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  • 特許-固定補助具 図1
  • 特許-固定補助具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】固定補助具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/10 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
B25B23/10 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024030739
(22)【出願日】2024-02-10
【審査請求日】2024-02-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524074264
【氏名又は名称】宇土 冬真
(72)【発明者】
【氏名】宇土 冬真
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-135500(JP,A)
【文献】実開昭59-059279(JP,U)
【文献】実開昭57-140975(JP,U)
【文献】実開昭52-041082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパクトドライバーでビス止めする際に、当該インパクトドライバーへのビスの固定を補助するための固定補助具であり、
先端側から基端側に向かって、第1の筒体と、第2の筒体と、第3の筒体と、が連なって構成されており、
前記第1の筒体と、前記第2の筒体と、前記第3の筒体と、はそれぞれ内部が空洞で、かつ、先端側と基端側にそれぞれ貫通孔を有しており、
前記第1の筒体は前記第2の筒体よりも一回り小さく、前記第2の筒体は前記第3の筒体よりも一回り小さく、
前記第1の筒体はバネで前記第2の筒体に連結されており、前記第2の筒体はバネで前記第3の筒体に連結されており、
前記第1の筒体の先端側の貫通孔に滑り止めが設けられており、
前記第3の筒体の基端側の貫通孔周辺にベアリングが設けられている固定補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパクトドライバーでビス止めする際に、当該インパクトドライバーへのビスの固定を補助するための固定補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人が、工事現場やDIYなどで、インパクトドライバーを使っている。インパクトドライバーは、衝撃を加えながら力強くビスを締め付けることができるため、非常に便利な工具である。
【0003】
また、発明者の学校の課題研究でも、作業の際に、インパクトドライバーを使うことがよくある。例えば、発明者は、ものづくりコンテスト(電気工事部門)の課題研究で、作品の解体作業や製作作業などを行った。この課題研究では、作業の際にインパクトドライバーを使ってアウトレットボックスやランプレセプタクルなどの器具を、正確な位置に壁板にビス止めしていった。しかし、その際に、インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることがあった。
【0004】
そのため、ビスを打ち込みやすくするために、インパクトドライバー用のビスを固定する補助具(ビス止め固定補助具)が求められている。
また、これに関連する先行技術として、特許文献1に記載の発明がある。特許文献1には、ドリル取付治具やドリル装置形成機構、およびドリル装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-221594号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のドリル取付治具などは、ドリルを取り付けるための治具であるため、インパクトドライバーに応用することはできない。よって、特許文献1に記載のドリル取付治具などでは、前述したように、インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることを防ぐことはできない。
従って、本発明は、インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることを防ぐ固定補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インパクトドライバーでビス止めする際に、当該インパクトドライバーへのビスの固定を補助するための固定補助具(インパクトドライバー用ビス止め固定補助具)である。また、固定補助具は、先端側から基端側に向かって、第1の筒体と、第2の筒体と、第3の筒体と、が連なって構成されており、第1の筒体と、第2の筒体と、第3の筒体と、はそれぞれ内部が空洞で、かつ、先端側と基端側にそれぞれ貫通孔を有しており、第1の筒体は第2の筒体よりも一回り小さく、第2の筒体は第3の筒体よりも一回り小さく、第1の筒体はバネで第2の筒体に連結されており、第2の筒体はバネで第3の筒体に連結されている。
【0008】
また、固定補助具は、第1の筒体の先端側の貫通孔に滑り止めが設けられており、第3の筒体の基端側の貫通孔周辺にベアリングが設けられている構成であることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることが防がれ、ビスを壁板に真っ直ぐに打ち込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る固定補助具の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る固定補助具をインパクトドライバーに装着した状態を示す図であり、上図はビスを壁板に打ち込む前の状態を示す図、下図はビスを壁板に打ち込んだ後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0012】
(1.全体の構成について)
まず、全体の構成について説明する。
図2に示すように、本発明に係るインパクトドライバー用ビス止め固定補助具(以下、省略して「固定補助具」という)10は、インパクトドライバー9の先端に装着される(取り付けられる)。より具体的にいうと、インパクトドライバー9の先端には、回転してビスやネジ、ボルトなどを締めたり緩めたりするための先端工具であるビット11が設けられている。そして、固定補助具10は、ビット11およびビット11に取り付けられたビス12が挿し込まれることで、インパクトドライバー9に装着される。
【0013】
(2.固定補助具の構成について)
次に、固定補助具10について説明する。
図1は、固定補助具10の概略構成図である。図1に示すように、固定補助具10は、先端側から基端側に向かって、第1の筒体1と、第2の筒体2と、第3の筒体3が連なって構成されている。なお、ここでいう先端側とは壁板13がある側で、基端側とはインパクトドライバー9がある側である(図2参照)。また、本実施形態では、第1の筒体1、第2の筒体2、および第3の筒体3は、円筒形状(円柱形状)となっている。その他、本実施形態では、第1の筒体1、第2の筒体2、および第3の筒体3は透明な(筒体の内部に挿入されたビット11やビス12を目視で確認可能な)プラスチックで作られている。
【0014】
また、第1の筒体1と、第2の筒体2と、第3の筒体3は、それぞれ内部が空洞である。具体的にいうと、図1に示すように、第1の筒体1は、内部に空洞部分7Aを有している。同じように、第2の筒体2は、内部に空洞部分7Bを有しており、第3の筒体3は、内部に空洞部分7Cを有している。
【0015】
そして、第1の筒体1は、第2の筒体2よりも一回り小さくなっている。そのため、第1の筒体1は、第2の筒体2の中にすっぽり入ることができる。本実施形態では、前述したように第1の筒体1および第2の筒体2は円筒形状となっているが、第1の筒体1の円の直径が、第2の筒体2の円の直径よりも一回り小さくなっている。
【0016】
一方、第2の筒体2は、第3の筒体3よりも一回り小さくなっている。そのため、第2の筒体2は、第3の筒体3の中にすっぽり入ることができる。本実施形態では、第2の筒体2および第3の筒体3は円筒形状となっているが、第2の筒体2の円の直径が、第3の筒体3の円の直径よりも一回り小さくなっている。
【0017】
要するに、大きさの異なる筒体が3つ並んでいるわけだが、これらは、それぞれバネで連結されている。具体的にいうと、図1に示すように、第1の筒体1はバネ5A、バネ5Bで第2の筒体2に連結されている。また、第2の筒体2はバネ5C、バネ5Dで第3の筒体3に連結されている。バネ5A~バネ5Dは、本実施形態ではコイルバネとしているが、板バネや皿バネ、またはそれ以外のバネであってもよい。なお、バネの数も、本実施形態では2本(バネ5A、バネ5B)としているが、3本、4本、またはそれ以上であってもよい。
【0018】
さらに、第1の筒体1と、第2の筒体2と、第3の筒体3は、先端側と基端側にそれぞれ貫通孔を有している。具体的にいうと、図1に示すように、第1の筒体1は先端側に、空洞部分7Aに繋がる貫通孔6Aを有している。また、第1の筒体1は基端側に、空洞部分7Aに繋がる貫通孔6Bを有している。
【0019】
同様に、第2の筒体2は先端側に、空洞部分7Bに繋がる貫通孔6Cを有している。また、第2の筒体2は基端側に、空洞部分7Bに繋がる貫通孔6Dを有している。
第3の筒体3も同様である。第3の筒体3は先端側に、空洞部分7Cに繋がる貫通孔6Eを有している。また、第3の筒体3は基端側に、空洞部分7Cに繋がる貫通孔6Fを有している。
【0020】
固定補助具10はこのように複数の貫通孔を有しているが、第3の筒体3の貫通孔6Fからインパクトドライバー9のビット11およびビット11に取り付けられたビス12が挿し込まれることで、固定補助具10がインパクトドライバー9に装着される。
また、図1に示すように、第1の筒体1が有する空洞部分7Aは、基端側から先端側に向かうにつれて先細りになっている。そして、第1の筒体1の貫通孔6Aは、使用するビス12の十字穴より数ミリ程度大きいサイズである。このように、空洞部分7Aを先細りにすることで、ビス12をよりしっかりと固定することができる。
【0021】
その他の構成として、固定補助具10は、先端(第1の筒体1の先端側)がゴム8でできている。このゴム8は滑り止めの効果があるため、ビス止めの際に、第1の筒体1の先端側から飛び出たビス12が斜めに傾いたり、上下左右にブレたりすることを防ぐことができる。なお、このゴム8は、第1の筒体1の先端側をゴムで形成する他、シール状のゴムを貼ったり、滑り止めシールを貼ったり、滑り止め塗料を塗布したりしてもよい。
【0022】
また、固定補助具10は、基端(第3の筒体3の基端側)に、ベアリング4が設けられている。ベアリング4を設けることで、固定補助具10がインパクトドライバー9と一緒に回らないようになる。よって、ビス止めの際に、固定補助具10は回転せずにしっかりとビス12を固定できるため、インパクトドライバー9でビス12を真っ直ぐに打ち込むことができる。
【0023】
(3.固定補助具を装着したインパクトドライバーの使い方について)
最後に、固定補助具10を装着したインパクトドライバー9の使い方について説明する。
【0024】
(1)まず、ビス12を、インパクトドライバー9のビット11に(ビット11の先端に)取り付け、固定補助具10を、インパクトドライバー9に装着する(図2の上図参照)。固定補助具10の装着は、前述したように、第3の筒体3の貫通孔6Fからインパクトドライバー9のビット11およびビット11に取り付けられたビス12が挿し込まれることで、固定補助具10がインパクトドライバー9に装着される。
【0025】
(2)そして、ビス12を壁板13に打ち込むために、作業者は第1の筒体1の先端(ゴム8)を壁板13に当てて、手で固定補助具10を支えながら、インパクトドライバー9を先端側に押し当てていくことによりビス12を打ち込んでいく。
【0026】
(3-1)そうすると、作業者がインパクトドライバー9を先端側に押し当てていく力により、第1の筒体1と第2の筒体2を連結しているバネ5A、バネ5Bが縮んで、第1の筒体1が第2の筒体2の中に入る。
(3-2)さらに、作業者がインパクトドライバー9を先端側に押し当てていく力により、第2の筒体2と第3の筒体3を連結しているバネ5C、バネ5Dが縮んで、第2の筒体2が第3の筒体3の中に入る。
(3-3)このように、バネ5A~バネ5Dが縮んで、固定補助具10の長手方向(図2にでいうと、左右方向)の長さが短くなるため、ビス12は、固定補助具10の先端(第1の筒体1の貫通孔6A)から全て飛び出して、壁板13に打ち込まれる。また、ビス12は、壁板13に打ち込まれるまでは、固定補助具10(第1の筒体1、第1の筒体2、および第3の筒体3)によって真っ直ぐに支持され続けるため、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることが起こらなくなる。
【0027】
このように、本発明に係る固定補助具10をインパクトドライバー9に装着することで、、インパクトドライバー9に取り付けたビス12が、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることが防がれ、ビス12を壁板13に真っ直ぐに打ち込むことができる。
【0028】
以上のように説明した固定補助具10はあくまで実施形態の一つであり、発明の要旨を変更しない限り、適宜設計変更可能である。例えば、筒体の数(本実施形態では第1の筒体1、第1の筒体2、および第3の筒体3の3つ)を増やしてもよく、減らしてもよいが、増やし過ぎると筒体同士を連結するバネが傾いたり、減らし過ぎると長いビスに対応できなくなったりするため、本実施形態で示すように、3つが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることを防ぐ固定補助具であり、工事現場やDIYなど様々な場面で利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1の筒体
2 第2の筒体
3 第3の筒体
4 ベアリング
5A,5B,5C,5D バネ
6A,6B,6C,6D,6E,6F 貫通孔
7A,7B,7C 空洞部分
8 ゴム
9 インパクトドライバー
10 インパクトドライバー用ビス止め固定補助具
11 ビット
12 ビス
13 壁板
【要約】
【課題】インパクトドライバーに取り付けたビスが、回転の勢いでビス穴からずれたり斜めに入ったりすることを防ぐ固定補助具を提供する。
【解決手段】固定補助具10は、インパクトドライバーでビス止めする際に、当該インパクトドライバーへのビスの固定を補助するための固定補助具である。また、固定補助具10は、先端側から基端側に向かって、第1の筒体1と、第2の筒体2と、第3の筒体3と、が連なって構成されており、第1の筒体1と、第2の筒体2と、第3の筒体3と、はそれぞれ内部が空洞で、かつ、先端側と基端側にそれぞれ貫通孔6A~6Fを有しており、第1の筒体1は第2の筒体2よりも一回り小さく、第2の筒体2は第3の筒体3よりも一回り小さく、第1の筒体1はバネ5A,5Bで第2の筒体2に連結されており、第2の筒体2はバネ5C,5Dで第3の筒体3に連結されている。
【選択図】図1
図1
図2