(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】動物飼料サプリメント
(51)【国際特許分類】
A23K 20/111 20160101AFI20241028BHJP
A23K 20/142 20160101ALI20241028BHJP
A23K 50/10 20160101ALI20241028BHJP
【FI】
A23K20/111
A23K20/142
A23K50/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022164618
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2019566642の分割
【原出願日】2018-01-04
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2017/051562
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】524349483
【氏名又は名称】モートラル イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】グラーツ カール イェルク ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー アルブレヒト イェルク マティアス
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/102931(WO,A1)
【文献】特表2015-514409(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119808(WO,A1)
【文献】特表2020-521503(JP,A)
【文献】特表平07-509124(JP,A)
【文献】特表2017-522008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0040902(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0285931(US,A1)
【文献】特開平07-107919(JP,A)
【文献】特表2015-535822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 20/111
A23K 20/142
A23K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機硫黄化合物、及び
2種以上のフェノール化合物
を含む、動物によるメタン産生を低減するための動物飼料サプリメントであって、
前記少なくとも1種の有機硫黄化合物が、アリシン
を含み、
前記
2種以上のフェノール化合物が、ナリンギン
及びネオヘスペリジン
を含む、
前記動物飼料サプリメント。
【請求項2】
前記
有機硫黄化合物が
、アリイン、アリルプロピルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、s-アリルシステイン、ビニルジチイン、ジアリルジスルフィド、又はこれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項3】
前記2種
以上のフェノール化合物
が、エリオシトリン、イソナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ロイフォリン、ジオスミン、ジジミン、ヘスペレチン、ポンシリン、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ケルセチン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、プニカリン、又はこれらの組合せを
更に含む、請求項1又は2に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項4】
前記
2種以上のフェノール化合物が、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン
、プニカリン
、又はこれらの組合せを
更に含む
、請求項
3に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項5】
前記
2種以上のフェノール化合物が、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ケンペロール
、ケルセチン
、又はこれらの組合せ
を更に含む、請求項
3に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項6】
前記動物飼料サプリメントにおける、総有機硫黄化合物:総フェノール化合物の比が、
16:1~
1:30の範囲である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項7】
ナリンギン:ネオヘスペリジンの比が、0.5:5~3:1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項8】
前記有機硫黄化合物が、生ニンニク、乾燥ニンニク、及び/又はアリウム属種の抽出物に由来する、請求項1~7のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項9】
前記
2種以上のフェノール化合物
の各々が、シトラス属種又はピューニカ属種又はカメリア属種又はそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される植物に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項10】
前記
2種以上のフェノール化合物
の各々が、生植物部分、乾燥植物部分、及び/又は前記植物の抽出物に由来する、請求項9に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項11】
固体又は液体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメントを含む、動物によるメタン産生を低減するための動物飼料組成物。
【請求項13】
前記動物飼料組成物の乾燥質量に基づいて、0.0001質量%~10質量%の総有機硫黄化合物を含む、請求項12に記載の動物飼料組成物。
【請求項14】
前記動物飼料組成物の乾燥質量に基づいて、0.0001質量%~10質量%の
2種以上の総フェノール化合物を含む、請求項12又は13に記載の動物飼料組成物。
【請求項15】
濃縮動物飼料組成物、粗飼料動物飼料組成物、又はそれらの混合物である、請求項12~14のいずれか一項に記載の動物飼料組成物。
【請求項16】
反芻動物によるメタン産生を低減するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
【請求項17】
反芻動物によるミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を増加させる及び/又はそれらの効率を増加させるための、請求項1~15のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
【請求項18】
動物に対する栄養素の利用能を増加させるための、請求項1~15のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
【請求項19】
前記反芻動物により消費される動物飼料サプリメント及び/又は動物飼料組成物の総1日量が、100~1000gである、請求項16~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記反芻動物が、ウシ、ヤギ、又はヒツジである、請求項16~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
請求項1~11のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメントを作るための方法であって、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び
2種以上のフェノール化合物を組み合わせることを含み、
前記少なくとも1種の有機硫黄化合物が、アリシン
を含み、
前記
2種以上のフェノール化合物が、ナリンギン
及びネオヘスペリジン
を含む、
前記方法。
【請求項22】
請求項12~15のいずれか一項に記載の動物飼料組成物を作るための方法であって、動物飼料組成物を、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び
2種以上のフェノール化合物と組み合わせることを含み、
前記少なくとも1種の有機硫黄化合物が、アリシン
を含み、
前記
2種以上のフェノール化合物が、ナリンギン
及びネオヘスペリジン
を含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のフェノール化合物(例えば、少なくとも1種のビオフラボノイド)を含む動物飼料サプリメントに関する。更に、本発明は、上記動物飼料サプリメントを含む動物飼料組成物に関する。また、本発明は、上記動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物の種々の使用、並びに上記動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物を作るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜排出は、全地球温暖化ガス排出の約15%を占め、エネルギー及び工業に次いで、温室効果ガスの3番目に大きな寄与要因である。気候に対するメタンの負の効果は、二酸化炭素の効果より約21倍高い。ウシは、平均で年間85~170kgのメタンを放出する。
【0003】
反芻動物の腸内にいる特定のタイプの微生物は、動物により消費される栄養素を使用し、メタンを副産物として産生する。またこれにより、気候変動に対するメタンの負の効果に加えて、動物による使用に利用可能な栄養素が低減される。
【0004】
従って、メタン産生を低減する及び/又は動物に対する栄養素の利用能を増加させる代替的な及び/又は向上された組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によると、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のフェノール化合物を含む動物飼料サプリメントが提供される。少なくとも1種のフェノール化合物は、例えば、少なくとも1種のビオフラボノイドであってもよい。
【0006】
本発明の第2の態様によると、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメントを含む動物飼料組成物が提供される。
【0007】
本発明の第3の態様によると、動物によるメタン産生を低減するための、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用が提供される。そのため、動物によるメタン産生を低減するための方法であって、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物を動物に投与することを含む方法も提供される。
【0008】
本発明の第4の態様によると、動物によるミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を増加させる及び/又はそれらの効率を増加させるための、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用が提供される。そのため、動物によるミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を増加させる及び/又はそれらの効率を増加させるための方法であって、本発明の実施形態の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物を動物に投与することを含む方法も提供される。
【0009】
本発明の第5の態様によると、動物に対する栄養素の利用能を増加させるための、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用が提供される。そのため、動物に対する栄養素の利用能を増加させるための方法であって、本発明の実施形態の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物を動物に投与することを含む方法も提供される。
【0010】
本発明の第6の態様によると、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料サプリメントを作るための方法であって、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のフェノール化合物を組み合わせることを含む方法が提供される。少なくとも1種のフェノール化合物は、少なくとも1種のビオフラボノイドであってもよい。
【0011】
本発明の第7の態様によると、本発明の任意の態様又は実施形態による動物飼料組成物を作るための方法であって、動物試料を、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のフェノール化合物と組み合わせることを含む方法が提供される。少なくとも1種のフェノール化合物は、少なくとも1種のビオフラボノイドであってもよい。
【0012】
本明細書に記載の用途及び方法は、純粋に非治療用であるとみなされる。しかしながら、治療的使用及び方法並びにそうした治療的使用及び方法で使用するための動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物も、本明細書に記載の使用及び方法のいずれかが治療用であるとみなされる程度に、本発明の更なる態様として提供される。
【0013】
本発明の任意の態様のある実施形態では、少なくとも1種の有機硫黄化合物は、アリシンであるか又はアリシンを含む。
【0014】
本発明の任意の態様のある実施形態では、少なくとも1種のフェノール化合物は、少なくとも1種のビオフラボノイドを含む。本発明の任意の態様のある実施形態では、少なくとも1種のフェノール化合物は、ビオフラボノイド、非ビオフラボノイドフェノール化合物、及びそれらの1種以上の組合せからなる群から選択される。
【0015】
本発明の任意の態様のある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドの各々は、独立して、アントキサンチン、フラバノン(フラバノングリコシドを含む)、フラボノール、フラバノノール、フラバン、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドの各々は、独立して、アントキサンチン及びフラバノン(フラバノングリコシドを含む)から選択される。
【0016】
本発明の任意の態様のある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ナリンギン、ネオヘスペリジン、エリオシトリン、イソナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ロイフォリン(roifolin)、ジオスミン、ジジミン、ヘスペレチン、ポンシリン、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ケルセチン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、及びガロカテキンガレートからなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ナリンギン及びネオヘスペリジンから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ナリンギン、ネオヘスペリジン、又はそれらの組合せである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテシンガレート(gallocathecin gallate)、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテシンガレート(epigallocathecin gallate)、ケルセチン、及びそれらの1種以上の組合せからなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、及びケルセチンから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、及びそれらの1種以上の組合せからなる群から選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、及びケンペロールから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、ケルセチン、及びそれらの1種以上の組合せから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ケンペロール、及びケルセチンから選択される。
【0017】
本発明の任意の態様のある実施形態では、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物の各々は、独立して、フェノール酸、ヒドロキシケイ皮酸、クマリン、スチルベノイド、アントラキノン、リグナン、リグニン、タンニン、ポリフェノールタンパク質、及びポリフェノールから選択される。
【0018】
本発明の任意の態様のある実施形態では、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物の各々は、独立して、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸(protocathechuic acid)、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸(ferullic acid)、プニカラギン、及びプニカリンから選択される。
【0019】
本発明の任意の態様のある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、2つ又はそれよりも多くのフェノール化合物、例えば2つ又はそれよりも多くのビオフラボノイドを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、2つのフェノール化合物、例えば2つのビオフラボノイドを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、ナリンギン及びネオヘスペリジンを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、5つのフェノール化合物、例えば5つのビオフラボノイドを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、及びケンペロールを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、7つのフェノール化合物、例えば7つのビオフラボノイドを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ケンペロール、及びケルセチンを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、9つのフェノール化合物、例えば9つのビオフラボノイドを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料は、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、及びケルセチンを含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、11個のフェノール化合物を含む。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プニカラギン、及びプニカリンを含む。
【0020】
本発明の任意の態様のある実施形態では、動物は、反芻動物又は擬似反芻動物である。
【0021】
「発明を実施するための形態」において、本発明の実施形態を更に説明するものとする。本明細書に記載の任意の実施形態又は本明細書に記載の実施形態の任意の組合せは、状況が明らかに矛盾しない限り、本発明の任意の1種以上の態様に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、少なくとも1種の有機硫黄化合物と少なくとも1種のビオフラボノイドなどの少なくとも1種のフェノール化合物との組合せが、反芻動物などの動物によるメタン産生及び/又は排出を低減することができるという驚くべき知見に、少なくとも部分的に基づく。少なくとも1種のフェノール化合物は、例えば、ビオフラボノイド、非ビオフラボノイドフェノール化合物、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0023】
以下において、本発明の好ましい実施形態に従って、及び添付の記載を参照することにより、本発明を説明するものとする。しかしながら、本発明の好ましい実施形態の説明を限定することは、本発明の考察を容易にするためのものに過ぎずないことが理解されるべきであり、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに種々の改変を考案することができることが起想される。
【0024】
上記及び下記において一般に使用される用語は、別様の指示がない限り、好ましくは以下に示されている意味を有する。一般的定義ではなく、より特殊な意味が、本発明の好ましい実施形態において互いに独立して使用される場合があり、そうしたより特殊な趣旨は、本発明の特に好ましい実施形態を説明する。
【0025】
用語「少なくとも1種」又は「1種以上(one or more)」が上記及び下記に出現する場合、これは、成分などの列挙されている特徴の、特に1~20個又は1~10個、好ましくは1~5個又は1~3個、及び特に1個又は更に2個を意味する。質量パーセンテージ範囲などの範囲が示されている場合、それらは、示されている限界値を含む。従って、例えば「X~Y」は、X以上であり且つY以下であることを意味する。
【0026】
用語「製品」又は「組成物」は、医薬用、栄養補助用、又は美容用の製品又は組成物を指すことができる。製品又は組成物は、例えば、固体(例えば、粉末、顆粒、ペレット)、半固体(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、ペースト)、又は液体(例えば、溶液、懸濁物、エマルジョン)製品又は組成物であってもよい。
【0027】
また、用語「治療処置」又は「治療方法」は、対象の疾患及び/又は障害を予防及び緩和することを含むが、美容処置を含まない。表現「治療する又は予防する」及び本明細書で使用される類似の用語は、予防的ケア及び治癒的ケアを含む、一般医療業務により利用可能な検査のいずれかにより判断して疾患及び/又は障害を除去又は回避すること又はその症状を軽減することが意図されているあらゆる形態のヘルスケアを指す。合理的に予想して特定の結果を達成することを目的とするが、必ずしも常に達成するとは限らない介入は、表現「治療する及び予防する」内に含まれる。疾患及び/又は障害の進行を遅延又は停止させることに成功する介入は、表現「治療する及び予防する」内に含まれる。
【0028】
用語「栄養補助物」は、これらに限定されないが、食事栄養補助剤、機能性食品、及び薬用食品を含む食品又は食品の一部を指す。「栄養補助物」は、対象の要望及び/又は必要性に応じて、治療処置及び/又は非治療処置に使用することができる。
【0029】
用語「からなる」は、例えば、明示的に示されていない任意の追加の要素、ステップ、又は成分を除外する場合がある。
【0030】
用語「から本質的になる」は、例えば、追加の要素、ステップ、又は成分が、本発明の基本的新規特性に著しい影響を及ぼさない限り、明示的に示されていない任意の追加の要素、ステップ、又は成分を除外する場合がある。1種以上の追加の要素、ステップ、又は成分が、組成物の1種以上の追加成分である場合、組成物中の追加成分の合計量は、例えば、20質量%に制限される場合がある。例えば、組成物中の追加成分の合計量は、19質量%又は18質量%又は17質量%又は16質量%又は15質量%又は14質量%又は13質量%又は12質量%又は11質量%又は10質量%又は9質量%又は8質量%又は7質量%又は6質量%又は5質量%又は4質量%又は3質量%又は2質量%又は1質量%に制限される場合がある。
【0031】
動物飼料サプリメント
本明細書では、少なくとも1種の有機硫黄化合物と少なくとも1種のビオフラボノイドなどの少なくとも1種のフェノール化合物とを含む動物飼料サプリメントが提供される。用語「サプリメント」は、例えば、1種以上の有益効果を提供するために動物飼料に添加するのに好適な及び/又は添加することが意図されている、固体(例えば、粉末、顆粒、ペレット)、半固体(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、ペースト)、又は液体製品(例えば、溶液、懸濁物、エマルジョン)若しくは組成物であってもよい製品又は組成物を指す。しかしながら、動物飼料サプリメントは、それ自体では、動物の栄養上の必要性を満たすには十分ではない。動物飼料サプリメント及び動物飼料サプリメントの種々の成分は、例えば、種々の濃度で存在してもよく、例えば、動物飼料組成物に添加する際に希釈してもよい。動物飼料サプリメントは、その通常の動物飼料と一緒に動物により消費されることが好ましい場合があるが、また、動物飼料サプリメントは、液体として(例えば、水で希釈された)又はボーラス若しくは錠剤の形態で、任意の動物飼料とは別々に動物により消費されてもよい。
【0032】
本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1種以上の有機硫黄化合物を含む。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、2つ若しくはそれよりも多くの有機硫黄化合物又は3つ若しくはそれよりも多くの有機硫黄化合物又は4つ若しくはそれよりも多くの有機硫黄化合物又は5つ若しくはそれよりも多くの有機硫黄化合物を含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの有機硫黄化合物を含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、アリシンであってもよい1つの有機硫黄化合物を含んでいてもよい。
【0033】
有機硫黄化合物は、硫黄を含有する有機化合物である。ある実施形態では、各有機硫黄化合物は、独立して、チオエーテル、チオエステル、チオアセタール、チオール、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホキシド、スルホン、チオスルフィネート、スルフィミド、スルホキシイミド、スルホンジイミン、チオケトン、チオアルデヒド、スルフィン、スルフェン、チオカルボン酸(ジチオカルボン酸(dithiocarboxyklic acid)を含む)、スルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステル、スルフェン酸エステル、スルホン酸アミド、スルフィン酸アミド、スルフェン酸アミド、スルホニウム化合物、オキソスルホニウム化合物、スルホニウムイリド、オキソスルホニウムイリド、チオカルボニルイリド、スルフラン、及びペルスルフランから選択してもよい。ある実施形態では、各有機硫黄化合物は、独立して、チオエステル、スルホキシド、チオエーテル、ジスルフィド、ポリスルフィド(トリスルフィドを含む)、及びチオールから選択される。ある実施形態では、各有機硫黄化合物は、独立して、チオエステル、スルホキシド、チオエーテル、ジスルフィド、及びポリスルフィド(トリスルフィドを含む)から選択される。
【0034】
ある実施形態では、各有機硫黄化合物は、独立して、アリシン、アリイン、アリルプロピルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、s-アリルシステイン、ビニルジチイン(3-ビニル-4H-1,2-ジチイン及び2-ビニル-4H-1,3-ジチイン)、及びジアリルジスルフィドから選択される。ある実施形態では、少なくとも1種の有機硫黄化合物は、アリシンであるか又はアリシンを含む。
【0035】
アリシンは、化学式C6H10OS2及び下記に示されている構造を有する有機硫黄化合物である。
【0036】
【0037】
アリシンなどの少なくとも1種の有機硫黄化合物は、例えば、ニンニク又は別のアリウム属(Allium)種から得ることができる。例えば、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、ニンニク(アリウム・サティブム(Allium sativum))などのアリウム属種の抽出物から得ることができる。用語「抽出物」は、水性抽出物、非水性抽出物、アルコール抽出物、濃縮物、油状物、浸軟物、粉末、顆粒、及びそれらの2つ又はそれよりも多くの組合せを包含する。例えば、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、生ニンニク、乾燥ニンニク、又はそれらの組合せから得ることができる。
【0038】
有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、例えば、ニンニク(アリウム・サティブム)、アリウム・ウルシヌム(Allium ursinum)、アリウム・フィスツロスム(Allium fistulosum)、アリウム・セパ(Allium cepa)、及びアリウム・トリコックム(Allium tricoccum)などの、現在知られているか又は後に発見されるアリウム属の亜種及び品種のいずれに由来してもよい。例えば、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、独立して、亜種オフィオスコロドン(ophioscorodon)(ハードネックガーリック(hard neck garlic))及びサティブム(ソフトネックガーリック(soft neck garlic))のニンニクに由来してもよい。例えば、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、独立して、ポルセラインガーリック(porcelain garlic)、ヒメニンニク(rocambole garlic)、パープルストライプガーリック(purple stripe garlic)、マーブルドパープルストライプガーリック(marbled purple stripe garlic)、グレイズドパーブルストライプガーリック(glazed purple stripe garlic)、アーティチョークガーリック(artichoke garlic)、シルバースキンガーリック(silverskin garlic)、アジアチックガーリック(asiatic garlic)、ターバンガーリック(turban garlic)、及びクレオールガーリック(creole garlic)に由来してもよい。特に、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、アリウム・サティブムから得ることができる。
【0039】
有機硫黄化合物(例えば、アリシン)が由来し得るアリウム属は、例えば、処理又は加工されていてもよい。例えば、アリウム属は、「熟成」又は「黒色」(例えば、熟成又は黒ニンニク)であってもよく、制御された条件でアリウム属を保管し、特定の温度、湿度、及び溶媒下で、例えば数日又は数週間にわたって加熱し、メイラード反応又は褐変反応を起こした後で小鱗茎の暗色化を引き起こすことにより得られてもよい。例えば、アリウム属は、「乾燥」又は「脱水」されていてもよく、新鮮な又は非熟成ニンニクを30℃~120℃の温度に加熱し、約3~10%の水分含有量を達成することにより得られてもよく、その構成成分は異なる成分に転換又は変換されてもよく又はされなくともよい。例えば、アリウム属は、「新鮮」又は「非熟成」(例えば、新鮮又は非熟成ニンニク)であってもよく、特殊な処理又は加工を意図的に行わずにその構成成分を異なる成分に転換又は変換することにより得られてもよい。新鮮又は非熟成アリウム属は、例えば、匂いを除去(脱臭(deodourised))するために処理又は加工されていてもよい(例えば脱臭ニンニク抽出物)。一般に、カプセル化又はコーティング加工を適用して、匂いを遮蔽又は低減することができる。その代わりに又はそれに加えて、緑茶、パセリ、バジル、ほうれん草などの味遮蔽成分を添加して、組成物の匂いを遮蔽又は低減することができる。
【0040】
有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物に組み込む前に、単離及び/又は精製されていてもよく又はされていなくともよい。そのため、ある実施形態では、本明細書に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、生ニンニク、乾燥ニンニク、及び/又はニンニク抽出物を含んでいてもよい。
【0041】
他の実施形態では、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)は、化学的に合成される。ある実施形態では、アリシンは、アリナーゼ(allinase)の天然供給源を処理してアリナーゼを放出させ、処理したアリナーゼの供給源をアリインと接触させて、アリインを酵素的にアリシンへと変換し、任意選択でアリシンを抽出することにより得ることができる。好適な方法は、例えば国際公開第03/004668号パンフレットに更に記載されており、この文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、アリシンは、完全に化学的に合成されていてもよい。
【0042】
用語「フェノール化合物」は、芳香族炭化水素基に直接結合されているヒドロキシル基(-OH)を含む化学化合物のクラスを指す。本明細書に記載のフェノール化合物は、ビオフラボノイド、非ビオフラボノイドフェノール化合物、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。少なくとも1種のフェノール化合物は、例えば、少なくとも1種のビオフラボノイドを含んでいてもよい。
【0043】
用語「ビオフラボノイド」は、2つのフェニル環(A及びB)及び複素環(C)からなる、C6-C3-C6と略されることもある15員炭素骨格の一般構造を有する、植物及び真菌二次代謝産物のクラスを指す。用語「ビオフラボノイド」は、アントキサンチン(フラボン及びフラボノールを含む)、フラバノン、フラバノノール、フラバン、及びアントシアニジンを含む。用語「ビオフラボノイド」は、フラボン骨格(2-フェニル-1,4-ベンゾピロン)、イソフラバン骨格(3-フェニルクロメン-4-オン)、又はネオフラバン骨格(4-フェニルクマリン)を有する化合物も含む。
【0044】
用語「非ビオフラボノイドフェノール化合物」は、本明細書に記載の用語「ビオフラボノイド」の定義に入らない、当技術分野で公知の他のクラスのフェノール化合物を指す。用語「非ビオフラボノイドフェノール化合物」は、6個若しくはそれよりも多くの炭素、7個若しくはそれよりも多くの炭素、8個若しくはそれよりも多くの炭素、9個若しくはそれよりも多くの炭素、10個若しくはそれよりも多くの炭素、13個若しくはそれよりも多くの炭素、14個若しくはそれよりも多くの炭素、16個若しくはそれよりも多くの炭素、18個若しくはそれよりも多くの炭素、又は30個若しくはそれよりも多くの炭素を含むフェノール化合物を含む。用語「非ビオフラボノイドフェノール化合物」は、これらに限定されないが、フェノール酸(C6-C1構造)、ヒドロキシケイ皮酸(C6-C3構造)、クマリン(C6-C3構造)、スチルベノイド(C6-C2-C6構造)、アントラキノン(C6-C2-C6構造)、及びリグナン((C6-C3)2構造)を含む。一部の実施形態では、非ビオフラボノイドフェノール化合物は、これらに限定されないが、リグニン、カテコールメラニン、フラボラン、ポリフェノールタンパク質、及びポリフェノールを含む植物ポリマーである。一部の実施形態では、非ビオフラボノイドフェノール化合物はポリフェノールである。
【0045】
ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、各々独立して、アントキサンチン(フラボン及びフラボノールを含む)、フラバノン(フラバノングリコシドを含む)、フラバノノール、フラバン、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンから選択される。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドの各々は、独立して、アントキサンチン及びフラバノン(フラバノングリコシドを含む)から選択される。ある実施形態では、ビオフラボノイドは全て、アントキサンチン及び/又はフラバノンである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、独立してフラボン又はフラバノンである。ある実施形態では、ビオフラボノイドは全て、フラボン及び/又はフラバノンである。フラボン及びフラバノンは、例えば、独立して、それぞれフラボングリコシド及びフラバノングリコシドであってもよい。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、フラバノンである。ある実施形態では、ビオフラボノイドの全てが、フラバノンである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、フラバノングリコシドである。ある実施形態では、ビオフラボノイドの全てが、フラバノングリコシドである。
【0046】
1種以上のビオフラボノイドは、例えば、ナリンギン、ネオヘスペリジン、エリオシトリン、イソナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ロイフォリン、ジオスミン、ジジミン、ヘスペリチン、ポンシリン、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ケルセチン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、及びガロカテキンガレートからなる群から選択されてもよい。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ナリンギン及びネオヘスペリジンを含む。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ナリンギン及びネオヘスペリジンの組合せである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、及びケルセチンの1種以上を含む。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、及びケンペロールの1種以上を含む。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、及びケンペロールの組合せである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、及びケルセチンの1種以上を含む。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ケンペロール、及びケルセチンの1種以上を含む。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、及びケルセチンの組合せである。ある実施形態では、1種以上のビオフラボノイドは、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ケンペロール、及びケルセチンの組合せである。
【0047】
ある実施形態では、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物は、各々独立して、フェノール酸、ヒドロキシケイ皮酸、クマリン、スチルベノイド、アントラキノン、リグナン、リグニン、タンニン、ポリフェノールタンパク質、及びポリフェノールから選択される。ある実施形態では、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物の各々は、独立して、タンニン及びポリフェノールから選択される。ある実施形態では、非ビオフラボノイドフェノール化合物は全て、タンニン及び/又はポリフェノールである。
【0048】
1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物は、例えば、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、及びプニカリン、及びそれらの2つ又はそれよりも多くの組合せからなる群から選択されてもよい。ある実施形態では、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物は、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、及びプニカリンの1種以上を含む。
【0049】
好ましい実施形態では、ビオフラボノイド及び非ビオフラボノイドフェノール化合物の混合物は、例えば、ナリンギン、ネオヘスペリジン、エリオシトリン、イソナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ロイフォリン、ジオスミン、ジジミン、ヘスペレチン、ポンシリン、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、プニカリン ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピガロカテシンガレート、ケルセチン、及びそれらの2つ又はそれよりも多くの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0050】
本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1種以上のフェノール化合物を含む。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、2つ若しくはそれよりも多くのフェノール化合物、或いは3つ若しくはそれよりも多くのフェノール化合物、或いは4つ若しくはそれよりも多くのフェノール化合物、或いは5つ若しくはそれよりも多くの又は6つ若しくはそれよりも多くの又は7つ若しくはそれよりも多くの又は8つ若しくはそれよりも多くの又は9つ若しくはそれよりも多くの又は10個若しくはそれよりも多くのフェノール化合物を含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのフェノール化合物を含んでいてもよい。本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1種以上のビオフラボノイドを含む。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、2つ若しくはそれよりも多くのビオフラボノイド、或いは3つ若しくはそれよりも多くのフェノール化合物、或いは4つ若しくはそれよりも多くのフェノール化合物、或いは5つ若しくはそれよりも多くの又は6つ若しくはそれよりも多くの又は7つ若しくはそれよりも多くの又は8つ若しくはそれよりも多くの又は9つ若しくはそれよりも多くの又は10個若しくはそれよりも多くのビオフラボノイドを含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、ナリンギン及びネオヘスペリジンであってもよい1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。例えば、動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、及びケンペロールであってもよい5つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ケンペロール、及びケルセチンであってもよい7つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテシンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、及びケルセチンであってもよい9つのビオフラボノイドを含んでいてもよい。
【0051】
1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、植物(例えば、果物又は野菜)の一部から得ることができる。例えば、フラボノールは、トマト、豆、アーモンド、及び/又はカブから得ることができる。例えば、フラバン-3-オールは、桃、プラム、イチゴ、及び/又は緑茶から得ることができる。例えば、フラボンは、スイカ及び/又はコショウから得ることができる。例えば、フラボノンは、シトラス属(Citrus)種の果物から得ることができる。例えば、アントシアニジンは、ブルーベリー、バナナ、イチゴ、クランベリー、及び/又はプラムから得ることができる。
【0052】
1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ザボン、又はライムなどのシトラス属種の果物から得ることができる。特に、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、オレンジから得ることができる。
【0053】
1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、例えば、ザクロ(ピューニカ・グラネイタム(Punica granatum))又はソコトラザクロ(ピューニカ・プロトピューニカ(Punica protopunica))などのピューニカ属種の果物から得ることができる。特に、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、ザクロ(ピューニカ・グラネイタム)から得ることができる。
【0054】
1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、カメリア・タリエンシス(Camellia taliensis)、カメリア・オレイフェラ(Camellia oleifera)、カメリア・アッシミリス(Camellia assimilis)、カメリア・アザレア(Camellia azalea)、カメリア・ブレビスティラ(Camellia brevistyla)、カメリア・カウダータ(Camellia caudata)、カメリア・チェキアンゴレオサ(Camelllia chekiangoleosa)、カメリア・クリサンタ(Camellia chrysantha)、カメリア・クリサントイデス(Camellia chrysanthoides)、カメリア・コンナタ(Camellia connata)、カメリア・クラプネリアナ(Camellia crapnelliana)、カメリア・クスピダタ(Camellia cuspidata)、カメリア・オイフレビア(Camellia euphlebia)、カメリア・オイリオイデス(Camellia euryoides)、カメリア・フラバ(Camellia flava)、カメリア・フロイリイ(Camellia fleuryi)、カメリア・ホレスチイ(Camellia forrestii)、カメリア・フラテルナ(Camellia fraterna)、カメリア・フルフラセア(Camellia furfuracea)、カメリア・ギルバーティ(Camellia gilbertii)、カメリア・グランタミアナ(Camellia granthamiana)、カメリア・グリジュシイ(Camellis grijsii)、カメリア・ヘングクネンシス(Camellia hengchunensis)、カメリア・ヒエマリス(Camellia hiemalis)、カメリア・ホングコンゲンシス(Camellia hongkongensis)、カメリア・イラワジエンシス(Camellia irrawadiensis)、カメリア・ジャポニカ(Camellia japonica)、カメリア・キッシイ(Camellia kissii)、カメリア・ルトクエンシス(Caemllia lutchuensis)、カメリア・ミヤギイ(Camellia miyagii)、カメリア・ニチディッシマ(Camellia nitidissima)、カメリア・ノコエンシス(Camellis nokoensis)、カメリア・パルビフロラ(Camellia parviflora)、カメリア・ピタルディ(Camellia pitardii)、カメリア・プレウロカルパ(Camellia pleurocarpa)、カメリア・ポリオドンタ(Camellia polyodonta)、カメリア・プブペタラ(Camellia pubupetala)、カメリア・レティクラタ(Camellia reticulata)、カメリア・ロシフロラ(Camellia rosiflora)、カメリア・ルスティカーナ(Camellia rusticana)、カメリア・サリシフォリア(Camellia salicifolia)、カメリア・サルエネンシス(Camellia saluenensis)、カメリア・ササンクア(Camellia sasanqua)、カメリア・セミセラタ(Camellia semiserrata)、カメリア・トラスノコエンシス(Camellis trasnokoensis)、カメリア・ツァイ(Camellia tsaii)、カメリア・ツンギネンシス(Camellia tunghinensis)、カメリア・ベトナメンシス(Camellia vietnamensis)、カメリア・Xウィリアムシイ(Camellia x williamsii)、及びカメリア・ユンナネンシス(Camellia yunnanensis)などのカメリア属種の植物の一部(例えば、葉)から得ることができる。特に、1種以上のビオフラボノイドは、カメリス・シネンシス(Camellis sinensis)(チャノキ)から得ることができる。カメリア・シネンシスの任意の亜種又は品種を使用することができる。カメリア・シネンシスの一部(例えば、葉)は、未処理であってもよく、又は例えば蒸気にかけること、しおれさせること、丸めること、酸化させること、発酵させること、及び/若しくは乾燥させることにより処理されていてもよい。1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、例えば、緑茶(カメリア・シネンシス)の葉から得ることができる。
【0055】
例えば、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、シトラス属種の果物、ピューニカ属種の果物、又はカメリア属種の植物の一部の抽出物から得ることができる。用語「抽出物」は、水性抽出物、非水性抽出物、アルコール抽出物、濃縮物、油状物、浸軟物、粉末、顆粒、及びそれらの2つ又はそれよりも多くの組合せを包含する。例えば、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、乾燥シトラス属果物、乾燥ピューニカ属果物、又は乾燥カメリア属植物部分(例えば、葉)から得ることができる。例えば、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、生シトラス属果物、生ピューニカ属果物、又は生カメリア属植物部分(例えば、葉)から得ることができる。
【0056】
1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物に組み込む前に単離及び/又は精製されていてもよく又はされていなくともよい。そのため、ある実施形態では、本明細書に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、生シトラス属果物、乾燥シトラス属果物、及び/若しくはシトラス属果物抽出物、又は生ピューニカ属果物、乾燥ピューニカ属果物、及び/若しくはピューニカ属果物抽出物、又は生カメリア属植物、乾燥カメリア属植物、及び/若しくはカメリア属植物抽出物を含んでいてもよい。
【0057】
他の実施形態では、1種以上のフェノール化合物、例えば1種以上のビオフラボノイドは、各々独立して、化学的に合成されてもよい。
【0058】
ある実施形態では、本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、2つのフェノール化合物、例えば2つのビオフラボノイドを含む。第1のフェノール化合物の第2のフェノール化合物に対する比、例えば第1のビオフラボノイドの第2のビオフラボノイドに対する比は、例えば、約0.5:5から約3:1までの範囲であってもよい。例えば、第1のフェノール化合物の第2のフェノール化合物に対する比、例えば、第1のビオフラボノイドの第2のビオフラボノイドに対する比は、約0.5:5から約2.5:1まで、又は約0.5:5から約2:1まで、又は約0.5:5から約1.5:1まで、又は約0.5:5から約1:1までの範囲であってもよい。例えば、第1のフェノール化合物の第2のフェノール化合物に対する比、例えば、第1のビオフラボノイドの第2のビオフラボノイドに対する比は、約1:5から約3:1まで、又は約1.5:5から約3:1まで、又は約2:5から約3:1まで、又は2.5:5から約3:1まで、又は約3:5から約3:1まで、又は約3.5:5から約3:1まで、又は約4:5から約3:1まで、又は約4.5:5から約3:1まで、又は約5:5から約3:1までの範囲であってもよい。
【0059】
ある実施形態では、本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、ナリンギン及びネオヘスペリジンを含む。ナリンギンのネオヘスペリジンに対する比は、例えば、約0.5:5から約3:1までの範囲であってもよい。例えば、ナリンギンのネオヘスペリジンに対する比は、約0.5:5から約2.5:1まで、又は約0.5:5から約2:1まで、又は約0.5:5から約1.5:1まで、又は約0.5:5から約1:1までの範囲であってもよい。例えば、ナリンギンのネオヘスペリジンに対する比は、約1:5から約3:1まで、又は約1.5:5から約3:1まで、又は約2:5から約3:1まで、又は2.5:5から約3:1まで、又は約3:5から約3:1まで、又は約3.5:5から約3:1まで、又は約4:5から約3:1まで、又は約4.5:5から約3:1まで、又は約5:5から約3:1までの範囲であってもよい。
【0060】
ある実施形態では、総有機硫黄化合物の総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約16:1から約1:30までの範囲である。例えば、総有機硫黄化合物の総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約15:1から約1:30まで、又は約14:1から約1:30まで、又は約13:1から約1:30まで、又は12:1から約1:30まで、又は約10:1から約1:30まで、又は約16:1から約1:16までの範囲であってもよい。例えば、総有機硫黄化合物の総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約9:1から約1:25まで、又は約8:1から約1:20まで、又は約7:1から約1:15まで、又は約6:1から約1:10まで、又は約5:1から約1:8まで、又は約4:1から約1:7まで、又は約3:1から約1:6まで、又は約2:1から約1:5まで、又は約1:1から約1:4の範囲であってもよい。例えば、総有機硫黄化合物の総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約1:1から約1:3まで、又は約2:1から約1:4までの範囲であってもよい。例えば、総有機硫黄化合物の総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約1:3であってもよい。
【0061】
ある実施形態では、アリシンの総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約16:1から約1:30までの範囲である。例えば、アリシンの総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約15:1から約1:30まで、又は約14:1から約1:30まで、又は約13:1から約1:30まで、又は12:1から約1:30まで、又は約10:1から約1:30まで、又は約16:1から約1:16までの範囲であってもよい。例えば、アリシンの総フェノール化合物に対する比(例えば、アリシンの総ビオフラボノイドに対する比)は、約9:1から約1:25まで、又は約8:1から約1:20まで、又は約7:1から約1:15まで、又は約6:1から約1:10まで、又は約5:1から約1:8まで、又は約4:1から約1:7まで、又は約3:1から約1:6まで、又は約2:1から約1:5まで、又は約1:1から約1:4までの範囲であってもよい。例えば、アリシンの総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約1:4から約1:8まで、又は約1:1から約1:3まで、又は約2:1から約1:4までの範囲であってもよい。例えば、アリシンの総フェノール化合物に対する比(例えば、総有機硫黄化合物の総ビオフラボノイドに対する比)は、約1:6であってもよく、又は約1:3であってもよい。
【0062】
例えば、動物飼料サプリメントは、例えば、香味料、着色剤、安定化剤、酸化防止剤、緩衝剤、乳化剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤、微量栄養素(例えば、セレン)、ビタミン、他の飼料材料(例えば、糖及びデンプンなどの炭水化物)、可溶性及び不溶性繊維、セルロース、リグノセルロース、穀物穀粒、穀物ふすま、穀粒二級品、穀粒殻、果物及び植物種子、外皮、並びに皮などの活性材料に加えて、他の成分を含んでいてもよい。
【0063】
動物飼料組成物
本明細書で開示された動物飼料サプリメント(全ての実施形態及び実施形態のあらゆる組合せを含む)は、動物飼料と組み合わせて、動物飼料組成物を形成することができる。
【0064】
動物飼料は、例えば、動物、特に反芻動物に栄養を提供するのに好適な任意の組成物であってもよい。例えば、動物飼料は、任意の反芻動物、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ヤク、シカ、又はアンテロープに好適であってもよい。例えば、動物飼料は、任意の擬似反芻動物、例えば、ラクダ及びカバに好適であってもよい。例えば、動物飼料は、任意の単胃動物、例えば、カンガルー、ラット、イヌ、ブタ、ネコ、ウマ、トリ(ハト、ペンギンなど)、及びウサギに好適であってもよい。例えば、動物飼料は、カンガルー、ウマ、及びウサギなどの単胃草食動物に好適であってもよい。
【0065】
動物飼料は、固体(例えば、粉末、顆粒、ペレット)、半固体(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、ペースト)、又は液体(例えば、溶液、懸濁物、エマルジョン)であってもよい。動物飼料サプリメントは、独立して、固体、半固体(例えば、ゲル、軟膏、クリーム、ペースト)、又は液体(例えば、溶液、懸濁物、エマルジョン)であってもよい。例えば、動物飼料及び動物飼料サプリメントは、両方とも液体であってもよく、又は両方とも半固体であってもよく、又は両方とも固体であってもよい。或いは、動物飼料及び動物飼料サプリメントは各々、異なる物理的状態にあってもよい。例えば、動物飼料は固体又は半固体であってもよく、動物飼料サプリメントは液体であってもよい。動物飼料サプリメントを使用して、例えば、反芻動物飼育場飼料に「追肥」(上部に添加)してもよく、又は完全混合飼料に配合してもよい。動物飼料サプリメントは、例えば、動物の飲料水に添加してもよい。ある実施形態では、動物飼料サプリメントは、摂取直前に、例えば摂取の1時間前までに、摂取の30分前にまで、摂取の15分前までに、又は摂取の5分前までに、動物の飲料水に添加してもよい。
【0066】
3つの主なタイプの動物飼料としては、粗飼料(roughage)、濃縮物、及び混合飼料が挙げられる。一般に、粗飼料は、高パーセンテージの粗繊維及び低パーセンテージの可消化栄養素を含有する。例えば、粗飼料は、20質量%以上の粗繊維及び60質量%以下の総可消化栄養素を含有すると規定することができる。粗飼料としては、例えば、乾燥粗飼料(例えば、少なくとも90質量%の乾燥分を含有する干し草、わら、人為的に脱水された飼料)、サイレージ(草、アルファルファ、ソルガム、及びトウモロコシなどの生飼料から形成され、20~50%の乾燥分含有量でサイロにて保存される)、及び牧草(例えば、高含水量であり、乾燥分が20~30%しかない飼料を提供する生成長牧草)を挙げることができる。2つの基本的なタイプの粗飼料としては、草及び豆科植物が挙げられる。草は、一般に、豆科植物よりも繊維及び乾燥分がより高い。豆科植物は、一般に、タンパク質、エネルギー、ビタミン、及びミネラルがより高い。
【0067】
濃縮物は、粗飼料とは反対であり、低パーセンテージの粗繊維及び高パーセンテージの可消化栄養素を含有する。例えば、濃縮物は、20質量%未満の粗繊維及び60質量%よりも多くの総可消化栄養素を含有すると規定することができる。濃縮物としては、例えば、高エネルギー穀粒及び糖蜜を挙げることができる。トウモロコシ、オートムギ、大麦、及びマイロ(ソルガム穀粒)は、高エネルギー穀粒であり、約70~80質量%の総可消化栄養素を含有する。濃縮物としては、例えば、小麦ふすま、米ふすま、小麦二級品、ライ麦二級品、及び米ぬかも挙げられる。
【0068】
混合飼料は、一般に、「完全な」バランスの取れた飼料を提供するための粗飼料及び濃縮物の混合物であり、エネルギー、タンパク質、又は繊維は、高くとも又は低くともいずれでもよい。
【0069】
少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のフェノール化合物(例えば、少なくとも1種のビオフラボノイド)は、例えば、動物に投与することが意図されている有機硫黄化合物及びフェノール化合物(例えば、ビオフラボノイド)の合計量に応じて、種々の量で動物飼料と組み合わせることができる。例えば、有機硫黄化合物及びフェノール化合物(例えば、ビオフラボノイド)の合計量は、1日当たり1つの動物に最大10グラムの総有機硫黄化合物及びフェノール化合物(例えば、ビオフラボノイド)を投与することができる程度に十分であってもよい。
【0070】
本明細書に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物に存在する総有機硫黄化合物の濃度は、例えば、アリウム属種に天然で見出される各対応する有機硫黄化合物の濃度よりも高くともよい。
【0071】
動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.0001質量%から約10質量%までの総有機硫黄化合物を含んでいてもよい。動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.3質量%から約10質量%までの総有機硫黄化合物を含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.1質量%から約9.5質量%まで、又は約0.4質量%から約9.5質量%まで、又は約0.5質量%から約9質量%まで、又は約0.6質量%から約8.5質量%まで、又は約0.7質量%から約8質量%まで、又は約0.8質量%から約7.5質量%まで、又は約0.9質量%から約7質量%まで、又は約1質量%から約6質量%まで、又は約1.5質量%から約5.5質量%まで、又は約2質量%から約5質量%まで、又は約2.5質量%から約4.5質量%まで、又は約3質量%から約4質量%までの総有機硫黄化合物を含んでいてもよい。
【0072】
動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.0001質量%から約10質量%までのアリシンを含んでいてもよい。動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.3質量%から約10質量%までのアリシンを含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.001質量%から約9.5質量%まで、又は約0.005質量%から約9質量%まで、又は約0.01質量%から約8.5質量%まで、又は約0.05質量%から約8質量%まで、又は約0.1質量%から約7.5質量%まで、又は約0.9質量%から約7質量%まで、又は約1質量%から約6質量%まで、又は約1.5質量%から約5.5質量%まで、又は約2質量%から約5質量%まで、又は約2.5質量%から約4.5質量%まで、又は約3質量%から約4質量%までのアリシンを含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.4質量%から約9.5質量%まで、又は約0.5質量%から約9質量%まで、又は約0.6質量%から約8.5質量%まで、又は約0.7質量%から約8質量%まで、又は約0.8質量%から約7.5質量%まで、又は約0.9質量%から約7質量%まで、又は約1質量%から約6質量%まで、又は約1.5質量%から約5.5質量%まで、又は約2質量%から約5質量%まで、又は約2.5質量%から約4.5質量%まで、又は約3質量%から約4質量%までのアリシンを含んでいてもよい。
【0073】
本明細書に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物に存在する総フェノール化合物(例えば、総ビオフラボノイド)の濃度は、植物又はシトラス属果物又はピューニカ属果物又はカメリア属植物若しくは植物部分に天然で見出される各対応するフェノール化合物(例えば、各対応するビオフラボノイド)の濃度よりも高くともよい。
【0074】
動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.0001質量%から約10質量%までの総フェノール化合物(例えば、総ビオフラボノイド)を含んでいてもよい。動物飼料組成物は、例えば、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.1質量%から約10質量%までの総フェノール化合物(例えば、総ビオフラボノイド)を含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.001質量%から約10質量%まで、又は約0.005質量%から約10質量%まで、又は約0.01質量%から約9.5質量%まで、又は約0.05質量%から約9質量%まで、又は約0.1質量%から約8.5質量%まで、又は約0.7質量%から約8質量%まで、又は約0.8質量%から約7.5質量%まで、又は約0.9質量%から約7質量%まで、又は約1質量%から約6質量%まで、又は約1.5質量%から約5.5質量%まで、又は約2質量%から約5質量%まで、又は約2.5質量%から約4.5質量%まで、又は約3質量%から約4質量%までの総フェノール化合物(例えば、総ビオフラボノイド)を含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、動物飼料組成物の総乾燥質量に基づいて、約0.2質量%から約10質量%まで、又は約0.3質量%から約10質量%まで、又は約0.4質量%から約9.5質量%まで、又は約0.5質量%から約9質量%まで、又は約0.6質量%から約8.5質量%まで、又は約0.7質量%から約8質量%まで、又は約0.8質量%から約7.5質量%まで、又は約0.9質量%から約7質量%まで、又は約1質量%から約6質量%まで、又は約1.5質量%から約5.5質量%まで、又は約2質量%から約5質量%まで、又は約2.5質量%から約4.5質量%まで、又は約3質量%から約4質量%までの総フェノール化合物(例えば、総ビオフラボノイド)を含んでいてもよい。
【0075】
例えば、動物飼料組成物は、例えば、ビタミン、ミネラル、抗生物質、成長促進剤、及びそれらの組合せを含む、他の動物飼料サプリメントを更に含んでいてもよい。例えば、動物飼料組成物は、例えば、メタン産生/排出を低減するために及び/又は動物に対する栄養素の利用能を増加させるために好適な他の生物活性動物飼料サプリメントを含んでいてもよい。ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、カロテノイド(ベータカロチン、ゼアキサンチン、ルテイン、及びリコピンを含む)、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、コリン、イノシトール、並びにそれらの塩及び誘導体の任意の1種以上であってもよい。ミネラルは、カルシウム、リン(phosphorous)、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、ホウ素、ヨウ素、ナトリウム、カリウム、モリブデン、セレン、クロム、フッ素、及び塩化物の任意の1種以上であってもよい。動物飼料組成物は、例えば、約0.001質量%から約5質量%までの各追加の動物飼料サプリメント、又は約0.01質量%から約5質量%まで若しくは約0.1質量%から約5質量%までの各追加の動物飼料サプリメントを含んでいてもよい。
【0076】
例えば、動物飼料組成物は、例えば、香味料、着色剤、安定化剤(ローズマリーなど)、緩衝剤、乳化剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤、微量栄養素(例えば、セレン)、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン)、及び飼料材料(例えば、炭水化物)などの活性物質に加えて、他の成分を含んでいてもよい。
【0077】
使用
本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物(全ての実施形態及び実施形態の組合せを含む)を使用して、動物によるメタン産生及び/若しくは排出を低減し、動物に対する栄養素の利用能を増加させ、並びに/又は動物によるミルク及び/若しくは肉及び/若しくはウール産生を増加させ若しくはそれらの効率を増加させることができる。理論により束縛されることは望まないが、動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物は、動物の腸内の微生物によるメタン産生を低減することができ、従ってそうした微生物により使用される栄養素を低減し、動物に対する栄養素の利用能を増加させると考えられる。
【0078】
ある実施形態では、動物は反芻動物である。反芻動物としては、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ヤク、シカ、又はアンテロープが挙げられる。ある実施形態では、動物は疑似反芻動物である。擬似反芻動物としては、例えば、ラクダ及びカバが挙げられる。ある実施形態では、動物は単胃動物である。単胃動物として、例えば、カンガルー、ラット、イヌ、ブタ、ネコ、ウマ、トリ(ハト及びペンギンなど)、及びウサギが挙げられる。ある実施形態では、動物は単胃草食動物である。単胃草食動物としては、例えば、カンガルー、ウマ、及びウサギが挙げられる。
【0079】
本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、動物に経口投与することができる。本明細書に記載の動物飼料サプリメント及び動物飼料組成物は、例えば、動物に毎日投与することができる。
【0080】
動物に投与又は消費される動物飼料サプリメント及び/又は動物飼料組成物の量は、動物の要求及び動物によるメタン産生の激しさに応じて様々であってもよい。動物に投与又は消費される動物飼料サプリメント及び/又は動物飼料組成物の総1日量は、例えば、1日当たり約100gから約1000gまで、又は1日当たり約300gから約700gまで、又は1日当たり約400から約500gまでである。この量は、動物の要求及び動物によるメタン産生の激しさに応じて様々であってもよい。例えば、動物に投与又は消費される動物飼料サプリメント及び/又は動物飼料組成物の量は、動物のタイプ、動物のサイズ、動物の年齢、及び/又は対象の腸マイクロバイオームに応じて様々であってもよい。特定の対象に適切な量の決定は、当技術分野の技術内にある。所望の場合、総1日量を部分に分割し、その日の間に投与してもよい(例えば、1日当たり2分割又は3分割)。一般に、活性作用剤の好適な1日用量は、所望の効果をもたらすのに効果的な最も低い用量である量になるだろう。動物に投与又は消費される活性作用剤(アリシン、及びビオフラボノイドなどのフェノール化合物)の量を増加させることにより、例えば、メタン産生の量を減少させることができる。
【0081】
各動物は、例えば、1日当たり最大約10グラムの総有機硫黄化合物及びフェノール化合物を消費してもよい。例えば、各動物は、1日当たり最大約9グラム又は最大約8グラム又は最大約7グラム又は最大約6グラム又は最大約5グラム又は最大約4グラム又は最大約3グラム又は最大約2グラムの総有機硫黄化合物及びフェノール化合物を消費してもよい。各動物は、例えば、1日当たり少なくとも約0.5グラムの総有機硫黄化合物及びフェノール化合物を消費してもよい。例えば、各動物は、1日当たり少なくとも約1グラム又は少なくとも約1.5グラムの総有機硫黄化合物及びフェノール化合物を消費してもよい。
【0082】
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、メタン産生及び/又は排出を、少なくとも約20%低減することができる(動物飼料サプリメントが消費されなかった場合のメタン産生及び/又は排出と比較して)。例えば、動物飼料サプリメントは、メタン産生及び/又は排出を、少なくとも約25%又は少なくとも約30%又は少なくとも約35%又は少なくとも約40%又は少なくとも約45%又は少なくとも約50%低減することができる。本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、メタン産生及び/又は排出を最大100%低減することができる。例えば、動物飼料サプリメントは、メタン産生及び/又は排出を、最大約99%又は最大約98%又は最大約97%又は最大約96%又は最大約95%又は最大約90%又は最大約85%又は最大約80%又は最大約75%又は最大約70%低減することができる。これは、例えば、下記の例に記載のHohenheimガス試験により測定することができる。
【0083】
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を、少なくとも約20%増加させることができる(動物飼料サプリメントが消費されなかった場合のミルク及び/又は肉及び/又はウール産生と比較して)。例えば、動物飼料サプリメントは、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を、少なくとも約25%又は少なくとも約30%又は少なくとも約35%又は少なくとも約40%又は少なくとも約45%又は少なくとも約50%増加させることができる。本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を最大100%増加させることができる。例えば、動物飼料サプリメントは、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を、最大約95%又は最大約90%又は最大約85%又は最大約80%又は最大約75%又は最大約70%増加させることができる。これは、例えば、1日当たりに産生されるミルクの容積、動物の質量、又はウールの質量により測定することができる。
【0084】
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生の効率を、少なくとも約20%増加させることができる(動物飼料サプリメントが消費されなかった場合のミルク及び/又は肉及び/又はウール産生の効率と比較して)。例えば、動物飼料サプリメントは、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生の効率を、少なくとも約25%又は少なくとも約30%又は少なくとも約35%又は少なくとも約40%又は少なくとも約45%又は少なくとも約50%増加させることができる。本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生の効率を最大100%増加させることができる。例えば、動物飼料サプリメントは、ミルク及び/又は肉及び/又はウール産生の効率を、最大約95%又は最大約90%又は最大約85%又は最大約80%又は最大約75%又は最大約70%増加させることができる。効率は、特定の生物学的プロセス(例えば、ミルク、肉、ウール産生)が、消費される栄養素の1ユニット当たりで生じる度合いに関連する。これは、例えば、動物により消費された総栄養素で除算された、1日当たりに産生されたミルクの容積、動物の質量、又はウールの質量の変化により測定することができる。
【0085】
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、栄養素利用能を少なくとも約20%増加させることができる(動物飼料サプリメントが消費されなかった場合のミルク及び/又は肉及び/又はウール産生と比較して)。例えば、動物飼料サプリメントは、栄養素利用能を、少なくとも約25%又は少なくとも約30%又は少なくとも約35%又は少なくとも約40%又は少なくとも約45%又は少なくとも約50%増加させることができる。本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、例えば、栄養素利用能を最大100%増加させることができる。例えば、動物飼料サプリメントは、栄養素利用能を、最大約95%又は最大約90%又は最大約85%又は最大約80%又は最大約75%又は最大約70%増加させることができる。栄養素利用能は、生物/代謝機能に使用される、動物に利用可能な栄養素の量を指す。
【0086】
ある実施形態では、動物飼料サプリメント又は組成物に存在する有機硫黄化合物(例えば、アリシン)及びビオフラボノイドなどのフェノール化合物は、相乗的に作用して、メタン産生を低減することができ、栄養素利用能を増加させることができ、並びに/又は肉及び/若しくはミルク及び/若しくはウール産生を増加させることができる。有機硫黄化合物(例えば、アリシン)及び少なくとも1種のフェノール化合物(例えば、少なくとも1種のビオフラボノイド)の相乗的組合せは、個々の有機硫黄化合物及びフェノール化合物成分(例えば、ビオフラボノイド成分)単独による効果の合計よりも大きな効果をもたらし、従って性能向上を提供することができる。
【0087】
製造方法
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、1種以上の有機硫黄化合物及び1種以上のフェノール化合物(例えば、1種以上のビオフラボノイド)を組み合わせることにより作ることができる。本明細書に記載の動物飼料組成物は、動物飼料を、1種以上の有機硫黄化合物及び1種以上のフェノール化合物(例えば、1種以上のビオフラボノイド)と組み合わせることにより作ることができる。成分は、各成分の所望量を有する組成物を得るのに好適な量で組み合わせる。各成分は、所望の製品を得るのに好適な任意の順序及び組合せで、1種以上の他の成分と組み合わせることができる。例えば、各成分は、混合又は配合により組み合わせることができる。例えば、1種以上の有機硫黄化合物及び1種以上のフェノール化合物(例えば、1種以上のビオフラボノイド)は、1種以上の有機硫黄化合物及び1種以上のフェノール化合物(例えば、1種以上のビオフラボノイド)を、動物飼料の上部に配置すること(追肥)により、動物飼料と組み合わせることができる。そのような方法は当技術分野で周知である。組成物は、乾燥固体形態、例えば粉末形態に調製し、目的の最終製品の調合物のタイプに応じて更なる加工ステップに供してもよい。本方法は、形成ステップを更に含んでいてもよく、このステップでは、混合物を、成形し、プレスし、噴霧乾燥し、又はそうでなければ、好ましくは本明細書に記載のタイプの動物による消費に好適な寸法及び/又は質感を有する形(例えば、バー、ボール、ペレット、クラスター、錠剤)に形成する。本方法は、注射器など、特定の送達デバイスに動物飼料又は動物飼料サプリメントを収容することを含んでいてもよい。本方法は、動物飼料サプリメント又は動物飼料を、動物の胃(例えば、反芻動物の管腔)に留まることが意図されていてもよいボーラス錠剤に形成することを含んでいてもよい。
【0088】
本明細書に記載の動物飼料サプリメントは、フレキシブル中間コンテナ(FIBC)、織布袋、紙袋、アルミニウム袋、又はポリエチレン袋などの保護包装材に包装してもよい。ある実施形態では、動物飼料サプリメントは、箱中で防水及び/又は気密材料に包装されるか、又は真空パックされる。一部の実施形態では、動物飼料サプリメントは、酸素による分解を防止するために窒素下でパックされる。
【0089】
本発明を、これから以下の非限定的な例のみを参照することにより詳細に記載するものとする。
【実施例】
【0090】
実施例1
全ての緩衝液及び試薬の調製を含むin vitro Hohenheimガス試験(HGT)を、Menke及びSteingass(1988年)のプロトコール「Menke K.H.、Steingass H.、Estimation of the energetic feed value obtained from chemical analysis and gas production using rumen fluid、Anim.Res.Dev.28巻、7~55頁」に従って実施した。この文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
手短かに言えば、第一胃液を4層のガーゼ(1mm細孔サイズ、17型MedPro、Novamed AG社、Flawil、スイス)で漉してから、予熱還元Menke緩衝液(Menke及びSteingass、1988年)と混合した。その後、第一胃液/緩衝液混合物を、対応する試験添加剤を含有する予暖インキュベーションユニットに分配した。各気密注射器ユニットは、25mlの第一胃液/緩衝液混合物(1:3;v/v)300mgの乾燥粉砕完全混合飼料(TMR)、及び所望の濃度ml-1をもたらすように調製された50mlの試験基質(test substrate)を含有していた。各試験基質及び対照を6重複で試験した。各試験実施は基質対照(substrate control)を含んでいた(第一胃液+完全混合飼料(TMR)の300mg乾燥粉砕基質を、第一胃液を得たフィステル装着ヒツジに給餌した)。各基質(substrate)を異なる日でも試験して、微生物群の変動性を考慮に入れた。この混合物を、39℃の一定温度で8時間インキュベートした。8時間後、総ガス及び液体容積を、インキュベーションユニットに印刷された較正済みの目盛りで記録し、インキュベーション液体のみをインキュベーションユニットからデカントし、発酵ガスを内部に残すことにより発酵を終了させた。その後、150mlのガスを、改良型ユニットの第2の出口をカバーする気密隔壁を介して、ハミルトン注射器(Hamilton,AG社、Bonaduz、スイス)を備えたインキュベーションユニットから抜き取った。フラボノイドミックスの主成分は、2.10:0.92比のナリンギン及びネオヘスペリジンだった。ストレプトミセス・シナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)から単離されたポリエーテル抗生物質であるモネンシンを、陽性対照として使用した。
【0092】
発酵ガスを、メタン濃度についてHewlett Packardガスクロマトグラフ(モデル5890シリーズII、エイボンデール、ペンシルベニア州、USA)で分析した。揮発性脂肪酸(VFA)の分析は、試料を、Doaneら(1998年)の方法に従って調製し、HPLC(LaChrom、L-7000シリーズ、Hitachi Ltd.社、東京、日本)し、その後Ehrlichら(1981年)のプロトコールにより決定した。メタン排出の低減は、H2の蓄積をもたらし、H2の蓄積は、アセテート:プロピオネート比及びアセテート:ブチレート比の減少に結び付く。この減少した比は、プロピオネート及びブチレートの増加を示す(プロピオネート及びブチレートの形成は、H2を使い果たす)。すると、プロピオネートの増加は、反芻動物の肉生産性の増加をもたらすことになり、ブチレートの増加は、反芻動物のミルク生産性の増加をもたらす。
【0093】
結果は、下記の表1及び表2に示されている。
【0094】
【0095】
【0096】
実施例2
アリシン及び緑茶抽出物を含む組成物並びにアリシン及び及びザクロ抽出物を含む組成物を使用して平均メタン低減を測定するために、in vitro Hohenheimガス試験(HGT)を使用した。緑茶及びザクロ抽出物は、Ethical Natural Inc.社(USA)から購入した。
【0097】
実施例1で使用した、アリシン及びフラボノイドミックスを含む組成物も試験した。ストレプトミセス・シナモネンシスから単離されたポリエーテル抗生物質であるモネンシンを、陽性対照として使用した。
【0098】
結果は、下記の表3及び表4に示されている。
【0099】
【0100】
【表4】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕少なくとも1種の有機硫黄化合物、及び
少なくとも1種のフェノール化合物
を含む動物飼料サプリメント。
〔2〕各有機硫黄化合物が、独立して、アリシン、アリイン、アリルプロピルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、s-アリルシステイン、ビニルジチイン(例えば、3-ビニル-4H-1,2-ジチイン及び2-ビニル-4H-1,3-ジチイン)、及びジアリルジスルフィドから選択される、前記〔1〕に記載の動物飼料サプリメント。
〔3〕前記少なくとも1種の有機硫黄化合物がアリシンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の動物飼料サプリメント。
〔4〕前記少なくとも1種のフェノール化合物が、1種以上のビオフラボノイド、1種以上の非ビオフラボノイドフェノール化合物、又はそれらの混合物を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔5〕少なくとも1種のビオフラボノイドを含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔6〕少なくとも2種のフェノール化合物を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔7〕少なくとも2種のビオフラボノイドを含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔8〕各フェノール化合物が、独立して、アントキサンチン、フラバノン(フラバノングリコシドを含める)、フラボノール、フラバノノール、フラバン(例えば、フラバン-3-オール)、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンから選択される、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔9〕各非ビオフラボノイドフェノール化合物が、独立して、フェノール酸、ヒドロキシケイ皮酸、クマリン、スチルベノイド、アントラキノン、リグナン、リグニン、タンニン、ポリフェノールタンパク質、及びポリフェノールから選択される、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔10〕各フェノール化合物が、独立して、ナリンギン、ネオヘスペリジン、エリオシトリン、イソナリンギン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ロイフォリン、ジオスミン、ジジミン、ヘスペレチン、ポンシリン、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、ケルセチン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、及びプニカリンからなる群から選択される、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔11〕前記少なくとも1種のフェノール化合物が、ナリンギン及びネオヘスペリジンの組合せを含むか又はそれらの組合せである、前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔12〕前記少なくとも1種のフェノール化合物が、カテキン、ルチン、アカセチン、ゲニステイン、ケンペロール、クマル酸、ケイ皮酸、没食子酸、エラグ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プニカラギン、及びプニカリンの組合せを含むか又はそれらの組合せである、前記〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔13〕前記少なくとも1種のビオフラボノイドが、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテシンガレート、ケンペロール、及びケルセチンの組合せである、前記〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔14〕前記動物飼料サプリメントにおける、総有機硫黄化合物:総フェノール化合物の比が、約16:1~約1:30の範囲である、前記〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔15〕アリシンなどの前記有機硫黄化合物が、生ニンニク、乾燥ニンニク、及び/又はアリウム属種の抽出物に由来する、前記〔1〕~〔14〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔16〕前記フェノール化合物が、シトラス属種又はピューニカ属種又はカメリア属種又はそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される植物に由来する、前記〔1〕~〔15〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔17〕前記フェノール化合物が、生植物部分、乾燥植物部分、及び/又は前記植物の抽出物に由来する、前記〔16〕に記載の動物飼料サプリメント。
〔18〕固体又は液体である、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント。
〔19〕前記〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメントを含む動物飼料組成物。
〔20〕前記動物飼料組成物の乾燥質量に基づいて、約0.0001質量%~約10質量%の総有機硫黄化合物を含む、前記〔19〕に記載の動物飼料組成物。
〔21〕前記動物飼料組成物の乾燥質量に基づいて、約0.0001質量%~約10質量%の総フェノール化合物を含む、前記〔19〕又は〔20〕に記載の動物飼料組成物。
〔22〕固体又は液体である、前記〔19〕~〔21〕のいずれか一項に記載の動物飼料組成物。
〔23〕濃縮動物飼料組成物、粗飼料動物飼料組成物、又はそれらの混合物である、前記〔19〕~〔22〕のいずれか一項に記載の動物飼料組成物。
〔24〕反芻動物によるメタン産生を低減するための、前記〔1〕~〔23〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
〔25〕反芻動物によるミルク及び/又は肉及び/又はウール産生を増加させる及び/又はそれらの効率を増加させるための、前記〔1〕~〔24〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
〔26〕動物に対する栄養素の利用能を増加させるための、前記〔1〕~〔25〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物の使用。
〔27〕前記動物飼料サプリメント又は動物飼料組成物が、前記反芻動物により消費される、前記〔24〕~〔26〕のいずれか一項に記載の使用。
〔28〕前記反芻動物により消費される動物飼料サプリメント及び/又は動物飼料組成物の総1日量が、約100~約1000gである、前記〔24〕~〔27〕のいずれか一項に記載の使用。
〔29〕前記反芻動物が1日当たり最大10グラムの総有機硫黄及びフェノール化合物を消費するように動物飼料が前記反芻動物に提供される、前記〔24〕~〔28〕のいずれか一項に記載の使用。
〔30〕前記反芻動物が、ウシ、ヤギ、又はヒツジである、前記〔24〕~〔29〕のいずれか一項に記載の使用。
〔31〕前記〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の動物飼料サプリメントを作るための方法であって、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のビオフラボノイドを組み合わせることを含む方法。
〔32〕前記〔19〕~〔23〕のいずれか一項に記載の動物飼料組成物を作るための方法であって、動物飼料組成物を、少なくとも1種の有機硫黄化合物及び少なくとも1種のビオフラボノイドと組み合わせることを含む方法。