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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】座屈拘束構造材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
E04B1/58 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020204376
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091502
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第321~322頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第363~364頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第365~366頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第367~368頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第369~370頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日 刊行物名:2020年度大会(関東) 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第371~372頁 発行者名:一般社団法人 日本建築学会 発行日:令和2年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130374
【氏名又は名称】株式会社コンステック
(73)【特許権者】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 貞治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄二郎
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214881(JP,A)
【文献】特開2009-263886(JP,A)
【文献】特開2000-213201(JP,A)
【文献】特開2021-147781(JP,A)
【文献】特開2020-051186(JP,A)
【文献】特開2019-190067(JP,A)
【文献】特開平11-188704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0137612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04H 9/00 - 9/16
E04C 3/00 - 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延在方向に沿って延び、前記延在方向に略直交する弱軸方向および強軸方向を有する芯材と、
前記弱軸方向および前記強軸方向への前記芯材の座屈を拘束するための木製の拘束材と
を備える座屈拘束構造材であって、
前記拘束材が、
前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記弱軸方向の両側に設けられる一対の弱軸拘束材と、
前記芯材を前記強軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記強軸方向の両側に設けられる一対の強軸拘束材と
を備え
前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の両方の前記弱軸方向の両側に設けられ、
前記強軸拘束材は、前記強軸拘束材の前記弱軸方向の長さが前記芯材の前記弱軸方向の長さよりも短くなるような大きさに形成される、
座屈拘束構造材。
【請求項2】
前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように、前記弱軸方向に延在するコーススレッドビスにより互いに対して固定される、
請求項1記載の座屈拘束構造材。
【請求項3】
前記座屈拘束構造材が、前記弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に固定される一対の側板を備え、
前記一対の側板が、前記芯材との間で前記一対の強軸拘束材を前記強軸方向で圧縮するように、前記一対の弱軸拘束材に固定される、
請求項1または2に記載の座屈拘束構造材。
【請求項4】
前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の両方の前記弱軸方向の両側に配置され、
前記一対の強軸拘束材は、前記一対の側板が前記一対の弱軸拘束材に固定される前の状態で、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の前記強軸方向の長さの和が前記弱軸拘束材の前記強軸方向の長さよりも長くなるような大きさに形成される、
請求項記載の座屈拘束構造材。
【請求項5】
前記芯材と前記弱軸拘束材との間には、前記芯材の前記延在方向の略中央部分において前記芯材と前記弱軸拘束材とを互いに粘着する自己粘着剤が設けられ、前記芯材と前記弱軸拘束材および前記強軸拘束材との間には、前記芯材の前記延在方向の略中央部分の両側の部分において前記芯材と前記弱軸拘束材および前記強軸拘束材との間に生じる摩擦力を軽減するアンボンド材が設けられる、
請求項1~のいずれか1項に記載の座屈拘束構造材。
【請求項6】
前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、
前記一対の弱軸拘束材は、前記芯材の前記広幅部に対応する位置において、前記一対の弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に一対の側板が固定用ネジで固定されることで、互いに対して固定される、
請求項1~のいずれか1項に記載の座屈拘束構造材。
【請求項7】
前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、
前記一対の強軸拘束材が、前記狭幅部の前記延在方向の略全長に亘って設けられる、
請求項1~のいずれか1項に記載の座屈拘束構造材。
【請求項8】
延在方向に沿って延び、前記延在方向に略直交する弱軸方向および強軸方向を有する芯材と、
前記弱軸方向および前記強軸方向への前記芯材の座屈を拘束するための木製の拘束材と
を備える座屈拘束構造材であって、
前記拘束材が、
前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記弱軸方向の両側に設けられる一対の弱軸拘束材と、
前記芯材を前記強軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記強軸方向の両側に設けられる一対の強軸拘束材と
を備え、
前記座屈拘束構造材が、前記弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に固定される一対の側板を備え、
前記一対の側板が、前記芯材との間で前記一対の強軸拘束材を前記強軸方向で圧縮するように、前記一対の弱軸拘束材に固定される、
座屈拘束構造材。
【請求項9】
延在方向に沿って延び、前記延在方向に略直交する弱軸方向および強軸方向を有する芯材と、
前記弱軸方向および前記強軸方向への前記芯材の座屈を拘束するための木製の拘束材と
を備える座屈拘束構造材であって、
前記拘束材が、
前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記弱軸方向の両側に設けられる一対の弱軸拘束材と、
前記芯材を前記強軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記強軸方向の両側に設けられる一対の強軸拘束材と
を備え、
前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、
前記一対の弱軸拘束材は、前記芯材の前記広幅部に対応する位置において、前記一対の弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に一対の側板が固定用ネジで固定されることで、互いに対して固定される、
座屈拘束構造材。
【請求項10】
延在方向に沿って延び、前記延在方向に略直交する弱軸方向および強軸方向を有する芯材と、
前記弱軸方向および前記強軸方向への前記芯材の座屈を拘束するための木製の拘束材と
を備える座屈拘束構造材であって、
前記拘束材が、
前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記弱軸方向の両側に設けられる一対の弱軸拘束材と、
前記芯材を前記強軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記強軸方向の両側に設けられる一対の強軸拘束材と
を備え、
前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、
前記一対の強軸拘束材が、前記狭幅部の前記延在方向の略全長に亘って設けられる、
座屈拘束構造材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座屈拘束構造材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架構に組み込まれ、架構に生じる振動エネルギーを吸収するために、たとえば特許文献1に開示された座屈拘束ブレースが用いられている。特許文献1の座屈拘束ブレースは、鋼管と、鋼管の内部に配置された低降伏点鋼材とを備え、鋼管と低降伏点鋼材との間にコンクリートが充填されて、コンクリートにより低降伏点鋼材の座屈が抑制される。しかし、特許文献1の座屈拘束ブレースは、鋼管とコンクリートにより構成されているために、非常に重く、施工現場への搬入や施工現場での取り扱いが困難であるという問題がある。また、特許文献1の座屈拘束ブレースは、鋼製であるために、木造構造物などに組み込まれる場合には、外観上、不釣り合いが生じるという問題がある。
【0003】
上述した問題を解決するために、最近では、特許文献2に開示されるような木製の座屈拘束ブレースが開発されている。木製の座屈拘束ブレースは、軽量であるため、施工現場への搬入や施工現場での取り扱いが容易である。また、木製の座屈拘束ブレースが木造構造物に組み込まれても、外観面で不釣り合いが生じるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-57820号公報
【文献】特開2008-174932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、座屈拘束ブレースでは、芯材である鋼材が座屈しようとしたときに、鋼材の外側にはらみ出す力に拘束材が対抗することで、鋼材の座屈を抑えている。ところが、木製の座屈拘束ブレースでは、木製である拘束材の強度が金属やコンクリートなどに比べて低く、鋼材の座屈を拘束するための十分な拘束力を期待することが難しい。たとえば特許文献2では、鋼材と拘束材との間に隙間が形成されているので、鋼材が座屈しようとしたときに鋼材の外側にはらみ出す力が大きくなる。このように鋼材の外側にはらみ出す力が大きくなると、木製である拘束材が変形して十分な座屈拘束性を発揮することができない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、座屈拘束性の優れた木製の座屈拘束構造材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の座屈拘束構造材は、延在方向に沿って延び、前記延在方向に略直交する弱軸方向および強軸方向を有する芯材と、前記弱軸方向および前記強軸方向への前記芯材の座屈を拘束するための木製の拘束材とを備える座屈拘束構造材であって、前記拘束材が、前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記弱軸方向の両側に設けられる一対の弱軸拘束材と、前記芯材を前記強軸方向で押圧して挟持するように前記芯材の前記強軸方向の両側に設けられる一対の強軸拘束材とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材を前記弱軸方向で押圧して挟持するように、前記弱軸方向に延在するコーススレッドビスにより互いに対して固定されることが好ましい。
【0009】
また、前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の両方の前記弱軸方向の両側に設けられ、前記強軸拘束材は、前記強軸拘束材の前記弱軸方向の長さが前記芯材の前記弱軸方向の長さよりも短くなるような大きさに形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記座屈拘束構造材が、前記弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に固定される一対の側板を備え、前記一対の側板が、前記芯材との間で前記一対の強軸拘束材を前記強軸方向で圧縮するように、前記一対の弱軸拘束材に固定されることが好ましい。
【0011】
また、前記一対の弱軸拘束材が、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の両方の前記弱軸方向の両側に配置され、前記一対の強軸拘束材は、前記一対の側板が前記一対の弱軸拘束材に固定される前の状態で、前記芯材および前記一対の強軸拘束材の前記強軸方向の長さの和が前記弱軸拘束材の前記強軸方向の長さよりも長くなるような大きさに形成されることが好ましい。
【0012】
また、前記芯材と前記弱軸拘束材との間には、前記芯材の前記延在方向の略中央部分において前記芯材と前記弱軸拘束材とを互いに粘着する自己粘着剤が設けられ、前記芯材と前記弱軸拘束材および前記強軸拘束材との間には、前記芯材の前記延在方向の略中央部分の両側の部分において前記芯材と前記弱軸拘束材および前記強軸拘束材との間に生じる摩擦力を軽減するアンボンド材が設けられることが好ましい。
【0013】
また、前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、前記一対の弱軸拘束材は、前記芯材の前記広幅部に対応する位置において、前記一対の弱軸拘束材の前記強軸方向の両側の側面に一対の側板が固定用ネジで固定されることで、互いに対して固定されることが好ましい。
【0014】
また、前記芯材が、前記延在方向の両端側に設けられた広幅部と、前記延在方向の両端側の前記広幅部の間に設けられた狭幅部とを備え、前記一対の強軸拘束材が、前記狭幅部の前記延在方向の略全長に亘って設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、座屈拘束性の優れた木製の座屈拘束構造材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る座屈拘束構造材の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る座屈拘束構造材の正面図で、自己粘着剤およびアンボンド材の図示が省略された図である。
図3図2の座屈拘束構造材の側面図で、自己粘着剤およびアンボンド材の図示が省略された図である。
図4図2のIV-IV線切断端面図である。
図5図2のV-V線切断端面図である。
図6図2のVI-VI線切断端面図である。
図7図5において側板が固定される前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る座屈拘束構造材を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまで一例にすぎず、本発明の座屈拘束構造材は以下の例に限定されることはない。
【0018】
本実施形態の座屈拘束構造材1は、図1図3に示されるように、延在方向Lに沿って延びる芯材2と、芯材2の座屈を拘束(抑制)するための木製の拘束材3とを備えている。座屈拘束構造材1は、たとえば、図示しない架構に芯材2が接続されて、地震動や風などの外乱を受けることにより架構に生じる振動エネルギーを吸収するためや、架構から受ける外力に抵抗して架構の強度を向上させ、または架構の変形を抑制するために用いられる。座屈拘束構造材1は、ブレースや方杖などとして架構に対して斜め方向に接続されるだけでなく、鉛直や水平方向に接続されて使用することもできる。
【0019】
芯材2は、架構に接続されて、架構に生じる振動エネルギーの少なくとも一部を吸収する、および/または架構から受ける外力に抵抗する部材である。芯材2は、たとえば、芯材2の延びる方向(延在方向L)に所定以上の引張応力または圧縮応力を受けたときに降伏(塑性変形)することにより、架構に生じる振動エネルギーの少なくとも一部を吸収する。芯材2は、拘束材3によって座屈が抑制されているので、延在方向Lで安定的に塑性変形を繰り返して、比較的大きな振動エネルギーを吸収することができる。また、芯材2は、たとえば、芯材2の延びる方向に所定以下の引張応力または圧縮応力を受けたときに、弾性変形範囲内で形状を維持することにより、架構から受ける外力に抵抗する。芯材2は、拘束材3によって座屈が抑制されているので、芯材2の延びる方向の強度を維持して、比較的大きな外力に抵抗することができる。
【0020】
芯材2は、図1図3に示されるように、延在方向Lに略直交する弱軸方向Wおよび強軸方向Sを有する。弱軸方向Wとは、少なくとも強軸方向Sと比べて相対的に芯材2の曲げ剛性が小さい方向を意味し、たとえば延在方向Lに略直交する方向の中で芯材2の曲げ剛性が最も小さい方向を意味する。強軸方向Sとは、少なくとも弱軸方向Wと比べて相対的に芯材2の曲げ剛性が大きい方向を意味し、たとえば延在方向Lに対して略直交する方向の中で芯材2の曲げ剛性が最も大きい方向を意味する。本実施形態では、芯材2は、図1図3に示されるように、延在方向Lに沿って延びる板状に形成されており、延在方向Lに対して略直交する方向のうち、板表面に略垂直な方向が弱軸方向Wを構成し、板表面に略平行な方向が強軸方向Sを構成する。なお、芯材2は、少なくとも延在方向Lに沿って延び、延在方向Lに略直交する弱軸方向Wおよび強軸方向Sを有していれば、その形状は特に限定されることはなく、板状以外の形状を有していてもよい。
【0021】
芯材2は、本実施形態では、図2図3に示されるように、芯材2の延在方向Lの両端のそれぞれが拘束材3の延在方向Lの両側のそれぞれから突出するように、拘束材3に取り付けられる。拘束材3の両側から突出する芯材2の延在方向Lの両端のそれぞれが、図示しない架構に離間して設けられた2つの構成部材(たとえば、柱や梁)のそれぞれに直接または間接的に接続される。ただし、芯材2は、2つの構成部材の間に延在方向Lに沿って接続することができれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば拘束材3の延在方向Lの両端の内側に収まるように拘束材3に取り付けられていてもよい。
【0022】
芯材2は、拘束材3に対して少なくとも延在方向Lに沿って芯材2の少なくとも一部の相対移動が許容されるように、拘束材3に取り付けられる。芯材2は、拘束材3に対する延在方向Lの相対移動が許容されることで、延在方向Lに所定以上の圧縮応力を受けたときに、拘束材3により座屈拘束されながら延在方向Lに塑性変形することができる。また、芯材2は、延在方向Lに所定以下の引張応力または圧縮応力を受けたときに、拘束材3により座屈拘束されながら延在方向Lに弾性変形することができる。芯材2は、その少なくとも一部が延在方向Lに相対移動可能であれば、拘束材3への取り付け方法は特に限定されない。たとえば、以下で詳しく述べる拘束材3の芯材2への取り付けに際して、拘束材3から芯材2への押圧力を調節することにより、拘束材3に対して芯材2を相対移動可能にしてもよい。
【0023】
本実施形態では、図1および図4図6に示されるように、芯材2と拘束材3の後述する弱軸拘束材31との間には、芯材2の延在方向Lの略中央部分において芯材2と弱軸拘束材31とを互いに粘着する自己粘着剤5が設けられる。また、芯材2と拘束材3の後述する弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間には、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側の部分において芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間に生じる摩擦力を軽減するアンボンド材6が設けられる。このように芯材2の延在方向Lの略中央部分に自己粘着剤5が設けられることで、芯材2の略中央部分の相対移動が抑制され、拘束材3(特に弱軸拘束材31)に対する芯材2の全体的な位置がほぼ固定される。拘束材3は、拘束対象である芯材2の全体的な位置がほぼ固定されることで、芯材2をより確実に座屈拘束することができる。また、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側部分にアンボンド材6が設けられることで、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側部分において、芯材2の拘束材3(弱軸拘束材31および強軸拘束材32)に対する相対移動が許容される。芯材2は、拘束材3に対する相対移動が許容されることで、上述した塑性変形や弾性変形が可能となる。また、拘束材3は、アンボンド材6により芯材2と拘束材3との間に生じる摩擦力が軽減されることで、芯材2から延在方向Lの力(軸力)を受けることが抑制される。これにより、拘束材3は、芯材2から受ける力を少なくとも抑制された芯材2の軸力の分だけ軽減することができるので、芯材2の座屈拘束のための耐力を確保することができる。したがって、本実施形態の座屈拘束構造材1は、優れた座屈拘束性を有する。
【0024】
ここで、自己粘着剤5が設けられる略中央部分とは、芯材2の延在方向Lの両方の端部の間にある所定長さの領域を意味する。本実施形態では、図1に示されるように、略中央部分は、芯材2の延在方向Lの略中心の両側に、延在方向Lに沿って所定長さだけ延びる領域に設定される。略中央部分が芯材2の延在方向Lの略中心を中心として配置されることで、略中央部分の延在方向Lの両側における芯材2の相対移動を延在方向Lで対称とすることができ、架構に生じる振動エネルギーを延在方向Lで対称に吸収できる。ただし、略中央部分は、芯材2の延在方向Lの両方の端部の間にあれば、本実施形態に限定されることはなく、芯材2の延在方向Lの略中心からずれた位置に設定されてもよい。
【0025】
自己粘着剤5およびアンボンド材6のそれぞれの設けられる部分の大きさは、芯材2の略中央部分の相対移動を抑制しつつ、芯材2の略中央部分以外の部分の相対移動を許容し、拘束材3が芯材2から受ける軸力を抑制することができる範囲で適宜設定することができる。たとえば、自己粘着剤5が設けられる略中央部分の延在方向Lの長さは、特に限定されることはないが、芯材2の後述する狭幅部22の延在方向Lの全体長さの1/13~1/5が好ましく、1/11~1/7がより好ましく、1/10~1/8がよりさらに好ましい。アンボンド材6が設けられる部分の延在方向Lの長さは、特に限定されることはないが、自己粘着剤5が設けられる略中央領域の両側の部分に対応する長さとすることができる。
【0026】
自己粘着剤5は、図1および図5に示されるように、芯材2の延在方向Lの略中央部分において、後述する一対の弱軸拘束材31、31のそれぞれに面する両側に、芯材2の幅方向(強軸方向S)の略全長に亘って設けられる。自己粘着剤5としては、芯材2および拘束材3(特に弱軸拘束材31)を互いに粘着させることができ、拘束材3(特に弱軸拘束材31)に対する芯材2の延在方向Lの相対移動を抑制することができる材料であれば、特に限定されることはなく、たとえばアクリル系粘着剤やブチルゴムを用いることができる。
【0027】
アンボンド材6は、図1に示されるように、一対の弱軸拘束材31、31のそれぞれに面する側に設けられる弱軸アンボンド材61と、後述する一対の強軸拘束材32、32のそれぞれに面する側に設けられる強軸アンボンド材62とを備えている。弱軸アンボンド材61は、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側の部分において、一対の弱軸拘束材31、31のそれぞれに面する両側に設けられる。強軸アンボンド材62は、一対の強軸拘束材32、32のそれぞれに対応する位置に設けられる。アンボンド材6としては、芯材2と拘束材3との間に生じる摩擦力を軽減することができ、拘束材3に対する芯材2の延在方向Lの相対移動を許容することができる材料であれば、特に限定されることはなく、たとえばテフロン(登録商標)、フェノール系樹脂、超高分子量ポリエチレンなどを用いることができる。
【0028】
芯材2は、延在方向Lに沿って延び、弱軸方向Wおよび強軸方向Sを有していればよく、その形状は特に限定されることはない。本実施形態では、芯材2は、図1および図2に示されるように、延在方向Lの両端側に設けられた広幅部21、21と、延在方向Lの両端側の広幅部21、21の間に設けられた狭幅部22とを備えている。広幅部21は、狭幅部22よりも幅(強軸方向Sの長さ)が広く、狭幅部22は、広幅部21よりも幅(強軸方向Sの長さ)が狭い。このように延在方向Lの両端側に広幅部21が形成されることで、狭幅部22が形成された中間領域と比べて両端側の強度が大きくなり、芯材2の両端側が優先的に変形するのを抑制することができる。また、延在方向Lの中間領域において狭幅部22が形成されることで、芯材2の延在方向Lに所定以上の引張応力または圧縮応力を受けたときに、芯材2の中間領域が優先的に変形する。広幅部21および狭幅部22のそれぞれの幅は、少なくとも広幅部21の幅が狭幅部22の幅よりも広ければ、特に限定されることはなく、要求される強度に応じて適宜設定することができる。たとえば、広幅部21の幅は、狭幅部22の幅の3.0~4.0倍に設定することができる。また、広幅部21および狭幅部22のそれぞれの延在方向Lの長さもまた、特に限定されることはなく、要求される強度に応じて適宜設定することができる。たとえば、広幅部21の延在方向Lの長さは、狭幅部22の延在方向Lの長さの1/6~1/3に設定することができる。
【0029】
芯材2は、図1図3に示されるように、延在方向Lの両端側において弱軸方向Wに延びるリブ23を備えていてもよい。芯材2の延在方向Lの両端側に弱軸方向Wに延びるリブ23を設けることで、芯材2の両端側での弱軸方向Wの曲げ剛性が大きくなり、芯材2の両端側が優先的に変形するのを抑制することができる。
【0030】
芯材2は、たとえば、芯材2の延在方向Lに所定以上の引張応力または圧縮応力を受けたときに、同じ応力を受けた他の部材よりも優先的に降伏し、芯材2の延在方向Lに所定以下の引張応力または圧縮応力を受けたときに、弾性変形範囲内で形状を維持するように構成することができる。その目的のために、芯材2は、たとえば金属材料により、好ましくは鋼材により、さらに好ましくは低降伏点鋼材により形成することができる。低降伏点鋼材とは、普通鋼材と比べて、炭素含有量が少なく、降伏点が低い鋼材のことであり、たとえば、降伏点225N/mm2以下の強度で、延性が極めて高い鋼材のことを指している。ただし、芯材2は、上記目的のために、座屈拘束構造材1の他の構成部材や接続される架構の構成部材よりも優先的に降伏する材料により形成されていれば、特に限定されることはなく、低降伏点鋼材よりも高い降伏点を有する普通鋼材などによって形成されてもよいし、低降伏点鋼材よりも低い降伏点を有するアルミニウムや鉛などによって形成されてもよい。
【0031】
拘束材3は、延在方向Lに対して略垂直方向に芯材2が座屈するのを拘束(抑制)する部材である。より具体的には、拘束材3は、延在方向Lに略直交する弱軸方向Wおよび強軸方向Sへの芯材2の座屈を拘束する。拘束材3は、弱軸方向Wおよび強軸方向Sへの芯材2の座屈を拘束することで、芯材2が延在方向Lに所定以上の引張応力または圧縮応力を受けたときに、芯材2の延在方向Lに沿った安定的な塑性変形を可能にし、比較的大きな振動エネルギーを芯材2が吸収するのを可能にする。また、拘束材3は、弱軸方向Wおよび強軸方向Sへの芯材2の座屈を拘束することで、芯材2が延在方向Lに所定以下の引張応力または圧縮応力を受けたときに、芯材2の延在方向Lの強度を維持し、架構から受ける外力に芯材2が抵抗するのを補助する。
【0032】
拘束材3は、図1図3に示されるように、芯材2の弱軸方向Wの両側に設けられる一対の弱軸拘束材31、31と、芯材2の強軸方向Sの両側に設けられる一対の強軸拘束材32、32とを備える。一対の弱軸拘束材31、31は、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持し、一対の強軸拘束材32、32は、芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持する。これにより、芯材2の弱軸方向Wの両側で弱軸拘束材31との間に隙間が形成されず、芯材2の強軸方向Sの両側で強軸拘束材32との間に隙間が形成されない。このように芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間に隙間が形成されず、芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32とが直接または間接的に接触した状態で芯材2に弱軸拘束材31および強軸拘束材32が取り付けられることで、芯材2に延在方向Lの外力が加わったときに芯材2から弱軸拘束材31および強軸拘束材32にはらみ出す力が軽減される。したがって、芯材2の座屈を拘束するために弱軸拘束材31および強軸拘束材32が負担する力が軽減されるので、強度の低い木製の拘束材であっても優れた座屈拘束性を得ることができる。また、たとえば、芯材2が延在方向Lに引張応力を受けて芯材2の延在方向Lの長さが長くなる場合、同時に芯材2の弱軸方向Wおよび強軸方向Sの長さが短くなる。このような場合でも、芯材2の変形前から芯材2を押圧した状態の弱軸拘束材31および強軸拘束材32が、芯材2の変形に追従して移動または変形することで、芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間の直接的または間接的な接触が維持される。したがって、芯材2が延在方向Lに引張応力を受けて変形して、芯材2の弱軸方向Wおよび強軸方向Sの長さが短くなったとしても、芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間の接触が維持されることで、芯材2のはらみ出す力の増大が抑えられて、優れた座屈拘束性を得ることができる。
【0033】
弱軸拘束材31は、上述したように、芯材2の弱軸方向Wの両側に設けられ、芯材2の弱軸方向Wの座屈を拘束する部材である。弱軸拘束材31は、芯材2の弱軸方向Wの反対側に対向して配置された弱軸拘束材31に固定されることで、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持する。一対の弱軸拘束材31、31は、本実施形態では、図4に示されるように、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持するように、弱軸方向Wに延在するコーススレッドビスB1により互いに対して固定される。コーススレッドビスB1は、外周にらせん状のネジ溝を有しており、一方の弱軸拘束材31(後述のビス用孔31c)を貫通し、他方の弱軸拘束材31に捻じ込まれることにより、一対の弱軸拘束材31、31を互いに近づく方向に引き寄せる。コーススレッドビスB1は、ボルトおよびナットの組み合わせによる固定に比べて、一対の弱軸拘束材31、31の互いに対する引き寄せ力が大きく、また弱軸拘束材31に対する固着力が経時的に劣化しにくい。したがって、コーススレッドビスB1を用いて一対の弱軸拘束材31、31を互いに対して固定することで、芯材2に対する高い押圧力を得ることができるとともに、その押圧力を長期間に亘って保持することができる。また、一対の弱軸拘束材31、31の固定用にコーススレッドビスB1を用いることで、(ボルトを使用する際に必要な)弱軸拘束材31に予め設ける孔の数を減らせるので、弱軸拘束材31の強度を高く保つことができる。コーススレッドビスB1としては、工具穴などを有する頭部から先端までの間の中間位置(たとえば全体長さの略半分の長さの位置)から頭部近傍まではネジ溝が設けられておらず、中間位置から先端までにネジ溝が設けられたパーシャルスレッドビス(半ネジ)を用いることが好ましい。弱軸拘束材31の強度を高く保つことで、優れた座屈拘束性を得ることができる。なお、一対の弱軸拘束材31、31は、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持するように互いに対して固定することができれば、本実施形態に限定されることはなく、他の公知の固定手段を用いて固定されてもよい。
【0034】
弱軸拘束材31は、少なくとも芯材2の弱軸方向Wの両側に設けられて、芯材2の弱軸方向Wの座屈を拘束することができればよく、その配置は特に限定されない。本実施形態では、一対の弱軸拘束材31、31は、図1図3に示されるように、芯材2および一対の強軸拘束材32、32の両方の弱軸方向Wの両側に設けられる。言い換えると、一対の弱軸拘束材31、31の間に、芯材2および一対の強軸拘束材32、32の両方が設けられる。このとき、一対の弱軸拘束材31、31の間に芯材2とともに設けられる強軸拘束材32は、設けられる前の状態において、図5および図7に示されるように、強軸拘束材32の厚さ(弱軸方向Wの長さ)が芯材2の厚さ(弱軸方向Wの長さ)よりも短くなるような大きさに形成されることが好ましい。これにより、芯材2および一対の強軸拘束材32、32を一対の弱軸拘束材31、31により弱軸方向Wで挟み込んだ際に、一対の弱軸拘束材31、31と芯材2との間には隙間が生じないが、一対の弱軸拘束材31、31と一対の強軸拘束材32、32との間には隙間G1が生じる。この隙間G1が生じることで、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持するために、一対の弱軸拘束材31、31を弱軸方向Wで互いに近づくように互いに対して固定する際に、一対の弱軸拘束材31、31の互いに近づく動きを一対の強軸拘束材32、32が阻害するのが抑制される。したがって、一対の弱軸拘束材31、31の芯材2への押圧力を高めることができる。さらに、後述するように強軸拘束材32が強軸方向Sに圧縮される場合には、強軸拘束材32は弱軸方向Wに膨らむ可能性があるが、弱軸拘束材31との間に隙間G1があることで、強軸拘束材32の弱軸方向Wへの膨らみが許容されて、強軸方向Sへの圧縮が促進される。隙間G1は、一対の弱軸拘束材31、31同士が固定される際に、一対の弱軸拘束材31、31の変形によって消滅してもよい。あるいは、隙間G1は、後述するように一対の側板4、4が一対の弱軸拘束材31、31に固定される際に、一対の強軸拘束材32、32の変形によって消滅してもよい。隙間G1の大きさ(弱軸方向Wの長さ)は、特に限定されないが、たとえば強軸拘束材32の厚さ(弱軸方向Wの長さ)が芯材2の厚さ(弱軸方向Wの長さ)の80%以上、100%未満になるように設定することができる。
【0035】
弱軸拘束材31は、芯材2の弱軸方向Wの両側に設けられて、芯材2の弱軸方向Wの座屈を拘束することができればよく、その形状は特に限定されない。弱軸拘束材31は、本実施形態では、図1図3に示されるように、全体として、延在方向Lに対して垂直な断面が、弱軸方向Wに延びる辺と強軸方向Sに延びる辺とにより形成される略矩形で、延在方向Lに沿って断面積が略一定になるように延びる略直方体形状に形成されている。図2および図3においてよく見ることができるように、弱軸拘束材31の延在方向Lの長さは、芯材2の狭幅部22の延在方向Lの長さよりも長く、芯材2の全体の延在方向Lの長さよりも短い。これにより、芯材2の広幅部21の延在方向Lの自由端側の一部が一対の弱軸拘束材31、31の延在方向Lの端部から突出し、芯材2の広幅部21の延在方向Lの狭幅部22側の一部と狭幅部22の延在方向Lの全体とが、一対の弱軸拘束材31、31の間に挟持される。また、図2においてよく見ることができるように、弱軸拘束材31の強軸方向Sの長さは、延在方向Lの全長に亘って略一定で、芯材2の狭幅部22の強軸方向Sの長さよりも長く、芯材2の広幅部21の強軸方向Sの長さに対応する。これにより、芯材2の広幅部21の延在方向Lにおける狭幅部22側の一部の強軸方向Sの全体と、狭幅部22の強軸方向Sの全体とが、一対の弱軸拘束材31、31の間に挟持される。
【0036】
弱軸拘束材31は、図1に示されるように、芯材2に対向する面が略平坦に形成され、板状に形成された芯材2の板表面と直接または間接的に面接触する。弱軸拘束材31の芯材2に対向する面側には、延在方向Lの両端側に芯材2のリブ23を収容可能なリブ用凹部31a、31aが設けられている。リブ用凹部31aは、図2および図6に示されるように、芯材2が弱軸拘束材31に取り付けられた際に、リブ用凹部31aを囲む周壁とリブ23との間に隙間G2が形成される大きさに形成される。これにより、リブ23の、リブ用凹部31aの周壁への当接が抑制され、芯材2の弱軸拘束材31に対する相対移動をリブ23が阻害することが抑制される。
【0037】
弱軸拘束材31は、図1に示されるように、強軸方向Sの両側の側面に、後述する側板4を固定するための側板用凹部31bが設けられている。側板用凹部31bは、側板4の厚さ(強軸方向Sの長さ)に対応する深さに形成される。これにより、側板用凹部31bに側板4が固定されると、弱軸拘束材31の側板用凹部31b以外の側面と側板4の表面とが略面一となる。また、側板用凹部31bの延在方向Lの長さは、側板4の幅(延在方向Lの長さ)に対応する。これにより、側板用凹部31bに側板4が固定されると、側板4の弱軸拘束材31に対する延在方向Lの相対移動が抑制される。また、側板用凹部31bは、弱軸拘束材31の弱軸方向Wの長さの全体長さに亘って延びている。これにより、一対の弱軸拘束材31、31の側板用凹部31、31bの両方に跨るように側板4を固定することができる(図3参照)。側板用凹部31bは、設けられる側板4の数に応じて、延在方向Lに沿って間隔を空けて複数設けられている。ただし、たとえば側板が、弱軸拘束材31の延在方向Lに延びる1つの部材として形成されている場合には、側板用凹部は、その側板に対応するように1つだけ設けられていてもよい。また、側板用凹部31bは、必ずしも設けられる必要はなく、弱軸拘束材31の略平坦な側面に側板4が固定されてもよい。その場合、側板4が固定された弱軸拘束材31の側面が略平坦になるように、側板4が固定された部分以外の部分に補完部材が固定されてもよい。
【0038】
弱軸拘束材31は、図1に示されるように、コーススレッドビスB1が貫通可能なビス用孔31cが設けられている。ビス用孔31cは、芯材2の狭幅部22に対応する延在方向Lの位置で、芯材2の狭幅部22と弱軸方向Wで重ならない、弱軸拘束材31の強軸方向Sの一方側の端部近傍と他方側の端部近傍とに設けられている。ビス用孔31cが、芯材2の狭幅部22の強軸方向Sの外側に対応する位置に設けられることで、コーススレッドビスB1で一対の弱軸拘束材31、31を固定する際に、コーススレッドビスB1を、芯材2を貫通することなく、芯材2から離間して設けることができる。ビス用孔31cは、一対の弱軸拘束材31、31のうちの一方と他方とで延在方向Lで交互になるように、延在方向Lに間隔を空けて複数設けられている。これにより、図2および図3に示されるように、延在方向Lおよび強軸方向Sで隣り合うコーススレッドビスB1の固定する向きを逆にすることができ、一対の弱軸拘束材31、31をバランスよく固定することができる。
【0039】
弱軸拘束材31は、木材により形成される。用いられる木材は、芯材2の弱軸方向Wの座屈を拘束できる強度を有するように弱軸拘束材31を形成することができれば、特に限定されない。本実施形態では、弱軸拘束材31は、図1に示されるように、強軸方向Sに複数の板材が積み重ねられた単板積層材(LVL)により形成されている。なお、他の図では、見やすさのために、板材の積み重ねの図示が省略されている。木材としては、LVL以外にも、たとえば、集成材、直交集成材(CLT)、無垢材などを用いることができる。
【0040】
強軸拘束材32は、芯材2の強軸方向Sの両側に設けられ、芯材2の強軸方向Sの座屈を拘束する部材である。強軸拘束材32は、芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持するように、芯材2に取り付けられる。強軸拘束材32の芯材2への取り付け方法は、芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持するように芯材2に取り付けることができればよく、特に限定されない。本実施形態では、一対の強軸拘束材32、32は、図1図3に示されるように、弱軸拘束材31の強軸方向Sの両側の側面に固定される一対の側板4、4(後述の強軸拘束材用側板41、41)により、芯材2に取り付けられる。一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)は、図4に示されるように、芯材2との間で一対の強軸拘束材32、32を強軸方向Sで圧縮するように、一対の弱軸拘束材31、31に固定される。強軸方向Sに圧縮された一対の強軸拘束材32、32は、圧縮に対する反発力により、芯材2を押圧するように挟持する。
【0041】
強軸拘束材32は、芯材2の強軸方向Sの両側に設けられ、芯材2を強軸方向Sの座屈を拘束することができれば、その形状は特に限定されない。本実施形態では、強軸拘束材32は、図1に示されるように、延在方向Lに延びる辺と強軸方向Sに延びる辺とにより形成される略矩形の平板状に形成される。一対の強軸拘束材32、32は、図7に示されるように、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)が一対の弱軸拘束材31、31に固定される前の状態で、芯材2および一対の強軸拘束材32、32の強軸方向Sの長さの和が弱軸拘束材31の強軸方向Sの長さよりも長くなるような大きさに形成される。したがって、一対の強軸拘束材32、32は、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)が一対の弱軸拘束材31、31に固定されていない状態で、一対の弱軸拘束材31、31の強軸方向Sの側面(側板用凹部31bの底面)から強軸方向Sの外側に突出する。一対の強軸拘束材32、32が一対の弱軸拘束材31、31の側面から突出した状態(図7の状態)から、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)を一対の弱軸拘束材31、31に固定することで(図5の状態)、一対の強軸拘束材32、32が芯材2と一対の側板4、4との間で押圧されて、強軸方向Sに圧縮される。圧縮された一対の強軸拘束材32、32は、圧縮に対する反発力により、芯材2を押圧するように挟持する。一対の強軸拘束材32、32の突出部分は、一対の側板4、4が一対の弱軸拘束材31、31に固定される際に、一対の強軸拘束材32、32の変形によって消滅してもよい。一対の強軸拘束材32、32の突出部分の大きさ(強軸方向Sの長さ)は、特に限定されないが、たとえば側板用凹部31bの深さ(強軸方向Sの長さ)よりも小さい大きさ(短い長さ)に設定することができ、また、たとえば芯材2および一対の強軸拘束材32、32の強軸方向Sの長さの和が弱軸拘束材31の強軸方向Sの長さの100%超過、105%以下になるように設定することができる。
【0042】
一対の強軸拘束材32、32は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、芯材2の狭幅部22の延在方向Lの略全長に亘って、間隔を空けて複数(図示された例では11個)設けられている。複数の強軸拘束材32が延在方向Lに沿って互いに間隔を空けて配置されることで、強軸拘束材32が設けられていない場所において、強軸拘束材32を加工することなく(たとえば貫通孔を設けることなく)、一対の弱軸拘束材31、31を互いに固定するための固定手段(コーススレッドビスB1)を設けることができる(図2および図4参照)。また、強軸拘束材32が設けられていない場所では、一対の弱軸拘束材31、31が互いに近づく移動が制限されないので、強軸拘束材32による制限を受けることなく一対の弱軸拘束材31、31を互いに近づく方向に移動して、芯材2に十分な押圧力を付与することができる。強軸拘束材32の数は、特に限定されることはないが、1個の強軸拘束材32の大きさを小さくして、強軸拘束材32の数を増やして強軸拘束材32同士の間の間隔の数を増やすことで、芯材2との間に生じる摩擦力を小さくするという観点から、3個以上が好ましく、6個以上がさらに好ましく、9個以上がよりさらに好ましい。それにより、強軸拘束材32は、芯材2から延在方向Lの軸力を受けることが抑制されるので、座屈拘束構造材1は、より優れた座屈拘束性を得ることができる。また、強軸拘束材32の数は、強軸拘束材32の取り付け易さの観点から、19個以下が好ましく、16個以下がさらに好ましく、13個以下がよりさらに好ましい。ただし、一対の強軸拘束材32、32のそれぞれは、芯材2の強軸方向Sの両側に設けられていれば、上記例に限定されることはなく、狭幅部22の延在方向Lの略全長に亘って延びるように1つの部材として設けられていても構わない。
【0043】
強軸拘束材32は、木材により形成される。用いられる木材は、強軸拘束材32が芯材2の強軸方向Sの座屈を拘束できる強度を有するように形成することができれば、特に限定されない。強軸拘束材32を構成する木材としては、特に限定されることはなく、たとえば無垢材、集成材、LVL、CLTなどを用いることができる。
【0044】
上述したように、座屈拘束構造材1は、図1および図2に示されるように、弱軸拘束材31の強軸方向Sの両側の側面に固定される一対の側板4、4を備えていてもよい。側板4は、弱軸拘束材31の強軸方向Sの両側の側面において、一対の弱軸拘束材31、31の両方に跨るようにして固定される部材である。本実施形態では、側板4は、芯材2を押圧するように強軸拘束材32を芯材2に取り付けるための強軸拘束材用側板41と、一対の弱軸拘束材31、31の延在方向Lの端部同士を互いに固定するための弱軸拘束材用側板42とを備えている。
【0045】
強軸拘束材用側板41は、図1図3および図5に示されるように、一対の強軸拘束材32、32が芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持するように、一対の弱軸拘束材31、31の強軸方向Sの両側の側面に固定される。本実施形態では、強軸拘束材用側板41は、平板状に形成され、一対の弱軸拘束材31、31の略面一に並べられた強軸方向Sの側面に固定される(図5参照)。ここで、上述したように、一対の強軸拘束材32、32は、強軸拘束材用側板41が一対の弱軸拘束材31、31の側面に固定される前に、一対の弱軸拘束材31、31の側面から突出している(図7参照)。一対の強軸拘束材用側板41、41は、一対の弱軸拘束材31、31の側面に固定される際に、一対の強軸拘束材32、32のそれぞれの端部が一対の弱軸拘束材31、31の側面と略面一となるように、一対の強軸拘束材32、32を芯材2側に押圧する。これにより、芯材2は、一対の強軸拘束材32、32により、強軸方向Sの両側から押圧されて挟持される。ただし、強軸拘束材用側板は、芯材に向かって強軸拘束材を押圧するように構成されていればよく、たとえば平板状ではなく強軸拘束材側に突出した部分を有するように形成され、弱軸拘束材に固定される際に、突出した部分が強軸拘束材を押圧するように構成されていても構わない。
【0046】
強軸拘束材用側板41の弱軸拘束材31への固定は、特に限定されないが、図2図3および図5に示されるように、固定用ネジB2により行なうことができる。固定用ネジB2は、外周にらせん状のネジ溝を有しており、強軸拘束材用側板41に設けられたネジ用孔41aを通って、弱軸拘束材31に捻じ込まれることにより、強軸拘束材用側板41を弱軸拘束材31に固定する。強軸拘束材用側板41の弱軸拘束材31への固定のために固定用ネジB2を用いることで、弱軸拘束材31に予め孔を設ける必要がないので、弱軸拘束材31の強度を高く保つことができる。座屈拘束構造材1は、弱軸拘束材31の強度を高く保つことで、優れた座屈拘束性を得ることができる。固定用ネジB2としては、特に限定されることはなく、タッピンネジなどの公知のネジを用いることができる。
【0047】
強軸拘束材用側板41は、本実施形態では、図3および図5に示されるように、一方の弱軸拘束材31に対して1つの固定用ネジB2で固定され、他方の弱軸拘束材31に対して1つの固定用ネジB2で固定される。なお、強軸拘束材用側板41は、芯材2を強軸方向Sで強軸拘束材32を押圧して挟持するように弱軸拘束材31に固定されれば、本実施形態に限定されることはなく、他の公知の固定手段を用いて固定されてもよい。
【0048】
強軸拘束材用側板41は、一対の強軸拘束材32、32が芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持するように一対の強軸拘束材32、32を芯材2に取り付ける強度を有していれば、その構成材料は特に限定されない。強軸拘束材用側板41は、たとえば木材により形成することができる。用いられる木材としては、特に限定されることはなく、たとえば無垢材、集成材、LVL、CLTなどが例示される。
【0049】
弱軸拘束材用側板42は、図1図3および図6に示されるように、一対の弱軸拘束材31、31の延在方向Lの端部が芯材2の広幅部21を弱軸方向Wで挟持するように、一対の弱軸拘束材31、31の端部の強軸方向Sの両側に固定される。本実施形態では、弱軸拘束材用側板42は、平板状に形成され、一対の弱軸拘束材31、31の略面一に並べられた強軸方向Sの側面に固定される(図6参照)。弱軸拘束材用側板42の弱軸拘束材31への固定は、特に限定されないが、固定用ネジB2により行なうことができる。固定用ネジB2は、外周にらせん状のネジ溝を有しており、弱軸拘束材用側板42に設けられたネジ用孔42aを通って、弱軸拘束材31に捻じ込まれることにより、弱軸拘束材用側板42を弱軸拘束材31に固定する。弱軸拘束材用側板42の弱軸拘束材31への固定のために固定用ネジB2を用いることで、弱軸拘束材31に予め孔を設ける必要がないので、弱軸拘束材31の強度を高く保つことができる。座屈拘束構造材1は、弱軸拘束材31の強度を高く保つことで、優れた座屈拘束性を得ることができる。
【0050】
ここで、上述したように、弱軸拘束材31の幅(強軸方向Sの長さ)は、芯材2の広幅部21の幅(強軸方向Sの長さ)に対応している。したがって、一対の弱軸拘束材31、31の延在方向Lの両端側では、弱軸拘束材31、31同士を固定するためのコーススレッドビスB1を設けることができない。弱軸拘束材31、31の端部の固定が十分でないと、芯材2が端部において局部的に座屈する可能性が高くなる。本実施形態では、図6に示されるように、一対の弱軸拘束材31、31は、芯材2の広幅部21に対応する位置において、一対の弱軸拘束材31、31の強軸方向Sの両側の側面に一対の側板4、4(弱軸拘束材用側板42、42)が固定用ネジB2で(任意で接着剤Aを併用して)固定されることで、互いに対して固定される。特に、弱軸拘束材用側板42は、芯材2の狭幅部22に対応する位置に設けられる強軸拘束材用側板41よりも多い数(一方の弱軸拘束材31に対して2つ、および他方の弱軸拘束材31に対して2つ)の固定用ネジB2で(任意で接着剤Aを併用して)固定される。これにより、一対の弱軸拘束材31、31は、芯材2の広幅部21に対応する位置において、互いに対して強固に固定することができる。そして、一対の側板4、4を固定用ネジB2で(任意で接着剤Aを併用して)固定することのみで一対の弱軸拘束材31、31を互いに固定することで、芯材2の広幅部21に対応する位置において、コーススレッドビスB1を設ける位置を確保するために弱軸拘束材31の幅(強軸方向Sの長さ)を大きくする必要がないので、座屈拘束構造材1を小型化することができる。任意で併用される接着剤Aとしては、特に限定されることはなく、エポキシ樹脂などの公知の接着剤を用いることができる。
【0051】
弱軸拘束材用側板42は、一対の弱軸拘束材31、31が芯材2を弱軸方向Wで挟持するように一対の弱軸拘束材31、31を芯材2に取り付ける強度を有していれば、その構成材料は特に限定されない。弱軸拘束材用側板42は、たとえば木材により形成することができる。用いられる木材としては、特に限定されることはなく、たとえば無垢材、集成材、LVL、CLTなどが例示される。
【0052】
つぎに、本実施形態の座屈拘束構造材1の製造方法について説明する。以下では、製造方法で実施するいくつかの工程を説明するが、必ずしもすべての工程が実施されなくてもよいし、実施される工程の順序も、以下の説明の順序に限定されることはない。また、以下の示す工程は一例であり、本実施形態の座屈拘束構造材1の製造方法は、以下の例に限定されることはない。
【0053】
座屈拘束構造材1の製造方法は、図1図3に示されるように、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持するように芯材2の弱軸方向Wの両側に一対の弱軸拘束材31、31を設ける工程と、芯材2を強軸方向Sで押圧して挟持するように芯材2の強軸方向Sの両側に一対の強軸拘束材32、32を設ける工程とを含んでいる。これらの工程により製造された座屈拘束構造材1では、上述したように、芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間に隙間が形成されず、芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32とが直接または間接的に接触した状態となり、芯材2に延在方向Lの外力が加わったときに芯材2から弱軸拘束材31および強軸拘束材32にはらみ出す力が軽減される。したがって、芯材2の座屈を拘束するために弱軸拘束材31および強軸拘束材32が負担する力が軽減されるので、強度の低い木製の拘束材であっても優れた座屈拘束性を得ることができる。
【0054】
座屈拘束構造材1の製造方法は、図1図4図6に示されるように、芯材2の延在方向Lの略中央部分において芯材2と拘束材3の弱軸拘束材31とを互いに粘着する自己粘着剤5を芯材2と弱軸拘束材31との間に設ける工程と、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側の部分において芯材2と拘束材3の弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間に生じる摩擦力を軽減するアンボンド材6を芯材2と弱軸拘束材31および強軸拘束材32との間に設ける工程とを含んでいてもよい。このように芯材2の延在方向Lの略中央部分に自己粘着剤5を設けることで、芯材2の略中央部分の相対移動が抑制され、拘束材3(特に弱軸拘束材31)に対する芯材2の全体的な位置がほぼ固定される。また、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側部分にアンボンド材6を設けることで、芯材2の延在方向Lの略中央部分の両側部分において、芯材2の拘束材3に対する相対移動が可能になる。ただし、たとえば弱軸拘束材31および強軸拘束材32を設ける際に、弱軸拘束材31および強軸拘束材32から芯材2への押圧力を調節することにより、自己粘着剤5およびアンボンド材6を設けることなく、芯材2の一部の相対移動を抑制し、芯材2の他の部分の相対移動を可能にしてもよい。
【0055】
一対の弱軸拘束材31、31を設ける工程は、図3および図4に示されるように、芯材2を弱軸方向Wで押圧して挟持するように、弱軸方向Wに延在するコーススレッドビスB1により一対の弱軸拘束材31、31を互いに対して固定する工程を含んでいてもよい。この工程では、コーススレッドビスB1を、一方の弱軸拘束材31のビス用孔31cを通して、他方の弱軸拘束材31に捻じ込む。コーススレッドビスB1を用いて一対の弱軸拘束材31、31を互いに対して固定することで、上述したように、芯材2に対する高い押圧力を得ることができるとともに、その押圧力を長期間に亘って保持することができる。ただし、一対の弱軸拘束材31、31は、他の公知の固定手段を用いて互いに対して固定してもよい。
【0056】
一対の弱軸拘束材31、31を設ける工程は、図2および図5に示されるように、一対の弱軸拘束材31、31を、芯材2および一対の強軸拘束材32、32の両方の弱軸方向Wの両側に設ける工程を含んでいてもよい。このとき、強軸拘束材32は、設けられる前の状態において、強軸拘束材32の弱軸方向Wの長さが芯材2の弱軸方向Wの長さよりも短くなるような大きさに形成されていることが好ましい。これにより、上述したように、一対の弱軸拘束材31、31を互いに対して固定する際に、一対の弱軸拘束材31、31の互いに近づく動きを一対の強軸拘束材32、32が阻害するのが抑制されるので、一対の弱軸拘束材31、31の芯材2への押圧力を高めることができる。
【0057】
一対の強軸拘束材32、32を設ける工程は、図5に示されるように、芯材2との間で一対の強軸拘束材32、32を強軸方向Sで圧縮するように、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)を弱軸拘束材31の強軸方向Sの両側の側面に固定する工程を含んでいてもよい。強軸方向Sに圧縮された一対の強軸拘束材32、32は、圧縮に対する反発力により、芯材2を押圧するように挟持する。一対の強軸拘束材32、32を強軸方向Sで圧縮するように設けるために、たとえば、一対の強軸拘束材32、32が、図7に示されるように、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)が一対の弱軸拘束材31、31に固定される前の状態で、芯材2および一対の強軸拘束材32、32の強軸方向Sの長さの和が弱軸拘束材31の強軸方向Sの長さよりも長くなるような大きさに形成される。この場合、一対の強軸拘束材32、32は、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)が一対の弱軸拘束材31、31に固定されていない状態で、一対の弱軸拘束材31、31の強軸方向Sの側面(側板用凹部31bの底面)から強軸方向Sの外側に突出する。一対の強軸拘束材32、32が一対の弱軸拘束材31、31の側面から突出した状態(図7の状態)から、一対の側板4、4(強軸拘束材用側板41、41)を一対の弱軸拘束材31、31に固定することで(図5の状態)、一対の強軸拘束材32、32が芯材2と一対の側板4、4との間で押圧されて、強軸方向Sに圧縮される。
【0058】
本実施形態では、上述したように、芯材2は、図1および図2に示されるように、延在方向Lの両端側に設けられた広幅部21、21と、延在方向Lの両端側の広幅部21、21の間に設けられた狭幅部22とを備えている。そして、弱軸拘束材31の幅(強軸方向Sの長さ)は、芯材2の広幅部21の幅(強軸方向Sの長さ)に対応している。したがって、一対の弱軸拘束材31、31の延在方向Lの両端側では、弱軸拘束材31、31同士を固定するためのコーススレッドビスB1を設けることができない。弱軸拘束材31、31の端部の固定が十分でないと、芯材2が端部において局部的に座屈する可能性が高くなる。したがって、図6に示されるように、一対の弱軸拘束材31、31を設ける工程は、芯材2の広幅部21に対応する位置において、一対の弱軸拘束材31、31の強軸方向Sの両側の側面に一対の側板4、4(弱軸拘束材用側板42、42)を固定用ネジB2で(任意で接着剤Aを併用して)固定することで、一対の弱軸拘束材31、31を互いに対して固定する工程を含んでいてもよい。これにより、芯材2の広幅部21の座屈をより強固に拘束することができる。
【0059】
一対の強軸拘束材32、32を設ける工程は、図1および図2に示されるように、狭幅部22の延在方向Lの略全長に亘って一対の強軸拘束材32、32を設ける工程を含んでいてもよい。図示された例では、一対の強軸拘束材32、32は、芯材2の狭幅部22の延在方向Lの略全長に亘って、間隔を空けて複数(図示された例では11)設けられる。複数の強軸拘束材32が延在方向Lに沿って互いに間隔を空けて配置されることで、上述したように、一対の弱軸拘束材31、31から芯材2に十分な押圧力を付与することができる。ただし、一対の強軸拘束材32、32のそれぞれは、狭幅部22の延在方向Lの略全長に亘って延びるように1つの部材として設けられても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1 座屈拘束構造材
2 芯材
21 広幅部
22 狭幅部
23 リブ
3 拘束材
31 弱軸拘束材
31a リブ用凹部
31b 側板用凹部
31c ビス用孔
32 強軸拘束材
4 側板
41 強軸拘束材用側板
41a ネジ用孔
42 弱軸拘束材用側板
42a ネジ用孔
5 自己粘着剤
6 アンボンド材
61 弱軸アンボンド材
62 強軸アンボンド材
A 接着剤
B1 コーススレッドビス
B2 固定用ネジ
G1、G2 隙間
L 延在方向
S 強軸方向
W 弱軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7