(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】膜モジュール
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20241025BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D63/00 500
(21)【出願番号】P 2024502823
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2022040803
(87)【国際公開番号】W WO2023162351
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2022029393
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中川 剛佑
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和希
(72)【発明者】
【氏名】菅 博史
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 淳史
(72)【発明者】
【氏名】塩見 誠
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 行成
(72)【発明者】
【氏名】清水 克哉
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05611931(US,A)
【文献】特開2019-156658(JP,A)
【文献】特開2001-025629(JP,A)
【文献】国際公開第2020/071107(WO,A1)
【文献】特開2002-292250(JP,A)
【文献】特開2018-008940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、2MPa以上の高圧下で用いられる膜構造体と、
前記ハウジングと前記膜構造体との間を封止する封止部と、
前記ハウジングのうち前記封止部と接触する部分を局所的に冷却する冷却部と、
を備え
、
前記冷却部は、前記ハウジング又は前記封止部に形成された通気孔である、
膜モジュール。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、2MPa以上の高圧下で用いられる膜構造体と、
前記ハウジングと前記膜構造体との間を封止する封止部と、
前記ハウジングのうち前記封止部と接触する部分を局所的に冷却する冷却部と、
を備え、
前記封止部は、前記膜構造体とともに前記膜構造体の長手方向に移動可能である、
膜モジュール。
【請求項3】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、2MPa以上の高圧下で用いられる膜構造体と、
前記ハウジングと前記膜構造体との間を封止する封止部と、
前記ハウジングのうち前記封止部と接触する部分を局所的に冷却する冷却部と、
を備え、
前記封止部は、
前記ハウジングの内面に固定され、前記膜構造体の側面と対向する傾斜面を有する環状の固定部と、
前記側面に取り付けられ、前記傾斜面と当接する環状の当接部と、
を有する、
膜モジュール。
【請求項4】
前記冷却部は、冷媒が循環する冷媒流路である、
請求項1
乃至3のいずれかに記載の膜モジュール。
【請求項5】
前記冷媒流路は、前記ハウジングの外部に配置される、
請求項
4に記載の膜モジュール。
【請求項6】
前記冷却部は、前記ハウジングの外表面に形成された放熱フィンである、
請求項1
乃至3のいずれかに記載の膜モジュール。
【請求項7】
前記膜構造体は、水素及び二酸化炭素を含有する原料ガスから液体燃料への転化反応の生成物である水蒸気を透過させる分離膜を有するリアクタである、
請求項1
乃至3のいずれかに記載の膜モジュール。
【請求項8】
前記膜構造体は、混合流体に含まれる所望の成分を透過可能な分離膜を有する分離膜構造体である、
請求項1
乃至3のいずれかに記載の膜モジュール。
【請求項9】
前記封止部は、弾性部材によって構成されるOリングである、
請求項
2に記載の膜モジュール。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、混合流体に含まれる所望の成分を透過可能な分離膜を有する分離膜構造体と、
前記ハウジングと前記分離膜構造体との間を封止する封止部と、
前記ハウジングのうち前記封止部と接触する部分を局所的に冷却する冷却部と、
を備え、
前記冷却部は、前記ハウジング又は前記封止部に形成された通気孔である、
膜モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングとハウジング内に収容される膜構造体とを備える膜モジュールが知られている。膜構造体としては、例えば分離膜構造体(例えば、特許文献1参照)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の膜モジュールでは、ハウジング内に膜構造体を固定するために、ハウジングと膜構造体との間を封止する封止部(例えば、Oリング)が設けられている。
【0005】
しかしながら、分離を高温で行う必要がある場合において、ハウジングは膜構造体より熱膨張しやすいため、封止部の封止性能が低下してしまうおそれがある。このような問題は、膜構造体が分離膜構造体である場合に限らず、膜構造体がリアクタなどである場合にも生じる。
【0006】
本発明は、封止部の封止性能の低下を抑制可能な膜モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に係る膜モジュールは、ハウジングと、ハウジング内に収容される膜構造体と、ハウジングと膜構造体との間を封止する封止部と、ハウジングのうち封止部と接触する部分を冷却する冷却部とを備える。
【0008】
本発明の第2の側面に係る膜モジュールは、上記第1の側面に係り、前記冷却部は、冷媒が循環する冷媒流路である。
【0009】
本発明の第3の側面に係る膜モジュールは、上記第2の側面に係り、前記冷媒流路は、前記ハウジングの外部に配置される。
【0010】
本発明の第4の側面に係る膜モジュールは、上記第1の側面に係り、前記冷却部は、前記ハウジングの外表面に形成された放熱フィンである。
【0011】
本発明の第5の側面に係る膜モジュールは、上記第1の側面に係り、前記冷却部は、前記ハウジング又は前記封止部に形成された通気孔である。
【0012】
本発明の第6の側面に係る膜モジュールは、上記第1乃至第5いずれかの側面に係り、膜構造体は、水素及び二酸化炭素を含有する原料ガスから液体燃料への転化反応の生成物である水蒸気を透過させる分離膜を有するリアクタである。
【0013】
本発明の第7の側面に係る膜モジュールは、上記第1乃至第5いずれかの側面に係り、前記膜構造体は、混合流体に含まれる所望の成分を透過可能な分離膜を有する分離膜構造体である。
【0014】
本発明の第8の側面に係る膜モジュールは、上記第1乃至第7いずれかの側面に係り、前記封止部は、前記膜構造体とともに前記長手方向に移動可能である。
【0015】
本発明の第9の側面に係る膜モジュールは、上記第7の側面に係り、前記封止部は、弾性部材によって構成されるOリングである。
【0016】
本発明の第10の側面に係る膜モジュールは、上記第8の側面に係り、前記封止部は、前記ハウジングの内面に固定され、前記膜構造体の側面と対向する傾斜面を有する環状の固定部と、前記側面に取り付けられ、前記傾斜面と当接する環状の当接部とを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封止部の封止性能の低下を抑制可能な膜モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る膜モジュールの透視側面図
【
図6】第2実施形態に係る膜モジュールの透視側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態
【0020】
(膜モジュール2)
第1実施形態に係る膜モジュール2について説明する。
図1は、膜モジュール2の透視側面図である。
【0021】
図1に示すように、膜モジュール2は、リアクタ1、ハウジング3、第1封止部4、第2封止部5、流れ止め部6、及び冷媒流路7を備える。
【0022】
[リアクタ1]
リアクタ1は、本発明に係る「膜構造体」の一例である。リアクタ1は、ハウジング3内に収容される。リアクタ1の外形は、長手方向に延びる柱状である。
【0023】
リアクタ1は、原料ガスを液体燃料へ転化させるための所謂メンブレンリアクタである。原料ガスは、少なくとも水素及び二酸化炭素を含有する。原料ガスは、一酸化炭素を含有していてよい。原料ガスは、いわゆる合成ガス(Syngas)であってよい。液体燃料は、常温常圧で液体状態の燃料、又は、常温加圧状態で液化可能な燃料である。常温常圧で液体状態の燃料としては、例えばメタノール、エタノール、CnH2(m-2n)(mは90未満の整数、nは30未満の整数)で表される液体燃料、及びこれらの混合物が挙げられる。常温加圧状態で液化可能な燃料としては、例えばプロパン、ブタン、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0024】
例えば、水素及び二酸化炭素を含有する原料ガスを触媒存在下で接触水素化することでメタノールを合成する際の反応式(1)は次の通りである。
【0025】
CO2+3H2 ⇔ CH3OH+H2O (1)
【0026】
上記反応は平衡反応であり、リアクタ1は、転化反応の生成物の一つである水蒸気を分離することによって反応平衡を生成物側にシフトさせることができる。転化効率及び反応速度を高めるには、高温高圧下(例えば、180℃以上、2MPa以上)で実施されることが好ましい。液体燃料は、合成された時点では気体状態であり、少なくともリアクタ1から流出するまでは気体状態のまま維持される。リアクタ1は、所望の液体燃料の合成条件に適した耐熱性及び耐圧性を有することが好ましい。
【0027】
リアクタ1は、後述するように主にセラミック材料によって構成される。リアクタ1の詳細構成については後述する。
【0028】
[ハウジング3]
ハウジング3は、内部にリアクタ1を収容する。ハウジング3の内部は、第1封止部4、第2封止部5及び流れ止め部6によって、第1乃至第4空間P1~P4に区画される。ハウジング3は、原料ガス供給口3a、液体燃料排出口3b、掃引ガス供給口3c及び掃引ガス排出口3dを有する。
【0029】
原料ガスは、原料ガス供給口3aから第1空間P1に供給される。原料ガスは、第1空間P1からリアクタ1内に流入する。液体燃料は、リアクタ1から第2空間P2に流出する。第2空間P2に流出した液体燃料は、液体燃料排出口3bから外部に排出される。
【0030】
掃引ガスは、掃引ガス供給口3cから第3空間P3に供給される。掃引ガスは、第3空間P3からリアクタ1内に流入する。リアクタ1内で水蒸気を取り込んだ掃引ガスは、リアクタ1から第4空間P4に流出する。第4空間P4に流出した掃引ガスは、掃引ガス排出口3dから外部に排出される。
【0031】
なお、
図1では、掃引ガス供給口3cが、リアクタ1の軸心を基準として、掃引ガス排出口3dの反対側に配置されている。これによって、後述する各第2流路12を介して掃引ガス供給口3aから掃引ガス排出口3bまで流れる掃引ガスの各流路長を同等にできるため、掃引ガスの流れが偏ることを抑制できる。ただし、掃引ガス供給口3c及び掃引ガス排出口3dそれぞれの位置関係は適宜変更可能である。
【0032】
ハウジング3は、主に金属材料(ステンレス鋼など)によって構成される。本実施形態では、ハウジング3の熱膨張係数がリアクタ1の熱膨張係数より大きいことが想定されている。そのため、ハウジング3はリアクタ1より熱膨張しやすい。
【0033】
このように、ハウジング3がリアクタ1より熱膨張しやすい場合、ハウジング3がリアクタ1に比べて短手方向(長手方向に垂直な方向)に大きく膨張することによって、第1封止部4の封止性能が低下するおそれがある。そこで、後述するように、ハウジング3に冷媒流路7を取り付けることによって、第1封止部4の封止性能が低下することが抑制されている。
【0034】
ハウジング3がリアクタ1より熱膨張しやすいことは、長手方向におけるリアクタ1の実質TE(Thermal expansion)に対する、長手方向におけるハウジング3の実質TEの比(以下、「実質TE比」という。)が1より大きいことを意味する。
【0035】
リアクタ1の実質TEは、膜モジュール2の作動温度と室温との差分(dT)と、長手方向におけるリアクタ1の熱膨張係数(CTE)との乗算値である。ハウジング3の実質TEは、膜モジュール2の作動温度と室温との差分(dT)と、長手方向におけるハウジング3の熱膨張係数との乗算値である。
【0036】
実質TE比は、3以下であることが好ましい。これによって、ハウジング3とリアクタ1との熱膨張差を低減できるため、第1封止部4の封止性能が低下することをより抑制できる。
【0037】
[第1封止部4]
第1封止部4は、本発明に係る「封止部」の一例である。第1封止部4は、ハウジング3とリアクタ1の第1端部1aとの間を封止する。第1封止部4は、リアクタ1の第1端部1aを保持する。本実施形態において、第1封止部4は環状に形成される。
【0038】
第1封止部4は、弾性部材によって構成されるOリングである。弾性部材としては、ゴム、樹脂、金属などが挙げられる。第1封止部4は、リアクタ1の側面S3とハウジング3の内面T1との間で圧縮されていることが好ましい。
【0039】
第1封止部4は、リアクタ1の側面S3とハウジング3の内面T1とに接触する。第1封止部4は、長手方向においてリアクタ1がハウジング3に対して相対的に移動した場合、長手方向に移動可能である。そのため、リアクタ1がハウジング3に対して長手方向において相対移動しても、ハウジング3とリアクタ1の第1端部1aとの間の封止性を維持することができる。
【0040】
[第2封止部5]
第2封止部5は、ハウジング3とリアクタ1の第2端部1bとの間を封止する。第2封止部5は、リアクタ1の第2端部1bを保持する。第2封止部5は、リアクタ1の側面S3とハウジング3の内面T1とに接続される。本実施形態において、第2封止部5は環状に形成される。
【0041】
第2封止部5の第2空間P2側は高温の液体燃料や水蒸気に曝されるため、高温の液体燃料の化学的負荷に対する耐性と水蒸気に対する耐性とが第2封止部5の構成材料には求められる。第2封止部5の構成材料としては、例えばガラス、銀ろう、はんだ、無機系接着剤などが挙げられる。第2封止部5の構成材料としてゴムやプラスチックは適していない。
【0042】
[流れ止め部6]
流れ止め部6は、リアクタ1とハウジング3との間に配置される。流れ止め部6は、第3空間P3と第4空間P4との間に配置される。本実施形態において、流れ止め部6は環状に形成される。
【0043】
流れ止め部6は、第3空間P3から第4空間P4へ掃引ガスが流れることを抑制する。ただし、流れ止め部6は、掃引ガスの流れを抑えることができればよく、リアクタ1とハウジング3との間を密封していなくてよい。流れ止め部6は、例えば膨張黒鉛、ゴム、樹脂などによって構成することができる。
【0044】
[冷媒流路7]
冷媒流路7は、本発明に係る「冷却部」の一例である。冷媒流路7は、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分に取り付けられる。冷媒流路7の内部には、冷媒(液体又は気体)が循環される。
【0045】
冷媒流路7は、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分を冷却する。これによって、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分が短手方向に熱膨張することを局所的に抑制できるため、ハウジング3と第1封止部4との間における面圧の低下を抑えることができる。その結果、第1封止部4の封止性能が低下することを抑制できる。
【0046】
本実施形態において、冷媒流路7は、ハウジング3の外部に配置される。そのため、冷媒流路7を耐圧構造にする必要がないため、膜モジュール2の構成を簡素化できる。
【0047】
(リアクタ1の詳細構成)
次に、本実施形態に係るリアクタ1の詳細構成について説明する。
図2は、リアクタ1の斜視図である。
図3は、
図2のA-A断面図である。
図4は、
図2のB-B断面図である。
図5は、
図3のC-C断面図である。
【0048】
図2に示すように、リアクタ1は、モノリス型に形成される。モノリスとは、長手方向に貫通した複数の孔を有する形状を意味し、ハニカムを含む概念である。本実施形態において、リアクタ1は円柱状に形成されているが、リアクタ1の外形は特に限られない。
【0049】
リアクタ1は、第1端部1a及び第2端部1bを有する。第1端部1aは、リアクタ1を長手方向に5等分した場合に、リアクタ1の一端部から2/5までの部分である。第2端部1bは、リアクタ1を長手方向に5等分した場合に、リアクタ1の他端部から2/5までの部分である。本実施形態において、リアクタ1の第1端部1aは原料ガスの流入側であり、リアクタ1の第2端部1bは液体燃料の流出側である。
【0050】
リアクタ1は、第1端面S1、第2端面S2及び側面S3を有する。第1端面S1は、第1端部1a側の端面である。第2端面S2は、第2端部1b側の端面である。第1端面S1は、第2端面S2の反対側に設けられる。側面S3は、第1端面S1及び第2端面S2の外縁に連なる。
【0051】
図2~
図4に示すように、リアクタ1は、多孔質支持体10、触媒20、分離膜30、第1シール部40及び第2シール部50を備える。
【0052】
多孔質支持体10は、リアクタ1の長手方向に延びる柱体である。多孔質支持体10は、多孔質材料によって構成される。
【0053】
多孔質材料としては、セラミック材料、金属材料、樹脂材料などを用いることができ、特にセラミック材料が好適である。セラミック材料の骨材としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ムライト(Al2O3・SiO2)、セルベン及びコージェライト(Mg2Al4Si5O18)のうち少なくとも一つを用いることができる。セラミック材料の無機結合材としては、例えば、チタニア、ムライト、易焼結性アルミナ、シリカ、ガラスフリット、粘土鉱物、易焼結性コージェライトのうち少なくとも一つを用いることができる。ただし、セラミック材料は、無機結合材を含んでいなくてよい。
【0054】
図3~
図4に示すように、多孔質支持体10は、多数の第1流路11及び複数の第2流路12を有する。
【0055】
各第1流路11は、
図5に示すように、リアクタ1の長手方向に沿って形成される。各第1流路11は、分離膜30の非透過側の空間である。各第1流路11には、原料ガスが流される。各第1流路11は、貫通孔である。各第1流路11は、リアクタ1の第1端面S1及び第2端面S2それぞれに開口する。各第1流路11は、第1端面S1に形成される原料ガスの流入口e1と、第2端面S2に形成される液体燃料の流出口e2とを有する。各第1流路11内には、触媒20が配置される。第1流路11の本数、位置及び形状などは適宜変更可能である。
【0056】
各第2流路12は、分離膜30の透過側の空間である。各第2流路12には、分離膜30を透過した水蒸気を掃引するための掃引ガスが流される。掃引ガスとしては、不活性ガス(例えば窒素)や空気などを用いることができる。第2流路12の本数、位置及び形状などは適宜変更可能である。
【0057】
ここで、各第2流路12は、
図3~
図4に示すように、複数のセル13、流入スリット14及び流出スリット15によって構成される。
【0058】
複数のセル13は、リアクタ1の短手方向(長手方向に垂直な方向)に沿って一列に並ぶ。各セル13は、
図5に示すように、リアクタ1の長手方向に沿って形成される。各セル13の両端は、第1及び第2目封止部17,18によって封止される。第1及び第2目封止部17,18は、上述した多孔質材料によって構成することができる。
【0059】
流入スリット14は、
図2に示すように、リアクタ1の第2端部1bに形成される。流入スリット14は、
図3に示すように、リアクタ1の短手方向に沿って形成される。流入スリット14は、複数のセル13を貫通する。流入スリット14の両端は、側面S3に開口する。流入スリット14は、側面S3に形成される一対の流入口d1を有する。一対の流入口d1は、長手方向における第2流路12の一端である。
【0060】
流出スリット15は、
図2に示すように、リアクタ1の第1端部1aに形成される。流出スリット15は、
図4に示すように、リアクタ1の短手方向に沿って形成される。流出スリット15は、複数のセル13を貫通する。流出スリット15の両端は、側面S3に開口する。流出スリット15は、側面S3に形成される一対の排出口d2を有する。一対の排出口d2は、長手方向における第2流路12の他端である。
【0061】
触媒20は、各第1流路11内に配置される。触媒20は、各第1流路11内に充填されていることが好ましいが、分離膜30の表面に層状に配置されていてもよい。触媒20は、上記式(1)に示した原料ガスから液体燃料への転化反応を促進させる。
【0062】
触媒20は、所望の液体燃料への転化反応に適した既知の触媒を用いることができる。触媒20としては、例えば、金属触媒(銅、パラジウムなど)、酸化物触媒(酸化亜鉛、ジルコニア、酸化ガリウムなど)、及び、これらを複合化した触媒(銅-酸化亜鉛、銅-酸化亜鉛-アルミナ、銅-酸化亜鉛-酸化クロム-アルミナ、銅-コバルト-チタニア、及びこれらにパラジウムを修飾した触媒など)が挙げられる。
【0063】
分離膜30は、多孔質支持体10によって支持される。分離膜30は、第1流路11を取り囲む。分離膜30は、第1流路11と第2流路12との間に配置される。
【0064】
分離膜30は、原料ガスから液体燃料への転化反応の生成物の一つである水蒸気を透過させる。これにより、平衡シフト効果を利用して上記式(1)の反応平衡を生成物側にシフトさせることができる。
【0065】
分離膜30は、100nmol/(s・Pa・m2)以上の水蒸気透過係数を有することが好ましい。水蒸気透過係数は、既知の方法(Ind.Eng.Chem.Res.,40,163-175(2001)参照)で求めることができる。
【0066】
分離膜30は、100以上の分離係数を有することが好ましい。分離係数が大きいほど、水蒸気を透過しやすく、かつ水蒸気以外の成分(水素、二酸化炭素及び液体燃料など)を透過させにくい。分離係数は、既知の方法(「Separation and Purification Technology 239 (2020) 116533」のFig.1参照)で求めることができる。
【0067】
分離膜30としては、無機膜を用いることができる。無機膜は、耐熱性、耐圧性、耐水蒸気性を有するため好ましい。無機膜としては、例えばゼオライト膜、シリカ膜、アルミナ膜、これらの複合膜などが挙げられる。特に、シリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)とのモル比(Si/Al)が1.0以上3.0以下であるLTA型のゼオライト膜は、水蒸気透過性に優れているため好適である。
【0068】
第1シール部40は、
図2に示すように、多孔質支持体10の第1端面S1と側面S1の一部とを覆う。第1シール部40は、原料ガスが多孔質支持体10に侵入することを抑制する。第1シール部40は、
図5に示すように、第1流路11の流入口e1を塞がないように形成される。第1シール部40は、第1目封止部17を覆う。第1シール部40は、ガラス、金属、ゴム、樹脂などによって構成することができる。
【0069】
第2シール部50は、
図2に示すように、多孔質支持体10の第2端面S2と側面S1の一部とを覆う。第2シール部50は、液体燃料が多孔質支持体10に侵入することを抑制する。第2シール部50は、
図5に示すように、第1流路11の流出口e2を塞がないように形成される。第2シール部50は、第2目封止部18を覆う。第2シール部50は、ガラス、金属、ゴム、樹脂などによって構成することができる。
【0070】
(リアクタ1を用いた液体燃料合成方法)
図5を参照しながら、リアクタ1を用いた液体燃料合成方法について説明する。
【0071】
リアクタ1を用いた液体燃料合成方法は、分離膜30の非透過側に設けられた第1流路11に原料ガスを流しながら、分離膜30の透過側に設けられた第2流路12に掃引ガスを流す工程を備える。
【0072】
原料ガスは、第1流路11の流入口e1から第1流路11内に流入する。第1流路11内では、上記式(1)に従って、液体燃料とともに水蒸気が生成される。合成された液体燃料は、第1流路11の流出口e2から流出する。生成物の一つである水蒸気は、分離膜30及び多孔質支持体10を順次透過して、第2流路12に移動する。
【0073】
掃引ガスは、流入スリット14の流入口d1から流入した後、流入スリット14からセル13に流入する。次に、流入スリット14からセル13に流入した掃引ガスは、分離膜30を透過した水蒸気を取り込むとともに、転化反応に伴って発生した反応熱を吸収しながら流出スリット15側に向かってセル13内を流れる。流出スリット15に到達した掃引ガスは、流出スリット15の排出口d2から排出される。
【0074】
図5に示すように、本実施形態では、分離膜30の側面視において、第2流路12を流れる掃引ガスの向きは、第1流路11を流れる原料ガスの向きと逆である。すなわち、第2流路12を流れる掃引ガスは、第1流路11を流れる原料ガスと対向する向きに流れる。
【0075】
ただし、分離膜30の側面視において、第2流路12を流れる掃引ガスの向きは、第1流路11を流れる原料ガスの向きと同じであってもよい。すなわち、第2流路12を流れる掃引ガスは、第1流路11を流れる原料ガスと平行な向きに流されてもよい。
【0076】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る膜モジュール2aについて説明する。
図6は、膜モジュール2aの透視側面図である。第2実施形態に係る膜モジュール2aは、冷媒流路7に代えて放熱フィン7aを備える点において第1実施形態に係る膜モジュール2と相違する。以下、当該相違点について主に説明する。
【0077】
放熱フィン7aは、本発明に係る「冷却部」の一例である。放熱フィン7aは、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分に取り付けられる。放熱フィン7aは、ハウジング3の外表面に接続される。
【0078】
放熱フィン7aは、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分を冷却する。これによって、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分が短手方向に熱膨張することを局所的に抑制できるため、ハウジング3と第1封止部4との間における面圧の低下を抑えることができる。その結果、第1封止部4の封止性能が低下することを抑制できる。
【0079】
放熱フィン7aは、複数のフィンによって構成される。各フィンは、ハウジング3の外表面から突出するように配置される。各フィンは、ハウジング3と同種の材料によって構成されることが望ましいが、放熱性を有している限りこれに限定されない。フィンの形状および枚数は特に限られない。
【0080】
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0081】
[変形例1]
上記第1及び第2実施形態では、封止部の一例として第1封止部4について説明したが、封止部の構成はこれに限られない。
【0082】
例えば、
図7に示すように、膜モジュール2aは、固定部8a及び当接部8bを有する第1封止部8を備えていてよい。第1封止部8は、ハウジング3とリアクタ1の第1端部1aとの間を封止する。第1封止部8は、リアクタ1の第1端部1aを保持する。
【0083】
固定部8aは本発明に係る「固定部」の一例である。固定部8aは、環状に形成される。固定部8aは、ハウジング3の内面T1に固定される。固定部8aは、ハウジング3の内面T1から突出するように配置される。固定部8aは、ハウジング3と同種の材料によって構成されることが望ましいが固定部として機能する限りこれに限定されない。固定部8aは、リアクタ1の側面S3と対向する傾斜面T2を有する。傾斜面T2は、側面S3に対して傾斜している。具体的には、傾斜面T2と側面S3との間隔は、リアクタ1の第1端面S1側に向かうほど大きくなっている。
【0084】
当接部8bは、本発明に係る「当接部」の一例である。当接部8bは、環状に形成される。当接部8bは、リアクタ1の側面S3に取り付けられる。当接部8bは、リアクタ1とともに長手方向に移動可能である。
【0085】
当接部8bは、固定部8aの傾斜面T2と当接する。当接部8bは、固定部8aとリアクタ1の側面S3との間に挟まれる。従って、膜モジュール2aの作動開始時にハウジング3が長手方向に伸長すると、それに応じて当接部8bは固定部8aの傾斜面T2に押し付けられる。よって、第1封止部8による保持性及び封止性を維持したままハウジング3の伸縮に対応できるため、リアクタ1及び第1封止部8に応力がかかって損傷することを抑制できる。
【0086】
しかしながら、ハウジング3のうち第1封止部8と接触する部分が短手方向に熱膨張すると、固定部8aと当接部8bとの間における面圧が低下して第1封止部8の封止性能が低下するおそれがある。そこで、ハウジング3のうち第1封止部8と接触する部分を冷媒流路7で冷却することによって、固定部8aと当接部8bとの間における面圧の低下を抑えることができ、その結果、第1封止部8の封止性能が低下することを抑制できる。
【0087】
また、
図8に示すように、膜モジュール2bは、第2封止部5に類似する構成を有する第1封止部9を備えていてよい。第1封止部9は、ハウジング3とリアクタ1の第1端部1aとの間を封止する。第1封止部9は、リアクタ1の第1端部1aを保持する。
【0088】
第1封止部9は、リアクタ1の側面S3とハウジング3の内面T1とに接続される。第1封止部9は環状に形成される。第1封止部9は、長手方向に変形又は移動しない。第1封止部9の構成材料としては、例えばガラス、銀ろう、はんだ、無機系接着剤などが挙げられる。また、第1封止部9は高温の液体燃料や水蒸気には曝されないため、第1封止部9の構成材料としてゴムやプラスチックを用いることもできる。
【0089】
第1封止部9は、リアクタ1の側面S3とハウジング3の内面T1とに接続されているため、短手方向においてハウジング3の伸縮が繰り返されると第1封止部9が熱応力によって損傷して第1封止部9の封止性能が低下するおそれがある。そこで、ハウジング3のうち第1封止部9と接触する部分を冷媒流路7で冷却することによって、第1封止部9の損傷を抑えることができ、その結果、第1封止部9の封止性能が低下することを抑制できる。
【0090】
[変形例2]
上記第1及び第2実施形態において、膜モジュール2は、ハウジング3のうち第1封止部4と接触する部分を冷却する冷却部(冷媒流路7又は放熱フィン7a)を備えることとしたが、これに加えて、ハウジング3のうち第2封止部5と接触する部分を冷却する冷却部を備えていてよい。このように、1つの封止部ごとに冷却部を設けることによって、すべての封止部の封止性能を維持できる。
【0091】
[変形例3]
上記第1及び第2実施形態では、膜構造体の一例として、モノリス型のリアクタ1について説明したが、膜構造体の構成はこれに限られない。
【0092】
例えば、膜構造体は、モノリス型以外のリアクタであってよい。モノリス型以外のリアクタとしては、チューブ型のリアクタ(例えば、特開2018-008940号公報)が代表的であるが、これには限られない。
【0093】
また、膜構造体は、混合流体に含まれる所望の成分を透過可能な分離膜を有する分離膜構造体であってよい。分離膜構造体としては、周知のもの(例えば、特開2018-149471号公報、特開2019-76845号公報、国際公開第2018/088064号)を用いることができる。このように、本発明では、膜構造体の機能及び構成は問われない。
【0094】
[変形例4]
上記第1実施形態において、冷媒流路7は、ハウジング3の外部に配置されることとしたが、ハウジング3の内部に配置されてもよい。
【0095】
[変形例5]
上記第2実施形態において、膜モジュール2aは、複数のフィンによって構成される放熱フィン7aを備えることとしたが、放熱フィンは1枚以上のフィンによって構成されていればよい。
【0096】
例えば、
図9に示すように、膜モジュール2cは、リアクタ1、ハウジング3、封止部4b、及び1枚の放熱フィン7bを備える。
【0097】
リアクタ1の構成は、上記実施形態にて説明した通りである。
【0098】
ハウジング3は、フランジ31、支持部材32、押圧部材33、筒本体34、及び2枚のフランジガスケット35を有する。フランジ31は、原料ガス供給口3aが中央に形成された環状部材である。支持部材32は、フランジ31と筒本体34の間に配置される環状部材である。支持部材32は、封止部4bを支持する。押圧部材33は、支持部材32に締結される。押圧部材33は、リアクタ1の長手方向において封止部4bを押圧する。筒本体34は、リアクタ1の側周を取り囲む筒状部材である。2枚のフランジガスケット35は、支持部材32の両側に配置される。フランジ31と支持部材32の間に配置されるフランジガスケット35によって、フランジ31と支持部材32の間に隙間が形成される。支持部材32と筒本体34の間に配置されるフランジガスケット35によって、支持部材32と筒本体34の間に隙間が形成される。
【0099】
封止部4bは、リアクタ1と支持部材32の間に配置される。封止部4bは、環状に形成されており、リアクタ1の第1端部1aを取り囲む。封止部4bは、リアクタ1の第1端部1aと支持部材32との隙間を封止する。封止部4bとしては、所謂グランドパッキンを用いることができる。グランドパッキンは、例えば膨張黒鉛によって構成することができる。封止部4bが押圧部材33によって圧縮されることで、封止部4bがシール性を発揮する。封止部4bのシール性は、支持部材32に対する押圧部材33の締結力によって調整可能である。
【0100】
放熱フィン7bは、フランジ31と筒本体34の間に配置される環状部材である。本実施形態において、放熱フィン7bは、フランジ31と筒本体34とともに締結具L1によって共締めされている。放熱フィン7bは、ハウジング3の外表面に形成されている。具体的には、放熱フィン7bは、支持部材32の外周に接続される。放熱フィン7bは、支持部材32と一体的に形成されていてもよい。
【0101】
放熱フィン7bは、本発明に係る「冷却部」の一例である。放熱フィン7bは、ハウジング3のうち封止部4bと接触する部分(具体的には、支持部材32)を冷却する。これによって、ハウジング3のうち封止部4bと接触する支持部材32が短手方向に熱膨張することを局所的に抑制できるため、支持部材32と封止部4bとの間における面圧の低下を抑えることができる。その結果、封止部4bの封止性能が低下することを抑制できる。
【0102】
以上、
図9を参照しながら、リアクタ1の第1端部1a側における冷却構造について説明したが、
図9に示した冷却構造は、リアクタ1の第2端部1b側にも適用してもよいし、或いは、リアクタ1の第2端部1b側だけに適用してもよい。
【0103】
[変形例6]
上記第1実施形態では冷媒流路7を「冷却部」の一例として説明し、上記第2実施形態及び変形例5では放熱フィン7a,7bを「冷却部」の一例として説明したが、「冷却部」はこれらに限られない。
【0104】
例えば、
図9に示した封止部4b自体に形成される通気孔を「冷却部」として利用してもよい。具体的には、封止部4bがグランドパッキンである場合、支持部材32に対する押圧部材33の締結力を緩めることで封止部4bのシール性を一部失わせて通気孔とできる。原料ガス供給口3aから第1空間P1に流入する高圧の原料ガスの一部は、封止部4bの通気孔を通って第4空間P4に流出する。このとき、原料ガスが断熱膨張に伴って温度が低下するため、ハウジング3のうち封止部4bと接触する部分(具体的には、支持部材32)が冷却される。
【0105】
或いは、ハウジング3に形成される通気孔を「冷却部」として利用してもよい。例えば、
図9には図示されていないが、第1空間P1と第4空間P4に連通する通気孔を支持部材32に形成してもよい。この場合、支持部材32の通気孔を通過する原料ガスの断熱膨張による温度低下によって、ハウジング3のうち封止部4bと接触する部分(具体的には、支持部材32自体)が冷却される。
【0106】
[変形例7]
図10は、
図1に示した膜モジュール2の断面図である。
図10では、リアクタ1の軸心に垂直な断面が図示されている。
【0107】
図10に示すように、リアクタ1の内部を流出スリット15が延びる第1延在方向は、掃引ガス排出口3dから外部に排出される掃引ガスの排出方向に対して傾斜又は直交していることが好ましい。具体的には、排出方向に対する第1延在方向の角度θ1は、45度以上135度以下が好ましい。これによって、流出スリット15の両側の開口部から掃引ガス排出口3dまでのガス流れの偏りを抑制できるため、掃引ガスの偏流を抑制できる。
【0108】
図11は、
図1に示した膜モジュール2の断面図である。
図11では、リアクタ1の軸心に垂直な断面が図示されている。
【0109】
図11に示すように、リアクタ1の内部を流入スリット14が延びる第2延在方向は、掃引ガス供給口3cから供給される掃引ガスの供給方向に対して傾斜又は直交していることが好ましい。具体的には、供給方向に対する第2延在方向の角度θ2は、45度以上135度以下が好ましい。これによって、掃引ガス供給口3cから流入スリット14の両側の開口部までのガス流れの偏りを抑制できるため、掃引ガスの偏流を抑制できる。
【0110】
[変形例8]
上記第1及び第2実施形態において、分離膜30は、原料ガスから液体燃料への転化反応の生成物の一つである水蒸気を透過させることとしたが、これに限られない。分離膜30は、原料ガスから液体燃料への転化反応によって生成される液体燃料自体を透過させてもよい。この場合においても、上記式(1)の反応平衡を生成物側にシフトさせることができる。
【0111】
また、分離膜30が液体燃料を透過させる場合には、水蒸気が生成されない反応(例えば、2H2+CO ⇔ CH3OH)によって液体燃料を生成するときにおいても、反応平衡を生成物側にシフトさせることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 リアクタ
2,2a,2b 膜モジュール
3 ハウジング
3a 原料ガス供給口
3b 液体燃料排出口
3c 掃引ガス供給口
3d 掃引ガス排出口
5 第2封止部
6 流れ止め部
7 冷却流路
7a 放熱フィン
4,8,9 第1封止部
8a 固定部
8b 当接部
10 多孔質支持体
20 触媒
30 分離膜