(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】洗濯機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 33/32 20200101AFI20241025BHJP
【FI】
D06F33/32
(21)【出願番号】P 2023516045
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2021113474
(87)【国際公開番号】W WO2022068455
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】202011059083.3
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521309570
【氏名又は名称】重慶海爾洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】姜同春
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】張皓鈞
(72)【発明者】
【氏名】李峰
(72)【発明者】
【氏名】公涛
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503464(JP,A)
【文献】特開2011-115067(JP,A)
【文献】特開2012-016381(JP,A)
【文献】特開平03-284295(JP,A)
【文献】特開平08-229515(JP,A)
【文献】米国特許第10550507(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の制御方法であって、
前記洗濯機は、
洗浄時に洗浄水を独立して収容し、槽底に排水口が設置される内槽、
前記排水口を開閉するための内槽密封機構、
固定的に設置される固定カバーと、往復運動によりクラッチの切り替えを行うことが可能なクラッチカバーと、クラッチカバーを運動させるシフトフォークアセンブリを含み、シフトフォークアセンブリはシフトフォーク及びシフトフォーク駆動装置を含み、シフトフォークの一端はクラッチカバーに挟接され、シフトフォーク駆動装置は動力部材及びクランクトレインを含み、動力部材の回動出力端はクランクトレインを介してシフトフォークの他端に伝動可能に接続されるクラッチ機構、及び
内槽に接続される出力ブッシュと、出力ブッシュに固定的に接続される入力ブッシュを含み、前記クラッチカバーが、軸方向に摺動可能に入力ブッシュに配設されるとともに、入力ブッシュの周方向と同期して運動する減速機構、
および、減速機構の入力軸に接続される駆動モータを含み、
前記動力部材は、クランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させることで、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロック
し、
前記クラッチカバーはクラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部を有し、前記固定カバーは固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部を有し、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と、固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックするための唯一の噛合位置を有することを特徴と
する洗濯機であって、
前記制御方法は、
洗濯機によって実行される洗浄又はすすぎプログラムにおいて、クラッチ機構の動力部材がクランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させるよう制御する過程において、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出した場合に給水過程を開始し、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出するまで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御することを特徴とする洗濯機
の制御方法。
【請求項2】
前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯であり、前記クラッチカバーには1つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには1つの噛合溝/噛合歯が設置されており、前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックすることを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機
の制御方法。
【請求項3】
前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯であり、前記クラッチカバーには、直径が共通しない2つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには直径が共通しない2つの噛合溝/噛合歯が設置されており、前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックすることを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機
の制御方法。
【請求項4】
前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯であり、前記クラッチカバーには、周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合溝/噛合歯が設置されており、前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックすることを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機
の制御方法。
【請求項5】
前記固定カバーの固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部には、クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部が所定の位置で噛合したか否かを検出するための位置検出装置が設置されることを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機
の制御方法。
【請求項6】
内槽底部に設置される集水装置を含み、集水装置は、内槽からの排水を収集するための集水室を有し、前記内槽密封機構は集水装置の底壁に設置され、内槽密封機構は、密封駆動部材及び密封閉塞部材を含み、前記密封駆動部材は、内槽の排水口と内槽密封機構が対向しているとき、密封閉塞部材を上方に運動させて排水口を閉塞し、密封駆動部材は、密封閉塞部材を下方に運動させて排水口を開放することを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の洗濯機
の制御方法。
【請求項7】
前記クランクトレインは伝動プーリと伝動ロッドを含み、前記伝動プーリは動力部材の回動出力端に設置され、前記伝動ロッドの一端は第1ヒンジを介して伝動プーリに偏心接続され、伝動ロッドの他端は第2ヒンジを介してシフトフォークに接続され、前記減速機構は、更に、入力ブッシュの内部に配設される入力軸を含み、前記減速機構は、入力軸に固定されて同期して回動するトルク伝達ブッシュを含み、前記クラッチカバーはトルク伝達ブッシュと固定カバーの間に位置し、
前記動力部材は第1位置規制位置を有し、動力部材の回動出力端が伝動プーリを第1位置まで回動させると、伝動プーリは伝動ロッドを動作させて、シフトフォークによりクラッチカバーをトルク伝達ブッシュに噛合させ、
前記動力部材は第2位置規制位置を有し、動力部材の回動出力端が伝動プーリを第2位置まで回動させると、伝動プーリは伝動ロッドを動作させて、シフトフォークによりクラッチカバーを固定カバーに噛合させ
ることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項8】
前記動力部材の第1位置規制位置は、動力部材の回動出力端が第1位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリが第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の上端まで運動させることを満たし、
前記動力部材の第2位置規制位置は、動力部材の回動出力端が第2位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリが第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の下端まで運動させることを満たすことを特徴とする請求項7に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項9】
洗濯機が、所定の時間T0まで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御したあと、位置検出装置が依然として所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、現在のプログラムを一時停止することを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機器の技術分野に関し、具体的には、洗濯機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用電気製品として、洗濯機は次第に人々の生活に不可欠な一部となっている。また、全自動洗濯機は、主な洗濯機のタイプとして、応用範囲がますます広がっている。従来の全自動洗濯機の構造は、内槽及び外槽という2つの部分を含んでおり、内槽と外槽が連通している。洗濯機の動作時には、内槽と外槽の間の領域に水が満たされる。そのため、内槽と外槽の間の領域には、水中に含まれる垢や糸屑が付着し、使用時間の増加に伴って細菌や異臭が発生する。且つ、洗浄過程では、内槽と外槽の間の領域の水は使用されないため、この部分の洗浄水が無駄となる。
【0003】
上記の課題に対し、
図1に示すような従来の洗濯機は、内槽23と外槽24を含む。内槽23は槽壁が密閉された孔無し槽となっているため、洗浄過程では、洗浄水が内槽23内に収容され、内槽と外槽の間の領域は無水となる。内槽内の洗浄水の排出を実現するために、内槽の槽底の中心位置には排水口25が開設されており、外槽24の中心位置には、排水口と動的シール状に接触する外槽シールリップ29が設置されている。また、洗濯機の外槽24の底部には、外槽シールリップ29の内部空間と連通する排水管路30が設置されている。排水管路30には、排水管路30の開閉を制御する排水弁27が設置されている。こうすることで、内槽23内の水は、排水口25を経由して外槽シールリップ29の内部に流れ込み、排水管路30を通じて排出される。
図1に示す洗濯機は、洗浄過程で洗浄水が内槽23内にのみ収容されるが、内槽底部には依然として排水システム(外槽シールリップ29)が存在するため水が溜まる。つまり、完全な意味で内槽と外槽の間が無水となるわけではなく、長時間にわたり水が溜まることで、やはり、カビの発生や異臭、汚れ等の問題が存在する。
【0004】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、減速クラッチ装置により内槽の位置決めを実現したあと、内槽密封機構が内槽を密封することで槽間の無水を実現可能な洗濯機を提供することである。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
洗濯機は、洗浄時に洗浄水を独立して収容し、槽底に排水口が設置される内槽、前記排水口を開閉するための内槽密封機構、固定的に設置される固定カバーと、往復運動によりクラッチの切り替えを行うことが可能なクラッチカバーと、クラッチカバーを運動させるシフトフォークアセンブリを含み、シフトフォークアセンブリがシフトフォーク及びシフトフォーク駆動装置を含み、シフトフォークの一端がクラッチカバーに挟接され、シフトフォーク駆動装置が動力部材及びクランクトレインを含み、動力部材の回動出力端がクランクトレインを介してシフトフォークの他端に伝動可能に接続されるクラッチ機構、及び、内槽に接続される出力ブッシュと、出力ブッシュに固定的に接続される入力ブッシュを含み、前記クラッチカバーが、軸方向に摺動可能に入力ブッシュに配設されるとともに、入力ブッシュの周方向と同期して運動する減速機構、を含む。
【0007】
前記動力部材は、クランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させることで、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0008】
更に、前記クラッチカバーはクラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部を有し、前記固定カバーは固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部を有する。前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と、固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックするための唯一の噛合位置を有する。
【0009】
更に、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには1つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには1つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0010】
更に、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには、直径が共通しない2つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには直径が共通しない2つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0011】
更に、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには、周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0012】
更に、前記固定カバーの固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部には、クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部が所定の位置で噛合したか否かを検出するための位置検出装置が設置される。
【0013】
更に、内槽底部に設置される集水装置を含む。集水装置は、内槽からの排水を収集するための集水室を有する。前記内槽密封機構は集水装置の底壁に設置される。内槽密封機構は、密封駆動部材及び密封閉塞部材を含む。前記密封駆動部材は、内槽の排水口と内槽密封機構が対向しているとき、密封閉塞部材を上方に運動させて排水口を閉塞する。また、密封駆動部材は、密封閉塞部材を下方に運動させて排水口を開放する。
【0014】
更に、上記のクランクトレインは伝動プーリと伝動ロッドを含む。前記伝動プーリは動力部材の回動出力端に設置される。前記伝動ロッドの一端は、第1ヒンジを介して伝動プーリに偏心接続される。また、伝動ロッドの他端は、第2ヒンジを介してシフトフォークに接続される。前記減速機構は、更に、入力ブッシュの内部に配設される入力軸を含む。また、前記減速機構は、入力軸に固定されて同期して回動するトルク伝達ブッシュを含む。前記クラッチカバーはトルク伝達ブッシュと固定カバーの間に位置する。
【0015】
前記動力部材は第1位置規制位置を有する。動力部材の回動出力端が伝動プーリを第1位置まで回動させると、伝動プーリは伝動ロッドを動作させて、シフトフォークによりクラッチカバーをトルク伝達ブッシュに噛合させる。
【0016】
前記動力部材は第2位置規制位置を有する。動力部材の回動出力端が伝動プーリを第2位置まで回動させると、伝動プーリは伝動ロッドを動作させて、シフトフォークによりクラッチカバーを固定カバーに噛合させる。
【0017】
好ましくは、前記動力部材の第1位置規制位置は以下を満たす。即ち、動力部材の回動出力端が第1位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリは、第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の上端まで運動させる。
【0018】
前記動力部材の第2位置規制位置は以下を満たす。即ち、動力部材の回動出力端が第2位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリは、第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の下端まで運動させる。
【0019】
本発明の第2の目的は、洗濯機の制御方法を提供することである。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【0020】
洗濯機の制御方法において、洗濯機は、洗浄又はすすぎプログラムを実行する際、クラッチ機構の動力部材がクランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させて、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックするよう制御するとともに、内槽密封機構が排水口を密封するよう制御する。
【0021】
更に、洗濯機は、減速機構の入力軸に接続される駆動モータを含む。
【0022】
洗濯機は、クラッチ機構の動力部材がクランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させるよう制御する過程において、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出した場合に給水過程を開始する。また、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出するまで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御する。
【0023】
好ましくは、洗濯機が、所定の時間T0まで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御したあと、位置検出装置が依然として所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、現在のプログラムを一時停止する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の洗濯機は、洗濯機の減速機構とクラッチ機構により、排水口と内槽密封機構が対向する唯一の位置への内槽の位置決めを実現することで、内槽の密封を実現する。これにより、洗浄及びすすぎ過程で槽間が無水となる自動クリーニング効果を達成可能となる。且つ、本発明の洗濯機は、洗濯機における従来の減速機構とクラッチ機構を利用するだけで内槽の位置決めを実現可能なため、構造全体がシンプルであるとともに、位置決めが安定的となり、内槽の密封の有効性が確実に保証される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、従来の内槽と外槽の間が無水の洗濯機の概略原理図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における洗濯機の概略構造図(内槽の排水口が開状態)である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における洗濯機の概略構造図(内槽の排水口が閉状態)である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例2における洗濯機の外槽底部の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例における洗濯機の内槽の排水口と内槽密封機構が対向位置にある場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を組み合わせて、本発明における洗濯機及びその制御方法につき詳細に述べる。
【実施例1】
【0027】
図2、
図3及び
図5に示すように、本実施例は、洗浄時に洗浄水を独立して収容し、槽底に排水口25が設置される内槽23と、前記排水口25を開閉するための内槽密封機構7を含む洗濯機を提供する。洗浄時には、内槽密封機構7が排水口25を密封し、内槽23の内部に洗浄水を独立して収容可能とする。排水又は脱水時には、内槽密封機構7が排水口25を開放し、内槽23内の水が排水口25を経由して排出される。
【0028】
本実施例における洗濯機の内槽23は、洗濯時に洗浄水を独立して収容するため、従来の全自動洗濯機と比べて、洗浄水が内槽と外槽の間に存在することがない。よって、洗浄水が内槽の外壁と外槽の内壁に発生させる汚れの蓄積によって洗浄効果に支障をきたすとの事態が回避されるだけでなく、洗浄用水の節約や、省エネ・排出削減も可能となる。内槽23による独立した洗浄水の収容を実現するために、本実施例の内槽は「孔無し内槽」となっている。前記内槽23の槽壁における最高水位以下の部分は密閉状に設置されているため、洗浄過程において前記内槽23を貯水に用いることができる。また、前記内槽23の槽壁における最高水位以上の部分には脱水孔が設置されている。よって、前記内槽23は、脱水過程において、遠心力の作用によって離脱した水を脱水孔から排出させられる。
【0029】
本実施例の洗濯機は、内槽23内の水を排出しきるために、内槽23の槽底に排水口25を設置している。また、内槽23内部の密閉を維持するために、洗濯機は、前記排水口25を開閉可能な内槽密封機構7を更に含む。
【0030】
本実施例の内槽密封機構7は、内槽23の槽底の下方に固定的に設置されるとともに、排水口25と対向可能な位置に配置される。内槽23は、脱水過程では回転せねばならないが、洗浄過程では排水口25と内槽密封機構7が対向する位置を維持せねばならない。これにより、内槽密封機構7は排水口25を閉止可能となり、内槽は洗浄水を独立して収容可能となる。そこで、如何にして洗浄過程又はすすぎ過程で内槽23を特定の位置に位置決めし、排水口25と内槽密封機構7を対向位置とできるのかが、本願の洗濯機における槽間無水を実現するためのポイントとなる。
【0031】
そのため、本実施例の洗濯機はクラッチ機構を含む。前記クラッチ機構は、固定的に設置される固定カバー8と、往復運動によりクラッチの切り替えを行うことが可能なクラッチカバー9と、クラッチカバー9を運動させるシフトフォークアセンブリを含む。シフトフォークアセンブリはシフトフォーク14及びシフトフォーク駆動装置を含み、シフトフォーク14の一端がクラッチカバー9に挟接される。シフトフォーク駆動装置は、動力部材20及びクランクトレイン(crank train)を含む。動力部材20の回動出力端は、クランクトレインを介してシフトフォーク14の他端に伝動可能に接続される。
【0032】
本実施例の洗濯機は減速機構を含む。減速機構は、内槽23に接続される出力ブッシュ2と、出力ブッシュ2に固定的に接続される入力ブッシュ13を含む。前記クラッチカバー9は、軸方向に摺動可能に入力ブッシュ13に配設されるとともに、入力ブッシュ13の周方向と同期して運動する。
【0033】
本実施例における洗濯機の動力部材20は、クランクトレインを介してシフトフォーク14を動作させ、クラッチカバー9を固定カバー8に噛合させることで、内槽23を排水口25と内槽密封機構7が対向する位置にロックする。
【0034】
本実施例では、減速機構の入力ブッシュ13にクラッチカバー9を設置し、固定カバー8を固定的に設置している。そして、クラッチ機構のシフトフォーク14によりクラッチカバー9と固定カバー8との噛合及び分離を制御することで、唯一の位置におけるクラッチカバー9と固定カバー8との噛合を実現する。これにより、内槽23と外槽24の唯一の位置を実現し、内槽密封機構7の密封閉塞部材を上昇させて内槽の排水口25に対し突き上げることで、内槽23を密封するとの効果を奏する。
【0035】
本実施例の洗濯機は、洗濯機の減速機構とクラッチ機構により、排水口25と内槽密封機構7が対向する唯一の位置への内槽23の位置決めを実現することで、内槽23の密封を実現する。これにより、洗浄及びすすぎ過程で槽間が無水となる自動クリーニング効果を達成可能となる。且つ、本発明の洗濯機は、洗濯機における従来の減速機構とクラッチ機構を利用するだけで内槽23の位置決めを実現可能なため、構造全体がシンプルであるとともに、位置決めが安定的となり、内槽23の密封の有効性が確実に保証される。
【0036】
そのほか、本実施例のクラッチ機構は、動力部材20とクランクトレインとの伝動可能な接続によって、動力部材20の回動出力をクランクトレインにより垂直方向の往復運動に変換する。クランクトレインは、垂直方向に往復運動してシフトフォーク14を動作させ、クラッチカバー9を往復運動させることでクラッチの切り替えを行う。本実施例では、動力部材20の回動角度を制御することで、シフトフォーク14がクラッチカバー9を各クラッチ位置に運動させる制御を実現する。これにより、シフトフォークの動作精度が向上し、信頼性が高まり、構造全体がシンプルとなる。且つ、動力部材20の複数の回動角度を制御することで、シフトフォーク14によりクラッチカバー9を複数のクラッチ位置まで運動させる。これにより、対応する洗浄モードが実現され、衣類の洗浄効果が確実に保証される。
【0037】
減速機構とクラッチ機構によって、排水口25と内槽密封機構7が対向する唯一の位置への内槽23の位置決めを実現するためには、クラッチカバー9と固定カバー8が唯一の位置で噛合するよう限定せねばならない。よって、前記クラッチカバー9はクラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部を有し、前記固定カバー8は固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部を有する。前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と、固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は、内槽23を排水口25と内槽密封機構7が対向する位置にロックするための唯一の噛合位置を有する。
【0038】
具体的には、以下の方式で、唯一の位置におけるクラッチカバー9と固定カバー8との噛合を実現可能である。
【0039】
本実施例の一実施形態として、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには1つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには1つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0040】
本実施形態では、クラッチカバーに1つの噛合歯/噛合溝を設置し、これに対応して、固定カバーに1つの噛合溝/噛合歯を設置することで、双方が然るべく連携した場合にのみクラッチカバーと固定カバーとの噛合及び固定を実現可能とする。クラッチカバー9と固定カバー8には唯一の噛合位置しか存在しないため、本実施形態のクラッチカバーと固定カバーの構造は比較的シンプルである。
【0041】
本実施例の更なる実施形態として、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには、直径が共通しない2つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには直径が共通しない2つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0042】
本実施例の方式では、クラッチカバーに直径が共通しない2つの噛合歯/噛合溝を設置し、これに対応して、固定カバーに直径が共通しない2つの噛合溝/噛合歯を設置している。この場合、2つの噛合歯/噛合溝の間が180°の夾角をなさないよう設定することで、クラッチカバー9と固定カバー8は唯一の噛合位置のみを有する。本実施形態のクラッチカバーと固定カバーの構造は比較的シンプルであり、且つ安定性が良好である。また、本実施例の更なる実施形態として、前記クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部はクラッチカバーに設置される噛合歯/噛合溝であり、前記固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部は固定カバーに設置される噛合溝/噛合歯である。前記クラッチカバーには、周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合歯/噛合溝が設置されており、これに対応して、前記固定カバーには周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合溝/噛合歯が設置されている。前記クラッチカバーの噛合歯/噛合溝と固定カバーの噛合溝/噛合歯が噛合して、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックする。
【0043】
本実施例の方式では、クラッチカバーに、周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合歯/噛合溝を設置し、これに対応して、固定カバーに、周方向に不均一に分布する少なくとも3つの噛合溝/噛合歯を設置している。この場合、クラッチカバー上の3つの噛合歯/噛合溝と固定カバー上の3つの噛合溝/噛合歯がそれぞれ対応したときにのみ噛合可能となるため、クラッチカバー9と固定カバー8は唯一の噛合位置のみを有する。本実施形態のクラッチカバーと固定カバーの構造は比較的シンプルであり、且つ安定性が良好である。
【0044】
更に、クラッチカバー9と固定カバー8が所定の位置で噛合した場合にのみ排水口25が内槽密封機構7と対向して内槽23の密封を実現し得るよう保証すべく、前記固定カバー8の固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部には、クラッチカバー噛合凸部/クラッチカバー噛合凹部と固定カバー噛合凹部/固定カバー噛合凸部が所定の位置で噛合したか否かを検出するための位置検出装置16が設置される。
【0045】
好ましくは、本実施例における位置検出装置16は、固定カバー噛合凹部の内部の底壁に設置されるマイクロスイッチとすることができる。クラッチカバー噛合凸部と固定カバー噛合凹部が所定の位置で噛合したとき、クラッチカバー噛合凸部は前記マイクロスイッチをトリガする。
【0046】
本実施例の洗濯機は、内槽底部に設置される集水装置を含む。集水装置は、内槽からの排水を収集するための集水室を有する。前記内槽密封機構は集水装置の底壁に設置される。内槽密封機構は、密封駆動部材及び密封閉塞部材を含む。前記密封駆動部材は、内槽の排水口と内槽密封機構が対向しているとき、密封閉塞部材を上方に運動させて排水口を閉塞する。また、密封駆動部材は、密封閉塞部材を下方に運動させて排水口を開放する。
【0047】
本実施例における洗濯機の内槽23は貯水槽となり、内槽23の外部には集水装置が設置される。集水装置は、
図2及び
図3に示される外槽24としてもよいし、外槽24を設置しなくともよい。集水装置は、集水室を有して一時貯水の機能を実現する。集水装置の高さは内槽23の高さよりも小さい。集水装置は、内槽23の下方に位置するとともに、内槽23と同軸に設置される。また、前記集水装置の上部開口は内槽23の脱水孔よりも低く設置される。内槽の槽壁には、上から下に向かって集水装置の集水槽内まで延伸する排水経路が設置される。排水経路は内槽23の脱水孔と連通している。
【0048】
本実施例における上記のクランクトレインは伝動プーリ21と伝動ロッド22を含む。前記伝動プーリ21は動力部材20の回動出力端に設置される。前記伝動ロッド22の一端は、第1ヒンジ23を介して伝動プーリ21に偏心接続される。また、伝動ロッド22の他端は、第2ヒンジを介してシフトフォーク14に接続される。前記減速機構は、更に、入力ブッシュ13の内部に配設される入力軸11を含む。また、前記減速機構は、入力軸11に固定されて同期して回動するトルク伝達ブッシュ10を含む。前記クラッチカバー9はトルク伝達ブッシュ10と固定カバー8の間に位置する。
【0049】
前記動力部材20は第1位置規制位置を有する。動力部材20の回動出力端が伝動プーリ21を第1位置まで回動させると、伝動プーリ21は伝動ロッド22を動作させて、シフトフォーク14によりクラッチカバー9をトルク伝達ブッシュ10に噛合させる。
【0050】
前記動力部材20は第2位置規制位置を有する。動力部材20の回動出力端が伝動プーリ21を第2位置まで回動させると、伝動プーリ21は伝動ロッド22を動作させて、シフトフォーク14によりクラッチカバー9を固定カバー8に噛合させる。
【0051】
好ましくは、前記動力部材20の第1位置規制位置は以下を満たす。即ち、動力部材の回動出力端が第1位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリは、第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の上端まで運動させる。また、前記動力部材20の第2位置規制位置は以下を満たす。即ち、動力部材の回動出力端が第2位置規制位置まで回動するとき、伝動プーリは、第1ヒンジを伝動プーリの垂直径方向の下端まで運動させる。
【0052】
本実施例の一実施形態として、本実施例における上記のシフトフォークアセンブリは、固定的に設置されるシフトフォークベース6を含む。シフトフォーク14の中央部は、回動可能にシフトフォークベース6に装着される。前記シフトフォーク14は、伝動ロッド22に接続される駆動端18と、クラッチカバー9に挟接される挟接端17を有する。前記駆動端18には伝動接続部材19が固定的に設置され、前記伝動ロッド22の端部は第2ヒンジを介して伝動接続部材19に接続される。
【0053】
具体的に、前記伝動接続部材19は接続ボルトである。前記シフトフォーク14の駆動端18には貫通孔が備わっており、前記接続ボルトは、貫通孔を貫通してナットにより駆動端に固定的に装着される。また、前記第2ヒンジは接続ボルトに設置される。
【0054】
本実施例における上記の洗濯機は外槽24を含み、前記減速機構及びクラッチ機構は、外槽24の槽底底壁における装着大プレート3に固定される。減速機構は、更に、装着大プレート3に固定されるハウジング5を含む。ハウジング5の内部には、減速歯車列を収容するための内部空間が備わっている。本実施例における前記固定カバー8はハウジング5に固定的に装着され、前記動力部材20は装着大プレート3に装着される。
【0055】
本実施例における上記の入力軸11の外周にはアウタースプラインが設置されており、前記トルク伝達ブッシュ10にはインナースプラインが備わっている。トルク伝達ブッシュ10のインナースプラインは入力軸11のアウタースプラインに嵌合する。また、トルク伝達ブッシュ10は、入力軸11と同期して回動する。トルク伝達ブッシュ10は脱水噛合歯を有し、前記クラッチカバー9におけるトルク伝達ブッシュ10に近接する一端には下噛合歯が設置される。前記クラッチカバー9の下噛合歯は前記トルク伝達ブッシュ10の脱水噛合歯と噛合する。また、入力軸11は入力ブッシュ13と同期して回動する。
【0056】
本実施例の入力軸11には、入力軸と駆動モータのロータを固定的に接続するためのモータ緊締ナット12が配設される。また、前記トルク伝達ブッシュ10における駆動モータ26に近接する一端の端面には緩衝パッドが設置される。
【0057】
本実施例の入力ブッシュ13には、クラッチカバー9を弾性的に復元及び噛合させるためのクラッチ圧縮バネ15が配設される。クラッチ圧縮バネ15は、クラッチカバー9とハウジング5の底部の端面との間に設置される。
【0058】
本実施例の減速機構は制動輪を含み、前記入力ブッシュ13、出力ブッシュ2はそれぞれ前記制動輪に固定的に接続される。
【0059】
本実施例における洗濯機の内槽23内にはパルセータが設置され、前記出力軸1はパルセータに固定的に接続される。
【実施例2】
【0060】
図4に示すように、本実施例は、実施例1とは異なるシフトフォーク駆動装置を提供する。本実施例の外槽には排水口が備わっている。また、外槽底部には、排水口の開閉を制御する排水弁27と、排水弁27の動作を牽引する排水モータ28が装着される。制動輪の外周には制動バンドが設置され、制動バンドの一端は制動レバー4に接続される。また、制動レバー4には制動レバーねじりバネが設置される。前記排水モータ28は、更に前記制動レバー4に接続される。本実施例の洗濯機は、排水モータ28が排水弁27及び制動レバー4を牽引するときに、制動レバー4によりシフトフォーク14の揺動を制御する。
【0061】
また、内槽密封機構7の密封閉塞部材が下降したあと、内槽23の水は内槽と外槽の間に排出される。このとき、
図4に示す排水モータ28が動作して、シフトフォークを制御するとともに、外槽上の排水弁27も牽引し得るため、外槽からの排水が実現される。
【実施例3】
【0062】
本実施例は、洗濯機の制御方法を提供する。洗濯機は、洗浄又はすすぎプログラムを実行する際、クラッチ機構の動力部材がクランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させて、内槽を排水口と内槽密封機構が対向する位置にロックするよう制御するとともに、内槽密封機構が排水口を密封するよう制御する。
【0063】
更に、洗濯機は、減速機構の入力軸に接続される駆動モータを含む。
【0064】
洗濯機は、クラッチ機構の動力部材がクランクトレインを介してシフトフォークを動作させ、クラッチカバーを固定カバーに噛合させるよう制御する過程において、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出した場合に給水過程を開始する。また、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、位置検出装置が所定位置噛合信号を検出するまで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御する。
【0065】
好ましくは、洗濯機が、所定の時間T0まで駆動モータをゆっくりと回動させるよう制御したあと、位置検出装置が依然として所定位置噛合信号を検出しなかった場合には、現在のプログラムを一時停止する。
【0066】
【0067】
内槽の位置決め過程:動力部材20が回動し、伝動プーリ21を介して伝動ロッド22を押動することで、シフトフォーク14を揺動させるよう制御する。すると、シフトフォーク14の他端がクラッチカバー9を上方に押動して固定カバー8と噛合させる。
【0068】
この場合には、次の2種類の状況が存在する。
【0069】
1.クラッチカバー9のクラッチカバー噛合凸部と固定カバー8の固定カバー噛合凹部がちょうど整列し、円滑に噛合可能となる。
【0070】
2.クラッチカバー9のクラッチカバー噛合凸部と固定カバー8の固定カバー噛合凹部が整列しない。この場合には、駆動モータ26をオンにして、ゆっくりと回動させることで、固定カバー8と所定の位置で噛合可能となるまでクラッチカバー9をゆっくりと回動させる必要がある。クラッチカバー9を回動させる際には、内槽も同期して回動する。そして、クラッチカバー9が固定カバー8と所定の位置で噛合したとき、内槽の排水口25は内槽密封機構7とちょうど整列可能となる。
【0071】
クラッチカバー9と固定カバー8の噛合が完了すると、位置検出装置が圧縮されて、その信号が駆動モータ26をオフにするよう制御する。これにより、内槽の位置決め過程が完了する。
【0072】
クラッチカバー9と固定カバー8は、噛合状態になると回動不可能となる。且つ、入力ブッシュ13の外周歯とクラッチカバー9の内周歯が噛合し、入力ブッシュ13が回動不可能となる。このとき、出力ブッシュ2と内槽23も固定され、回動不可能となる。また、内槽23の排水口25と外槽上の内槽密封機構7は同一位置に配置される。このとき、密封閉塞部材が上昇し、内槽の排水口25を閉塞可能となる結果、内槽の密封が実現される。
【0073】
内槽の位置決め分離過程:動力部材20が回動し、伝動プーリ21を介して伝動ロッド22を押動することで、シフトフォーク14を揺動させるよう制御する。すると、シフトフォーク14の他端がクラッチカバー9から離開する。このとき、クラッチカバー9は、クラッチ圧縮バネ15の弾性力によって、下方に移動して固定カバー8から分離するとともに、トルク伝達ブッシュ10と噛合する。
【0074】
この場合には、次の2種類の状況が存在する。
【0075】
1.クラッチカバー9の噛合歯とトルク伝達ブッシュ10の噛合歯がちょうど整列し、円滑に噛合可能となる。
【0076】
2.クラッチカバー9の噛合歯とトルク伝達ブッシュ10の噛合歯が整列しない。この場合には、駆動モータ26をオンにして、ゆっくりと回動させることで、トルク伝達ブッシュ10の噛合歯と所定の位置で噛合可能となるまでクラッチカバー9をゆっくりと回動させる必要がある。
【0077】
このとき、内槽は入力軸と同期して回動可能となり、脱水が実現される。
【0078】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変更或いは改変は、同等に変形された等価の実施例であって、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び改変は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0079】
1 出力軸
2 出力ブッシュ
3 装着大プレート
4 制動レバー
5 ハウジング
6 シフトフォークベース
7 内槽密封機構
8 固定カバー
9 クラッチカバー
10 トルク伝達ブッシュ
11 入力軸
12 モータ緊締ナット
13 入力ブッシュ
14 シフトフォーク
15 クラッチ圧縮バネ
16 位置検出装置
17 挟接端
18 駆動端
19 伝動接続部材
20 動力部材
21 伝動プーリ
22 伝動ロッド
23 内槽
24 外槽
25 排水口
26 駆動モータ
27 排水弁
28 排水モータ
29 外槽シールリップ
30 排水管