
前記冷媒を減圧する第1絞り装置と、
前記第1冷媒間熱交換器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、
前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1蒸発器から前記圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、
前記第3分岐部から前記圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、
を有し、
前記バイパス回路は、
前記第1分岐部から前記第3分岐部及び前記第4分岐部までの冷媒流路を構成し、
前記第1分岐部と前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、前記冷媒を減圧する第2絞り装置と、
前記低温側流路を前記バイパス回路の一部とする前記第1冷媒間熱交換器と、
前記低温側流路と前記第3分岐部及び前記第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路から流出する前記冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、
を有し、
前記第2分岐部は、
液流出管と、
ガス流出管と、
を有し、
前記液流出管は、
前記ガス流出管よりも下側に位置する前記冷媒の出口を形成し、
前記ガス流出管は、
前記冷媒の他の出口を形成し、前記液流出管よりも上側に配置されており、
前記第2分岐部の前記液流出管が形成された一方の前記出口は、前記第3分岐部と連通し、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が形成された他方の前記出口は、前記第4分岐部と連通しており、
前記主回路及び前記バイパス回路は、
冷房運転と暖房運転との混在運転が行われる冷媒回路として構成されており、暖房能力が冷房能力に対して大きい暖房主体運転が行われる場合に、
前記第1凝縮器は、暖房運転を行う室内熱交換器を構成し、
前記第1蒸発器は、室外熱交換器を構成し、
前記第1凝縮器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に、前記冷媒を蒸発させる第2蒸発器を更に有する冷凍サイクル装置。
【請求項5】
冷媒が流れるように配管接続された主回路と、
前記冷媒が流れるように配管接続され、前記主回路から分岐し前記主回路に合流するバイパス回路と、
を備え、
前記主回路は、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる前記冷媒同士を熱交換させ、前記高温側流路を前記主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、
前記冷媒を減圧する第1絞り装置と、
前記第1冷媒間熱交換器から前記第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、
前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、
前記第1蒸発器から前記圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、
前記第3分岐部から前記圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、
を有し、
前記バイパス回路は、
前記第1分岐部から前記第3分岐部及び前記第4分岐部までの冷媒流路を構成し、
前記第1分岐部と前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、前記冷媒を減圧する第2絞り装置と、
前記低温側流路を前記バイパス回路の一部とする前記第1冷媒間熱交換器と、
前記低温側流路と前記第3分岐部及び前記第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒間熱交換器の前記低温側流路から流出する前記冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、
を有し、
前記第2分岐部は、
液流出管と、
ガス流出管と、
を有し、
前記液流出管は、
前記ガス流出管よりも下側に位置する前記冷媒の出口を形成し、
前記ガス流出管は、
前記冷媒の他の出口を形成し、前記液流出管よりも上側に配置されており、
前記第2分岐部の前記液流出管が形成された一方の前記出口は、前記第3分岐部と連通し、
前記第2分岐部の前記ガス流出管が形成された他方の前記出口は、前記第4分岐部と連通しており、
前記第2分岐部から前記第4分岐部までの冷媒流路に
前記冷媒を減圧する絞り装置が設けられた冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第2分岐部は、
容積型の気液分離装置である請求項1~5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記第3分岐部と前記第4分岐部の間に、容積型の冷媒タンクが設けられた請求項1~6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記圧縮機を2台有し、
2台の前記圧縮機は、
前記冷媒の流れる方向において直列状に接続されており、
前記第4分岐部は、
前記冷媒の流れる方向において前記第3分岐部よりも下流に位置する2台の前記圧縮機の間に設けられている請求項1~7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記圧縮機は、
前記圧縮機の圧縮室に
前記冷媒を注入するために形成された中間圧インジェクションポートを有し、
前記第4分岐部は、
前記中間圧インジェクションポートである請求項1~8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記第2分岐部の前記ガス流出管が前記第3分岐部と接続され、前記第2分岐部の前記液流出管が前記第4分岐部と接続されており、
前記冷媒は標準沸点の差が1℃以上である少なくとも2種類の冷媒を混合する非共沸混合冷媒
である請求項9に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記主回路の前記第1凝縮器から前記第1絞り装置までの間の流路を流れる
前記冷媒と、前記液流出管から前記第4分岐部までの流路を流れる
前記冷媒との間で熱交換が行われるように2つの冷媒流路が内部に形成された第2冷媒間熱交換器を更に有する請求項10に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
冷媒流路の流れを切り替える流路切替装置と、
前記流路切替装置を制御して、冷房運転と暖房運転と切り替える制御装置と、
を更に有し、
前記冷房運転及び前記暖房運転のいずれにおいても前記第1冷媒間熱交換器の前記高温側流路を流れる
前記冷媒の流れ方向において、前記第1冷媒間熱交換器は、前記第2冷媒間熱交換器に対して下流に位置するように設けられている請求項11に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記主回路及び前記バイパス回路を流れる前記冷媒は、
R32冷媒に対してガス密度の小さい冷媒であって、オレフィン系冷媒、エチレン系冷媒、エタン系冷媒、プロパン、及び、ジメチルエーテルのいずれか1つ以上を含む冷媒である請求項1~12のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍サイクル装置は熱交換器を有しており、熱交換器は、例えば室内機に搭載された凝縮器として機能する。冷凍サイクル装置において、熱交換器で凝縮された液冷媒は、絞り装置によって減圧され、ガス冷媒と液冷媒とが混在する気液二相状態となる。そして、気液二相状態の冷媒は、室外機に搭載された蒸発器として機能する熱交換器において気液二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発されて低圧のガス冷媒となる。この後、この熱交換器から送り出された低圧のガス冷媒は、圧縮機に流入し、圧縮機によって圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機から吐出される。冷凍サイクル装置は、このサイクルが繰り返される。
【0003】
ところで、このような冷凍サイクル装置において、冷媒が流れる主回路の冷媒圧損を低減しエネルギー効率の改善を図ることを目的として、凝縮器を出た冷媒の一部を蒸発器から圧縮機までの冷媒流路にバイパスさせる手段が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、バイパス回路を流れる気液二相冷媒又は液相冷媒が主回路を流れる主流に合流する。そのため、特許文献1の構成では、主回路の圧損低減のためにバイパス回路を流れる冷媒の流量を増大させると、液相冷媒が圧縮機に過剰に供給されて熱ロスを生じさせ、圧縮機に供給される液冷媒量が増大することで圧縮機性能が低下し、省エネ性が低下する。圧縮機性能の低下を防ぐ手段として、蒸発器から圧縮機までの冷媒流路に設けられる圧縮機の冷媒タンク又は冷媒間熱交換器を大型化することが考えられる。あるいは、圧縮機性能の低下を防ぐ手段として、冷媒流路を構成する冷媒配管を大径化することが考えられる。しかし、これらの手段は、機器の設置スペースが必要になるため、圧縮機性能と機器の設置に必要なスペースの確保との両立が困難である。
【0006】
本開示は上述のような課題を解決するためのものであり、圧縮機性能と機器の設置に必要なスペースの確保と、を両立させる冷凍サイクル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る冷凍サイクル装置は、冷媒が流れるように配管接続された主回路と、冷媒が流れるように配管接続され、主回路から分岐し主回路に合流するバイパス回路と、を備え、主回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、内部に形成された高温側流路と低温側流路とのそれぞれに流れる冷媒同士を熱交換させ、高温側流路を主回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、冷媒を減圧する第1絞り装置と、第1冷媒間熱交換器から第1絞り装置までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部と、冷媒を蒸発させる第1蒸発器と、第1蒸発器から圧縮機の吸入口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部と、第3分岐部から圧縮機の吐出口までの冷媒流路に設けられ、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部と、を有し、バイパス回路は、第1分岐部から第3分岐部及び第4分岐部までの冷媒流路を構成し、第1分岐部と第1冷媒間熱交換器の低温側流路との間の冷媒流路に設けられており、冷媒を減圧する第2絞り装置と、低温側流路をバイパス回路の一部とする第1冷媒間熱交換器と、低温側流路と第3分岐部及び第4分岐部との間の冷媒流路に設けられ、第1冷媒間熱交換器の低温側流路から流出する冷媒を2つに分岐させる第2分岐部と、を有し、第2分岐部は、液流出管と、ガス流出管と、を有し、液流出管は、ガス流出管よりも下側に位置する冷媒の出口を形成し、ガス流出管は、冷媒の他の出口を形成し、液流出管よりも上側に配置されており、第2分岐部の液流出管が形成された一方の出口は、第3分岐部と連通し、第2分岐部のガス流出管が形成された他方の出口は、第4分岐部と連通しており、第1冷媒間熱交換器は、積層したプレートによって高温側流路と低温側流路とが交互に形成された本体部を有し、本体部には、高温側流路における冷媒の入口である高温側流路入口と、高温側流路における冷媒の出口であって、第1分岐部に向かう冷媒が流出する高温側流路出口と、低温側流路における冷媒の入口であって、第1分岐部から分岐され第2絞り装置を通過した冷媒が流入する低温側流路入口と、低温側流路における冷媒の出口であって、第2分岐部に向かう冷媒が流出する低温側流路出口と、が形成されており、高温側流路出口及び低温側流路入口は、低温側流路出口よりも下側に形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷凍サイクル装置は、ガス流出管よりも下側に位置する冷媒の出口を形成する液流出管と冷媒の他の出口を形成し液流出管よりも上側に設けられたガス流出管とを有し冷媒を2つに分岐させる第2分岐部を有する。第2分岐部は、重力方向において上下に配置されたガス流出管と液流出管とを有することによって、気液二相状態の冷媒のうちガス主体冷媒をガス流出管に、ガス主体冷媒よりも乾き度が低い液主体冷媒を液流出管に分離する。冷凍サイクル装置は、この分離した冷媒をそれぞれ、蒸発器から圧縮機の吐出口までの主回路に供給することで、圧縮機の吸入口に液冷媒を過剰に供給することなくバイパス回路の冷媒流量を増加できる。そのため、冷凍サイクル装置は、機器を大型化することなく圧縮機性能を改善でき、圧縮機性能と機器の設置に必要なスペースの確保とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の第1の一例を示す冷媒回路図である。
【
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の冷媒流路の一部を省略した冷媒回路図である。
【
図3】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置に搭載される第1冷媒間熱交換器の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す第1冷媒間熱交換器に接続される第2分岐部の斜視図である。
【
図5】
図4の第2分岐部を流入管の流路断面側から見た一例の模式図である。
【
図6】第2分岐部おける冷媒の流れの説明に供し、第2分岐部の断面を模式的に示す断面図である。
【
図7】第2分岐部の第1の変形例を示す模式図である。
【
図8】第2分岐部の第2の変形例を示す模式図である。
【
図9】第2分岐部の第3の変形例を示す模式図である。
【
図10】第2分岐部の第4の変形例を示す模式図である。
【
図11】第2分岐部の第5の変形例を示す模式図である。
【
図12】第2分岐部の第6の変形例を示す模式図である。
【
図13】冷凍サイクル装置のバイパス流量比に対する省エネ性能比を概念的に比較したグラフである。
【
図14】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の第1の変形例を示す冷媒回路図である。
【
図15】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の第2の変形例を示す冷媒回路図である。
【
図16】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置を示す模式図である。
【
図17】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の変形例である。
【
図18】実施の形態3に係る冷凍サイクル装置を示す模式図である。
【
図19】第2分岐部おける冷媒の流れの説明に供し、第2分岐部の断面を模式的に示す断面図である。
【
図20】実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の第1の変形例を示す模式図である。
【
図21】実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の第2の変形例を示す模式図である。
【
図22】実施の形態4に係る冷凍サイクル装置を示す第1の模式図である。
【
図23】実施の形態4に係る冷凍サイクル装置を示す第2の模式図である。
【
図24】実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の第1の変形例を示す模式図である。
【
図25】実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の第2の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態に係る冷凍サイクル装置について図面等を参照しながら説明する。ここで、
図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。
【0011】
実施の形態1.
<冷凍サイクル装置200の構成>
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の第1の一例を示す冷媒回路図である。
図2は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の冷媒流路20の一部を省略した冷媒回路図である。
図1及び
図2では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。また、
図2では、見易さを考慮し、
図1の暖房運転時の冷媒流路20を省略して、冷房運転時の冷媒流路20を抜粋して示している。
【0012】
冷凍サイクル装置200は、例えば、冷蔵庫あるいは冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置及び給湯器等の、冷凍用途又は空調用途に使用される。
図1及び
図2に示すように、冷凍サイクル装置200は、室外機ユニット201と、室内機ユニット202と、を備えている。室外機ユニット201は、圧縮機14、流路切替装置15、室外熱交換器11、第1冷媒間熱交換器1、第1絞り装置21、第2絞り装置22、室外ファン13を備えている。室内機ユニット202は、室内熱交換器16及び室内ファン18を備えている。冷凍サイクル装置200は、冷房運転あるいは暖房運転等、冷凍サイクル装置200の運転状態を制御する制御装置210を有してもよい。
【0013】
また、冷凍サイクル装置200は、圧縮機14等の上述した各機器を接続して形成された冷媒流路20を有する。冷媒配管からなる冷媒流路20は、冷媒が流れる流路を形成する。冷媒流路20は、室外機ユニット201と室内機ユニット202との間で冷媒が移動できるように、室外機ユニット201と室内機ユニット202とが配管で接続されて形成されている。冷媒流路20は、冷媒が流れるように環状に配管接続された主回路20aと、冷媒が流れるように配管接続され、主回路20aを流れる冷媒が主回路20aから分岐して再び主回路20aに合流する流れを形成するバイパス回路20bとを有する。
【0014】
主回路20aは、圧縮機14と、第1凝縮器である室外熱交換器11と、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aと、第1絞り装置21と、及び、第1蒸発器である室内熱交換器16とを有し、これらの各機器は冷媒が流れるように配管接続されて形成されている。また、主回路20aは、少なくとも3分岐を形成する第1分岐部31と、少なくとも3分岐を形成する第3分岐部33と、少なくとも3分岐を形成する第4分岐部34とを有する。主回路20aは、
図1に示すように、圧縮機14と室外熱交換器11との間に流路切替装置15を有してもよい。
【0015】
バイパス回路20bは、主回路20aの第1冷媒間熱交換器1から第1絞り装置21までの冷媒流路20に設けられた第1分岐部31で分岐する。バイパス回路20bは、第1分岐部31から第3分岐部33及び第4分岐部34までの冷媒流路20を構成する。バイパス回路20bは、第1分岐部31、第2絞り装置22、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1b、第2分岐部32、第3絞り装置23、第4絞り装置24、並びに、主回路20aとの接続部分である第3分岐部33及び第4分岐部34に冷媒が流れるように配管接続されている。
【0016】
バイパス回路20bは、第2分岐部32によって分岐する第1分岐路20b1と第2分岐路20b2とを有する。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200では、第1分岐路20b1は、第2分岐部32の液流出管4と第3分岐部33とを接続する流路である。第1分岐路20b1には、第3絞り装置23が設けられている。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200では、第2分岐路20b2は、第2分岐部32のガス流出管5と第4分岐部34とを接続する流路である。第2分岐路20b2には、第4絞り装置24が設けられている。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200では、液流出管4が第3分岐部33と接続されており、また、ガス流出管5が第4分岐部34と接続されている。
【0017】
また、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、冷房運転と暖房運転とを切り替えても第1冷媒間熱交換器1の流れ方向が変わらないように、逆止弁42及び流路切替装置15を備えている。逆止弁42は、第1絞り装置21と室内熱交換器16との間の主回路20aと、室外熱交換器11と第1冷媒間熱交換器1との間の主回路20aとを接続する冷媒流路20に設けられている。逆止弁42は、一方向に冷媒を流す機器である。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、当該構成を有することによって、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aと低温側流路1bとが対向流となるため、第1冷媒間熱交換器1を大型化することなく冷媒同士の熱交換を図ることができる。
【0018】
圧縮機14は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温高圧の状態にして吐出する。圧縮機14で圧縮された冷媒は、吐出されて流路切替装置15へ送られる。圧縮機14は、例えば、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、又は、往復圧縮機等で構成される。
【0019】
流路切替装置15は、例えば四方弁であり、冷媒流路20において冷媒の流れる方向を切り替えるものである。流路切替装置15は、冷凍サイクル装置200において暖房運転時に冷媒が流れる方向と冷房運転時に冷媒が流れる方向とを切り替えるものである。流路切替装置15は、暖房運転時に、圧縮機14の吐出口14bと室外熱交換器11とを接続すると共に、圧縮機14の吸入口14aと室内熱交換器16とを接続するように冷媒の流れを切り替える。また、流路切替装置15は、冷房運転時に、圧縮機14の吐出口14bと室内熱交換器16とを接続すると共に、圧縮機14の吸入口14aと室外熱交換器11とを接続するように冷媒の流れを切り替える。
【0020】
室外熱交換器11は、暖房運転時には蒸発器の働きをし、内部に流入した冷媒と室外空気との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させて気化させる。室外熱交換器11は、冷房運転時には凝縮器の働きをし、内部に流入した冷媒と室外空気との間で熱交換を行い、冷媒を凝縮させて液化させる。室外熱交換器11は、冷媒と室外空気との間の熱交換の効率を高めるために、室外ファン13が室外熱交換器11に隣接して配置される。なお、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室外熱交換器11は、第1凝縮器を構成する。
【0021】
室内熱交換器16は、暖房運転時には凝縮器の働きをし、内部に流入した冷媒と室内気との間で熱交換を行い、冷媒を凝縮させて液化させる。室内熱交換器16は、冷房運転時には蒸発器の働きをし、内部に流入した冷媒と室内空気との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させて気化させる。室内熱交換器16は、冷媒と室外空気との間の熱交換の効率を高めるために、室内ファン18が室内熱交換器16に隣接して配置される。なお、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室内熱交換器16は、第1蒸発器を構成する。
【0022】
室外熱交換器11及び室内熱交換器16は、冷媒流路20を流れる冷媒と、管外を流れる空気等の熱輸送媒体との間で熱を授受する熱交換器として機能するものである。室外熱交換器11及び室内熱交換器16は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、ヒートパイプ式熱交換器、二重管式熱交換器、又はプレート式熱交換器等で構成される。
【0023】
室外ファン13は、室外熱交換器11に空気等の熱交換流体を供給するものであり、室内ファン18は、室内熱交換器16に空気等の熱交換流体を供給するものである。室外ファン13及び室内ファン18は、作動流体、及び、流量あるいは静圧等の作動条件から、プロペラファン、ラインフローファン(登録商標)、多翼遠心ファン、又は水ポンプ等で構成される。
【0024】
第1冷媒間熱交換器1は、内部に高温の冷媒が流れる高温側流路1aと、高温側流路1aを流れる冷媒よりも低温な冷媒が流れる低温側流路1bとを形成する。第1冷媒間熱交換器1は、高温側流路1aを流れる冷媒と、低温側流路1bを流れる冷媒との間で熱交換を行う。高温側流路1aは、主回路20aの一部を構成し、低温側流路1bは、バイパス回路20bの一部を構成する。第1冷媒間熱交換器1の詳細な構成は後述する。
【0025】
第1分岐部31は、少なくとも3方向に分岐する分岐管であり、冷媒流路20において主回路20aとバイパス回路20bとを分岐する部分である。第1分岐部31は、主回路20aの一部を構成し、主回路20aを流れる冷媒を、バイパス回路20bに分流させる部分である。第1分岐部31は、主回路20aにおいて第1冷媒間熱交換器1から第1絞り装置21までの冷媒流路20に設けられている。
【0026】
第2分岐部32は、低温側流路1bと第3分岐部33及び第4分岐部34との間の冷媒流路20に設けられている。第2分岐部32は、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bから流出する冷媒を2つに分岐させる。第2分岐部32は、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路出口54(
図3参照)に接続するように設けられている。第2分岐部32は、液流出管4と、ガス流出管5とを有する。液流出管4は、重力方向において、ガス流出管5よりも下側に位置する冷媒の出口を形成する。ガス流出管5は、冷媒の他の出口を形成し、重力方向において、液流出管4よりも上側に配置されている。第2分岐部32の一方の出口は、第3分岐部33と連通し、第2分岐部32の他方の出口は、第4分岐部34と連通する。第2分岐部32の詳細な構成は後述する。
【0027】
第3分岐部33は、少なくとも3方向に分岐する分岐管であり、冷媒流路20において、バイパス回路20bと、主回路20aとを接続する部分である。第3分岐部33は、主回路20aの一部を構成し、バイパス回路20bを流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。第3分岐部33は、第1蒸発器である室内熱交換器16から圧縮機14の吸入口14aまでの主回路20aに設けられており第2分岐部32の一方の出口と連通する。なお、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室内熱交換器16と圧縮機14との間では、第3分岐部33は、第4分岐部34に対して上流側に位置するように設けられている。
【0028】
実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第3分岐部33は、バイパス回路20bの第1分岐路20b1と、主回路20aとを接続する部分であり、バイパス回路20bの第1分岐路20b1を流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第3分岐部33と圧縮機14との間に第4分岐部34が配置されている。また、実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室内熱交換器16と圧縮機14との間では、第3分岐部33は、冷媒タンク6の上流側に位置するように設けられている。
【0029】
第4分岐部34は、少なくとも3方向に分岐する分岐管であり、冷媒流路20において、バイパス回路20bと、主回路20aとを接続する部分である。第4分岐部34は、主回路20aの一部を構成し、バイパス回路20bを流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。第4分岐部34は、第3分岐部33から圧縮機14の吐出口14bまでの主回路20aに設けられており第2分岐部32の他方の出口と連通する。なお、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室内熱交換器16と圧縮機14との間では、第4分岐部34は、第3分岐部33に対して下流側に位置するように設けられている。
【0030】
実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第4分岐部34は、バイパス回路20bの第2分岐路20b2と、主回路20aとを接続する部分であり、バイパス回路20bの第2分岐路20b2を流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第4分岐部34は圧縮機14と第3分岐部33との間に配置されている。また、実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、
図1及び
図2に示すように、実線矢印で示す冷房運転時の冷媒の流れ方向において、室内熱交換器16と圧縮機14との間では、第4分岐部34は、冷媒タンク6の下流側に位置するように設けられている。
【0031】
第1絞り装置21及び第2絞り装置22は、減圧弁、あるいは、膨張弁としての機能を有し、冷媒を膨張させて減圧するものである。第1絞り装置21及び第2絞り装置22は、例えば冷媒の流量を調整可能な電動膨張弁で構成される。なお、第1絞り装置21及び第2絞り装置22は、電動膨張弁に限定されるものではなく、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又は、キャピラリーチューブ等で構成されてもよい。
【0032】
第1絞り装置21は、主回路20aに設けられており、第1分岐部31と室内熱交換器16との間の冷媒流路20に設けられている。第2絞り装置22は、バイパス回路20bに設けられており、第1分岐部31と第1冷媒間熱交換器1の低温側流路入口53(
図3参照)との間の冷媒流路20に設けられている。
【0033】
第3絞り装置23及び第4絞り装置24は、減圧弁、あるいは、膨張弁としての機能を有し、冷媒を膨張させて減圧するものである。第3絞り装置23及び第4絞り装置24は、例えば冷媒の流量を調整可能な電動膨張弁で構成される。なお、第3絞り装置23及び第4絞り装置24は、電動膨張弁に限定されるものではなく、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又は、キャピラリーチューブ等で構成されてもよい。
【0034】
なお、実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第3絞り装置23は、バイパス回路20bの第1分岐路20b1に設けられており、第2分岐部32の液流出管4と第3分岐部33との間の冷媒流路20に設けられている。また、実施の形態1の冷凍サイクル装置200では、第4絞り装置24は、バイパス回路20bの第2分岐路20b2に設けられており、第2分岐部32のガス流出管5と第4分岐部34との間の冷媒流路20に設けられている。
【0035】
冷媒タンク6は、容積型のタンクである。容積型のタンクとは、冷媒流路20を構成する冷媒配管よりもタンクの内径が大きいタンクである。冷媒タンク6は、冷媒タンク6の外部から内部に流入する気液二相冷媒を分離してガス主体冷媒を排出する。冷媒タンク6は、余剰冷媒を貯留する冷媒貯留機能と、運転状態が変化する際に一時的に発生する液冷媒を滞留させることによる気液分離機能とを有している。冷凍サイクル装置200は、冷媒タンク6の気液分離機能によって圧縮機14で液圧縮が行われることを防ぐことができる。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200において、冷媒タンク6は、第3分岐部33と第4分岐部34との間に設けられている。
【0036】
冷凍サイクル装置200は、冷媒タンク6を有し、液冷媒を滞留させることができる。すなわち、冷凍サイクル装置200は、冷媒流路20を構成する冷媒配管よりもタンクの内径が大きい構造を有することによって、液冷媒を滞留させることができる。そのため、冷媒タンク6は、冷媒タンク6に流入する液主体冷媒を液相成分が少ないクオリティの高い冷媒として排出可能である。冷凍サイクル装置200は、冷媒タンク6を有することによって、圧縮機14にガス主体冷媒を供給すると共に、圧縮機14への液冷媒の混入を抑制することができる。冷媒タンク6は、圧縮機14にガス主体冷媒を供給すると共に、圧縮機14への液冷媒の混入を抑制することができるため、冷凍サイクル装置200を、高性能化することができる。
【0037】
制御装置210は、冷房運転あるいは暖房運転等、冷凍サイクル装置200の動作全体の運転状態を制御する。制御装置210は、流路切替装置15を制御してもよく、冷媒流路20において冷媒の流れる方向を切り替える。また、制御装置210は、圧縮機14を制御してもよく、例えば、圧縮された冷媒の吐出量を制御してもよい。また、制御装置210は、室外ファン13及び室内ファン18の回転量を制御してもよい。また、制御装置210は、第1絞り装置21、第2絞り装置22、第3絞り装置23、及び、第4絞り装置24の開度を調整してもよい。
【0038】
制御装置210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心とするコンピュータ等の制御演算処理を行う装置で構成されている。制御装置210は、記憶部(図示は省略)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。ただし、制御装置210は、これに限定するものではなく、各部を別個に専用機器(ハードウェア)で構成してもよい。
【0039】
<冷凍サイクル装置200の動作>
次に、冷凍サイクル装置200の動作について、冷媒の流れと共に説明する。まず、冷凍サイクル装置200が実行する冷房運転について説明する。なお、冷房運転時の冷媒の流れは、
図1及び
図2に実線矢印で示されている。ここでは、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、冷凍サイクル装置200の動作について説明する。
【0040】
冷凍サイクル装置200は、圧縮機14を駆動させることによって、圧縮機14から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。冷凍サイクル装置200は、実線矢印にしたがって冷媒流路20に冷媒が流れる。圧縮機14から吐出された高温高圧のガス冷媒(単相)は、流路切替装置15を介して第1凝縮器として機能する室外熱交換器11に流入する。
【0041】
室外熱交換器11では、室外熱交換器11の内部に流入した高温高圧のガス冷媒と、室外ファン13によって供給される空気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器11で熱交換された冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒(単相)になり、もしくは気液二相冷媒になる。
【0042】
第1凝縮器である室外熱交換器11から送り出された高圧の液冷媒は、第1冷媒間熱交換器1に流入し、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aを流れる。第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aを流れる冷媒は、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bを流れる冷媒と熱交換して冷却され高圧の液冷媒(単相)となり、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aから流出する。
【0043】
第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aから流出した冷媒は、第1分岐部31を介して一部が第1絞り装置21へ流入して主回路20aを流れ、残りが第2絞り装置22へ流入してバイパス回路20bを流れる。
【0044】
主回路20aにおいて、第1絞り装置21を介して減圧された低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒は、第1蒸発器として機能する室内熱交換器16に流入する。室内熱交換器16では、室内熱交換器16内に流入した二相状態の冷媒と、室内ファン18によって供給される空気との間で熱交換が行われ、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。この熱交換により、冷媒と熱交換された空気が室内に供給されることによって、室内が冷却されることになる。
【0045】
一方、バイパス回路20bにおいて、第2絞り装置22を介して減圧された中圧の液冷媒(単相)もしくは液主体の気液二相冷媒は、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bに流入し、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bを流れる。第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bを流れる冷媒は、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aを流れる冷媒と熱交換して中圧の気液二相冷媒になり、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bから流出する。
【0046】
第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bから流出した中圧の気液二相冷媒は、第2分岐部32へ流入する。第2分岐部32に流入した気液二相状態の冷媒は、より液主体成分が多い液主体冷媒61(
図6参照)と、よりガス成分が多いガス主体冷媒62(
図6参照)とに分離する。液主体冷媒61は、第2分岐部32の液流出管4を流れ、ガス主体冷媒62は、第2分岐部32のガス流出管5を流れる。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200においては、液流出管4から第3分岐部33へ液主体冷媒61が流れ、ガス流出管5から第4分岐部34へガス主体冷媒62が流れる。
【0047】
主回路20aに設けられた室内熱交換器16から流出した低圧のガス冷媒は、流路切替装置15を介して圧縮機14で圧縮されて高温高圧のガス冷媒となるまでに、第3分岐部33で液主体冷媒61と合流する。また、第3分岐部33で液主体冷媒61と合流した主回路20aを流れる冷媒は、その後第4分岐部34でガス主体冷媒62と合流する。室内熱交換器16から流出し、第3分岐部33で液主体冷媒61と合流し、その後第4分岐部34でガス主体冷媒62と合流した冷媒は、圧縮機14に流入し再び圧縮機14で圧縮され吐出される。以下、冷凍サイクル装置200では、このサイクルが繰り返される。
【0048】
一般に、上述した冷房運転あるいは暖房運転の際、冷媒が液状態で圧縮機に流入すると、圧縮機では液圧縮を起こし、圧縮機の故障の原因となってしまう。冷凍サイクル装置200の制御装置210は、第4絞り装置24を制御し、起動時には第4絞り装置24を閉じた状態にし、一定時間経過後に第4絞り装置24を開いた状態にする。第4絞り装置24は、第2分岐部32から第4分岐部34までに冷媒流路20に設けられている。制御装置210によるこのような制御は、停止時の室外熱交換器11及び第1冷媒間熱交換器1に存在していた液冷媒が圧縮機14へ直接供給されることを防ぐことができるため望ましい。
【0049】
<第2分岐部32について>
図3は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200に搭載される第1冷媒間熱交換器1の一例を示す斜視図である。
図3を用いて実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200に用いられる第1冷媒間熱交換器1及び第2分岐部32について説明する。なお、
図3を含む以下の図面において、実線矢印及び破線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、白抜矢印は、重力方向100を表している。
【0050】
図3に示すように、第2分岐部32は、直接又は他の配管を介して第1冷媒間熱交換器1に接続される。まず、第2分岐部32が接続される第1冷媒間熱交換器1について説明する。第1冷媒間熱交換器1は、例えば、プレート式熱交換器である。
【0051】
第1冷媒間熱交換器1は、複数の伝熱プレート1cが積層されて形成された本体部1dを有する。本体部1dの内部には、高温の冷媒が流れる高温側流路1aと、高温側流路1aを流れる冷媒よりも低温な冷媒が流れる低温側流路1bとが形成されている。第1冷媒間熱交換器1には、本体部1dの内部において、少なくとも高温側流路1aを流れる冷媒と低温側流路1bを流れる冷媒とが分離して流れるように、高温側流路1aと低温側流路1bとが形成されている。
【0052】
本体部1dは、高温側流路1aと、低温側流路1bとが複数の伝熱プレート1cの各伝熱プレート1cを境にして交互に形成されている。第1冷媒間熱交換器1は、高温側流路1aを流れる冷媒と、低温側流路1bを流れる冷媒との間で熱交換を行う。なお、第1冷媒間熱交換器1は、高温側流路1aを流れる冷媒と、低温側流路1bを流れる冷媒との間で熱交換を行う熱交換器であればよくプレート式熱交換器に限定するものではない。
【0053】
本体部1dには、冷媒RFが本体部1dの内部に流入する際に通過する高温側流路入口51及び低温側流路入口53が形成されている。また、本体部1dには、冷媒RFが本体部1dの内部から流出する際に通過する高温側流路出口52及び低温側流路出口54と、が形成されている。高温側流路入口51及び高温側流路出口52は、高温側流路1aの入口及び出口を形成する。また、低温側流路入口53及び低温側流路出口54は、低温側流路1bの入口及び出口を形成する。
【0054】
高温側流路入口51は、高温側流路1aにおける冷媒の入口であって、第1冷媒間熱交換器1への冷媒の入口となる。高温側流路出口52は、高温側流路1aにおける冷媒の出口であって、第1分岐部31に向かう冷媒が流出する冷媒の出口となる。低温側流路入口53は、低温側流路1bにおける冷媒の入口であって、第1分岐部31から分岐され第2絞り装置22を通過した冷媒が流入する冷媒の入口である。低温側流路出口54は、低温側流路1bにおける冷媒の出口であって、第2分岐部32に向かう冷媒が流出する冷媒の出口である。
【0055】
高温側流路出口52及び低温側流路入口53は、低温側流路出口54よりも下側に形成されている。すなわち、第1分岐部31に接続する第1冷媒間熱交換器1の出口側の冷媒流路20と、第2絞り装置22に接続する第1冷媒間熱交換器1の入口側の冷媒流路20とが、共に第2分岐部32と接続する第1冷媒間熱交換器1の出口側の冷媒流路20よりも下側に設けられている。
【0056】
冷媒RFは、第1凝縮器である室外熱交換器11から第1冷媒間熱交換器1に供給される。室外熱交換器11から第1冷媒間熱交換器1に供給される冷媒RFは、高温側流路入口51から本体部1dの内部に流入し、本体部1dに形成された高温側流路1aを通り、高温側流路出口52から本体部1dの外部に流出する。
【0057】
その後、冷媒RFは、第1分岐部31で分岐され、一部の冷媒RFは主回路20aを流れて第1絞り装置21に流入し、一部の冷媒RFはバイパス回路20bを流れて第2絞り装置22に流入する。
【0058】
バイパス回路20bを流れる冷媒は、第2絞り装置22を流出した後、低温側流路入口53から本体部1dの内部に流入し、本体部1dに形成された低温側流路1bを通り、低温側流路出口54から本体部1dの外部に流出する。この際、第1冷媒間熱交換器1は、低温側流路1bを流れる冷媒と、高温側流路1aを流れる冷媒との間で熱交換が行われる。そして、低温側流路出口54から流出した冷媒RFは、第2分岐部32へ流入する。
【0059】
図3に示すように第1冷媒間熱交換器1が、高温側流路1aと低温側流路1bとが交互に積層してなるプレート型熱交換器である場合、高温側流路出口52、低温側流路入口53及び低温側流路出口54の位置関係は次のようにするとよい。第1冷媒間熱交換器1は、上述したように、重力方向100において、高温側流路出口52及び低温側流路入口53が共に低温側流路出口54よりも下方に形成されることが望ましい。第1冷媒間熱交換器1は、当該構成によって、重力により低温側流路出口54から低温側流路入口53へ液冷媒が落下しやすくなり、液冷媒が第2分岐部32へ流入することを防ぐことができ、気液分離効果が向上する。
【0060】
図4は、
図3に示す第1冷媒間熱交換器1に接続される第2分岐部32の斜視図である。
図5は、
図4の第2分岐部32を流入管3の流路断面側から見た一例の模式図である。なお、
図5に示す第2分岐部32は、重力方向100に垂直な水平方向であって、
図4に示す垂線101の方向に第2分岐部32を見た場合の模式図である。
【0061】
図4及び
図5に示すように、第2分岐部32は、分岐管であり、流入管3と、液流出管4と、ガス流出管5とを有する。第2分岐部32は、例えば、2分岐管であり、T字管である。なお、第2分岐部32は、少なくとも冷媒RFを2分岐するものであればよく、T字管に限定されるものではない。
【0062】
流入管3は、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bを通過して低温側流路出口54から流出した冷媒RFが流入する管である。流入管3は、直接又は他の配管を介して低温側流路出口54に接続される。液流出管4及びガス流出管5は、流入管3から流入した冷媒RFが分岐されて流れる管である。第2分岐部32は、流入管3の端部が冷媒RFの流入口3aを形成し、液流出管4の端部が冷媒の流出口4aを形成し、また、ガス流出管5の端部が冷媒の流出口5aを形成する。
【0063】
図4に示すように、液流出管4は、重力方向100においてガス流出管5よりも下側に冷媒の出口を形成する管であり、ガス流出管5は液流出管4よりも重力方向において上側に冷媒の出口を形成する管である。第2分岐部32は、重力方向100において、ガス流出管5が液流出管4に対して上側に配置され、液流出管4がガス流出管5に対して下側に配置されるように形成される。
【0064】
図5に示すように、第2分岐部32は、重力方向100に垂直な水平面102であって、流入管3の流路断面の中心3bを含む水平面102に対して、少なくとも1つの流出管を下側に設け、もしくは、少なくとも一つの流出管を上側に設けるとよい。第2分岐部32は、液流出管4を水平面102に対して下側に設け、また、ガス流出管5を水平面102に対して上側に設けるとよい。
図5に示すように、液流出管4の管軸方向、あるいは、ガス流出管5の管軸方向は水平面102に対して傾いてもよい。
【0065】
なお、
図3では、第2分岐部32の流入管3は、直管状に形成されており、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路出口54に接続されている。しかし、第2分岐部32は、当該構成に限定されるものではなく、液流出管4のガス流出管5に対する相対的な位置関係が下側である限り、曲がり管を備えていてもよく、また異なる分岐流路を備えてもよい。
【0066】
図6は、第2分岐部32おける冷媒の流れの説明に供し、第2分岐部32の断面を模式的に示す断面図である。
図6は、第2分岐部32の管軸方向に沿った縦断面図であり、
図5のA-A線位置の第2分岐部32の断面図である。
図6に示す冷媒流GRFは、ガス主体冷媒62の流れを示し、冷媒流LRFは、液主体冷媒61の流れを示している。
図6を用いて、第2分岐部32における冷媒RFの流れについて説明する。
【0067】
第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bを通過して低温側流路出口54から流出した冷媒RFは、流入管3の流入口3aから流入する。流入管3から流入した冷媒RFは、液流出管4及びガス流出管5によって分岐され、液流出管4の流出口4a及びガス流出管5の流出口5aから流出する。
【0068】
流入管3から流入した気液二相の冷媒RFは、第2分岐部32において、液主体冷媒61が重力の影響を受けてガス流出管5よりも下側に配置された液流出管4へ向かうように分流される。液主体冷媒61は、密度が比較的大きい液冷媒63が多く含まれる冷媒である。
【0069】
また、流入管3から流入した気液二相の冷媒RFは、第2分岐部32において、ガス主体冷媒62が浮力により液流出管4よりも上側に配置されたガス流出管5へ向かうように分流される。ガス主体冷媒62は、密度が比較的小さいガス冷媒64が液冷媒63よりも多く含まれる冷媒である。
【0070】
図7は、第2分岐部32の第1の変形例を示す模式図である。
図8は、第2分岐部32の第2の変形例を示す模式図である。第2分岐部32は、
図4に示したように、液流出管4とガス流出管5とが一体に形成され、直管状に形成された液流出管4とガス流出管5とが重力方向100に伸びるように形成された構成に限定されるものではない。第2分岐部32は、
図7及び
図8に示すように、直管状に形成された液流出管4とガス流出管5とが重力方向100に対して傾斜するように形成されてもよい。
【0071】
図7に示すように、第2分岐部32は、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向において、ガス流出管5を流れる冷媒の流れる方向が、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向とは逆方向の成分を有するように形成されてもよい。また、第2分岐部32は、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向において、液流出管4を流れる冷媒の流れる方向が、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向と同じ方向の成分を有するように形成されてもよい。
【0072】
図8に示すように、第2分岐部32は、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向において、液流出管4を流れる冷媒の流れる方向が、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向とは逆方向の成分を有するように形成されてもよい。また、第2分岐部32は、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向において、ガス流出管5を流れる冷媒の流れる方向が、流入管3を流れる冷媒RFの流れる方向と同じ方向の成分を有するように形成されてもよい。
【0073】
図9は、第2分岐部32の第3の変形例を示す模式図である。第2分岐部32は、
図4に示したように、液流出管4とガス流出管5とが一体に形成され、液流出管4とガス流出管5とが直管状に形成された構成に限定されるものではない。第2分岐部32は、
図9に示すように、流入管3とガス流出管5とが一体に形成され、流入管3とガス流出管5とが直管状に形成されてもよい。液流出管4は、直管状に形成された流入管3とガス流出管5に接続され、直管状に形成された流入管3及びガス流出管5から下方に伸びるように形成されている。液流出管4の流出口4aは下方に向いている。
【0074】
図10は、第2分岐部32の第4の変形例を示す模式図である。第2分岐部32は、
図4に示したように、液流出管4とガス流出管5とが一体に形成され、液流出管4とガス流出管5とが直管状に形成された構成に限定されるものではない。第2分岐部32は、
図10に示すように、流入管3と液流出管4とが一体に形成され、流入管3と液流出管4とが直管状に形成されてもよい。ガス流出管5は、直管状に形成された流入管3と液流出管4に接続され、直管状に形成された流入管3及び液流出管4から上方に伸びるように形成されている。ガス流出管5の流出口5aは上方に向いている。
【0075】
図11は、第2分岐部32の第5の変形例を示す模式図である。第2分岐部32は、上述したT字形状の管に限定されるものではなく、
図11に示すように、Y字形状に形成されてもよい。また、第2分岐部32は、
図11に示すように、液流出管4及びガス流出管5の部分がU字形状に形成されてもよい。
【0076】
図12は、第2分岐部32の第6の変形例を示す模式図である。
図12示す第6の変形例の第2分岐部32は、重力方向100に対する垂直断面となる第2分岐部32の一部の流路断面の径R1が、液流出管4及びガス流出管5の径R2よりも大きくなる部分を有するように構成されてもよい。
【0077】
例えば、
図12に示すように、第6の変形例の第2分岐部32は、液流出管4とガス流出管5との間に拡大部8を有している。拡大部8は、円柱状に形成されており、内部に空間Vが形成されている。拡大部8は、本体部8aと、2つの蓋部8bとを有している。
【0078】
本体部8aは、筒状に形成された部材である。第2分岐部32の本体部8aは、管軸8cが重力方向100となるように設置されることが望ましい。なお、本体部8aは、管軸8cが重力方向100に対して傾いてもよいが、少なくとも管軸8cは、重力方向100のベクトル成分を有する範囲で傾いた状態で設置される。
【0079】
本体部8aには、流入管3が接続されている。また、本体部8aには、貫通孔8dが形成されている。貫通孔8dは、本体部8aを貫通する穴である。流入管3は、貫通孔8dを形成する部分に接続されている。第2分岐部32は、貫通孔8dによって、流入管3の管内空間と、拡大部8の内部の空間Vとが連通するように形成されている。
【0080】
2つの蓋部8bは、本体部8aの内部に空間Vを形成するように、本体部8aの管軸8c方向の両端部を閉塞する。2つの蓋部8bは、それぞれ板状に形成されている。2つの蓋部8bにはそれぞれ開口部8b1が形成されている。開口部8b1は、蓋部8bを貫通する孔である。重力方向100において、上側の蓋部8bの開口部8b1を形成する部分にはガス流出管5が接続されており、下側の蓋部8bの開口部8b1を形成する部分には液流出管4が接続されている。すなわち、第2分岐部32において、ガス流出管5は拡大部8から上側に伸びており、液流出管4は拡大部8から下側に伸びている。
【0081】
第2分岐部32は、上側の蓋部8bの開口部8b1によって、ガス流出管5の管内空間と、本体部8aの内部の空間Vとが連通するように形成されている。また、第2分岐部32は、下側の蓋部8bの開口部8b1によって、液流出管4の管内空間と、本体部8aの内部の空間Vとが連通するように形成されている。
【0082】
第2分岐部32は、拡大部8の流路断面の径R1が、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の径R2よりも大きくなるように形成されている。拡大部8の流路断面の径R1は、拡大部8の内径であり、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の径R2は、液流出管4の内径であり、ガス流出管5の内径である。
【0083】
なお、
図12では、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の直径は、それぞれ径R2であって、同じ大きさであるが、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の直径は、異なる大きさであってもよい。ただし、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の直径は、拡大部8の流路断面の直径よりも小さい。すなわち、拡大部8の流路断面の直径は、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の直径よりも大きい。
【0084】
また、第2分岐部32は、拡大部8の流路断面の径R1が、流入管3の流路断面の径R3よりも大きくなるように形成されている。なお、流入管3の流路断面の径R3は、流入管3の内径である。
【0085】
第6の変形例の第2分岐部32は、拡大部8の流路断面の直径が、液流出管4及びガス流出管5の流路断面の直径よりも大きい。また、第6の変形例の第2分岐部32は、拡大部8の流路断面の直径が、流入管3の流路断面の直径よりも大きくなるように形成されている。第6の変形例の第2分岐部32は、当該構成を有することによって、容積型の気液分離装置とすることができ、当該構成を有しない場合と比較して気液分離効果を大きくすることができる。容積型の気液分離装置とは、第2分岐部32において、流入管3、液流出管4及びびガス流出管5等の出入口配管よりも配管径が大きい構造部分を有する気液分離装置である。第6の変形例の第2分岐部32において、流入管3、液流出管4及びびガス流出管5等の出入口配管よりも配管径が大きい構造部分は、拡大部8である。
【0086】
第6の変形例の第2分岐部32は、拡大部8を有することによって、液主体冷媒とガス主体冷媒との分離の向上を図ることができる。より詳細には、流入管3から拡大部8に入った冷媒は、流入管3よりも断面積の大きい拡大部8に入って流速が低下すると共に、気液二相混合の冷媒が拡大部8の内壁等に衝突する。流速が低下して拡大部8の内壁等に衝突した冷媒は、液相成分が落下して液流出管4から第2分岐部32の外部に流出し、残る気相成分は、液流出管4よりも上に配置されたガス流出管5から流出するように分離される。
【0087】
流路の断面積が大きくなって流速が遅くなると、気液二相の混合冷媒は、気液が混合して同じ方向に流れようとする慣性力よりも他の力、ここでは重力の影響が大きくなって上下別方向に分離しやすくなる。
【0088】
また、第6の変形例の第2分岐部32は、冷媒の気相と液相との分離に関して、重力による分離と共に、拡大部8において冷媒を旋回させることによって、遠心力による冷媒の気相と液相との分離を利用できる。
【0089】
また、第6の変形例の第2分岐部32は、拡大部8は、流入管3、液流出管4及びびガス流出管5よりも内径が大きく、流入管3、液流出管4及びびガス流出管5よりも表面積が大きい。第6の変形例の第2分岐部32は、冷媒の気相と液相との分離に関して、重力による分離と共に、流入管3、液流出管4及びびガス流出管5よりも表面積が大きい拡大部8の表面張力等を利用することができる。
【0090】
冷凍サイクル装置200は、第3分岐部33よりも圧縮機14により近い位置で合流する第4分岐部34へガス主体冷媒を供給することによって圧縮機14への液冷媒の混入を抑制し、冷凍サイクル装置200を高性能化する。
【0091】
<実施の形態1の効果>
以上、説明したように、本実施の形態1の冷凍サイクル装置200は、バイパス回路20bを流れる冷媒が第2分岐部32で液主体冷媒61とガス主体冷媒62とに分流するように構成されている。そして、冷凍サイクル装置200は、バイパス回路20bにおいて分流した冷媒が、主回路20aの第3分岐部33と第4分岐部34とにおいて、それぞれ主回路20aを流れる主流と合流させる構成である。
図1及び
図2に示す実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、第3分岐部33と第4分岐部34との間に冷媒タンク6が設けられている。冷凍サイクル装置は、第3分岐部33において液主体冷媒61と合流した冷媒を冷媒タンク6で相分離し、冷媒タンク6から流出した冷媒が第4分岐部34でガス主体冷媒62と合流して圧縮機14に供給される。
【0092】
冷凍サイクル装置200は、ガス流出管5よりも下側の冷媒の出口を形成する液流出管4と、冷媒の他の出口を形成し液流出管4よりも上側に設けられたガス流出管5とを有し冷媒を2つに分岐させる第2分岐部32を有する。第2分岐部32は、重力方向で上下に配置されたガス流出管5と液流出管4とを有し、気液二相状態の冷媒のうちガス主体冷媒62をガス流出管5に、ガス主体冷媒62よりも乾き度が低い液主体冷媒61を液流出管4に分離する。冷凍サイクル装置200は、この分離した冷媒をそれぞれ、第1蒸発器である室内熱交換器16から圧縮機14の吐出口14bまでの主回路20aに供給する。そのため、冷凍サイクル装置200は、圧縮機14の吸入口14aに液冷媒を過剰に供給することなくバイパス回路20bの冷媒流量を増加できる。そのため、冷凍サイクル装置200は、機器を大型化することなく圧縮機性能及び省エネ性能を改善でき、圧縮機性能及び省エネ性能と機器の設置に必要なスペースの確保とを両立できる。
【0093】
図13は、冷凍サイクル装置のバイパス流量比に対する省エネ性能比を概念的に比較したグラフである。
図13の横軸はバイパス流量比を示し、縦軸はバイパスがない運転に対する省エネ性能比を示している。なお、バイパス流量比は、主流量に対するバイパス流量を示している。主流量は、主回路20aを流れる冷媒の流量であり、バイパス流量は、バイパス回路20bを流れる冷媒の流量である。冷凍サイクル装置は、バイパス流量比が50%に近づくほど圧縮機の性能が低下し、バイパス流量比が0%に近づくほど圧力損失が増大する。
【0094】
図13の実線は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の性能改善効果を示すものである。
図13の破線は、第2分岐部32において気液分離しない従来の冷凍サイクル装置であって、機器サイズが同等で構成した場合の冷凍サイクル装置の性能を示すものである。
【0095】
図13を用いて実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の効果を説明する。一般に、圧縮機に液主体冷媒が流入すると、圧縮機は液圧縮を起こして、圧縮機の性能が低下し、機器の故障の原因になる。そこで、圧縮機に供給される冷媒を十分に相分離するために、圧縮機の吸入側に接続する冷媒タンクを大型化する場合がある。
【0096】
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200では、第4分岐部34においてガス主体冷媒62と合流する。また、冷凍サイクル装置200は、第2分岐部32で液主体冷媒61とガス主体冷媒62とを分離し、液主体冷媒61側を冷媒タンク6に通すことで液冷媒を取り除いてから第4分岐部34でガス主体冷媒62と合流するようにしている。そのため、冷凍サイクル装置200は、冷媒タンク6において排出される液冷媒あたりの圧縮機14に供給される冷媒の液流量が低減し、冷媒タンク6を大型化する必要がない。また、冷凍サイクル装置200は、バイパス回路20bを流れる冷媒の流量を向上させ、主回路20aを流れる冷媒による圧力損失を低減して性能改善を図ることができる。
【0097】
また、第3分岐部33よりも第4分岐部34が下流にある限り、第3分岐部33と第4分岐部34との間に一定の容積が発生するため、特に循環量が低い低負荷運転においては、液が低圧配管に滞留する。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200は、液が低圧配管に滞留し、ガス主体の冷媒が圧縮機14に流入するため、液冷媒が直接圧縮機に流入する構成と比較して性能改善効果がある。
【0098】
図13の破線で示す従来の冷凍サイクル装置の構成は、バイパス流れ0%からバイパス流量を増やすと、はじめは主流の冷媒圧損、特に蒸発器出口から圧縮機の吸入までの冷媒圧力差が小さくなり性能改善する。従来の冷凍サイクル装置の構成は、ある一定量の冷媒をバイパス回路にバイパスすると、バイパス回路を流れる冷媒のバイパス流れが十分熱交換されずに気液二相の状態で主回路を流れる冷媒の主流に合流する。そのため、従来の冷凍サイクル装置の構成は、熱ロスと圧縮機に供給される液冷媒量とが増大して圧縮機性能が低下し、省エネ性が低下する。
【0099】
図13の実線で示す冷凍サイクル装置200の構成は、圧縮機14に供給される液冷媒量を低減して、従来構成よりもバイパス流量を向上させて省エネ性能を改善可能である。具体的には、冷凍サイクル装置200の構成は、第3分岐部33と第4分岐部34との間に冷媒タンク6を備える。そのため、冷凍サイクル装置200の構成は、第4分岐部34を設けない場合と比較して、冷媒タンク6から流出する冷媒流量を低減し、冷媒の慣性力及び冷媒タンク6内の液面の揺れにより混入する液冷媒量を低減する。そして、冷媒流量が低減し、液冷媒量が低減した冷媒タンク6から流出する冷媒と、第4分岐部34においてガス主体冷媒62とが合流することによって、圧縮機14に供給される液冷媒量が低減する。
【0100】
さらに、冷暖切替可能な冷凍サイクル装置200は、室外熱交換器11及び室内熱交換器16が、冷暖の切替によって、蒸発器及び凝縮器として動作する。冷凍サイクル装置200は、上記の構成により、蒸発器及び凝縮器として動作するときに、蒸発器運転の冷媒流量に対する、凝縮器運転の冷媒流量を大きくできる。そのため、冷凍サイクル装置200は、蒸発器運転の冷媒圧力損失あたりの凝縮器運転の管内伝熱を向上できるため、冷房運転と暖房運転との性能改善を両立できる。
【0101】
さらに、冷凍サイクル装置200は、上記の構成により、バイパス回路20bを流れる冷媒のバイパス流れの流量調整範囲を拡大できる。冷凍サイクル装置200は、バイパス回路20bを流れる冷媒のバイパス流れの流量調整範囲を拡大できるため、機器の冷暖房能力100%で蒸発器に流れる冷媒流量と、機器の冷暖房能力100%以下、特に冷暖房能力25%~80%の冷媒流量との差を小さくできる。冷凍サイクル装置200は、機器の冷暖房能力の違いによる冷媒流量の差を小さくできるため、性能が冷媒流速に大きく依存する機器の構成部品の流量設計範囲を小さくすることができる。性能が冷媒流速に大きく依存する機器の構成部品は、例えば、室外熱交換器11、室内熱交換器16及び冷媒タンク6等である。冷凍サイクル装置200は、性能が冷媒流速に大きく依存する機器の構成部品の流量設計範囲を小さくできるため、中間負荷運転の性能を改善でき、通年で運転負荷が変化する冷凍サイクル装置200の期間効率を向上できる。
【0102】
なお、性能が最大となるバイパス流量比及び性能改善率は、機器サイズに対する運転能力あるいは作動流体の冷媒種に依存して変化するが、従来よりもバイパス流量が多い動作点で省エネ性能が改善する効果は同じである。例えば、性能改善効果は室外機から室内機までの延長配管が長い機器あるいは運転能力が大きい機器で大きくなる。
【0103】
また、R32冷媒に対してガス密度の小さい冷媒を少なくとも一部に含む作動流体は、能力当たりの冷媒流速が大きくなるため、圧力損失低減による性能改善効果が大きい。主回路20a及びバイパス回路20bを流れる冷媒は、R32冷媒に対してガス密度の小さい冷媒である。この冷媒は、例えば、テトラフルオロプロペン等のオレフィン系冷媒、ジフルオロエチレン等のエチレン系冷媒、テトラフルオロエタン等のエタン系冷媒、プロパン、又は、DME(ジメチルエーテル)のいずれか1つ以上を含む冷媒である。なお、オレフィン系冷媒は、例えば、HFO1234yf、もしくは、HFO1234ze(E)等が挙げられる。
【0104】
また、標準沸点の差が1℃以上である少なくとも2種類の冷媒を混合する非共沸混合冷媒を作動流体とする場合、主回路20aを流れる冷媒の主流が第3分岐部33において高沸点成分主体冷媒と合流して冷媒タンク6で相分離する。高沸点冷媒が冷媒タンク6に液冷媒として貯蔵されて低沸点主体冷媒が圧縮機14に流入するため、冷媒流路20を低沸点成分主体冷媒が循環し冷凍サイクル装置200の性能が改善する。
【0105】
図14は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の第1の変形例を示す冷媒回路図である。
図15は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の第2の変形例を示す冷媒回路図である。
図14及び
図15は、冷凍サイクル装置200の変形例を示している。なお、
図14及び
図15において、実線矢印及び破線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に非共沸混合冷媒ZRFの流れを表している。また、
図14及び
図15において、中継機ユニット203内に示す点線矢印は、水WFの流れを表している。
【0106】
図14及び
図15に示す冷凍サイクル装置200は、2つの室内熱交換器16の間に設けられる第5絞り装置25を有する。また、
図15に示す冷凍サイクル装置200は、第5絞り装置25と室内熱交換器16の間の配管と、第1冷媒間熱交換器1と第1絞り装置21との間の配管と、を接続するように設けられた配管に設けられた第6絞り装置26を有する。なお、第5絞り装置25及び第6絞り装置26は、減圧弁、あるいは、膨張弁としての機能を有し、冷媒を膨張させて減圧するものであり、第1絞り装置21及び第2絞り装置22と同様の構成でもよい。
【0107】
図14及び
図15に示すように、室内熱交換器16は、室内機ユニット202へ熱媒体を搬送する中継機ユニット203でもよい。また、室外機ユニット201、室内機ユニット202(
図1及び
図2参照)、及び、中継機ユニット203の台数は2以上でもよい。また、室外機ユニット201、室内機ユニット202(
図1及び
図2参照)、及び、中継機ユニット203は、それぞれ冷媒流れから見て直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよい。
【0108】
また、室外機ユニット201には室外熱交換器11が搭載され、室内機ユニット202には室内熱交換器16が搭載され(
図1及び
図2参照)、又は、中継機ユニット203には室内熱交換器16が搭載される。また、室内機ユニット202には第2室内熱交換器12又は第3室内熱交換器17が搭載される場合がある(
図22及び
図23参照)。室外熱交換器11、第2室内熱交換器12、室内熱交換器16、及び、第3室内熱交換器17は冷媒流れから見て直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよい。
【0109】
実施の形態2.
<実施の形態2の構成>
図16は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200を示す模式図である。なお、
図16において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に単一組成冷媒又は共沸混合冷媒ARFの流れを表している。次に、
図16を用いて、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200について説明する。
【0110】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の一部を変更したものであり、基本的な全体構成は実施の形態1の冷凍サイクル装置200と同様の構成である。そのため、
図16で示す実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200について、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200と同一の構成要素あるいは相当する部分の構成要素については同じ符号を付し、図示及びその説明を省略する。
【0111】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200は、
図16に示すように、圧縮機14を2台有する。2台の圧縮機14は、冷媒の流れる方向において直列状に接続されている。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200は、冷媒の流れる方向において、第3分岐部33よりも下流に位置する異なる2台の圧縮機14の間に第4分岐部34を設けている。
【0112】
<実施の形態2の効果>
冷凍サイクル装置200は、ガス流出管5と接続する第4分岐部34を冷媒圧縮過程に設けることで、第4分岐部34の下流の圧縮機14に供給する冷媒のガス比率を向上させる。一般に、圧縮機に液主体冷媒が流入すると、圧縮機は液圧縮を起こして性能が低下するため、その対策として冷媒タンクあるいは予熱構造を設ける等機器を冷凍サイクル装置に追加する場合がある。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200では、主回路20aを流れる冷媒の主流が、第4分岐部34においてガス主体冷媒62と合流する。そのため、冷凍サイクル装置200は、機器を追加することなく冷媒圧縮過程への供給される液流量を低減できる。また、冷凍サイクル装置200は、バイパス流量を向上させて主流の圧力損失を低減して性能改善を図ることができる。
【0113】
<実施の形態2の変形例の構成>
図17は実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200の変形例である。なお、
図17において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に単一組成冷媒又は共沸混合冷媒ARFの流れを表している。冷媒流路20において、第4分岐部34の上流に圧縮過程を設ける限り、圧縮機14は、
図16に示したような第4分岐部34の上流に配置された圧縮機14と下流に配置された圧縮機14とを一体に構成してもよい。そして、第4分岐部34は、圧縮機14のインジェクションポート7として形成してもよい。
【0114】
インジェクションポート7は、圧縮機14の圧縮室(図示は省略)と連通するように形成されている。インジェクションポート7は、圧縮機14に形成された貫通孔であり、圧縮機14の圧縮室に気液二相冷媒等を強制注入するために用いられる。インジェクションポート7は、例えば、圧縮室の中間圧を構成する部分に連通する中間圧インジェクションポートである。
【0115】
<実施の形態2の変形例の効果>
冷凍サイクル装置200は、ガス流出管5と接続する第4分岐部34を冷媒圧縮過程に設けることで、インジェクションポート7を介して圧縮機14に供給する冷媒のガス比率を向上させる。一般に、圧縮機に液主体冷媒が流入すると、圧縮機は液圧縮を起こして性能が低下するため、その対策として冷媒タンクあるいは予熱構造を設ける等機器を冷凍サイクル装置に追加する場合がある。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200では、主回路20aを流れる冷媒の主流が、第4分岐部34においてガス主体冷媒62と合流する。そのため、冷凍サイクル装置200は、機器を追加することなく冷媒圧縮過程への供給される液流量を低減できる。また、冷凍サイクル装置200は、バイパス流量を向上させて主流の圧力損失を低減して性能改善を図ることができる。
【0116】
また、一般に、インジェクションポートに液冷媒が混入すると圧縮室の気密低下を引き起こして圧縮機の性能が低下する。そのため、冷凍サイクル装置は、インジェクションポートの上流に冷媒タンクあるいは予熱構造を設ける等機器を追加する場合がある。
図17に示す実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200は、第2分岐部32のガス流出管5を介してインジェクションポート7にガス主体冷媒62を供給する。そのため、冷凍サイクル装置200は、冷媒圧縮過程に供給される液流量を低減し、機器を追加することなくバイパス流量を向上させて主流の圧力損失を低減して性能改善を図ることができる。
【0117】
また、実施の形態2の構成のように、単一組成の冷媒もしくは共沸混合冷媒を作動流体とすると、非共沸混合冷媒を作動流体とする場合に対して、低圧側の圧縮機14あるいは圧縮室(図示は省略)に流入する高沸点成分が多くなる。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置200は、低圧側の圧縮機14あるいは圧縮室(図示は省略)に流入する高沸点成分が多くなり、圧力損失が増大することによる性能低下がないため、性能改善効果が大きい。
【0118】
実施の形態3.
<実施の形態3の構成>
図18は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200を示す模式図である。
図19は、第2分岐部32おける冷媒の流れの説明に供し、第2分岐部32の断面を模式的に示す断面図である。なお、
図18において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に非共沸混合冷媒ZRFの流れを表している。
図19に示す冷媒流HBRFは、高沸点主体冷媒67の流れを示し、冷媒流LBRFは、低沸点主体冷媒68の流れを示している。なお、
図18では、見易さを考慮し、暖房運転時の冷媒流路20を省略して、冷房運転時の冷媒流路20を抜粋して示している。次に、
図18及び
図19を用いて、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200について説明する。
【0119】
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の一部を変更したものであり、基本的な全体構成は実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200と同様の構成である。そのため、
図18で示す実施の形態3の冷凍サイクル装置200について、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200と同一の構成要素あるいは相当する部分の構成要素については同じ符号を付し、図示及びその説明を省略する。
【0120】
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、標準沸点の差が1℃以上である少なくとも2種類の冷媒を混合する非共沸混合冷媒を作動流体とする。実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、
図18に示すように、第2分岐部32のガス流出管5が第3分岐部33に接続されており、液流出管4が第4分岐部34に接続されている。
【0121】
図18に示す実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200では、第1分岐路20b1は、第2分岐部32の液流出管4と第4分岐部34とを接続する流路である。第1分岐路20b1には、第3絞り装置23が設けられている。
図18に示す実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200では、第2分岐路20b2は、第2分岐部32のガス流出管5と第3分岐部33とを接続する流路である。第2分岐路20b2には、第4絞り装置24が設けられている。
【0122】
図18に示す実施の形態3の冷凍サイクル装置200では、第3分岐部33は、バイパス回路20bの第2分岐路20b2と、主回路20aとを接続する部分である。第3分岐部33は、バイパス回路20bの第2分岐路20b2を流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。
図18に示す実施の形態3の冷凍サイクル装置200では、第3分岐部33と、2つの圧縮機14の内下流側の圧縮機14との間に第4分岐部34が配置されている。
【0123】
図18に示す実施の形態3の冷凍サイクル装置200では、第4分岐部34は、バイパス回路20bの第1分岐路20b1と、主回路20aとを接続する部分である。第4分岐部34は、バイパス回路20bの第1分岐路20b1を流れる冷媒を、主回路20aに合流させる部分である。
図18に示す実施の形態3の冷凍サイクル装置200では、第4分岐部34は圧縮機14と第3分岐部33との間に配置されている。
【0124】
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、
図18に示すように、第3分岐部33よりも下流に位置する異なる2台の圧縮機14の間に第4分岐部34を設けている。
【0125】
<実施の形態3の効果>
一般に非共沸混合冷媒を作動流体とする冷凍サイクル装置は、圧縮機に高沸点冷媒を多く含んだ冷媒が低圧の吸入口に流入すると、圧縮機の吸入口の圧力損失及び体積流量が増大する。そのため、冷媒サイクル装置は、能力を維持するために圧縮機を大型化して大容量化する、あるいは、冷媒タンクを大型化して高沸点冷媒を冷媒タンクに貯蔵させる場合がある。
【0126】
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200では、バイパス回路20bを流れる二相状態の非共沸混合冷媒(バイパス流れ)が第2分岐部32において分離される。このとき、
図19に示すように、第2分岐部32に流入する冷媒RFの液冷媒65には高沸点成分が多く、ガス冷媒66には低沸点成分が多く存在する。そのため、ガス流出管5の流出口5aと比較して、液流出管4の流出口4aからは高沸点主体冷媒67が多く流出し、液流出管4の流出口4aと比較して、ガス流出管5の流出口5aからは低沸点主体冷媒68が多く流出する。
【0127】
高沸点主体冷媒67は、密度が比較的大きい液冷媒65が多く含まれる冷媒であり、高沸点成分が多く存在する冷媒である。低沸点主体冷媒68は、密度が比較的小さいガス冷媒66が多く含まれる冷媒であり、低沸点成分が多く存在する冷媒である。液流出管4の流出口4aから流出する高沸点主体冷媒67は、第4分岐部34に供給され、ガス流出管5の流出口5aから流出する低沸点主体冷媒68は、第3分岐部33に供給される。
【0128】
このとき、冷凍サイクル装置200は、第3分岐部33の位置では第4分岐部34の位置に対して低圧である。実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、低沸点主体冷媒68を第3分岐部33に供給することにより、低圧側の圧縮機14に低沸点主体冷媒68を供給し、高沸点主体冷媒67を第4分岐部34に供給することにより、高圧側の圧縮機14に高沸点主体冷媒67を供給する。
【0129】
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200は、当該構成を有することによって、低圧側の圧縮機14の圧力損失の増大を抑制し、機器を大型化することなく省エネ性能を改善することができる。また、冷凍サイクル装置200に用いられる混合冷媒の温度差が5℃以上ある場合、気液分離による組成分離効果が大きくなるため、性能改善効果が特に大きい。
<実施の形態3の変形例の構成>
【0130】
図20は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200の第1の変形例を示す模式図である。
図21は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置200の第2の変形例を示す模式図である。なお、
図20及び
図21において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に非共沸混合冷媒ZRFの流れを表している。
図20では、見易さを考慮し、暖房運転時の冷媒流路20を省略して、冷房運転時の冷媒流路20を抜粋して示している。
【0131】
第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、標準沸点の差が1℃以上である少なくとも2種類の冷媒を混合する非共沸混合冷媒を作動流体とする。
図20及び
図21に示すように、第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、ガス流出管5が第3分岐部33に接続されており、液流出管4が第4分岐部34に接続されている。第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、第4分岐部34が圧縮機14のインジェクションポート7である。
【0132】
第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、第2冷媒間熱交換器2を有している。第2冷媒間熱交換器2は、第1冷媒間熱交換器1と同様に内部に冷媒が流れる2つの流路が形成されている。第2冷媒間熱交換器2は、主回路20aの室外熱交換器11から第1絞り装置21までの間の流路を流れる冷媒と、液流出管4から第4分岐部34までの流路を流れる冷媒との間で熱交換を行わせる。なお、室外熱交換器11は、第1凝縮器である。
【0133】
冷房運転及び暖房運転のいずれにおいても第1冷媒間熱交換器1の高温側流路1aを流れる冷媒の流れ方向において、第1冷媒間熱交換器1は、第2冷媒間熱交換器2に対して下流に位置するように設けられている。
【0134】
第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、第2分岐部32と第3分岐部33との間に設けられた第4絞り装置24の開度の調整により第1冷媒間熱交換器1と第2冷媒間熱交換器2との熱交換量比を制御する。なお、第1冷媒間熱交換器1と第2冷媒間熱交換器2とは、第1冷媒間熱交換器1の低温側流路1bと第2冷媒間熱交換器2の低温側流路1bとが合流しない限り、一体の冷媒間熱交換器で構成してもよい。
【0135】
<実施の形態3の変形例の効果>
第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、第4分岐部34の位置は圧縮過程であり、第3分岐部33の位置では第4分岐部34の位置に対して低圧である。第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、低沸点主体冷媒68を第3分岐部33に供給することにより、圧縮機14内の低圧側に低沸点主体冷媒68を供給する。また、第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、高沸点主体冷媒67を第4分岐部34に供給することにより、圧縮機14内の高圧側に高沸点主体冷媒67を供給する。
【0136】
第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、当該構成を有することによって、低圧側の圧縮機14の圧力損失の増大を抑制し、機器を大型化することなく省エネ性能を改善することができる。また、冷凍サイクル装置200に用いられる混合冷媒の温度差が5℃以上ある場合、気液分離による組成分離効果が大きくなるため、性能改善効果が特に大きい。
【0137】
また、第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、第2冷媒間熱交換器2を設けていることにより、第2分岐部32で分離した液主体冷媒61である高沸点主体冷媒67を加熱して第4分岐部34に供給する。そのため、第1の変形例及び第2の変形例に係る冷凍サイクル装置200は、圧縮機14の圧縮過程に流入する液冷媒を増大することなく第3分岐部33に流入する高沸点成分を低減でき、圧縮機14の性能を改善し省エネ性を向上させる。
【0138】
図21に示す第2の変形例の冷凍サイクル装置200は、冷房運転と暖房運転とを切り替えて動作させることができる。第2の変形例の冷凍サイクル装置200では、冷房運転及び暖房運転の両方とも冷媒間熱交換器の高温側冷媒流れからみて、第1冷媒間熱交換器1は第2冷媒間熱交換器2に対して下流に設けられている。第2の変形例の冷凍サイクル装置200は、当該構成により、第2分岐部32で分離した高沸点主体冷媒67と高温側冷媒との間の温度差を冷暖ともに確保できるため、機器サイズを大型化することなく冷暖運転時の性能を向上できる。
【0139】
特に、混合冷媒として、循環組成の高沸点冷媒の比率が低沸点冷媒の比率に対して多い冷媒を採用する場合において、第2分岐部32で分離した高沸点主体冷媒67を加熱したときの二相域の温度変化が小さくなる。そのため、第2の変形例の冷凍サイクル装置200は、高沸点主体冷媒67と高温側冷媒との間の温度差をより大きく確保できるため、機器サイズを大型化することなく冷暖運転時の性能を向上できる。
【0140】
実施の形態4.
<実施の形態4の構成>
図22は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200を示す第1の模式図である。
図23は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200を示す第2の模式図である。なお、
図23において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に非共沸混合冷媒ZRFの流れを表している。
図22及び
図23では、見易さを考慮し、それぞれ冷媒流路20を省略して、冷房主体運転時又は暖房主体運転時の冷媒流路20を抜粋して示している。次に、
図22及び
図23を用いて、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200について説明する。
【0141】
実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200の一部を変更したものであり、基本的な全体構成は実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200と同様の構成である。そのため、
図22及び
図23で示す実施の形態4の冷凍サイクル装置200について、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置200と同一の構成要素あるいは相当する部分の構成要素については同じ符号を付し、図示及びその説明を省略する。
【0142】
実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、冷房運転と暖房運転との両方の動作を混在させて運転させる混在運転が可能である。主回路20a及びバイパス回路20bは、冷房運転と暖房運転との混在運転が行われる冷媒回路として構成されている。
図22に示す実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、冷房能力が暖房能力に対して大きい冷房主体運転を行う装置である。
【0143】
図22に示す実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、室外熱交換器11を第1凝縮器とし、暖房運転を行う第2室内熱交換器12を第2凝縮器とする。第2室内熱交換器12は、室外熱交換器11と、室内熱交換器16との間の冷媒流路20に設けられている。より詳細には、第2凝縮器である第2室内熱交換器12は、主回路20aにおいて、第1絞り装置21と第1蒸発器との間に設けられている。なお、室内熱交換器16は、冷房運転を行う第1蒸発器である。
【0144】
主回路20aを構成する第2室内熱交換器12と室内熱交換器16との間の配管には第5絞り装置25が設けられている。第1冷媒間熱交換器1は、第1凝縮器である室外熱交換器11と第2凝縮器である第2室内熱交換器12との間の冷媒流路20に配置されている。
【0145】
図23に示す実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、暖房能力が冷房能力に対して大きい暖房主体運転を行う装置である。主回路20a及びバイパス回路20bは、冷房運転と暖房運転との混在運転が行われる冷媒回路として構成されている。
【0146】
図23に示す実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、暖房運転を行う室内熱交換器16を第1凝縮器とし、室外熱交換器11を第1蒸発器とする。また、第1凝縮器である室内熱交換器16から第1絞り装置21までの間の冷媒流路20には第3室内熱交換器17が設けられている。第3室内熱交換器17は、冷房運転を行う第2蒸発器である。第2蒸発器は、内部に流入した冷媒と室外空気との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させて気化させる。
【0147】
室内熱交換器16と第3室内熱交換器17との間の配管には第5絞り装置25が設けられている。第1冷媒間熱交換器1は、第2蒸発器である第3室内熱交換器17と第1蒸発器である室外熱交換器11との間の冷媒流路20に設けられている。
【0148】
<実施の形態4の効果>
一般に、冷凍サイクル装置は、冷房のみの運転あるいは暖房のみの運転では、複数台の熱交換器によって室内に冷風又は温風を供給する。しかし、冷凍サイクル装置の冷房主体運転及び暖房主体運転においては、より少ない熱交換器の台数で冷風又は温風を供給するため、冷凍サイクル装置の性能が低下する。
【0149】
第2分岐部32を設けない従来の構成では、性能改善のためにバイパス回路20bを流れる冷媒の流量を向上させて性能改善を図る。このバイパス回路20bを流れる冷媒は十分熱交換されずに気液二相の状態で主回路20aを流れる冷媒に合流する場合がある。
【0150】
そのため、従来の冷凍サイクル装置は、熱ロスと圧縮機に供給される液冷媒量とが増大し、圧縮機の性能が低下し、省エネ性が低下する。そこで、従来の冷凍サイクル装置は、圧縮機の性能改善のために室内機の熱交換器を大型化する、第1冷媒間熱交換器1を大型化する、あるいは、冷媒タンク6を大型化して高沸点冷媒を冷媒タンク6に貯蔵する等の対策を行う場合がある。
【0151】
実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200は、第1冷媒間熱交換器1の下流に位置する第2分岐部32においてガス主体冷媒62と液主体冷媒61とを分離する。そして、
図22に示す冷凍サイクル装置200は、第4分岐部34においてガス主体冷媒62と主回路20aを流れる冷媒とが合流する。
【0152】
そのため、冷凍サイクル装置200は、冷媒タンク6において排出される液冷媒に対する圧縮機14に供給される冷媒の液流量が低減し、冷媒タンク6等の機器を大型化する必要がない。また、冷凍サイクル装置200は、バイパス回路20bを流れる冷媒の流量を向上させ、主回路20aを流れる冷媒による圧力損失を低減して性能改善を図ることができる。
【0153】
また、第1冷媒間熱交換器1の高温側流路出口52の冷媒は気液二相である。冷凍サイクル装置200は、第1絞り装置21に対して第2絞り装置22の開度を小さくすることにより、体積流量が大きいガス冷媒は主に主回路20aに流れ、体積流量が小さい液冷媒は主にバイパス回路20bに流れる。
【0154】
特に、非共沸混合冷媒を作動流体とする冷凍サイクル装置200において、ガス主体冷媒62である低沸点成分が主回路20aに流れ、液主体冷媒61である高沸点成分がバイパス回路20bに流れる。そのため、非共沸混合冷媒を作動流体とする冷凍サイクル装置200は、低圧損化が大きくなり性能改善効果が大きくなる。
【0155】
<実施の形態4の変形例の構成>
図24は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200の第1の変形例を示す模式図である。
図25は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置200の第2の変形例を示す模式図である。なお、
図24及び
図25において、実線矢印は、冷媒RFの流れ方向を表しており、特に非共沸混合冷媒ZRFの流れを表している。
図23に示すように、室内熱交換器16は、室内機ユニット202へ熱媒体を搬送する中継機ユニット203に設けられた熱交換器でもよい。
【0156】
<実施の形態4の変形例の効果>
一般に、第2分岐部32を有さない冷凍サイクル装置では、中継機ユニット203から室内機ユニット202まで熱を搬送する熱媒体が水である場合、冷房主体運転において蒸発器となる室内熱交換器16の飽和温度が低下すると水が凍結する。そのため、第2分岐部32を有さない冷凍サイクル装置では、蒸発器である室内熱交換器16を大型化するなどの手段が必要になる場合がある。
【0157】
第2分岐部32を有する冷凍サイクル装置200は、冷房主体運転において低圧損化が可能となるため、蒸発器となる室内熱交換器16を大型化することなく蒸発温度を向上させ、機器を大型化することなく能力当たりの性能を改善できる。
【0158】
図25に示す第2の変形例の冷凍サイクル装置200のように、室外機ユニット201と中継機ユニット203とを接続する冷媒流路20は3以上でもよい。例えば、中継機ユニット203に複数の室内熱交換器16を設ける場合、室外機ユニット201と中継機ユニット203とは、第1分岐部31から第1絞り装置21までの流路から、中継機ユニット203に備える二つの室内熱交換器16の間の流路に、第6絞り装置26を介して接続してもよい。
【0159】
冷凍サイクル装置200は、第6絞り装置26を有することで、冷房運転と暖房運転とが混在する混在運転において、二つの室内熱交換器16に流れる冷媒流量を第6絞り装置26の開度の調整によって制御することができる。第6絞り装置26の制御は、例えば制御装置210によって行われる。冷凍サイクル装置200は、当該構成によって、冷房運転と暖房運転との運転能力比率に関する制御範囲の拡大を、機器大型化を図ることなく、あるいは、省エネ性能を低下することなく実現できる。
【0160】
以上の実施の形態1~実施の形態4に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 第1冷媒間熱交換器、1a 高温側流路、1b 低温側流路、1c 伝熱プレート、1d 本体部、2 第2冷媒間熱交換器、3 流入管、3a 流入口、3b 中心、4 液流出管、4a 流出口、5 ガス流出管、5a 流出口、6 冷媒タンク、7 インジェクションポート、8 拡大部、8a 本体部、8b 蓋部、8b1 開口部、8c 管軸、8d 貫通孔、11 室外熱交換器、12 第2室内熱交換器、13 室外ファン、14 圧縮機、14a 吸入口、14b 吐出口、15 流路切替装置、16 室内熱交換器、17 第3室内熱交換器、18 室内ファン、20 冷媒流路、20a 主回路、20b バイパス回路、20b1 第1分岐路、20b2 第2分岐路、21 第1絞り装置、22 第2絞り装置、23 第3絞り装置、24 第4絞り装置、25 第5絞り装置、26 第6絞り装置、31 第1分岐部、32 第2分岐部、33 第3分岐部、34 第4分岐部、42 逆止弁、51 高温側流路入口、52 高温側流路出口、53 低温側流路入口、54 低温側流路出口、61 液主体冷媒、62 ガス主体冷媒、63 液冷媒、64 ガス冷媒、65 液冷媒、66 ガス冷媒、67 高沸点主体冷媒、68 低沸点主体冷媒、100 重力方向、101 垂線、102 水平面、200 冷凍サイクル装置、201 室外機ユニット、202 室内機ユニット、203 中継機ユニット、210 制御装置。