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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】色見本および光種類推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/52 20060101AFI20241025BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20241025BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
G01J3/52
G02B5/22
G01J3/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024098840
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】平岡 千明
(72)【発明者】
【氏名】藤山 英子
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-071550(JP,A)
【文献】特開平07-248259(JP,A)
【文献】特開昭62-185127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
G06T 1/00
H04N 1/40 - H04N 1/409
H04N 1/46 - H04N 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光に最も近い前記照明光の種類を推定するために用いる光種類推定装置であって、
前記照射光により照射される被照射体と、
前記被照射体の色の観察結果に合わせた見本色の領域を有する色見本と、
を備え、
前記被照射体が、
フィルタと、
前記フィルタに接する白色部材と、
を有し、
前記被照射体は、
青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、
赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高
光種類推定装置
【請求項2】
請求項1に記載の光種類推定装置であって、
前記照明光は、
相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、
相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、
相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有する、
光種類推定装置
【請求項3】
請求項1または2に記載の光種類推定装置であって、
前記被照射体が、
青色、緑色および黄色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、
赤色および紫色の光の反射率が、青色、緑色および黄色の光の反射率よりも高い光種類推定装置
【請求項4】
請求項1または2に記載の光種類推定装置であって、
前記照明光は、CIEのLED照明条件のB1、B2、B3、B4、B5、BH、V1、V2およびRGBであり、
相対輝度が赤色において極大値をとる種類は、BHおよびRGBであり、
相対輝度が紫色において極大値をとる種類は、V1およびV2であり、
相対輝度が青色において極大値をとる種類は、B1、B2、B3、B4およびB5である光種類推定装置
【請求項5】
請求項1または2に記載の光種類推定装置であって、
前記白色部材は、前記フィルタを透過した前記照射光を反射し、
前記フィルタは、
赤色および紫色の光の透過率が、青色の光の透過率よりも高く、
青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高い、
光種類推定装置
【請求項6】
請求項5に記載の光種類推定装置であって、
前記白色部材がセラミックである光種類推定装置
【請求項7】
請求項5に記載の光種類推定装置であって、
前記白色部材が紙である光種類推定装置
【請求項8】
請求項7に記載の光種類推定装置であって、
前記白色部材が複数枚重ねた紙である光種類推定装置
【請求項9】
請求項5に記載の光種類推定装置であって、
前記フィルタが波長校正用光学フィルタである光種類推定装置
【請求項10】
請求項1または2に記載の光種類推定装置であって、
前記見本色の領域が、前記複数の種類の全てについて存在する、
光種類推定装置
【請求項11】
複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光に最も近い前記照明光の種類の推定のために被照射体を観察する観察方法であって、
前記照射光を照射する光源により、前記被照射体を照射する照射工程を備え、
前記被照射体が、
フィルタと、
前記フィルタに接する白色部材と、
を有し、
前記被照射体は、
青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、
赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高
観察方法
【請求項12】
複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光に最も近い前記照明光の種類の推定のために被照射体および色見本を観察する観察方法であって、
前記照射光を照射する光源により、前記被照射体を照射する照射工程を備え、
前記被照射体が、
フィルタと、
前記フィルタに接する白色部材と、
を有し、
前記被照射体は、
青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、
赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高く、
前記色見本が、
前記被照射体の色の観察結果に合わせた見本色の領域を有する、
観察方法
【請求項13】
請求項11または12に記載の観察方法であって、
前記照明光は、
相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、
相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、
相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有する、
観察方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の種類の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、(1)所定の種類の光源(例えば、D65光源、高演色型昼白色蛍光灯など)で照射すると同じ色に見えるが、それ以外の光源で照射すると違う色に見える2枚1組の着色シートを用意しておく、(2)種類を推定したい光源によって、この着色シートを照射する、(3)着色シートの色を観察することで、種類を推定したい光源が、所定の光源か否かを推定する、といった手法が知られている(例えば、特許文献1の[0007]および特許文献12の図3図5を参照)。
【0003】
また、非標準光源下で印刷物を観察した場合の色変化を把握する(例えば、特許文献3を参照)、赤、緑および青色光源のうち2つの光源と白色光源とを用いて出力光の色度の調整する(例えば、特許文献4を参照)ことも知られている。
【0004】
さらに、被測定物の全分光放射率係数の測定も知られている(例えば、特許文献5の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-248259号公報
【文献】特開2007-159051号公報
【文献】特開2008-224236号公報
【文献】特開2022-175497号公報
【文献】特開2015-52616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術における光源の推定法によれば、光源の種類ごとに2枚1組の着色シートを用意しなければならず、その労力が大きい。
【0007】
そこで、本発明は、光源の種類を推定するために事前に着色パターンを用意する際の労力を軽減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる色見本は、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光により照射された被照射体の色の観察結果に合わせた見本色の領域を有する色見本であって、前記被照射体は、青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高く、前記照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有するように構成される。
【0009】
上記のように構成された色見本は、見本色の領域を有する。見本色は、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光により照射された被照射体の色の観察結果に合わせたものである。なお、前記被照射体は、青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高い。また、前記照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有する。
【0010】
なお、本発明にかかる色見本は、前記被照射体が、青色、緑色および黄色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色、緑色および黄色の光の反射率よりも高いようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる色見本は、前記照明光は、CIEのLED照明条件のB1、B2、B3、B4、B5、BH、V1、V2およびRGBであり、相対輝度が赤色において極大値をとる種類は、BHおよびRGBであり、相対輝度が紫色において極大値をとる種類は、V1およびV2であり、相対輝度が青色において極大値をとる種類は、B1、B2、B3、B4およびB5であるようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる色見本は、前記被照射体が、フィルタと、前記フィルタに接する白色部材とを有し、前記白色部材は、前記フィルタを透過した前記照射光を反射し、前記フィルタは、赤色および紫色の光の透過率が、青色の光の透過率よりも高く、青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高いようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる色見本は、前記白色部材がセラミックであるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる色見本は、前記白色部材が紙であるようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる色見本は、前記白色部材が複数枚重ねた紙であるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる色見本は、前記フィルタが波長校正用光学フィルタであるようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる色見本は、前記見本色の領域が、前記複数の種類の全てについて存在するようにしてもよい。
【0018】
本発明にかかる光種類推定方法は、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光を照射する光源により、被照射体を照射する照射工程と、前記被照射体の色の観察結果に基づき、前記照射光に最も近い前記照明光の種類を推定する種類推定工程とを備え、前記被照射体は、青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高く、前記照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有するように構成される。
【0019】
上記のように構成された光種類推定方法によれば、照射工程が、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光を照射する光源により、被照射体を照射する。種類推定工程が、前記被照射体の色の観察結果に基づき、前記照射光に最も近い前記照明光の種類を推定する。なお、前記被照射体は、青色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色の光の反射率よりも高い。また、前記照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有する。
【0020】
なお、本発明にかかる光種類推定方法は、前記種類推定工程が、本発明にかかる前記見本色の領域のうち、被照射体の色の観察結果に最も近いものに基づき、前記照明光の種類を推定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態にかかる被照射体1の正面図(図1(a))、平面図(図1(b))である。
図2】本発明の実施形態にかかる被照射体1が反射する光および吸収する光を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態にかかる色見本10の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態にかかる被照射体1の正面図(図1(a))、平面図(図1(b))である。図2は、本発明の実施形態にかかる被照射体1が反射する光および吸収する光を説明するための図である。図3は、本発明の実施形態にかかる色見本10の平面図である。
【0024】
光源2(図1(a)参照)は照射光Lを照射する。照射光Lにより、被照射体1が照射される。
【0025】
図3を参照して、色見本10は、見本色の領域12B1、12B2、12B3、12B4、12B5、12BH、12V1、12V2および12RGBを有する。例えば、色見本10は1枚のシートであり、シート上に上記の見本色の領域が印刷されている。
【0026】
なお、上記の見本色は、照射光Lにより照射された被照射体1の色を、目視により観察し、その観察結果に合わせた色となっている。見本色がどのような色であるかは、「<見本色について>」で後述する。
【0027】
また、照射光Lは、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近いものである。ただし、照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類と、相対輝度が紫色において極大値をとる種類と、相対輝度が青色において極大値をとる種類とを有する。
【0028】
例えば、照明光は、CIEのLED照明条件のB1、B2、B3、B4、B5、BH、V1、V2およびRGBである。CIEのLED照明条件の各々(照明光の種類)と、それらの相対輝度が極大値をとる(光の)波長帯域を、以下の表に示す。
【0029】
【表1】
上記の表を参照して、照明光がCIEのLED照明条件である場合、相対輝度が赤色において極大値をとる種類は、BHおよびRGBであり、相対輝度が紫色において極大値をとる種類は、V1およびV2であり、相対輝度が青色において極大値をとる種類は、B1、B2、B3、B4およびB5である。
【0030】
なお、色見本10においては、見本色の領域12B1、12B2、12B3、12B4、12B5、12BH、12V1、12V2および12RGBが、照明光の複数の種類の全て(B1、B2、B3、B4、B5、BH、V1、V2およびRGB)について存在する。
【0031】
また、被照射体1は、青色(と、緑色と、黄色)の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高い。さらに、被照射体1は、赤色および紫色の光の反射率が、青色(と、緑色と、黄色)の光の反射率よりも高い。
【0032】
図1を参照して、被照射体1は、フィルタ1aと、フィルタ1aに接する白色部材1bとを有する。
【0033】
フィルタ1aは、赤色および紫色の光の透過率が、青色(と、緑色と、黄色)の光の透過率よりも高い。また、フィルタ1aは、青色(と、緑色と、黄色)の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高い。なお、このようなフィルタ1aとして、波長校正用光学フィルタ(例えば、HOYA V10フィルタ)がある。
【0034】
フィルタ1aの透過率は、例えば、
(1)青色(430-490nm、例えば、442nm、477nm)で極小値をとり、
(2)緑色(490-550nm、例えば、529nm)で極小値をとり、
(3)黄色(550-590nm、例えば、577-587nm)で極小値をとり、
(4)赤色(640-770nm、例えば、653nm、708nm)で極大値をとり、
(5)紫色(380-430nm、例えば、412nm)で極大値をとる。
【0035】
なお、フィルタ1aに入射した光のうち、フィルタ1aを透過しなかった光のほとんどは、散乱も反射もせず、フィルタ1aにより吸収される。よって、一例として上記したフィルタ1aによれば、青色と、緑色と、黄色の光のほとんどが吸収される。
【0036】
白色部材1bは、例えば、セラミックまたは紙(複数枚重ねた紙でもよい)である。なお、白色部材1bは、白色部材1bに入射した光の透過率がほぼ0%(ただし、蛍光増白剤不使用)であることが好ましい。
【0037】
図2を参照して、白色部材1bは、フィルタ1aを透過した照射光Lを反射する。ただし、図2において、R、V、B、G、Yとは、それぞれ、照射光Lの赤色光成分、紫色光成分、青色光成分、緑色光成分、黄色光成分である。
【0038】
白色部材1bは、フィルタ1aを透過した照射光L(主に、赤色光成分Rおよび紫色光成分V)を反射する。
【0039】
<見本色について>
上述のとおり、見本色は、照射光Lにより照射された被照射体1の色を、目視により観察し、その観察結果に合わせた色となっている。そこで、図2を参照して、照射光Lにより照射された被照射体1の色を、目視により観察したその観察結果を説明する。
【0040】
ただし、図2においては、図示の便宜上、照射光Lの青色光成分B、緑色光成分Gおよび黄色光成分Yの全てがフィルタ1aにより吸収され、照射光Lの赤色光成分Rおよび紫色光成分Vの全てがフィルタ1aを透過するものとして図示している。
【0041】
実際には、照射光Lの青色光成分B、緑色光成分Gおよび黄色光成分Yのわずかな一部はフィルタ1aを透過し、照射光Lの赤色光成分Rおよび紫色光成分Vのわずかな一部がフィルタ1aに吸収される。
【0042】
(1)見本色が、赤みがかった色となる場合
照射光Lとして、RGBが、フィルタ1aに入射した場合、照射光Lの青色光成分Bおよび緑色光成分Gのほとんどがフィルタ1aにより吸収されてしまう。一方、赤色光成分Rのほとんどはフィルタ1aを透過し、白色部材1bによりほぼ全てが反射され、さらにほとんどがフィルタ1aを透過して、観察者の肉眼によりとらえられる。ただし、RGBの赤色光成分R以外の全ての成分をフィルタ1aにより吸収できるというわけでもないので、観察結果は、完全な赤ではなく、赤みがかった色(見本色の領域12RGB)となる。
【0043】
また、照射光Lとして、BHが、フィルタ1aに入射した場合、照射光Lの青色光成分Bのほとんどがフィルタ1aにより吸収されてしまう。一方、赤色光成分Rのほとんどはフィルタ1aを透過し、白色部材1bによりほぼ全てが反射され、さらにほとんどがフィルタ1aを透過して、観察者の肉眼によりとらえられる。ただし、BHの赤色光成分R以外の全ての成分をフィルタ1aにより吸収できるというわけでもないので、観察結果は、完全な赤ではなく、赤みがかった色(見本色の領域12BH)となる。
【0044】
なお、RGBとBHとは完全に同じ色ではないため、見本色の領域12RGBの色と、見本色の領域12BHの色とは異なる(前者の方がより赤く見える)。
【0045】
(2)見本色が、紫がかった色となる場合
照射光Lとして、V1が、フィルタ1aに入射した場合、照射光Lの紫色光成分V以外のほとんどがフィルタ1aにより吸収されてしまう。一方、紫色光成分Vのほとんどはフィルタ1aを透過し、白色部材1bによりほぼ全てが反射され、さらにほとんどがフィルタ1aを透過して、観察者の肉眼によりとらえられる。ただし、V1の紫色光成分V以外の全ての成分をフィルタ1aにより吸収できるというわけでもないので、観察結果は、完全な紫ではなく、紫がかった色(見本色の領域12V1)となる。
【0046】
また、照射光Lとして、V2が、フィルタ1aに入射した場合、照射光Lの紫色光成分V以外のほとんどがフィルタ1aにより吸収されてしまう。一方、紫色光成分Vのほとんどはフィルタ1aを透過し、白色部材1bによりほぼ全てが反射され、さらにほとんどがフィルタ1aを透過して、観察者の肉眼によりとらえられる。ただし、V2の紫色光成分V以外の全ての成分をフィルタ1aにより吸収できるというわけでもないので、観察結果は、完全な紫ではなく、紫がかった色(見本色の領域12V2)となる。
【0047】
なお、V1とV2とは完全に同じ色ではないため、見本色の領域12V1の色と、見本色の領域12V2の色とは異なる(前者の方がより紫がかって見える)。
【0048】
(3)見本色が、彩度の低い赤~緑色となる場合
照射光Lとして、B1が、フィルタ1aに入射した場合、照射光Lの青色光成分Bのほとんどがフィルタ1aにより吸収されてしまう。ただし、B1は、青色光成分B以外の色成分も有するので、その色成分のうちの一部がフィルタ1aを透過し、白色部材1bによりほぼ全てが反射され、さらに一部がフィルタ1aを透過して、観察者の肉眼によりとらえられる。B1の青色光成分B以外の色成分はもともとあまり多くないので、観察結果は、彩度が低い色なる(見本色の領域12B1)。
【0049】
なお、照射光Lとして、B2、B3、B4およびB5のいずれかをフィルタ1aに入射した場合も同様である。
【0050】
また、B1、B2、B3、B4およびB5は完全に同じ色ではないため、見本色の領域12B1~12B5の色は、彩度の低い赤~緑色となる。
【0051】
次に、本発明の実施形態にかかる被照射体1を用いた光種類推定方法を説明する。
【0052】
まず、複数の種類の照明光のうちのいずれか一種類に近い照射光Lを照射する光源2により、被照射体1を照射する。
【0053】
さらに、被照射体1の色を、目視により観察し、その観察結果に基づき、照射光Lに最も近い照明光の種類を推定する。
【0054】
例えば、観察結果が、赤みがかった色であれば、照射光Lに最も近い照明光の種類はRGBまたはBHであると推定できる。より赤く見えれば、照明光の種類はRGBであると推定できる。さもなければ、照明光の種類はBHであると推定できる。
【0055】
例えば、観察結果が、紫がかった色であれば、照射光Lに最も近い照明光の種類はV1またはV2であると推定できる。より紫がかって見えれば、照明光の種類はV1であると推定できる。さもなければ、照明光の種類はV2であると推定できる。
【0056】
例えば、観察結果が、彩度の低い色であれば、照射光Lに最も近い照明光の種類はB1~B5のいずれかであると推定できる。赤~緑色のいずれに近いかで、照明光の種類はB1~B5のいずれか一つに絞り込むことができる。
【0057】
なお、上記の光種類推定方法では色見本10を用いていない。しかし、観察結果(の色)と、色見本10の各見本色の領域(の色)とを対比し、前者に最も近い後者に基づき、照明光の種類を推定することができる。
【0058】
例えば、観察結果(の色)が、色見本10の各見本色の領域(の色)のうち見本色の領域12BH(の色)に最も近かったとすれば、照明光の種類はBHであると推定できる。
【0059】
本発明の実施形態によれば、光源2の種類を推定するために事前に着色パターンを用意する際の労力を軽減できる。
【0060】
すなわち、本発明の実施形態によれば、被照射体1(フィルタ1aおよび白色部材1b)を用意すれば、事前に着色パターンを用意しなくてすむ。
【0061】
また、本発明の実施形態によれば、被照射体1および色見本10を用意する場合であっても、色見本10は、照明光の種類ごとに1つの領域(12B1など)を用意すればすむので、光源の種類ごとに2枚1組の着色シートを用意するのと比べて、労力を半分程度に軽減できる。
【符号の説明】
【0062】
1 被照射体
1a フィルタ
1b 白色部材
2 光源
10 色見本
12B1、12B2、12B3、12B4、12B5 見本色の領域
12BH、12RGB 見本色の領域
12V1、12V2 見本色の領域
L 照射光
B1、B2、B3、B4、B5 CIEのLED照明条件
BH、RGB CIEのLED照明条件
V1、V2 CIEのLED照明条件
R 照射光Lの赤色光成分
V 照射光Lの紫色光成分
B 照射光Lの青色光成分
G 照射光Lの緑色光成分
Y 照射光Lの黄色光成分
【要約】
【課題】光源の種類を推定するために事前に着色パターンを用意する際の労力を軽減する。
【解決手段】色見本10が、複数の種類の照明光(CIEのLED照明条件)のうちのいずれか一種類に近い照射光Lにより照射された被照射体1の色の観察結果に合わせた見本色の領域12B1、12B2、12B3、12B4、12B5、12BH、12RGB、12V1、12V2を有する。ただし、被照射体1は、青色、緑色および黄色の光の吸収率が、赤色および紫色の光の吸収率よりも高く、赤色および紫色の光の反射率が、青色、緑色および黄色の光の反射率よりも高い。また、照明光は、相対輝度が赤色において極大値をとる種類BHおよびRGBと、相対輝度が紫色において極大値をとる種類V1およびV2と、相対輝度が青色において極大値をとる種類B1、B2、B3、B4およびB5とを有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3