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特許7577257多価不飽和脂肪酸のための新規送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】多価不飽和脂肪酸のための新規送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20241028BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20241028BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241028BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241028BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20241028BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20241028BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241028BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20241028BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K31/202
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/44
A61K47/32
A61P1/00
A61P3/00
A61K9/50
A23L33/115
A23L5/00 F
A23K40/30 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021556525
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020060164
(87)【国際公開番号】W WO2020221573
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】19171756.0
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ, オディール
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
【審査官】池田 百合香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008101(WO,A1)
【文献】特開2019-052101(JP,A)
【文献】特表2021-501565(JP,A)
【文献】Ghazi Ben Messaoud et al.,Carbohydrate Polymers,2016年,Vol.144,p.428-437
【文献】Mohammad Ali Khosravi Zanjani et al.,Iranian Journal of Pharmaceutical Research,2014年,Vol.13, No.3,p.843-852
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
A23L 33/00 ~ 33/29
A23K 10/00 ~ 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のPUFAを含む固体コアに、アルギネート及びペクチンからなる群から選択される少なくとも1種の発酵性生体ポリマーを含むコーティング材料を噴霧して、前記固体コアをコーティングすることと、
前記コーティングされた粒子に架橋剤を噴霧して、架橋された少なくとも1種の発酵性生体ポリマーを含む内側コーティングを形成することと、
前記内側コーティングに、セラック、メタクリレートコポリマー、及び脂肪からなる群から選択される材料を含むコーティング材料を噴霧して、胃条件に対して耐性があり、小腸で放出性となる外側コーティングを形成することと、
前記外側コーティングが形成された粒子を乾燥することとを含む、送達製剤の製造方法。
【請求項2】
前記PUFAが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びアラキドン酸(ARA)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内側コーティングが、Zn、Mg、及び/又はCaイオンによって架橋される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法がバッチ式で実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が連続して実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により送達製剤を製造すること、及び、
得られた送達製剤を使用して、プレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品を製造すること
を含む、プレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、大腸のための多価不飽和脂肪酸(PUFA、又は栄養脂質)の新規送達システムに関する。これらの栄養成分は、単胃動物(例えば、ブタ及び家禽、並びに魚)、特にヒトにおける腸及び代謝の健全性にとって有用である。
【0002】
ここ数年の間に、腸の健康を促進する製品に関する消費者の関心の高まりを認めることができる。多くの新製品が発売され、消費者に広く受け入れられている。
【0003】
また、代謝及び免疫だけでなく、肥満、炎症、心臓血管疾患、及び糖尿病における腸内細菌叢の潜在的影響に対する研究も増えている。
【0004】
PUFAは、重要且つ健康的な化合物であることが知られている。
【0005】
PUFAは、油として、又は粉末粒子若しくは顆粒として製剤化されたものとして一般的に使用され、封入マトリックス材料内に埋め込まれている。通常、マトリックス材料は、胃の中で容易に溶解し、直ちにビタミンを放出する。したがって、PUFAは胃又は小腸で吸収され、大腸に到達することはない。
【0006】
小腸又は大腸内における放出は、通常、徐放性カプセル又は錠剤によって達成される。徐放性をもたらす1つ以上のコーティングによってコーティングされたカプセル又は錠剤には、活性物質が組み込まれている。しかしながら、送達システムとしての錠剤及びカプセルには、いくつかの欠点がある。単一の錠剤又はカプセルに組み込むことのできる活性物質の量は、利用可能な容積による制限を受ける。特に、ごく若い患者、及び年配の患者には、錠剤又はカプセルを飲み込むことは困難である。ゼラチンカプセルは、PUFAの一般的な剤形であるが、これらのカプセルは、早くも胃の中で油を放出してしまう。錠剤では、打錠成型の際に、油が封入マトリックスから絞り出されてしまう。胃の中のカプセル及び錠剤の滞留時間は、極めて変動しやすく、早すぎる放出が起こる可能性がある。
【0007】
これらの欠点は、粉末、顆粒、ビードレット、又はペレットなどの多粒子形態によって克服される。しかしながら、多粒子剤形に徐放性コーティングを適用することは、錠剤又はカプセルと比較して、比表面が大きいために困難である。十分な厚さを有しながら均一に分布するコーティング層を得るには、必要とされるコーティング材料の量が錠剤又はカプセルよりもはるかに多くなり、ペイロードに利用可能なスペースが減少してしまう。
【0008】
小腸の中で放出される好適なコーティング材料は、pH感応性ポリマーを含むことが多い。この手法は、胃(pH1.5~3.5)及び小腸(pH5.5~6.8)から大腸(6.4~7.0)に対して徐々に増加する消化管内に存在するpH勾配を利用するものである。最も一般的に使用されているpH依存性ポリマーは、アクリル酸及びセルロースの誘導体である。種々のpH依存性コーティングポリマーとしては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(Coateric(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、及び一般的にメタクリレートコポリマー又はEudragitとして公知のメタクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0009】
pH感応性コーティング技術には、コーティングが溶解し始める可能性のある場所及び環境が不確かであるという、重大な制約がある。腸溶性コーティングだけでは、胃腸運動の変動に起因して、小腸内で早すぎる薬物放出をもたらす可能性がある。
【0010】
結腸領域における薬物放出機序として胃腸細菌叢を利用することは、これまで研究者にとって大きな関心事であった。細菌は胃腸管の至るところに分布しているが、その大部分は遠位腸に存在する。結腸細菌は、性質的に主に嫌気性であり、上部胃腸管において消化を免れる炭水化物及びタンパク質などの内在性基質及び外在性基質の両方を代謝することができる酵素を分泌する。結腸を標的とするために、植物由来(例えば、ペクチン、グアーガム、イヌリン)、動物由来(例えば、キトサン、コンドロイチン硫酸)、藻由来(例えば、アルギネート)、又は微生物由来(例えば、デキストラン)由来の天然の多糖体が研究されていた。これらは、結腸細菌叢によって分解され、バクテロイデス(bacteroides)及びビフィズス菌(bifidobacteria)などの糖分解性種によって単純な糖となる[Jose,S.,K.Dhanya,T.A.Cinu,J.Litty and A.J.Chacko(2009).“Colon targeted drug delivery:different approaches.”J.Young Pharm.1(1):13-19]。
【0011】
大腸の中で特異的に分解されるものの、これらのポリマーの多くは性質的に親水性であり、上部胃腸条件の暴露下で膨潤し、これによって早すぎる薬物放出をもたらす。更に、これらの発酵性物質は通常、溶液中で非常に高い粘度を示すため、これによって高濃度での処理が困難又は不可能となる。
【0012】
封入マトリックスとしては、発酵性生体ポリマーが使用されている。マトリックス封入時、活性物質は、保護用のマトリックス(この場合は発酵性生体ポリマー)内に均一に分布している。しかしながら、マトリックス封入には、いくつかの深刻な欠点がある。生体ポリマーは粘度が高いため、例えば、噴霧乾燥又はゲル封入時のマトリックス溶液は極めて希釈されており、乾燥するのが困難で費用がかかる。マトリックス封入におけるペイロードは比較的低いものである(典型的には50%未満)。
【0013】
ここで、本発明の目標は、胃及び小腸を通って輸送される際の(大腸で放出される前の)PUFAの安定性を改善し、その結果PUFAの利用可能性と有効性とを改善させる、改善された多粒子送達システム(製剤)を見出すことであった。
【0014】
更に、この新規送達システムは、簡単且つ工業的に適用可能な方法で製造できるものでなくてはならない。
【0015】
少なくとも1種のPUFAからなる固体コアを、特定の内側コーティングと特定の外側コーティングでコーティングすると、送達システムの性質が改善されることが分かった。更に、この送達システムは、バッチ式と同様、連続工程でも製造することができる。
【0016】
本発明による新規送達システム(DS)は、
(a)1種のPUFAを含む固体コアと、
(b)架橋された少なくとも1種の発酵性生体ポリマーを含む内側コーティングと、
(c)胃条件に対して耐性があり、小腸で放出性となる外側コーティングと、
からなる。
【0017】
本発明に関連して、「PUFA」(多価不飽和脂肪酸)という用語は、その一般的に受け入れられる意味で使用される。即ち、PUFAは、少なくとも2つの炭素-炭素二重結合(好ましくは2~6個、より好ましくは4又は5又は6個の炭素-炭素二重結合)を有する脂肪酸に関し、好ましくは16~24個の炭素原子(好ましくは18~22個の炭素原子)からなり、n-3、n-6及びn-9の酸を含む。PUFAという用語は、遊離酸を定義するものであるが、その天然エステル、即ちグリセリド(モノ、ジ、及びトリグリセリドを含む)のような形態、並びに転換されたエステル、例えばエチルエステルなどのエステル交換の形態における塩及び酸のことも意味するものと一般的には理解される。本発明に関連して好ましい対象となるPUFAは、単一の化合物として、又は混合物中に、好ましくはそれらのエステル、例えばトリグリセリド又はエチルエステルの形態で、特に海生動物(好ましくは魚)から、植物から、又は発酵によって得られる油の成分として、好ましくは食品グレード品質のn-3及びn-6 PUFA、特にEPA(エイコサペンタ-5,8,11,14,17-エン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサ-4,7,10,13,16,19-エン酸)、GLA(γ-リノレン酸)及びARA(アラキドン酸)である。
【0018】
よく知られた多価不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びアラキドン酸(ARA)である。
【0019】
必要であり、所望であれば、他の栄養補助成分をコア(又はコーティング)に組み込んでもよい。栄養補助成分とは、動物の健康上の利益をもたらす化合物のことである。
【0020】
したがって、本発明は、少なくとも1種のPUFAがドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びアラキドン酸(ARA)からなる群から選択される送達システム(DS)である、送達システム(DS1)に関する。
【0021】
本発明による送達システムは内側コーティングを含み、この内側コーティングは定義された基準を満たす必要がある。内側コーティング(発酵性生体ポリマー)に好適な材料は、例えば、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン、並びにその他のゴムである。内側コーティングに好ましいコーティング材料は、アルギネート又はペクチンである。
【0022】
内側コーティングは架橋されている。架橋は、一般的に公知の架橋性化合物によって行うことができる。アルギネートが使用される場合、Zn、Mg、及び/又はCaイオンによって(塩を使用することによって)行うことができる。内側コーティングを施した後に、又はそれと同時に架橋剤を固体コアに噴霧してもよい。或いは、架橋剤を含む溶液に、コーティングした粒子を浸漬してもよい。
【0023】
内側コーティング層を施した後に、粒子に架橋剤を噴霧することが好ましい。
【0024】
また、本発明の別の利点としては、本発明による新規送達システムの製造を、バッチ式と同様に連続的に行うことができるということである。先行技術で公知のシステムとは対照的に、そのような製品の工業生産の観点から見ても、これは非常に大きな利点である。工程の詳細を下記に開示する。
【0025】
したがって、本発明は、内側コーティングの材料がアルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン、並びにその他のガムからなる群から選択される送達システム(DS)又は(DS1)である、送達システム(DS2)に関する。
【0026】
したがって、本発明は、内側コーティングの材料がアルギネート又はペクチンである送達システム(DS2)である、送達システム(DS2’)に関する。
【0027】
内側コーティング層は、コアを(ほぼ)完全に覆っている。固体コアに適用されたときに、内側コーティングの層が(ほぼ)同じ厚さであることが理想的である。通常、内側コーティング層の厚さは、少なくとも5μmであり、20μm以下である。内側コーティング層の厚さは、5μm~10μmであることが好ましい。
【0028】
したがって、本発明は、内側コーティング層の厚さが5μm~10μmである送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)又は(DS2’)である、送達システム(DS3)に関する。
【0029】
内側コーティング層は、少なくとも1種の架橋剤によって架橋される。任意の好適な架橋剤を使用することができる。非常に好適な、したがって好ましいのはZn、Mg及びCaイオンである(それらは塩の形態で添加される)。
【0030】
したがって、本発明は、内側コーティング層が少なくとも1種の架橋剤によって(好ましくは、Zn、Mg及び/又はCaイオンによって)架橋される送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)又は(DS3)である、送達システム(DS4)に関する。
【0031】
したがって、本発明は、架橋された内側コーティング層がアルギン酸Na又はペクチンである送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)又は(DS4)である、送達システム(DS5)に関する。
【0032】
本発明による送達システムは外側コーティングを含み、この外側コーティングは定義された基準を満たす必要がある。外側コーティングの基準を満たす好適な材料は、例えば、セラック、メタクリレートコポリマー、及び脂肪である。
【0033】
したがって、本発明は、外側コーティングの材料がセラック、メタクリレートコポリマー、及び脂肪からなる群から選択される送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)又は(DS5)である、送達システム(DS6)に関する。
【0034】
外側コーティング層は、内側コーティングを(ほぼ)完全に覆っている。内側コーティングに適用されたときに、外側コーティングの層が(ほぼ)同じ厚さであることが理想的である。
【0035】
通常、外側の層の厚さは、少なくとも10μmであり、通常は30μm未満である。外側コーティング層の厚さは、10~20μmであることが好ましい。
【0036】
したがって、本発明は、外側コーティング層の厚さが10μm~20μmである送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)又は(DS6)である、送達システム(DS7)に関する。
【0037】
本発明による送達システムの固体コアは、通常、送達システムの総重量を基準として10~85重量%、好ましくは50~75重量%である。
【0038】
したがって、本発明は、送達システムの固体コアが、送達システムの総重量を基準として10~85重量%、好ましくは50~75重量%である送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)又は(DS7)である、送達システム(DS8)に関する。
【0039】
本発明による送達システムの内側コーティングは、通常、送達システムの総重量を基準として1~20重量%、好ましくは1~10重量%である。
【0040】
したがって、本発明は、送達システムの内側コーティングが、送達システムの総重量を基準として10~85重量%、好ましくは1~10重量%である送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)又は(DS8)である、送達システム(DS9)に関する。
【0041】
本発明による送達システムの外側コーティングは、通常、送達システムの総重量を基準として1~30重量%、好ましくは15~30重量%である。
【0042】
したがって、本発明は、送達システムの外側コーティングが、送達システムの総重量を基準として1~30重量%、好ましくは15~30重量%である送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)又は(DS9)である、送達システム(DS10)に関する。
【0043】
本発明による送達システムは、サイズを最大2mmとすることができる。サイズは、粒子の最長直径で定義される。粒子の形状は本発明の本質的特徴ではない。また、粒子の粒度分布も本質的なものではない。粒子のサイズ及び形状は、主に、送達システムの固体コアによって規定される。送達システムの使用に応じてサイズを調製することができる。
【0044】
本発明による送達システムは、一般的に公知の技術によって製造される。
【0045】
通常、固体コアは、第1段階で製造され、次いで内側コーティングと外側コーティングが施される。
固体コア粒子は、噴霧乾燥、凝集、造粒、微小錠剤、押出成形、又は押出成形/球状化などの公知の方法で製造することができる。
【0046】
上記に開示したように、(送達システムの特性に加えて)新規送達システムの主な利点のうちの1つは、送達システムの製造工程にある。新規送達システムは、バッチ式で又は連続的に製造することができる。
【0047】
バッチ式で製造する場合、新規粒子は以下のように製造することができる。
第1段階では、内側コーティングのコーティング材料を用いたスプレーコーティングによって固体コアをコーティングし、次いでこの粒子に架橋剤を噴霧する。第2段階では、前段階で得られた粒子に外側コーティングを噴霧し、最後に粒子を乾燥させる。
【0048】
この工程の利点は、造粒又は凝集による固体コアの生成を含む段階にあり、同一の装置(流動床処理装置)内で実施することが可能であり、これによって技術的労力を減らすことができる。とはいえ、即ち固体コアを最初に製造し、それらを保存して、次いでコーティングすることも可能である。
【0049】
この新規送達システムを製造する方法のもう1つの選択肢は連続工程であり、固体コアを最初に製造し、次いでコーティング段階を交互に行って粒子に噴霧する。これらの工程は、工業規模で適用するのに理想的である。
【0050】
したがって、本発明はまた、工程がバッチ式で実行される、粒子(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)のいずれかの製造工程(P)に関する。
【0051】
したがって、本発明はまた、工程が連続的に実行される、粒子(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(SD5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)のいずれかの製造工程(P1)に関する。
【0052】
本発明による新規送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)及び/又は(DS10)は、それ自体で使用することができるか、又は適用形態に組み込むことができる。
【0053】
新規送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)及び/又は(DS10)は、任意の栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品において、それ自体で使用することができる。
【0054】
新規送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)は、プレミックス製剤の一部とすることも可能であり、次いで、これを使用して任意の栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品を製剤化してもよい。
【0055】
本発明はまた、少なくとも1つの送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)を使用して、プレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品を製造するための工程に関する。
【0056】
本発明はまた、少なくとも1つの送達システム(DS)、(DS1)、(DS2)、(DS2’)、(DS3)、(DS4)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)を含む、プレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品に関する。
【0057】
以下の実施例は、本明細書で特許請求される本発明の特定の実施形態を説明する役割を果たすものである。全ての百分率は重量に対して示され、全ての温度は摂氏度で示される。
【0058】
[実施例]
[実施例1:]
15gのアルギン酸Na(grinstedアルギン酸ナトリウム)を、撹拌しながら60℃で485gの水に溶解させる。31.5gの塩化Ca二水和物を、98.5gの水に溶解させる。100gのPUFA粉末(MEG-3 30% Powder、ゼラチンのマトリックス中にトリグリセリドとして粉末180mg/gを含む)を、流動床処理装置(WFP mini、DMR、ウースター構成)に充填する。全てのコーティング段階を50~60℃の製品温度で実行する。最初に、アルギネート溶液を流動化したPUFA粉末に噴霧する。アルギネート溶液を噴霧した後、補給チューブを簡単に水ですすぐ。硬化のため、53℃の製品温度で、塩化Ca溶液を内側コーティングに噴霧する。硬化溶液の後に、固形分25%の水性セラック調製物(SSB Aquagold、Stroever)154gを、外側コーティングとして噴霧する。セラックを噴霧した後、製品を流動床で乾燥させる。
【0059】
最終的にコーティングされた粒状体の組成は、65%のコア材料、(=約12%のPUFA)、9%のアルギネート、1%の塩化Ca、及び25%のセラックである。