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特許7577222船艇に機器モジュールを積載及び固定するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】船艇に機器モジュールを積載及び固定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 83/20 20200101AFI20241025BHJP
   B63G 1/00 20060101ALI20241025BHJP
   B63G 3/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
B63B83/20
B63G1/00
B63G3/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023543467
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076684
(87)【国際公開番号】W WO2022069488
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】63/084,733
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523115678
【氏名又は名称】エスエイチ グループ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ルネ ベルテルセン
(72)【発明者】
【氏名】ラーズ プレスト
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176945(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0048391(KR,A)
【文献】特開2005-219775(JP,A)
【文献】特表2016-530434(JP,A)
【文献】特開平11-013147(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 83/20
B63G 1/00
B63G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船艇若しくは潜水艦などの海洋船舶(1)の搭載面(6)に機器を接続するためのシステムであって、
フレーム本体(101)を備えるスキッドフレーム(100)であって、前記フレーム本体(101)は上面(102)及び下面(104)を備える、スキッドフレーム(100)と、
前記搭載面(6)に固定され、前記スキッドフレーム(100)の前記下面(104)に取外し可能に係合するように適合された搭載占有領域部(200)と、
機器を収容するための1以上の機器モジュール(50)であって、該1以上の機器モジュール(50)は前記スキッドフレーム(100)の前記上面(102)に取り付けられるように適合され、それにより前記機器モジュール(50)は前記搭載面(6)に前記スキッドフレーム(100)を介して間接的に接続される、1以上の機器モジュール(50)と、
を備え、
前記機器モジュール(50)は、前記スキッドフレーム(100)の前記上面(102)に固定手段(220)によって取外し可能に取り付けられ、
前記搭載占有領域部(200)は複数の定着点(215)を備え、前記スキッドフレーム(100)は複数の係合用定着点を備え、
前記定着点(215)は、前記固定手段(220)を備えるシステム。
【請求項2】
複数の機器モジュール(50)が、前記スキッドフレーム(100)の前記上面(102)に取外し可能に取り付けられた、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の機器モジュール(50)は、固定手段(220)を用いて相互に対して取外し可能に取り付けられた、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記固定手段(220)は、ツイストロックである、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スキッドフレーム(100)は、2本以上の平行な当て木(130)及び2本以上の平行なフレーム梁を有するフレーム本体(101)を備え、前記当て木(130)は前記梁に略垂直である、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記フレーム本体(101)は、前記フレーム本体(101)のコーナーに配置された複数の前記定着点(215)を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記フレーム本体(101)は、該フレーム本体(101)のコーナー間の前記当て木(130)及び/又は前記フレーム梁に配置された複数の定着点(215)を備える、請求項又はに記載のシステム。
【請求項8】
前記スキッドフレーム(100)は複数の部分(107)からなり、該部分(107)は、分離及び接続可能な、より小さなスキッドフレームである、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のスキッドフレーム(100)であって、
2本以上の平行な当て木(130)及び2本以上の平行なフレーム梁を備えるフレーム本体(101)であって、前記当て木(130)は前記梁に略垂直である、フレーム本体(101)と、
複数の定着点(215)と、
を備えるスキッドフレーム(100)。
【請求項10】
前記フレーム本体(101)は、前記フレーム本体(101)のコーナーに配置された複数の定着点(215)、並びに前記フレーム本体(101)の前記コーナー間の前記当て木(130)及び/又は前記フレーム梁に配置された複数の定着点(215)を備える、請求項に記載のスキッドフレーム(100)。
【請求項11】
前記スキッドフレーム(100)は、分離及び接続可能な、より小さなスキッドフレームである複数の部分(107)からなり、請求項又は10に記載のスキッドフレーム(100)。
【請求項12】
請求項1に記載の搭載占有領域部であって、
1以上の定着点(215)と、
前記定着点(215)において取外し可能に搭載されるように適合され、コンテナコーナー(110)に係合するように適合された1以上の固定手段(220)と、
を備える搭載占有領域部。
【請求項13】
船艇若しくは潜水艦などの海洋船舶(1)の搭載面上に機器モジュール(50)を支持するためのスキッドフレームを横向きに積み込み、それを前記搭載面(6)の請求項1に記載の搭載占有領域部(200)に固定する方法であって、
前記スキッドフレーム(100)をリフトなどの昇降手段(15)に固定するステップと、
続いて前記昇降手段(15)を上昇させて前記スキッドフレーム(100)を前記搭載面(6)以上の高さまで上昇させるステップと、
前記スキッドフレーム(100)が前記搭載面(6)以上の高さとなると、前記スキッドフレーム(100)を前記搭載占有領域部(200)上に横向きに搬送するステップと、
前記スキッドフレーム(100)を前記搭載面(6)の前記搭載占有領域部(200)に固定する固定手段(220)を係合させるステップと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船艇に機器モジュールを積載及び固定することの分野に関する。具体的には、本発明は、スキッドフレームを用いて機器モジュールを船艇の側部内に積載し、それらを取外し可能に船艇に固定することに関する。
【背景技術】
【0002】
軍事又は産業の任務に使用される船艇は、国家及び企業にとっての高額な投資である。船艇はまた、特殊なタスク、すなわち、軍事紛争、研究プログラム又は海洋工事に高度に特化されている場合がある。複数のそのような船艇が同時に必要となる場合はあるが、連続的に使用していることはほとんど見られない。そのため、船艇は長期間にわたって使用される必要がほとんどないため、それらは高額なものとなり、投資の回収が遅くなる。
【0003】
したがって、船艇上で機器を交換可能とすることによって、そのような船艇を多目的利用することができれば有益である。しかし、使用される機器は、大砲又はクレーンなどの頑丈なものであり、船艇の側部に沿った凹部に配置されることが多く、したがって、機器を交換する処理は時間を要しかつ高額なものとなる。そのような巨大な機器を船艇から除去するには、船体を切り開いてそれを持ち上げて取り出すことが必要となる。これは、クレーンは上方に持ち上げるように構成されているため、機器が船艇の側部に配置される状況であっても必要となる。さらに、新たな機器が船艇上に搭載されることが必要となる毎に、異なる形状及び占有領域部(footprint)を有する新たな機器がどのようにして船艇に搭載可能となるかを決定するために手間のかかる準備が必要となる。その手順自体も、古い機器を切り離して新たな機器を適所に溶接することを要する。この手順では、数週間又はさらには数か月もの間、船艇が停泊されていなければならない。したがって、どのような機器の交換も、時間及び金額の投資であり、通常は長期の改修が必要となってしまう。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、上記困難の一部は、様々な機器モジュールを船舶上に迅速かつ容易に積載し、積み降ろし、それらを船上に固定するためのシステム及び方法を提供することによって軽減され、それにより、様々な、それでも高度に特化した目的のために同じ船艇を使用することが可能となる。
【0005】
上記課題及び有利な効果は、本発明の説明から明白となる多数の他の課題及び有利な効果とともに、船艇(ship)若しくは潜水艦又は他の任意の船舶(marine vessel)などの海洋船舶(sea vessel)の搭載面に機器を接続するためのシステムによって得られる本発明の第1の態様に係る。そのシステムは、
フレーム本体を備えるスキッドフレームであって、前記フレーム本体は上面及び下面を備える、スキッドフレームと、
前記搭載面に固定され、前記スキッドフレームの前記下面に取外し可能に係合するように適合された搭載占有領域部と、
機器を収容するための1以上の機器モジュールであって、該1以上の機器モジュールは前記スキッドフレームの前記上面に取り付けられるように適合され、それにより前記機器モジュールは前記搭載面に前記スキッドフレームを介して間接的に接続される、1以上の機器モジュールと、
を備える。
【0006】
スキッドフレームは、複数のモジュールを1つのユニットとして接続及び移動可能とする機器モジュールのための支持を与える。スキッドフレームはさらに、数トンもの質量の重機が積載されることがあり、あるいは意図する場所に適合させるのが困難であったこれらの機器モジュールの移動を容易とする。
【0007】
搭載占有領域部は、スキッドフレームが搭載面に固定又は一体化可能となるようにかつスキッドフレーム又は機器モジュールの意図しない移動の危険がないようにスキッドフレームを受容するように適合される。
【0008】
搭載占有領域部は、各種搭載面に一体化され得る。例えば、搭載占有領域部は船艇凹部において搭載面に一体化されてもよく、機器モジュールはこのスキッドフレームを用いて上記船艇凹部に側部から積載され、積み降ろされ、その後に船艇上の適所に保持され得る。搭載占有領域部は、スキッドフレーム及び機器モジュールを昇降するのに使用可能な昇降手段に一体化され得る。ここで、搭載占有領域部は、スキッドフレーム及び機器モジュールが完全に固定されて昇降手段から落下する危険がないことを確実にする。
【0009】
搭載占有領域部が船艇の搭載面に一体化される場合、それは、スキッドフレーム及び搭載占有領域部を通じて船艇に搭載された機器によって付与される何らかの横向きの力が、スキッドフレームが搭載占有領域部に係合する地点を通じて船体に伝達されるという追加の利点を有する。これは、船艇を補強又は改造することを要さずに、船艇の側部に設置された機器、例えば、船艇の側部から突出する舷門、又は船艇の側部に沿って物を上昇若しくは降下させる必要があるクレーンの具体的な使用に応じて、システムが船艇の側部から外方向に大きな力を受けることを可能とする。船艇に対して様々な方向に力を付与する機器を取扱い可能とするのに船艇を改造又は再工学設計することが不要であることで、船艇において機器を交換することに関する時間及びコストを大幅に短縮することができ、広範な様々な用途の機器に適合可能とすることができる。
【0010】
好ましくは、スキッドフレーム及び搭載占有領域部の双方が特定の規格に準拠するように構成され、これにより、搭載占有領域部が準備された搭載面上にそれらが確実に適合可能となるため、それらが機器モジュール内に収容される限り、多数の異なるタイプの機器の適合性が得られる。これにより、機器の船艇外での準備を行うこと、すなわち、それを機器モジュール内に搭載することを可能とし、機器が船艇上に積み込まれて適所に固定されるために船艇が停泊しなければならない時間を大幅に短縮する。これは、当該特定の船艇に対して設計される態様で固定されなければならない機器とともに船艇を改造するのに従来必要であった数週間又は数か月ではなく、船艇に積み込まれるべき機器モジュールのサイズ及び量に応じて1~2日しかかからない。
【0011】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、機器モジュールは、スキッドフレームの上面に恒久的に取り付けられている。
【0012】
スキッドフレームを機器モジュールの上面に完全に一体化させることは、機器モジュールが、具体的にはスキッドフレームが固定されるために存在する搭載占有領域部がある場所で用いられることが意図される場合に有益である。機器モジュールをスキッドフレームに一体化させることは、さらに、システムの安定性を増加させ、結合されたシステムを輸送又は配備可能とするのに必要な準備及び相互作用の量を最小化する。さらに、機器モジュールをスキッドフレームに取外し可能に取り付けるために必要な固定手段の量を最小化することで、結合されたシステムの価格が低下し得る。
【0013】
機器モジュールをスキッドフレームの上面に恒久的に取り付けることの利点は、搭載占有領域部が存在する場所において常に使用又は保存される機器モジュール、例えば、常に船艇に搭載されて使用されることが意図されるが断続的に陸地から使用される必要がない機器モジュールに関係する。これは、例えば、陸地で使用される必要がない舷門、小型ボート又は潜水ドローンの形態で機器を有する機器モジュールに関連し得る。
【0014】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、機器モジュールは、固定手段によって上記スキッドフレームの上面に取外し可能に取り付けられる。
【0015】
機器モジュールがスキッドフレームに取外し可能に接続されることを可能とすることによって、機器モジュールがスキッドフレーム及び搭載占有領域部から独立して断続的に使用されることになる。機器モジュールをスキッドフレームから取り外すことができるので、機器モジュールは、更なる固定手段の必要又は他の最終位置の適合を必要とせずに、それらの最終位置に配置可能となる。これは、機器モジュールが、船艇から離れた最終目的地点に対して意図された機器を収容する場合に、特に重要であり、搭載占有領域部を設けることによって準備することが可能ではなかった領域で機器が必要とされ得る救援活動に関して、より一層重要である。これは、例えば、機器モジュールが収容設備、可搬研究室、入院前設備又は仮設事務所スペースを含む場合であり得る。
【0016】
機器モジュールをスキッドフレームに取外し可能に接続することはまた、船舶上で使用されることが主に意図された機器を有する機器モジュールに有益となり得る。これは、スキッドフレームから取り外された機器モジュールを格納してそのスキッドフレームを他の機器モジュールのために使用可能とし、現在不使用の機器モジュールを搭載占有領域部のない格納空間に格納することが好ましい場合もあるためである。
【0017】
さらに、機器モジュールから取外し可能なスキッドフレームは相互に取り付け可能でもあり、それにより、スキッドフレームのスタックを、それらが必要となる場所に輸送することがより容易となる。
【0018】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、機器モジュール又は複数の機器モジュールが、スキッドフレームの上面に取外し可能に取り付けられる。
【0019】
本発明の更なる実施形態では、複数の機器モジュールが、固定手段を用いて相互に対して取外し可能に取り付けられる。
【0020】
単一のスキッドフレームは、それが、スキッドフレーム上に並置され又は相互に積載され得る複数の機器モジュールを収容できるように寸法取りされ得る。上記機器モジュールを相互に取外し可能に取り付けることができることは、どの機器が搭載システムにおいて利用可能となるのかについての柔軟性が増すという利点を与える。機器モジュールが必要となる任務に応じて、複数のタイプの機器が必要となり得る。同じスキッドフレームに対して取外し可能に取り付けられて接続可能とされたモジュールを提供することによって、各使用事例に対して最も関連する機器を選択することが可能となる。さらに、モジュール性は、一部のタイプの機器モジュールが複数の他の機器モジュールと相乗的に使用されることを可能とする。例えば、同じホルダ又は安定化手段が複数の小型船舶に対して使用されてもよいし、又は着揚水システムの一部分が様々なタイプのドローンに対して使用されてもよく、一方で、例えば、飛行又は航行ドローンのために特化した要件を適応させるように必要に応じて他の部分が交換されてもよいし、又はそれらは収集サンプルを処理するために関係する分析機器に取り付けられてもよい。
【0021】
固定手段を用いて複数の機器モジュールを相互に確実に取り付け可能であることで、モジュール性及びカスタマイズ可能性が安全性を犠牲にすることなく、使用される機器モジュールの数にかかわらず、システムを安定かつ安全な状態とすることができる。
【0022】
好ましくは、同じ固定手段が、機器モジュールを相互に取外し可能に取り付けてそれらをスキッドフレームに取り付けるために使用される。これにより、1つのタイプの固定手段をどのように使用するかを知るだけでよく、誤った固定手段を誤った位置で使用してしまう危険がないため、ユーザによる取扱いが容易かつ便利となる。また、固定手段が、標準化されて直ちに利用可能なものとなり得る周知のタイプのものであると好ましい。
【0023】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、搭載占有領域部は複数の定着点(anchoring point)を備え、スキッドフレームは複数の係合用定着点を備える。
【0024】
定着点は、スキッドフレームが搭載面上の正しい位置にガイドされ、さらに固定手段が係合するための場所を与えることを確実にするのに役立つ。基準/固定点は、コンテナコーナーに対応する固定手段が直ちに使用可能となるように、搭載面に埋め込まれた、コンテナコーナー規格に従う構造物を備え得る。他の変形例では、定着点は、コンテナコーナーではなく、ツイストロックの形態で固定手段に係合可能な他の構造物である。一変形例では、定着点は、輸送コンテナ業界で知られたデッキソケットであってもよい。
【0025】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、定着点は、固定手段を備える。
【0026】
固定手段は、スキッドフレームのいずれの移動も起こらないように、スキッドフレームが搭載面に固定されることを可能とする。
【0027】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、固定手段は、ツイストロックである。
【0028】
ツイストロックは輸送コンテナ業界では周知であり、多数のタイプが同じ規格に準拠するように、例えば、ISO1161規格のコンテナコーナーで使用可能となるように構成されている。したがって、本発明のシステムにおける固定手段としてツイストロックを用いることは、部品及びそれらをどのように使用するかの知識の双方の利用可能性が広いという利益を有し、機器モジュール及びスキッドフレームを固定する人員を訓練することが容易となる。
【0029】
さらに、ツイストロックを固定手段として用いることは、機器モジュール及びスキッドフレームを周知の輸送コンテナに適合させる可能性を与える。そのような適合性は、輸送中に使用する必要のない物品を機器モジュールとともに輸送コンテナに格納させることができ、それは機器への容易なアクセスを可能とする。
【0030】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、スキッドフレームは、2本以上の平行な当て木(batten)及び2本以上の平行なフレーム梁を有するフレーム本体を備え、当て木は当該梁に略垂直である。
【0031】
スキッドフレームの梁及び当て木は、スキッドフレームを重機、コンテナ又は機器モジュールなどの高重量の物体に対する支持体として機能可能とする安定構造を与える。
【0032】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、フレーム本体は、当該フレーム本体のコーナーに配置された複数の上記定着点を備える。
【0033】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、フレーム本体は、フレーム本体のコーナー間の当て木及び/又はフレーム梁に配置された複数の定着点を備える。
【0034】
コーナー並びに/又はコーナー間の当て木及び/若しくは梁などの複数の位置に定着点を有するスキッドフレームを配置することで、汎用的なスキッドフレームが得られ、図4aにも示すように、単一若しくは複数の機器モジュールがスキッドフレームの全表面積に接続され、又は単一若しくは複数のコンテナがスキッドフレームの表面の一部のみに接続され得る。
【0035】
本発明の第1の態様に係る更なる実施形態では、スキッドフレームは複数の部分からなり、その部分は分離及び接続可能な、より小さなスキッドフレームである。
【0036】
各部分はそれ自体でスキッドフレームであり、これらは、複数の部分からなる、より大きなスキッドフレームを形成するように結合可能である。スキッドフレームを各部分について、より小さなスキッドフレームに分割することができ、それらを再度接続することで、汎用性が高まる。より小さな機器モジュールが必要な場合、より小さなスキッドフレームを有することで、例えば、いずれの機器モジュールも支持しない部分を分離可能とすることによって、海洋船舶に搭載されるシステムを最小限の重量とすることができる。さらに、スキッドフレームの部分がモジュール性を有することで、それらは後に異なる寸法に対して接続可能となるので、スキッドフレームの各サイズの別個の生産を必要とするのではなく、異形のスキッドフレームの生産を少なくすることができるため、スキッドフレームの生産ラインを効率化することもできる。さらに、スキッドフレームをより小さな部分に分割可能とすることで、スキッドフレームはそれらが格納される領域に最も適合するように接続又は分離可能であるため、スキッドフレームの輸送及び格納を容易化することができる。
【0037】
本発明の第2の態様によると、上記課題及び有利な効果は、コンテナモジュールを支持するためのスキッドフレームによって得られる。そのスキッドフレームは、
2本以上の平行な当て木及び2本以上の平行なフレーム梁を備えるフレーム本体であって、前記当て木は前記梁に対して略垂直である、フレーム本体と、
複数の定着点と、
を備える。
【0038】
スキッドフレームの梁及び当て木は、スキッドフレームを重機、コンテナ又は機器モジュールなどの高重量の物体に対する支持体として機能可能とする安定構造を与える。
【0039】
コンテナコーナーは、輸送コンテナ業界で周知であり、一般にISO規格に従うように構成される。コンテナコーナーは、輸送コンテナ又はコンテナモジュールなどの各種の積載物をスキッドフレームに容易に固定する手段を提供する。一般に周知のコンテナコーナーを用いることによって、スキッドフレームは、スキッドフレームはツイストロックなどの周知の固定手段に適合し、その適合性は安価でかつ使用を容易とし、輸送コンテナを扱う作業をする経験を有する者は最小限の追加の訓練によってスキッドフレームを取り扱うことができる。
【0040】
スキッドフレーム上にコンテナコーナーを有することで、機器モジュール又はコンテナをそれらに取外し可能に固定することが可能となり、さらに、スキッドフレーム自体が、同様の周知の機器、例えば、更なるコンテナコーナー及びツイストロックなどの固定手段が使用され得る固定点に固定可能となる。複数のスキッドフレームが、コンテナコーナー及び固定手段を用いて相互に積載及び固定されてもよく、多数のスキッドフレームをともに輸送することが容易となる。
【0041】
当て木は、当て木の下側から突出する複数の車輪を備え、これによりスキッドフレームの容易な移動が可能となる。あるいは、複数の車輪が、占有領域部上若しくは占有領域部内に、又は機器モジュールを海洋船舶の搭載面に積み込むためのリフト手段上に設けられてもよい。この移動の可能性によって、スキッドフレーム及びそれに潜在的に取り付けられる物品が、限られたスペースの領域に移動可能となる。スキッドフレームは車輪が回転する方向に直線的に移動可能であるので、スキッドフレーム及びそれに取り付けられる物を転動させて、スキッドフレーム及び装着物の最小限の隙間を可能とするスペース以下の大きさのスペースに入れることができる。現状では、重機又はコンテナを車両及び船舶に積み込むためには追加のスペースを有する必要があり、それにより、それらが輸送可能となる方法を制限してしまうため、上記は非常に有益となる。通常、重機及びコンテナを輸送手段に積載し又はそれらを使用場所に置くのにクレーンを使用する必要があり、これは輸送コンテナ又は機器モジュールなどの積載物が配置される位置の上方に開放空間を有する必要があることを意味する。開放空間が必要となることで、積載物が配置可能な場所が制限され、又は対象領域の面倒かつ高価な改修が必要となる。
【0042】
輸送コンテナ又は機器モジュールを横向きに移動させる能力は、例えば、通常は船艇の側部に沿った凹部に配置された兵器システムなどの特化した機器を有する艦船などの特化した船艇の背景において特に有益である。従来の機器システムによると、通常は、船艇凹部内に配置された重機を交換可能とするためには、その凹部の上方の船艇のいずれかの部分を除去することが必要となり、新たな機器の交換及び固定は特定の船艇に適合するように綿密に計画及び設計されなければならない。これは、面倒かつ高価な手順となる。実際には、機器が短期間で交換されることは稀であり、例えば2種類の運用の間での頻繁な交換はほとんど無意味であることを意味する。
【0043】
スキッドフレームがあれば、重機を上方からではなく意図する位置に隣接して積載し、積み降ろすことができる。これにより、例えば、輸送コンテナ又は機器モジュールとともにスキッドフレームが埠頭から積み込まれて船艇凹部に積み降ろされることが可能となり、又は他の変形例では、機器モジュールとともにスキッドフレームを、それが必要な船艇への積載用船艇から積載することも可能となる。
【0044】
複数の上昇手段によって、スキッドフレームが、それが置かれている面の上方に上昇可能となる。上昇手段が展開されると、スキッドフレームは車輪ではなく上昇手段のみに載る。これにより、搭載面から突出している固定手段、例えば、コンテナコーナー内部の空洞内に展開することによってコンテナコーナーに係合するツイストロックとともに、スキッドフレームを使用することが可能となる。スキッドフレームが上昇されなければ、スキッドフレームは搭載面から突出する固定手段の位置を通過することができず、その固定位置から取り外される必要があってもスキッドフレームの下方から固定手段を除去することもできない。上昇手段は、スキッドフレームが再度降下されて新たに表れた面に沿って移動可能となる前に、固定手段がスキッドフレームの下方において除去又は配置可能となるように、スキッドフレームを底面の上方に上昇させることができる。
【0045】
上昇手段は、複数の車輪に一体化され得る。本発明のその変形例では、上昇手段は、複数の車輪が依然として搭載面に係合している間に、スキッドフレームのフレーム本体を搭載面の上方に上昇させる。この変形例では、フレーム本体が上昇される間に、スキッドフレームを水平移動させることができる。これにより、例えば、上昇手段がフレーム本体を上昇可能とするよりも高く固定手段又は他の要素が突出しない限り、スキッドフレームは搭載面から突出する固定手段又は他の要素を通過することができる。それらの突出する要素は、スキッドフレームが搭載されるべき場所に又はそこからスキッドフレームを移動させるために車輪が搭載面に係合している場所には配置されない。
【0046】
他の変形例では、上昇手段は、スキッドフレームで構成される必要はない。実際には、搭載占有領域部が、スキッドフレームに係合及び上昇するための上昇手段を備え得る。この占有領域部上昇手段は、搭載占有領域部から上方に突出するように作動され得る。占有領域部上昇手段がスキッドフレームに係合するので、占有領域部上昇手段はスキッドフレームを搭載占有領域部の上方に上昇させ、固定手段などの搭載占有領域部から突出する要素がスキッドフレームの下方から除去されることを可能とする。そして、占有領域部上昇手段は、降下して搭載面内に格納可能であり、それによりスキッドフレームを搭載面まで再降下させる。上昇手段が搭載占有領域部内に配置されるこの変形例では、スキッドフレームは、占有領域部上昇手段がスキッドフレームに固定的に係合するのに役立つ異なる材料の窪み又は領域など、占有領域部上昇手段が搭載占有領域部から突出している間にそれが移動する危険がないように、占有領域部上昇手段に係合するように適合された上昇点を有し得る。
【0047】
さらに他の変形例では、上昇手段はスキッドフレームにも搭載占有領域部にも一体化されず、上昇手段は外部にあり、スキッドフレームを搭載面以上に上昇させるようにスキッドフレームに取外し可能に係合し得る。この変形例では、上昇手段は、任意の形態をとることができ、スキッドフレームが所望の地点に来ると上昇手段がスキッドフレームを上昇させることができるように配置されるだけでよい。スキッドフレームが昇降されると、上昇手段は再度除去され得る。上昇手段をスキッドフレームから分離させることによって、スキッドフレームを簡素化することができ、スキッドフレーム自体において電子装置又は油圧装置は必要ではない。
【0048】
上昇手段は、油圧ジャッキシリンダであり得る。油圧ジャッキシリンダは、周知であり、容易に入手可能な上昇手段であり、それらは使用に際して安価かつ実用的となる。ジャッキシリンダも周知であり、多数のタイプの機器モジュールに必要となり得るような数トンの重い積載物を取扱い可能とするように充分に試験される。スキッドフレームは、100トンを超える積載物を取り扱うことができる。
【0049】
一部の変形例では、上昇手段は、油圧ジャッキシリンダとなる。これらの場合、スキッドフレームは、一体化される油圧システムを有し得る。それは梁及び当て木の内部に配置され若しくはそれらの梁及び当て木の外部に搭載されてもよいし、又は好ましくは車輪を有する構造物上の外部ユニットであってもよく、それがスキッドフレームとともに水平移動することを可能とする。好ましくは、この油圧システムは、その後にスキッドフレームが載置される面によって又は上面に取り付けられる機器モジュールによって損傷される危険があるため、スキッドフレームの上面又は下面に配置されるべきではない。
【0050】
更なる実施形態では、複数の車輪は、モータ駆動される。複数の車輪をモータ駆動させることによって、スキッドフレームは、スキッドフレーム及びそれに取り付けられた機器モジュールを押し又は引く追加の外力なしに、移動可能となる。複数の車輪をモータ駆動させることで、結果として外部機器の必要性が最小となる。それはさらに、機器モジュールを搭載面に対して積み込み、積み降ろすためのスキッドフレームの使用を自動化する機会を与える。
【0051】
モータ部品及び電源は、スキッドフレームに一体化され得る。好ましくは、これらの部品は、スキッドフレームの上面又は下面から突出することなく、梁及び当て木の内部に配置され、又はこれらの梁及び当て木の外部に搭載される。これらが突出したとすると、それらには、スキッドフレームが載置される面によって又は上面に取り付けられた機器モジュールによって損傷される危険があることになる。
【0052】
実施形態では、スキッドフレームは、遠隔制御信号を処理するための受信機を備える。遠隔制御信号のための受信機を有することで、スキッドフレームの遠隔制御、例えば、上昇手段及び/又はモータ駆動車輪の遠隔作動が可能となる。
【0053】
他の変形例では、スキッドフレームは、1以上の処理ユニットをさらに備え得る。1以上の処理ユニットは、遠隔制御されていたタスクのプログラミングを可能とする。
【0054】
さらに他の変形例では、スキッドフレームは、センサを備え得る。スキッドフレームが、上昇手段を作動させ並びに/又はモータの作動を開始及び停止してスキッドフレームを移動させるための正しい位置となる時を特定するのにセンサが用いられてもよい。
【0055】
本発明の第2の態様の更なる実施形態では、フレーム本体は、当該フレーム本体のコーナーに配置された複数の定着点、並びに当該フレーム本体の当該コーナー間の上記当て木及び/又は上記フレーム梁に配置された複数の定着点を備える。
【0056】
コーナー並びに/又はコーナー間の当て木及び/若しくは梁などの複数の位置に定着点を有するスキッドフレームを配置することで、汎用的なスキッドフレームが得られ、図4aにも示すように、単一若しくは複数の機器モジュールがスキッドフレームの全表面積に接続され、又は単一若しくは複数のコンテナがスキッドフレームの表面の一部のみに接続され得る。
【0057】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、スキッドフレームは複数の部分からなり、その部分は分離及び接続可能な、より小さなスキッドフレームである。
【0058】
先述したように、各部分はそれ自体でスキッドフレームであり、これらは、複数の部分からなる、より大きなスキッドフレームを形成するように結合可能である。スキッドフレームを各部分について、より小さなスキッドフレームに分割することができ、それらを再度接続することで、汎用性が高まる。より小さな機器モジュールが必要な場合、より小さなスキッドフレームを有することで、例えば、いずれの機器モジュールも支持しない部分を分離可能とすることによって、海洋船舶に搭載されるシステムを最小限の重量とすることができる。さらに、スキッドフレームの部分がモジュール性を有することで、それらは後に異なる寸法に対して接続可能となるので、スキッドフレームの各サイズの別個の生産を必要とするのではなく、異形のスキッドフレームの生産を少なくすることができるため、生産ラインを効率化することもできる。さらに、スキッドフレームをより小さな部分に分割可能とすることで、スキッドフレームはそれらが格納される領域に最も適合するように接続又は分離可能であるため、スキッドフレームの輸送及び格納を容易化することができる。
【0059】
本発明の第3の態様によると、上記課題及び有利な効果は、搭載占有領域部によって得られる。その搭載占有領域部は、
1以上の定着点と、
前記定着点において取外し可能に搭載されるように適合され、コンテナコーナーに係合するように適合された1以上の固定手段と、
を備える。
【0060】
上述したように、定着点は、スキッドフレームが搭載面上の正しい位置にガイドされ、さらに固定手段が係合するための場所を与えることを確実にするのに役立つ。基準/固定点は、コンテナコーナーに対応する固定手段が直ちに使用可能となるように、搭載面に埋め込まれた、コンテナコーナー規格に従う構造物を備え得る。本発明の他の変形例では、定着点は、コンテナコーナーではなく、ツイストロックの形態で固定手段に係合可能な他の構造物である。本発明の一変形例では、定着点は、輸送コンテナ業界で知られたデッキソケットであってもよい。
【0061】
上述したように、固定手段は、搭載面が移動する場合でも移動する危険がないように、例えば、搭載面が海洋船舶又は車両上にある場合に、搭載面が切り替わる際にスキッドフレームが重力によって複数の車輪上を転動しないように、スキッドフレームが搭載面に固定されることを可能とする。本発明の変形例では、搭載占有領域部の固定手段は、輸送コンテナ業界で周知の標準ツイストロックである。
【0062】
搭載占有領域部がレールを備える場合、それはスキッドフレームの移動をガイドするのに役立つ。レールは、車輪が回転するのに適した表面を与え、例えば、表面を平坦として車輪が回転するための良好な摩擦を与え得る。本発明の好適な変形例では、レールは、車輪がレールを脱線し得ないが所望の方向にガイドされることを確実にするレールガード、又は車輪に係合してその移動方向をガイドするレール溝を備える。
【0063】
本発明の第4の態様によると、上記課題及び有利な効果は、船艇若しくは潜水艦又は他の任意の船舶などの海洋船舶の搭載面上に機器モジュールを支持するためのスキッドフレームを横向きに積み込み、該スキッドフレームを前記搭載面の搭載占有領域部に固定する方法によって得られる。当該方法は、
前記スキッドフレームをリフトなどの昇降手段に固定するステップと、
続いて前記昇降手段を上昇させて前記スキッドフレームを前記搭載面以上の高さまで上昇させるステップと、
前記スキッドフレームが前記搭載面以上の高さとなると、前記スキッドフレームを前記搭載占有領域部上に横向きに搬送するステップと、
前記スキッドフレームを前記搭載面の前記搭載占有領域部に固定する固定手段を係合させるステップと、
を備える。
【0064】
この横向き積み込みの方法は、機器モジュールを収容するのに必要な隙間しか有さずかつスキッドフレーム及び機器モジュールが通過して進入可能な開口を側部に有するスペースに大量の機器モジュールを積み込むことが可能となるという利点を有する。本方法に係る横向き積み込みを行うことを可能とするのに、過剰なスペースを有する必要はなく、搭載面の上方に空きスペースを有する必要もない。このように、方法は、複数の輸送コンテナと同等の寸法を有して数トンの重量となり得る大量の機器モジュールを受容するように改修される必要があったスペースにおける迅速かつ容易な積み込み及び積み降ろし手段を提供する。
【0065】
さらに、方法は、機器モジュールとともにスキッドフレームが船艇の搭載面に取外し可能に固定されることを可能とし、それにより、機器モジュール自体が搭載占有領域部に適合するスキッドフレームに適合する限り、スキッドフレームを再度除去し、それを、機器モジュール内に全く異なる機器を有する他のスキッドフレームと交換することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、船艇凹部に機器モジュールを有する船艇を示す。
図2図2は、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図3図3は、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図4a図4aは、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図4b図4bは、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図5図5は、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図6図6は、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図7図7は、本発明に係る船艇凹部に積載する処理における様々なステップを示す。
図8図8は、スキッドフレームを斜視図で示す。
図9図9は、スキッドフレームの下面を示す。
図10図10は、スキッドフレームのコーナーを一部拡大した斜視図で示す。
図11a図11aは、機器モジュールが搭載されたスキッドフレームを示す。
図11b図11bは、機器モジュールの固定部を一部拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に、本発明に係る例示実施形態を説明する。
【0068】
以下に、本発明の例示的実施形態が示される添付図面を参照して、本発明をより完全にここに説明する。ただし、本発明は、様々な態様で実現され得るものであり、ここに説明する実施形態への限定として解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全となるとともに当業者に対して本発明の範囲を充分に伝えるように、与えられるものである。全体を通じて、同様の符号は、同様の要素を指す。したがって、同様の要素は、各図の説明に対して詳細には説明されない。
【0069】
図1は、船艇1を示し、この場合では、船艇1の船体の側部に船艇凹部5を有する艦船を示す。機器モジュール50(図4a及び4b参照)は、これらの船艇凹部に配置され得る。このような機器モジュールは、艦船の場合、例えば、兵器ユニット又は小型船舶であり得る。
【0070】
船艇凹部5には、船艇凹部5及び機器モジュール50が環境及び視界から遮蔽された状態とするように船艇凹部5を閉鎖可能とする凹部ハッチ7が装備され得る。さらに、そのような凹部ハッチ7は、到来するレーダー信号を方向転換させ、それにより凹部内の機器が検出されないように遮蔽するように設計され得る。
【0071】
図2は、埠頭10に接岸された船艇1について、船艇凹部5付近の船艇1の側部を一部拡大して示す。凹部ハッチ7は、開放され、未積載の船艇凹部5へのアクセスを可能とする。船艇1は、埠頭10に内蔵された昇降手段15に船艇凹部5が整列されるように接岸される。
【0072】
他の実施形態では、昇降手段15は、埠頭10に内蔵されなくてもよいが、その代わりに、昇降手段15の位置を船艇凹部5に対して調整可能とする車両又は船艇の一部であってもよい。他の変形例では、複数の昇降手段15が、昇降手段15と船艇凹部5の間のアライメントをさらに調整可能とするように協働して使用され得る。
【0073】
昇降手段15に搭載占有領域部200´が装備され、船艇凹部5は当該凹部の底部において搭載面6に配置された搭載占有領域部200も有する。好ましい実施形態では、搭載占有領域部200は、昇降手段について説明するように、搭載面6において実現される。他の実施形態では、搭載占有領域部200は、搭載占有領域部を既存の搭載面6に付加することによって、例えば、船艇凹部5の内部に示されるように、搭載占有領域部を搭載面6に溶接することによって、搭載面6に事後設置され得る。
【0074】
搭載占有領域部200は、2以上の搭載レール210、及び固定手段220(図11b参照)が設置され得る2以上の定着点215を備える。好適な実施形態では、定着点は標準コンテナコーナー110(図3参照)であり、固定手段220は輸送コンテナのための標準ツイストロックである。周知のツイストロックを固定手段220として用いることには、輸送コンテナでの作業経験者がスキッドフレームを搭載占有領域部200に搭載及び固定することが容易となるという利点がある。さらに、輸送コンテナ業界で周知の標準機器との適合性によって、搭載占有領域部200の使用が安価となる。
【0075】
図3は、埠頭10上で昇降手段15に搭載されたスキッドフレーム100を示す。スキッドフレーム100は、スキッドフレーム100が昇降手段15上に搭載されると接岸中の船艇1の側部に略平行となり、スキッドフレーム100が船艇凹部5内部に搭載されると船艇1の側部に略平行に維持される2本以上のフレーム梁120を備える。スキッドフレームは、梁120に及び結果として接岸中の船艇1の側部にも略垂直な2本以上のフレーム当て木130をさらに備える。
【0076】
他の実施形態では、梁120及び当て木130は、船艇1に対して斜めに位置決めされてもよい。そして、梁120は、船艇1の側部に対して、略平行となるのではなく、斜めとなり得る。これは、例えば、船艇内に斜めに延在する船艇凹部に対して有益となり得る。この実施形態では、当て木130は、船艇の側部に垂直でなくてもよい。一部の実施形態では、梁120に垂直でない当て木130があってもよく、それらは全て相互に斜めであってもよく、又は構造的安定性を増加させるために一部が垂直であり、他が斜めであってもよい。
【0077】
当て木130の下側には、スキッドフレーム100が昇降手段15に搭載され、結果としてスキッドフレーム100の当て木130が搭載占有領域部200の搭載レール210に整列されると、搭載占有領域部200の搭載レール210に係合する複数の車輪135(図9参照)が装備される。好適な実施形態では、搭載占有領域部200、200´は、スキッドフレーム100が当て木130を備えるのと同数の搭載レール210を備える。ただし、他の実施形態では、当て木130よりも多くの又は少ない搭載レール210があってもよく、搭載占有領域部200、200´がスキッドフレーム100の種々の実施形態に適合可能となる。
【0078】
スキッドフレーム100は、コンテナコーナー110をさらに備える。好適な実施形態では、これらのコンテナコーナー110は、輸送コンテナのための業界標準、すなわち、ISOコンテナコーナーフィッティングに基づき、それによりスキッドフレーム100及び機器モジュール(不図示)が一般的な輸送コンテナに適合可能となる。これは、標準的な輸送コンテナが、特化又はカスタマイズされた機器モジュール50と同様にスキッドフレーム100に搭載可能となるという利点を有する。さらに、それにより、スキッドフレーム100が、スキッドフレーム100を搭載占有領域部200に固定するのに使用可能なツイストロックなどの周知の固定手段220など、輸送コンテナ業界で周知の標準機器に適合可能となる。コンテナコーナー110によって、さらに、複数のスキッドフレーム100が、容易な搬送のために相互に積載及び固定可能となる。
【0079】
好適な実施形態では、スキッドフレーム100は、ツイストロックがコンテナコーナー110及び定着点215に係合することによって昇降手段15に固定される。他の実施形態では、コンテナコーナー110に係合するのに他の固定手段220が使用され得る。
【0080】
好適な実施形態では、昇降手段15上の搭載占有領域部200´及び船艇凹部5内の搭載占有領域部200は、構成部品としては同じであるが、搭載面6に異なる態様で搭載され得る。好ましくは、搭載占有領域部200は、固定手段220とは別に、搭載面6に埋め込まれてそれと実質的に面一とされる。ただし、他の実施形態では、それらは、例えば、定着点215及び固定手段220の数並びに/若しくは搭載レール210の数、又は搭載レール210に使用される材料において異なっていてもよい。
【0081】
図4aは、埠頭10上の搭載占有領域部200´に同様に搭載されたスキッドフレーム100に搭載された単一の機器モジュール50の概念図である。
【0082】
機器モジュール50は、その使用に応じて機器モジュール50に収容される機器に関して多数の異なる形態をとり得るので、単に外側モジュール枠52及びモジュール床部54として図示される。好適な実施形態では、機器モジュール50は、モジュール枠52及びモジュール床部54を備える。モジュール枠52は、構造的な安定を可能とし、図4bに示すように、複数の機器モジュール50、50´、50´´の接続及び積載を可能とする。機器モジュール50は、ツイストロックなどの固定手段220(図11b参照)の使用によって、機器モジュール50が相互に及びスキッドフレーム100に接続されることを可能とするコンテナコーナー110をさらに備える。
【0083】
一部の実施形態では、機器モジュール50は、それらに標準的な輸送コンテナとしての外側構造を効果的に与える壁をさらに備え得る。これは、船艇1が医薬品及び他の救援機器を搬入する人道支援のために又は断熱が必要な冷凍保存ユニットのために使用されるように改修される場合など、機器モジュールが機器を搬送するために使用される場合に好適である。それは、機器モジュールが各種の収容設備のため、例えば、搬送可能な研究室、入院前設備のため、又は搬送可能なキッチン若しくは事務所スペースの形態での収容のために使用される場合であってもよい。
【0084】
他の実施形態では、機器モジュール50は、例えば、各種のドローンのための着揚水システムの形態、クレーンなどの作業道具の形態、又は種々の兵器システムの形態で、モジュール床部54に当接して配置及び固定された物を有する。
【0085】
さらに他の実施形態では、機器モジュール50は、モジュール枠52のみを有していてもよく、モジュール床部及びモジュール枠52としての任意のモジュール側部の双方が、例えば、救助ボート、作業ボート及び乗員ボートなどの各種ボートの場合に、機器モジュール自体とは別個に使用される機能機器を支持するのに使用可能とされてもよい。
【0086】
図4bに示すように、機器モジュール50は、複数の機器モジュール50がスキッドフレーム100に積載可能となる種々の寸法で入荷されてもよい。不図示であるが、他の実施形態では、スキッドフレーム100には、単一の大型の機器モジュール50が積載され得る。
【0087】
複数の機器モジュール50、50´、50´´の場合、移動中の安定性を確保するためにこれらは相互に固定されてもよい。好適な実施形態では、機器モジュール50の寸法は、モジュール性を高めるために相互の整数倍であり、1つのスキッドフレーム100上に複数の機器モジュール50の容易な積載及び隣接搭載を可能とする。より一層好適な実施形態では、機器モジュール50、50´、50´´の寸法は、既存のシステム及びインフラとの適合性を高めるために標準化輸送コンテナのようなスケールとされる。一部の機器モジュール50は、標準の40フィート輸送コンテナの倍数のサイズを有し、一方で他の機器モジュールは、各他の機器モジュールの寸法の整数倍としつつ、より小型なものであってもよく、相互及びスキッドフレーム100に対して容易に固定可能となる。
【0088】
図5は、スキッドフレーム100を船艇凹部5の底部における搭載面6の高さまで上昇させる昇降手段15の作動を示す。スキッドフレーム100を搭載面6の高さまで上昇させることは、スキッドフレーム100の最下点、すなわち、車輪135(図10参照)が凹部の底部における搭載面6において搭載占有領域部200の搭載レール210に係合することができる高さとなるように、昇降手段を上昇させることとして理解されるべきである。接岸した船艇1は、わずかに結果として移動して、船艇凹部の正確な高さの変動をもたらすが、理想的な場合では、埠頭10の搭載占有領域部200´の搭載レール210´は、昇降手段15がスキッドフレーム100を搭載面6の高さまで上昇させた場合に、船艇凹部内の搭載占有領域部200の搭載レール210に整列される。
【0089】
図5では、昇降手段15は、シザーリフトとして図示されているが、トン単位の重荷重の機器モジュール50を取り扱うことができる任意の周知のタイプの昇降機の形態をとり得る。
【0090】
図6は、複数の機器モジュール50が搭載されたスキッドフレーム100が方向Dに昇降手段15から船艇凹部5に水平移動されていることを示す。同様の水平移動が、機器モジュール50を船艇凹部5から積み降ろす場合に行われることになる。
【0091】
積まれたスキッドフレーム100の移動を可能とするために、まず、固定手段220(図11b参照)を係合解除して除去する必要がある。これは、スキッドフレーム100の下面104(図9参照)から突出させることによってフレーム本体101を昇降手段15の上方に上昇させるように作動可能な上昇手段115(図9参照)によって可能とされる。その後、固定手段220(図11b参照)は、定着点215から除去可能となる。固定手段220がツイストロックである実施形態では、それらは、スキッドフレーム100が上昇される前に最初に係合解除され、すなわち、ロック解除され、スキッドフレーム100が上昇手段115の作動によって上昇されると、ツイストロックが除去可能となる。固定手段220が除去された後に、上昇手段は格納可能となり、それによりスキッドフレーム100は搭載レール210に再降下される。
【0092】
スキッドフレーム100の下面104(図9参照)から突出する車輪135(図10参照)は、搭載レール210、210´に係合する。搭載レール210、210´は、スキッドフレーム100が昇降手段15と船艇凹部5の間で方向Dに水平移動される際に車輪の移動をガイドするのに役立つ。したがって、搭載レール210及び車輪135は、搭載レール210に沿うスキッドフレーム100の移動方向をガイドするのに役立つ任意の態様で、相互に係合するように設計される。一実施形態では、これは、搭載レール210を車輪135の幅よりも若干大きな幅として、レールガードが車輪135を搭載レール210内に収まるようにすることによってなされ得る。他の実施形態では、レール210が、車輪135の幅よりも狭い幅を有し、代わりに、搭載レール210から上方に突出するとともに車輪135の溝に係合する1以上のリッジを有してもよく、そのようにしてスキッドフレーム100の移動方向をガイドする。さらに他の実施形態では、車輪135には、スキッドフレーム100の移動方向をガイドする平坦な搭載レール210の側部に係合するフランジが装備されてもよい。したがって、搭載レール210は、梁120が船艇凹部5の側部に平行となり、かつ当て木130が接岸中の船艇1の側部に垂直となるような態様でスキッドフレーム100を船艇凹部5内にガイドするのに役立ち、スキッドフレーム100が確実に完全に船艇凹部5内に配置可能となるようにする。船艇凹部5内部の搭載レール210は、さらに、確実にスキッドフレーム100のコンテナコーナー110が船艇凹部5内の搭載占有領域部200の固定手段220(図11b参照)の位置に整列されるようにする。
【0093】
図7は、複数の機器モジュール50が完全に船艇凹部5内に配置されたスキッドフレーム100を示す。スキッドフレーム100は、昇降手段15から搬出されて船艇凹部5に搬入されると、船艇凹部内の搭載レール210の固定手段220(図11b参照)に固定可能となる。
【0094】
固定手段220がツイストロックである実施形態では、それらは、昇降手段から除去されたのと同様に、スキッドフレーム100の下方に配置され得る。最初に、スキッドフレーム100が、上昇手段115(図9参照)を作動させてスキッドフレーム100の下面104(図9参照)から突出することによって上昇され、それにより、スキッドフレーム100を搭載面6の上方に上昇させる。スキッドフレーム100が上昇されると、固定手段220は搭載占有領域部200の定着点215内に配置可能となる。固定手段220が定着点215において適所に位置すると、上昇手段115は格納され、それにより、スキッドフレーム100を搭載占有領域部200まで再降下させ、ツイストロックがコンテナコーナー110に係合することを可能とし、ここで、それらがロックされてスキッドフレーム100を船艇凹部5の搭載占有領域部200に固定し得る。固定手段220は、スキッドフレーム100及び機器モジュール50を、船艇1の航行中にそれらが船艇凹部5内で移動する危険がないように、ただし何かを適所に溶接すること又は他の何らかの時間のかかるステップを行うことを要さずに、適所に維持する。これにより、機器モジュール50がスキッドフレーム100及び搭載占有領域部200によって船艇凹部5に固定的に搭載されることが可能となり、一方で機器モジュール50を交換するためにスキッドフレーム100及び機器モジュール50も同様に容易に船艇凹部5から再度ロック解除されて除去され得る。
【0095】
ツイストロックが、スキッドフレーム100が船艇凹部5内に移動される前に、コンテナコーナー110に係合するための位置に配置されたとすると、ツイストロックがコンテナコーナー110内の空洞に係合可能となるようにスキッドフレーム100の下面104の上方に延在するため、スキッドフレーム100は搭載レール210、210´に沿って移動しつつも固定手段220を通過することができない。したがって、ツイストロックを使用し、一方で同時にスキッドフレーム100を昇降手段15から船艇凹部5内に転動可能とする可能性は、スキッドフレーム100の上昇手段115(図9参照)によって可能となる。
【0096】
実施形態では、上昇手段115は、複数の車輪135と一体化されてもよい。このような変形例では、複数の車輪135が依然として搭載面に係合している状態で、上昇手段がスキッドフレーム100のフレーム本体101を搭載面の上方に上昇させる。これにより、フレーム本体が上昇されている間に、スキッドフレームが方向Dに沿って移動して船艇凹部5に出入りすることが可能となる。これにより、固定手段220が、フレーム本体101が上昇されるよりも突出せずかつ複数の車輪135の移動経路に沿って配置されない限り、スキッドフレーム100がツイストロックなどの固定手段220を、これらが搭載面から突出しているとしても、通過することが可能となる。
【0097】
スキッドフレーム100が船艇凹部5内に移動されると、昇降手段15は再度降下及び/又は除去され得る。
【0098】
方法及びシステムを、スキッドフレーム100を船艇凹部5内に積み込むことに関して図2~7との関連で説明してきたが、方法及びシステムは、搭載機器モジュール50の有無にかかわらずスキッドフレーム100を船艇凹部から積み降ろすのにも使用され得る。積み降ろしの場合、昇降手段15が最初に上昇され、スキッドフレーム100が船艇凹部5の固定手段220から取り外される。その後、スキッドフレーム100は、方向Dに沿って水平移動されて昇降手段15の上に出される。スキッドフレーム100は、その後、その後に降下可能な昇降手段15に固定可能となる。スキッドフレーム100及び1以上の機器モジュール50は、埠頭10に陸上げされると、それらが使用又は格納される必要のある場所に移動されて持ち出され、他の機器モジュール50が船艇の機能を変更するために船艇に積み込まれ得る。
【0099】
実施形態では、積み込み及び/又は積み下ろし手順は、自動化され得る。自動化を可能とするために、受信機を有する1以上の制御ユニットが、スキッドフレーム100及び昇降手段において構成される。一部の実施形態では、1つの制御ユニットが昇降手段15において構成され、他の制御ユニットがスキッドフレームにおいて構成され、それらは別個に作動可能となる。自動化された実施形態では、スキッドフレームは、当て木130の下面104から突出する車輪135(図10参照)の車両化をさらに構成し、それらを駆動可能としてスキッドフレーム100を方向Dに沿って移動させる。さらに、上昇手段115(図10参照)も自動化される。
【0100】
好適な実施形態では、上昇手段は油圧動力ユニットによって駆動されるジャッキシリンダであり、他の実施形態では、ジャッキシリンダは電気的に駆動され得る。そのような油圧又は電気動力ユニットは、一部の実施形態では、スキッドフレーム100に一体化され得る。そのような自動化されたシステムでは、ステップがプログラムされてもよく、センサ機器がさらにスキッドフレーム100に構成されてもよく、スキッドフレーム100がそれぞれの搭載占有領域部200、200´における正しい位置となった時を特定して上昇手段115及び/又は車輪135の作動のタイミングをとることを可能とする。
【0101】
半自動の実施形態では、システムは、作業者がリモートコントローラを用いることによって制御されて、モータ駆動される複数の車輪135を作動させ、それによりスキッドフレーム100の水平移動を開始及び停止させ、それらを突出及び格納させるように上昇手段115を作動させてスキッドフレーム100を昇降させる。
【0102】
他の実施形態では、車輪はモータ駆動でなくてもよく、外力によってスキッドフレーム100の移動を容易化する純粋に機械的な車輪であってもよい。外力は、スキッドフレーム100及び搭載機器モジュール50を押し又は引いてそれを方向Dに沿って水平移動させて船艇凹部5に出入りさせる機械又は機械的システムであり得る。
【0103】
図8は、スキッドフレーム100の実施形態を上方からの斜視図で示す。スキッドフレームは、相互に略平行な複数の梁120及び梁120に略垂直な複数の当て木130を備える。これらの梁120及び当て木130は、輸送コンテナで周知の標準部品であるコンテナコーナー110によって接続される。他の実施形態では、梁120及び当て木130の一部又は、全部は相互に対して斜めであってもよい。これらの一部又は全部は、スキッドフレーム100を搭載占有領域部の定着点及び機器モジュールに接続する何らかの形態のコンテナコーナー110が存在する限り、コンテナコーナー110以外の手段によって相互に溶接又は接続され得る。
【0104】
機器モジュール50(図11a参照)は、ツイストロックなどの周知の固定手段を用いて、スキッドフレーム100の上面102に搭載されてもよく、コンテナコーナー110においてスキッドフレーム100に固定されてもよい。
【0105】
好適な実施形態では、スキッドフレーム100は、整数個の標準輸送コンテナに合うように寸法取りされる。図示するように、スキッドフレーム100は複数の部分107に分割され、それらの部分の各々は、部分107のサイズの機器モジュール50がそれに固定され、又は複数の部分107にわたる大型の機器モジュールがスキッドフレーム100に固定されることを可能とする。
【0106】
実施形態では、これらの部分の各々は606cm×244cmであり、これにより、4個の部分107に載置された一段の4個の標準20フィート輸送コンテナに合い、同様に複数の部分107にわたる標準40フィート輸送コンテナを収容する。
【0107】
他の実施形態では、スキッドフレーム100はより大きくてもよく、例えば、各部分は、490cm×1219cmであってもよく、それにより各々は標準40フィート輸送コンテナを収容する。
【0108】
一部の実施形態では、各部分107はそれ自体ではスキッドフレーム100であり、これらは図8に示すような複数の部分107からなるより大きなスキッドフレーム100を形成するように組合せ可能である。スキッドフレーム100を各部分107について、より小さなスキッドフレーム100に分割することができ、それらを再度接続することで、高い汎用性が得られる。より小さな機器モジュール50が必要な場合、より小さなスキッドフレーム100を有することで、例えば、いずれの機器モジュールも支持しない部分107を分離可能とすることによって、船艇1に搭載されるシステムを最小限の重量とすることができる。さらに、スキッドフレーム100の部分107にモジュール性が有することで、それらは後に異なる寸法に対して接続可能となるので、スキッドフレームの各サイズの別個の生産を必要とするのではなく、異形のスキッドフレーム100の生産を少なくすることができるため、生産ラインをより効率化することができる。さらに、スキッドフレーム100をより小さな部分107に分割可能とすることで、スキッドフレーム100はそれらが格納される領域に最も適合するように接続又は分離可能であるため、スキッドフレーム100の輸送及び格納を容易化することができる。
【0109】
標準輸送コンテナ、例えば、4個の標準40フィート輸送コンテナのサイズを有する単一の機器モジュール50よりも大きい機器モジュール50も、そのような機器モジュール50を支持することができるスキッドフレーム100として、実施形態において想定される。
【0110】
他の実施形態では、スキッドフレーム100の長さLは、1m~30mの範囲のいずれであってもよく、それが収まることが意図される特定の船艇凹部5(図1参照)にカスタマイズ可能となる。同様に、スキッドフレーム100の幅Wは、1m~10mの範囲のいずれであってもよい。スキッドフレームは、この長さ及び幅の中で複数の部分107に分割されてもよいし、スキッドフレーム100の全てにわたる単一の部分であってもよい。
【0111】
スキッドフレーム100は、機器モジュール50の潜在的に膨大な重量、すなわち100トンを超える重量を支持するのに充分に強健な任意の材料から作製され得る。適切な材料は、例えば、従来の輸送コンテナ及びコンテナコーナーの作製で周知のもの、例えば、耐候性鋼、COR-TEN鋼、高張力鋳鋼又は軽量化システム用アルミなどの鋼である。
【0112】
図9は、下面104から見たスキッドフレーム100を示す。スキッドフレーム100は、下面104から突出するように作動され得る上昇手段115を備え、それによりフレーム本体101を、スキッドフレーム100が当接していた搭載面から上昇させ、それにより固定手段220(図11b参照)がスキッドフレームの下方で除去又は配置可能となる。上昇手段115は、フレーム本体101に格納して戻されてもよく、それにより、フレーム本体101を再降下させて、スキッドフレーム100を、上昇前の搭載面に当接させる。
【0113】
梁120及び当て木130を備えるフレーム本体101は共通の上面102及び下面104を有するが、スキッドフレーム100において構成される他の部品は、これらの面102、104と面一になるのではなく、そこから突出し得る。例えば、コンテナコーナー110は面102、104の一方又は両方から突出し、複数の車輪135が、スキッドフレームがそれらに当接して回転するように、フレーム本体101の下面104から突出するように構成される。上昇手段115は、一構成では下面104から突出してもよく、それらがフレーム本体101に格納される他の構成では、下面104と面一となっていてもよいし、フレーム本体101の下面104に対して空洞又は窪みが存在するようにさらに格納されてもよい。
【0114】
好適な実施形態では、上昇手段115は、スキッドフレーム100の梁120に配置される。図9では6個の上昇手段が図示されているが、他の実施形態では、スキッドフレーム100のサイズ及びそれに対する所望の荷重に応じて、上昇手段115はより多くてもより少なくてもよい。好適な実施形態では、コンテナコーナー110に隣接する梁120の外側端部に配置された上昇手段115がある。追加の上昇手段115が、スキッドフレーム100が上昇され、突出している上昇手段115に当接する場合に必要な支持及び安定性を確保するために、梁120のいずれか又は全てに沿って含まれてもよい。
【0115】
好適な実施形態では、上昇手段115は、油圧ジャッキシリンダである。他の実施形態では、上昇手段115は電気機械シリンダなどの異なる作動手段のジャッキシリンダであってもよいし、上昇手段は電気アクチュエータであってもよいし、それらはハイブリッド作動システムであってもよい。
【0116】
スキッドフレーム100は、下面104から突出する複数の車輪135をさらに備える。上昇手段115がフレーム本体101に格納されてスキッドフレーム100が固定手段220にロックされない場合、スキッドフレーム100が車輪135に当接することになる。上昇手段115がフレーム本体101に格納されてスキッドフレーム100がコンテナコーナー110において固定手段220にロックされる場合、スキッドフレーム100は係合されたコンテナコーナー110に当接することになる。
【0117】
好適な実施形態では、車輪は、それらが回転して方向Dに沿う、すなわち、当て木130が延在する方向への移動を容易とするように配向され、当て木130内に配置される。
【0118】
車輪135の数及びサイズは、種々の実施形態に対して変わり得る。好適な実施形態では、車輪の幅は当て木130の幅と同様であるが、車輪の半径は車輪135が突出する当て木130の高さによって決定され得る。好適な実施形態では、車輪はスキッドフレーム100の全ての当て木130にあるが、他の実施形態では、一部の当て木は車輪を有していなくてもよい。
【0119】
車輪は、種々の実施形態となり得る。それらは、滑らかな面を有する円筒形であってもよいし、それらが搭載レール210(図2参照)に係合することを可能とするフランジ、リッジ又は溝を備えていてもよい。
【0120】
一部の実施形態では、車輪135は、当て木130内に配置されるものと同一の回転方向を有して、すなわち、梁120の延在方向を横断して、1以上の梁120内にも配置され得る。
【0121】
実施形態では、複数の車輪135は、前後のみに直線的に移動するのではなく、旋回可能としてスキッドフレーム100が面に沿って任意の方向に自由に移動可能となるように、搭載されてもよい。
【0122】
上昇手段115の自動化及び/又は遠隔制御を有するスキッドフレーム100の実施形態では、制御ユニット(不図示)が、上昇手段115又は車輪135のない梁120の内部に配置され得る。あるいは、又はそれに加えて、制御ユニット及び/又は電源が、梁120及び/又は当て木130に取り付けられた部分107の内部又はその間に配置され得る。この場合、制御ユニットが上面102(図8参照)からも下面104からも突出しないことが必要である。制御ユニット又は電源がいずれかの面から突出していたとすると、スキッドフレーム100に搭載された機器モジュール50によって、又はスキッドフレーム100が載置される面によって破壊されてしまう危険がある。
【0123】
図10は、スキッドフレーム100のコーナーを一部拡大して斜視図で示す。他のコーナーは鏡像状とされ得るが、原理は同じである。スキッドフレーム100の好適な実施形態がより詳細に示され、コンテナコーナー110の上部及び底部が、固定手段(不図示)を上面102及び下面104の双方において受容するための標準化された孔を有する。コンテナコーナー110に隣接して、上昇手段115は、梁120に配置される。梁120の端部に向かうこの配置は、上昇手段115が作動される場合の安定性を可能とする。複数の車輪135のうちの2つは、当て木130に搭載され、そこから突出する。車輪の幅は、各車輪135の自由回転を可能とする充分な隙間を有しつつも、当て木130の幅に一致する。
【0124】
図9に示すように、梁120及び当て木130が交差する全ての接合部に上昇手段115がある必要はない。さらに、上昇手段115は、梁120の他の場所に、又はさらには車輪135がない領域の当て木に配置されてもよい。したがって、図10は、唯一の可能な解決手段としてではなく好適な実施形態の例示としてのみ理解されるべきである。
【0125】
図11aは、機器モジュール50が搭載されたスキッドフレーム100を示す。異なるサイズの種々の機器モジュール50、50´がどのようにして単一のスキッドフレーム100上でともに配置され得るのかを示す。図示する例では、スキッドフレーム100は、2段においてそれに搭載された2つの異なるサイズの機器モジュール50、50´を有する。機器モジュール50、50´にモジュール性があるため、それらの寸法は、機器モジュール50がスキッドフレーム100に搭載される場合に外縁及びコーナーが整列され得るように、相互に対して拡縮される。機器モジュール50のこのアライメントは、機器モジュール50が、例えば、機器モジュール50及びスキッドフレーム100の双方においてISO規格コンテナコーナー110に係合し得るツイストロックなどの標準的手段によって、相互に取外し可能に固定されることを可能とする。
【0126】
図11aでは、2段の機器モジュール50が概念的に示される。すなわち、それらは、存在する実際の機器なしにモジュール枠52及びモジュール床部54のみとして図示される。これは、その機器は、船艇凹部(図1参照)内に搭載することが有益となり得る任意の道具の形態をとり得るためである。モジュール内の機器は、例えば、これらに限定されないが、以下となり得る。
・救助ボート、作業ボート及び乗員ボートなどの小型船舶
・ドローンランチ及び回収ステーション
・牽引、接岸又は昇降のためのクレーン又は他の頑丈な機械
・船艇-船艇間又は船艇-海岸間の使用のための舷門
・兵器システム
・事務所などの収容設備、研究スペース、入院前設備又は乗客スペース
・消火システム又は危険物モジュールなどの非常用機器
【0127】
図11aは5個の機器モジュール50が搭載されたスキッドフレーム100を示すが、機器モジュール50の重要な利点は、異なる機器モジュールがスキッドフレーム100に固定可能であり、例えば、機器モジュールはより多くてもより少なくてもよく、それらは異なる寸法を有し得ることに留意するのが重要である。例えば、一段の機器モジュール50のみ、スキッドフレーム100の半分のみにおける複数の段、又はスキッドフレーム100の全体にわたる単一の大型の機器モジュール50があり得る。このモジュール性は、柔軟性を与え、標準機器からカスタマイズ可能性及び利益を受ける機会の双方を可能とする。例えば、積載される機器モジュール50の数は、船艇凹部の高さに合うように決定され得る(図6参照)。一部の機器モジュール50は、発射台などの他の機器モジュール50における各種機器を支持し又は各種車両、船舶若しくはドローンとともに機能可能な構造物を支持することができる標準化された機器を有し得る。
【0128】
機器モジュール50は、好適な実施形態では、標準輸送コンテナと同様に寸法取りされる。他の実施形態では、機器モジュール50は、特定の船艇凹部に適合するようにカスタム寸法を有し得る。機器モジュール50は、ドア又はゲートとは別に、側部を有し、すなわち、完全に閉鎖され得る。他の実施形態では、機器モジュール50は、機器モジュール50における特定の機器を支持するために、モジュール枠52のみ又はモジュール枠52及びモジュール床部54の組合せを備えて開放されていてもよい。
【0129】
機器モジュール50を標準輸送コンテナ及びこれらに一致するスキッドフレーム100と同様に寸法取りすることには、船艇1(図1参照)に対する機器モジュール50及び/又はスキッドフレーム100の容易な搬送を可能とするという利点がある。例えば、列車、トラック及び航空機における輸送コンテナの搬送のために広範なインフラが既に存在している。これにより、機器モジュール50及び/又はスキッドフレーム100を、それらを船艇上に載せ、又は船艇がその目的地に到着した後にそれらを陸上に搬送する必要がある場所に配送又は配達することが容易となる。
【0130】
図11bは、スキッドフレーム100に対する機器モジュール50の固定の好適な実施形態を一部拡大して示す。単一のコーナーについてのみ図示されるが、原理はスキッドフレーム100に対する全ての機器モジュール50の好適な固定に対して同じである。さらに、同じ原理が、機器モジュール50、50´を相互に固定する好適な固定方法に使用され、スキッドフレーム100を搭載占有領域部200(図3参照)に固定するために使用される。
【0131】
図示する実施形態では、スキッドフレーム100及び機器モジュール50の双方が、コンテナコーナー110を備える。これらのコンテナコーナー110は、好ましくはISO規格コンテナコーナーであり、ツイストロックなど、この規格に対して設計された任意の固定手段220とともに使用可能となる。機器モジュール50がスキッドフレーム100に固定される場合、コンテナコーナー110、110´は相互に対して整列され、その間の固定手段220によって重力により上下に載置される。固定手段220の各側部はそれぞれコンテナコーナー110、110´の空洞に係合することができ、固定手段220が係合されると、コンテナコーナー110、110´は相互に対して位置固定される。
【0132】
好適な実施形態では、ツイストロックなどについて固定手段220は取外し可能であり、機器モジュール50をスキッドフレーム100及び/又は相互から係合解除することができる。
【0133】
図11bには不図示であるが、スキッドフレーム100は、スキッドフレーム100のコンテナコーナー110及び搭載占有領域部200の定着点215に係合する固定手段220を用いて搭載占有領域部200(図2参照)に同様に固定され得る。図示する説明では、スキッドフレームは搭載占有領域部に固定されず、上昇手段115(図9参照)はスキッドフレーム100から突出しないため、車輪135はスキッドフレーム100が当接するスキッドフレーム100の最下点となる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9-10】
図11a-11b】